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(回答先: 【「イラク侵略戦争」のこれまで】 「ブッシュ−フセイン合作」の“戦争劇”は終わった − その１ − 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 12 日 04:44:11)
■ 「イラク侵略戦争」は端から「対イスラム戦争」だった
● 英米侵略軍にまともに立ち向かったのは南部シーア派ムスリムとアラブ義勇兵
− その１ −で書いたことを基礎にすると、南部戦線で米英侵略軍を苦しめたのは、フセイン政権お抱えの共和国防衛隊でもサダム・フェダインでもなく、南部シーア派ムスリム戦士だったという推測が出てくる。
もちろん、南部地域には、徴兵されたシーア派国軍兵士やそれが組織化された部隊もあった可能性もあり、それらを含めてムスリム戦士だとする。
米国メディアやそれをオウム返しするだけの日本のメディアは、激闘が続いた南部地域の戦いを、解放者米英軍とフセインに忠誠を誓った共和国防衛隊やサダム・フェダインのあいだで行われていると報じ続けた。
それがとんでもない嘘であることは、フセイン政権の牙城とされる北部地域で地上戦らしい地上戦はなかったことや、バグダッド外周部でもそれほどの抵抗を受けずに米軍が“快進撃”したことを考えればわかるはずである。
反フセイン政権意識が強い南部シーア派地域で激戦が交わされ、フセイン政権の牙城地域ではほとんど交戦がないという事実を知っても、フセインに忠誠を誓った共和国防衛隊やサダム・フェダインが死に物狂いで強大な米英軍に挑んだのが南部地域の激戦だったと言い張る人は、物事の判断力を失っていると断じる。
そして、そのような言説は、フセイン（政権）のためではなく、イスラム共同体やその統合国家であるイラクを悪魔の侵略から守ろうとして死んだり傷ついた人々を心底から冒涜するものである。
イスラムの価値観に殉じた人たちが、悪魔の手先であるフセインのために戦って死んだとされることに勝る屈辱はないだろう。
このようなとてつもなく誤った認識が、世界の一人でも多くの人から払拭されなければならないと考えている。
フセイン政権と同盟関係ではなくとも、情報収集能力に長けている米英政権は、当然のこととして、南部地域の人たちが「フセインのためではなく、共同体（イスラム）を防衛するために戦った」ことを知っている。
そうでありながら、その戦いで死んだり傷ついた人たちを、悪のフセインに命を捧げたやからであるかのように説明しているのである。
これを“悪魔崇拝”と表現せずになんと表現すればいいというのか。
もちろん、そのように説明する政治的意図は十分にわかっているつもりだ。
１） 悪のフセインに対する戦いであって、「対イスラム戦争」ではないと思わせたい
２） 今後も続く「イラク侵略戦争」での虐殺を正当化するためには、相手が“フセインの残党”か“テロリスト”でなければならない
米英は、フセイン氏を１５年がかりで悪の象徴に仕立て上げてきた。
ウサマ・ビンラデイン氏が世界的に“悪”として知られるようになったのは９・１１以降でしかないが、フセイン氏の“悪”はそれこそ黒光りするほど磨き上げられたものだから、その威光をフルに利用しない手はない。
この深夜に放送された「ＣＮＮニュース」でも、フライシャー大統領報道官が、「フセイン支持者の残党を掃討する作戦が今後も続く」としたり顔で説明していた。
イスラム共同体を侵略して破壊している米英軍に立ち向かうムスリム戦士を、「悪の権化フセインの狂信的支持者」というレッテルを貼って虐殺する暴挙を到底許すことはできない。（残念ながら、許さないと叫ぶことしかできないが）
なんぼなんでもそれは酷すぎる。フセインは“悪魔崇拝者”なのである。悪魔を撃退しようと決して戦っている人を、“悪魔崇拝者”の支持者と呼ぶのはあまりにもむごい話である。せめて、「テロリスト」や「イスラム過激派」と呼んで欲しい。
● フセイン政権お抱え部隊は北部に集中配置された可能性
南部・中部・北部という地域別の戦闘状況を考えると、フセイン政権中枢の“お仲間”部隊は、第５軍団のように、強力な米軍部隊がやってこないことがわかっている北部地域に集中配置されたと推測できる。
共和国防衛隊主力も、バグダッド外周の防御ラインについていないか、ついていても米軍部隊が見えたらすぐに逃げたはずである。
信じ込み血気にはやるサダム・フェダインの一部は生け贄としてバグダッド外周の防御戦を戦ったかもしれない。
モスル・キルクーク（・ティクリート）で投降した部隊や兵員の数を調べれば、実態に迫ることができるかもしれない。
もちろん、南部地域を丹念に取材すれば、南部地域で激戦を担った人たちがどういう考えの持ち主であったかもわかるはずだ。
フセイン政権の“悪魔崇拝性”を広く共有してもらうためには、そこまでの実地調査が必要なのかもしれない。
北部地域の投降実態についての情報を入手した方のフォローを期待したい。
● 病院での略奪や大火災は謀略の可能性
バスラやバグダッドで映し出されたホテルや公共施設からの略奪行為は、先日書いたように、戦乱の後始末過程では珍しいものではないと思っている。
