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経済学者は何故日本を滅ぼそうとしているのか?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/817.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 20 日 10:04:02: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 御用評論家 _ 池田信夫 投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 03 日 12:39:15)

経済学者は何故日本を滅ぼそうとしているのか?

【藤井聡】「巨大国益毀損を導いたであろう『学者の先生方』の責任問題」について

投稿日: 2014/11/18

From 藤井聡@京都大学大学院教授&内閣官房参与
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/11/18/fujii-117/

「衝撃的」なGDP統計が公表されましたので、今回の消費税増税問題について書いてみたいと思います。

(1)超絶な景気冷え込み!

7−9月期のGDPは、年率で、実質1.6%減、名目は3%の減となりました。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HCC_X11C14A1000000/?dg=1

これは、4−6月期でも大きく冷え込んだ上に、そこからさらに冷え込んだ、ということを意味しています。

これは、誰がどうみても、反動減などではありませんし、天候だけで、この冷え込みを説明できるはずもありません。

明確に、景気後退の局面に入ったのであり、これまでのアベノミクスの成果が消費増税という「逆向きの第四の矢」によって大きく毀損し、再びデフレ状況に舞い戻ったと認識すべき状況であると考えます。

特に、増税のせいで「税収そのものが減ってしまった」97年増税時と比較すれば、今回の冷え込み方の異常さは、より明確です。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=585450264889254&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater

万一、アベノミクスを推進しておらず、増税だけが断行されていたとすれば、どれだけ恐ろしい状況に立ち至っていたか。。。。考えるだけでもぞっとする状況であります。

いずれにしてもこれはもはや、消費税増税の是非を論じているような状況ではありません。緊急経済対策を大至急執行すべき状況であると、学者としても、そして、内閣官房参与としても、強く強く感じます。

まずは是非、政府内外のあらゆる国民に、この状況をしっかりとご認識いただきたいと思います。

(2)学べ「た」?

ところで、この件について、甘利経済財政・再生大臣が、次のように発言しておられます。

『4月に消費税率を8%へ引き上げたことへの判断については「デフレ下で消費増税を行うことの影響について学べた」と振り返り、「デフレマインドが払拭しきれないなかで、消費税を引き上げるのはかなり影響が大きい」と語った。』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HCC_X11C14A1000000/?dg=1

我が国得8%への消費税増税の議論がもちあがって以来、宍戸先生はじめ「新日本経済新聞」執筆者の方々は全員、口をそろえて、「デフレ下における消費増税は、凄まじいインパクトをもたらす。増税をすべきではない」ということを、メディアでも国会でも政府の委員会でも繰り返し主張して参ったことを、鮮明に、痛烈に記憶しています。

その際、経済財政諮問会議の委員を含めた有名大学経済学者や著名エコノミストの大半は、「消費税増税のインパクトは限定的です」と口にしていました。さらには、彼らの内100名を超える署名論文の中で、「むしろ、駆け込み需要のせいでデフレ脱却すら叶うかもしれない」とすら主張しておられました。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/08/26/fujii-105/

甘利大臣は、デフレ下で消費増税を行うことの影響について

「学べた」

とのこと。。。。。つまり、甘利経済担当大臣は、

1)増税前、経済政策については、諮問会議等の有名経済学者やエコノミストから「学んでいた」一方で、

2)宍戸先生達の主張からはかつては「学んでいなかった」、しかし、

3)実際に増税をしてみて、日本の実体経済を巻き込んだ壮大な社会実験を行った結果、かつて、有名経済学者やエコノミストから「学んだ」ことが誤っていたことが明らかになり、それを通してはじめて、「デフレマインドが払拭しきれないなかで、消費税を引き上げるのはかなり影響が大きい」ということをお学びになられた、

。。。。ということと解釈できるものと思われます。

日本経済に甚大な影響力をお持ちの方に、なぜ故に、正しい経済論を「学んで」いただけなかったのか。。。。事ここに至った今、深い深い遺憾の念を禁じ得ぬ心持ちであります。

(3)学者の巨大責任

ただし!

そうした問題を論ずる以前に、やはり何よりも今、問われなければならないのは、国政上の判断に直接的かつ甚大なる影響を及ぼし得る状況下で、「誤った経済論」を声高に主張し続けていた著名な学者、エコノミストの方々であります。

彼らの多くは、「消費税増税の影響は限定的です」と言い続けてきたのです!!!!

繰り返しますが、彼らは、3.11の大震災直後に、以下のような記述を含めた原稿を、連名で、日本経済新聞という巨大新聞に掲載していたのです。

「消費税は生産意欲を減退させにくく,経済成長に与える影響が軽微である.消費増税は消費減退で景気後退を招くとの批判は強いが,復興投資の拡大が予想されるうえ,税率引き上げ後の消費全体も短期にとどまる.耐久財を中心とした駆け込み需要も期待できる.」
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/KeizaiKyoshitsu20110523.pdf

そして、この原稿に賛同していた学者先生方は、以下の方々です。
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm

さらにさらに繰り返しますが、上記リストの方々にお名前を連ねてらっしゃる多くの学者先生方が、昨年の、増税するか否かの有識者会議で、「増税インパクトは限定的だ」とおっしゃっていたのです!
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/01/consumption_tax_n_3853649.html

彼らは、いかにしてその甚大な「責任」をおとりになれるのか。。。。これからの経済政策の決定プロセスを適正化するためにも、この問題をおざなりにしては断じてならぬのではないかと、思えてなりません。

これから、政局がどうなるのか、総理、官邸が増税延期・凍結を含めた各種ご判断をどのようになさるのかは、現時点では当方には図りかねるところでございますが、上記「学者」先生方のかつておっしゃっていたご発言だけは、学術界の広義の「同僚」として、筆者個人は生涯忘れてはならぬ……という決意を、今、新たに致しております。

増税延期問題、新しい増税法案における景気条項の明記問題、現状の増税インパクトに対する「異次元」の財政政策の必要性の有無問題、規制緩和・構造改革のデフレ促進阻止問題など…….論ずべき政策議論が山積している今日ではありますが、そうした具体的諸点を論ずる以前に、

「巨大国益毀損を導いたであろう『学者の先生方』の責任問題」

は、徹底的に追求すべき問題ではないかと、筆者は強く強く、考えている次第であります。

こうした議論が、適正な政策議論、そして、適正な為政者の皆様方の政策判断につながりますことを、心から祈念申し上げたいと思います。

では、来週は、どのような状況にあるのか筆者には分かりかねますが。。。。。また、来週。

PS
「土木チャンネル」が最終回となりました!是非是非
ご試聴ください!!
https://www.youtube.com/watch?v=H6GQqXNOYB8

PPS
消費増税が日本に与えた本当のダメージとは?
http://youtu.be/FYzYGcCtZpI

「消費税は生産意欲を減退させにくく,経済成長に与える影響が軽微である.消費増税は消費減退で景気後退を招くとの批判は強いが,復興投資の拡大が予想されるうえ,税率引き上げ後の消費全体も短期にとどまる.耐久財を中心とした駆け込み需要も期待できる.」
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/KeizaiKyoshitsu20110523.pdf

そして、この原稿に賛同していた学者先生方は、以下の方々です。
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm


さらにさらに繰り返しますが、上記リストの方々にお名前を連ねてらっしゃる多くの学者先生方が、昨年の、増税するか否かの有識者会議で、「増税インパクトは限定的だ」とおっしゃっていたのです!
http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/01/consumption_tax_n_3853649.html

彼らは、いかにしてその甚大な「責任」をおとりになれるのか。。。。

「震災復興にむけて」

共同提言者・賛同者(2011年6月15日10:00現在)(敬称略)


伊藤 隆敏 (東京大学)
伊藤 元重 (東京大学)
浦田 秀次郎 (早稲田大学)
大竹 文雄 (大阪大学) 
齊藤 誠 (一橋大学)
塩路 悦朗 (一橋大学) コメント
土居 丈朗 (慶応義塾大学)
樋口 美雄 (慶応義塾大学)
深尾 光洋 (慶応義塾大学)
八代 尚宏 (国際基督教大学)
吉川 洋 (東京大学)

(★印のついた方は「第3提言の賛成は留保」)
青木 浩介 (東京大学)
青木 玲子 (一橋大学)★ コメント
赤林 英夫 (慶應義塾大学)
安藤 光代 (慶應義塾大学)
井伊 雅子 (一橋大学)
飯塚 敏晃 (東京大学)
池尾 和人 (慶應義塾大学)
生藤 昌子 (大阪大学) コメント
石川 城太 (一橋大学)
市村 英彦 (東京大学)★ コメント
伊藤 恵子 (専修大学)
岩井 克人 (国際基督教大学)
祝迫 得夫 (一橋大学)
岩壷 健太郎 (神戸大学)
宇南山 卓 (神戸大学)
大来 洋一 (政策研究大学院大学) コメント
大野 泉 (政策研究大学院大学) コメント
大橋 和彦 (一橋大学) コメント
大橋 弘 (東京大学) コメント
岡崎 哲二 (東京大学) コメント
小川 英治 (一橋大学)
小川 一夫 (大阪大学)
小川 直宏 (日本大学)
翁 邦雄 (京都大学)★ コメント
翁 百合 (日本総合研究所)
奥平 寛子 (岡山大学)
奥野 正寛 (流通経済大学)
小塩 隆士 (一橋大学)
小幡 績 (慶應義塾大学)
嘉治 佐保子 (慶應義塾大学) コメント
勝 悦子 (明治大学) コメント
金本 良嗣 (政策研究大学院大学)
川口 大司 (一橋大学) コメント
川ア 健太郎 (東洋大学) コメント
川西 諭 (上智大学) コメント
北村 行伸 (一橋大学)
木村 福成 (慶應義塾大学)
清田 耕造 (横浜国立大学)
清滝 信宏 (プリンストン大学)
國枝 繁樹 (一橋大学)
久原 正治 (九州大学)
グレーヴァ 香子 (慶應義塾大学) コメント
黒崎 卓 (一橋大学)
黒田 祥子 (早稲田大学)
玄田 有史 (東京大学)
鯉渕 賢 (中央大学)
小林 慶一郎 (一橋大学) コメント
小峰 隆夫 (法政大学)
近藤 春生 (西南学院大学)
西條 辰義 (大阪大学) コメント
櫻川 幸恵 (跡見学園女子大学)
櫻川 昌哉 (慶應義塾大学) コメント
佐々木 百合 (明治学院大学) コメント
佐藤 清隆 (横浜国立大学)
佐藤 泰裕 (大阪大学)
澤田 康幸 (東京大学)
清水 順子 (専修大学) コメント
新海 尚子 (名古屋大学) コメント
鈴村 興太郎 (早稲田大学 / ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ) コメント
清家 篤 (慶應義塾大学)
瀬古 美喜 (慶應義塾大学)
高木 信二 (大阪大学)
高山 憲之 (一橋大学)
武田 史子 (東京大学)
田近 栄治 (一橋大学) コメント
田渕 隆俊 (東京大学)
田村 晶子 (法政大学)
田谷 禎三 (立教大学)
中条 潮 (慶應義塾大学) コメント
筒井 義郎 (大阪大学)
常木 淳 (大阪大学)
釣 雅雄 (岡山大学)
中田 大悟 (経済産業研究所)
中村 洋 (慶應義塾大学) コメント
長倉 大輔 (慶應義塾大学)
畠田 敬 神戸大学
林 文夫 (一橋大学)
原田 喜美枝 (中央大学)
深川 由起子 (早稲田大学) コメント
福田 慎一 (東京大学)★
藤井 眞理子 (東京大学)
藤田 昌久 (経済産業研究所)
星 岳雄 (UCSD)
細田 衛士 (慶應義塾大学)
細野 薫 (学習院大学) コメント
堀 宣昭 (九州大学)
本多 佑三 (関西大学) コメント
本間 正義 (東京大学)
前原 康宏 (一橋大学)
松井 彰彦 (東京大学)★
三浦 功 (九州大学)
三重野 文晴 (神戸大学)
三野 和雄 (京都大学)
森棟 公夫 (椙山女学園)★ コメント
柳川 範之 (東京大学)
藪 友良 (慶應義塾大学)
山上 秀文 (近畿大学) コメント
家森 信善 (名古屋大学)
吉野 直行 (慶應義塾大学)
若杉 隆平 (京都大学)
和田 賢治 (慶應義塾大学)
渡辺 智之 (一橋大学)

以 上
http://www3.grips.ac.jp/~t-ito/j_fukkou2011_list.htm
 


【藤井聡】凡庸で小心で「おバカ」な経済学者達が、世界を滅ぼす 2014/11/04
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/11/04/fujii-115/

ある本が──この三連休中についにまとめることができ、(文字通り)先ほど、脱稿することができました(!)。

題しまして、

凡庸という悪魔 (仮題)


この本は、一冊まるまる、凡庸で、陳腐でつまらない現代人達が、どれだけおぞましい

「全体主義」

を作り上げているのか、をとりまとめたものです。

本書では、ヒトラーや、ナチスドイツの優秀な官僚(例えばアイヒマン)から、日本の凡庸で陳腐な改革派官僚達や、そんな陳腐な改革派官僚に踊らされるこれまた陳腐で凡庸なツマラナイ政治家達、あらゆる種類のホシュ主義者やサヨク主義者、はては陳腐で凡庸なくせにエラソーに語り続ける上司達など、あらゆるタイプの

「凡庸な悪魔達」

が登場します(もちろん、誹謗中傷のための本ではありませんから、要らぬ勘違いを避けるために固有名詞は必要最小限にとどめております)。

が!

その中でもとりわけ、陳腐で凡庸でおぞましき方々として登場いただいたのが、やはり、

「陳腐で凡庸な、超一流大学の学者達」

でありました。

私自身の職業の関係から、こういう種類の人たちを山ほど日々目にしておりますので、彼らの生態や、その環境構造が痛いほど分かる──が故に、かなり詳しく(かつ簡潔に!)、彼らの凡庸さとおぞましさが記述できたものと考えています。

例えば本メルマガの読者の中には、

「正しい公共政策がなぜ、これほどまで回避され、
間違った公共政策が、なぜ、これほどまでに推進されるのだろう?」

という素朴な疑問をお持ちの方々は多かろうと思います。

無論、その背後には、間違った公共政策を行うことで直接的な金銭的利益を得る方々がおられることは間違いありません。

その意味において、そういう「陰謀論的」側面が一部において存在していることは間違いないものと思います。が、カネ儲けをしたい人々が世の中にはゴマンと要るわけで、もしも、彼らの言い分が政府の中で通らなければ、結局は彼らの思い通りの「間違った公共政策」が展開できるとは限りません。

問題は、なぜ「間違った公共政策」が、「タダシイっていうこと」にされた上で、過激に推進されてしまうのか、という点にあります。

そこまで考えが及んだとき、もっとも重要な人々として浮かび上がるのが、

「超一流大学のエライ教授の先生方」

です。

「学界」「学会」なるものを全くご存じない一般の方々には想像し難いことかもしれませんが、「一流大学のエライ教授の先生方」というのは、絶大な権力を、「学界」「学会」において持っているものなのです。

第一に、彼は、「学界・学会において、どういう研究がちゃんとした研究で、どういう研究が全然だめな研究なのか、ということを決定する権利」を持っています。

一般に、学術界では、研究というものは、最終的に「論文」として出版されなければなりません。

そして、論文として出版されるためには、「審査員達」に「これは論文としてちゃんとしたものである」という「認定」を受けなければなりません。

(神様から見れば)素晴らしい論文であったとしても、その雑誌の査読者達が、「こんなのダメ」と決めつければ、絶対に出版されません。

その逆に、(神様から見れば)全く誤った論文であったとしても、査読者達が「OK!」といえば、論文として出版されます。

そして、その「査読者」の中心に位置しているのが、「一流大学のエライ大学の教授先生達」なのです。

つまり、彼らは一旦学会で権力を握れば、自分の好きな研究だけを「タダシイもの」として世に出すことができる一方、自分の嫌いな研究を「マチガッタ研究」と判定して闇に葬り去ることができるようになるのです。

第二に、大学教授達は、「誰に、大学のポジションを与えるのか?」ということを決める権限(つまり人事権)を持っています。

したがって、彼が「素晴らしい」と考える人物を、助手(助教)や助教授(准教授)として雇いあげることができます。

そしてより事態をややこしいものにしているのが、「こいつは絶対に教員にしてはイカン」と考える人物が助手・准教授になることを「阻止する権限」を、多くの教授達が持っている、という点にあります。

ですから、気に入らない奴がいれば、そいつにポジションを与えることを、徹底的に阻止することができるのが、教授というポジションの強みなのです。

そして言うまでも無く、第一の権限で述べた「論文の審査」は、「大学の先生達」が行うものですから、超一流大学の教授ならば、第二の権限である「人事権」を駆使して、自分の好み通りの若い研究者を大量に育て上げ、その上で、彼らに学会の論文査読をやらせるようにすれば、ほぼ完璧に、彼の思い通りの論文だけが量産され、彼が気に入らない論文や研究者を、学会から完璧に追い払うことが可能となるのです。

さらに逆に言いますと、今日の大学の人事では、「雑誌で、何本の論文を通したのか?」が最も重視される基準となります。大量の論文を出版した研究者は「優秀な研究者」と見なされるのです。したがって、第一の権限である「論文の査読権」を駆使すれば、自分の好み通りの研究をする大学教員の業績を量産させ、それを通して彼らの「就職」を徹底的に支援していくことができる一方、自分と考えの合わない研究者達の業績を「ゼロ」にしたてあげ、大学の世界から締め出していくことにも成功するわけです。

ところで、こういう構造にあることはもちろん、若い研究者達は全員、理解しています。

したがって、学の道を志す若い研究者は、その出発点では、高い志を持っていたとしても、それでは絶対に業績を上げることも、大学のポジションも得ることが不可能である、ということに気づき、志を捨て去り、ただただ、権力を持つ教授連中が気に入る研究を、必死になって続けていくことになります。

もちろん、そんな下らないことなど出来ない──と考える若い研究者も大量に出てくることになりますが、そういう心ある研究者達はおおむね、途中で大学の世界でポジションを得ることをあきらめるようになっていきます。

したがって、時代を経れば経る程に、研究者はますます、教授の顔色をうかがい続けることだけが得意な、小心者で臆病で凡庸で陳腐なつまらない学者達で埋め尽くされていくようになります。

──つまり、大学教授は、「論文査読権」と「人事権」を持っているのですが、この両者をうまく組み合わせれば、大学や学会といった『学術界』を、「自分が気に入った人物や研究で埋め尽くしていく」ことが可能となる一方、「自分が気に入らない人物や研究を閉め出していく」こともまた、可能となるのです。

こうやって、経済学会では「ケインズは死んだ」ことになり、「新自由主義者」だけで埋め尽くされる学会が作り上げられていくようになったのです。

いずれにしても、こうした構造を通して、「間違った経済政策をタダシイと言い張る、おバカな経済学者達」が、一旦、超一流大学の経済学部の教授職を握ってしまうことになれば、瞬く間に、学術界全体が、おバカになっていってしまうのです。

(なお、誤解を避けるために指摘いたしておきますが、もちろん、教授の先生方が素晴らしい見識をお持ちであるなら、その学会は、素晴らしい研究と人材であふれるようになっていきます。したがって、悪いのは大学や学会のシステムなのではなく、そのシステムを悪用するおバカで陳腐で凡庸で小心者の下らない学者先生達なのです。)

なお、これは、経済学のみに限らず、人文社会系の学会は、おおむね、こういう構造を持っています(理系においては、こういうことは、起きづらくなっています。なぜなら、理系の場合は、S○AP細胞事件の例を見ても分かるように、おバカな怪しい研究を公表しても、早晩、実験を通して、そのおバカっぷりが立証されてしまうからです)

いやぁ…経済政策を真っ当な正しい方向に導くというのは、ほんっとに面倒な仕事だなぁ…と思わざるを得ません。

経済についてデータと理論を駆使して考え続けるだけでは不十分であり、凡庸で陳腐で小心者の経済学の先生方のおバカな生態を社会学的、社会哲学的に了解し、その上で対策を立てていくということが必要になったりするわけですから───

。。。。ということで、今週は少々絶望的な気分を残しつつ、これにておしまいにいたしたいと思います。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/11/04/fujii-115/



恐ろしいほど分厚い面の皮 三橋貴明 2014-11-05
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11948353051.html

さて、消費税再増税の判断を控え、有識者から意見を聞く「点検会合」が始まりました。


『消費税増税の点検会合 各界代表から賛否
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141104/t10015929151000.html

 政府は、消費税率を来年10月に予定どおり10%に引き上げるかどうか判断する際の参考にするため、各界の代表などから意見を聞く「点検会合」の初会合を開き、出席者からは、予定どおり引き上げるべきだという意見が出された一方、引き上げの先送りを求める意見も出されました。

 政府は、安倍総理大臣が消費税率を来年10月に予定どおり10%に引きげるかどうか判断する際の参考にするため、エコノミストに加え、経済界や労働組合の関係者などから、引き上げへの賛否や景気の見通しなどについて意見を聞くことにしています。

 4日、総理大臣官邸で開かれた「点検会合」の初会合には、麻生副総理兼財務大臣、甘利経済再生担当大臣、それに経済財政諮問会議の民間議員らが出席し、安倍総理大臣に経済政策などを助言している浜田宏一内閣官房参与や、日本商工会議所の三村会頭、それに、連合の古賀会長ら8人から意見を聞きました。(中略)
伊藤教授「増税実施すべき」

 政策研究大学院大学の伊藤隆敏教授は

「景気回復は遅れているが、今後、だんだんよくなっていくはずだ。今、増税を延期した場合、経済が今よりよくならないとまた延期ということになる」

と述べました。

 そのうえで、

「景気が今後ずるずると悪い状況が続くのであれば、景気対策や低所得者対策を組み合わせて対応すべきであり、増税は予定どおり実施すべきだ」と述べました。』

 今回の点検会合の第一陣に含まれている伊藤隆敏教授は、昨年の集中点検会合(第二回)にも登場しました。

 昨年、伊藤教授が何を言ったかと言えば、

消費増税に伴う景気の落ち込みは「軽微」と断定し、「増税とデフレ脱却は両立する」

 と、主張したのです。


 すなわち、伊藤教授は完全に間違えたわけですが、それでも堂々と点検会合に再度出席し、今度は財政再建に向けて増税が不可避であり、増税時期の先送りについては、 「政治的なコストがかかりすぎる」と主張しています。


 恐ろしいほど分厚い面の皮としか、表現のしようがありません。


 そもそも、増税とデフレ脱却が両立するはずがないのです。何しろ、デフレとは総需要の不足が原因で起きます。そして、増税とは「需要抑制政策」なのです。


 増税とは、民間にカネを使わせないために実施する政策です。すなわち、デフレ促進策です。デフレ期にデフレ促進策を実施し、デフレ脱却ができると断言するような凄まじい人物が、「有識者」として点検会合等で政府の政策に影響を与えているわけでございます。


 もっとも、現在の経済の落ち込みは、さすがに伊藤教授をもってしても「軽微」などと表現することは難しいようで、今度は「政治的コスト」を増税推進の理由として持ち出しています。


 無論、消費税の凍結や延期を実施するためには、国会で法律を通さなければなりません。とはいえ、そもそも国会で法律を通すのが国会議員の仕事です。


 日本経済をカタストロフィへと導く消費税再増税の凍結・延期を上回るほど、優先順位が高い政治課題が現在の日本にあるとは思えません。


 政府にしても、昨年の点検会合で消費税増税に賛成した人物、特に「景気に与える影響は軽微」などと間違ったロジックに基づき、消費税増税に賛成した人物を、今回の点検会合に含めるべきではないでしょう。

何しろ、伊藤教授が代表ですが、彼らは予測を大幅に間違えた「能力が不足している人」もしくは「嘘つき」なのです。

能力不足もしくは嘘を言っていたことが明らかになった人物たちまで、平気で点検会合に入れてきているわけです。


 政府は昨年の点検会合に出席した「能力不足の人」「嘘つき」を、今後の点検会合に含めるべきではありません。




消費増税は日本の未来に役立つのか 中野剛志
http://ironna.jp/article/627


 平成14年4月、財務省は、日本国債を格下げした格付け会社3社に対して書簡を発出し、その中で

「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。
デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか」

と抗議した。

財務省は、日本政府の財政破綻はあり得ないと言っていたのだ。

もっとも、この認識は正しい。日本の国債はすべて円建てであり、その円の発行権は日本政府にあるのだから、日本政府が返済不履行に陥ることはあり得ない。

歴史上も、自国通貨建ての国債が返済不履行となった例は、(政治的な理由によるものを除けば)ない。日本は財政危機にはないのであり、それゆえ消費増税は必要がない。


 消費増税は不要だと言うと、決まって

「では、社会保障の財源はどうするのだ」

という反論が返って来る。しかし、財政破綻があり得ない国が財源に悩む必要などない。そもそも、税というものを、政府支出の「財源」と考える発想自体が間違いなのだ。

課税とは、政府収入を増やすための手段ではなく、国民経済を適切に運営するための手段なのである。この考え方を「機能的財政論」と言う。

 機能的財政論によれば、財政赤字の善し悪しは、それが国民経済にもたらした「結果」で判断すべきとされる。具体的には、失業や物価上昇率、あるいは社会格差などが判断指標となろう。

 例えば、完全雇用が達成され、需要超過で高インフレであるなら、財政支出の削減や課税によって、加熱した需要を冷却する必要がある。逆に、失業率が高く、デフレであるならば、財政支出の拡大や減税によって消費や投資を刺激すべきである。しかも、完全雇用やデフレ脱却を達成するまで、財政赤字を拡大し続けてもよいし、そうすべきなのだ。

 この「機能的財政論」によれば、長期のデフレに苦しむ現在の日本は、財政赤字を拡大すべき状況なのであって、消費増税どころか消費減税が必要だということになる。まして、格差の拡大が懸念される中で、逆進性があって低所得者層に不利に働く消費税を増税してよいはずがない。

 国債の増発による金利の高騰を不安視する声が後を絶たないが、デフレ下での金利高騰はまずあり得ない。しかも、中央銀行が国債を購入すれば金利を低く抑えることは容易だ。実際、日本銀行は、現在、量的緩和によってそれを実行しているのである。

 我が国の政治家・官僚・経済学者らは、「機能的財政論」という税財政政策の基本的な理解を欠いたまま、消費税の是非を巡って大騒ぎを繰り返してきた。そんなことだから、二十年も虚しく失われたのだ。

 

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コメント
1. 中川隆[-13106] koaQ7Jey 2020年4月20日 10:09:47 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[16] 報告
日本の経済の専門家は頭がおかしい
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/894.html

経済コラムマガジン 2017/12/11(966号)
日本の経済の専門家はおかしい


日本の経済論壇の「闇」は深い

筆者は、

16/3/28(第885号)「終わっている日本の経済学者」
http://www.adpweb.com/eco/eco885.html


などで日本の経済学者やエコノミスト、そして日経新聞の論説委員等を批判してきた。これらの日本の経済の専門家が言っていることが「おかしい」と思うからである。また筆者は何となくこの原因を分っているつもりである。

日本経済の低成長の原因は慢性的な需要不足と先週号で説明した。しかし日経新聞の論説委員を始め日本の経済の専門家は、どうしても原因を需要不足とは認めないのである。そこで彼等は、低成長の原因を人手不足や低い生産性など供給サイドの話で誤魔化している。


だから人手不足を示すデータをやたら強調したがる。また間抜けなエコノミストの中には「日本は完全雇用状態」と言って譲らない者までいる。しかし先週号で述べたように、本当に日本が人手不足ならもっと賃金が上昇しているはずである。

それどころか全てのメガバンクが大きなリストラ計画を発表している。大手銀行の事実上の定年は52〜53才という話は昔聞いたことがる。ところがそれが最近では、どうやら50才程度までに早まっているという記事を日経新聞が掲載している。日経新聞にはこのような矛盾した話が満載である。そこで今週はこのような矛盾した話を二つ取上げる。


日本の経済成長率は、内閣府から国内総生産(GDP)の情報として定期的に公表されている。日経新聞などのメディアは、この数字の推移に基づき経済成長の様子を解説している。内閣府が公表するのは「消費、投資(設備・住宅)、政府消費、公共投資、輸出・輸入」と需要の項目毎の数字とそれらの合計である。日本経済成長率はこれらの需要項目の数字を積上げて算出されている。

