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(回答先: 御用学者列伝 _ 森信茂樹 投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 03 日 11:34:45)
御用学者列伝 _ 吉川 洋
吉川 洋(よしかわ ひろし、1951年(昭和26年)6月30日- )は日本の経済学者。東京大学名誉教授、立正大学教授。
専攻はマクロ経済学、日本経済論。
2010年には紫綬褒章を受章した。日本経済学会2002年度会長。
父は東大医学部教授だった吉川政己、祖父は実業家の吉川長三郎、母方の祖父は日産の浅原源七。
1974年に東京大学経済学部経済学科を卒業した後、米国イェール大学に留学し、 1978年には同大学より博士号 (Ph.D.) を取得した。博士論文の指導教官はジェームズ・トービン。
その後、ニューヨーク州立大学経済学部助教授、大阪大学社会経済研究所助教授、東京大学経済学部助教授、同教授を経て、2016年4月より立正大学経済学部教授。
またその間、内閣府景気動向指数研究会委員 (1995年-)、内閣府経済財政諮問会議議員 (2001年1月 -2006年10月)、農林水産省食料・農業・農村政策審議会委員 (2005年7月 - 2010年1月)、財務省税制調査会委員 (2006年11月 - 2009年10月)、社会保障国民会議(内閣官房)座長 (2008年)、内閣府経済財政諮問会議議員 (2008年10月 - 2009年9月)、財務省財政制度審議会会長 (2010年 -)、厚生労働省社会保障審議会委員 (2011年2月 -)、日本経済学会会長 (2012年度)を務める。
また、日経・経済図書文化賞 (1984年)、サントリー学芸賞 (1984年)、エコノミスト賞 (1993年)、全国銀行学術研究振興財団賞 (1999年)、第1回読売吉野作造賞 (2000年)、The UFJ Bank Monograph Award (2002年)等、多くの学術賞を受賞している。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%B7%9D%E6%B4%8B
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”人間の屑"がいるとするならば 2018-08-02
評論家の中野剛志先生が、例の吉川洋「中央公論2018年8月号の「時評2018 「国難」としての自然災害と日本経済」」について東洋経済に寄稿されていました。
『自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ 「赤字だから対策できない」には根拠がない
https://toyokeizai.net/articles/-/231318
◆想定外ではなかった豪雨災害
気象庁によれば、「非常に激しい雨」(時間降⽔量50mm以上)は30年前よりも約1.3倍、「猛烈な雨」(時間降⽔量80mm以上)は約1.7倍に増加している。
また、国土交通省によれば、過去10年間に約98%以上の市町村で、水害・土砂災害が発生しており、10回以上発生した市町村はおよそ6割にのぼる。
このように、政府の関係機関は、近年、豪雨災害のリスクが高まっていることを認識していたのだ。しかし、主要河川の堤防整備は未だに不十分な状況にある。
では、政府は、治水関連予算を増やしてきたのかと言えば、その逆である。1990年代後半以降、公共投資は大幅に削減され(参考)、治水関連予算も抑制されてきた。その理由は、言うまでもなく、財政健全化が優先されたからである。その結果、今回の豪雨災害においても、治水対策が強化されていれば守られたであろうはずの人命が失われた。国民の生命・生活が、財政健全化の犠牲となったのだ。(後略)』
中野氏の「反・財政破綻論」の要旨は以下三つ。
『第一に、経済成長が金利を上昇させる可能性はあるが、それは同時に税収の増加をももたらし、財政収支を改善するのである。』
『第二に、そもそも、政府債務の返済は、国税収入だけで行うものではない。継続的な借換(新規国債の発行によって同額の国債償還を行うこと)によることもできる。政府債務というものは、原則として完済をする必要がない債務なのだ。それゆえ、ほとんどの先進国において、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めていない。』
『第三に、それでも金利の上昇を回避したいというのであれば、中央銀行が国債を買い取ればよい。実際、日本銀行は、そうしている。いわゆる量的緩和がそれだ。』
そもそも、財政健全化とは「政府の借金を減らすこと」ではなく、「政府の負債対GDP比の引き下げ」になります。
GDPが増えれば、政府の負債対GDP比率が自然に下がるのに加え、税収も増加します。理由は、税収の源泉が所得であり、所得の合計がGDPであるためです。
経済成長で多少金利が上がったところで、税収増とGDP成長で政府の負債対GDP比率は下がるのです。これこそが、正しい財政健全化です。
加えて、政府の負債(国債など)は基本的には借り換えされます。そもそも、政府の負債を「減らす」という発想が、政府の財政の「ど素人」という話になるのです。
吉川洋の主張は、まさに政府の財政について「ど素人」の考え方であると断言できます。
吉川洋が悪質なのは、本当は「政府の負債は減らす必要がない」と理解しているにも関わらず、虚偽の主張を振りまいていることです。何しろ、彼奴は2001年に経済財政諮問会議の委員になる前は、わたくしと同じことを主張していました。
さらに、中央銀行が自国通貨建て国債を買い取れば、政府の負債は実質的に消滅します。そして、日本銀行は今でも継続的に日本国債を買い取り続けています。
結果的に、政府の実質的な負債対GDP比率は下がっていっています。日本の財政健全化は、すでに達成されているのです。
【日本政府の負債残高(左軸、億円)とGDP比率(右軸、%)】
http://mtdata.jp/data_60.html#GDPhi
ちなみに、吉川が中央公論の原稿を書いたのは、西日本豪雨災害の「前」でした。200人以上が亡くなった、あの豪雨災害の映像を見てすら、吉川は同じことが言えるのでしょうか。
言わないでしょう。
「西日本豪雨災害で200名以上亡くなったが、それでも財政の方が防災よりも大事だ。国民は財政のために死を受け入れるべきだ」
と、主張してくれるのであれば、変な意味で尊敬しますが、実際にはそんなことはありません。だからといって、
「自分の主張は間違っていた。財政には一時目を瞑っても、防災を推進するべきだ」
と、真っ当なことを主張し始めることもないのです。
彼は、ただ沈黙するだけです。
防災よりも財政を優先し、実際に自然災害で国民が死んだ。その責任を引き受ける度胸もない。さらなる批判を浴びる覚悟もない。
ただ単に、御用学者として「財政の方が防災よりも大事だ」と主張してきたにすぎません。
自分たちの主張故に、緊縮財政が推進され、結果的に国民が死んだとしても、その事実は「無かったこと」にし、ほとぼりが冷めれば同じ主張を始める。
あまり強い言葉を使うと、弱く見えるので嫌なのですが、もし"人間の屑"という連中が存在するとしたら、日本の緊縮財政論者、財務省やその御用学者たちこそが筆頭候補なのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12395008588.html
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詐欺師に騙され、喜劇を演じる日本国民 2018-12-15
真実を知っているにも関わらず、財務省御用学者として嘘を吐き散らす「詐欺師」である立正大教授の吉川洋(訴えていいよ、吉川教授)率いる内閣府の景気動向指数研究会が、現在の日本経済が、
「いざなぎ越えの景気回復」
になっていると、かカリカチュアのごとく笑える妄想を認定しました。
悲劇の最終章は、喜劇になりますね、本当に。
『景気回復「いざなぎ」超え、正式認定 戦後2番目の長さ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3886915013122018MM0000/
