(回答先: Re: 民営化しても労働強化以外に効率を上げることはできません 投稿者 596 日時 2002 年 3 月 12 日 23:27:05)
あなたは、さすが自由党支持者だけあって、とにかく規制を撤廃し、競争原理を取り入れ、自由闊達で活力のある「アメリカのような」社会にしていこう、という意気込みに溢れている気がしますね。まあ、その過程に痛みはあるけれども、行き着く先はバラ色の未来だということなんでしょう。けれども、それを実践しているアメリカの現実を知っていますか?本当にアメリカは今バラ色の理想社会となっているのでしょうか。
銃の保有数は世界一で、それに関連する事件や事故が跡を絶たない。包括的核実験禁止条約は頑なに批准を拒否し続け、世界最多の弾道ミサイルを保有し、国益になるとなれば世界のどこにでも軍事行動に出て行く。企業の経営者が社員の百倍もの報酬を手にする一方で、9割以上の国民はただ普通に暮らすために共働きや副業を余儀なくされている。アメリカ経済政策研究所の報告書によれば、1998年の一世帯の年間労働時間は1989年に比べて246時間増加して3885時間となったそうです。アフリカ系アメリカ人世帯においては年間4278時間となっており、単純には比較できないものの、日本人1人当たりの平均1836時間(労働省統計2000年5月)と比べても、残業や副業の多さがわかるでしょう。アメリカの株高をとって好景気というが、全株式の半分は上位1%のアメリカ人が所有しており、下位80%の一般国民が保有するのはわずか4%に過ぎないのです。
民営化して自由競争を取り入れ規制を撤廃した後の社会は、一握りの億万長者とごくわずかな中産階級、残りの大多数はその日暮しにも等しい生活を余儀なくされる。一般の労働者には健康保険も年金もなく、あるのは雇用の不安だけ。その億万長者もおちおちしていられません。常に足を引っ張ろうとする者が出てくるからです。自動車を売ろうとするために、自動車会社が鉄道会社を買収してその翌年には鉄道を廃業にしてしまったりもします。
また、公益に強くかかわる事業を安直に自由化することの危険性は、70年代から80年代にかけての航空や運輸における規制緩和の失敗で、本当はわかっていたことなのですが、電力事業に規制撤廃=自由化=市場化をほどこして、電力に対する需要と供給をマーケット・メカニズム(市場機構)に委ねた結果が招いたカリフォルニア州の大停電。このように「アメリカン・ドリーム」とは文字通り、決してかなうことのない夢にすぎないというのがアメリカの現実なのです。