日経新聞などメディアのこれに対する分析と解説は、例えば「天候不順で消費が落込んだ」「半導体の需要が好調なので設備投資が増えた」「予算消化が進まず公共投資が減った」「円安と中国の景気持直しで輸出が増えた」といった具合である。注目されるのは全てこれらは需要サイドの話ということである。まさに先週号で述べたように「需要で日本の経済成長は決まる」のである。日本の生産性が上下したことが原因で経済成長率が変動したといった話は一切出ない。これは当たり前の話であり、需要が増えれば当然のこととして工場や商業施設の稼働率が上がり生産性が上がるのである。


ところが日本の経済の専門家は、日経新聞などで日本経済の成長に関しては「生産性の向上が必須」「生産力の増大が必要」と供給サイドのことしか言わない。したがって彼等は「設備投資を喚起する政策が必要」「家庭の主婦も職場に狩出すような政策が必要」といった主張を繰返す。つまり日本の経済成長を決めるのは全て供給サイドという話になっている。

ところが同じ日経新聞の紙上では、前述の通り日本の経済成長を全て需要サイドだけで分析・解説して見せるのである。明らかに日経新聞や日本の経済の専門家の経済成長に関する論調は矛盾している。筆者は、もっと辛辣に「日経新聞と経済の専門家は頭がおかしくなっている」と言う他はないと思っている。

不思議なことに、日本の経済論壇では誰もこのような矛盾を指摘しないし問題にもしない。しかし「おかしい」と指摘する経済学者やエコノミストがいることを筆者は知っている。ところがこのような声をほとんどの日本のメディアは取上げない。まことに日本の経済論壇の「闇」は深いと言える(日本のメディアもおかしい)。


算出方法がおかしいデフレギャップ

もう一つの「日経新聞と経済の専門家は頭がおかしくなっている」ことを示す事例は、日本のデフレギャップの認識である。これに関しては日本の潜在成長率も関係する。筆者は

06/2/27(第426号)「潜在GDPとGDPギャップ」
http://www.adpweb.com/eco/eco426.html

06/3/6(第427号)「GDPギャップのインチキ推計法」
http://www.adpweb.com/eco/eco427.html


で、これらの算出方法がおかしいと指摘して来た。しかし今日でもこのインチキな算出方法が続いているのである。

日本のデフレギャップを政府はわずか1〜2%と公表して来た。それどころか直近ではデフレギャップがなくなり、逆にインフレギャップが生じたと驚くようなことを言っている。ところが誰もこれを「おかしい」とは指摘しない。


デフレギャップを文字通りに解釈すれば、供給力が需要を上回る場合の両者の差額ということになる。たしかに理論上では、これがゼロになることは有りうることである。しかしこれがマイナスになり、逆にインフレギャップが発生したのだからただごとではない。

これも文字通りに解釈すれば、日本全体で需要が生産力を上回ったことになる(一部の特定の企業に限るなら有り得る現象である)。これはちょっと有り得ないことであり、少なくとも日本の景気が超過熱状態ということを意味し、当然、物価は高騰しているはずである。ところが日本経済は低迷し、物価は一向に上がっていない。日銀なんて、物価上昇率の達成目標年度を毎年延期しているほどである。


結論を言えば、筆者が何回も指摘してきたようにデフレギャップや潜在成長率の算出方法がおかしいのである(実際のデフレギャップはずっと大きい)。しかし関係者がこれは「おかしい」と気付いているのか不明である。また「おかしい」と気付いていたとしても修正する気があるのか、これも不明なのである。

それにしてもこの怪しいデフレギャップを基づき経済政策が実施されることが問題である。構造改革派と見られるある経済閣僚は、日本のデフレギャップや潜在成長率が著しく小さく算出されていることを知らないと思われる。この大臣は「日本の経済成長率を上げるには潜在成長率を大きくする他はない」と言っているようだ。

日本のデフレギャップや潜在成長率を著しく小さく算出している裏には、日本経済の問題点を需要サイドから供給サイドにスリ変える意図が見える。これには財政再建派も悪乗りしている。もし需要サイドの問題、つまり需要不足が認められると財政支出による需要創出という話が避けられなくなると財政再建派は思っている。


デフレギャップや潜在成長率の算出方法や認識の違いには、理論経済学上の対立の影響も垣間見られる。先週号で、古典派(新古典派)経済学に基づく構造改革派と財政再建派、そして財政による需要創出の有効性を唱えるケインズ主義の積極財政派という分類を行った。デフレギャップや潜在成長率を異常に小さく算出している経済学者やエコノミストは、古典派(新古典派)経済学の信奉者と見て良い。

そもそも古典派(新古典派)経済学ではデフレギャップという概念は存在しない。古典派(新古典派)経済学の理論的な根幹をなす「セイの法則」では、作った物は全て売れることになっている。したがってパラメーターが動き価格メカニズムが機能すれば、失業者や生産設備の遊休は発生しないことになっている。

古典派(新古典派)経済学の世界では、自然失業率以上の失業は労働者の技能が劣るからであり、需要拡大策ではなく職を得るための教育訓練が必要と説く。また遊休状態の生産設備は、既に陳腐化していて使い物にならないから廃棄すべきと考える。たしかに「セイの法則」からは、このような結論が導き出される。
http://www.adpweb.com/eco/  



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2017年12月9日濫用される経済論理
From青木泰樹@京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授


「金融政策だけでなく、財政出動との両輪で景気を刺激すべきだ。日銀が保有する国債のうち、約50兆円を無利子の永久国債に転換する。償還の必要をなくすわけだ。政府はこれを受け、防災対策などに10年間で100兆円のインフラ投資をする」。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171126&ng=DGKKZO23912410V21C17A1EA5000

この真っ当な提言は、三橋さんも取り上げていましたが、元日銀審議委員で景気循環学会の中原伸之会長が、日経新聞紙上で黒田日銀の評価を求められた際に発したものです。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12331985979.html

以前、「日本の財政破綻は考えられない」と堂々と主張するコラムニストが日経新聞に登場したことを紹介しましたが、遂に経済学界の重鎮の中にも正論を述べる人が出てきたことに驚きました。

リーマン・ショック前であれば信じられないことです。

「ケインズは死んだ」と考える経済学者が大勢を占める中、おそらく、そんなことを言ったら袋叩きにあったでしょう。

やはり時代は変わりつつあります。

いまだ少数にすぎませんが、経済通念の色眼鏡を外して現実を直視する人たちが各方面から現れてきたことは喜ばしい限りです。

衆院選後、2019年10月の消費税率2%引き上げを既定路線とする財務省による緊縮財政の攻勢に対し、それに立ち向かう政治勢力が存在しないという閉そく状況が続きますが、そんな中で一筋の光を見た気分です。

三橋新聞をはじめとする多くの経世済民思想の普及に努めるブログの論者たちの活動が、徐々にではありますが、世間に影響を及ぼしつつあることに疑いはありません。

僅かでも可能性が残されているのなら、決して日本の将来を諦めてはならないでしょう。

私自身も言論活動の一環として、国民・国家を無視した主流派経済学に依拠する学者の政策提言に対し批判を続けてまいりました。

2004年に発刊した『動態経済分析への道』においては独自の貨幣理論に基づき、国債問題の誤解、PB赤字を問題視する無意味さ、インフレ・ターゲット論の欠陥、構造改革論の誤謬等について論じました。

その中で財政問題に関しては、「期首における巨額と言われる国債残高およびプライマリー赤字の問題は、現行の日本経済の規模からして許容範囲内であって危機に瀕している状態ではない。危機に瀕しているものがあるとすれば、政府の債務を個人の債務と同一視させ、景気動向を顧慮することなくいたずらに危機感を煽りたてる思想それ自体であろう(前掲書p.145)」と結論づけました。

http://amzn.asia/95CFNmC

それ以降の著作において、細部の論理を彫琢し、かつ新たな論点を導入してまいりましたが、大筋のヴィジョンは以前と全く変わりません。

こと経済学に関して言えば、「経済理論を現実に直接適用することはできない。もしそうした論理の濫用が行われれば国民経済は大打撃を被る」という見方です。

当たり前のことですね。現実は理論の前提を満たしていないのですから。

そこで何とか現実に適用できるように「理論の側」で工夫を施さねばなりません。

理論と現実を橋渡しする論理の構築、いわばワンクッション必要なのです。

そのため私は既存の主流派理論とは別の枠組みが必要だと考え経済社会学研究を続けて参りましたが、大半の主流派学者はその必要はないと考えているようです。

私は「理論で説明できない現実が間違っているのではなく、現実を説明できない理論が間違っている」と考えますが、彼らの考え方は正反対です。

理論が常に正しいと考えてしまうのです。その結果、彼らは必ず現実を見誤るのです。

今回は、そのような例を三つ紹介しましょう。

「日本が財政破綻しないのは人々が無知だからだ。もしも人々が経済学の教え通りに合理的に行動するならば、日本は財政破綻するはずだ。人々がそれに気付く前に増税と歳出削減で財政再建を目指せ」と唱える著名な財政学者など、その典型例でしょう(下記参照)。

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現実が間違っているから、人々が非合理に行動するから、今のところ財政破綻しないと言っているのです。

合理的経済人なら、政府の債務を「自分の将来の債務」と考えて行動するものだと。

「政府の財布」と「自分の財布」を同一視するのだと。

そう合理的に考えれば、巨額な政府債務を抱えている状況で、これ以上の債務増加を容認できるのか。できるわけがない。

合理的経済人なら新規国債の発行に反対するのが当然だろう、と続くわけです。

もちろん本当のところは、政府の債務は「民間の資産」であり、将来世代の負担にもならないことは以前のコラムで指摘した通りです。
https://38news.jp/economy/11393



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>>1 の続き

誰にもわかるように、政府の懐具合を自分の懐具合と同一視する人など現実社会には存在しません。

おそらく当の財政学者でさえ、政府の債務は自分の債務と同じであると考えて消費活動をしているわけではないでしょう。

にもかかわらず経済論理に偏重し、現実の経済人と合理的経済人の区別がつかなくなっているのです。

次の例は、

「消費の伸び悩みの原因は将来不安にある。年金・保険、福祉といった社会保障制度が財政難で今後維持できるかどうか懸念されている。そのため人々は将来に備えて貯蓄を増やし消費を抑えている。将来不安を取り除くためには財政再建が急がれる。増税と歳出削減をためらってはならない。財政再建に注力すれば消費は上向く」

という論説です。新聞でよく目にするでしょう。

実は、これは「非ケインズ効果」に基づいた話です。

財政出動や減税をすると所得が増えて消費も増加するというのがケインズ効果ですが、逆に歳出削減や増税によって財政再建を目指すと、民間人は「将来の負担が減る」と考え「現在の消費を増やす」という理屈が非ケインズ効果です。

前の財政学者の例と比べると、現実の経済人の想定が逆ですね。

今度は人々が将来を予測して現在の消費行動を決めている、すなわち合理的に行動しているから消費が伸びないと言っているのです。

いわゆる「フォワード・ルッキングな期待形成」をする人間を想定しています。

非ケインズ効果は財務省が増税を正当化する論理として一時期よく言及していましたが、日本での実証結果が思わしくなかったために下火になりました。

最近は社会保障不安に結び付けた形で御用学者に発言させているようです。

もちろん、日本で非ケインズ効果が存在しないことは現実的観点から明らかです。

二点指摘しておきましょう。

2016年9月の日銀による金融政策の総括的検証(日銀総括)において、日本人の大半は過去の経験と現在の状況から将来を予想する傾向があることが実証されたと以前お話ししました。


ほとんどの日本人は、いわゆる「適合的な期待形成」をしているのです。

将来予測から現在の行動を決定しているのではありません。

不確実性の存在する世界では、それが現実的かつ妥当な行動なのです。

なぜなら、完全情報を有する合理的経済人のように将来を正確に見通すことはできないからです。

現在の懐具合を見て消費額を決めるのですから、増税によって可処分所得が減れば消費も減るのが現実なのです。まさにケインズ効果が作用していると言えます。

もしも非ケインズ効果が作用しているのなら、2014年の消費税増税以降、消費が増加しGDPも増加しなければならないはずですが、消費の低迷がいまだに続いているのが現実です。

非ケインズ効果は経験的事実と明らかに矛盾しているのです。

より長い視野で捉えても同様です。

非ケインズ効果が作用しているなら、ここ20年間の財政再建を目指す緊縮財政路線によって将来不安は一掃され、日本経済は力強く成長したはずです。少なくとも消費が増えていなければならない。

ところが現実はどうであったでしょう。

言うまでもなく、現実は先進諸国の中で唯一、長期停滞に陥った国となったのです。

三つ目の例は、リカードの比較優位説(比較生産費説)に関する誤解です。

これは自由貿易の利益を明らかにした論理であり、ほとんどの学者が同意する基本的な考え方であると思われています。

しかし、比較優位説は、「限定された状況下での分業の利益を示す論理」にすぎません。

問題は、限定された状況下でしか成立しないにもかかわらず、一般的に成立すると誤解している人があまりに多いことです。特にマスコミ人や政治家に。

「国際分業の利益は比較優位説より明白であるから、TPPをはじめとする自由貿易の推進は国益にかなう」といった日経新聞の論説やコラムを見る度に辟易します。全くわかっていない。

確かに、比較優位説はミクロレベルで分業の利益を考える場合、かなり説得力を持つ理屈です。

よく使われる例として、教授と秘書が「論文を書く仕事(A)」と「タイプを打つ仕事(B)」の役割分担を考えているとしましょう。

教授はAもBも秘書より優れているのですが、一度に二つの仕事をこなせません。二兎は追えない。

このとき重視されるのが機会費用の概念です。それは「獲得利益と逸失利益を比較して利益の大きい方を選択しましょう」という考え方です。

この例ではAの仕事をするとBからの利益が失われますから、それが機会費用になります(逆は逆です)。

教授にとって「Aの利益>Bの利益」であれば、Aを選択しBを他者に任せるのが有利です。

この場合、秘書にとって「Aの利益<Bの利益」であるという制約条件が満たされれば、教授と秘書の双方に分業の利益が生じるという話です。

ただし一般に知られていないは、教授の下で秘書が研究を重ねて成長し、秘書にとっても「Aの利益>Bの利益」となったら分業は成り立たないことです。

秘書が成長せずに、何時までたっても「Aの利益<Bの利益」でなければ、比較優位説は成り立たないのです。

翻って、マクロレベルではどうでしょう。

比較優位説に基づく国際分業の利益は、2国2財モデルにおいて、各国が次の条件を満たす場合にのみ発生します。

労働だけが唯一の生産要素であること、完全競争により労働コスト(賃金)が同一であること。さらに各国は経済発展しない、技術進歩もしないことが必要となります。

現実経済がこれらの諸条件を満たさないことは明らかでしょう。

比較優位説を「経済学の大原則」と位置づけ、自由貿易の利益を吹聴する人たちがいますが、それは学問的に滑稽(こっけい)なことなのです。

三つの例から明らかなように、経済論理の教えは金科玉条のように奉るものではなく、現実分析への一里塚にすぎないのです。

「理論が成立するためには、その前提条件が満たされる必要がある」という当たり前のことが周知される時代に早くなってほしいものです。


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2017年12月11日【三橋貴明】存在しない問題

現在の日本は、需要で満ち溢れています。

厳密には「潜在」需要ですが。

橋の維持管理に限っても、今後五十年で
27兆円もの「需要」があるのです。

ただし、誰もおカネを出さなければ需要は
「潜在需要」のままで終わります。

人々が飢えている。

食料や水に対する需要はある。

とはいえ、誰も食料や水のために
おカネを出さなければ、潜在需要は
「潜在」のままに過ぎません。

もちろん、国民に十分な「所得」がない場合は、
需要に対する支出はできません。

日本国には、たった一つだけ、
「所得」を無視して支出することが可能な存在があります。

すなわち、政府です。

政府は子会社の日本銀行に日銀当座預金、
現金紙幣といったおカネを発行させることができます。

あるいは、政府自ら政府支出や
政府硬貨を発行しても構いません。

日本政府が「一兆円玉」を30枚発行し、
日本銀行に持っていく。

日本銀行は、一兆円玉x30(=30兆円)の
資産を取得した代償に、政府に
日銀当座預金(政府預金)30兆円を支払う。

政府は、30兆円の政府預金を担保に、
橋の維持管理を発注し、代金を政府小切手で支払う。

上記のプロセスにおいて、
政府に「負債」は増えません。

問題になるのは「インフレ率」のみですが、
現在の日本はデフレです。

政府が30兆円の国債を発行する、
あるいは政府紙幣、政府硬貨を発行することで、
橋の維持管理という需要を満たそうとしたとして、
何が問題あるのか。

何にも問題がない。これが真実です。

無論、一気に30兆円もの橋の
維持管理を政府が発注すると、
さすがに入札不調が相次ぐことになるでしょう。

毎年5000億円を、五十年間
発注し続ければいいだけの話です。

毎年5000億円の需要が、今後、
五十年も継続するとなると、土木・建設会社は
絶好の「ビジネスチャンス」ということで、
設備投資、人材投資を継続していくことになります。

さらに、橋の補修を目的にした技術投資も、
一気に進むでしょう。

橋補修の生産性は向上し、
働く人々の実質賃金も上昇します。

日本はただ単に、インフラの補修という
最低限の支出を政府がするだけで、
デフレ脱却と生産性向上、技術革新、実質賃金上昇の
全てを実現することができるのです。

政府が老朽化したインフラを補修するという、
最低限の支出をするだけで、他の先進国を
上回る経済成長を実現することが可能。

何と、楽な状況なのでしょう!

それにも関わらず、日本政府は、

「国の借金で破綻する!」
「日本は財政破綻する!」

といった「存在しない問題」に足を採られ、
最低限、必要な支出すらできず、
世界経済の落ちこぼれと化していっているのです。

何と、情けないことか・・・。

このままでは、我々は日本国のインフラ整備のために
汗を流し、努力を重ねた先人に顔向けができないまま、
この世を去ることになります。
https://38news.jp/economy/11399



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経済コラムマガジン 2017/12/18(967号)

経済論議混迷の根源はNAIRU


卑怯な言い訳を行う経済学者とエコノミスト

デフレギャップの推計には、

06/3/6(第427号)「GDPギャップのインチキ推計法」
http://www.adpweb.com/eco/eco427.html


で取上げた「可変NAIRUアプローチ」という方法がある。NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemplayment)とはインフレ非加速的失業率のことである。これを自然失業率、つまり長期的にインフレ率に関係なく一定水準で存在する失業者の割合と同じという見方がある。

例えば失業率が5%であっても、自然失業率が3%であれば、実際の失業率は両者の差である2%と見る。もしこの2%の失業が解消すれば、実質的に失業者はいなくなり完全雇用ということになる。またこの状態(自然失業率の3%)でさらに追加の求人があれば、賃金率は上昇しインフレになるという認識である。


日本のデフレギャップの推計はこのインフレ非加速的失業率(自然失業率と言って良い)を念頭に行われている。また潜在成長率の推計はこのデフレギャップを元に算出される。失業率がインフレ非加速的失業率まで下がればデフレギャップはゼロになると解釈される。

デフレギャップがゼロになった状態で追加的に需要が増えても、賃金が上昇するので名目GDPが増えても実質GDPは増えないという考え方がある。つまり財政政策による需要創出は物価が上昇するだけなので無駄と見なす。したがってデフレギャップがゼロに近付けば、これ以上の経済成長のためには生産性を上げるしかないと主張する。

またデフレギャップや潜在成長率は内閣府や日銀など政府の機関で算出されているので、これらは公式の経済数字として扱われる。つまりこれらの数字は日本の経済政策に深く関わっていると言える。また多くの経済学者やエコノミストも同様の手法でデフレギャップを捉えている。日経新聞などには、これらの数字を絶対的なものと見なす論説ばかりが目立つ。


特に考えが固い経済学者は、デフレギャップがゼロの状態で少しでも需要が増えると、物価が止めどなく上昇するという。

04/11/1(第365号)「妄言・虚言の正体」
http://www.adpweb.com/eco/eco365.html

で紹介したA教授はその典型であろう。A教授は「1兆円も財政支出を増やすと日本でハイパーインフレが起る」「私のシミュレーションプログラムでは、物価がどんどん上昇し計算不能に陥る」と言って引下がらない。どうもデフレギャップがゼロの状態が「閾(しきい)値」になっているようだ(まさにルーカス方程式)。またA教授が内閣府でも働く官庁エコノミトでもあることから、内閣府の現状認識が垣間見られる。

しかし驚くことに公表されるデフレギャップがゼロに近付き、それどころかマイナスとなった(逆にインフレギャップが発生)。ところが賃金が上がらず物価も一向に上昇しないのである。これが日本経済の現実の姿である。おそらくこれらの間抜けな面々にとっては信じられないことである。

そこでこれらの経済学者やエコノミストは、極めて卑怯な言い訳を行う。例えば「同じ可変NAIRUアプローチを使っても、研究者によってデフレギャップや潜在成長率の推定値に多少幅がある」「デフレギャップがゼロになると物価が上がりやすくなるだけ(必ず上がるとは言っていない)」と言った具合である。彼等は自分達の考え(経済理論)が根本的に間違っていることは絶対に認めない。そのうち本誌でも取り上げるが、認めると「まずい」のであろう。


NAIRUが潜在成長率を決めている

まずデフレギャップを失業率、つまり労働サイドだけに偏重して算定することがおかしい。供給力を規定する生産関数は、労働・資本・生産性の三要素ということになっている。しかしこれらの経済学者やエコノミストは労働と生産性をことさら重視するが、資本、つまり生産設備についてはほとんど触れない。

これについては

02/12/2(第276号)「日本のデフレギャップの怪」
http://www.adpweb.com/eco/eco276.html

で取上げた。生産関数に関し、経済企画庁時代の80年代及び90年代の労働への分配率は0.54から0.58であり、資本への分配率は、0.42から0.46であった(同じ年の両者を合計すると1.00になる)。ところが2001年度の「経済財政白書」では、資本のウエートがいきなり0.33に引下げられ、労働への分配率が0.67と大幅に引上げられている。これは伸びの低い労働(就業者数は、1970年から2000年では1.2倍にしか増えていない)への分配率を大きくしデフレギャップを小さく算定するためのトリックと故丹羽春喜大阪学院大学名誉教授は推察していた。おそらく資本軽視(労働重視)の流れは、最近もっと酷くなっていると筆者は認識している。実際のところ

06/3/6(第427号)「GDPギャップのインチキ推計法」
http://www.adpweb.com/eco/eco427.html


で述べたように、日本の設備稼働率は低く経済産業省の調査統計部経済解析室のIIPの稼働率指数担当者に直接聞いた話では72〜74%で推移していた。


また

02/7/15(第260号)「セイニアリッジ政策への反対意見」
http://www.adpweb.com/eco/eco260.html


で取上げたように、この話を裏付ける大手製造業に対するアンケート結果が日経新聞の02年7月8日の一面トップに掲載された。需要が増えた場合の増産方法を問うものであった。回答は複数回答であり、なんと驚くことに、断トツで第一位の回答は76%の「既存設備の活用、稼働率の引上げ」であった。おそらくこの余剰生産力は今日でも保持されていると筆者は思っている(原発が止まっても遊休状態の火力発電所を動かしたように、ある程度の余剰生産力を持っている)。

つまり日本の生産力は5〜10%程度の需要増に即座に対応できると思われる。しかも需要増による物価の上昇はほとんど考えられないのである。つまり今日のデフレギャップや潜在成長率の認識と議論は全く現実離れしている。


06/2/27(第426号)「潜在GDPとGDPギャップ」
http://www.adpweb.com/eco/eco426.html


で述べたように政府系エコノミストはGDPの過去の実際値の平均値や、景気動向指数を使って「潜在成長率」を算出している。つまりこれでは、大きく経済が落込こみ、かつその状態が長く続いた場合、落込んだ状態が普通、あるいは正常と見なすことになる。当然、デフレギャップはものすごく小さく算出される。特に日本経済はバブル崩壊、橋本政権の逆噴射財政政策、リーマンショックなどによる急激な落込みを経験している。

しかもその正常時とやらの失業率をNAIRU(インフレ非加速的失業率)と見なしている可能性がある。特に最近の労働偏重のデフレギャップの算出方法を考えると、極端な話、このNAIRU(インフレ非加速的失業率)だけでほとんど潜在成長率も決まることになる。


これらの一連の話に表立って「異」を唱えていたのは、筆者が知る限り故丹羽教授だけであった。唯一の例外は数年前に日経新聞の大機小機欄に掲載された「不況は潜在成長率を下げる」という「カトー」氏のコラムである。

17/11/13(第962号)「これからの重大な政治課題」
http://www.adpweb.com/eco/eco962.html


で述べたように、虚言・妄言が溢れる日経新聞にあって、「カトー」氏は「唯一まともで良識のある執筆者」と筆者は評価している。

まず「カトー」氏は、内閣府、日銀の両方とも、潜在成長率のNAIRUを使った推計値は信頼性が低いと指摘している。次に不況によって潜在成長率が下がっていることが考えられると言う。潜在成長率の低下は需要不足によるところが大きいと述べ、拡張的なマクロ政策が必要と説く。さらに「履歴効果」にも言及している(これについては来週号)。最後に「カトー」氏は消費増税などはもってのほかと締めている。
http://www.adpweb.com/eco/


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経済コラムマガジン 2017/12/25(968号)

狙いは需要創出政策の阻止


勝手に意味をスリ変え

ここ数週に渡りデフレギャップや潜在成長率などを取上げてきたが、これに関する議論が混乱していることを説明した。混乱の原因は、同じ経済用語でも使う者によってその意味が異なるからと筆者は考える。特に主流派と言われる経済学者やエコノミストが問題である。この違いをはっきりさせないまま彼等は勝手に議論を展開する。

そもそも彼等は経済論議を深めようといった意思を全く持っていない。もし議論を深めるつもりなら、最初に使う経済用語の意味や定義をはっきりさせる必要がある。しかし始めから議論なんかするつもりがないので、主流派の経済学者やエコノミストはこの重要なプロセスを省略し、一方的に片寄った持論を押付ける。日経新聞などはこの手のプロパガンダまがいの論説で溢れている。これら対し「おかしい」という意見を日本のメディアはまず取上げない。唯一の例外は、日経新聞では「カトー」氏のコラムぐらいである。


彼等と筆者達ではデフレギャップや潜在成長率の認識が異なる。筆者達は実際の供給力の天井と現実の名目GDPの差がデフレギャップと捉え、そのデフレギャップを元に算出した最大可能な成長率が潜在成長率と認識している。日本の供給力の天井は、主流派の経済学者やエコノミストが想定しているよりずっと高いというのが筆者達の主張である。

デフレギャップが1〜2%とか、ましてやデフレギャップがマイナスになる事態(つまりインフレギャップの発生)なんて絶対に考えられない。おそらく彼等は、日本ではなくインフレが常態化している中南米やアフリカなどの経済を想定した経済モデルでも使っているのであろう(あるいは「セイの法則」がある程度通用した19世紀の経済を想定)。


ところが今日、デフレギャップが極小(彼等のばかげたデフレギャップの算出方法で)となったにもかかわらず、一向に物価が上昇しない現実に直面している。先週号で述べたように、困惑した主流派の経済学者やエコノミストはデフレギャップのゼロの意味を「必ず物価が上がる」ではなく「上がりやすい状況になる」と卑怯にも勝手にスリ変えている。その程度の話なら、何故、彼等がこれまでデフレギャップや潜在成長率をことさら取上げて来たのか意味がない。

筆者は、政府機関は人心を惑わせるこれらの数字の算定を即刻止めるべきと言いたい(少なくともこれらのデタラメな経済数字の公表はするな)。もっとも主流派の経済学者やエコノミストの意図は見え透いている。人々(政治家を含め)が需要不足に関心が向かないないよう、供給サイドがパンク状態ということを強調したいのであろう。要するに財政出動による需要創出政策を阻止することが真の狙いと見られる。


先週号で説明したように、日本のデフレギャップや潜在成長率は、NAIRU(インフレ非加速的失業率)を意識して算出されている。この詐欺的な算出方法に同調する日経新聞は、日本中の人手不足の現場を必死になって捜し回って記事にしている。人手不足だからこれ以上の需要創出政策は不要と言いたいのであろう。