どうせホテルは改装するはずだ、どうせ旧政権の施設は無用の長物になると考えたら、早いもの勝ち、貰い得と略奪に動く人がそれなりの数でいてもおかしくない。
しかし、病院での略奪や放火は次元が違う問題である。
一般のイラク人が、米英侵略軍の攻撃でとてつもない数の負傷者が出ている状況で、病院の器材や医薬品などを略奪するとはとうてい考えられない。
バスラで船舶などが放火されたり、昨夜はバグダッド市内の建物が炎上していた、
これも、物取りとは次元が違う行為で、一般のイラク人が行ったとは思えない。
一般のイラク人でなければ、やったのは米英か米英の意向を受けた人たちということになる。
病院での略奪や放火を彼らがやったとしたら、目的は、
１）そのようなことをするイラク人に統治する能力なんかないという印象を世界に与える
２）そのような暴虐を押しとどめて治安を回復するためであれば、強圧的な支配もやむをえないというムードを醸成する
３）治安を回復するために、日本など同盟国（イラク攻撃支持国）に早く警察機能部隊を派遣するよう催促するため
などが考えられる。
自分たちの強欲や理念を実現するためであれば、ためらいや恥じらいを持たずにほとんどのことをひとにやらせる連中だから、どちらかといえばかわいい範疇の謀略であるが、「イラク侵略戦争」の一環として行っていることで大きな問題となる。
バグダッドが米軍による戒厳令状態になったことで、これまで外注だった日本の主要メディアも人員をバグダッドに送り込んでいる。
つまらない犯罪的な米軍垂れ流し記事であれば、日本にいても書けるくらいなのだから、話題になった出来事の実相を掴む取材活動を是非ともしていただきたい。
今後の戦いについては、後日改めて書き込みをさせてもらうつもりである。
南部地域の人たちは、戦いを継続しつつも、今は、水道や電力の回復を米英にやらせ、当然の義務である食糧の供給を受ける段階だと割り切っているだろう。
今後継続される反米英侵略者闘争は、南部シーア派だけではなく、北部中部のスニン派のなかからも立ち上がる人たちが出ると考えている。
また、イスラムにこだわらない人たちもその戦いに参加するはずだ。
反侵略者の戦いが、分裂ではなく、地理的に離れている関係で作戦は別々であっても、統一された目的で遂行されることを切に願っている。
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※ 参照書き込み
１）フセイン“お仲間”説関連
『フセイン大統領：最終的には査察を受け入れてください』
（ http://www.asyura.com/sora/bd15/msg/391.html ）
『フセイン大統領への最後の呼びかけ：イラクの「非武装国家宣言」を − 米軍の空爆を避けられなくとも“悪魔の所業”とできる英断 −』
（ http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1074.html ）
２）「イラク侵略戦争」戦況関連
『米英軍の「イラク侵略作戦」を読む − 長期化の可能性 −』
（http://www.asyura.com/0304/war26/msg/497.html）
『ラムズフェルド長官とマイヤーズ統合参謀本部議長の記者会見 【長期化必至】』
（ http://www.asyura.com/0304/war26/msg/530.html ）
『【イラク侵略戦争のゆくえ】 傲慢者らしく“願望”と“信仰”で作戦計画を立てたブッシュ政権 − 戦闘の勝利さえ危うい実情 −』
（ http://www.asyura.com/0304/war26/msg/826.html ）
『【イラク侵略戦争のゆくえ】 南部地域の点も面も抑えられないままのバグダッド攻略は失敗する − 「反乱」は米英侵略側：１・イラク側：ゼロ −』
（ http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/321.html ）
『【「イラク侵略戦争」のゆくえ】 開戦前からは大きく変わった「バグダッド陥落」の戦略的意義 − 「バグダッド攻防戦」に至る前に政治的決着を −』
（ http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/359.html ）
『【「イラク侵略戦争」の戦況】 ばったり途絶えた「戦況報告」の裏側（実態）を読む − 米英侵略軍がバグダッドまで到達できずに敗退する可能性 −』
（ http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/447.html ）
『【「イラク侵略戦争」の戦況】 米英侵略軍は圧倒的優位に立っているのか − イラク国民は米英よりもフセイン政権を選択している −』
（ http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/759.html ）
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。