内閣府は13日、2012年12月を起点とする景気回復の長さが17年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超えたと正式に判定した。景気回復の長さは戦後2番目になる。今回の景気回復は現在も続いており、戦後最長をうかがっている。日銀を含めた世界的な金融緩和や米国を中心とした海外経済の好転が息の長い景気回復を支えている。
内閣府は13日、景気の「山」や「谷」を検証する景気動向指数研究会(座長・吉川洋立正大教授)を開き、生産や消費などのデータを踏まえて判断した。これまでは茂木敏充経済財政・再生相が17年9月に「いざなぎ景気を超えた可能性が高い」との見解を示していたが、正式な認定は研究会による検証が必要だった。(後略)』
いざなぎ景気と安倍政権下の景気回復とやらを、実質GDP(対前年比%)で比較してみましょう。
【いざなぎ景気と安倍政権の経済成長率(対前年同期比%)】
http://mtdata.jp/data_61.html#izanagi
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
しかも、安倍政権後期は経済が再デフレ化し、物価が下落することで実質GDPを押し上げるデフレ型成長がまま見られます。(というわけで、名目GDPの対前年同期比も載せておきました)
消費にしても、日本の実質消費は以下の有様なのです。
【日本の実質消費支出の推移(2015年=100)】
http://mtdata.jp/data_61.html#JS18Jul
一体全体、何を根拠に「景気回復「いざなぎ」超え」などと言う寝言を言っているのか。
根拠がなくとも、消費税増税のために「現在は景気が良くなくてはならない」という結論が決まっているため、そこに合わせて「いざなぎ」超えなどと発表する。
大東亜戦争末期の大日本帝国軍とそっくりになってきました。
吉川洋に代表される「詐欺師」に国民が騙され、自らを貧困化させる消費税増税に賛同する。この種の喜劇は、いい加減に幕を下ろすべきです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12426028432.html
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2018年9月6日 国民の思考停止
From 小浜逸郎@評論家/国士舘大学客員教授
https://38news.jp/economy/12380
吉川洋東大名誉教授は、大規模災害対策のための公共投資よりも、「財政健全化」を重視すべきだと平然と述べて、ここ数十年にわたる公共投資のひどい削減を正当化しています。
吉川氏は、本年6月に土木学会が発表した、南海トラフ地震で予想される被害総額1400兆円のうち、40兆円の耐震化費用で500兆
円以上の被害が防げるという試算結果を悪用し、次のように述べます。
《今回の土木学会の発表で最も注目されるのは、インフラ耐震工事約40兆円で南海トラフ地震の場合509兆円の被害を縮小できると いう推計結果である。これほどの高い効率性をもつ公共事業は他に存在しない。整備新幹線はじめほとんどすべての公共事業をわれわれはしばらく我慢しなければならない。
(中略)
あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。
それでは『国難』としての自然災害を機に、『亡国』の財政破綻に陥ってしまう。》(『中央公論』8月号)
要するに、すべての公共事業費をあきらめるか、そうでなければ南海トラフ地震対策をあきらめるか、どちらかにしなければ、「財政破綻」すると言っているわけです。
こういう狂信的な輩が「学術論文」めかして、 財務省の緊縮路線に根拠を与えているのです。
さらに吉川氏は、2003年3月19日付日本経済新聞「経済教室」で、「このままだと政府債務の対GDP比率が200%に達するが、この
水準は国家財政の事実上の破たんを意味すると言ってよい。たとえデフレが収束し経済成長が回復しても、その結果金利が上昇するとただちに政府の利払い負担が国税収入を上回る可能性が高いからである。」と述べています。
ところが、経済思想家の中野剛志氏が、「しかし、現在の政府債務の対GDP比率は、吉川氏らが『国家財政の事実上の破たん』とした水準をすでに上回り、230%以上となっているが、長期金利はわずか0.03%に過ぎない。政府債務の対GDP比率と財政破綻とは関係がないのだ。」(「東洋経済オンライン2018年8月1日」)
と反論しています。
吉川氏の「警鐘」がまったく非現実的であったことが事実によって証明されたわけです。
また、政府債務は、無利子無期限の新規国債に次々に借り換えてゆくことによって、原則として返済しなくてもよい特殊な「借金」なのです。
___
テレビは、ニュース番組以外はほとんど見ないのですが、8月26日の「たけしのTVタックル」をたまたま見ました。
大水害がテーマで、いろいろと防災対策について話し合っていました。
ハザードマップの当たる確率の高さが強調され、そのあと防災対策を何とかしなければという話になりました。
そこまではいいのですが、とにかく堤防を整備しなくてはならない、しかし国に多くの税金が行ってしまうので、自治体には資金が不足していると誰かが発言しました。
そこから先に議論が進みません。
これは何もTVタックルに限った話ではないのです。
社会福祉、医療、科学技術開発、国防、どんな社会問題を扱った番組でも(といってもニュース番組やクローズアップ現代などで見る限りですが)、その個別問題について詳しい専門家を連れてきて、ディテールについて紹介をします。
それによって問題の根深さが強調されます。
さてどうするか。
解決のためには、こういう努力が必要だといった結論に導かれるのですが、そこから先は思考停止状態に陥ります。
解決に導くための資金をだれが出すのか、そのために何が必要か、だれが資金提供を阻んでいるのかという問題に突き進まなければ、みんなで頭を抱えていても意味はないのです。
さてこの問いの答えははっきりしています。
中央政府が、問題ごとに国民の生命、安全、生活にかかわる度合いを判断して、優先順位
を迅速に決め、積極的に財政出動をすればいいのです。
ところが、どの番組も、個別問題を切れ切れに取り上げて、その範囲内で「資金不足だねえ、困ったねえ」と財政問題に突き当たって止まってしまいます。
話がそこまで行けばまだいいのですが、ただの精神論で終わる場合も多くあります。
総合的に政策を見ようとする視野がちっとも開かれません。
目の前に梁(うつばり)がかかっています。
もちろん、かけている張本人がおり、かけられている張本人もいるのです。
前者は財務省、後者はマスコミ(これは前者と共謀もしていますが)と、それをうのみにする国民です。
先のTVタックルでは、初めから三つの大きな誤りと無知にもとづく枠組みによって番組が構成されていました。
第一に、まず番組の初めに、政府が2023年に配備運用を予定しているイージス・アショア(弾道ミサイルを陸上で迎撃するシステム)に6000億円も必要だという情報をセンセーショナルに流しておいて、それと大規模な災害に対する対策とどっちが大事か、と視聴者に二者択一を迫ったのです。
予算規模が限られていることを前提として、そのパイの範囲内でどちらかを選べ、という心理操作を行っているわけです。
しかしこれは二者択一の問題ではありません。
安全保障と防災、どちらも大事で、どちらにも大金を投じて実現させなくてはならないのです。
すぐ後で述べますが、それはいくらでも可能なのです。
第二に、税金が国にたくさん行っているから地方に金が回らないという認識ですが、これは二重の意味で間違っています。
まず国の予算規模は100兆円ですが、税収はわずかに40兆円です。残り60兆円は国債その他で賄っています。
発言者はそんなことも知らないのでしょうか。
そしてこの予算総額の中には、当然、地方への補助金も含まれます。
もし政府が事態の重大性にかんがみて、国債発行による特別予算を組み、補助金を大幅に増やせば、自治体に金が回らないなどということはないのです。
第三に、財務省が流し続けた例の財政破綻論のウソにみんなが騙されているという事実です。
以下は、「キャッシング大全」という、国の財政とは直接関係のない、個人借金のためのサイトですが、そこにまで、両者を混同させるようなことが書かれています。
http://www.cashing-taizen.com/kokusai1016.html
《国が頼りにしている国債は誰が貸しているのか?