しかし人手不足の職場は、不正規雇用が中心で低賃金のところばかりである。例えば時給1,000円のアルバイトが足らないといった類の話になる。このような職場には、外国人の労働者が目立つのですぐ分る。しかし日経新聞を始め、日本のメディアは「時給1,000円」の意味を考えない。年間2,000時間も働いても(日本の正規雇用労働者の年間労働時間の平均はもっと少ない)、たった2百万円の収入にしかならない仕事である。一時的、あるいは片手間で働くのなら別だが、外国人を除けばそのような職場に人が集るわけがない。

もう一つの人手不足の現場は、昔から人々が敬遠する3Kの職場である。特に団塊の世代が引退しているので人手不足が顕在化している。ところがまだ有効求人倍率を見て、日本は完全雇用と言っている間抜けなエコノミストがいる。しかし求人の中にどれだけ多くの「ブラック職場」が含まれているか彼等は関知しないようだ。


履歴効果に負けないために

観念論者が唱えるNAIRU(インフレ非加速的失業率)や自然失業率を使ったデフレギャップや潜在成長率の算定方法が、「おかしい」という声はとうとう米国でも起っている。失業率が完全雇用に近いと言われるレベルまで下がっているのに、米国でも一向に物価は上昇しないし賃金の上昇も鈍い。特にこれを気にしているのが米FRBである。

16/8/22(第904号)「芥川賞受賞作「コンビニ人間」」
http://www.adpweb.com/eco/eco904.html


で述べたように、求人が増えているといっても「雇用の質」が問題とイエレンFRB議長は適確な指摘をしている。米FRBが金融政策の転換に慎重なのも、このような米国の雇用情勢が影響している。移民が多く新興国並の需要がまだ期待できる米国でも、自然失業率というものに対する疑問が呈されているのである。米国より経済が成熟し高齢化が進む日本で、NAIRU(インフレ非加速的失業率)を意識した議論がまかり通っていることの方が異常である。


そして日本経済が長く不調を続けることによって、本当の経済力を失うことを心配する声がある。先週号で紹介した「不況は潜在成長率を下げる」という「カトー」氏のコラムである。ここで言う潜在成長率は、NAIRU(インフレ非加速的失業率)に基づいて算出されるインチキ潜在成長率ではなく、本当の意味での日本の潜在的な成長力と筆者は理解している。ケインズが言っていた資本主義経済における経営者のアニマルスピリットみたいなものと考えて良い。

たしかにここ30年間を見ても、経済が上向くと「次は財政再建だ」という声が必ず上がり、緊縮財政に転換し日本経済の成長を阻止する動きが起った。例えば異次元の金融緩和と大型補正予算で13年度は日本経済が上向いたが、14年度の消費増税と補正予算の大幅削減で日本経済は沈んだ。このようなことを続けていては、経営者のアニマルスピリットが萎えるのは当たり前である。

また「カトー」氏は同コラムでサマーズ元財務長官の「履歴効果」を引合いに出している。「履歴効果」とは「不況が長引くと物的資本や人的資源への投資が減少し、不況の影響が履歴のように潜在成長率に残っていく」というものである。そして「カトー」氏は「履歴効果のことを考えると、潜在成長率の低下は需要不足によるところが大きい」と指摘している。したがってこの対策には拡張的なマクロ政策が必要と「カトー」氏は結論付けている。


サマーズ元財務長官は

14/6/30(第803号)「サマーズとトマ・ピケティ」
http://www.adpweb.com/eco/eco803.html

14/7/28(第807号)「三教授のサマーズ論の解説」
http://www.adpweb.com/eco/eco807.html

で紹介したように、「米国経済の長期停滞論」を展開している。サマーズ氏は、米国のデフレギャップが10%以上あると主張している。つまりNAIRU(インフレ非加速的失業率)や自然失業率を使ったデフレギャップの算出方法を完全否定しているのだ。したがってこれでは賃金が上がるはずがないとサマーズ氏は指摘している。

米国のデフレギャップが10%なら、生産設備の稼働率が米国より常に10%程度低く推移していた日本のデフレギャップは15〜20%程度と見て良いと筆者は思っている。またサマーズ氏は、「履歴効果」に負けないためには需要創出のマクロ政策が必要と説いている。ただし需要創出は財政政策を中心にすべきと主張し、金融緩和政策に偏重することをサマーズ氏は警戒している。

これは金融緩和政策への偏重によるバブル生成とバブル崩壊を危惧するからである。またサマーズ元財務長官は、米国だけでなく日本の経済政策にも同様のことが言えると指摘している(金融政策偏重に警鐘)。この意見に筆者は賛成である。しかし日本の来年度の予算編成を見ても、とても十分な財政政策が組込まれているとは思われない。筆者は新規国債発行による大胆な財政政策を主張してきた。しかし残念ながら、日本ではこれからも金融政策に偏重した政策が続くのである。
http://www.adpweb.com/eco/


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2017年12月25日
日本企業の格付け世界最強になっていた 資本移動で日経2倍もあり得る


日本企業の多くが無借金で米国より格付けが高く、成長余地が大きい
引用:https://www.nikkei.com/content/pic/20170613/96959999889DE3E5E7EAE5EAE2E2E3E0E2E4E0E2E3E5968693E2E2E2-DSKKZO1758781012062017DTA000-PB1-2.jpg


日本企業いつの間にか世界最強になっていた

2017年は日本企業の不祥事が相次いで、「日本企業がだめな理由」みたいな事が語られていた。

だがその裏で実は日本企業の体力は強化され、欧米企業より潜在力が高まり将来有望になっていました。

日経新聞によると日本企業の格付けはA以上が75%に達し、約40%のアメリカよりもかなり高い。


債務の少なさや潜在成長力などが評価され、デフレ不況の頃とは様変わりした。

2016年度末時点では上場企業約3,600社のうち、2,000社以上が実質無借金経営をしていました。

実質無借金とは手元資金から、借入金や社債などの有利子負債を引いた金額がプラスになる企業で、財務体質の健全さを示している。


一方でこのような無借金企業は、借金をしないために得られる筈の成長を達成していない可能性がある。

無借金を重視するあまり、借金をして投資すれば成長できるのに、その機会を逃しているかも知れない。

日本企業は2017年に過去最高益を挙げているが、それずら本来持っている成長力より、低すぎる可能性がある。


バブル崩壊から最近までの日本では、株式投資は危険だとして定期預金などゼロ金利投資にお金が流れていた。

確かに日本株は1991年から2011年まで20年間下げ続けたが、株式市場から資金が引き揚げられたので、企業は十分な投資を得られなかった。

日本の株式市場は水が枯れた井戸のようになり、企業は債務を恐れ、労働者の首切りを行って無借金経営を目指した。


資本の逆流は起きるか

過半数の日本企業は事業で挙げた自己資金のみで営業していて、外部からの投資を活用できていない。

もしバブル期の日本や現在のアメリカのように、十分な投資資金が企業に流れたら、大きく成長する可能性がある。

東証が「枯れた井戸」から湧き水を噴出し、企業が十分な資金を得たら、日本株は3万円や4万円にもなるかも知れない。


銀行は預金で集めた金の運用先がなく、数百兆円もの金が活用されずに余っているとも言われている。

企業も内部留保を有効に活用しておらず、新規事業に投資せず、慎重な経営をしている。

アメリカでは資産の7割が企業に投資されて現金は2割だが、日本はちょうど逆で、現金や預金が7割を占め活用されていない。


もし7割の現金預金が株式市場などを通じて企業に投資され有効に活用されて利益を上げたら、日本の株価は簡単に2倍になります。

これが日本で今後予想されている資本の逆流で、活用されずに余っているお金を利用すれば、バブル全盛期以上の成長も可能です。

裏返していえば現在の日本は国民が保有する資産の7割は活用されておらず、日本は本来の国力の3割しか使っていない。
http://www.thutmosev.com/archives/74208872.html



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Posted on 2015年1月31日 09:55
三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ーデフレを呼ぶ指標〜狂った羅針盤〜を導入した男とは…ー

 小泉政権期、竹中平蔵経済財政政策担当大臣(当時)の下で、いくつかの「指標」の変更が実施された。

 1つ目は、前回の「プライマリーバランス(以下、PB)黒字化」を財政目標として設定したことだ。短期でPBを改善させようとすると、政府はデフレ対策とは逆の、増税や政府支出の削減といった「デフレ化政策」しか取れなくなってしまうのだ。

 2つ目はデフレの主因たるデフレギャップ(需要不足)を計算する潜在GDPが「最大概念」から「平均概念」に変えられたこと。

 デフレギャップは「潜在GDP─名目GDP(現実の需要)」で計算される。それまでの潜在GDPは、失業率が「完全雇用」状態で、国内の全ての設備がフル稼働した際に生産可能なGDPとされていた。すなわち「最大概念の潜在GDP」だったのだ。国内の全てのリソースが稼働した時点のGDPと、現実の名目GDPの「差」が、デフレギャップだったのである。

 ところが、竹中氏の下、「潜在GDP」の定義は「過去の長期トレンドで生産可能なGDP」に変更されてしまった。つまりは「平均概念の潜在GDP」で「過去の失業率の平均」時点のGDPになる。現実には「労働者の余剰」「設備の過剰」が発生している。にもかかわらず、「平均」である以上、余剰人員・過剰設備時点のGDPが「潜在GDP」という定義になってしまう。

 わかりやすく言えば、デフレギャップが現実よりも「小さく見える」ように、再定義されてしまったのだ。

 決定的なのが「マクロ経済モデル」の変更だ。我が国の財政出動や消費税などの「経済財政効果」を測るマクロ経済モデルが、発展途上国型に変えられてしまった。信じられないかもしれないが、現在の日本はIMFなどが使う「途上国をインフレから脱却させる」ためのマクロ経済モデルを使用しているのである。これは何を意味するのか?

 途上国が財政危機に陥りIMF管理下に置かれると、増税と政府支出削減を中心とする「緊縮財政」の実施を強要される。

 97年の橋本政権では増税と緊縮財政がセットで行われた。その結果は01年自民党総裁選での橋本氏の言葉で明らかである。

「私が内閣総理大臣の職にありました時、財政再建のタイミングを早まったことが原因となって経済低迷をもたらしたことは、心からおわびをいたします」

 途上国型経済モデルでは、財政出動がGDP成長に与える「好影響」や、消費税増税による「悪影響」が、ともに小さくなってしまう。「デフレ」に苦しむ我が国の経済・財政の羅針盤が、途上国型モデルに変更され、常に増税と緊縮財政を指し示し続けているのだ。

 14年3月4日。自由民主党の西田昌司参議院議員が、国会でマクロ経済モデルは誰がいつ変更したのかを質問した。内閣府の担当官は「01年11月に変更された。内閣は小泉内閣」であり、その時の担当大臣は「竹中大臣」と回答した。

 PB目標、平均概念の潜在GDP、そしてマクロ経済モデルの変更──我が国の政府はデフレを深刻化させる「狂った羅針盤」を今も使い続けている。

 狂った羅針盤の全ては、竹中平蔵氏が大臣だった時期に導入されたということだ。不思議な話である。
http://www.asagei.com/excerpt/31692





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Posted on 2015年1月24日 09:55
三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ー経済をマイナス成長に叩き込んだ主犯は「竹中平蔵」だー

 前回、自民党の「悪魔の公約」ということで、「外国移民政策」について解説した。今回取り上げる「悪魔の公約」は、外国移民受け入れを上回るダメージを日本国に与える可能性がある。

 それは、基礎的財政収支(プライマリーバランス・以下PB)目標である。

 PBとは、国債の元利払いを除いた政府の歳入と歳出のバランスのことである。短期(単年度)でPBを改善しようとすると、政府は「増税」「政府支出削減」という緊縮財政に走らざるをえない。

 自民党の公約では、「財政再建」の項目に、以下のように書かれている。

「2020年(平成32年)度における、国・地方の基礎的財政収支の黒字化目標の達成に向けた具体的な計画を来年の夏までに策定します」

 第三次安倍政権は、早くもPB目標を決定している。14年度から15年度にかけ、PBを「各年度」4兆円程度改善。15年度には国・地方を合わせたPBの赤字を対GDP比で10年度の▲6.6%から▲3.3%に半減。そして、20年度には、国・地方のPBを黒字化するというものだ。

 そもそも、長期的な経済成長の「結果」であるPBを目標にする時点で奇妙な話だ。そのうえ、日本政府はPB目標を「単年度主義」で達成しようとする。これが最悪なのだ。

 政府が短期でPBの改善を図ると、デフレの我が国では間違いなく景気が失速する。14年4月の消費税増税も、もちろん「単年度のPB改善」を目的に実施され、実際に国民経済をマイナス成長に叩き込んだ。

 失速の結果、名目GDP(国民が稼ぐ所得の合計)が成長しなくなる。国民は税金を所得から支払うため、税収は名目GDPが原資となる。名目GDPが縮小すると、税収も減少し、歳入減でPBはかえって「悪化」することになる。

 逆に、政府が「名目GDPの成長」「デフレ脱却」のみを目標に据え、財政出動の拡大という正しいデフレ対策を実施すると、名目GDPが成長し、税収も勝手に増える。結果的に、歳入増によりPBは改善に向かうのである。

 政府の経済政策の方向を「真逆」に向けているPB目標だが、02年の小泉政権下、「ある人物」の判断で導入された。その人物こそ当時、経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏だ。

 それ以降、我が国は正しいデフレ対策を実施できなくなってしまい、デフレが長期化した。

 さらに、竹中氏が担当大臣だった時期に、デフレギャップ(需要不足)を計算する潜在GDPが「最大概念」から「平均概念」に変えられてしまった。結果、我が国は統計上のデフレギャップが小さく「見える」ようになり、デフレ対策が困難になってしまった。日本のデフレ長期化をもたらした「狂った羅針盤(奇妙な指標)」は、なぜかことごとく竹中氏が大臣だった時代に導入されたのである。

 なぜなのだろうか?

 そういえば、前回取り上げた「外国移民」が実際に日本で増えていき、さらに各種の労働規制の緩和が推進されれば、国内の労働者の競争が激化し、実質賃金が下がり貧困化する。一方、人材派遣会社は大いに儲けることになるだろう。

 竹中平蔵氏は、現在、人材派遣大手「パソナ・グループ」の取締役会長である。
http://www.asagei.com/excerpt/31397

Posted on 2015年2月7日 09:55
三橋貴明の「列島丸わかり」報告書 ーデフレを深刻化した「構造改革」でビジネスを増やした人がいたー


 小泉政権期に竹中平蔵氏の号令のもと「構造改革」がスローガン化した。しかし、その結果を正確に説明できる人はほとんどいないだろう。竹中氏が今でも大手を振って永田町を歩いていることがその証拠である。

 例をあげればキリがないのだが、橋本政権期の緊縮財政、小泉政権期の構造改革により、我が国は97年以前とは「異なる国」に変貌を遂げてしまったのだ。そのプロセスを説明しよう。

 デフレーションが深刻化すると、日本に限らず「構造改革」という声が力を持つ。デフレ期には国民所得の総計である名目GDPが伸びず、税収が減る。結果的に、政府の財政は必ず悪化する。そこで「構造改革」の主たちはこう叫んだ。

「国の借金で破綻する!」

 こうして、増税や政府支出削減といった緊縮財政がセットで推進された。結果、デフレの真因であるデフレギャップ(=需要不足)は悪化し、デフレ深刻化を招くことになったのだ。

 財政悪化とデフレ深刻化が交互に発生し、国民経済が縮小していく状況で、

「日本経済が成長しないのは、構造に問題がある。構造改革だ」

 という主張が説得力を帯びるようになった。

 そもそも構造改革とは民営化、規制緩和など、いずれも「供給能力を引き上げる」政策だ。供給能力が需要に対し過剰になり、デフレギャップが発生しているにもかかわらず、「需要削減策(緊縮財政)」と「供給能力拡大策(構造改革)」という、間違った政策が二重に実施されることになったのだ。当然デフレはさらに深刻化していった。

 緊縮財政と構造改革で国民経済が痛めつけられる反対側で「新たなビジネス」が生まれた。代表的なキーワードは「雇用規制改革」「公的サービスへの民間資本導入」「外資への開放」。

 例えば、橋本政権以降の「構造改革」により、日本では非正規雇用が増えていった。特に小泉政権下で「製造業」の派遣雇用を認めた影響は大きかった。

 デフレとは利益を出しにくい環境であるため、企業には「いつでも契約を解除できる」派遣社員を雇用したいという需要が存在した。そうした企業の需要に応える形で、労働規制が緩和され、賃金を「中抜き」する派遣会社のビジネスは拡大していった。

 政府の財政悪化が続く中、公的サービスに「民間資本の導入を!」という声も高まっていった。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)やコンセッション方式などにより、本来「公」が担わなければならない分野にまで民間企業が参入していった。信じられないことだが、日本ではすでに一部の「刑務所」の運営までもが、民間企業の「ビジネス」になっている。山口県の「美称」、兵庫県の「播磨」など、いくつかの刑務所がPFI方式で運用されているのだ。

 政府の医療サービスへの負担が重くなると、即座に「混合診療の解禁」という話も出てくる。混合診療解禁で自由診療が増えれば、国民の医療費負担は確実に増える。その分、自由診療の「ビジネス」に資本を投じた企業や投資家は儲かる。

 竹中氏は、現在、人材派遣大手であるパソナ・グループの取締役会長であることは以前書いたとおりだ。構造改革の裏で「ビジネス」を拡大した人々が、間違いなくいるのである。
http://www.asagei.com/excerpt/32010


 地方局の討論番組に出演した竹中平蔵氏(63)。民間議員を隠れみのにした特定企業への利益誘導を追及されるや、カメラの存在も忘れて激怒したのだった!

 5月10日、テレビ愛知「激論コロシアム」で、経済評論家の三橋貴明氏(44)が竹中氏をこう追及した。

「なぜ諮問会議などで民間議員という名の民間の経営者が、自分の会社の利益になるような提案をするのか!」

 現在、竹中氏は安倍政権の「産業競争力会議」の民間メンバーである一方で、人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長でもある。

 三橋氏は、竹中氏がその会議で「解雇自由化」などを提言し、人材派遣会社が儲かるように誘導していることを繰り返し指摘した。急所を突かれた竹中氏は、突然、顔を紅潮させて、こう声を荒らげたのだった。

「根拠のない言いがかりだ。失礼だ! 無礼だ!」

 竹中氏が逆ギレした瞬間、スタジオには緊迫した空気が流れ、“放送事故状態”になったという。

 その三橋氏が放送中の様子を話す。

「あのあと、コマーシャルに入ったのですが、竹中さんは1回席を立ちかけたのです。帰るのかなと思ったら帰らずに、そのまま出演し続けましたけどね。パフォーマンスで、あんな怒り方しないですよ。激高してしまったから自分でもヤバいと思ったんじゃないですかね。サラッと流せばよかったのに」

 この一幕は、動画サイトなどを通じて世間に知られることになった。竹中氏は、

「私はそれ(労働規制緩和)に対して何も参加していない。派遣法についても何も言っていない」

 と反論したが、そこには「ウソ」があることも露呈したのだ。

「彼の理論というのは、参加する会議でいくら発言しても、決定の場にいなかったら利益相反にならないだろうというものです。そんなわけねぇだろ! と思いますね。何であなただけ特権的に入って意見を述べているのですか? 何で一般人は意見を述べられないのですか? という話になりますから、彼の主張は通らないと思います。議事録を読めば明らかなのですが、竹中さんは、何度も労働規制緩和などの発言をしていますよ」(前出・三橋氏)

 その後、話題は「外国人メイド」へと移り、三橋氏と竹中氏は2度目のバトルを繰り広げる。竹中氏の主張は、外国人のメイドを雇って家事をやらせれば、女性が外に出て働くことができるというものだった。しかし、労働者が増えれば、一人当たりの賃金は当然下がることになる。そうした三橋氏の指摘に竹中氏は、

「政治家が実質賃金を切り下げるような政策をやるわけないでしょ」

 などと、ごまかし続けたのだ。前出・三橋氏が語る。

「あの人『外国人メイド』が好きなんですかね? 実質賃金が下がるっていう事実は、彼にとって言いたくないことなんですよ。もう1つ問題があって、パソナは『家ゴト コンシェルジュ』という家事代行サービスをやっています。外国人メイドを紹介するサービスをパソナは絶対に作り込んでくるわけで、これは明らかな利益相反でしょ? あまりにも露骨なんですよ」

 竹中氏といえば小泉純一郎氏が総理大臣だった時に、「既得権益」という言葉を使って官僚を攻撃していた人物だ。しかし、竹中氏こそ最強の「既得権益」になっていると、三橋氏は解説する。

「竹中さんは『維新の会』のブレーンをやっていましたよね。最近では公務員業務も派遣労働者になっていて、大阪市の公務員派遣労働者の多くをパソナが落札しているんです。一昨年の11月くらいで、竹中さんが維新にいた時です。彼は『これは市場競争でパソナが勝ったんだ』と言うかもしれないけど、やはり通らないでしょう」

 竹中氏が所属している産業競争力会議は、安倍政権下でも優先順位の低い会議だった。ところが現在では、最上位にある「経済財政諮問会議」と合同で会議を開くなど、いつのまにか順位を押し上げてしまった。

 知らぬ間に発言力を強めた竹中氏だが、いったい何をもくろんでいるのか。

「話はシンプルで、誰かの儲けのためにやっているわけですよ。公務員は公務員法で規制される、政治家は選挙で落とせる。でも民間議員の竹中さんを落とすことはできません。政治家は個人献金を年間最大150万円しか受け取れません。しかし、彼はコンサル料などの名目でいくらもらっても違反になりません。そんなに、政治に関わりたいなら国会議員になるべきでしょ。民間議員としてやるのは汚い」(前出・三橋氏)

 まだまだ“放送事故状態”は続いているのであった。
http://www.asagei.com/excerpt/23983


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三橋貴明 東京都の下水道運営権売却について 2018-01-04
 
 グローバリズムのトリニティとは、「規制緩和」「自由貿易」「緊縮財政」の三パッケージになります。

 規制緩和の中でも、レントシーカーたちにとって最も「美味しい」市場は、公的分野になります。


 ノーベル経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの言葉を引用します。


「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」


 米国の経済と社会は、グローバリズムという「鵺」により、レント・シーカーの王国と化していきました。


 公共セクターを規制緩和、民営化し、民間の「ビジネス」と化すために必要なものは何でしょうか。答えは、緊縮財政とデフレーションです。


 デフレにより、政府の財政が悪化する。すると、緊縮財政。


「今までは官が提供していたサービスだが、緊縮財政の一環として民間に委ねる」
 というレトリックが力を持ち、アメリカや日本の公共セクターは「民営化」され、そこに新規参入したレントシーカーが儲けるという構図です。


 例えば、地方財政の悪化を受け、「行政窓口」の民営化が実行に移されました。結果的に、パソナをはじめとする派遣会社が、行政窓口の仕事を「受注」し、多いに儲けています。


 パソナの取締役会長である竹中平蔵氏が、政府の諮問会議の「民間議員(と称する民間人)」として、民間企業のビジネスを生み出す規制緩和政策を推進しているのはご存知の通り。


 これが、経済が好調で、地方財政も潤沢であれば、行政窓口は普通に公務員でいいわけです。


「それでは儲からない」
 というわけで、財政悪化を大義名分に緊縮財政。緊縮財政の一環としてとして、政府の公共サービス、公的セクターを民営化するというスキームになっているのです。


 もはや、緊縮財政&公共サービスの民営化は一種の「信仰」と化してしまい、今や財政が好調の都道府県までもが、公共サービスの民営化を言い出す有様になってしまいました。


『民間への下水道運営権売却、東京都が検討
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25108280W7A221C1L83000/

 東京都は下水道施設の運営権の民間事業者への売却(コンセッション)を検討する。人口減少などをにらみ、包括的な民間委託も含め、経営効率の改善策を探る。災害対応などの課題を点検したうえで、3〜4年後をめどに新しい運営手法に移行する。

 下水道のコンセッションは26日の都政改革本部(本部長・小池百合子知事)の会議で検討課題として報告した。今後、老朽化した施設の更新などで事業費が膨らむ一方、人口減少で収入は落ち込む見通し。施設の維持管理など個別業務の委託にとどまらず、幅広く民間のノウハウを取り入れて経営基盤を安定させたい考えだ。

 下水道は公共インフラとして確実に維持する必要があるため、下水道法の規定で完全民営化はできない。このため都はコンセッションや包括委託などの形式を想定。2018〜19年に民間事業者の意向調査などを進め、20〜21年ごろから本格的な検討、試行に入る。

 下水道分野のコンセッションは浜松市が先行して取り組んでいる。小池知事は都内でも予想される人口減に言及して「コンセッションを真剣に考えてほしい」と話した。』


 記事にもありますが、浜松市は下水道の一部をコンセッション方式で民営化しており、浜松ウォーターシンフォニーが受注しました。


 浜松ウォーターシンフォニーは、フランスのヴェオリア社、JFEエンジ、オリックス、東急建設・須山建設グループが設立した特別目的会社です。


 何と、浜松の下水道コンセッションの時点で、「外国資本」が入っているわけです。つまりは「カネの移動の自由」という意味の自由貿易ですね。


 浜松の事例を見ると、緊縮財政、規制緩和(コンセッション)、自由貿易の三つが、シンフォニーを奏でていることが分かります。いやあ、見事なものです。


 それにしても、日本で最も財政的に豊かな東京都まで、コンセッションを進めるとは、藤井先生がFBに書かれていた通り、

『民営化をすることが「カッコイイ」というとんでもない勘違いをして、人々に何の役にも立たない(しかし、民営化で受注した大企業だけが儲かる)改革や民営化を進めようとしています。』

 という話なのでしょう。


 「改革」「民営化」「規制緩和」の多くが、実は日本国民の豊かさには結びつかず、外資系を含めた特定企業の利益拡大にしかならないという現実を多くの国民が理解しない限り、我が国の公共サービスは売られ続け、スティグリッツの言う「贈り物」をレントシーカーたちに搾り取られ続けることになるでしょう。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341669390.html


三橋貴明 水道・下水道の民営化と再公営化 2018-01-05

 昨日の続きですが、今年は日本政府による公共サービスの売却(事実上の)という「売国」、一部企業、投資家に対するレントの提供が一気に進みそうな状況です。


『公共インフラの民間売却容易に 自治体の負担軽く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25291440T00C18A1MM8000/

 政府は地方自治体が運営する公共インフラの民間への売却を促すためPFI(民間資金を活用した社会資本整備)法を改正する。上下水道や公共施設の運営権を売却する際、地方議会の議決を不要にし、国から借りたお金を前倒しで返すことも認める。公共インフラの老朽化が進む中、民間の資金を使った低コストの運営に転換し、公共料金の引き下げも視野に入れる。(後略)』


 政府は昨年、PFI推進の行動計画を改定し、インフラ売却などの合計額を22年度までの十年間で21兆円とする目標を掲げました。


 つまりは、21兆円の「国民の資産」が売り払われ、外資系企業を含む特定企業や投資家の「利益の源泉」と化すわけでございます。


 改めて、スティグリッツ教授の言葉を掲載します。


「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レント・シーキング”を呼ぶ」


 アメリカでは、すでに相当に進んでしまったレント・シーキングの大波が、今、日本国に押し寄せているというわけです。


 ゲームのルール(政府の規制)を自分たちに都合が良いように作り、公共セクターから贈り物を搾り取る。


 そのためには、政府の諮問会議(規制改革推進会議など)に経営者(例:竹中平蔵氏など)が「民間議員」として乗り込み、国民の代表である国会議員の頭越しに政策を推進する。


 種子法もそうでしたが、「国民の安全や豊かさ」を追求するためには、コストがかかるのです。そこに「利益」という発想を持ち込んではなりません。
 


 日本の種子が素晴らしい(素晴らしかった、と過去形になりそうですが)、具体的には「有料で多種多様な種子」が安価に農家に提供されていたのは、国民の税金で支えていたためです。


 あるいは、日本の水道や下水道サービスの品質が素晴らしいのは、「利益」ではなく「国民の生活」を求めて、コストが費やされてきたためなのでございます。


 そこに「利益」を追求する民間事業者を参入させる。


 いかなる屁理屈をこねようとも、「利益」を追求する限り、公共サービスの品質は下がるか、もしくはサービス料金が上がらざるを得ないでしょう。


 というか、その種の事例は世界に満ち溢れており、世界的な趨勢は、水道・下水道サービスの「再公営化」なのでございます。特に、アメリカ、フランス、ドイツなどの先進国において、再公営化が進んでいます。


 パリやベルリンといった大都市の水道も、民営化されていたのが再公営化されました。


 再公営化の理由は様々ですが、とりあえず水道・下水道民営化の「謳い文句」の嘘が明らかになったことが決定的でした。


 具体的には、


● 民営化により管理運営が劣悪になった
● 投資の不足
● 事業コストや水道料金をめぐる対立
● 水道料金の高騰
● 民間事業者に対する監督が困難
● 財務の透明性欠如
● 人員削減
● 劣悪なサービス品質


 などになります、


 失敗が明らかになっているにも関わらず、日本政府は民営化を推し進めようとしている。


 結局、安倍政権が「日本国民」のためではなく、一部のレント・シーカーたちのための政権であることが、種子法廃止や水道・下水道民営化の動きを見ていると分かります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12341929267.html



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財務省が日本を滅ぼす 三橋貴明 (著)
https://www.amazon.co.jp/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E7%9C%81%E3%81%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%BB%85%E3%81%BC%E3%81%99-%E4%B8%89%E6%A9%8B%E8%B2%B4%E6%98%8E-ebook/dp/B076LDY8G8/ref=asap_bc?ie=UTF8

「財務省の大嘘」をすべて暴く!

