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(回答先: Re: 簡単なレスです 投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 24 日 18:23:13)
概ね貴殿の御意見に賛成です。
バブルの生成と崩壊に貴殿は88年の段階でお気付きだった、というのは貴殿が特殊なのであって、一般的には本能的に本業以外には手を出さなかった経営者か、まごまごしている内に時代が通過してしまったというスローペースな人々が難を逃れただけです。
それはさておき、次の論点にのみ異論があります。
>過剰債務・過剰設備の圧縮については、過剰債務と過剰設備を峻別しなければなりません。
>過剰債務=過剰設備という観点で処理されていけば、縮小再生産=デフレ・スパイラルに陥ります。
>産業分野(及び財政)について言えば、過剰債務はインフレで薄め、過剰設備は需要拡大(本来は供給拡大が市場主義的解決法)で稼働率を高めるという基本スタンスに立つべきです。
>それを通じてできるだけ早い段階で停滞している革新的設備更新が可能な状況に移行しなければ、国際競争力の劣化が顕在化します。
過剰債務と過剰設備は同じ問題を別の角度から見たものに過ぎません。実態としてある設備が財務面から見ると帳簿に載っている負債額だというわけです。つまりどちらか一方が解決すると、他方は自動的に解決するのです。例えば、何らかの理由で債務がチャラになる極端な例を考えます。過剰設備はタダということになりますから、スクラップにしても放置しても変わりません(維持コストや廃棄コストは無視)。逆に過剰設備問題が解消する場合、即ち需要増などで過剰が過剰でなくなれば、当然それに見合った収益が上がり、債務返済は問題なくなります。
何が言いたいかというと、インフレ(過剰債務対策)と政府による需要創造(過剰設備対策)を二重に行う必要はないということです。特に過剰設備対策をやってしまうと、本来自律的に供給能力を適正規模に絞り込む努力や不要な人員を削減するインセンティブが消えます。これにより、本来なら過当競争がなくなり利益が出る体質が得られること、就業人員を別の産業分野にシフトすること、の2点が阻害され、いつまでも官需依存体質が業界から消えない事になります。
これまで明言を避けてきましたが、インフレをどこかの時点で一定規模で起こす事は不可避だと思います。これにより企業の実質債務負担を軽減する間に、あらゆる生産性向上の努力をさせねばなりません。国際競争にさらされないサービス産業についても同様の努力が必要です。その一方ではじき出される雇用者についてはひとまずはセーフティ・ネットで受け、その後は政府が用意する需要拡大プログラムへの'供給者’として供給側に立ち戻ってもらうことになります。
このスキームをうまく動かすためには、政府の需要創造プログラムが最初に来なければならず、それが具体的にどのような内容でどのような規模なのか、財源はどうなるのかを示す必要が出てくるでしょう。貴殿が常々心配されるように、「日本の国際競争力が維持されている内に」手を打つ必要があるのでしょう。