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このサイトでも、「ビルダーバーグ」さんと「ただのどかな青空がほしいだけ」さんが紹介されていた『アメリカの大崩壊と最期』をようやく買い求めて読んだ。
感想をいくつか簡単に...
● 著者X氏は日本人という印象
どうでもいいことだと思っているが、書いた人は日本人だという印象を受けた。
たぶん、新左翼系の政治運動をやられていた方ではないかと思う。
直感的に、今はなき第一企画出版社から1冊は書籍を出されている人ではないかと感じた。(まとめ方や文体の類似性と第一企画出版には珍しい左翼的思想性から...)
いつかは警察沙汰になるなと思わせるような“危ない本”をこれまでも出してきたデータハウス社が、第一企画出版社の托鉢を継ぐのかな?
● “前提”と“結論”に非同意
9・11空爆テロを米国権力機構の一部が計画・実行したものと考えているが、X氏は、ムスリムの攻撃だと考えている。
近い将来、ムスリムによる米国本土核攻撃・欧州・日本・中国での大掛かりな攻撃で、先進諸国の権力が倒れ、中国の政権も変わり、資本主義も崩壊すると予測している。
これまでの歴史過程と現在パレスチナ・アフガニスタン・パキスタンなどで継続されている「文明諸国」の虐殺戦争に対抗して、ムスリムが、「文明諸国」に攻撃を仕掛けることは正当だと考えているが、彼らが、そのような“展望”のない戦いに走るとは考えていない。
彼らが、自分たちの領域に引き込んで戦う道を選択するだろう。
彼らの目的は自分たちの共同体(国家)にイスラムを復活させることであり、それを阻害しているのが米国を中心とした「文明諸国」(ロシアを含む)や自国政府(エジプト・サウジアラビア・ヨルダンなど)だと考えている。
世界革命派ではない彼らが、文明諸国の政権を倒す戦いを優先するとは考えにくい。
また、「文明諸国」が既に彼らの領域に兵力を送り込んでいるのだから、それを叩いていけば、「文明諸国」はずるずると新たな兵力を送り込んでいくしかない。
このような戦いを通じて、より多くのムスリムを自分たちの戦いに立ち上がらせること(すなわちイスラムの復活)を優先するだろう。
米国を核攻撃しても、そのような目的は達成されない。
(将来の予測の違いは、“前提”である9・11を仕掛けた主体が誰なのかに関する認識の違いと考えている)
また、「文明諸国」の権力が打倒されても、資本主義が崩壊するわけではない。
● まとめ
X氏は、かつての左翼が持っていた「恐慌待望論」(恐慌が起きて労働者が悲惨な状況に落ち込めば革命のチャンスが生まれる)や「革命的敗北主義」(第一次世界大戦など先進国間の戦争で自国が負けることで革命のチャンスが生まれる)の延長戦とも言える「イスラムテロ待望論」(自国がイスラム勢力から政権が壊滅するような攻撃を受けることで革命のチャンスが生まれる)に立っているように思われる。
私は、イスラム勢力が現在進行している世界経済支配層の“思惑”をくい止める可能性は高いと思っているが、X氏のような願望も見通しも共有しない。
(アフガニスタン虐殺戦争に日本も参戦しているから、ムスリム勢力が日本を攻撃するのは正当だと考えているが...。現段階という条件付きだが、彼らは、日本に対する侮蔑や憎悪を持っても、対日攻撃は考えていないと思っている)
“前提”と“結論”で大きく見解が異なるが、米国(「文明諸国」)・中国・イスラム勢力に対する評価については見解を共有する部分が多い。
9・11以降の流れも概括されているので、X氏の考え方に反対する方も一読する価値はあると思う。
『アメリカの大崩壊と最期』(データハウス社刊 著者:X 訳:田中隆)
¥1,500