「財政破綻するから消費増税やむなし」というロジックに騙されるな。

気鋭のエコノミストが最新データを徹底分析。日本に財政破綻など起こりえないこれだけの理由。

「国の借金は1000兆円を超える。日本人1人あたり800万円以上の借金を背負っている計算になる。子や孫の世代にツケを残さないためにも消費増税は不可欠だ」――新聞やテレビでもさんざん流されるから、このようなロジックを耳にしたことはあるだろう。でも、全部デタラメだ。そもそも、バランスシートの負債の部だけを取りあげて1000兆円の借金とは会計上でも間違っている。 

政府資産は672兆円もあるし、そもそも負債の部にある「公債」「短期証券」のうち500兆円は政府の子会社である日本銀行の持ち分だ。連結決算すればチャラだし、そもそも現在、日銀の黒田東彦総裁は財務官時代に日本の格付けをボツアナ以下にした海外格付け会社に「日米などの先進国の自国通貨立て国債のデフォルトは考えられない」と抗議していたくらいだ。

 それなのに、国内に向けては「財政破綻論」をまき散らす。黒幕は財務省だ。国際機関(財務省OBの天下り先)を使って「増税せよ」と外圧をかけてくる。そして、緊縮財政を実行して、日本国を小国化させようとする。国益よりも省益が大事なのだ。このままでは「亡国」に至ること必至だ。

____


2017年12月15日
【三橋貴明】安倍晋三内閣総理大臣との会食


さて、ご存知の方が多いでしょうが、総理と会食し、
小学館「財務省が日本を滅ぼす 」を進呈。

本書の内容について、多いに議論をさせて頂きました。

まずは、2010年の参議院選挙の際に、
応援演説をして頂いたことについてお礼申し上げ
(今まで機会がなかったので)、
その上で和やかに「シビアな話」をさせて頂きました。

内容について、全て書く気はありませんが、
重要なポイントだけ申し上げると、

(1)
「財務省が日本を滅ぼす」を書いた三橋との会食を持ちかけたのは
両端の方々ですが、「クローズではなく、オープンで」と決めたのは
官邸であること(オープンなので、総理動静にも載りました)

(2)
何をやるにしても、全てPB黒字化目標が「壁」となり、
何もできない。という現実を、総理は認識していること。

(3)
だからと言って、
「総理はPB黒字化目標が問題であることは
分かっているんだ。ああ、ならば大丈夫だ」
などと思ってはいけないこと、の三つになります。

特に重要なのは(3)で、総理が真実、
PB黒字化目標が問題であることを理解していたとしても、
だからと言って現行の緊縮路線が転換されるわけではありません。

財務省主権国家「日本」をなめてはいけません。

現在の日本を財政拡大に転換させるのは、
たとえわたくしが総理大臣の座にいたとしても無理です。

なぜならば、「政治家」「世論」「空気」が
緊縮歓迎になってしまっているためです。

そのように、財務省のプロパガンダが展開され、
多いに成功を収めているのです。

この空気を変えるためには、
やはり「言論」を動かさなければなりません。

特に、緊縮路線を進み続ける安倍政権を、
「正論」に基づき批判しなければならないのです。

といいますか、安倍総理の支持者の方々こそ
(わたくしは違います)、むしろ積極的に
安倍政権の緊縮路線を攻撃する必要があるのです。

何しろ、政治は「結果」が全てです。

そして、安倍政権の「結果」は、緊縮路線なのです。

「安倍総理は、財政拡大が必要だと分かっている!!」
などと、総理を褒め讃えたところで、
結果的に緊縮路線が継続するならば、我が国は「亡国」です。

『所得税改革、21年以降も 労働市場変化に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24546420S7A211C1MM8000/

2018年度与党税制改正大綱の原案が12日、明らかになった。
所得税改革では年収850万円超の
会社員を増税することを盛り込んだ。

多様化する働き方に対応するため、誰もが使える
基礎控除を増やし会社員向けの給与所得控除を減らす。

20年1月から実施する。

大綱では21年以降も基礎控除の充実をはかり、
労働市場の構造変化に対応する方針を明記した。

与党は14日に大綱を正式決定する。(後略)』

総選挙の際には「しょとくぜいかいかく」の「しょ」の字も
出てこなかったわけですが、選挙が終わった途端に
当たり前のように「所得税改革」が推進され、増税が決まる。

所得税増税に加えて、出国税(観光促進税)、
たばこ増税と、次から次へと増税路線。

これが、安倍政権の「結果」です。

何しろ、プライマリーバランス黒字化という
「毒針」を抜くことができていませんので、
高齢化により社会保障支出が増加する以上、
19年の消費税増税、さらには所得税等の増税、
診療報酬・介護報酬の削減、公共投資削減、
防衛費や科学技術予算、教育予算、
食料関係費等の抑制は「既定路線」です。

例えば、昨夜は「農業問題」でも議論し、少なくとも、

「日本のコメ等を輸出し、食料生産能力を維持するには、
輸出補助金(アメリカのように)つけなければならない」

という点は一致を見たのですが、結論は、

「でも、PB黒字化目標があるから、できない」

なのでございます。

すなわち、勝負は「PB目標破棄」に絞られます。

最低でも、18年6月の閣議決定の際に
PB目標を破棄できなければ、話になりません。
(それが実現したとしても、予算に反映されるのは19年度から・・・)

PB黒字化目標という「毒針」を抜くためには、
世論や政治家の空気をそちらの方に動かさなければ、
誰が総理大臣であっても「不可能」なのが現実の日本なのです。

日本には救世主はいません。

「財務省が日本を滅ぼす」の三橋が総理と会食した程度で、
政策が良き方向に向かうはずがないのです。。

(ついでに、会食したからといって、
「三橋が安倍に懐柔された」などという話にもなりません。
何で税金で一回ご飯を食べさせてもらったくらいで、
そうなるのですか。政治は、あるいは政治家は結果が全てです)

それでも、「財務省が日本を滅ぼす 」の三橋が
総理と会食し、「PB黒字化目標が問題」という点について
合意を見たことは、もしかしたら政治的な
影響があるかも知れないわけです。
(というわけで、ツイッターの背景写真はしばらくあのままにしておきます)

それにしても、ここまでやっている以上、
近い将来、わたくしに何らかの「スキャンダル」が出るか、
痴漢冤罪で捕まるか、弊社に国税が来るのは
避けられないでしょう。

わたくしは政治家ではないため、
スキャンダルは大したダメージにならず、
痴漢冤罪を避けるために電車移動もしないため、
やはり「国税」という攻撃が最も可能性が高いと思います。

それでも、やりますし、続けます。

わたくしたちの子孫が、中国の属国民として
生きるという悪夢の未来を避けるために、
現代を生きる日本国民として責任を果たすために。
https://38news.jp/politics/11413


2017年12月17日
【三橋貴明】安倍晋三内閣総理大臣と会食しました

【近況】

2017年12月12日、
首相公邸で総理と会食しました。

しかも、官邸側の要望で
「オープンな会食」となりました。
(そのため、首相動向にも載りました)

なぜ、官邸あるいは総理は
三橋を会食に招いたのでしょう。

総理が断定されたわけではないですが、
要するにこういうことのようです。

まずは、総理が財務省の
「プライマリーバランス黒字化目標」や
緊縮財政を問題視している(これは確実です)。

ところが、自民党の国会議員たちが、
総理は「PB黒字化路線を堅持しようとしている」と、
妙な誤解をしている
(西田昌司参議院議員まで勘違いをしていました)。

PB目標や緊縮財政について、
自民党の議員たちから「問題だ」
との声を上げさせたい。

というわけで、政治的なメッセージとして
「財務省が日本を滅ぼす」の著者である
三橋を招き、同書籍と共に写真に写った。

さて、総理がPB黒字化目標を
問題として認識しているとして、
「ああ、良かった」となるでしょうか。なりません。

そうではなく、

「PB目標が問題だと分かっているならば、なぜ破棄しないんだ!
総理も閣僚も、自民党の国会議員も、さっさと動け!」

と、怒りの声をぶつけることが正解になります。

総理がPB目標の害悪について
理解していたとしても、
結果が出なければ意味がありません。

いみじくも総理が仰ったように、
政治とは「結果」なのです。

分かっているなら、さっさと結果を出せ!

と、以前にも増して批判を展開する
必要があるという話でございます。

◆人手不足解消合宿 〜人手不足は利益拡大の絶好のチャンスだ!〜
http://www.38news.jp/sp/mituhashisemi/2018_02.php#top

◆ソーシャルレンディング最大手maneoの瀧本憲治氏との大人気コンテンツ「ムダな公共事業はあるのか?資本主義の黄金時代1」がリリースになりました。
https://youtu.be/paaPD-d1zF4

◆11月30日 徳間書店から「2018年 戦争へ向かう世界 日本経済のラストチャンス」が刊行になりました。
http://amzn.to/2A4LgKi

◆10月31日。小学館から「財務省が日本を滅ぼす」を刊行しました。
http://amzn.to/2giPiXA

◆週刊アサヒ芸能 連載 列島報告書 第145「「経済学」を乗り換えて後、デフレ脱却の時は来るのか!?」
http://www.asagei.com/

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第251回「橋が通行止めになっていく国」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/


◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol447 グローバル株主資本主義の害悪
http://www.mag2.com/m/P0007991.html

グローバル株主資本主義が、なぜ「滅びの道」なのか解説しています。

2017年12月24日
【三橋貴明】三橋経済塾第七期開講!


【近況】
2017年12月20日の日本経済新聞

「もっと吹かさないと 迫真(2) 」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24816830Z11C17A2EA1000/

を読むと、先日の西田先生、藤井先生、三橋と
安倍晋三内閣総理大臣との会食について、
「政治利用」が始まっていることが分かります。

官邸側は、会食を

「総理から自民党の国会議員に対する、
財政拡大を求めるメッセージ」

として利用。

それに対し、財務省は「手下」の
日本経済新聞を用い、

「安倍政権や自民党が『我田引水』的に
公共事業や農業予算を増やしている」

という印象操作を図り、緊縮財政路線の
堅持を狙っています。

また、リニア新幹線の発注に際し、
大手ゼネコンが「不正な受注調整」を行い、
公正取引委員会が入った事件について、

「リニア談合!」

といった報道がされている件についても、
裏に「財務省」の影が見え隠れします。

リニアの件は、独占禁止法の
「不当な取引制限」に該当する可能性がありますが、
「入札談合」ではありません。

不当な取引制限には二種類あり、
入札談合に加えて「カルテル」があるのです。

カルテルとは、事業者や業界団体の構成事業者が
相互に連絡を取り合い、各事業者が自主的に
決めるべき商品の価格や販売、生産数量などを
共同で取り決める行為になります。

つまりはマスコミは今回の件について
「不正な受注調整」と表現するべきなのですが、
なぜか「リニア入札談合」と報じられている点に、
違和感を覚えるわけです。

「また、談合か・・・・」

と、談合という(大変遺憾なことに)
ネガティブな印象の言葉を連呼することで、
今後の公共投資拡大を妨害している
ように思えてなりません。

「また、談合が蔓延るから、公共投資はダメだ。
実際、リニアの件も、談合が問題になったじゃないか」

というレトリックでございますね。

リニアの「不正な受注調整」の件を見ても、
日本のマスコミが「正しく報道していない」ことが分かります。

何しろ、大手新聞やテレビは
財務省の記者クラブ「財政研究会」の
コントロール下にあります。

国民はマスコミ情報に騙され、
財務省の思うがままに緊縮財政路線を
「善」と思い込んでしまう。

マスコミや財務省の偽情報に
踊らされないためには、正しい知識、知見を身に着け、
情報を「正確に読み取る」しかありません。

具体的には、定義し、細分化し、相対化するのです。

この手の技術は「訓練」「経験」
なしでは身に付きません。


◆週刊アサヒ芸能 連載 列島報告書 第146回(最終回)「美しい数学モデルを描きたい経済学者のバカバカしい欲求」
http://www.asagei.com/


◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第252回「プライマリーバランスという毒針」

なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/


◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol448 フリードリッヒ・リスト
http://www.mag2.com/m/P0007991.html

今週は人類の歴史を変えることになった「国民経済」学者フリードリッヒ・リストについて取り上げました。


12月22日(金)  チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。

【Front Japan 桜】独禁法が日本を滅ぼす / 世界潮流〜ナショナリズムVSグローバリズム[桜H29/12/22]
https://youtu.be/Ge5vdnhPdT0
http://www.nicovideo.jp/watch/1513922384

◆チャンネルAJER
『毒針〜プライマリーバランス黒字化@』三橋貴明 AJER2017.12.19
https://youtu.be/hIKxO1TZJAc

https://38news.jp/economy/11446


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経済コラムマガジン 2018/1/22(970号)

再びノストラダムスの大予言


反省のない予言者達

夕刊フジ系列のZAKZAKで、高橋洋一氏(元内閣参事官)が「日本の財政破綻は避けることができず、その日は近い」という予言めいた話の顛末を取上げていた。この予言は日本の有力な経済学者や財政学者が発したものである。これらの学者は東大金融教育研究センターに集い「「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会」なるものものを立ち上げ、日本の財政破綻を警告した(この研究会の活動期間は12年6月から14年10月まで)。彼等は近いうちに日本の財政破綻は必至であり、これによって日本はメチャクチャになると予言していた。

この研究会に集った学者は錚々たるメンバーであり、この予言は経済学界に限らず政治家や官僚、そしてマスコミにも大きな影響を与えたと思われる。この「大予言」の目的は、研究会が発足した時期(12年6月)を見ても分るように、民主党の野田政権が強力に押進めていた「税と社会保障の一体改革」(消費税率の10%への引上げ)を援護射撃することと筆者は見ている。


人々に行動を起こさせるため、大袈裟な言動や嘘に近い表現が使われることはよくある。これによって不安な心理に落とし込み思考を停止させ、相手を自分達の意のままに操ろうとする。要するにこれは詐欺商法である。

1973年11月に発行された「ノストラダムスの大予言」(五島勉著)という本が大ベストセラーとなった。「1999年の7月に恐怖の大王が降臨し人類は滅亡する」という予言を紹介したものである。本の内容が人々の不安心理を大いに刺激したことが、ベストセラーとなった理由と見られる。ちょうど本書が発行される前月に第四次中東戦争が起り、これが第一次オイルショックの引き金となった。物価が高騰し世の中が騒然とする中で本書は発行された。発行されたタイミングが絶妙であり、この本は250万部と爆発的に売れた(シリーズ全部で500万部以上)。「ノストラダムスの大予言」はマスコミでも頻繁に取上げられ一大ブームになった。


高橋洋一氏は「「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会」の提言は、この「ノストラダムスの大予言」と構図が全く一緒と指摘している。たしかに人々を不安に落としめるという点で両者は全く同じである。一方はこれによって本を売ることが狙いであり、他方は消費増税のムードを盛上げることが目的と考えられる。

また人々を不安に落としめる根拠がいい加減という点でも両者は共通している。1555年に発行されたフランスの医師で占星術者のノストラダムスの「予言集」を元に、五島勉氏が脚色して書いたのが「ノストラダムスの大予言」である。もっともこの本の基本はエンターテイメントであり、根拠としての科学性をうんぬんするものではなかった。


しかし研究会の「財政破綻の話」は事情が大きく異なるであろう。いやしくも有力な経済学者や財政学者が集って予言を行ったのである。当然、彼等の「予言」には大きな責任が伴うはずである。これによって日本の財政に不安を感じた人々や政治家が少なからずいたとしたなら大問題である。またこの「予言」が消費増税止むなしというムードを作ったのなら、筆者は見逃すことはできない。

「ノストラダムスの大予言」の大騒動は、当たり前であるが1999年7月の人類滅亡がなかったことで完全に終結した。しかし長い間、人々に不安を抱かせたという点で罪は重い。ただ著者である五島勉氏が、本を売るために大袈裟な表現を使ったことを認め、反省しているという話を高橋氏は紹介している。ところが一方の財政破綻を予言した学者達からは全く反省の弁が発せられないと、高橋氏は厳しく批判している。筆者も高橋洋一氏に全く同感である。


日本の財政は本当に厳しいのか

実は本誌でも12年前に同じ主旨で

05/4/11(第385号)「ノストラダムスの大予言」
http://www.adpweb.com/eco/eco385.html

を取上げたことがある。この時には、財政再建派だけでなく構造改革派も批難の対象にした。とにかく人々の不安をいたずらに煽って、自分達の論理を押し通そうという手法に筆者は強い反感を覚える。

「ノストラダムスの大予言」の大ヒットの影響もあってか、荒唐無稽の話を持出し人々を不安に落とし込めるという話や商法がその後流行った。ただし「ノストラダムスの大予言」の場合には、1999年7月という期限付きだったから救いがあった。ところが「財政破綻」の方は、はっきりと期限が明示されているわけではなく、もっと悪質と言える。ちなみに「ノストラダムスの大予言」が話題になったのは、世界の中で唯一日本だけである。


筆者が12年前に「ノストラダムスの大予言」を取上げたのは、昔、これに影響され高校進学を断念したある若者から話を聞いたことがあったからである。この人物は、中学生の時に「ノストラダムスの大予言」が流行り自分もこれを完全に信じたという。どうせ世の中が終わるのならこれ以上勉強を続けることは無意味と高校に進学しなかったと言っていた。他にもサリン事件を起こした宗教団体のメンバーがこの終末論に影響を受けていたと筆者は見ている。このように「ノストラダムスの大予言」に人生を狂わされた者が現実にいたのである。

この若者の判断は極端で例外的と決め付けることは簡単である。しかしどのように荒唐無稽な話であっても、少なからず影響を受ける者がいることを無視するわけには行かない。ましてや日本の有力な経済学者や財政学者がこぞって「ノストラダムスの大予言」に匹敵するような大嘘をついたのである。


日本の財政は悪いとずっと言われ続けてきた。もちろん背景には、「ノストラダムスの大予言」めいたこのような「財政破綻伝説」があったと筆者は見ている。一番の問題はかなりの日本人がこの「大予言」に洗脳されていることである。一般の国民だけでなく、多くの政治家や官僚もこれに騙されている。

文芸春秋1月号に経産省の若手官僚の対談が掲載されていた。対談のテーマは「不安な個人、立ちすくむ国家」というウェブで公開され話題になったレポートについてである。このレポートは、経産省の若手官僚が一年という時間をかけ高齢化社会などいくつかの問題を分析し、ある程度の対応策を示したものである。

しかし筆者が一番気になったのは、出席した官僚の一人の「将来展望が暗く、財政的にも厳しいのに・・」というセリフである。明らかにこの官僚は「財政破綻伝説」にマインドコントロールされていると筆者は見る。おそらくほとんどの官僚は同様と思われる。若手の官僚が日本社会を分析することは結構なことであるが、その前に日本の財政が本当に厳しいのか問い直すことの方がずっと大事と筆者は言いたい。もし日本の財政に問題がないことを知れば、対応策はどれだけでも考えられるはずである。


前述の通り、程度に差があっても人々は日本の財政に問題があると昔から洗脳されてきた。しかし2013年に日銀の異次元の金融緩和が開始されたことによって、日本の財政問題は完全に解決した。この理由は本誌でこれまでも説明してきたのでここでは省略する。

このことに気付いた予言者である経済学者や財政学者は焦っていると思われる(中にはまだ気付いていないアホ学者もいるかもしれないが)。これによって彼等の「大予言」が窮地に立たされることになったのだ。だから彼等は「財政を混乱させる財政ファイナンスは即刻止めろ」「早く金融緩和の出口戦略を」と騒いでいる。
http://www.adpweb.com/eco/



▲△▽▼

経済コラムマガジン 2018/1/29(971号)
日本の経済論壇の病根


御用学者に希望者が殺到

先週号で日本の財政破綻を警告する「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会」なるものものの活動期間が12年6月から14年10月までという話をした。研究会が発足した頃、日本の経済論壇と日経新聞を始めとした日本のメディアは「消費増税推進キャンペーン」の一色であった。筆者はこの動きを胡散臭く異様に感じた。

研究会が立ち上がった当初(12年の6月)から、これに対する批判を筆者は行った。事が重大なので

12/7/2(第714号)「増税騒動の感想」
http://www.adpweb.com/eco/eco714.html

をスタートに

12/8/6(第719号)「御用学者の話」
http://www.adpweb.com/eco/eco719.html

まで実に6週に渡り連続して消費増税を取上げた。


特に

12/7/23(第717号)「吉川洋東大教授の文章」
http://www.adpweb.com/eco/eco717.html

で述べたように、この時の「消費増税推進キャンペーン」はそれまでとは異質であった。それまでは増税を主張するのは、経済学者の中でももっぱら財政学者であった。ところがこの時のキャンペーンは、吉川洋東大教授など理論経済学者が前面に出てきたのである。したがって経済学者総動員での「消費増税推進キャンペーン」ということになった。

まず世間では財政学者=御用学者という認識がある。この認識はほぼ正しいと言える。したがって元々怪しい存在である財政学者が前面に出るのではなく、理論経済学者が積極的に増税のための論陣を張ったと筆者は思った。


日本の経済学者のほとんどは、

08/10/6(第544号)「マンキュー教授の分類」
http://www.adpweb.com/eco/eco544.html

で取上げたように、反ケインズのニュークラシカルの構造改革派である。またケインジアンであっても時流に乗って構造改革派に転向した学者もいた。彼等は、新自由主義者であり「構造改革なくして経済成長はない」といった虚言・妄言を発していた。おそらく彼等はこの構造改革派の路線に行き詰っていたのであろう。

今度は構造改革派の経済学者が、こぞって財政再建派に雪崩れ込んで来たという図式になった。昔の経済学者は、御用学者と呼ばれることを「恥」と思う気概があった。ところが今日、「御用学者」に希望者が殺到している。ただし今日の「御用学者」は、現政権(官邸)に協力するのではなく、財務省にゴマをすることに徹している。したがって財政支出の削減と増税を彼等は主張する。


本来の新自由主義者なら、小さな政府を指向することから、財政支出の削減と減税を主張すべきである。ところが今回は減税ではなく増税を主張し始めたのである。「御用学者」として認められるなら何でもするのが彼等の流儀と見られる。

彼等は、消費増税が実施され一時的に経済が低迷しても、すぐにV字回復するとこぞって主張していた。しかしこれが彼等の命取りとなった。14年に消費増税が実施されると、それまで順調に回復していた日本経済は急激に落込んだ。その後、補正予算を組んだり追加の金融緩和が実施されたが、日本経済は低迷したままである。


これで日本の経済学者への信頼は地に落ちた。この結果、官邸は一部の日本の経済学者と米国の経済学者のアドバイスしか受入れなくなった。もっともこれは日本の経済学者の自業自得といったものである。これについては

16/3/28(第885号)「終わっている日本の経済学者」
http://www.adpweb.com/eco/eco885.html

でも取上げた。

近年の日本の経済政策は、「構造改革なくして経済成長はない」という構造改革派の虚言・妄言と財政再建派の「財政破綻伝説」に翻弄されてきた。先週号で述べたように、官僚もこれら二つの「大予言」にどっぷりと漬かり完全に洗脳されている。とにかく日本の経済成長率は、ずっと主要国の中にあって一番低い(IMFの予想で18年が1.2%)。これから脱却するには、まず二つの「大予言」のばかばかしさに気付く必要がある。


ペンネーム「風都」のコラム

日経新聞1月13日の大機小機に「経済政策論争の流儀」と奇妙なコラムが載った。海外のノーベル経済賞受賞者が来日し「消費税増税を急がずとも日本の財政に問題がない」と発言しているが、日本の経済学者は公式に反論すべきという声が起っているという。ところが増税を推進してきたはずの日本の経済学者は、これに対し声を全く上げないのである。

これについてコラムの執筆者であるペンネーム「風都」氏は、ノーベル経済賞受賞者の意見が学術論文ではないので反論しないだけと、彼等を完全に擁護する話をこのコラムで書いている。また学術論文になっていないものは、真面目な発言かどうか分らないとまで言っている。最後に「風都」氏は大学以外の機関(民間シンクタンクなど)が、政策論争での意見表明を評価し、経済学者の業績評価する仕組が必要と結んでいる。全体を通し、筆者にとっては本当に意味不明なコラムである。


筆者は、単純に「御用学者」化した日本の経済学者の言っていたことが、完全に間違っていたことが明らかになったからと考える。間違っていたから彼等は反論できないだけと解釈している。前掲の

08/10/6(第544号)「マンキュー教授の分類」
http://www.adpweb.com/eco/eco544.html

で説明したように、本来、彼等は「象牙の塔」にこもって研究しているべき経済学者である。つまり元々彼等は現実の経済政策について口を出してはいけないのである。実際のところ、今日の日本には、現実の経済について適切なコメントができるほどの経済学者はほとんど皆無と筆者は見ている。

ところで「風都」氏は「プロの経済学者の政策論争への関わり方は近年問題が多い」と言う妙な発言からこのコラムを始めている。このプロの経済学者と言うのは経済学博士号を取得し大学等で研究している者を指すという。もちろん筆者などはプロの経済学者から一番遠い存在である。どうも「風都」氏は、筆者などが経済や経済学者について「つべこべ」発言するなと言いたいのであろう。

たしかに筆者は、日本の経済学者について酷い発言を行ってきた。日本の大学の経済学部なんて「失業対策事業」と言い切ったこともある。しかし今もこの見方は変っていない。だから「風都」氏のこの奇妙なコラムを読んで、日本の経済学者の不甲斐なさを取上げようと思ったのである。


ところで筆者にもお世話になった経済学者はいる。例えば丹羽春喜大阪学院大学教授や宍戸駿太郎筑波大学名誉教授である。ご両人から筆者達は本当に良い薫陶を受けた。しかし残念ながら二人とも昨年の暮に故人となられた。ちなみにご両人から今日の日本の経済学界(内閣府を含め)が異常という話をずっと聞いていた。

もう一人お世話になったのが先日急に亡くなられた西部邁さんである。西部さんは保守派の論客として知られていたが、スタートは経済学者であった。

17/3/13(第930号)「アメリカの分断を考える」
http://www.adpweb.com/eco/eco930.html

で述べたようにカリフォルニア大学バークレー校やケンブリッジ大(ジョーン・ロビンソン教授の元へ)に留学している。

ちょうどジョーン・ロビンソン教授が「異端の経済学(宇沢弘文訳)」を書いている頃であった(筆者はご本人に直接確認した)。しかしケインズ経済学を否定するシカゴ学派の台頭などによって、西部さんは日本の経済学界に居場所がなくなったと思われたのであろう(たしかに大学での助教授選任の問題があったと言われているが)。したがって経済学に絶望を感じ保守派の論客に転身したと筆者は理解している。ただ筆者は日本の財政に問題がないことについて、お茶の水の「山の上ホテル」のロビーで西部流の説明を受けたことがある。このようにまともな経済論客が次々と亡くなっている。