それは国民です。
なので国債=国の借金=国民の借金ということになるのです。
もし国は破綻すればその借金はほぼ国民にかかってくることになります。2015年3月の時点で1053兆円もの大金が国の借金となり、国
民1人あたりで計算すると830万円もの借金をかかえていることになるのです。》
やれやれ。 完全に財務省のトリックにハマっていますね。
国民が貸主なのに、なんで国債=国民の借金ということにされてしまうのか。
でもみんなが騙されるのも無理がないかもしれません。
なぜなら、財務省の御用学者たちが、その権威を傘に着て「財政健全化」を説き、根拠なき「財政破綻の危機」、それゆえの「消費増税の必要」を煽りつづけているからです。
たとえば吉川洋東大名誉教授は、大規模災害対策のための公共投資よりも、「財政健全化」を重視すべきだと平然と述べて、ここ数十年にわたる公共投資のひどい削減を正当化しています。
吉川氏は、本年6月に土木学会が発表した、南海トラフ地震で予想される被害総額1400兆円のうち、40兆円の耐震化費用で500兆
円以上の被害が防げるという試算結果を悪用し、次のように述べます。
《今回の土木学会の発表で最も注目されるのは、インフラ耐震工事約40兆円で南海トラフ地震の場合509兆円の被害を縮小できると いう推計結果である。これほどの高い効率性をもつ公共事業は他に存在しない。整備新幹線はじめほとんどすべての公共事業をわれわれはしばらく我慢しなければならない。
(中略)
あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。
それでは『国難』としての自然災害を機に、『亡国』の財政破綻に陥ってしまう。》(『中央公論』8月号)
要するに、すべての公共事業費をあきらめるか、そうでなければ南海トラフ地震対策をあきらめるか、どちらかにしなければ、「財政破綻」すると言っているわけです。
こういう狂信的な輩が「学術論文」めかして、 財務省の緊縮路線に根拠を与えているのです。
さらに吉川氏は、2003年3月19日付日本経済新聞「経済教室」で、「このままだと政府債務の対GDP比率が200%に達するが、この
水準は国家財政の事実上の破たんを意味すると言ってよい。たとえデフレが収束し経済成長が回復しても、その結果金利が上昇するとただちに政府の利払い負担が国税収入を上回る可能性が高いからである。」と述べています。
ところが、経済思想家の中野剛志氏が、「しかし、現在の政府債務の対GDP比率は、吉川氏らが『国家財政の事実上の破たん』とした水準をすでに上回り、230%以上となっているが、長期金利はわずか0.03%に過ぎない。政府債務の対GDP比率と財政破綻とは関係がないのだ。」(「東洋経済オンライン2018年8月1日」)
と反論しています。
吉川氏の「警鐘」がまったく非現実的であったことが事実によって証明されたわけです。
また、政府債務は、無利子無期限の新規国債に次々に借り換えてゆくことによって、原則として返済しなくてもよい特殊な「借金」なのです。
国民が取り付け騒ぎでも起こして、返せ返せと押し掛けたわけでもないのに、いったい誰に返すのですか。
それとも銀行ですか。
銀行は新規国債が発行されないために、発行残高が不足して取引が成立せず、困っている状態です。
政府は通貨発行権を持っていますし、日本国債はすべて自国通貨建てです。
そうであるかぎり、財政破綻など起こりようがありません。
そもそも「財政破綻」の定義とは何でしょうか。
御用学者や財務省は一度もこれを明らかにしたことがありません。
それは、政府の負債が増えることではなく、 正確には、国として必要なのに誰もお金を貸してくれなくなった状態を意味します。
しかしいまの日本は、国債を発行すれば、いくらでも貸し手(直接には、主として銀行)がいる状態です。
またたとえば、政府の子会社である日銀が市場の国債を買い取れば、事実上、その「借金」なるものは、買い取った分だけ減殺されるのです。
現にここ数年日銀が行ってきた大量の量的緩和によって、すでに日銀の国債保有高は400兆円を超え、国債発行総額の4割に達しています。
つまり「国の借金1000兆円超」というのはデタラメなのです。
水利事業、インフラ整備、国防、災害対策――これらは、現在、政府が果たさなくてはならない喫緊の課題です。
税収で賄えない分は、どんどん新規国債の発行で賄うべきです。
新規国債の発行は、これまでの負債の借り換えによる補填以外は、そのまま政府の新たな公共投資を意味しますから、市中へ資金が供給され、内需の拡大に直結します。
日銀の金融緩和によって銀行の当座預金残高がいくら膨らんでも、投資のための借り手が大幅に現れなければ(現れていないのです
が)、デフレから脱却できません。
しかし政府の公共投資は、具体的な事業のための出資ですから、確実に市場にお金が回り、生産活動が動き出します。
それによる経済効果も、特に疲弊した地方を潤すことになるでしょう。
やがて沈滞している消費も活性化し、30年間伸びていなかったGDPも上昇、結果、税収も伸びるでしょう。
こうした一石三鳥、四鳥の財政政策の発動を阻止し、自分で自分の首を絞め、デフレ脱却を遅らせて国民生活を窮乏に陥れているのが、 当の財務省なのです。
この程度のことは、少し勉強すればわかることです。
しかし政治家、学識者、マスコミ人のほとんどが、この程度のことを理解していません。
残念ながらそれが日本の現状です。
自民党次期総裁選に立候補する石破茂氏も、全然このことを理解していませんよ。
こんな人が次期総裁になったら、日本はさらに悲惨です。
今の日本人の多くが、財務省を総本山とする「緊縮真理教」という宗教の信者になってし
まったので、個別社会問題をあちこちでいくら取り上げても、根っこは、当の総本山にあ
るのだということが見えず、ある時点で必ず思考停止してしまうのです。
マスコミで取り上げられる社会問題のほとんどの原因は、財務省の緊縮路線にあるのだということにみんなが気付くべきです。
https://38news.jp/economy/12380
▲△▽▼
自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ
「赤字だから対策できない」には根拠がない
中野 剛志 2018/08/01
https://toyokeizai.net/articles/-/231318?page=2
南海トラフ地震対策と「財政破綻リスク」言説
本年6月、土木学会は、今後30年以内の発生確率が70〜80%とされる南海トラフ地震が日本経済に与える被害総額は、20年間で最悪1410兆円になるという推計結果を公表した。同学会は、発生が予測されている南海トラフ地震、首都直下地震、三大都市圏の巨大水害を「国難」と呼び、この「国難」に対処するために、防災のための大規模な公共インフラ投資を提言している
(参考)。
http://committees.jsce.or.jp/chair/node/21
ところが、この発表について、財務省財政制度等審議会会長の吉川洋・東京大学名誉教授は、次のように述べたのである(『中央公論』2018年8月号)。
「今回の土木学会の発表で最も注目されるのは、インフラ耐震工事約40兆円で南海トラフ地震の場合509兆円の被害を縮小できるという推計結果である。これほどの高い効率性をもつ公共事業は他に存在しない。整備新幹線はじめほとんどすべての公共事業をわれわれはしばらく我慢しなければならない。(中略)あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。それでは『国難』としての自然災害を機に、『亡国』の財政破綻に陥ってしまう。」
要するに、日本は財政破綻のリスクがあるので、南海トラフ地震の対策をやりたければ、ほとんどすべての公共事業をあきらめろというのだ。しかし、ほとんどすべての公共事業を止めることなど現実的には不可能だから、この主張には「インフラ耐震工事費を40兆円も出せないから、南海トラフ地震の被害は甘受しろ」という含意がある。
しかし、すでに明らかにしたとおり、日本政府が債務不履行に至ることなど、あり得ない。また、デフレである間は、財政赤字の拡大は長期金利の急騰をもたらさない(参考)。
実際、デフレ下にあった過去20年、政府債務残高は増え続けたが、長期金利は世界最低水準で推移し、2016年にはマイナスすら記録した。ある推計によれば、2000年から2007年における財政赤字の1兆円の増加は、長期金利を0.15bsp〜0.25bsp(1bspは0.01%)引き上げただけだった(参考)。つまり財政赤字を100兆円増加したとしても、長期金利の上昇は0.3%にもならないのだ。
したがって、「現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大すること」はできるし、すべきである。むしろ、デフレの今こそ、金利急騰の副作用をもたらさずに公共投資を拡大できるチャンスとも言えるのだ。
政府債務の対GDP比率と財政破綻とは関係がない
それにもかかわらず、吉川氏は、長期デフレ下の日本にあって、歳出抑制の必要性を強く主張し続けてきた。
たとえば、2003年、吉川氏は、伊藤隆敏氏ほか日本を代表する経済学者らと共同で、政府部門の債務の対国内総生産(GDP)比率が140%に達していることを踏まえ、「財政はすでに危機的状況にあり、できるだけ早い機会に財政の健全化(中略)が必要である。」と警鐘を鳴らした(2003年3月19日付日本経済新聞「経済教室」)。
吉川氏らによれば、このままだと政府債務の対GDP比率が200%に達するが、「この水準は国家財政の事実上の破たんを意味すると言ってよい。たとえデフレが収束し経済成長が回復しても、その結果金利が上昇するとただちに政府の利払い負担が国税収入を上回る可能性が高いからである。」
