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Re:民間企業こそが「総論賛成 各論反対」の典型 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 09 日 19:06:41:

(回答先: Re: “改革党”が多数派になっても日本は良くならないと思います 投稿者 596 日時 2002 年 3 月 08 日 07:05:10)

596さん、こんにちわ。


>農業への企業の参入を容易にする、とか、農協の地域ごとの垣根を取っ払って競争
>してサービス合戦させる、とか金がかからない振興策が良いと思う。

自然的制約が強く生存維持商品を生産する農業は、利便商品や奢侈商品まで生産する工業とは異なる経済条件に置かれています。

現代日本農業の生産性は品種改良・化学肥料・農薬などでぎりぎりまで高められており、逆に、その負の効果や消費者の“安全性”志向のために生産性が落ちていく状況にあります。
「生存維持商品」である限り、需要量もほとんど伸びません。せいぜい、味がいいとか無農薬だとかを売り物にして、単価を上げて利益を拡大していくしかありません。

米国のように先住民の土地を奪って大規模に経営されている農業産品や国民の平均的な所得水準が低い“後進国”の農産品と、日本の農産品の価格が違うのは、農民も日本国民として平均的な所得水準を確保することが望ましいという国民的合意であれば当然のことです。

企業が農業経営に参入すれば、農地を買い占め米国型の農業経営をするでしょう。そうでなく、自営農家と同じ広さの耕作地で経営するとしたら、自営農家と競争して利益が出ないからです。(企業であれば、人を雇ったり、株主に配当するなど、家族経営の自営農家以上のコストがかかるからです)
自家用農産物生産のための農地を除く日本中の農地が企業の手に渡ったらどうなるでしょう。
彼からは、「資本の論理」に従って、ミニマムコストでマックス販売価格という経営をめざします。
最近露呈しているように、数多くの食品会社が、とんでもない詐欺・不正を行っています。
企業が基礎的な食糧の生産そのものまでを行うようになったときの恐ろしさを考えると、とてもそれを認める気にはなりません。
政府がきちんと取り締まればいいのかなと考えても、今の政府は、詐欺や不正を行った企業をまともに処罰しようとしていません。
雪印食品の牛肉詐欺でさえ、その実態を明らかにしていませんし、食肉を扱う会社すべてを一気に調査するということもやっていません。

人々が生存維持条件から分離されて生活しなければならない状況は、たいへん危険なことだと考えています。
それは、他者の言いなりになって生きるしか生存の方法が残らないことを意味するからです。

農業については、安全性に関する規制をより強くすべきだと考えています。
農業政策も、農民が農道関係予算など公共事業費としてばらまかれるお金をあてにするのではなく、自分が食べるものと同じ気持ちで生産したものを販売し、その結果一定の所得水準に達しないのなら、国家が所得補償をすべきだと考えています。
個別農家別の所得補償ではなく、生産物別の価格補償で“所得補償”を行うべきだと思います。そのよう仕組みであれば、同じ農産物をより低いコストで生産したほうが得になるので、競争も促進されます。


>>利益誘導、一概に反対ではありません。

>野党は大きく不利になってしまいます。
>鈴木宗男のような人が多く当選するでしょう。

“利益”とは何かという問題を触れていなかったので、“利益”を限定的な利益イメージにしてしまったのかも知れません。

外から自動車がいっぱい入り込んで買い物したり遊んだりするのはイヤだから、それを制限して欲しいということをある地域で実現するのも、“利益誘導”です。

そのような被金銭的利益誘導はともかく、国会議員が地域選挙区からも選出されるのであれば、その地域の利益を主張するのは当然の任務です。

問題は、国家や地方公共団体の予算が、与党ないし与党内の有力議員の主張に沿って配分されていることだと思います。
そして、そのような現実が放置されていることが最大の問題です。
鈴木宗男代議士の行状が暴露され問題視されていますが、彼個人の問題ではなく、そのような行状ができる仕組みが問題なのです。

鈴木代議士の利益誘導は地元のためというより、講演者や自分のためのものであったようです。鈴木代議士が前々回の総選挙では小選挙区で落選したように、そのような利益誘導をしている国会議員は落選の憂き目にあいます。

野党が不利で、鈴木代議士のような人が多く当選するとしても、それは仕方がないことだと思います。法律を制定するのも、政府の予算案を認めるのも、国会の役割です。

野党は、反地元的な利益誘導や現状の予算配分の問題点などを指弾し、それに代わるとかいうかそれを抑制できる仕組みを提示して選挙に勝つしかありません。

地元の利益を顧みず国家天下を語るだけでは、地域選挙区では当選できないと思いますよ。


>>族議員。それぞれの分野に得意な議員がいることはいいと思いますし、各政党で分野別の政策論議の場があることも好ましいと思っています。

>省益とか族益が優先され日本全体の利益がおろそかにされます。

では、内閣だけが政策を論議したり決定すればいいんですか?
それであれば、内閣益が優先されることもあり得るでしょうね。
日本全体の利益というのは、何を基準に、もしくは、誰が判断するんですか?