ペンネーム「風都」氏のコラムを読んで、日本の経済学界はもうダメと感じる。来週はこれについて述べる。
http://www.adpweb.com/eco/



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「いわゆるリフレ派」の終わり 2018-02-03


 日本銀行の岩田規久男副総裁が、五年間の「いわゆるリフレ派の社会実験」の結果、物価目標2%が未達に終わりそうなことについて、

「金融政策は一生懸命やったが、他の政策が逆風では、はねのけることができない」

 と、敗北を認めました。(ちなみに、日本銀行が精一杯やったことは否定しません。マイナス金利政策は余計ですが)


『岩田・日銀副総裁  目標未達「消費増税主因」 政策の限界認める
https://mainichi.jp/articles/20180201/ddm/008/020/108000c

 3月19日に5年の任期満了を迎える日銀の岩田規久男副総裁は31日、大分市内での記者会見で

「金融政策は一生懸命やったが、他の政策が逆風では、はねのけることができない」

と述べ、2014年の消費税増税が2%の物価上昇目標未達の主因だったと強調した。大胆な金融緩和を主張する「リフレ派」の代表格として、就任前に

「物価目標達成は日銀に全責任がある」

と強調した岩田氏だが、金融政策の限界を自ら認めた形となった。』


 というわけで、マネタリーベースとコアコアCPIのグラフを最新版にアップデート。


【日本のマネタリーベース(左軸)とインフレ率(右軸)】

http://mtdata.jp/data_58.html#18JanMBCPI


 2013年3月と比較し、すでに日本銀行は340兆円(!)もマネタリーベースを増やしたにもかかわらず、インフレ率はコアコアCPIで対前年比+0.1%、コアCPIで+0.9%。


 皆さんはすでに忘れているかもしれませんが、岩田教授らは2013年時点で「二年で2%のインフレ目標を達成する」ことをコミットメントし、量的緩和を始めたのです。


 厳密には、岩田教授の理論は、

「2年で2%のインフレ率をコミットし、量的緩和を継続すれば、期待インフレ率が上昇し、実質金利が下がり、消費や投資が増えて(=モノやサービスの購入が増えて)インフレ目標が達成される」

 という、どこの風が吹けば、どこの桶屋が儲かるんだ、と皮肉を言いたくなる「理論」でした(散々皮肉を言いましたが)。


 例えば、

「なぜ、量的緩和とインフレ目標で、期待インフレ率が上がるのか?」

「実質金利が下がったとして、なぜ投資が増えるのか? 実質金利を見て投資判断する経営者など、この世に一人でもいるのか?」

「そもそも、政府が緊縮財政で「モノやサービスを買わない、買わせない」政策を推進している状況で、金融政策のみでインフレにできるのか? 日本銀行の当座預金が積みあがるだけではないのか(そうなりました)?」

 などなど、様々な疑問が出てきたが故に、批判を展開していたわけですが、当初は、

「ならば、1000兆円のおカネを発行したとしても、インフレにならないというのか? 馬鹿か、君は?」

 的な批判を散々に受けました。


 とはいえ、1000兆円の現金紙幣を発行したところで、それを河原で燃やしてしまえば、インフレにはならんでしょ。モノやサービスが買われない以上、当たり前です。


 ちなみに、岩田教授は、

『巨額の国債買い入れを続けても物価が2%に到達していない点について「マネタリーベース(資金供給量)を増やすだけで物価が上がるとは書いた、言った覚えはない」

と説明。(ロイター 2018年1月31日)』

 と、発言。 


 あ、あんた・・・。わたくしの目の前で、

「マネタリーベースを増やせば、インフレになる」

と明言したでしょうが。あまりにも吃驚したので、色々なところで言及させて頂きました。


 まあ、岩田教授の言いたいことは、

「マネタリーベースを増やしたとしても、政府が緊縮財政を推進するなら、インフレにはならない」

 という話なのでしょうが、ならば14年か15年の時点で、

「マネタリーベースを増やしたところで、政府が消費税増税など緊縮をやっている以上、インフレになどできるか、バカ!」

 と、啖呵を切って日銀副総裁を辞任すれば、整合性は採れたのですが。


 晩節を汚しましたね、岩田教授。


 あえて書きますが、今更過ぎます。おかげで、日本は五年間の時間を無駄にしました。


 いずれにせよ、「いわゆるリフレ派」は死にました。


 今後、出てくる政策は、「金融政策+財政拡大」という真っ当なものになるでしょうか。現実をシビアに見る限り、「金融引き締め(出口戦略)+緊縮財政」という、日本を小国化する政策が怒涛の如く推進される可能性が極めて濃厚であるため、「いわゆるリフレ派」の死は、決して日本のためにならないと思うのですよ。いや、皮肉ではなく。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12349680749.html




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経済コラムマガジン 2018/2/5(972号)
日本政府の貸借対照表


債務超過額は548兆円

先々週号でノストラダムスの大予言に匹敵する大嘘である「財政破綻後の日本経済の姿」に関する研究会」の「財政破綻伝説」を取上げた。この手の嘘話の根拠によく使われるのが、

17/11/27(第964号)「続・「今から嘘をつくぞ」の決まり文句」
http://www.adpweb.com/eco/eco964.html

で紹介した「国の債務(借金)は1,000兆円を超えている」というセリフである。これに対し筆者達は、国の借金を1,000兆円を超えている総債務額ではなく、まず国の金融資産を差引いたところの純債務額で見るべきと主張してきた。

ところがこのタイミングで、先月30日に財務省が日本政府の16年度末時点の貸借対照表を公表した。これに関する囲み記事が翌31日の日経新聞に掲載されている。記事のタイトルは「国の債務超過 最大の548兆円」というものである。債務超過額は前年度比で28.1兆円増えたという。原因は膨張する社会保障などの費用を税収でまかなえず、国債を増発したためという。


まず債務超過の548兆円という金額が注目される。日経新聞には簡単に548兆円と書かれているが、国民は国の借金が1,000兆円を超えているとずっと聞かされてきたのである。国の借金はGDPの2倍を超え、財政は他の国に比べ突出して悪いと信じ込まされてきた。だから「財政破綻伝説」が国民に深刻に受止められた。

ところが財務省が今回公表した債務超過額は548兆円といきなり借金が半減した印象を与える。この債務超過額は、国の総債務額から金融資産だけでなく、その他の資産(株式・不動産などの国有資産など)も差引いたものである。つまり国の借金を総債務額から金融資産を差引いた純債務額に止まらず、そこからさらにその他の資産の金額を差引いている。また548兆円ということはほぼGDPと同額となる。


日経新聞を始め日本のメディアは、「日本の借金は1,000兆円を超え最悪でいつ財政が破綻が起っても不思議はない」といった「財政破綻伝説」を積極的に拡散してきた張本人である。特に日経新聞は「とうとう国の借金が1,000兆円を超え最悪」「財政再建は待ったなし」といったセリフを含む記事を毎日のように掲載している。これが「真っ赤な嘘」に近い印象操作だったことをこの囲み記事は示している。

ただこれまで「財政破綻伝説」をリードしてきた日経新聞だけに、この囲み記事は12行3段ととても小さく目立たないものになっている。これに関する解説もない。またこの極めて重要なはずのこの財務省公表の数字を取上げたテレビ番組を今のところ筆者は見かけていない。これは日本のマスコミが財政に関する知識が極めて乏しいか、あるいはこの数字の意味を理解していても真相(日本の財政に問題はないという事実)は隠しておくべきと判断したからと筆者は思っている。


もう一つの注目点は、この数字(債務超過額が548兆円)が一般会計と特別会計を連結して算出されていることである。総債務額から差引くべき国の金融資産で大きいのは財投と外貨準備である。双方とも特別会計で処理され、両方の合計は約300兆円程度である。財投(財投債と財投機関債)は一旦一般会計で借入れた(借入先は主に郵貯・簡保や公的年金積立金など)形にし、これを財政投融資特別会計に貸付けている。この財投資金は政府金融機関(国際協力銀行など)や独立行政法人(昔の公団など)に貸付けられている。

たしかに日本国の債務は大きいが、諸外国に比べ差引くべき資産額も極めて大きいことが注意点である。度重なる為替介入により日本の外貨準備高は突出して大きく、また財投という制度はそもそも諸外国にはない。ところが日本の財政危機を語るインチキ財政学者達は、外貨準備を形成するための借金や財投のための債務だけをカウントし、一方でこれらの資産としての存在を無視してきたのである。それにしてもこれらに関する会計処理が複雑なため、実態が分かりにくくなっているのは事実である。


問題がない日本の財政

たしかに日本の財政の実態を見るには、債務だけでなく資産も考慮すべきという声は昔からあった。ところがこれに対し「財政破綻伝説」を広めようとする悪意のある財政学者の中には、財投の運用先は収益の上がらないところばかりと言う者がいた。つまりこの学者によれば財投は不良債権の山ということになる。

もしそれが本当なら国家の一大事である。今日の日本の国会で本当につまらないことばかりが議論されていが、是非とも日本の本当の財投の実態をもっと議論すべきと筆者は思う。反対に筆者は

03/10/27(第319号)「動態的会計による企業価値算定」
http://www.adpweb.com/eco/eco319.html

で述べたように、高速道路各社などは今日の低金利によって大儲けしていると見ている。


債務超過額が548兆円という話になっているのなら、もう一歩進んで日銀の400兆円の資産(国債やETF)の買入額をさらにこれから差引くという話が浮上すると筆者は考える。日銀の資産買入れは通貨発行を前提に実施されている。日銀が通貨発行すれば通貨発行益が生まれる。つまり事実上既に400兆円の発行益が生じ、さらに国と日銀の会計を連結決算すれば国に通貨発行益が発生していることになる(統合政府という考え方に基づき)。したがって国の実質的な債務超過額は148兆円(548−400=148)まで減る。

ところがこの日銀の国債買入にもいちゃもんを付ける者がいる。たしかにこれによって国の債務が実質的に減少しても、その分日銀の債務が増えると指摘する(要するに日銀による国の債務の肩代わり)。たしかに日銀の通貨発行は債務として負債勘定に計上される。しかし日銀の発行する通貨には利息は付かないし返済期限もない。つまり通貨(発行)は債務性のない債務であり、やはりこれは債務ではなく利益と認識すべきものである。


さらに財政の健全性を見る一つの基準として、公的年金の積立額(公務員共済を含めると180兆円)を国の債務から差引くという考え方がある。OECDの基準である。これを日本の財政に適用すれば、国の債務超過額はマイナス32兆円となり(148−180=▲32)、なんと債務超過から逆に32兆円の資産超過となる。

このように見てくると分るように、日本の財政は特に問題がない。日本の財政を問題にする人々は、大きな勘違いをしているか、あるいは嘘を付いているとしか考えられない。また国債増発や日銀の国債買入れが進んでも、彼等が危惧していたような物価上昇は起っていない。むしろ経済活動の低調さの方が大問題と筆者は認識している。したがって日本はもっと大胆に国債を発行し、財政支出を拡大すべきと筆者は言いたい。


日本は財政学者=御用学者だけが問題ではない。政治家の中にもいまだに「財政破綻伝説」にどっぷり漬かっている(洗脳されている)者がいる。このような政治家が自民党の中にもいるのだから問題なのである。例えば岸田政調会長は、予算委員会で「財政出動が将来への不安を増大させかねない」と安倍総理を牽制している。

自民党には「財政再建に関する特命委員会(岸田会長)」なるものがあり、PB(プライマリーバランス)黒字化の目標期限を検討するという。筆者はから見れば全く意味がないのがこの特命委員会である。自民党がこのようなものに影響される政治判断をすれば、とんでもないことになると筆者は見ている。一番危惧されるのが19年10月の消費増税である。もし消費増税を決めれば、次の参議員選で自民党は大敗する可能性が出てくる。これによって衆参のネジレ現象がまたもや起れば最悪である。


野党は日本の財政に問題がないことに何となく気付き始め、先の総選挙では、消費増税を凍結、あるいは廃止という公約を打出した。それどころかある野党議員が予算委員会でむしろ財政支出増大を促す話を出している。ところが自民党の中に、反安倍のスタンスを示すために財政再建派としての動きを活発にしている者がいるのである。

世界の潮流は、トランプ政権の大型減税やインフラ投資に見られるように財政出動である。貿易収支黒字、経常収支黒字の日本が、消費増税などによる緊縮財政に向かうなんて考えられないことである。
http://www.adpweb.com/eco/



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危機扇動者たちの不協和(後編) 2018-03-10

 日本の「財政破綻論」は、もはや「歴史」と呼んでも構わないほど、長々と続いています。


 一般的な始まりは、1995年11月国会の竹村正義大蔵大臣(当時)による「財政破綻宣言」だと思われていますが、例えば、代表的(というか歴史的)な財政破綻論者である森木享氏は、1983年の時点で、「財政崩壊−せまりくる昭和60年の複合危機」を出版しています。同書の冒頭だけ引用してみますね。


「昭和六十年まであと二年。この年を境としてわれわれ人類は、破局か、局面打開かの最初の岐路に立たされる。日本においては、財政崩壊寸前となり複合危機と複合円安がおとずれる。(中略)

 第二の理由は、ますます増え続ける国債発行残高だ。五十八年度予算については、各種の特別会計の積立金を崩すことによって税外収入をふやし、国債の発行を表面的に減らそうとした。しかし、これは財政内容の悪化をもたらす。その意味で二六・五%(五十八年度)という国債依存度は一時しのぎのまやかしの数字で、財政の実態が悪化していることを隠すための粉飾予算に過ぎない。歳入欠陥五十兆円は隠れ国債であり、「国債百五十兆円」の到来も近い。まさに財政羅針儀の再構築にせまられている。(P1)」


 ちなみに、森木氏は2007年に「ある財政史家の告白「日本は破産する」」、「日本はすでに死んでいる−希望社会をもたらす国家破産宣言」、2009年「日米同時破産」、2010年に長谷川慶太郎氏との対談本「無策!あと一年で国債は紙クズになる」、2014年に「2013年 日本国破産から再生のシナリオ」と、一生懸命に「財政破綻本」を出し続けています。


 07年の書籍のタイトルにもなっている「ある財政史家」とは、ご自身のことかと思われます。


 この方、2012年にとある政治家のパーティで、わたくしに名刺を突き出し(本当に突き出した)、
「三橋さん、日本は来年(2013年)、財政破綻するからね!」
 と怒鳴ってきたことがあります。2013年から五年が経過しようとしていますが、長期金利は0.05%。破綻の気配すらありません。


 ちなみに、森木氏はわたくしの前で、
「私は30年前から日本の財政破綻を予言していた!」
 と、意味不明な自慢をされたこともあります。30年も予想が当たらない「財政史家」とやらに、何の価値があるのか分かりませんが、日本にはこの手の意味不明な「財政破綻論者」たちがゴロゴロと蠢いているのです。


 二十一世紀に入って以降は、経済学者(吉川洋、伊藤隆俊、伊藤元重、土居丈朗など)たちまでも真面目な顔で政府の財政破綻を煽り、しかも政府の要職についていきます。彼らが、

「○○大学経済学部教授」
「政府の諮問機関○○会の民間議員」

 といった肩書で、新聞にそれっぽい論説記事を書き、テレビに登場し、財政「危機」について解説する。


 新聞は新聞で、財務省の「テンプレ」を用い、以下のような記事を書く。


『いつまで財政刺激策に頼り続けるのか
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2789673009032018EA1000/

 先進国では最速で少子・高齢化が進み社会保障費用が増大する日本。国・地方の長期債務残高は1000兆円を超え国内総生産(GDP)比も187%に達する。財政健全化は待ったなしだ。

 安倍晋三政権は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた後、10%への引き上げを二度先送りし19年10月とした。国と地方の基礎的財政収支(PB)を20年度に黒字化する財政健全化目標は達成断念に追い込まれた。(後略)』


 ちなみに、日経の記事の結論は、

「消費税増税時に、企業が一斉に増税分を価格に転嫁し、値上げするのがいけない」

「19年10月以降に消費者が買いたくなるような新商品を開発すればいい」

「財政出動の効果は一時的なので、規制改革で民間主導の投資機会を広げる改革が求められる」

 と、奇想天外(最後の結論はいつも通りですが)なものになっています。


 増税分を価格に転嫁するなということは、その分、企業が「損」を飲み込めという話です。企業が損を強制されると、確実に支出を減らし、デフレ促進です。


 もちろん、価格に転嫁した場合、国民は実質賃金が減るため、やはりデフレ促進です。


 デフレが深刻化する中、「消費者が買いたくなるような新商品を開発すればいい」と日経は書いているわけですが、まずはお前がやってみろ!と、心の底から突っ込みたくなります。


 さて、実は財政破綻論者の「懸念」を解決する方法はあるのです。日本経済をデフレから脱却させ、名目GDPが堅調に成長していけば、政府の負債対GDP比率は下がります。


 日本銀行が量的緩和を継続すれば、金利の急騰とやらも起きません。無論、やがてはインフレ率が健全な範囲を超えて上昇していくかも知れません。その場合は、政府が緊縮財政に転じ、日銀は金融引き締めをやれば済む話です。


 結局のところ、日本のデフレ脱却=財政の健全化を最も望んでいないのは、これまで「財政破綻! 財政破綻!」と煽り続けた財務省の官僚、飼い犬の政治家、学者、評論家、エコノミストら財政破綻論者たちなのでしょう。


 過去に自分たちが煽ってきた「財政破綻」という危機は、実は存在しない。


 政府の負債対GDP比率を引き下げたいならば、財政拡大でデフレ脱却し、名目GDPを成長させればいい。


 アベノミクス五年間の量的緩和は、中央銀行が国債を買い取り、日本円を発行したとしても「ハイパーインフレーション」とやらにはならないことを証明した。


 財政破綻論者たちにとって、この世は不協和で満ち溢れているのです。自分たちが間違っていたのを認めるか、それともファンタジーの世界で財政破綻を叫び続けるのか。


 結局、彼らは事実から目をそらし、ファンタジーな破綻路を叫ぶことを続けています。問題は、彼ら(何しろ、数が多い)の言論に影響を受け、国民の多くが財政破綻論を信じ、緊縮財政が正当化されてしまうことです。


 変な話ですが、彼らの不協和が解消されるためには、日本政府が財政破綻しなければなりません。ところが、日本の財政破綻の可能性はゼロです。


 日本が財政破綻しない限り、破綻論者の不協和は継続し、しつこく財政破綻論が広められ、国民が緊縮財政を支持し、デフレから脱却できず、財政健全化(政府の負債対GDP比率低下)には到達できません。


 なかなか、厄介な状況になっていることが分かるでしょう。


 財政破綻論者の言論を「事実」に基づき否定していかない限り、この「厄介な状況」の解決はないのです。ご支援、ご協力をお願いいたします。日本が財政破綻する可能性はゼロなのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12359046680.html





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中国に負けて始まった日本のデフレ説。安い中国製品対抗で日本に賃金格差か=吉田繁治 2018年5月27日
http://www.mag2.com/p/money/460705


なぜ日本は、賃金が上がらず平均では下がって、デフレになってしまったのでしょうか?これは1990年代からの、輸出製造業での「中国の台頭」が関係しています。


世界的にも異常。日本のパートと正社員の時給格差は「約2倍」

日本にデフレをもたらした「中国の台頭」

わが国の正社員数は、24年前の1994年が最高で、3809万人でした(この年度の非正規は971万人:現在の48%)。そして、2017年の正社員は3424万人です。1994年以降は、正社員数は増えずむしろ減って、パートを主とした非正規労働によって労働補充が行われてきたのです。

なぜ日本は、賃金が上がらず平均では下がって、デフレになってしまったのでしょうか。

これは、1990年代からの、輸出製造業での中国の台頭と関係しています。自由貿易をする二国では、労働の賃金は、時間をかけて平準化に向かうからです。

2000年頃の中国の平均賃金は日本の1/30でした。

現在、世界1の工業都市シンセンのフルタイム労働の最低賃金は、2130元(3万6200円/月)、パートの最低時給は19.5元(331円/時間)です。正社員で日本の約1/7、パートでは1/3にまで上がっています(2017年)。年率では、10%から20%の上昇率でした。

1990年代中期から、大手企業の経営者や上級マネジャークラスは別にして、日本人の平均賃金が上がらなくなった原因は、労働が作った商品に、工業化したアジアと中国人以上の付加価値のあるものが減ってきたからです。家電産業などがその典型です。

商品輸入は、労働の「移民受け入れ」と同じこと

正社員を増やせず、時間給がほぼ1/2のパートの増加に頼ったのも、1/3の低価格の中国製品の輸出が原因です。

商品は、労働で作られます。労働が結実し、付加価値を作ったものものが商品です。商品を輸入することは、コンテナに封じ込めた労働(労賃)を輸入することと、経済的には同じです。

移民ではなくても、商品輸入は、労働の移民と同じです。

中国製品に「性能/価格=商品価値」で対抗するには、商品の価格の中の、労賃の部分(人件費の構成比)を下げるしか方法がなかった。

賃金(=世帯所得)が上がらないと、世帯の商品購買は増えません。パート構成比の増加で、世帯の平均所得は下がった。商品購買力が減ったのです。このため、生産力が超過し、1990年代からは円高だったので輸入は増え、商品価格が下がるデフレ経済になって行ったのです(※筆者注:1985年のプラザ合意の前まで、1ドル240円だったことをご存知でしょうか)。

間違いを認めないまま「物価目標を諦めた」日銀

日本のデフレ現象は、政府・日銀が言った「マネー量の増加率」の低下のためではなく、円高・元安もからんだ中国からの商品輸入の増加と、商品需要数の増加のなさによるものでした。

2000年代の日本では、「インフレもデフレも貨幣現象」というマネタリストの大家・フリードマンの学説は、あてはまらなかったのです(※筆者注:経済学は、国と年代でファンダメンタルズの条件が異なるので科学にはなり得ず、思想的なイデオロギーに終わるものです。このため、思想のようにいろんな説がありえます)。

日銀が、マネー量を400兆円も増やした異次元緩和が、わが国の2010年代では、インフレをもたらすことはなかったのです。黒田日銀は、頼った理論の間違いとは言わず、2018年4月に「静かに」2%のインフレ目標をやめています。

日銀を含む財務省は、従来から、決して自分たちが犯した間違いを認めない省庁です。敗戦の直後には、全省庁が行政文書を燃やしています。戦争犯罪を逃れるためです。

米国が仕掛けた異常な「人民元高」

1994年は、シンボリックな時期でした。1元30円を15円の元安(1/2)にすることを米国(ゴールドマンサックス)が誘導し、中国が世界一の輸出大国に向かう最初の年だったからです。

中国輸入の、SPA型(製造直売)のユニクロとニトリの急成長は、元が1/2に下がり、中国製品の輸出価格が1/2になった1994年に始まっています(※筆者注:1990年は620億ドル(6.6兆円)に過ぎなかった中国の、現在の輸出額は、34倍の2.1兆ドル(225兆円:2016年)です)。

人民元の過去のレート知られていませんが、経済の解放前の1980年には、1元=150円でした。1986年でも50円、1990年は30円だったのです。
※参考:http://ecodb.net/exchange/cny_jpy.html

それから28年後、現在のレート(1元=17.2円)からすれば、経済のレベルが低かったにもかかわらず、信じられない元高だったのです。

米国がロスチャイルド家の銀行を通じて人民元の切り下げを誘導した理由は、米国の製造業の進出のためです。米国企業が中国で作って、世界に輸出するためです。一例は、iPadからiPhoneが主力になったアップルです。ほとんどが中国生産です。

世界を席巻する中国製品

中国の輸出額は225兆円です。商品数量で言えば、700兆円分くらいあります。世界に中国製品があふれる理由です。

年間51兆円(年商8.2兆円のイオンの6.2倍)の商品を売るウォルマートの、食品を除く商品(衣料、住関連、家電・電子製品)のほとんどが、中国製です。シャープを買収し、1.5年で黒字に転換させた家電・電子の鴻海(ホンファイ)など、台湾の製造業も工場は中国です。

米国は、国としては貿易赤字が7962億ドル(85兆円:2017年+8.1%)の輸入大国ですが、中国・アジアに委託または専用工場がある製造業(工場をもたないファブレス・メーカー)では、企業内輸出が大きくなっています。

曖昧に作られた「働き方改革法案」

同一労働・同一賃金の法制化を目指している「働き方改革法案」がいう、「非合理な格差」にあたるものが何か。法には具体的な記述がなく、曖昧です。そこで厚労省は、ガイドライン(法案の解釈方法)を出しています。

法の解釈を裁判官ではなく(意図的に曖昧に法を作る)省庁が示す理由は、わが国の法のほとんどは、米国のような国会議員の提案ではなく政府が作るからです。

省庁は普通のことと考えていますが、官僚支配と言われるゆえんが、ここにも表れています。

なお、官僚とくに財務省の高級官僚の意識では、われわれは律令制の中国の科挙(官吏の採用試験)のように、天皇の行政官(行政が天皇から代理権を受けて支配する律令国家)というものです。

このため選挙で選ばれる国会と政治家を、低く見ています。天皇が授与する勲章制に、これが現れています。制度が変わっても、伝統的な意識は、法の細部に現れるのです。

「非合理な格差」とは?