しかし、現在の政府債務の対GDP比率は、吉川氏らが「国家財政の事実上の破たん」とした水準をすでに上回り、230%以上となっているが、長期金利はわずか0.03%に過ぎない。政府債務の対GDP比率と財政破綻とは関係がないのだ。
吉川氏らの「デフレが収束し経済成長が回復すると、ただちに政府の利払い負担が国税収入を上回る可能性が高い」という主張も、理解し難い。
第一に、経済成長が金利を上昇させる可能性はあるが、それは同時に税収の増加をももたらし、財政収支を改善するのである。
実際、2018年度当初予算は、企業業績の改善を背景に、中央政府の政策経費(地方交付税交付金等を除く)を上回る税収が見込まれている。もっと端的な例を挙げると、1990年当時、長期金利は6%を超えていたが、誰も財政破綻など懸念していなかった。それどころか、一般政府の財政収支は黒字だった。言うまでもなくバブル景気が税収の増加をもたらしていたからだ(したがって、財政黒字は、マクロ経済的には必ずしも健全とは言えないのだが)。
いずれにせよ、経済成長は財政を健全化しこそすれ、それがただちに財政危機を招くなどというのは考え難い。
第二に、そもそも、政府債務の返済は、国税収入だけで行うものではない。継続的な借換(新規国債の発行によって同額の国債償還を行うこと)によることもできる。政府債務というものは、原則として完済をする必要がない債務なのだ。それゆえ、ほとんどの先進国において、国家予算に計上する国債費は利払い費のみで、償還費を含めていない(参考)。
その利払い費は、2018年度予算では約9兆円が計上されている。これは長期金利を1.1%として算定されたものだが、市場金利は0.03%程度だから、実際の利払い費は9兆円よりもずっと小さい(参考)。
仮に長期金利が今の30倍に跳ね上がったとしても、利払い費は9兆円にも満たないのだ。その程度の利払い負担が国税収入を上回る可能性を心配することを、杞憂と言う。
第三に、それでも金利の上昇を回避したいというのであれば、中央銀行が国債を買い取ればよい。実際、日本銀行は、そうしている。いわゆる量的緩和がそれだ。
要するに、吉川氏の言う「『亡国』の財政破綻」(金利が上昇して政府の利払い負担が国税収入を上回る)のリスクは、ほとんどないのであり、しかもその極小のリスクですら、経済政策によって容易に克服できるということだ。
これに対し、「『国難』としての自然災害」の発生確率は「『亡国』の財政破綻」よりもはるかに高い。しかも金利上昇による経済損失と違って、自然災害により失われた人命は、取り返しがつかない。
そう考えると、「『国難』としての自然災害を機に、『亡国』の財政破綻に陥ってしまう」などという主張は、とうてい受け入れられるものではない。
個人や企業の借金のアナロジーで考えてはならない
それにもかかわらず、日本は財政危機であり、公共事業費を増やすことはできないという思い込みは、依然として根強い。
『富国と強兵 地政経済学序説』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
確かに、これまで述べたような「財政赤字を拡大すべきである」「政府の財政破綻はあり得ない」「政府債務は完済する必要がない」といった議論は、「借金は返さなければならない」という家計や企業の一般常識に反するものであり、感覚的には受け入れ難いであろう。
しかし、政府債務と民間債務とでは、制度的にまったく異なる。政府の借金を、個人や企業の借金のアナロジーで考えてはならないのだ。この政府債務を民間債務と同じように考える通俗観念こそが、あり得ない財政破綻への恐怖を掻き立て、国民の生命・財産を守るために必要な公共事業の実施を阻んでいるのである。
本来であれば、財政についての間違った通俗観念を修正し、世論を正しい方向へと導くのが、経済学者の役割であろう(参考)。
ところが、我が国では、影響力のある経済学者の多くが、逆に通俗観念に乗じて財政危機を煽り、防災対策に必要な公共事業費の拡大にすら反対してきたのである。そして、彼らの声に影響されて、政治家も一般国民も、財政健全化こそが優先されるべきだと信じ込んできた。
その結果、過去20年にわたって、公共投資は抑制され続けた。あの東日本大震災を経験したにもかかわらず、その後の公共投資はさして増やされなかった。最近の大阪北部地震や西日本の大規模水害を目の当たりにしてもなお、公共投資の拡大を求める声は小さい。むしろ財政健全化の必要性が声高に論じられている。これが、我が国の現実である。
このような状況の中で、根強い通俗観念に反し、権威ある経済学者たちの多数派の見解に抗して、財政赤字の拡大を訴えたところで、誰が耳を傾けようか。こうなっては、もはや「『国難』としての自然災害」を避けることは不可能ではないかという絶望感に襲われる。
だが、希望はまったくないというわけではない。自民党の若手議員でつくる「日本の未来を考える勉強会」は、今年の5月、防災対策(国土強靭化)の強化をはじめとする積極財政を求める提言書をまとめ、安倍首相に提出した(参考)。一縷の望みは、意外なことに、日本の政治の一部にあったのだ。
https://toyokeizai.net/articles/-/231318
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2017年12月5日
元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイクレポート」の疑義
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/11373
「経済の大御所二人」が「社会保障不安」が不景気の重大原因と「断定」
財政制度審議会会長や日本経済学会会長を歴任した東京大学名誉教授の吉川洋氏と、前日銀副総裁の山口広秀氏が、山口氏自身が現在理事長を務める日興リサーチセンターから「低迷する消費」と題するレポートをこの度(10月30日)公表し、これが今、霞ヶ関、永田町界隈で話題になっています。
下記ロイターの記事では、このレポート公表が、「消費の低迷要因(を)、賃金の上昇不足と将来不安が2大要因と総括」するものとして報道されています。そしてその総括を踏まえ「政府に対して持続可能な社会保障制度の将来像を明示することを要望した。」と解説されています。
https://jp.reuters.com/article/slumping-consumption-report-idJPKBN1DV3TL
また、この記事では山口氏・吉川氏はこのレポートの公表にあたって開催した「記者会見」にて、
「政府は財政赤字でも経済成長さえあればなんとかなるという話ばかりだ」(山口氏)
「名目賃金が大きく上昇しない中で日銀の異次元緩和で物価が上昇すれば、ややもすると実質賃金が下落する」(吉川氏)
とアベノミクスを批判している様子も報告されています。
こうした背景から、このロイター記事は、
「消費低迷を分析、アベノミクスに警鐘」
と言う見出しが付与され、この「大御所二人」が、成長を目指してばかりのアベノミクスは間違いで、成長をさておいて持続可能な社会保障制度を「設計」すべきだ、と主張していると言う様子が描写されています。
では、この両先生が提案する「国民が安心出来る、持続可能な社会保障制度」とは何かと言えば───一般には、社会保障の持続可能な制度とは、「十分な財源が常時確保出来るほどに、国民負担が十分に高い制度」を意味すると解釈できます。それは要するに「安定財源が確保できる財政」ということであり、それは結局「十分に高い消費税率」ということになります。
もちろんこのレポートでは両氏はそこまで「明言」していませんが、この両氏の主張が、今日の日本の状況下では消費増税を強力に後押しすると同時に(山口氏の上記発言からも明確な通り)財政赤字を一時的に拡大する「大規模財政政策」を強力に否定するもの、すなわち、「緊縮財政」をサポートする効果を持ちうるものなのです。
「経済の大御所二人」の断定は正当化できない
言論の自由が保障された日本では、誰がどんなレポートを公表しても構いません。ですがこの両氏の「不安が消費を低迷させている」という主張それ自身が理性的に正当化できるものなのかどうかと言えば、それは別問題。
ついてはその点を確認すべく、新聞記事ではなく、両氏が公表したオリジナルのレポートそのものを確認することとしましょう。
http://www.nikko-research.co.jp/release/6491/
このレポートでは、結論で次のように論じています。
『弱い消費の第2原因は、 「将来不安」である。とりわけ年金・医療・介護など社会保障の将来への不安が根強い。多くの人々は、老後の生活や医療・介護にどれだけの費用がかかるのかが予想できず、世代を問わず多くの家計が予備的な動機で貯蓄を行い、消費を踏みとどまらせている。」
ご覧の様に「老後の出費が予想できず、不安だから、消費を控えている」と
「断言」
しています。
科学者にとって(講演やエッセーではなく)
「分析レポ─ト」
において、「因果関係の断定」を図るには、相当に強力な根拠が不可欠です。逆に言うなら単なる「推察」でしかないものを、「分析レポート」では科学者は絶対に「断言」できません、というか「してはいけません」。
そもそも科学者が分析レポートにおいて断言すれば、その読み手は、その主張はほぼ間違い無く真実であり、それを「否定する人」は恐らく間違いを犯しているか、デマを言っているのだろう、と「認識」させてしまう程の影響力を発揮します。
