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合作説の批判的検証 (時間はかかるかもしれませんが重要です)
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/1158.html
投稿者 F 日時 2003 年 4 月 22 日 06:32:30:IVJACidRB5fhY

(回答先: フセイン一派の身の安全と金銭的利益の保全について 投稿者 すみちゃん 日時 2003 年 4 月 21 日 21:01:57)

いくつかのポイントに関するレスになります。
これまでの「論議」での投稿と同じように、
あっしらさんの仮説の論証に対する二点での批判になります。

前置きになりますが、あっしらさんの合作説の証拠を次のような点に簡略して
示しておきます(あっしらさん、もし足りなかったらごめんなさい)。

合作説、その証拠リスト。
1、歴史的な蓋然性。
(1)フセインは1979年以来米国のエージェントであった。
(2)悪魔崇拝者である。
2、今回の戦争の戦況から見た適合性。
 (1)戦闘の激しさの地域差(親フセイン北部の武装放棄、反フセイン南の激戦)
 (2)商取引の成立。(フセインは湾岸戦争以来の蓄財・今後の支援、
米国はイラクという国、中東における軍事的プレゼンスの獲得)
 (3)フセインの行動(バクダット白昼の出現)

すみちゃん:
>4/9、11の時点において、フセインが町中を
>歩くのは無理だと思います

これは例のフセインがバクダットの市内を歩くビデオ画像の件です(11日というのもありましたっけ?)。あっしらさんとすみちゃんは、このフセインのあたかも大胆不敵な行動は、フセインとブッシュ政権の間に事前の「敗北合意」があり、街中を歩いても攻撃をうけない、ということをフセインが確信していた証拠である、としています。また、毎晩寝床を変えるほどの小心者のフセイン、という見方も事前の合意の上での「大胆不敵」演出と見る。

私は逆に、このビデオ画像が放映されたという事実は、フセインとブッシュ政権の間に合意がなかった、ということの証拠になるのではないかと思います。ご存知のように、7日の時点で「フセインの地下壕=実は地下一階のレストラン」が徹甲爆弾で爆撃され、フセインの生死がわからなくなった事件がありました。英国情報機関は「まだ生きている」といったが、米国の方は、フセインの所在地を空爆するたびに、都合5回ほど殺しているというのがその主張です。これら一連のフセインの空爆殺害週間が続いて、生死を誰も知らない、というのが「バクダット陥落」の日9日の時点での一般メディアのコンセンサスでした。アブダビTVがバクダットのあの「フセイン像引き倒し」のファルドス広場から4マイルほど北で、熱狂的な群集にかこまれるフセインの姿を放映したのはそれから一週間たってからでした。この「フセインが9日に生きていた」という情報は、米国にとってとてつもなく不利な情報です。なぜならば、イラク戦争を開始した時点での戦争の目的はまず第一が「大量破壊兵器の発見、没収」で、第二が「フセインを生死にかかわらず、捕獲すること、政権を転覆させること」でした。フセインの生死がどうなったのか誰にもわからない、爆弾で骨まで微塵に砕けたのかもしれない、という未確認な情報をそっとしておくのが、米国にとってはもっとも都合のよい話だったでしょう。しかし、「フセインは生きている」ということになってしまった。もしブッシ政権・フセインの合作が背景にあるならば、フセインが街に出ることを米国は禁じたはずです。あるいはフセイン自身も、そうした行動が米国にとって非常に不利になることぐらい理解できたはずです。なにしろ、「フセインはまだどこかにいる」ことになり、捕らえることが世間の目から見て可能であり、必要な要件になってしまうのですから。そしてそうなってしまった。すなわち、あのビデオ映像の存在と放映は、フセインとブッシュ政権には事前に合意がなかった、ということになるのです。

あっしらさん:
>また、米英政権と「合作」であれば、米英の駐留部隊や
>「新イラク国軍」・「新治安部隊」もフセインを庇護する軍隊ということになります。

私もあっしらさん同様に、フセインはイラク国内に隠遁するのがもっとも安全であり、実際にそうであろうと考えていますが、当然のことながらフセインが存在している噂、しかもその存在が米国と新政権に認知されている、ということの噂は市井の人々を通じて広まるでしょう。ましてや、「合作」に従えば、最後の最後に、国を裏切った人間です。フセインの存在がスクープされるのにさほど長い時間は要しないのではないか。こうしたことが世界に知れ渡れば、フセインの存在を黙認するはずであった米国はフセインの追跡と捕獲を行う必要が出てくる。この結果

あっしらさん:
>まず、米国政権(世界支配層)は契約を重視する人たちだ
>ということを軽く見てはならないと思っています。
>仮に契約を軽んじる人たちだとしても、裏切ったわけではない同盟者を裏切ったら、米国>政権(世界支配層)の今後の世界戦略を現実化させていくことはできません。
>他の隠れた同盟者は、フセイン一派がどうなるかを注意深く見ています。
>もしも米国政権が同盟者であるフセイン一派をぞんざいに扱えば、明日は我が身だと悟る>ことになります。

米国は↑の「裏社会の血掟」を踏みにじることになります。
ここまで穴の抜けた「劇」を双方が行うであろうか、という点は大いに疑問です。ちなみに、私はブッシュ政権とフセインの間に合作(取引)は存在せず、「新治安部隊」との間にこれからその黙契が続いてゆくのではないか、という仮説を考えてみました(http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/1030.html)。この場合、フセインはイラクの社会制度の背骨である家父長制の義によって、米国の捜索から守り続けられることになります。「合作説、その証拠リスト」がそのまま証拠になりますが、フセインは今回は米国のエージェントではなかった、とする場合です。

ちなみに「悪魔崇拝者」という存在、私にも理解できます。一方で南部デルタのクロスロードで悪魔と取引をしたブルースマン、ロバート・ジョンソンのことも思い出してしまいます。後者には哀切がありますが。

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