ガイドラインでは、以下のように述べています(原文のママ)。

【時間給が違っても問題なしとされるケース】


定期的に職務内容や勤務地変更がある無期雇用フルタイム労働者の総合職であるXは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、職務内容と配置に変更のないパートタイム労働者であるYのアドバイスを受けながら、Yと同様の定型的な仕事に従事している。B社はXに対し、キャリアコースの一環として従事させている定型的な業務における職業経験・能力に応じることなく、Yに比べ高額の基本給を支給している。

出展:同一労働同一賃金ガイドライン案

分かりやすくしましょう。

「幹部職候補の総合職(配置転換があるという意味)として採用された正社員が、管理職になる目的のキャリアコースの一環として、パートと同じ定型的な作業に従事した場合は、作業能力にかかわりなく、パートの時間給より高くてもいい」ということです。

例外を決めるのは「官僚」

労働と賃金には、固有の専門的な解釈が必要なものがあります。労務管理士という資格がある理由です。

時間給には、3か月サイクル以上の定期的な賞与を含みます。どれくらいの格差が許容されるのか、もっとも肝心なところは、いつものように不明です。

曖昧にしておく目的は、裁判官ではなく、官僚が関与することを増やすためです。これが官僚の権益の拡張です。

合理的かどうか、官僚の裁量で決めるのでしょう。現状の多くの会社のように、2倍の差でもいいのか、格差30%までなのか。肝心なところです。大店法でも同じでした。肝心な売り場面積の規定が、法では曖昧です。

日本の賃金は「成果に関係なく決まる」ことが多い

「定型的な作業」とは、会社が仕事の方法(手順)を決めているものです。「非定型な作業」は、作業者本人が創意と工夫をした作業方法です。

「作業能力」には曖昧な内容を含みますが、わが国の賃金の基本(賃金テーブル)は、職務の結果によってではなく、職務への能力で決められています。このため、多くの会社で、賃金は成果(作業結果と利益)には無関係です。

【米国の現場ワーカー】

米国の現場ワーカーには、2種の賃金があります。働いた時間で決める時間給(タイムワーカー)、処理した商品数で決める成果給(ピースワーカー)。流通業の物流センターやドライバーの多くが、ピースワーカーです。

百貨店などのセールス(販売員)は、「売上×5%」くらいの歩合給です。IBMでも40歳以上は、成果給という歩合給です。管理職は、年棒制が多い。ただし支払いは2週ごとです。

【わが国の正社員の賃金】

長期的には、高い成果を上げる人は、人事部(または上司)から職務能力が高いとみなされ、同じ入社歴でも賃金の上昇率が高いことが多い。官僚では、年齢と昇進が、報酬と関係しています。多くは経験年数です。

日本にある「パートと正社員」の曖昧な壁

1日に8時間働くフルタイム雇用を、わが国では「正社員」と呼んでいます。

フルタイム雇用の全員が、管理職候補として、キャリアの階段を登るわけではない。しかし正社員とパートには、明文化されていない曖昧な境界があります。正社員が管理職になるケースが多いからです。ただし、パートも管理職にはなり得るでしょう。

欧州と米国では、現場の賃金の基本は「時間給」です。雇用のとき、期限を定めない長期雇用ならフルタイム雇用とパートタイムに、明瞭な時間給の格差はない。

ただし短期雇用の場合は、時間給は低くなることが多い。フルタイム、パートタイム、短期雇用という違いです。

【時間給の格差】

わが国のような、正社員(フルタイム)とパートという働く時間の違いからくる時間給格差がないことが、原則です。ここで言う原則は、例外があるという意味。会社が属人的に決めている労働と賃金では、デジタルな関係が曖昧になります。

パートタイムの賃金(時間給)が、フルタイム雇用者に対してどの程度かという点では、国際的に違いがあります(OECDの統計:2005年)。

国:フルタイムとの時間給格差
—————————-
日本:48%
英国:65%
ドイツ:74%
スペイン:76%
フランス:81%
ベルギー:82%
オランダ:92%
フィンランド:92%
イタリア:93%
スイス:96%

先進国の中で日本がもっとも低く、時間換算給でフルタイムの48%です。英国が比較的低く65%、移民が多いドイツ74%です。スペインが76%で中間的です。フランス・ベルギー・オランダ・フィンランド・イタリア・スイスでは、格差が小さい。

オランダ以降の4か国は90%以上ですから、フルタイムとパートの時間給の格差は「ほとんどない」と言えるでしょう。





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経済コラムマガジン 2018/6/11(989号)


デフレギャップの分析


デフレギャップを誤魔化す人々

2週前から「永久債を日銀が買って100兆円の基金を作る」という一見無茶な政策を提言している。しかし日本経済の現状を考えると、これこそが一番合理的な政策と筆者は確信している。今のままでは永遠に日本経済はジリ貧路線を歩むことになる。

この政策は「シニョリッジ(ヘリコプター・マネー)」と呼ばれるものである。伝統的な経済学ではこれを異端とか劇薬と見なす。しかし日本経済の現状では、このような劇薬的な政策が必要と筆者は考える。

これも日本の経済が先進各国の中で一番成熟しているからである。米国は多くの移民を抱えるなど新興国的な要素を持つ。また欧州はEUの拡大によって、新たな投資機会と需要を得た。このように欧米には、日本に比べ多少の救いがある。しかしいずれこれらの効果も限界が来て、そのうち米国や欧州も日本を追掛けるように低成長の世界に入るものと筆者は見ている。


先週号でデフレギャップの話をしたが、「シニョリッジ」政策においてはこれが一番重要なポイントとなる。筆者は、2002年から一年ほど丹羽経済塾(丹羽春喜大阪学院大学名誉教授を中心にした勉強会)に参加し、シニョリッジについて学んだ。しかし丹羽教授の講議の半分はこのデフレギャップに関するものであった。

デフレギャップは供給と需要の差である。ところが日本政府(内閣府)が公表しているデフレギャップや潜在成長率の数字は、デタラメであり異常に小さい。丹羽教授はこれに毎回怒っていた。これについては

06/3/6(第427号)「GDPギャップのインチキ推計法」
http://www.adpweb.com/eco/eco427.html

15/11/30(第870号)「堂々と新規の国債発行を」
http://www.adpweb.com/eco/eco870.html

などで説明した。


デフレギャップを小さく算出するのは「だから経済成長のためには構造改革しかない」といった間違った結論に人々を誘導するのが狙いと思われる。これは需要サイド重視のケインズ経済学を目の仇にする新古典派経済学者(ニュークラシカル派)の仕業と丹羽教授は指摘していた。丹羽教授は多くの日本の経済学者が信奉しているシカゴ学派のルーカス教授をいつもヤリ玉に上げていた。これについては

02/12/9(第277号)「ルーカスの子供達」
http://www.adpweb.com/eco/eco277.html

で取上げた。

ルーカス教授の供給曲線(ルーカス方程式と呼ぶべきもの)と言うものがが曲者で、どの生産段階でも設備の稼働率は100%と言うことになっている(つまりデフレギャップはゼロ)。これは明らかに「作った物は必ず売れる」といった古典派経済学の基本理念である「セイ法則」に通じる。

04/11/1(第365号)「妄言・虚言の正体」
http://www.adpweb.com/eco/eco365.html

で取上げたA教授もこのルーカス方程式に基づく経済理論を唱えていた。問題は、このA教授のような学者が内閣府に出向しいい加減なデフレギャップを算出していることである。


一方の丹羽教授は日本の供給力を「オークンの法則」に基づき算出していた(オークンの法則については説明を省略)。丹羽教授の計算では、日本のデフレギャップは数百兆円にもなる。ただ参加者の筆者達はこの数字に正直ピンとこなかった。しかし筆者達は日本のデフレギャップが巨額だということは認識していた。

このようにデフレギャップを正確に計測することは難しく、仮にそれが正しく算出できても多くの人々がその数字に納得するとは限らない。むしろシニョリッジ政策に伴って物価が上昇した場合の「制御」を考えた方が「生産的」と筆者は考える。インフレターゲットを政策に組込むのもその一つである。例えば物価上昇が3%に達したら、シニョリッジ政策を中断するとか金融を引締めを行うといった決まりを設けるといった方法が考えられる。


日本の需要不足(貯蓄過多)の要因

前段で述べたように、筆者は供給サイドからデフレギャップを議論することは「空中戦」に陥ると考える。むしろ需要サイドから、また資金の流れから分析した方が分りやすいと考える。日本のデフレは慢性的な需要不足、つまり貯蓄の過多が主な原因と筆者は見る。

またこの日本のデフレは

03/6/30(第303号)「経済の循環(その2)」
http://www.adpweb.com/eco/eco303.html

で説明したように、経済循環において「漏出(ろうしゅつ)」が「注入(ちゅうにゅう)」を上回っていることが常態化していることを示す。古典派・新古典派の経済理論では、このような場合には金利がパラメートとして動き(この場合には低下)貯蓄過多は解消されることになっている。ところが今日の日本においては、金利がゼロ(実質金利はマイナス)になっても貯蓄過多は解消されない。それほど日本のデフレは深刻と見るべきである。結論を申すと、したがって日本にはシニョリッジ政策しかない。


本誌はこれまでこの日本の需要不足(貯蓄過多)の要因を幾度となく取上げてきた。これらを列記すると「バブル崩壊に伴う需要不足」「消費人口の減少による需要不足」「将来不安に備えた消費のセーブ」「所得格差拡大による消費性向の低下」ということになる。これらを一つずつ検討する。ただ最後の「所得格差拡大による消費性向の低下」はサマーズ元米財務長官等が唱える説であり、日本より米国の方が関係が深いと思われるのでここではこれ以上の言及を省略する(消費性向の小さい高額所得者の所得割合が増えることによって、全体の消費性向が低下)。


まず「バブル崩壊に伴う需要不足」を取上げる。バブル経済においては資産価格が高騰し、このバブルが崩壊すると資産価格は反動で大きく下落する。人々が注目するのは、資産を高値で買い損害を被った側である。このバブル崩壊で傷付いた人々は、当然、消費や投資を控えるため全体では需要不足が起る。

筆者が注目するのは、一方の資産を高値で売り抜けた人々の消費・投資行動である。もしバブルで大きな利益を得た人々が、この利益を全て使ってしまえば需要不足は解消する。ところが資産を売って得られた代金の大部分は銀行で眠ったままになる。したがってバブル崩壊は経済循環において「漏出」が「注入」を上回る現象を引き起す。つまりバブル経済の生成と崩壊が起ることによって、世の中の余剰資金は大きくなると筆者は分析する。

特に地価の高い日本では、バブルの崩壊がなくとも土地の売買が起る度に貯蓄過多が起ると筆者は考える。この様子は

04/10/11(第362号)「日本経済のデフレ体質の分析(その2)」
http://www.adpweb.com/eco/eco362.html

で取上げた。ちなみに家計部門は70年から93年までの24年間で140兆円もの土地を売越している。この代金の一部は今日でも貯蓄として眠っている可能性がある。


「消費人口の減少による需要不足」は、小子高齢化が進む日本にとって深刻な問題である。

13/4/8(第751号)「久しぶりの「朝まで生テレビ」」
http://www.adpweb.com/eco/eco751.html

で述べたように、総務省統計局のホームページによれば、消費金額は30才台、40才台でピークを打ち、50才台、60才台で極端に落ちる。したがって30〜50才の消費人口が減り続ける日本では、消費が伸びるはずがない。

「将来不安に備えた消費のセーブ」の深刻さも、今後、注目されるであろう。将来の公的年金支給の不安が囁かれ、30〜50才の消費世代の人々さえ消費を抑える傾向が見られる。また公的年金を補うため、個人年金に入る人々もいる。これは将来のために今日の消費を減らす行為である。明らかににこれも経済循環における「漏出」が「注入」を上回る現象を引き起す。

国も将来不安に備え、公的年金の保険料の引上げを行い、また消費税増税分の大部分(8割)を財政再建に回している。これらも経済循環における「漏出」の増加である。つまり日本政府自らがデフレを助長しているのである。これでは多少所得が多少増えても、日本経済が低迷から脱却することは無理である。

とにかく安倍総理の周りには本当の経済が分っている者が少ないのである(そのうち取上げるが経済スタッフは入れ替えるべき)。いまだに「成長戦略で経済成長」と間抜けなことを言っている。1〜3月がマイナス成長になるのも納得である。金融緩和だけに頼る今日の政策の転換が必要であり、今のうちに大量に国債を発行し財政政策を大胆に行うべきである。金利は上昇しないし、物価もさほど上がらない。
http://www.adpweb.com/eco/




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異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情
アナログな企業と人生こそデフレの勝者
大原 浩
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56970

金融緩和は終わらない
日本銀行の黒田総裁によって2013年4月から導入されたいわゆる「異次元」金融緩和政策。まさに「異次元」の金融緩和政策が続いているが、いまだにささやかな2%の物価上昇でさえ実現できていない。

しかも、7月31日の金融政策決定会合で「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を決めている。つまり、これからもさらに金融緩和を続けなければならないため、長期金利の変動をある程度認めて緩和の副作用に配慮するということである。

このような日銀(黒田氏)の政策は経済学で一般的な「資金を大量に供給すれば物価が上昇する」という理論に基づいている。しかし本当にその理論は(いつも)正しいのか?

極端に単純化して、この世の中に100本の缶ビールと1万円しか存在しないとする。その世界で、超金融緩和を行い通貨供給量を倍増して2万円にしたとする。これはとてつもない金融緩和で、マネーの価値は半分(物価は100%上昇する)になるというのがこの理論の示すところだが、大事なものが欠けている。

缶ビールの供給は増えないという前提だが、実際には缶ビールの価格が上昇すれば当然生産も増える。通貨供給を2倍にしても、商品の供給が2倍になれば(理論的には)物価は上昇しない。それが現実の経済である。

さらに言えば、50メートルプールから水をあふれさせるには、相当量の水を供給しなければならないが、プールへの水の供給を止めるには水道の蛇口を締めるだけでよい。

金利において、「高騰させるのは簡単だが低下させるのは難しい」ということを説明するのにこの「水道理論」が良く使われる。

いくら大量の資金供給を行っても、その供給によって増えた資金の保有者はいつでも自由に使える(使わなくても良い)ので、なかなか政策当局の思い通りの効果が出ない。

ところが、資金の供給を止めると、資金の調達(借り手)側は不渡りなどを出すわけにはいかないから、背に腹を替えることができず、かなりの高金利でも涙を飲んで借りるので、あっという間に金利が高騰するのだ。

この蛇口を止める現象は年末・年始、期末・期初の資金繁忙期には(ミクロ的に)頻繁に起こり、年率で数百%というとてつもない金利になることもある。


だから日本でインフレは起きない

さて、ハイパー・インフレの恐怖はよく語られるが、典型的な第1次世界大戦後のオーストリアとドイツのハイパー・インフレは大戦で欧州の生産設備が破壊された後に起こっている。

また逆に、1929年から始まった「大恐慌」は、結局、39〜45年の世界大戦によって世界の生産設備が大打撃を受けたことによって解決した。

しかし、1945年以降70年以上にわたって世界規模の戦争は起こっていない。もちろんそれは喜ばしいことだが、経済面でみれば毎年生産設備が積み上がって、かなりの供給過剰構造になっているのである。

また、ベネズエラの現在の天文学的インフレの主要な原因は、石油産業などの不振で外貨不足に陥り、食料を中心とした必需品等が輸入困難になった点にある。国内では十分な供給ができないから「輸入という蛇口」が締められたら価格が高騰するのは必然である。

逆に言えば、円という「強い通貨」で、世界中から供給過剰の商品を自由に輸入できる日本において、インフレが起こらない理由も簡単に理解できる。

さらに、1989年のベルリンの壁崩壊、91年のソ連邦崩壊によって主要共産主義国家は鉄のカーテンを開けて世界市場に商品を供給することになった。

1978年からケ小平によって始められた「改革開放」も、ソ連崩壊直後で南巡講話が行われた92年から加速。竹のカーテンを開いた。

そして、世界市場への供給が急増し、いわゆるアジア・南米・アフリカなどの新興国の多くも供給側となった。日本のバブル崩壊がちょうどこの時期に重なったのは不幸である。

生産性の向上はデフレ要因

さらに忘れてならないのは生産性の向上である。

経営学者のピーター・F・ドラッカーによれば、テイラーの「科学的分析」が生産に取り入れられて以降、工業製品の生産性は50倍以上になっている。つまり50分の1の人手で足りることになる。

農業における生産性の向上も著しい。多くの国で戦前は国民の大部分が農民で、日本でも1960年においても農家世帯員数は3441万人であった。だが、いまや米国では農業従事者は全就業人口のわずか1・7%(2005年)であるが、全国民の胃袋を満たすだけではなく大量の輸出さえしている。

現在(2017年)の日本の農家人口は約470万人で、就業人口6720万人の約0・7%。現在の食料自給率が約65%(生産額ベース)であるから、理屈で言えば就業者の1%ほどの農民で日本国民全部の食料需要を賄えるのである。

20〜30年前には「ハ―ドディスク」が50MBのパソコンが30万円ほどしたが、今や50MBは数千円のUSBのレベルである。また1本1万円ほどした映画のDVDは、月額1000円ほどで見放題である。

また、世界中のあらゆる人件費の安い地域に、コールセンター、工場、BPOセンターなどが次々と進出するので、日本をはじめとする先進国の賃金はいくら景気が良くなっても上昇しない。


供給過剰を解消すれば何とかなるが

このような供給過剰の世界で、いくら資金を供給しても物価が上昇しないのはある意味当然かもしれない。

パウエルFRB議長が金利引き上げを2019年で打ち止めにする意向を表明した後、さらにトランプ大統領が「金利引き上げは望ましく無い」と述べたが、このような供給過剰社会で金利の引き上げは困難であり、それは欧州においても同様である。

デフレ経済のきっかけは、1990年の日本のバブル崩壊であったかもしれないが、今や世界中がデフレ体質になっており、日本もその「グローバルデフレ経済」から抜け出すことはできないのだ。

先に述べたように、世界大戦級の大規模な戦争が供給過剰を解消してきたが、1945年以来、「過剰在庫」が世界中に積み上がっている。これを悲惨な戦争以外の手段で解消できるかどうかが世界に与えられた課題である。

最近「米中貿易戦争」が騒がれている。トランプ大統領がどの程度世界経済の仕組みを「理論的」に理解しているのかは明らかではないが、政治経験を全く持たないが倒産を4回も経験した稀有なビジネス界出身の指導者は、世界中のどのようなリーダーよりも経済の本質を「直感的」に理解しているように思える。

優秀なブレインのサポートがあったにせよ、「供給過剰の総本山である中国」に「貿易戦争」を仕掛ける最終判断を行ったのはトランプ氏である。

もっとも、このような「荒技」で国内への「供給過剰」を抑え込めるのは、「嫌なら中国全土を焼野原にして過剰供給をストップするぞ!」という脅しをかけることができる米国だけの特権である。

世界的に広がるデフレを根本的に食い止めるには、「過剰供給元への焦土作戦」しかないが、我々がそのようなことを論じても仕方が無い。トランプ氏が手元のボタンを押すかどうかにかかっていることになるが、現実的ではあるまい。

デジタルは供給過剰の総本山

供給過剰というのは、世界一の投資家ウォーレン・E・バフェットが良く使う「コモディティ」という言葉に集約される。要するに何の競争優位も持たない、「安い価格」以外の取り柄が無い、商品・サービスである。

ハーバード大学教授で「ポーター賞」で有名なマイケル・ポーターもコモディティ化を嫌い、「競争優位」を極めて重要視する。

コモディティ化は、何も繊維製品や100円ショップに並ぶ商品だけに限るわけでは無い。例えば、半導体は数十年前、時代の最先端を走る花形商品であったが、今や価格競争の波に飲み込まれている。

しかも、薄い利幅をカバーしようと、大量生産のための巨額投資を行い、その結果、大量に生産された製品によってさらに価格が下がるという「究極の悪循環」に陥っている。

実は筆者は、今もてはやされているIT・ネットビジネスもそれほど遠くない将来にコモディティ化するとみている。


デジタルというと、いかにも先端技術で「差別化」されているイメージを持たれがちだが実は全くその逆である。

デジタルは、誰がプログラミングしても正確にプログラムされたとおりに動くから、自動車や工作機械などのような製造ノウハウを必要としないのである。

例えば自動車のエンジンの製造というのは、現場の製造工程において、かなりアナログな技術が必要なため、中国・韓国どころか欧米の企業であっても、日本勢の製造技術には永遠に追いつけないとさえ言われる。

世界各国が電気自動車の普及に懸命なのも、アナログなガソリンエンジンでは日本勢に絶対勝てないから、デジタルな電気自動車で勝負しようと必死だからである。

それに対して、コンピューターソフトは、インドでも中国でも基本的技能を備えた技術者を雇えば簡単にプログラミングできる。また、デジタルコピーにコストはほとんどいらない。

今は普及の初期段階であるから儲かっているIT・ネット企業も、普及期が終わればとてつもない価格競争に巻き込まれるはずである。何しろ製造・サービス原価がほとんどゼロなのだから、血みどろの価格競争は間違いない。例えば5年くらい先を見据えた新卒の就職先や投資対象としてIT・ネット企業は決してお勧めできない。

それに対して、例えば工作機械やそれをつなぐIoT(につなげるセンサー)などはかなり有望である。工作機械やセンサーを粗悪品では無くまともに製造できるのは日本やドイツなどごく限られた先進国だけであり、そのアナログノウハウは新興国には簡単に真似ができない。

また、石油プラントやインフラなどの公共工事プロジェクトにおいても欧米などの先進国の長年にわたって培われたアナログノウハウが重要である。例えば石油や石炭などの天然資源採掘オペレーター、プロジェクトの運営者は、いまだに先進国がほぼ独占している。

このようなノウハウは実際に運営しないと取得できないが、その運営するチャンスを得るには既にノウハウを持っていなければならないというとてつもなく高いハードルが存在するからである。

夢を忘れられない日本

バブル崩壊前とそれ以降とではこれまで述べたように世界・日本経済の構造が変わってしまったのに、政府、産業界の中で、そのことに気がついている人々はほとんどいない。

いまだに大量生産・輸出型のビジネスを志向していて、そのうちにバブル前のような時代がやってくるという妄想を抱いている。バフェットやポーターがかなり昔から指摘している「競争優位」を構築することなどに見向きもしない。

いくら政策的に支援をしたり補助金をつぎ込んでビジネスを拡大してもそれが「コモディティ・ビジネス」であれば、「過剰供給」という悪魔を勢いづかせ、結果として国家や産業を疲弊させるだけである。現在問題なのはビジネスの「量」ではなく「質」なのである。

個人レベルでも同様である。低賃金国で代替可能なコンピュータプログラミングや、AIで簡単に処理できる会計士、弁護士など士業も含めた事務作業(デジタル業務)の将来は明るくない。

しかし、人手不足によるタブレットや配膳ロボットの導入などでデジタル化が進んでいる飲食業では、デジタル化できない「顧客満足」や「おもてなし」を担当するマネージャーの重要性が増し賃金が上昇するかも知れない。

あるいは、フレンチの三ツ星シェフがノーベル賞受賞者と同等に(?)尊敬されるように、クールジャパンを代表する名店のすし職人が世界的名声を得る時代がやってくるかもしれない。

要するに、デジタル化、コモディティ化できない「究極のアナログな存在である人間」と「アナログな機械」を相手にするビジネスこそが、デフレ経済の中での勝者となれるのである。


少子化だからこそ発展できる

なお最後に付け加えると、現在、少子化が騒がれているが少なくともこれは「供給過剰・デフレ経済」においてはプラス要因である。例えば、欧州各国の失業率はおおむね10%弱から2ケタ台であるが、若年失業者はその約2倍である(例えば一般失業率10%に対して若年失業率20%になるという意味である)。

スペインは15歳から24歳の若年失業率がおおよそ50%弱、つまり2人に1人が失業、イタリアで30%強、フランスで20%強である。

現状の日本は賃金がなかなか上がらないとはいえ、少子化が進む若者も含めてほぼ完全雇用状態なのであるから、自分の将来を託す企業の選択におおいて、目先の好景気だけでIT関連を選ぶというような愚を犯すべきでは無い。

また、少子化は「供給過剰・デフレ経済」にとって、供給を自然に減らす天の恵みである。したがって「移民・外国人労働者」の大量受け入れでその恩恵を超消しにするような愚は行うべきでは無い。

例えば、日本の高度成長時代にも極端な人手不足が起こり、中卒は「金の卵」などと呼ばれたが、日本は欧米のように手軽でコストの安い移民(当時はそのように見えた)に頼らず、自動化・ロボット化で乗り切った。

逆にそのことによって、自動化・ロボット化が進化し、日本がその分野で世界をリードするきっかけとなったのである。

日本の企業経営者たちは「人手不足」だと騒ぐ前に、それを解決するべき知恵を絞るべきである。例えば「変なホテル」は素晴らしい工夫の一つである。

それに対して、手軽で安い移民を深く考えずに受け入れた欧米は、今となっては「供給過剰」の移民たちの高いつけを払わされている(ただし、国家を繁栄に導く「高度人材」についてはこの限りでは無いが)。我々は彼らと同じ後悔をしてはいけない。


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2018年8月22日
「ポピュリズム肯定論」がデフレ脱却を導く
From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)
そもそも「ポピュリズム」と言えば、日本では
「大衆迎合主義」などと呼ばれ、
何やら「悪しきもの」と見なされています。

ですが、そんな「ポピュリズムを否定する雰囲気」こそが、
今の日本を閉塞させている―――というのが、
本特集の基本認識です。

例えば、今、
我が国で何よりも大切な経済問題は「デフレ脱却」。

「デフレ脱却」さえできれば、
国民の所得は上がり、格差は是正され、
国民の暮らしは「豊か」なものとなります。

しかし、「デフレ脱却」のために必要な
「大型財政政策」も
「過剰なグローバリズムの緩和」も、
双方共に全く出来ていないのが現状です。

それもこれも、
日本官僚や知識人、学者といったインテリ達が皆、
緊縮やグローバリズムを主張し続けているから、
に違いありません。

つまり今の日本は、
インテリ達が間違った政策を主張し、
その方向で政治が動き、
デフレがいつまでも続き、
庶民が苦しめられている―――
という構図にあるわけです。

ところが、今、
アメリカやイギリスでは、
もった異なる議論が展開されはじめています。

イギリスが「EU離脱」を決定し
アメリカが大統領選挙で「トランプ」を勝利させたのです。

EUもクリントンも、
旧来型のインテリ達が推し進めようとする
「グローバリズム」や「緊縮」の象徴だったのですが、
その流れに対して、「国民」が、
「NO」を突きつけたわけです。

これこそまさに「ポピュリズム」。

その結果、
アメリカでもイギリスでも、
庶民を苦しめ続けた政治が、
着実に変わり始めているのです。

ところが・・・

我が国日本では、
こうした英米のポピュリズムを批判する声が絶えません。

「EUから脱退するなんて、
イギリス人はなんて愚かなんだ」

「トランプを選ぶなんて、
アメリカ人はホントに非知性的で、不条理だ」

という意見が、日本においては支配的です。

しかし、そんな日本のインテリ達は、
完全に間違っています。

なぜなら、
グローバリズムや緊縮財政等の
机上の空論を振り回すインテリ達よりも、
「庶民の不満」を代弁するトランプやEU離脱派の方が、
英米の国益にとってずっとずっと「マシ」だからです。

つまり、「インテリ達が間違っている場合」には、
インテリ「以外」の人々の意見を重視する
ポピュリズムこそが、
正しい政治を導くのです!