「断定」してるにも関わらず、「それはウソだろう」と思われてしまうような「科学者」は、疑惑が発覚した後に「スタップ細胞はあります!」と断定した小保方氏くらいのものです。
だから、「経済の大御所二人」が書いたレポートは今、霞ヶ関、永田町で「極めて信憑性高いもの」として認識され、持続可能な社会保障のために消費税は増税すべきで、財政赤字を拡大する財出なんてもってのほか、という空気を強化しているわけです。
・・・・では、このレポートにその「因果関係」についての明確な「根拠」は示されているのかと言えば・・・・結論から言って(「断定」しますが!)、答えは「NO」です。
なぜなら、このレポートには、「社会保障の将来不安→消費低迷」という因果関係の根拠となるデータは、一切示されていないからです。
・・・・というか、そもそも、この大御所二人自身が「社会保障の将来不安→消費低迷」と断定はできないとご自身で書いているのです。
詳しく解説しましょう。
分析途上で「推察」した事を、結論で「断言」している
このレポートではまず、「人々が将来不安を抱えている」という事を思わせるアンケートと結果と、35歳未満の世帯において消費性向が最近急激に下がっているというデータを示します。そしてこの消費性向が下がっているというデータを示した後に、両氏は次のように唐突に述べています。
「将来の可処分所得の増加が期待しにくい中、若年世帯でも年金等の社会保障制度の持続性に対する疑念は広がっており、貯蓄性向を上昇(消費性向を低下)させているとみられる。」
あくまでもこの文章は、この両氏が「年金等に疑念があるから、消費性向を低下させてるんだと思います」と言う「意見」を述べているものと解釈できます。「〜みられる」というのは、論者が勝手にそう「みている」=「思っている」と言うことを意味する言葉だからです。それは断じて、分析の結果こういう因果関係が導出できたという論理的結論を述べているものではありません。
要するに両氏は、「若年世帯で消費性向が下がっているのは、年金等に持続性に疑念が原因なのだろう」と「推察」しているに過ぎないのです。
ところが、この推察文の次の頁の結論頁では、何の説明も無しにこの「推察」が、いきなり、次のような「断言」につなげられています───「弱い消費の第2原因は、『将来不安』である」。
レポートを何度も読み返しましたが、この「因果関係の断言」に繋がりうる分析結果は、上記の「推察」以外には見当たりません(国民が不安に思っていると言うデータは示されていますが、それは到底,因果関係の根拠にはなりません)。
つまり、この両氏は、「分析プロセスで推察したに過ぎぬこと」を「結論で断言」しているのです。
さらには、このレポートの冒頭に「要旨」として掲載されている、記者などがここだけ目にする可能性が高く、政治的影響力が最も大きいと短文にもまた、下記のように「断定」的に書かれてもいます。
『経済の主役と言ってもよい消費はなぜ弱いのか。1つの理由は、賃金・所得の伸びがほとんど見られないことである。いま1つ「将来不安」の影響も大きい。とりわけ、年金・医療・介護など社会保障の将来への不安が年齢を問わず家計を委縮させている。』(「低迷する消費」P1より)
率直に申し上げまして、これは「公正な科学者の態度」からはかけ離れた態度と言わざるを得ないのではないかと、筆者には思えます。
「推察」そのものにも、相当な「無理」がある
しかも、この「両氏の推察」それ自身も、理性的に正当化しがたいものです。
そもそも両氏が推察したように「年金等についての将来不安が高くなれば、消費性向を下げる」というメカニズムがもしも今の日本で支配的なら、そういう現象は34才以下だけでなく、35才以上世帯でも生じるはずです。
というよりむしろ40代や50代の「老後」に近い世代の方が、20代や30代よりも「年金等への将来不安が高まれば、消費性向を下げる」ことすらあり得ます。ですが、40〜50代には、そういう傾向は見られません。この事実は、「年金等についての将来不安が高くなれば、消費性向を下げる」というメカニズムが働いてい「ない」可能性をすら示唆する事実だと解釈することもできるでしょう。
いずれにせよ、34才以下世帯で「だけ」消費性向が下がっていると言う事実から、「年金等への将来不安が今の日本人の消費性向を下げている」という結論を導くには、相当な無理があると考えられます。
(※ したがいまして、当方の「学者」としての感覚から言うなら、この様な無理ある推察は、比較的規準が緩いジャーナルにおいてすら「学術論文」として認められない水準のものでは無いかと思います。より詳細な議論は付録1をご参照下さい)
「若年世帯の不安」は年金等でなく「デフレ」だという可能性
百歩譲って「将来不安が日本人の消費性向を下げている」ということが真実だとしても、その不安が、両氏が言う「年金等」にまつわる「老後不安」であるとは全く言えません(筆者らが示してている、今国民が老後に不安を抱えているという複数のアンケート結果は、消費と老後不安の間の因果関係の「根拠」にはなり得ません)。
当然ながら、「デフレ不況」、およびそれに伴う「将来の所得縮小」「失業」に対する不安それ自身が不安の根源である可能性も考えられます。
といいますか、両氏の示したデータや彼らの推察から演繹される「若年層だけが不安に感じ、非若年層が不安に感じていない」という状況を説明するには、年金等よりもデフレそれ自身に対する不安の方がより説得力ある原因だと考える方が自然とも言えるしょう。そうした「可能性」は、若年層の方が一般に失業率が高く、所得が低いという事実とも整合するからです。
さらに言うなら、もしも両氏が主張するような「持続可能な税・税社会保障を作ることで不安が低迷し、消費が拡大する」という事が真実なら、彼らが主張した2014年の消費増税によって消費は拡大すべきところですが、実態は全くその逆に、消費は大きく低迷したことは、周知の事実です。
こう考えれば、その不安を払拭するために「年金等の社会保障制度を持続可能なものにする」という、両氏が次のように「断定」する対策が適当だとは、(残念ながら)正当化できない、という真実も見えて参ります。
「・・・将来不安を払拭するためにも、政府が責任ある形で、説得力のある税・社会保障のプランを明示し、それを前提に消費者が長い目で見た生活設計を組み立てることができるようにすることが大事である。単に消費者にとって耳触りのよいプランを示すことではなく、確度の高いプランを明らかにすることが重要である。」(「低迷する消費」P18より)
元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイクレポート」の疑義
このように、吉川・山口両氏が出したレポート「低迷する消費」は、「緊縮財政によって国民の不安を払拭することが、消費を拡大する道となる」という強烈な政治的メッセージを発する「結論」を記述してはいますが、肝心のその分析内容そのものについては、ほぼ「出鱈目」と言われても仕方がない様な稚拙な水準にあるのではないか、というのが、筆者の率直な見解です。
繰り返しますが・・・
第一に、不安が消費を下げているという彼らの主張を正当化する根拠が示されていないからであり、
第二に、仮に不安があったとしても、その不安が「持続可能な税・社会保障制度を構築すること」で払拭され(、それを通して消費が拡大す)るという彼らの主張を正当化する根拠もまた、示されていないから、です。
したがって、それはいくつかのもっともらしい図表が掲載された「分析レポート」の体裁をとっているものの、実態は、筆者らの「主観的意見を、明確な根拠も無く開陳する文書」であるとしか思えない──というのが、筆者の見立てです。
これでは客観的に冷静に判断すれば、「詭弁」の誹りを受けても致し方無いものと思われます(経済政策上の論説において「詭弁」が多用されている現実については、例えば、こちらでの議論(付録2)をご参照下さい)
しかも、その詭弁にあたっては、「経済の大御所二人の権威と、複数の図表を使ってもっともらしく見せかけている」という疑義さえ想定される状況だと思われます。
ついては、筆者は、今回の吉川氏、山口氏(ならびに、他共著者一名)による分析レポートは
「フェイクレポート」
である疑義が極めて濃厚であると、京都大学大学院教授として、そして、内閣官房参与として、学術的視点から冷静に判断いたします。
是非とも理性的な反論をお伺いしたいと思います。
もしも、東京大学名誉教授や元経済学会会長、さらには、元日銀副総裁の「誇り」にかけて、こうした「詭弁」や「フェイク」と呼ばれることそれ自身が濡れ衣に過ぎぬとお感じであるなら、是非とも下記三点のご質問に、正々堂々とお答え頂きたいと思います。
(質問1)第一に、分析本文で「〜みられる」と書かれた推察内容を、なぜ、結論において「断定」的に記述されたのかをお答え頂きたい(あわせて、仮にそれに「理由」があったとしても、政治的影力を持ちうる可能性が濃厚な結論や要旨において「推察」内容を「断定」することは道義的に問題がないと言えるのかどうかについても説明して頂きたい)。
(質問2)第二に、本レポートで記述されているデータから、如何にすれば「不安が消費を抑制している」という「因果関係」を説得力あるかたちで演繹できるのかを(本稿の指摘※を踏まえた上で)、理性ある読者ならおおよそ納得できるかたちで説明して頂きたい
(※ 「幾分若年層の世帯所得が持ち直しつつある中、34歳未満世帯だけが消費性向を縮退させている」というデータに基づいて「不安が消費を下げている」と推論することは、論理的に正当化できない、という指摘)
(質問3)第三に、本レポートで記述されているデータから、如何にすれば『持続可能な税・社会保障制度を構築すれば、(消費に影響がでる程に十分)不安が払拭される』という「因果関係」を説得力あるかたちで演繹できるのかを(本稿の指摘(※)を踏まえた上で)、理性ある読者ならおおよそ納得できるかたちで説明して頂きたい。
