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返事が遅れてすみません。『スレッドを辿ってお読みいただければ...』(http://asyura.com/0304/dispute9/msg/1077.html)に対するレスです。
一応、あっしらさんの解答を拝読してのレスだったのですが、説明が不十分だったようですので、細かくレスしていきます。
>流れる情報のボリュームを考えたとき、もっともらしい陰謀を提示し、その確からしさを検討することは大きな意義があると思っています。
提示された陰謀を検討することは有意義ですが、証拠を示せない上での状況を読んでの主観的な判断は、政府側の発表を信じるより危険であると思います。
>フセイン政権中枢は、湾岸戦争以後の経済制裁のなかで、原油代金の配分が従来通りにはできないという言い訳を手に入れました。
>しかし、原油の密輸(しかも、なぜか開戦直前に報道されたように米国絡みも)や国連の「石油と食糧の交換プログラム」を通じて、フセイン一派は、従来以上の経済権益を手に入れてきました。
前述の通り、フセイン一派が経済権益を手に入れたのはフセイン政権が確立しているからこそできたことであり、政権崩壊後、国連のプログラムを通じて同様の取り引きの主導権を担うのは無理だと思います。
>そして、石油メジャーは、国連の「石油と食糧の交換プログラム」を通じて、フセイン一派に上納金を支払ってもなお市場価格よりも安い良質のイラク原油を手に入れて大きな利益をあげたはずです。
>同時に、イラク原油の採掘量は能力の半分以下(40%ほど)に抑え込まれていたので、良質なイラク原油を温存できたことにもなります。(原油市場は基本的に供給過剰です)
フセイン政権崩壊後も国連のプログラムを通じてフセインが原油配分の決定権を持ち続けることは無理かと思います。
>● フセイン一派は今後も経済権益を得続ける
>フセイン一派は、ティクリート周辺で半ば公然と生活していると推測しています。
>シリア逃亡説も流れていますが、犬猿の仲であるアサド政権が国家危機を招き入れるようなことをするはずがありません。
(米国政権がそのようなことを叫んでいることこそが陰謀です)
>また他の国外逃亡説も取り沙汰されていますが、フセイン一家だけではなく50名にものぼるフセイン一派が、安全に隠れつつそれなりに自由に生活できるような場所はないと見ています。
この見解は私も同じです。
>それよりも重要なのは、“孤独な”独裁政権であれば、マルコスの例でもわかるように、政権から追われると国外逃亡しなければなりませんが、孤独ではなく地盤がある独裁政権であれば、新しく生まれる政権がそれを認める限り、国内の地盤にとどまることが出来るということです。
フセイン政権の地盤は不安定であると思っています。
>北部地域全体が、大勢として、米英の侵略を受け入れるような態度をとったことから、フセイン一派の姿を見かけても、手を振る人がいるくらいではないかと推察します。
>そのために、南部シーア派地域は困窮状況に追い込んでも、地盤地域には経済権益を配分し続け、部族長など支配層にはより厚く配分し続けたはずです。
>むろん、地盤地域にも、反フセインの人がいたはずですし、今回の裏切りで新たに反フセインになった人がけっこういるはずですから、その人たちに存在を知られると密告されたり攻撃を受けることになります。
おっしゃるとおりです。 フセインは戦争を初め、政権を崩壊させることによって、より不安定な生活を強いられることになるでしょう。人知れず暗殺という可能性もありえますし、軍隊を使って攻撃を防ぐこともできません。
>米国政権とフセイン政権が同盟関係であれば、密告されても痛くも痒くもありません。
>地元警察から中央政府までがフセイン一派擁護者なのですから、「いないじゃないか。つまらん嘘をついたから逮捕する」といって密告者を拘束することもあり得るでしょう。
>フセイン一派がティクリートで長期にわたって安全に生活できるためには、そのような反フセイン派をその地域から放逐する必要があります。
その意味では、密告者や攻撃者はそのような目的を達成するありがたい動きだとも言えます。
あっしらさんが考えるこのシナリオには同意できません。米国政権とフセイン政権が仮に同盟関係であったとして、フセイン政権崩壊後もアメリカがフセインを支持する理由はなんでしょうか? また、フセインは自分の政権を崩壊させて任せるほどアメリカを信頼しているのでしょうか? ご存知の通り、米政権は長くても8年で新政権に変わります。ブッシュ政権は今期はあと2年、二期目に当選したとしてもあと6年です。前政権の政策を新政権が守るという保証はどこにもありません。
>米国主導の占領支配が始まっても、フセイン一派及びそれを支える勢力には、経済権益が厚く配分されることは変わらないと見ています。
繰り返しますが、フセインが政権崩壊後も国連のプログラムを通じて原油配分の決定権を持ち続けることは無理だと思います。よって、仮にフセイン一派が何らかの利益を得たとしても、政権崩壊前と崩壊後では大きな落差があるはずです。
>■ 価値観的利益
>経済利益の観点だけですと、とんとんか少し利益を得たというものですから、それなら、米英侵略軍と戦ってイラクの支配権を維持したほうがずっと得ではないかという見方もできます。
>その見方に立てば、強大な軍事力を誇る米国と戦っても勝ち目はないから裏取引したという判断がふさわしいのかもしれません。
(これ自体も、十分過ぎるほどの陰謀説です。米英政権は、交渉や取引はしない、ブッシュ政権を転覆し政権中枢を戦争犯罪者として裁くと公言していたのですから)
>フセイン一派は、たんなる強欲者ではなく、世界経済支配層の別働隊として強欲を実現しようとし、世界経済支配層の価値観(グローバリズム)を世界化する最後の障壁であるイスラム諸国の「近代化」を善なるものだとして信仰していた可能性が強いと判断しています。
>私の言葉で言えば、フセイン一派は、悪魔崇拝者の仲間だったということになります。
>悪魔崇拝者であれば、理念や経済権益のために、嘘をついたり、虐殺が荒れ狂う戦争に自国民を投げ出すことになんら罪悪感をもちません。
>その他大勢の人間は、自分たちの理念や強欲を実現するための道具でしかないからです。
>悪魔崇拝者は、恐ろしいことに、自分の嘘を信じ、それに踊ったりそのために死んでいくその他大勢の人間の姿を見てあざ笑うという習性を持っています。
>「騙されるアホが悪いんだ。騙されたとわかって悔しいのなら、知性か財力で俺たちを凌駕してみろ!」
ここの部分の説明は失礼ながら、あっしらさんの主観的部分が多く見られるため陰謀説を裏付ける根拠にはなっていないと思われます。たとえば『フセイン一派は、たんなる強欲者ではなく、世界経済支配層の別働隊として強欲を実現しようとし、世界経済支配層の価値観(グローバリズム)を世界化する最後の障壁であるイスラム諸国の「近代化」を善なるものだとして信仰していた可能性が強いと判断しています。』とありますが、なぜあっしらさんはそう思われるのか、根拠は何でしょうか?
>どういう根拠で「あまりにワリが合わない気」がするのかを書いて貰っていればありがたかったと思います。
以上のことから、「米国歴代政権とフセイン政権の合作」とする陰謀説は、フセイン側の経済的、生活的デメリットの方がメリットより大きいと考えられるため、無理があると思います。