だからこそ、我が国においても、今、
敢えてポピュリズムを「肯定」する議論が、
強く求められている――という次第です。

「表現者クライテリオン」では
そんな基本的な認識に基づいて、
「財務省」をはじめとした高級官僚達や経済学者、
メディア関係者や一流財界人など、
日本国内でデカイ顔をして、
他者を小馬鹿にしながらエラソーに自説を開陳し続けている
いわゆる「インテリ」達が、如何に、
現実を無視した「間違った主張」を繰り返し続け、
日本を破滅に導き続けているのか―――
一方で、「庶民からの反逆」とも言いうるポピュリズムが、
如何に日本で求められているのか―――
といった論点を、様々な角度から論じました。

デフレから脱却できず、
疲弊し続ける我が国日本において、
こうした「ポピュリズム肯定論」は、
閉塞した現状を打開する、
効果的な「一撃」となるに違いありません。
https://38news.jp/america/12309




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IMFが公表した日本の財政「衝撃レポート」の中身を分析する それでも消費増税は必要ですか(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/804.html

2018.10.15 橋 洋一 経済学者 嘉悦大学教授 現代ビジネス


やっぱり日本のメディアは報じないが…

消費税増税の外堀がさらに埋められた。安倍総理は、15日の臨時閣議で、来年10月に予定している消費税率10%への引き上げに備えた対策を早急に講じるよう指示する。この臨時閣議は、首相が16日から訪欧するために開催されるもので、西日本豪雨や北海道地震の災害復旧費などを盛り込んだ平成30年度補正予算案が決定される。

消費増税の足音が近づいてきているが、前回の本コラム(「消費増税で国民に負担を強いる前に、政府がいますぐにやるべきこと こんな順番では納得できない」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57879)では、消費増税前に、政府保有株の売却などやるべきことがあると指摘した。

今回は、その続きの一つとして、IMF(国際通貨基金)が公表した重要なレポートを紹介しよう。先週も指摘したように、IMFは財務省出向職員が仕切っている側面もあり、単なる財務省の代弁としか言いようのないレポートもあるのだが、財務省の出向職員があまり手を出せないスタッフペーパーのなかには、いいものもあるのだ。

今回紹介するものはその類いである。それは、今月の公表された「IMF Fiscal Monitor, October 2018 Managing Public Wealth」(https://www.imf.org/en/Publications/FM/Issues/2018/10/04/fiscal-monitor-october-2018)である。

これは、各国の財政状況について、負債だけではなく資産にも注目して分析したものだ。このレポート、海外メディアの注目度は高い(たとえば https://jp.reuters.com/article/imf-g20-breakingviews-idJPKCN1ML0NF)が、日本のメディアではさっぱり取り上げられない。だからこそ、紹介する価値があるというものだ。

筆者が大蔵省時代に、政府のバランスシート作りに取り組んだ経緯は、前回のコラムでも少し触れたが、レポートを見る前に、その当時の世界の情勢も加えておこう。

筆者がバランスシートづくりに取り組んだのは、1990年代中頃であるが、その当時、アメリカなどでさえ、政府のバランスシート作りにはまったく手がついていなかった。その意味で、筆者はこの分野での先駆けであったことを自負している。

そこで、筆者がその考え方(企業と同じように、政府もバランスシートによって財政を評価するべきだということ)を諸外国の財政当局の担当者に話すと、興味津々であった。そのおかげで、アメリカなどのアングロサクソン系国家から、「そのバランスシート作りについて、日本のやり方を教えてほしい」という要望があり、かなりの数、海外出張に行った記憶がある。

さて、それを前提にIMFのレポートに話を戻そう。上記のIMF報告書の33ページのAnnex Table 1.2.3には、各国データの「availability」がある。要は、各国がこの「バランスシート」の考え方を導入した年代が分かるわけだ。

日本は他先進国とともに、一番早い2000− となっている。ここの記述はやや不正確であり、日本は1995− が正しいと思う。筆者の記憶では、日本が1995年ごろにバランスシートをつくり、他先進国はその後2年くらいでできあがったはずだ。

これには、ちょっとした理由がある。日本の政府バランスシートは1990年代中頃に作られ、世界最先端を行っていたのだが、その公表は封印されたのだ。

大蔵省はそれまで、バランスシートではなくその右側だけの負債だけを都合よく利用して財政危機を訴えてきたので、包括的なバランスシートが出来てしまうと、それまでの説明に矛盾が生じてしまうからだろう。大蔵省だからというわけではないだろうが、このバランスシートは「お蔵入り」と言われたことは覚えている。

その後、2000年代になって小泉政権が誕生すると、財務省内からも「そろそろ政府のバランスシートを公表したほうがいい」と言う声が上がり、そこに例の「埋蔵金論争」などもあったことから、結局バランスシートを公表するようになった。

それからは、財務省のホームページにはバランスシートが公表されている(https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/index.htm)が、これについては財務省がマスコミにまともなレクチャーをしないから、ほとんど知られていない。債務の大きさだけを強調し、財政再建が必要だと主張するためだ。財務省も財務省だが、財務省からレクを受けないと記事が書けないマスコミも情けない。

いずれにしても、2000年代から各国でバランスシート作りが盛んになり、データも蓄積されてきたところなので、IMFでも各国のバランスシートについて分析できるようになったのだろう。

グラフをみれば一目瞭然

さて、当該のIMFレポートでは、主に一般政府(General Government)と公的部門(Public Sector)のバランスシートが分析されている。

一般政府とは中央政府(国)と地方政府を併せた概念である。一方の公的部門とは、中央銀行を含む公的機関を含めたものだ。

筆者は、これまで統合政府という概念でバランスシートを論じることが多かった。例えば、2015年12月28日「『日本の借金1000兆円』」はやっぱりウソでした〜それどころか…財政再建は実質完了してしまう!」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156)などである。

この場合、筆者が考慮するのは中央政府と中央銀行だけにしているが、ネット資産(資産マイナス負債)に着目する限り、これはIMFレポートの「公的部門」とほぼ同じである。というのは、地方政府と中央銀行を除く「公的機関のネット資産」はほとんどゼロであるからだ。

中央銀行も、形式的にはネット資産はほぼゼロであるが、中央銀行の負債は実質的にはないので、実質的なネット資産が大きくなるので、統合政府ではそれをカウントしているわけだ。そこで、統合政府のバランスシートをみれば、ネット負債はほぼゼロ……つまりネット資産もゼロとなっている。

これらを踏まえた上で、IMFレポートを見てみよう。

2ページの図1.1では、比較可能な国の「公的部門バランスシート」でのネット資産対GDP比がでている。


それによれば、日本の公的部門のネット資産対GDP比はほぼゼロである。これは、筆者の主張と整合的だ。まあ、こんな話は誰が計算しても同じである。

ここから出てくる話は、「巨額な借金で利払いが大変になる」というが、それに見合う「巨額な資産」を持っていれば、その金利収入で借金の利払いは大変ではなくなる、という事実だ。このため、日銀の保有する国債への利払いは、本来であればそのまま国庫収入になるが、それを減少させる日銀の当座預金への付利を問題にしているわけだ(詳しくは先週の本コラムを見てほしい)。

ギリシャ、イタリアと比べても…

続いてIMFレポートでは、一般政府バランスシートでのネット資産対GDP比も分析している。7ページの図1.4である。


ここでも、日本は若干のマイナスであるが、ギリシャ、イタリアと比べるとそれほど悪くない。

IMFレポートでは、どのような財政運営をすると、ネット資産がどのように変化するか、という分析を行っている。例えば、単に赤字国債を発行するだけだと、ネット資産は減少するが、投資に回せばネット資産は減少しない。その投資が生きれば、ネット資産は増加する……といった具合だ。

この観点から論をさらに進めれば、先週の本コラムに書いたような「研究開発国債」という考え方は容認できるだろう。もっとも、今の財務省の経済音痴では、そのような新手は望むべくもないだろうが。

このほかにも、ネット資産は財政状況をみるのに使える。理論的には、ネット資産が限りなく減少すると(数学的な表現では、マイナス無限大に発散)財政破綻、ということになる。IMFレポートではそこまで書いていないが、35ページのAnnex Table 1.3.1.において、長期金利と一般政府でのネット資産との状況について、回帰分析を行っている。

その含意は、「ネット資産が少なくなると、長期金利が上昇する傾向がある」となっており、理論面でのネット資産と財政破綻の関係と整合的であることが示されている。

そこで、一般政府でのネット資産対GDP比とその国の信用度を表すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)レートの関係の相関を調べてみた。


これをみるとかなりの相関があることが分かる。筆者はCDSのデータから、その国の破綻確率を計算し、例えば、日本は今後5年以内に破綻する確率は1%未満であるといっている。この話は、日本のネット資産がほぼゼロであることと整合的になっている。

こうした話は、本コラムでこれまでにも書いている。昨年来日したスティグリッツ教授が、経済財政諮問会議の場でも「日本の財政負債は大半が無効化されている(から財政破綻にはならない)」といっている。

そのとき、日本の増税学者は「スティグリッツが間違っている」と強気だった。これに対し、筆者はもしそうなら、スティグリッツに手紙を書き謝罪文をもらうべきだといった。いまだに、スティグリッツから謝罪文がきたという話は聞いていない。

すり替え、が始まった

財政破綻を訴え増税を主張する人たちは、それでもやはり消費増税を強行するのだろうか。IMFレポートをみれば、財政破綻というロジックが使えなくなったことは歴然なのに……。と思っていたら、増税派は「財政破綻を回避するために」という論法ではなく、「将来の年金など社会保障のために増税すべき」と、新しい言い方に変え始めている。これには失笑するほかない。

筆者は、社会保障の将来推計の専門家である。社会保障の将来像などを推計するのはそれほど難しくない。かつては、「財政問題のストック分析:将来世代の負担の観点から」(https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/04030014.html)という論文も書いている。

今更「社会保障が重要」などという暢気なコメントを出すような人より、ずっと前からこの問題については考えている。

何より、社会保障財源として消費税を使うというのは、税理論や社会保険論から間違っている。大蔵省時代には、「消費税を社会保障目的税にしている国はない」と言い切っていたではないか。

そんなデタラメに、まだ財務省がしがみついているのかと思うと、心の底から残念で仕方ない。

社会保障財源なら、歳入庁を創設し、社会保険料徴収漏れをしっかりとカバーし、マイナンバーによる所得税補足の強化、マイナンバーによる金融所得の総合課税化(または高率分離課税)といった手段を採ることが、理論的にも実践的にも筋である。

それらを行わずに、社会保障の財源のために消費増税を、というのは邪道である。さらに、景気への悪影響も考えると、いまの時期に消費増税を行うというのは尋常ではない。

少々難解かもしれないが、ぜひともIMFレポートなどを読んで、「消費増税の是非についての認識を深めてほしい。




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ガキっぽい情熱を克服できない経済学の実態
ノーベル学者もピケティも嘆く内輪ウケ体質
中野 剛志 : 2018/10/19
https://toyokeizai.net/articles/-/243257

ノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマー(写真:REUTERS/Mike Segar)

2018年、ポール・ローマーは、経済学への理論的貢献を認められて、ノーベル経済学賞を受賞した。

ところが、皮肉なことに、そのローマーは、2016年の講演の中で、マクロ経済学は、過去30年以上にわたって進歩するどころか、むしろ退歩したと断じ、経済学に対する辛辣な批判を展開していたのである(参考)。

しかし、このように経済学のあり方を批判する大物経済学者は、ローマーだけではない。

2008年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマンもまた、その受賞の翌年、過去30年間のマクロ経済学の大部分は、「良くて華々しく役に立たなく、悪くて全く有害」と言い放っていた(参考)。

同様に、2011年、元米財務長官で大統領首席経済顧問やハーバード大学学長を歴任したローレンス・サマーズは、主流派経済学の理論モデルに基づく論文は、政策担当者にとっては本質的に無益であったと告白している(参考)。

本物の女王に権威を失墜させられた「社会科学の女王」

経済学批判の歴史は長い。もっとも、これまでの経済学批判は、もっぱら政治学、社会学あるいは歴史学など経済学以外の分野からか、マルクス主義、歴史学派、制度学派あるいはポスト・ケインジアンといった、主流派から外れた異端派経済学から発せられてきた。

しかし、過去10年、主流派経済学者たちの中からの「内部告発」が相次ぐようになったのである。その理由は、明らかに2008年の世界金融危機(リーマン・ショック)の勃発にある。

有名な話であるが、リーマン・ショックの勃発から間もない2008年11月、イギリスのエリザベス女王は、経済学の世界的権威たちに「なぜだれも危機が来ることをわからなかったのでしょうか」と尋ね、彼らを絶句させたという。「社会科学の女王」を自認する経済学の権威が、本物の女王によって失墜させられた瞬間であった。


エリザベス女王のご下問に応えるなら、次のようになる。

そもそも、主流派経済学の理論は、「完全情報を有する合理的な個人が完全競争市場において最適化行動を行う」という非現実的な仮定を置いた「一般均衡理論」をベースとしている。

1980年代以降、この一般均衡理論を基礎としたマクロ経済理論を構築する試み(「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」)が流行し、いわゆるRBCモデル(実物的景気循環モデル)が構築された。さらにRBCモデルは、DSGEモデル(動学的確率的一般均衡モデル)へと発展し、1990年代以降のマクロ経済学界を席巻するに至った。

しかし、この「ミクロ的基礎づけ」とは、非現実的な仮定に基づく論理操作であったため、DSGEモデルなる理論モデルは、結局のところ、実際の経済から著しくかけ離れたものとなった。ローマーが、過去30年間で経済学が退歩したと述べた際に念頭にあったのも、この「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」の非現実性である。

リーマン・ショックを経ても改善は見られず

この「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」の問題点には枚挙にいとまがないが、特に重大な欠陥は、その根底にある一般均衡理論が「貨幣」の存在を想定していないということであった。

経済学とは貨幣に関する理論だと思い込んでいる人々は、主流派経済学の理論モデルに貨幣が組み込まれていないと聞いて、耳を疑うであろう。しかし、これは、一般均衡理論の中心的な理論家の一人であるフランク・H・ハーンですら認めている事実なのである。


エリザベス女王が経済学者に疑問をぶつけてから10年経っても、経済学のあり方は改善されていないようだ(写真:Reuters/Paul Childs)

エリザベス女王は知らなかったであろうが、主流派経済学者たちは、貨幣の概念を欠いた経済理論に依拠していたのだから、金融危機を想定できるはずもなかったのだ。

もっと言えば、そのような経済理論が経済政策に影響を及ぼしていたことこそが、金融危機を引き起こしたとすら言える。それを指して、クルーグマンやサマーズは「有害無益」と言ったのである。

確かに、極端に非現実的な経済理論に基づき、事実を軽視する経済学者たちの提言など、「有害無益」以外の何物でもない。

しかし、2016年に、ローマーが経済学を激しく糾弾する講演を行ったことからもわかるように、リーマン・ショックが起きたにもかかわらず、経済学のあり方には、それほど大きな改善がみられないようである。

非現実的な理論が及ぼす有害無益は、金融に限られない。

例えば、我が国では、現在、消費税率の10%への増税がなされようとしており、多くの経済学者がそれを支持している。しかし、この増税が安倍政権の目指すデフレ脱却を頓挫させ、景気の悪化を招くことは、明らかである。

というのも、消費税が5%へと引き上げられた1997年から日本はデフレ不況へと陥り、2014年の8%への消費増税もまた、デフレの悪化や消費の縮小などの悪影響を及ぼしたという事実があるからだ。


https://toyokeizai.net/articles/-/243257?page=3


ところが、8%への消費増税の是非が検討されていた2013年当時、多くの経済学者たちは増税を支持していたのである。その一人である伊藤隆敏氏は、消費税を引き上げても「デフレ脱却に失敗することはない」とまで断言していた(参考)。しかし、現実は、先ほど指摘したとおりである。

ちなみに、伊藤氏は2003年、吉川洋氏など日本を代表する経済学者らと共同で、政府部門の債務の対国内総生産(GDP)比率が200%に達した場合、「この水準は国家財政の事実上の破たんを意味すると言ってよい」と警鐘を鳴らしていた(2003年3月19日付、日本経済新聞「経済教室」)。

しかし、現在の政府債務の対GDP比率は230%を超え、伊藤氏らの言う「国家財政の事実上の破たん」の水準をすでに超えている。もし事実上の財政破綻であるならば、日本国債の買い手などいなくなるから、長期金利は急騰するはずだ。

ところが、実際の長期金利はわずか0.03%程度にすぎない。伊藤氏らが依拠する経済理論は、この現実をまったく説明できていないのである。

経済学者に見られる7つの特徴

これだけ事実によって理論が反証されているかかわらず、経済学者たちは、財政健全化論に固執し、消費増税や歳出抑制を主張し続け、財政政策に影響を与え続けている。その結果、防災関連予算ですら削減され、多くの国民の生命や財産が失われるという事態すら招いている

(参考:自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ)。
https://toyokeizai.net/articles/-/231318


ここまで来ると、経済学が、国民の生命を危うくしていると言っても過言ではあるまい。しかし、なぜ経済学者たちは、ここまで現実から目を背け、非現実的な理論に固執し続けているのであろうか。

ローマーによれば、経済学者たちには、次の7つの特徴が当てはまると述べている。


@途方もない自信

A異常に一枚岩の共同体

B宗教団体か政党のような、同じグループとの一体感

C他分野の専門家から隔絶された強烈な内輪意識

D他のグループの専門家の思想、意見、業績に対する無視と無関心

E証拠を楽観的に解釈し、結果に対する大仰あるいは不完全な言明を信じ、理論が間違っているかもしれないという可能性を無視する傾向

F研究プログラムに伴うはずのリスクの程度に対する評価の欠如


ローマーが批判した経済学者の閉鎖的な内輪意識については、トマ・ピケティもまた、ベストセラーとなった『21世紀の資本』の中で、こう指摘している。

率直に言わせてもらうと、経済学という学問分野は、まだ数学だの、純粋理論的でしばしばきわめてイデオロギー偏向を伴った臆測だのに対するガキっぽい情熱を克服できておらず、そのために歴史研究や他の社会科学との共同作業が犠牲になっている。経済学者たちはあまりにしばしば、自分たちの内輪でしか興味を持たれないような、どうでもいい数学問題にばかり没頭している。この数学への偏執狂ぶりは、科学っぽく見せるにはお手軽な方法だが、それをいいことに、私たちの住む世界が投げかけるはるかに複雑な問題には答えずにすませているのだ。
トマ・ピケティ『21世紀の資本』(2014年、みすず書房)P34〜35

ピケティの言う「数学への偏執狂」とは、DSGEモデルのような「ミクロ的基礎づけ」の理論への固執のことであろう。そして、「ミクロ的基礎づけ」の理論を共有していることが、経済学者たちの強固な内輪意識の源となっているのである。

問題は経済学者の閉鎖性

その一例を示しておこう。

土居丈朗・慶應義塾大学教授は、2016年の米国経済学会において、財政出動の是非を巡る経済学者たちの論争を聴いた際の感想を、こう述べている(ちなみに土居氏は、伊藤氏同様、熱心な財政健全化論者である)。

この議論を拝聴して、意見の相違は残ったままだったが、建設的で示唆深い議論にすがすがしさを感じた。パネリストは皆、大学院で教育を受けて経済学の博士号を持つ共通の学問的裏付けがあり、ミクロ経済学やマクロ経済学という演繹法的な基礎理論に基づく点で共通している。演繹法的な立論であるため、まったく同じ理論に基づいていても、現状認識や前提条件が異なれば、結論が異なりうるという議論の大原則がある。
日米で違いすぎる「反緊縮財政」を巡る議論(東洋経済オンライン、2016年1月11日配信)

土居氏は、米国経済学会における論争に「すがすがしさを感じた」理由として、パネリストたちが皆「経済学の博士号」を持っており、その議論が「演繹的な基礎理論」に基づいているからだとしている。その「演繹的な基礎理論」とは、「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」のある理論のことである。


筆者の著書『富国と強兵 地政経済学序説』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492444386/asyuracom-22


では、ローマーの批判を取り上げている

要するに、この米国経済学会の論争とは、「経済学の博士号」を持ち、「マクロ経済学のミクロ的基礎づけ」を共有することで一枚岩となった、閉鎖的な経済学者の仲間内での論争だということだ。

土居氏がその論争に「すがすがしさを感じた」のは、土居氏自身が、この非現実的な理論を共有する閉鎖的な経済学共同体の一員だからにほかならない。しかし、その経済学者の閉鎖性を、ローマーは問題視しているのだ。

ローマーは、講演の聴衆に対して、こう問いかけている。「あなたは、医療科学よりも、ワクチン反対派やホメオパシー派の友人を重視するような医者に、自分のお子さんの治療を任せられますか?」と。

ローマーの批判は辛辣を極めている。だが、彼の知的誠実さは、確かにノーベル経済学賞に値するだろう。




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【討論】表現者クライテリオンスペシャル「消費増税は安倍退陣と日本滅亡への道」[桜H30-10-20] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5XrfugyhtXw


2018/10/20 に公開


◆表現者クライテリオンスペシャル「消費増税は安倍退陣と日本滅亡への道」

パネリスト:
 浅田統一郎(中央大学教授)
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 川端祐一郎(京都大学大学院助教)
 菊池英博(日本金融財政研究所所長)
 高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
 藤井聡(京都大学大学院教授・内閣官房参与)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
司会:水島総

2. 中川隆[-13104] koaQ7Jey 2020年4月20日 13:38:27 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[18] 報告
アメリカで大論争の「現代貨幣理論」とは何か
「オカシオコルテス」がMMTを激オシする理由
中野 剛志 2019/03/26
https://toyokeizai.net/articles/-/271977


オカシオコルテスはアメリカ史上最年少の女性下院議員(写真:AFP=時事)

今、アメリカで大論争中の「現代貨幣理論(MMT)」をご存じだろうか。「財政は赤字が正常で黒字のほうが異常、むしろ、どんどん財政拡大すべき」という、これまでの常識を覆すような理論である。

この理論にアメリカ民主党29歳の新星で、将来の女性初大統領ともいわれているオカシオコルテス下院議員が支持を表明したことで、世論を喚起する大きな話題となっている。これに対しノーベル経済学賞受賞の経済学者クルーグマン、元財務長官のサマーズ、FRBのパウエル議長、著名投資家のバフェットらがこぞって批判。日銀の黒田総裁も否定的なコメントを出している。

はたして、この理論は、いったいどういうものなのか。

著書『富国と強兵 地政経済学序説』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492444386/asyuracom-22?p=TK


で、「現代貨幣理論(MMT)」をいち早く日本に紹介した中野剛志氏が解説する。


地動説や進化論も「異端」だった

ガリレオが地動説を唱えたとき、あるいはダーウィンが進化論を唱えたとき、学界や社会の主流派は、その異端の新説に戸惑い、怒り、恐れた。そして、攻撃を加え、排除しようとした。


しかし、正しかったのは、主流派に攻撃された少数派・異端派のほうだった。

このような科学の歴史について、トーマス・クーンは次のように論じた。

科学者は、通常、支配的な「パラダイム」(特定の科学者の集団が採用する理論・法則や方法論の体系)に忠実にしたがって研究している。科学者の間の論争はあるが、それも、このパラダイムの枠内で行われているにすぎない。パラダイムから逸脱するような理論は「科学」とはみなされずに、無視されたり、排除されたりするのである。

このため、仮にパラダイムでは説明できない「変則事例」が現れても、科学者たちは、その変則事例を深刻には受け止めない。相変わらず、パラダイムを無批判に信じ続けるのだ。


ところが、そのうちに、支配的なパラダイムに対する信頼を揺るがすような深刻な「変則事例」が現れる。こうなると、科学に「危機」が訪れる。科学者たちは根本的な哲学論争を始め、支配的なパラダイムを公然と批判する者も現れ、学界は混乱に陥る。

そのうちに、より整合的な説明ができる新たなパラダイムが提案され、やがて従来のパラダイムにとって代わる。地動説や進化論もまた、そうやって現れた新たなパラダイムの例である。

クーンが明らかにしたのは、どの科学が正しいかは、合理的な論証によって判断されるとは限らないということである。科学者の判断は、科学者個人の主観や社会環境など、必ずしも合理的とは言えないさまざまな要因によって左右されるのだ。

これは、地動説や進化論が弾圧された時代に限った話ではない。現代でも当てはまる。

近年の神経科学の実証研究によれば、人間の脳には、所属する集団のコンセンサスに同調するように自動的に調整するメカニズムがあるという。どうやら、われわれの脳は、主流派の見解からの逸脱を「罰」と感じるらしいのだ。

クルーグマン、サマーズ、バフェット、黒田総裁の批判

今まさに、クーンの言う「パラダイム」の危機が、経済学の分野で起きつつある。アメリカで巻き起こっている「現代貨幣理論(MMT)」をめぐる大論争が、それだ。


2019年3月8日
アングル:「財政赤字は悪くない」、大統領選にらみ米国で経済学論争
Howard Schneider
https://jp.reuters.com/article/usa-economy-mmt-idJPKCN1QO0TS


主流派経済学のパラダイムでは、財政赤字は基本的には望ましくないとされている。財政赤字の一時的・例外的な拡大の必要性を認める経済学者はいるものの、中長期的には健全財政を目指すべきだというのが、主流派経済学のコンセンサスなのである。

ところが、この健全財政のコンセンサスを、「現代貨幣理論」は否定したのだ。

このため、クルーグマン、サマーズ、ロゴフといった影響力のある主流派経済学者、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、あるいはフィンクやバフェットといった著名投資家ら、そうそうたる面々が現代貨幣理論を批判している。

その言葉使いも異様に激しい。クルーグマンは「支離滅裂」、サマーズは「ブードゥー経済学」、ロゴフは「ナンセンス」、フィンクにいたっては「クズ」と一蹴している。

日本でも、黒田日銀総裁が記者会見(3月15日)において現代貨幣理論について問われると、「必ずしも整合的に体系化された理論ではない」という認識を示したうえで、「財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は、極端な主張だ」と答えている。

しかし、現代貨幣理論は、クナップ、ケインズ、シュンペーター、ラーナー、ミンスキーといった偉大な先駆者の業績の上に成立した「整合的に体系化された理論」なのである。


にもかかわらず、黒田総裁が「必ずしも整合的に体系化された理論ではない」と感じるのは、それが主流派経済学とはパラダイムが違うからにほかならない。

ここで、「現代貨幣理論」のポイントの一部をごく簡単に説明しよう(参考:スティーブン・へイル「解説:MMTとは何か」)。


スティーブン・ヘイル「解説:MMT(現代金融理論)とは何か」(2017年1月31日)

2018年2月2日
Steven Hail, “Explainer: what is modern monetary theory” (The Conversation, 31 January 2017)
オーストラリア・アデレード大学経済学部講師 スティーブン・ヘイル
https://econ101.jp/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%80%8C%E8%A7%A3%E8%AA%AC%EF%BC%9Ammt%EF%BC%88%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E9%87%91%E8%9E%8D%E7%90%86%E8%AB%96/


まず、政府は、「通貨」の単位(例えば、円、ドル、ポンドなど)を決めることができる。そして、政府(と中央銀行)は、その決められた単位の通貨を発行する権限を持つ。

次に、政府は国民に対して、その通貨によって納税する義務を課す。すると、その通貨は、納税手段としての価値を持つので、取引や貯蓄の手段としても使われるようになる(紙切れにすぎないお札が、お金としての価値を持って使われるのは、そのためである)。

さて、日本、アメリカ、イギリスのように、政府が通貨発行権を有する国は、自国通貨建てで発行した国債に関して、返済する意思がある限り、返済できなくなるということはない。

例えば、日本は、GDP(国内総生産)比の政府債務残高がおよそ240%であり、先進国中「最悪」の水準にあるとされる。にもかかわらず、日本が財政破綻することはありえない。日本政府には通貨発行権があり、発行する国債はすべて自国通貨建てだからだ。

政府債務残高の大きさを見て財政破綻を懸念する議論は、政府の債務を、家計や企業の債務のようにみなす初歩的な誤解に基づいている。

政府は、家計や企業と違って、自国通貨を発行して債務を返済できるのだ。したがって、政府は、財源の制約なく、いくらでも支出できる。

ただし、政府が支出を野放図に拡大すると、いずれ需要過剰(供給不足)となって、インフレが止まらなくなってしまう。

このため、政府は、インフレがいきすぎないように、財政支出を抑制しなければならない。言い換えれば、高インフレではない限り、財政支出はいくらでも拡大できるということだ。

つまり、政府の財政支出の制約となるのは、インフレ率なのである。

ちなみに、日本は、高インフレどころか、長期にわたってデフレである。したがって、日本には、財政支出の制約はない。デフレを脱却するまで、いくらでも財政支出を拡大できるし、すべきなのだ。

物価調整手段としての「課税」と「最後の雇い手」政策

さて、国家財政に財源という制約がないということは、課税によって財源を確保する必要はないということを意味する。

アメリカでの現代貨幣理論の流行を紹介した日本経済新聞の記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42489020V10C19A3EA1000/

は、この理論の支持者が「政府の借金は将来国民に増税して返せばよい」と主張していると書いているが、これは誤解である。現代貨幣理論によれば、政府の借金を税で返済する必要すらないのだ

だが、現代貨幣理論は、無税国家が可能だと主張しているわけではない。

そもそも、現代貨幣理論の根幹にあるのは、通貨の価値は課税によって担保されているという議論だ。

また、もし一切の課税を廃止すると、需要過剰になって、インフレが昂進してしまうであろう。そこで、高インフレを抑制するために、課税が必要となる。

また、格差是正のための累進所得税、あるいは地球温暖化対策のための炭素税など、政策誘導のためにも課税は有効である。要するに、課税は、財源確保の手段ではなく、物価調整や資源再配分の手段なのである。

さらに言えば、現代貨幣理論は、物価調整の手段として、課税以外にも、「就労保障プログラム」あるいは「最後の雇い手」と呼ばれる政策を提案している。これは、簡単に言えば、「公的部門が社会的に許容可能な最低賃金で、希望する労働者を雇用し、働く場を与える」という政策である。

就労保障プログラムは、不況時においては、失業者に雇用機会を与え、賃金の下落を阻止し、完全雇用を達成することができる。逆に、好況時においては、民間企業は、就労保障プログラムから労働者を採用することで、インフレ圧力を緩和する。

こうして就労保障プログラムは、雇用のバッファーとして機能する。政府は、同プログラムに対する財政支出を好況時には減らし、不況時には増やすことで、景気変動を安定化させる。不況時には確かに財政赤字が拡大するが、低インフレ下では、財政赤字はもとより問題にはならない。

こうして、就労保障プログラムは、物価を安定させつつ、完全雇用を可能にするのである。

現代貨幣理論を理解していない批判

以上は、現代貨幣理論の一部にすぎない。

しかし、これを踏まえただけでも、主流派の経済学者たちや政策担当者たちの批判が、いかに的を外れたものであるかがわかるようになるだろう。

例えば、パウエルFRB議長は「自国通貨建てで借り入れができる国は財政赤字を心配しなくてよいという考え方は間違いだ」と断定し、黒田日銀総裁も「財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は、極端な主張」と述べた。サマーズも、財政赤字は一定限度を超えるとハイパーインフレを招くと批判する。


https://www.washingtonpost.com/opinions/the-lefts-embrace-of-modern-monetary-theory-is-a-recipe-for-disaster/2019/03/04/6ad88eec-3ea4-11e9-9361-301ffb5bd5e6_story.html?noredirect=on&utm_term=.7cfe02cd3f44


しかし、読者はもうおわかりだと思うが、これらはいずれも、まともな批判になっていない。

現代貨幣理論は、「財政赤字の大小はインフレ率で判断すべきだ」という理論である。ハイパーインフレになっても財政赤字を心配しなくてよいなどという主張はしていない。それどころか、インフレを抑制する政策について提言している。

要するに、批判者たちは、現代貨幣理論を理解していないということだ。いや、そもそも、知ろうとすらしていない節すらある。

なぜ、そのような態度をとるのか。それは、彼らが、現代貨幣理論のことを、主流派経済学のパラダイムに属していないという理由によって、まともに取り扱うべき経済学と見なしていないからであろう。

パラダイムが変わるのが怖い主流派経済学者たち

しかしながら、その一方で、リーマン・ショックのように、主流派経済学のパラダイムに対する信頼を揺るがすような「変則事例」が起きている。それについては、主流派経済学者たち自身も認めつつある。主流派経済学者の予想に反して財政破綻しない日本も「変則事例」の1つであろう。


ガキっぽい情熱を克服できない経済学の実態
ノーベル学者もピケティも嘆く内輪ウケ体質
中野 剛志 2018/10/19
https://toyokeizai.net/articles/-/271977?page=5

自然災害対策と「財政問題」は、分けて考えろ
「赤字だから対策できない」には根拠がない
中野 剛志 2018/08/01
https://toyokeizai.net/articles/-/231318?page=3


主流派経済学は、まさにクーンが言うパラダイムの「危機」に直面しているのだ。だからこそ、主流派経済学者たちは、現代貨幣理論の台頭が気になり、躍起になって批判しているのである。パラダイムが変わるのが怖いのだ。

だが、かつて、物理学のパラダイムを一変させたアインシュタインが言ったように、「問題を生じさせたときと同じ考え方によっては、その問題を解決することはできない」

現下の経済問題を解決するためには、経済学のパラダイムから変えなければならないのだ。

だから、現代貨幣理論についても、知りもしないで一蹴したり、利口ぶった皮肉で揶揄したりせずに、正しく理解したうえで、フェアに論争してもらいたい。
https://toyokeizai.net/articles/-/271977


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「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー 
平成30年3月7日 講師: 中野剛志 - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=PIVG7XDGrH4

第2回「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と租税ー 
平成29年4月27日 講師:中野剛志 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Zc9-Y5jiIO4
 


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「没落について」中野 剛志氏(評論家)グローバル資本主義を超えてII - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=OoduEx7tl2k
2018/11/23 に公開

国際シンポジウム
「グローバル資本主義を超えてII——『EU体制の限界』と『緊縮日本の没落』」
2018年10月13日 京都大学 シンポジウムホールで行われた講演配信


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【中野剛志】橋下徹、小池百合子が推める道州制がヤバい理由【JPN保守チャンネル】 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=8W0nCVC3pvY

2019/01/09 に公開


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【中野剛志×藤井聡】グローバリズムからの脱却!
経済再生フォーラム 2017年7月22日 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=qTis2wK1mrg


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『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』刊行記念 中野剛志さん×柴山桂太さんトークイベント - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RqWpokdk_iA
https://www.youtube.com/watch?v=1DErfYEACvY
https://www.youtube.com/watch?v=5TBPefNLsY4

2017/09/14 に公開

『グローバリズム その先の悲劇に備えよ』刊行記念
中野剛志さん×柴山桂太さんトークイベント 
2017年8月20日(日)
会場: 紀伊国屋書店新宿本店





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MMT(財政赤字は問題ない)は、やはり危険 2019年4月1日
塚崎公義(久留米大学商学部教授)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15796


 米国で「財政赤字は問題ない」という新理論が話題になっていますが、『日本の財政が絶対に破綻しない理由』を記した楽観主義者の塚崎でさえも、「やはり危険だ」思います。


「財政赤字は問題ない」という新理論が米国で話題に

 米国でMMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)と呼ばれる理論が話題となっています。民主党左派が財政支出拡大を求める際の理論的根拠として支持しているようです。

 「政府は紙幣を印刷すれば借金を返せるのだから、政府が破産することはありえない。したがって、財政赤字を気にすることはない。もっとも、財政赤字は無限には増やせない。そんなことをしたらインフレになるので、インフレを抑制するために増税をする必要があるからだ」というわけです。

 つまり、「増税は財政赤字を減らすためではなく、インフレを抑制するために行うのであって、インフレが心配ないのであれば増税は不要である」というわけですね。

 従来の経済学の主流派からは「トンデモ理論」だと批判されているわけですが、「日本は巨額の財政赤字を続けているが、自国通貨で国債を発行しており、インフレにもなっていないので、何の問題も起きていないではないか」というのが彼らの主流派への反論となっているようです。

 「非常識だ」と批判するのは簡単ですが、ガリレオの地動説のように、「非常識だけれど正しいこと」もあり得るので、本稿では非常識だという批判は差し控えたいと思います。

 そうだとすると、MMTは本当に間違えているのでしょうか?