(※ 今国民が老後に不安を抱えているという複数のアンケート結果は消費と老後不安の間の因果関係の「根拠」にはなり得ないということ、ならびに、34歳未満世帯だけが消費性向を縮退させているという事実は、『持続可能な税・社会保障制度を構築すれば、不安が払拭される』という主張と整合するどころかむしろ矛盾しているいう指摘)
本稿が、我が国の繁栄に繋がる建設的かつ理性的な議論の契機となりますことを心から祈念しつつ、本稿を終えたいと思います。
付録1 若年世帯だけ消費性向が下がる理由についての様々な仮説
若年層だけ消費性向を下げている理由としては、若年層だけ貧困化が激しく貧困化が激しい世帯の方が消費性向を下げがちだからだ、と言う可能性も考えられます(なお、両氏が指摘する若年層の世帯所得が幾分もちなおしは、失業率や、消費性向と貧困化との関係の非線形性などを加味すれば、上記可能性を棄却するものではありません)。
あるいは、「デフレ世代のコーホート効果(世代効果)」によって、若年層の消費性向が下がってきている可能性も考えられます。実際、交通行動の時系列データから、若年層の移動数が著しく低下している「外出離れ」現象が生じていることが知られていますが、そのレポートでは、「年金等に対する不安」以外の様々な理由について様々に分析、検討されています。https://blogs.yahoo.co.jp/mimasatomo/43400924.html
この「外出離れ」現象は、若年層の消費性向低下と関連している可能性が十分考えられますが、この外出離れの原因が「年金等に対する不安」であると考える根拠は、相当に乏しいように思われます。
つまり、両氏の推察自信の正当性もさることながら、それ以外の様々な可能性も考えられる以上、因果プロセスについて断言するにはさらなる分析が不可欠なのです。にもかかわらずこのレポートにはそうした分析がほとんど全くといっていい程の水準で掲載されていません。この点から言っても、このレポートは科学的に正当化することは原理的にほとんど不可能であると言うこともできます。
付録2 詳細は、下記原稿をご参照下さい「柳川・沼尻・山田・宮川・藤井:新自由主義の詭弁性とその心理的効果に関する実証研究、土木計画学研究・講演集、CD−ROM、55, 2019」
https://38news.jp/economy/11373
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2018年7月11日
【藤井聡】吉川洋東京大学名誉教授が『詭弁』を弄して、『防災をせずに人が死ぬ事』を正当化している、という嫌疑
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/12160
■■財政が大事だから、人が死んでも仕方ない、という論理
東京大学経済学部の名誉教授で、元日本経済学会会長の吉川洋氏が、中央公論の最新号で、昨今頻発する災害対策に国家として対応すべきだという議論に対して、異を唱える論考を公表した(中央公論2018年8月号、20−21頁)。
その主張の要点は、本稿最後の締めくくりの、以下の一文に現れている。
『あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。それでは「国難」としての自然災害を機に、「亡国」の財政破綻に陥ってしまう』
つまり、吉川氏は南海トラフ地震や首都直下地震等に対して、国費ベースで6兆円拡大することがあれば、我が国は「財政破綻」に陥って、国が亡びる「亡国」の状態に我が国は立ち至るだろう、と主張しているわけである。
言うまでも無く、吉川氏は、「災害対策をしないことを正当化」しているのである。
しかし――吉川氏がこの原稿を書いた「直後」に生じた――今回の西日本の豪雨で100名以上の方々の命が奪われた事からも明白な通り、災害対策をしなければ、多くの人々が死んでいく―――だから、吉川氏は「今回の西日本豪雨への事前対策も含めた『防災』などやらなくても良い、それで人が死んでも構わない」という主張を正当化しているのである。
百歩譲って、吉川氏が言うことが一点の曇りも無く正しいのなら――吉川氏の主張に耳を傾け、「人が死ぬけれど、財政のために防災対策をしない」という政治判断はあり得るのかもしれない(国が亡びればさらにたくさんの人々の命が失われるかもしれないからだ)。
しかし誠に遺憾ながら、このたった60字余りの一文に、いくつもの「事実誤認」と「詭弁」が含まれている。つまり、吉川氏の嘘と詭弁のせいで、人がたくさん死んでいく、という構図が、ここに見て取れる―――ついては本稿では、なぜ、筆者がそのように判断したのかについて、一つ一つ解説したいと思う。
(なお、吉川氏が「財政破綻」という言葉で何を意味しているのかが不明瞭だという問題もあるのだが、そこは彼のこれまでの言説に着目し、「金利が高騰し、政府の利払い費が一気に拡大する事態」だと、ここでは想定する)。
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/KeizaiKyoshitsu20030319.pdf
■■「財政破綻」するリスクはそもそも低い
第一に、「財政破綻」など、我が国において起こる可能性は、現実的に存在しない。
なぜなら、日本政府の「借金」は、日銀が発効する「円」によるものだからだ。
だから、(円建ての)国債の金利が急騰し出せば、市場安定化を図る「日銀」が、いわゆる「買いオペレーション」を図り、金利安定化を図る。
もちろん、日銀がそれを「しない」という確率はもちろん「理論的」には存在するにはする。しかしそれは、旅客機のパイロットが、飛行中に「逆噴射」を急にし出す程の確率であり、現実的なものとは言えない。
ギリシャや夕張は破綻したじゃ無いかという向きもあるだろうが、日本政府と彼らとは、措かれた状況が全く違う。日本政府には「最後の貸し手」としての日銀があるが、ギリシャや夕張にはそれがなく、だから破綻してしまったのだ。実際、過去において、「自国通貨建ての借金が理由で、破綻した政府」は存在しない。
吉川氏とは一度、この点について直接討論をしたことがあるのだが、その時にも、この筆者の指摘についての明確な回答は頂けなかった。ついてはこれを機に改めて吉川氏には、是非とも、「筆者の指摘を受けてもなお、なぜ、財政破綻が生じうると主張し続けているのか」についての、その理由をご回答いただきたい。
■■「公共事業の拡大」のせいで「財政破綻」するリスクはもっと低い
第二に、吉川氏は、「公共事業費を拡大すると財政破綻する」事を前提としているが、そうなる可能性は、さらに低い。
少なくとも短期的な視点で言えば、これだけの金融緩和(年80兆円規模)を行っている状況下で、国債発行が幾分増えたからといって、財政が破綻する可能性は、現実的に「ゼロ」だ。しかし上記の言説は、それを無視するものとなっている。
それ以前にそもそも、現在の公共事業の拡大は(フローとストックの両効果を通して)デフレ圧力を弱め、景気拡大を果たし、税収が拡大するという自明の因果プロセスが存在するのだが、吉川氏は、その存在を完全に無視している。
さらに言うなら、防災対策をしっかり行わなければ、経済が破壊され、財政基盤が破壊され、それを通して、激しく財政が悪化するリスクが現実的に考えられる。つまり、防災対策は、「財政を守る」ためにも必要なのだが、吉川氏は、そのリスクもまた完全に無視している。
吉川氏には、以上に筆者が指摘した諸点をなぜ「無視」したのか、是非、その一つ一つについて明快にご回答いただきたい。
■■「公共事業の拡大」のせいで「財政破綻」するという超僅少なリスクを、巨大地震という現実手金リスクと比較すること自体が間違い
第三に、百歩譲って、「財政破綻」という事態が生じ「得る」のだとしても、それが生ずる「確率」は、南海トラフ地震や首都直下地震が生ずる「確率」に比して全く比較にならない超微小なものだ。
そもそも、巨大地震はその30年発生確率が科学的に70〜80%程度と推計されているが、
「財政破綻」確率については、この原稿にも一切書かれていないし、これまでにおいても筆者の知る限り科学的に推計されたことは一度も無い。
しかも、この吉川氏の主張は、「現状6兆円の事業を少しでも拡大しようものなら、財政破綻する」という趣旨にも読み取れる。そのような主張が正当化できぬことなど、小学生でも見破ることができるのではなかろうか(もしそれが正当化されるなら、現状の予算が、破綻するまさに直前の状況だと証明する必要があるが、そのような証明は一切なされていない)。
それにも関わらず、吉川氏は、「災害」のリスクと、「破綻」のリスク(しかも現状から少し増えただけで破綻するリスク)を、何ら根拠も示さないままにまるで「対等」であるかのように扱っているが、これは、極めて一般的な(「総数詐術」あるいは「先決問題要求の虚偽」等と言われる)「詭弁」テクニックだ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/14/2/14_155/_pdf
もし吉川氏がこれは詭弁ではない、と主張されたいのなら、吉川氏はその財政破綻が生ずるリスクがどの程度なのかを、巨大地震に対して行われているのと同様の確率尺度で定量評価いただきたい。それが出来ない限りにおいて、吉川氏は「詭弁」を弄する詭弁家の誹りを免れ得ない。
■■吉川氏は、「わら人形論法」に基づく詭弁で、災害対策必要論を批難している
そして第四に、吉川氏は、まるで、巨大地震対策のために、どこかの誰かが「青天井」で、「あれもこれも」と、公共事業を拡大せよと主張しているかの様に論じているが、筆者の知る限り、これは完全な事実誤認である。
