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(回答先: ここまでハイレベルで書ける日本人がいるなら日本も捨てたもんじゃない。 投稿者 ただのどかな青空がほしいだけ 日時 2002 年 7 月 09 日 17:19:04)
「ただのどかな青空がほしいだけ」さんへ。今、手元に「米国の大崩壊」の本がないので、正確な引用はできませんが、ご質問へお答えします。
新左翼運動で使われる概念体系は米日共通とはいえません。新左翼のバックグラウンドは言うまでもなく、スターリンに抹殺されたトロッキーです。トロッキーは旧ソ連から追放された後、第4インターナショナルを作って、反スターリニズム運動を展開しましたが、日本では、戦前には、この運動は根付きませんでした。しかし、ヨーロッパや米国には、トロッキズムの活動家が少数ながらおり、各国の反共産党系急進政治運動はトロッキズムの強い影響下にありました。
日本ではトロッキーの伝記を翻訳した山西英一氏や、あの太田竜氏、対馬忠行氏らが1950年代にトロッキズムを日本に持ち込み、第4インターナショナル日本支部(革共同の前身)などを作りました。一方、戦後、マルクス哲学者の間で議論された主体性論の流れを汲む黒田寛一氏や、マルクス経済学では世界レベルにある、と言われた法政大教授(当時)の宇野弘蔵氏(故人)の理論(3段階論)、それに60年安保闘争を牽引した安保ブンドなどの理論が渾然一体となって60年代の新左翼運動となりました。
反帝反スタや、世界同時革命、攻撃型階級闘争理論、世界資本主義論、基軸帝国主義論などは日本独特のものです。これらの理論はほとんどが英訳されず、国際的にはあまり知られていません。この本には、こうした日本の新左翼特有の概念、言い回しが多数、使われており、当時の新左翼(理論)にそうとう影響を受けた人と思われます。
イスラム圏のナマの情報については、小生も詳しくありません。ただ、この本の著者のニュースソースのひとつは、「アフガン・イスラム通信」のようです。これは、アラブ系のニュース通信社で英語で配信しているようですが、詳しいことは知りません。どなたかご教示を。(ドメル将軍が大変な労力を費やして、紹介してくれているアフガニスタン・ジハード通信とは違います)。あとは、イスラム圏各国の英字新聞(日本でいえばジャパンタイムスのような)などが英語で読める現地情報ですが、日本で入手できるかどうかは、よく分かりません。OCS(海外新聞普及)という会社か各国大使館にお問い合わせ下さい。
著者の執筆の動機などはまったく分かりませんが、日本では接しにくい情報源に恒常的にコンタクトしているようですので、米国かカナダあたりに長期間、居住している人と思います。なお、データハウス社があの宇野正美氏の経営する出版社とは全く知りませんでした。さすがに木村さんは消息通ですね。最近、宇野氏の著作があまり出ないので、どうしてかな、とは思っていましたが、会社経営が忙しいのかも知れませんね。