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(回答先: データハウス社:Re: 著者はレバノン系かEuro-America系アメリカ人ではないか、と。 投稿者 木村愛二 日時 2002 年 7 月 07 日 21:40:24)
木村様
あ、そうでしたか、データハウス社は宇野正美さんのものなんですか。知りませんでした。彼なら、かなり異質の情報系統をもっているでしょうね。ありがとうございました。
皆様
今一度詳細な検討の結果、この本の著者の提供する具体的で細密な情報は、アルジャジーラを筆頭とするイスラム諸国側報道を第一次情報ソースとしていることを再確認しました(自らもくり返しそれを明示しています)。911問題を専門とするアメリカのホームページメディア(政府批判側)などを毎日徹底して英語で読み込んでいる人なら分かると思いますが、そういうところでも全く見当たらない情報ばかりが、拍子抜けするほどこの本には盛られています。
アルジャジ−ラはカタールの放送局でイスラム世界のCNNと名高い放送局でキャスターや記者レポートの報道スタイルは非常に洗練されており24時間報道だけを生で衛星放送しています。
アメリカ国内ではアラブ系のかたがたは、ある会社と衛星放送の契約をすると、アルジャジーラ(カタール),Future,LBC(ともにレバノン。前者は首相がバックアップしています)そのほかエジプトの4つの放送局の、アラビア語での報道をライブで24時間みることができます(他にケーブルでもアラブ語系チャンネルあり)。イラン情勢はやはりイランからのペルシア語での衛星放送(およびケーブル)をみることができます。大都市圏の国際ニューススタンド、大型書店には、アラビア語系の新聞や雑誌が簡単に入手できるだけではなく、アラブ諸国(キリスト教系)やイスラム系の人びと(79年ソ連侵攻以来のアフガン難民系やインドネシア人)の人的にネットワークに接続でき(たとえばロサンゼルスでのイラン人コミュニティーは非常に大きく、サンフランシスコでもパレスチナ人だけで3万人から4万人のかたがたがいて、社会に溶け込んでいます)、そこから得られる米英主流メディアでは出て来ない情報は膨大です。
この本には日本国内の情報空間(英語情報含む)では得られないもの、日本人にとっては初出のものでかつ詳細な情報が満載されています。一方、この本に示されているFBI関連のアンダ−グラウンドな情報、およびアメリカ社会の日々の情感を書き込むにはアメリカアメリカ国内に生活基盤をもつものでないと非常に困難です。
アラビア語を母国語とするか、すくなくともその言語で情報処理をできるひとで、中東系ないしイスラム諸国の人びとおよび、米国内新左翼系運動者の人的ネットワークにつながりを持ち(アメリカ国内には南米のコロンビアでの苛烈な反政府運動を観察、支援している団体やメディアがいくらでもあります)、英語もネイティブ並みに使える、かつアメリカ国内に生活基盤を持つひとで、旧約聖書などにも、(自分のキリスト教環境を背景に)通暁した相当な知識人。
こういった要素が著者の背景に見えます(レバノンはアラビア語に属しかつて大半はキリスト教で欧米型高等教育が充実していた国だが著者は例の75年以降アメリカへ逃れ現在アメリカ市民権を持つ人物ではないかと思われるが)。日本国内ではアラビア語の情報環境(人的ネットワーク含め)は限り無くゼロです。日本人が著者であることはありえないとみます。ましてや、日本の新左翼運動経験者(50代以降でしょう)が、このタイミングで、しかもアメリカ人のふりをして、このような本を書かなければならない必然性も動機も現実的にみてみあたりません。失礼ながら、現時点では彼等にそのような実力(アラビア語も英語もアメリカ生活経験も人的ネットワークも)も本に見られるイスラム系への心情投入の余裕もありません。激変する日本の事態のことで手一杯のはずで、むしろそちらのほうで真剣に問題と対峙している可能性が高いと思われます。
ちなみに、この本をお持ちの方は朝日新聞7月7日号の国際面「民族均衡崩れる恐れ」(アフガン副大統領暗殺事件)との見出しの比較的大きな記事と読み比べてみてください。朝日記事が、実に無内容かつミスリードする報道になっているか愕然とされるとおもいます。パシュツン人が圧倒的に反米意識でかたまっているという基礎的な事実も踏まえられていないため、この問題を民族均衡の問題ととらえ四分五裂の記事となっています。今回の事件の本質はアメリカ側と反米勢力のダイナミクスの問題で、もともと弟であるハク氏とともにアメリカに魂を売っていた人物が閣僚に入っており、反米アフガニスタン人がアメリカ傀儡政権に挑戦をしたものです。
現在アフガニスタン国内で進行していることを正確に理解したい方、またその今後の見通しをもちたいかた。この本が最良の情報と知識を与えてくれます。
この本は世界レベルの知識人の議論に十分耐える内実をもっています。米国内部でもこれに匹敵する本は刊行されていません。この本を入手できる日本人は幸いだともいえます。日本では欧米と違い、政治言論について制度的な検閲がありません。欧米諸国で刊行できないような原稿が日本で出版されるという現象がみられます。この貴重な自由は絶対譲り渡してはならないものです。