そもそも吉川氏が引用している土木学会の推計では、より「効果的」な事業を割り出すために、耐震強化や分散化のための地方投資など、具体的なプロジェクトを提議し、その効果を定量分析している。
そして、そうした「科学的、技術的な定量評価に基づく、合理的かつ効果的な投資」を強く推奨し、今日政府で言われている「証拠に基づく政策決定」(EBPM、Evidence Based Policy Making)を推奨している。決して、吉川氏が言う様な「あれもこれも、やるべきだ」などという、理不尽な主張をしているのではない(必要なら、下記HP掲載の報告書を是非、じっくりとご一読願いたい。http://committees.jsce.or.jp/chair/node/21)。
にも関わらず、さも、どこかの誰かが「あれもこれも、公共事業を拡大すべきだ」と不条理な要求をしているかの様にかき立て、それを批判している。
これは典型的な、「でっち上げ」に基づく「わら人形論法」とも言いうる詭弁だ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shes/14/2/14_155/_pdf
東京大学の名誉教授、かつ、日本経済学会の会長も務められた社会的に極めて高い地位にある方が、このような人格的品位を疑われるような印象操作をもたらす詭弁を、しかも中央公論という公共性の高い公器において行っても良いものなのだろうか―――。
もし、吉川氏が自らの名誉を守りたいのなら、以上についての筆者の疑問を、それぞれについて適切に解説いただきたい。もしそれをされない限りにおいて、吉川氏は、「詭弁家」だということになるであろう。
だからこそ筆者は、吉川氏の誠実な対応を、心から祈念したい。
さも無ければ、本稿を読まず、「中央公論」という公器における吉川言説だけに触れる人が増え続け、適切な災害対策・財政再建がなされず、今回の災害で多くの方の命が失われたように、この不誠実な吉川言説によってますます多くの人々が殺められ続けていくことはもはや、避け難いのである。
追伸1:
普通、オオカミ少年といえば「嘘つきでダメな奴」の代名詞。だが吉川氏は自分こそが、そんなオオカミ少年なのだ、という開き直り的論考を公表している。科学者ならオオカミ少年でなく「科学的推計」を「証拠」と共に誠実に公表し続けるべきではないのか、そんなオオカミ少年に国家の重要判断を任せてもいいのか――? 本稿はそんな疑問を抱かざるを得ない、象徴的論考と言えよう。
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201709/201709b.html
追伸2:
「災害対策をしない」という振る舞いは、「無作為殺人」と言いうるものだ。是非、下記論考もご一読願いたい。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/20180709/
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作為犯としての「殺人者」たち 2018-07-13
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12390446159.html
わたくしは「政策」について論評はするものの、特定人物を攻撃することは「なるべく」避けています。とはいえ、残念なことに、攻撃を避けてはならない人物というのも、確かにいるのです。
藤井聡先生が「新」経世済民新聞で取り上げられた、吉川洋の恐るべき言説です。
【藤井聡】吉川洋東京大学名誉教授が『詭弁』を弄して、『防災をせずに人が死ぬ事』を正当化している、という嫌疑
https://38news.jp/economy/12160
吉川洋が、中央公論2018年8月号の「時評2018 ●「国難」としての自然災害と日本経済」において、信じがたいことを書いています。
『あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。それでは「国難」としての自然災害を機に、「亡国」の財政破綻に陥ってしまう。』
吉川洋よ、お前の存在自体が「亡国」であり「国難」だ。
という突っ込みを置いておいて、単なる事実を列挙します。
【日本国債所有者別内訳(総額は996兆円) 】
http://mtdata.jp/data_60.html#syosyuusya
日本国債はすでに(18年3月末時点)日本銀行が44%を所有しています。金額にして437兆円です。
日本国債のうち、437兆円分については、日本政府が「子会社から借りている負債」であるため、返済不要です。利払いも不要です。
別に、返済や利払いをしても構いませんが、しなくても構いません。
もちろん、日本国債以外が保有する国債についても、所詮は借り換えされていくものなのですが、とりあえず日本政府の負債(国債・財投債・国庫短期証券)のうち、四割以上が「返済不要」で実質的に負債ではなくなっているというのが、単なる事実です。
【日本政府の負債対GDP比率(右軸、%)と負債総額(左軸、億円)】
http://mtdata.jp/data_60.html#jissitsuhusai
財政健全化の定義は、政府の借金を減らすことではありません。政府の負債対GDP比率を引き下げることです。
日本銀行が保有する国債は、返済不要です。というわけで、返済が必要(名目上ですが)な政府の負債対GDP比率をグラフ化すると、上記の通りです。実質的な政府の負債対GDP比率は、劇的に下がっています。すなわち、財政が健全化しています。
現在の日本に、財政問題などありません。財政破綻(政府の債務不履行)の可能性は、ゼロ、なのです。
それにも関わらず、ありもしない財政問題を理由に、公共事業の拡大を否定し、国民に「死ね」と言っているのが、吉川洋なのです。
先日、平成30年7月豪雨〜不作為の殺人者たち〜 、というエントリーをあげましたが、吉川洋は「作為犯」です。
この種の作為犯としての「殺人者」たちが平気で野放しになっている。
この種の連中が跋扈し、デフレが続き、景気悪化を受け、何万人が「自殺」したのか。公共事業否定により防災対策ができず、何万人が財産を失ったのか。
日本国民は、改めて思い返す必要があります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12390446159.html
続 作為犯としての「殺人者」たち 2018-07-14
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12390646112.html
さて、中央公論における吉川洋の「「国難」としての自然災害と日本経済」が悪質なのは、何と先日の土木学会の報告書「「国難」をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書」を、公共事業削減に利用しようとしている点です。
何を言っているか分からないと思いますが、わたくしもj自分で何を言っているか分かりません。でも、本当にそうなのです。
吉川の寄稿は、以下の文章で始まります。
『六月七日、土木学会はこれから30年以内に70〜80%の確率で発生すると予測されている南海トラフ地震が日本経済に与える被害総額は、20年間で最悪1410兆円(直接被害170兆円と20年間の間接被害1240兆円の合計)に達するという推計結果を公表した。同じく70%の確率で発生するとされる首都直下型地震の被害総額も、20年間に及ぶ経済被害731腸炎を合わせると、内閣府が公表している建物等への直接被害47兆円の16倍、778兆円に達するという。土木学会は、発生が想定されている二大地震と三大都市圏における巨大水害を「国難」と呼んだ。』
この後、吉川は震災後の経済活動について、
『震災復興により経済活動が高まることも多いのである。』
と書き、傍証として関東大震災後に日本経済は成長した、と解説します。
さらに、阪神淡路大震災後に神戸港のコンテナ取扱個数(1980年は世界4位)が、震災から十年後の2005年に39位に、15年に59位に凋落したことを持ち出し、
『神戸港が震災により大きな被害を受けたことは疑いない。』
と解説した後に、
『しかし、ちょうど震災をはさんで、実は日本の港すべてが目を覆うばかりにランクダウンしたのである。1980年に13位だった横浜港は、2015年には52位にまで落ちている。これは震災とは関係がない。』
と、続けます。
うん、確かに震災とは関係ないですが、あんたたちが推進した「緊縮財政」とは、バリバリに関係があるよ。公共投資の削減を続け、日本は港湾の整備ができなくなりました。
当時、コンテナ船は「超大型化」していきます。ところが、日本の港は整備を怠ったため、主流の1万TEU規模のコンテナ船が入れる港が「ゼロ」という状況が長らく続きます。
結果、日本の港湾は凋落してきました。
自分たちが主導した緊縮財政により、日本の港湾が凋落したことを持ち出し、
『(横浜も凋落したから)震災による経済活動への影響を推計するとき、それは当然に仮定に依存するから、結果の数字は幅をもって理解する必要がある。』
と、土木学会の報告書の信憑性を貶めようとしてくるわけです。
もっとも、さすがに土木学会の報告書を完全無視はできなかったらしく、
『インフラ耐震工事約40兆円で南海トラフ地震の場合509兆円の被害を縮小できるという推計結果である。これほどの高い効率性をもつ公共事業は他に存在しない。』
さらに、
『整備新幹線はじめほとんどすべての公共事業を我々はしばらくは我慢しなければならない。これが今回の試算のメッセージである。』
はあ!!!????
