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bakaさんへ:こういうのを「すり替え」と言います 投稿者 あっしら 日時 2002 年 8 月 26 日 15:24:51:

(回答先: 一点を除き同意します。 投稿者 匿名希望 日時 2002 年 8 月 24 日 19:38:25)

bakaさん、こんにちわ。

下の方での「匿名希望」氏とのやり取りを見ておりました。

まず、「民営化論者」猪瀬氏を論破することをめぐる話ですが、政府やメディアが、あのようなお粗末な民営化解決論をある程度の国民が受け入れる素地をつくってきたことやあれを笑い飛ばせるような価値観や論理を醸成してきてこなかったことをbakaさんと同じように認めます。

一方で、「匿名希望」氏が言うところの、多くの人が論理(論争)の勝ち負けを判定できないという現実も認めます。

論理をめぐる争いについては、論理(理解力)が下位の人は上位の人のそれを理解できないという見方をしています。
上位の人は、自分とは異なる下位の人の価値観ベースにおいても、下位の人が語っている内容以上の“世界”や論理を持っています。しかし、下位の人は、持っている世界や論理が“貧弱”なので、上位の人が語っている世界や論理があまりよく見えません。
言ってしまえば、そういう関係にある二人が論争してもあまり成果を得ることはできません。

とりわけ始末に困るのは、価値観や論理が“信仰”になっている人との論争です。
こういう人は、論議を布教活動の場としてしまいます。

民営化論や規制緩和論を打ち出す人でも、論理的帰結としてそれを主張しているのであれば話し合いの余地がありますが、それらが“理念”になってしまっていれば、論議を通じて結論を変えていくことはほぼ無理です。そういう人たちは、反対する人に対して、抵抗勢力・利権屋・守旧派などの俗耳に入りやすいレッテル貼りをして対抗するだけです。

多くの人も、日々との生活に追われ、少ない自由になる時間は楽しいひとときにしたいと思っているでしょうから、価値観や論理を“信仰”的に処理しがちです。
そうであれば、対立する二人が論議を行っているのを見ても、自分が持っている“信仰”に則って判断することになります。


「匿名希望」氏とのやり取りで氏がすり替えを行ったと思っているのは、次のやり取りです。

[あっしら]

『榊原氏は、P.128以降で、米国の「大恐慌」と日本の「バブル崩壊」を、資産デフレと債務残高(政府+民間)の関係をもとに考察し、「日本の一九八〇年代末から九〇年代にかけてのバブルは、一九二〇年代のアメリカに比べれば小さかったのだから、財政・金融政策で景気を底支えする間に、物価と資産価格が逆転し、インフレに転じれば、不良債権=過剰債務問題は解消し、経済はふたたび成長軌道に乗るはずであった。事実、政策当局、銀行、企業ともに価格の逆転を期待し、いわゆる先送り政策を実行したのだった。」(P.130)と述懐している。

このような総括に対しては、80年代後半に形成された資産バブルが、「日本列島改造政策」や固定資本過剰状況を呈し始めた70年代以降の“地価・株価だらだらバブル過程”の上に築かれたものであることの認識が欠けていると指摘しておきたい。

地価は一般物価や家計の可処分所得の伸びを上回る勢いで上昇し、「バブル形成」以前から、東京圏であれば、許容できる通勤時間の範囲で集合住宅を購入できる層は限られ、“通勤地獄”を我慢して購入した住宅であっても、“ローン地獄”のなかで30年もかけて返済していくような価格レベルにあった。
株式も、“持ち合い”によって市場で取り引きされる株数が少ないなかで値を上げてきたものである。

財の価格はともかく、資産価格が90年代前半の経済状況や経済政策で逆転するという淡い期待を抱いていたとしたら、統治者の一員としては適格性を欠くと言わざるを得ない。(株式市場については、民営化政策によるNTT・JR・JTの株式が放出されたことや新規市場の開設で、供給増加による株価下押し圧力も存在している)

資産価格はさらに下落するのが合理的という見通しの上で、財や用役の価格をどうやって上昇させるかを考え、それを通じて資産の名目価格が下げ渋るようにするというのが政策立案者の立場でなければならない。

このような認識の欠如が、現在に至るまでの「デフレ不況」を生みだし、効果性のない財政出動につながったのである。
そして、デフレが深刻化している今なお、贈与税や相続税を巡る論議や“PKO”を見ればわかるように、資産価格をなんとか回復させようという考えが根強く残っている。』


[匿名希望氏]

『>財の価格はともかく、資産価格が90年代前半の経済状況や経済政策で逆転するという淡い期待を抱いていたとしたら、統治者の一員としては適格性を欠くと言わざるを得ない

この批判は酷でしょう。宮沢政権の財政出動につき、それを批判し得たものは日本国内はおろか、世界中捜してもいませんでした。 』


[あっしら]


『>>財の価格はともかく、資産価格が90年代前半の経済状況や経済政策で逆転すると
>>いう淡い期待を抱いていたとしたら、統治者の一員としては適格性を欠くと言わざ
>>るを得ない

>この批判は酷でしょう。宮沢政権の財政出動につき、それを批判し得たものは日本国
>内はおろか、世界中捜してもいませんでした。

そのような説明を読むとやはり暗澹たる気持ちになります。

一介の零細企業経営者が、88年からバブル崩壊を予測し、バブル崩壊後は、資産デフレが持続すると考えていたのに...と言わせてもらいます。』


[匿名希望氏]

『バブルの生成と崩壊に貴殿は88年の段階でお気付きだった、というのは貴殿が特殊なのであって、一般的には本能的に本業以外には手を出さなかった経営者か、まごまごしている内に時代が通過してしまったというスローペースな人々が難を逃れただけです。 』


==================================================================================
統治者の認識や政策を俎上に乗せているつもりですが、最後は、民間経済主体の経済行動に話が変わっています。

そして、政策の誤りは過去で終わったというのではなく、現状もまだ「資産価格をなんとか回復させようという考えが根強く残っている」と指摘しているつもりです。

なんにしろ、榊原氏の論文をめぐるやり取りなので、たいした問題ではありませんが...

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