「族議員」という言葉が蔑称的に使われていることでおかしな先入観が生まれていると思います。もちろん、現状の「族議員制度」が、政治家の私利私欲と省内主流派キャリア官僚の私益がむすびつくものになりがちなことは認めます。

しかし、それは制度ではなく、政治家やキャリア官僚の資質の問題です。
それを是正するためには、そのような政治家を落選させたり、そのようなキャリア官僚を懲戒免職していくしかないでしょう。


>>談合黙認。公共事業の受発注に関しては現在考慮中ですが、最安値落札がいいとは
>>思いません。

>手抜きをしないか見張り、一定水準以上のものを作らせるようにした上で最安値の
>業者にやってもらうのが良いでしょう。

「資本の論理」に支えられた企業が、他を圧倒する安値で物を売り続け、シェアを100%にしたら、どういう行動に出るかは歴史や現実を見ればすぐにわかることです。
そういう状況になれば、イヤでも、その企業が提示する価格で物を買ったり、工事を発注しなければならなくなります。

81年代初頭の“規制緩和”以降のアメリカ航空業界やマイクロソフトなどを考えてみてください。


>>大きな政府。失業対策という役割と必要性に納得できれば、「大きな政府」も
>>容認します。

>公共事業は民間に比べ無駄が多すぎるので、できる限り民間にやらせるのが良いでしょう。

公共事業も、ごく一部を除けば、民間に発注されています。

利益を上げなくてもよい公共事業体と利益を上げなければならない民間事業体が競争して、民間事業体が勝つとしたら、公共事業体の経営に問題があると言うことです。

民間が効率的だというのは、たんなる幻想です。
公共事業の無駄は、民間企業が税金を食い物にしたり、政治家が税金を食い物にしているからだと思います。


>>郵政三事業民営化には反対です。

前述したように、利益を上げなければならない民間が郵便事業を行って、現状の郵便従業員と同じ労働条件と同じ郵便サービス内容で利益が出せるとは思えません。

利益を出すためには、佐川急便のように従業員がそれなりの高給をえさにボロボロになるまで働かせた上に、郵便サービスで大きな地域格差を付けなければ無理でしょう。

郵便事業を民営化した英国は、その民間企業が赤字に喘ぎ、料金の値上げやサービスの改悪を求めています。


>財政投融資の莫大な赤字は民営化しないとどんどん増えていきます。
>赤字は300兆円を越しています。

この赤字で潤ったのは、民間企業です。

厖大な財政投融資は、戦時戦後の国家統制的経済運営の産物であり遺物です。
財政投融資のあり方は大きく見直し、限定的なものに縮小すべきだと思っています。
この意味で、郵便貯金や簡易保険も見直しされるべきだと思っています。
郵便貯金は、預金利子は付かない「決済専門銀行」に統合されるべきだと思っています。
簡易保険は、一元的な生命保険制度に統合されればと思っています。

両方とも、利益を目的にするものでもなく、株式・民間債券・不動産などに投資も行いません。投資できるのは、国債や地方債など公的な債券だけになります。

>>公務員削減反対。現在の「デフレ不況」では削減に反対です。

>できる限り民営化を進め、公共事業が減った分を民間が吸収するべきです。
>デフレ対策は別に考えるのがよいでしょう。

民間が吸収するでしょうか、現状でさえ、生産基地を日本から中国に移することで、人減らししているのです。

公務員を削減し、民間もそれを受け入れないどころか現有人員まで削減することになれば、「デフレ」はますます悪化するので、「デフレ対策」は別に考えるというわけにはいきません。


民間企業経営者こそが、「総論賛成 各論反対」の典型的思考の持ち主です。
「デフレ不況」から抜け出すよう政府に強く迫りながら、自らは、よりデフレを進めることになる「人員削減」・「支払い給与減少」・「中国への工場移転とそこからの製品輸入」を行っているのです。

民間企業バンザイは、冷静に見直したほうがいいと思いますよ。


>>中小劣悪企業救済

>生産性の劣った会社を無理に存続させるのはよくありません。

ダメな企業を無理に存続させる必要はありません。

しかし、生産性が劣っていることが一概に悪とは言えません。
生産性は、一定価額の産出を得るのにどれだけの労働力価額でどれだけの産出を得るかという話です。

生産性を良くする最短の方法は、同じ生産設備を持つ競争相手よりも、安い給与で労働者を雇うことであったり、余剰人員をすぐに首切りしたり余剰設備を廃棄することです。
もちろん、生産効率のいい生産設備を保有していることでも、生産性を上げることができます。

生産性を上げるためには首切りしたほうがいいのに、従業員の生活を考えて、日本経済が「デフレ不況」を脱するまで我慢しようと経営者が考えているから、生産性が悪い場合もあるのです。


>構造改革については、できるものから先に改革する。

いくつかはやり取りでわかりましたが、できるものからでけっこうですので、具体的な「構造改革」を列挙していただければ幸いです。

>自民党は改革をすれば利権が減るので自分たちに有利な改革しかしない。

その方向性は確かだと思いますが、自民党政治家の究極的な“利権”は、「国会議員であること」であり、「政権与党であること」です。
このことは、自分が選挙で落選するかもしれないと感じたり、自民党が野党に転落するかもしれないと感じたら、社会党と連立したように、政策を大きく転換する“特性”を持っているということです。

悪く言えば、理念が乏しいとも言えますが(笑)


>圧力団体は民主党には労組しかないので既得権益を切るのは比較的容易。

野党であれば、既得権益を切るのは比較的容易だと思います。

しかし、特定の集団や組織の利益ではなく、国家全体の利益や“普遍的”理念を掲げる政党には危険性を感じます。

宗教やナチズムを考えて見ればわかると思います。


>自民党は圧力団体に囲まれているので既得権益を切るのは難しい。

自民党は、戦後日本のほとんどの期間政権与党だったのですからそうです。

自民党は、経済成長志向期の日本においてまさに「国民政党」だったのです。
そして、国民の一定部分や自民党は、経済成長幻想にとりつかれたままなのです。

自民党か民主党かいずれかに投票しなければ殺すと言われたら、自民党に投票します。
経済利益に走る組織のほうが、理念追求に走る組織より、まだ安全だと考えるからです。
自民党はクソ政党だと思っていますがね(笑)


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