吉川洋は「頭がおかしい」のではないかと疑っていましたが、本当に頭がおかしいようです。
吉川は、土木学会の報告書を利用し、
「インフラ耐震工事をする分、整備新幹線はできない」
と断言し、かつそれを「今回の試算のメッセージ」と勝手に決めつけているのです。
土木学会の会長は大石久和先生です。大石先生たちが、「インフラ整備の分、整備新幹線はあきらめよう」などといったメッセージを出すはずがありません。
なぜ、ここまで「頭がおかしい」結論が出てくるのかといえば、昨日、ご紹介した、
『あれもこれもと、現在国費ベースで年6兆円の公共事業費を拡大することはできない。それでは「国難」としての自然災害を機に、「亡国」の財政破綻に陥ってしまう。』
という、これまた頭がおかしい結論が初めから決まっているためです。
お分かりでしょうが、吉川洋の緊縮推進理論は、もはや妄想、狂気の領域に達しています。そして、吉川のような狂人かつ「作為犯としての殺人者」が蔓延り、存在しない財政問題を煽り立てた結果、我が国ではデフレ深刻化で10万人以上が自殺し、何万人もの人々が自然災害で財産を失い、地震や豪雨で生命を落としているわけでございます。
日本に財政問題など存在しない。この単なる「事実」を国民が共有し、吉川のような連中を排斥しない限り、我が国の衰退は止まらず、国民が自然災害やデフレから守られる日は訪れません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12390646112.html
▲△▽▼
吉川洋は財務省が主導しているプライマリーバランスについてのデマを拡散する目的で、貨幣についての経済学のイロハを必死で隠しているんですね。
貨幣についての経済学のイロハの解説は:
「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー
平成30年3月7日 講師: 中野剛志 - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=PIVG7XDGrH4
第2回「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と租税ー
平成29年4月27日 講師:中野剛志 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Zc9-Y5jiIO4
▲△▽▼
財政破綻詐欺師 吉川洋 2019-05-31
三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12465146776.html
多くの国民を殺し、貧困化に叩き込んだ主犯の一人、財務省の飼い犬にして財政破綻詐欺師である吉川洋(立正大学教授)が、今度は「大地震に備えて消費税増税」などと、意味不明なことを言いだしました。(訴えていいよ、吉川センセ)
『大地震にも備え消費増税を、「実感なき景気後退」なら延期不要ー吉川氏
吉川洋立正大学長は、膨張を続ける社会保障費だけでなく、高い確率で発生が予測されている首都直下、南海トラフなどの大地震も財政破綻の引き金になり得るとみている。これに備えるためにも地道な財政再建が必要で、日本が景気後退に陥ってもリーマンショック級に至らない「実感なき景気後退」であれば、予定通り10月に消費増税を実施すべきだと主張する。
吉川氏は28日のインタビューで、「今の財政赤字は持続可能ではない。一番の原因は社会保障費の膨張だが、同時に私たちが頭に置かなければならないのは地震ではないか」と指摘した。「大地震が30年以内に起こる確率は驚くべき高さであり、いつか必ず来ると言ってもよい。被害金額は半端ではないが、それに耐えなければならない。地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」と語った。(後略)』
記事の解説に入る前に、ブルームバーグが(意識してか否かは知りませんが)極めて重要な景気動向指数(ヒストリカルDI)のグラフを載せていました。
【景気動向指数の推移】
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-05-30/PS9RQK6TTDS301
「スクープ!景気拡大「いざなぎ超え」の真実」を覚えていらっしゃいますでしょうか。
どう見ても、日本は2014年3月を「景気の山」として、その後は景気後退に陥っているでしょうが!
消費税増税を強行した14年4月から16年中頃まで、日本は間違いなく「景気後退」に陥っていたのです。
それを、吉川が座長を務める景気動向指数研究会が「なかったこと」にしてしまい、結果的に「いざなぎ超えの景気拡大」などという嘘情報が報じられることになったのです。
まさに、詐欺師です。何しろ、吉川は嘘情報を撒き散らすことで、利益を得ているのです。この手の財政破綻詐欺師が跋扈し、駆逐されないからこそ、我が国は貧困国化しつつあるのでございます。
日本の将来を「中華人民共和国 倭族自治区」に追いやっている主犯は、財務官僚、そして吉川ら財政破綻詐欺師なのです。
ところで記事の中で吉川は消費税増税の理由として将来の大震災を上げていますが、詐欺師であるだけではなく、バカ、のようですね。
実際に大震災が来たとき、我々国民を助けるのはカネではありません。カネなんぞ、キーボード一つでいくらでも生み出すことができます。
どれだけ莫大なカネがあったところで、モノやサービスを生産する力、供給能力、経済力がなければ、国民は助かりません。さらに、復旧・復興もできないのです。
そして、吉川ら財政破綻詐欺師の影響で緊縮財政が続き、デフレ脱却が果たせない場合、供給能力はひたすら毀損していきます。結果、将来の国民が助からない。
吉川は過去、現在の日本国民はもちろん、、将来の日本国民をも殺しているのです。
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月15日(土)まで、特別コンテンツ【MMTポリティクス〜現代貨幣理論〜第一回】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
ちなみに、吉川は記事の最後でMMTについて論評していますが、MMTと「いわゆるリフレ派」をごっちゃにしており、
「あ、こいつはMMTと主流派経済学との価値観、主張の違いすら理解していない、似非経済学者だ」
と、分かりました。
日銀当座預金を拡大すれば(異次元の金融緩和)需要が拡大するという、非現実的ないわゆるリフレ派と、需要、MS(主に銀行預金)を拡大するには、政府支出しかない(実際、そうだから)と現実を説明するMMTは全く考え方が違います。
吉川は、MMTもいわゆるリフレ派も、表層的なことしか理解していないようです。
この手の低レベルな似非学者により、祖国が亡ぼされようとしている。耐え難い、受け入れがたい話です。
吉川洋に代表される財政破綻詐欺師を駆逐しない限り、我が国の存続はありません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12465146776.html
▲△▽▼
2019年6月12日
吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破します
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13838
誠に驚くべき意見です。
東京大学名誉教授で、
元日本経済学会会長で、
財政審議会の元会長でもある
現立正大学教授の吉川洋先生が、
次のように語ったとのこと。
「大地震が30年以内に起こる確率は驚くべき高さであり、いつか必ず来ると言ってもよい。被害金額は半端ではないが、それに耐えなければならない。地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」
そしてその上で、
10%への消費増税については、
本当にリーマン級のショックだとはっきりしない限りは、
「先延ばしすべきでない」
と語ったそうです。
つまり、南海トラフ地震に対する
日本の強靭化の一環として、
消費増税をしておくべきだ、という話。
これほどのトンデモない詭弁は、
耳にしたことがありません。
そもそも私は、
国土強靭化担当の内閣官房参与を六年間勤め、
現在でも、政府の国土強靭化の有識者会議の座長を務めており、
巨大地震が来た時に、
金融不安も含めた深刻な事態を回避するために、
一体何が必要なのかを議論し続けてきました。
その議論の中で、
「強靭化のために消費増税をしておきましょう」
なぞという議論は、
財務省サイドからも、金融庁サイドからも
未だかつて耳にしたことがありません。
なぜなら、消費増税は、
強靭化を導く対策では一切ないからであり、
さすがにそのようなことを、
政府の真面目な強靭化の会議で、
財務省・金融庁側から主張するようなことは
不可能だからです。
もうどこから吉川氏の主張の詭弁性を
明らかにしていけばいいのか
分からない程に、激しくでたらめなご主張ですが、
一つ一つ論じていきましょう。
第一に、地震が起こって、
財政の危機的状況(例えばデフォルト)が起こるとすれば、
それは、その時点での財政の健全性ではなく、
最後の貸し手である日銀が、
地震時点で即座に対応できない、
という場合に限られます。
ですから、強靭化の議論では、
日銀や金融庁、さらには、財務大臣や総理大臣が、
迅速に対応可能な状況をつくるべきだ、
という議論と対策を進めています。
「増税をして財政を地道に健全化しましょう」
というような吉川氏がイメージしているであろう悠長な議論など、
強靭化の議論の現場では、全く通用しないのです。
第二に、地震が起こり、復興しなければならない場合、
そのコストは税収でなく、
国債で賄うのが常識です。
そもそも、税収で復興すると決める、
ということイコール、
復興をあきらめる、ということを意味します。
なぜなら、
一般会計は平時の支出で「いっぱいっぱい」なわけで、
地震時にはそれに「追加」して、
莫大な復興費がかかるわけですから、
国債以外の財源などあり得ないのです。
だから、吉川氏がイメージしているであろう、
「復興にはオカネがいるから、
普段から税収を増やしておきましょう」
なぞという、悠長な話は全く通用しないのです。
その様なことをやっていては、
大怪我をした子供を、
今、手元にオカネがないからというだけの理由で放置して
死に至らしめてしまうように、
日本は二度と復興できなくなってしまうでしょう。
それ以外にも、
・そもそも、消費増税を行い、デフレが悪化すれば、
民間の強靭化投資の水準が低下し、
日本の強靭性は低下し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する
・消費増税をして支出をカットするという、
吉川氏がイメージしているような対策をすれば、
公的な強靭化投資も縮小し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、先と同じく地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する
という問題を指摘することもできます
いずれにせよ、
国土強靭化の政府の有識者会議の座長である当方の目から見れば、
吉川氏の主張は、
巨大地震の時に一体何が起こるのかについて
冷静に考え続けてきた
国土強靭化の議論のすべてを無視し、
ただ単に、「地震が起こる危機があると言う事実」と、
「消費増税をすべきだという結論」を
機械的に接続した、
著しく思慮の書いた暴論ないしは詭弁にしか、
残念ながら見えないのです。
万一、強靭化の有識者会議の座長である筆者に
吉川氏からの以上についての反論があるなら、
いつでも反論いただきたいと思います。
反論できるのなら是非とも、
反論していただきたいと思います。
追伸1:
真の強靱化のために何が求められているのか・・・については是非、
「インフラ・イノベーション」
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
を、ご一読ください。
追伸2:
こうした吉川市の議論からの「ピボット」のためには是非、筆者の新著「令和日本・再生計画」をお読みください!
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