日本でも、MMTは危険

 もしも、「財政赤字が10%増えるとインフレ率が1%高まる」という安定的な関係があるのであれば、日本のような国ではMMTもある程度正しいのかもしれません。しかし実際には、そうした関係は決して安定的ではありません。

 財政赤字とインフレの関係は、直線的なものではなく、地震のエネルギーが蓄積されていって、ある時突然に暴走する可能性があるのです。

 財政赤字が続き、政府の借金が増えていくと、世の中に出回る紙幣が増えていきます。実際には紙幣は銀行に預金され、銀行は日銀に預金するでしょうから、増えるのは日銀の準備預金ですが、「いつでも人々が巨額の紙幣を手にすることができる状況」となっていくわけです。

 そうした時に、たとえば石油ショックなどが発生して、人々の間でインフレ予想が広まったとします。人々は一斉に預金を引き出して物を買うでしょうから、実際にインフレ率が急激に上昇し、それが一層の買い急ぎを誘うでしょう。

 あるいは、日本政府が破産するという噂が流れたとして、人々が「破産する政府の子会社が発行している日銀券など持ちたくない」と考えて外貨や実物資産を購入し始めるとすれば、やはり超インフレになりかねません。

 そうなったら、MMTが言うように「増税してインフレを止める」ことは極めて困難です。無理に超大幅増税を短期間で実行すれば、経済が大混乱するでしょう。

 実際には増税よりも即効性のある「大幅な利上げをする」、「預金準備率を急激に引き上げる」、といった手段が採れるでしょうから、本当に超インフレになってしまうことはないでしょうが、いずれにしても「暴走する車に急ブレーキをかける」ようなものですから、相当大きなショックを経済に与えることとなりかねません。

 したがって、筆者でさえも、「日本の財政赤字を脳天気に放置しておいて良い」とは思っていません。ただ、「放置するリスクと緊縮財政で景気を悪化させるリスクを天秤にかけると、前者のリスクの方が若干小さいだろう」と考えているだけです。


対外債務のある国では採用不可

 日本は巨額の対外純資産を持っていますし、対外債務も多くは自国通貨建てです。したがって、海外の債権者の反応を気にする必要がありません。しかし、対外債務の多い国は、海外の債権者の反応も大いに気になるところです。

 海外の投資家や銀行は、国内の投資家や銀行と比べて遥かに逃げ足が速いですから、MMTのリスクが大きいのです。海外の投資家が逃げ出すと、自国通貨をドルに替えて持ち帰るため、超ドル高となり、輸入インフレとなります。

 それだけではありません。倒産が増えるのです。海外からのドル建て債務を返済するには、自国通貨をドルに替える必要があります。海外からの返済要請が殺到した場合、最初に返済した人は良いのですが、その人がドルを買うことでドルが値上がりするため、2人目の返済負担は1人目より大きくなるのです。

 3人目以降も同様なので、最後の1人はわずかなドルを返済するのに巨額の自国通貨が必要となり、倒産しかねないのです。

 したがって、対外債務の大きな国がMMTを採用することは、大変危険なことだと言えるでしょう。

 ユーロ圏の国がユーロ建てで借金をしている場合や、米国が米ドル建てで借金をしている場合は、この限りではありませんが、米国の場合は反対に基軸通貨であるが故に世界に迷惑を撒き散らす可能性があるのです(後述)。


米国の方が日本よりインフレ体質

 米国の方が日本よりインフレになる可能性が高そうです。単に過去のインフレ率が高かったというだけではありません。インフレになった時に、それが加速する可能性が高そうだ、という点が問題なのです。その分だけ、MMTのリスクは高いと考えて良いでしょうから。

 インフレになると「買い急ぎ」をする傾向が、米国人は日本人よりも強いようなのです。日本人はインフレになると買い急ぎをするインセンティブと並んで「老後のための貯金が目減りしてしまったので、倹約して貯蓄に励む」というインセンティブも持ちますが、米国人はそうでもないようです。

 もともと楽天的で将来不安を日本人ほど感じないという国民性もあるのでしょうが、「インフレになると賃金が素直に上がる経済体質」「金融資産が株式などインフレに強いもの中心なので、インフレでも目減りしない構造」なども影響しているかもしれません。

基軸通貨の混乱は世界的な影響が大

 日本経済が混乱しても、日本の金利が急上昇しても、日本の円が暴落しても、影響は日本中心に発生するだけで、世界経済への影響は限定的なものにとどまるでしょうが、米国で同じことが起きると影響は世界中に広がります。それは、米国の通貨である米ドルが基軸通貨として世界中の貿易や投資等に使われているからです。

 米国の金利が急上昇すると、世界中の金の貸し借りが混乱します。米国のインフレを止める目的で利上げをすると、米ドルを海外から借りている途上国の経済が破綻したり、世界的に株価が暴落したりするわけです。

 そんなことになっても米国のインフレを止める効果は見込まれないのに、迷惑だけ世界中にかけるわけですね。そんなリスクを世界経済に負わせないでいただきたいものです。

 さらに問題が深刻化すると、基軸通貨が交代する、といった思惑が生じるかもしれません。そうなれば、世界経済の混乱は計り知れないものとなるでしょう。幸か不幸か現在はドルに代わって基軸通貨となり得る通貨が見当たらないこともあり、その可能性は非常に低いとは思われますが、影響の大きさを考えると、確率は低くても被害の期待値は無視できないと言えそうです。

 以上を総合的に考えると、筆者は米国がMMTを採用することに反対せざるを得ません。もっとも、米国が「米国ファーストだから、他国への悪影響など考慮せずに、米国経済だけのことを考えてMMTを採用する」と言い始めたら、止める術はありませんが(笑)。




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【経済討論】日本経済、滅びの道をひた走り?![桜H31-4-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sobuc4VM2pI

◆経済討論−日本経済、滅びの道をひた走り?!

パネリスト:
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 石井孝明(ジャーナリスト)
 高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 松田学(松田政策研究所代表・元衆議院議員)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総


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財政・国債の「天動説」を撲滅せよ 2019-04-08
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12452748337.html
財政破綻論者の特徴の一つは、自分でも理解せずに「それっぽい言葉」を使うという点になります。


 例えば、
「このままでは国の借金が膨らんで、国債のファイナンスができなくなって破綻する!」
 とか。


 何じゃ、ファイナンスって? 言っている本人は、理解しているんかいな?


 銀行預金は、しつこいですが借り手が借りる「瞬間」に発行されるおカネです。つまりは、銀行が「借り手に貸すおカネがない」ということは、地球上に住んでいる限りあり得ません。何しろ、書くだけ。


 逆に言えば、借り手が「借りるおカネがない」ということもあり得ないのです。無論、借り手の「与信」により、貸してくれないことはありますが。


 国債の場合は、日本政府が借りているのは日銀当座預金です。銀行から日銀当座預金を借り、政府小切手で支出。政府小切手は銀行に持ち込まれ、日銀当座預金で清算される。


 つまりは、最終的に銀行は「政府に貸した分の日銀当座預金」を資産として保有することになる。結果、政府が「国債を発行しようとした際に、借りるおカネがない」ということは起こりえないのです。


【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み(中央銀行の国債直接引受のケース)】

http://mtdata.jp/data_63.html#hikiuke


 上図の細かいプロセスについては、【【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実】のこの辺で解説しております。
https://youtu.be/ynVn-3tLhj4?t=669


 というわけで、自国通貨建て国債の場合、
「政府が国債を発行しようとした際に、銀行にカネがなくてファイナンスできない(で、いいの?)」
 といった論調は、
「銀行からカネを借りようとしたが、銀行のカネがなくて借りれない」
 と同じように天動説です。地球の周りを太陽を初めとする天体が回っていると考えるほどにバカげています。

 とはいえ、現実世界にはその種の天動説信者ばかり。典型的な「天動説」の財政論の記事。


『政府債務は家計貯蓄を超えるか?(大機小機)
 財政について「政府債務が日本の家計貯蓄を超えると財政は危ない」という議論がよくある。家計の金融資産すなわち貯蓄はいま約1800兆円。一方、国と地方の長期債務残高は1100兆円余りだから、今は政府債務を国内の貯蓄で賄えている。しかし、いずれ債務残高が貯蓄を超えると、大変なことになる。
 本当に政府債務は貯蓄を超えるだろうか。
 今年、政府が国民から100兆円を借金していると仮定しよう。国民は貯蓄として政府の借用証書すなわち国債を額面100兆円分、保有している。1年たって金利1%が増えると、政府の借金は101兆円になるが、国民の貯蓄も101兆円に増えている。政府が借り換えを続けるとしよう。2年後にはさらに金利が増えて、政府の借金は102兆円強、国民の貯蓄も同額の102兆円強となる。
 この計算は何年たっても同じなので、最初の年に国債残高と国民の貯蓄が同額だったら、何年たっても「国民の貯蓄=国債残高」が成り立つ。
 この等式が示すのは、国債が「金利分」だけ増えるのであれば、国債残高が国民の貯蓄を上回ることはない、ということだ。国民が政府の借り換えに応じる限り、国債が金利分増えるだけなら、「国債が国民の貯蓄総額を超える」との心配は不要である。
 ただし、これには前提条件がある。国民が貯蓄を大きく取り崩さないこと、また、国民が(ほぼすべての)国債を保有していることだ。
 基礎的財政収支の赤字があると話は違ってくる。赤字があると借り換えでは足りず、国債を新規発行して新たな資金を調達する必要がある。新規の国債発行額が家計貯蓄の増加分よりも大きければ、国債残高はいずれ貯蓄を超える。従って、基礎的財政収支をゼロまたは黒字にすることが、国債が貯蓄を超えないための絶対条件といえる。
 国債残高を減らすには極端な増税と歳出カットが必要だ。だが、基礎的財政収支を黒字にするだけなら、消費税を10%まで上げ、もう一段の増税と歳出削減を進めるだけで何とかなりそうである。
 債務残高の絶対水準を落とすというハードターゲットを狙うのではなく、債務の増加を貯蓄の増加の範囲内に抑えるという「スピード調整」が本質的に重要なのかもしれない。』


 本ブログや中野剛志先生の本を読まれているかた、あるいは「MMT(現代貨幣理論)」を理解されている方は、日経新聞の上記「大機小機」を読み、
「き、記者って・・・・ここまでバカなのか・・・・・」
 と、愕然とされたと思います。


 はい、ここまでバカなのです。


 上記を書いた記者も、

「政府は家計の貯蓄(銀行預金のこと?)からおカネを借りている」
 と、真逆の理解をしています。


 真実は、
「政府が国債を発行すると、家計の銀行預金が増える」
 であるにも関わらず。


 まあ、財務省の飼い犬としてPB(基礎的財政収支)の黒字化を正当化したいためのプロパガンダ記事といわれればそれまでなのですが、見事なまでに「おカネのプール論」になっているのが分かると思います。


 おカネの種類について何一つ理解しておらず、国債発行や政府支出のプロセスも知らない。


 この手の無知な連中が「それっぽい言葉」を使うだけで、おカネに関して無知な一般国民は見事に騙される。


 知識を身につけましょう。知識を広げましょう。そして、財政・国債に関する「天動説」を撲滅するのです。


 迂遠に思えるかも知れませんが、「正しい知識」の拡散こそが、最も近道なのでございますよ。


 というわけで、「正しい知識」に基づき政策をピボット(転換)するためのプロジェクト、「令和の政策ピボット」を広めて下さいませ。

 https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12452748337.html 


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MMTへの藁人形プロパガンダと闘う 2019-04-09
  

 相変わらず、MMTに対する「胡散臭いブードゥー経済理論」的な攻撃が続いています。


 何しろ、「中身」で議論をすると、先方には勝ち目がありません。


 例えば、銀行預金一つとっても、

「銀行が何らかの借用証書と引き換えに、自らの負債としての銀行預金というおカネを【書くこと】で発行している」

 というのが真実なのでございます。上記を覆すことは、どうにもこうにも不可能です。


 ちなみに、未だに理解していない人がいますが、現金紙幣は日銀の借用証書です。銀行に「現金紙幣を預ける」とは、日銀の借用証書と引き換えに、銀行預金というおカネを【書くこと】で発行してもらうことです。


 現金紙幣を預けた際に、「現金紙幣が銀行預金に変わった」のではありません。現金紙幣は、きちんと銀行の金庫(?)に存在し続けます。


 銀行は現金紙幣という借用証書を受け取り、代わりに銀行預金という「データ」のおカネを発行したのです。


 上記が単なる「事実」である以上、反MMT派としては「理論の否定」はできません。とにかく、藁人形を作り、レッテルを貼り、印象操作でMMTの主張を貶める以外に手がないのです。

『政府は借金し放題?=「日本が見本」、米で論争

 政府はいくらでも借金を増やせる−。米国で経済学の常識を覆す「現代金融理論」(MMT)をめぐる論争が注目を集めている。擁護派は、巨額の財政赤字を抱えながらも低金利が続く「日本が見本」と主張。これに対し、財政赤字が膨らめば金利上昇・景気悪化を招くとの定説を支持する主流派学者は「魔法」とこき下ろしている。

 MMTは、自国の通貨を持つ国はいくらでも通貨発行ができると説く。政府が国債の返済意思がある限り、債務が増えてもデフォルト(債務不履行)は起こらないという。

 大規模な財政支出を伴う環境政策「グリーン・ニューディール」を提唱する野党民主党の新星アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員がMMTを支持。大統領選が来年に迫る中、社会保障拡充案を裏付ける財政論として関心を集める。

 MMTを唱える、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、無秩序な拡張財政で需要が膨れ、インフレが加速する事態を避けられれば財政は破綻しないと強調。「国内総生産(GDP)の240%の債務を抱える日本の事例が重要な見本」と、理論に自信を示している。

 これに対し、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授は「理解不能」と批判。ローレンス・サマーズ元財務長官(ハーバード大教授)も「非主流派学者」による「魔法」と切り捨てる。日銀の黒田東彦総裁は「極端な主張」と距離を置いている。(後略)』

 MMTにせよ、わたくし共にせよ、「政府はいくらでも借金を増やせる」とは主張していません。「全ての経済(及び政府)は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある」は、MMTの基本の一つです。


 国民経済の供給能力が足り、インフレ率が向上しない限り、政府は自国通貨建ての国債を発行できるし、中央銀行は国債を買い取って構わないという、単なる事実を主張しているに過ぎません。


 インフレにもならず、当然、金利も上がらず、国民が働き、モノやサービスが生産され、生産資産が蓄積され、経済力が強化され、国民が豊かになり、
「一体、何が問題なんだ!?」
 という話なのですが、既存の経済学(おカネのプール論)からしてみれば、許されざる話というわけでございます。

 わたくしが過去十年以上、作られ、釘を打ち付けられていた、
「三橋は政府が無限に国債を発行できると言っている」
 という藁人形プロパガンダが、現在はMMTで展開されているわけでございます。

 何しろ、

「MMTによると〜、政府は借金し放題だってさ〜(笑)」

 といった見出しの記事ばかりが流されているわけですから、国民側からしみてれば胡散臭さが半端ありません。経済について理解しておらず、自らの身に「置き換えて」考えるしかな無知な大衆は、

「借金は返さなければいけないに決まってるじゃん! 借金し放題って、バカじゃねえのwwww」

 といった「間違った認識」により自己満足感を得て、むしろMMT派やわたくし共を攻撃して悦にふける。まさに、地動説と天動説の争いです。


 しつこいほど繰り返していますが、経済力とはモノやサービスを生産する力です。経済力が許す限り、政府は国債や通貨を発行し、国民の所得や生産資産になるように支出して構わないのです。


 何しろ、供給能力(経済力)が足りている以上、インフレにはなりません。「何が問題なの?」としか言いようがありません。


 MMTを巡る「国債発行の限界」の議論は、MMTの胡散臭さを払拭し、さらには「経済力とは何なのか?」という日本国民が今、最も知るべき議論に繋がる。だからこそ、

「国債発行や通貨発行の限界は、モノやサービスを生産する力。つまりは、経済力そのものである」

 に加え、経済力は政府や民間の投資により強化することができるという「経済の真実」について理解を広める必要があるのです。(怖い話ですが、上記を最も理解してそうなのが、中国共産党です)


 特に、MMTへの藁人形プロパガンダに対し、「経済力」「供給能力」「インフレ率」といったキーワードで、いちいち反論していく必要があります。逆に言えば、先方はこの程度のくだらない藁人形プロパガンダにすがるしか、戦いようがないという話でもあります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12453005846.html

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2019年4月10日  財政拡大容認論「MMT」台頭に投資家はどう備えるべきか

「民主社会主義者」を自称するサンダース上院議員(写真中央)の流れをくむ民主党の新星アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(写真右)は、拡張財政容認論を支持 Photo:AP/AFLO


 米国で現代貨幣理論(MMT: Modern Monetary Theory)を巡る論争が熱を帯びている。拡張財政容認論とも言えるMMTに対してはさまざまな意見や批判があるのは承知しているが、資産運用業に従事する者として、ここではMMTが台頭してきた社会的な背景を整理した上で、マーケットへの潜在的な影響に焦点を置いて考えてみたい。


時代のキーワードは民主社会主義

 MMT派の急先鋒であるステファニー・ケルトンNY州立大学教授は、バーニー・サンダース上院議員が2016年の米大統領選挙に立候補したときの経済アドバイザーだった。泡沫候補の1人にすぎなかったサンダース氏は、格差是正を訴えてミレニアム世代の支持を獲得し、最後までヒラリー・クリントン氏と民主党の指名候補の座を争った。

 サンダース氏の公約は医療の国民皆保険化、最低賃金の引き上げ、インフラへの投資拡大、大学教育の無料化など政府支出の増大を伴うものが中心だが、財政赤字の拡大を一時的に容認してでも格差を是正する方が政策順位は高い、という主張の理論武装としてMMTが用いられたのだ。

 格差是正を求める動きは、2018年の中間選挙で米国史上最年少の女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ=コルテス氏に引き継がれている。母親がプエルトリコ出身の移民でNY州ブロンクス生まれの同氏は、28歳という若さにもかかわらず予備選で現職の民主党重鎮を破り、一気に知名度を上げた。民主社会主義者を自称し、医療や教育など市民権の平等を訴えており、若年層やマイノリティからの人気ぶりは「キング牧師の再来」と形容されるほどだ。

 オカシオ=コルテス氏は富裕層への増税を主張しているが、同時に財政赤字の拡大にも寛容で、MMT支持者としての顔も見せている。ちなみに前述のケルトン教授は現在、キング牧師により組織された貧困層救済活動「Poor People’s Campaign」の経済対策アドバイザーを務めているが、オカシオ=コルテス氏とも経済政策面で連携していると推察される。


 こうした政治的な地殻変動は、SNSでつながった若年層や低所得層が「富裕層の富裕層による富裕層のための政治」を変える影響力を持ち始めたことを意味している。

 彼らは財政赤字を言い訳に政府支出を渋り、富裕層には減税する米国流資本主義に不満を感じており、民主的に選ばれた政権が社会主義的なアプローチで所得を再分配してくれることに希望を見いだしている。

 米国で「社会主義」という単語がこれほどまでにネット上で語られることは、おそらく今までになかっただろう。英国でもジェレミー・コービン党首率いる労働党が「国民のための量的緩和」を訴えて2017年の総選挙で躍進するなど、民主社会主義は今や世界的なキーワードになっている。

焦点はFRBの独立性が大きく損なわれるか否か

 「市場VS政府」という所得の再分配を巡る伝統的な議論が、低金利・低成長という環境変化のせいで「量的金融緩和VS現代貨幣理論」という非伝統的な方法論へとエスカレートした――。 これが、筆者が考えるMMT台頭の背景である。

 現時点では民主社会主義を掲げる候補者を擁立しても民主党が2020年の大統領選挙に勝てる見込みが高いわけではなく、市場にはMMTの主張に沿った拡張財政政策が実行されることを想定した動きは見られない。しかしこれから本格化する大統領選挙を通じて、民主社会主義政策に米国民の支持が集まるようであれば、マーケットは突如としてその影響を織り込み始めると予想する。

 おそらくそれは株式市場にとって芳しいものではあるまい。過去20年間に先進国で政権を取った中道左派政党には、英国の労働党(1997-2010)、ドイツの社会民主党(1998-2005)、日本の民主党(2009-2012)、フランスの社会党(2012-2016)などの例がある。

 彼らは構造改革を重視し、必ずしも拡張財政に依存したわけではなかったが、結果的に英独では悲惨指数(消費者物価と失業率の和)が上昇し、日仏では政府債務残高が増加するなど、経済を改善させることはできなかった。

 また中道左派政党は企業に対して一定の負担を求める傾向があるのも株価にはネガティブだ。特に民主党が政権を取れば、温室効果ガスや自社株買い、タックスヘイブン(租税回避地)などの規制強化に動く公算が大きく、成長株への下落圧力が強まることになろう。

 債券市場にとっても金利上昇が待ち受けていよう。ちなみに筆者は民主党のMMT派による政策がハイパーインフレを引き起すような危機的状況をもたらすとは考えていない。なぜなら民主社会主義派は財政赤字拡大よりも富裕層への増税を優先しているし、過去においても民主党の方が共和党よりも財政赤字を抑制してきたという事実があるからだ。

 しかし市場がこの点を警戒しているのは明らかで、財政赤字のわずかな拡大に対しても債券市場が過剰に反応することは想像に難くない。

 投資家はどう対応すべきだろうか。市場の初期反応がインフレ警戒的なものになるとの見方に立てば、ゴールドや原油といった商品市場が有望だ。物価連動債や不動産投資信託(REIT)にもインフレ抵抗力を見いだすことができる。株式では医療や教育、インフラ関連の銘柄に投資機会があろう。

 ただし米連邦準備制度理事会(FRB)の独立性が大きく損なわれたと市場が受け止めた場合は、一段と踏み込んだ資産の組み替えが必要になる。特にドル安への対応は必須だ。日本や欧州でも同様の政策が実施されると考える人々は、仮想通貨に避難先を見いだそうとするかもしれない。

 繰り返しになるが、このような反応は、市場が政策転換の可能性を感じ始めたときに突然巻き起こってくるだろう。その時期を前もって知ることは難しいが、米国の世論が民主社会主義にどこまで寛容であるかを測るリトマス紙として、これからのMMT論争の行方を注目しておきたい。

*本稿は、ダイヤモンド・オンラインの特設サイト「政策・マーケットラボ」に掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
https://diamond.jp/articles/-/199118




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令和は平成以上に国民が貧困にあえぐ時代に? MMTは日本経済の低迷を救うか
https://wezz-y.com/archives/64990
2019.04.14 wezzy

 新しい元号「令和」も決まり、来年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックで、何やら良いことが起きそうに感じている人も多いかもしれない。しかし、このままでは令和は平成以上に国民が貧困にあえぐ時代となる可能性が高い。

 政府はアベノミクスでデフレ脱却を目指しながらも、緊縮財政、規制緩和、増税などのインフレ対策(アベコベノミクス?)を行ってしまった。風邪をひいている病人に氷水を浴びせてこじらせてしまったようなものだろう。しかも、ついには公式統計までごまかし出す始末。名目賃金が誤差程度に上昇したことを鬼の首を取ったかのように主張しているが、実質賃金は下がっている。

 おまけに、相も変わらず政府の借金を国の借金と言い換えて、1100兆円を国民一人当たり885万円の借金だというレトリックで存在しない財政破綻危機を煽り、増税の口実にしている。政府の借金など国民は気にする必要がないことは後ほど言及したい。

 もっとも、政府がいくら経済政策の成果を主張しても、多くの国民は「実感がない」と感じているのではないか。その直感は正しい。

 なぜ、これほど政府の経済政策はダメダメなのか。周囲には優秀な経済学者をはじめとするブレーンが控えていたのではなかったか?

 いやいや、実はこの主流派と呼ばれる経済学の信奉者たちこそが、日本や世界の経済をダメにしたのだ――と指摘するMMTなる理論が登場し、注目されている。

 おかげで、主流派経済学を信奉する学者や評論家、政治家、マスコミたちが、いやーな汗をかきはじめているようだ。

■主流派経済学者たちや政治家、マスコミが慌てるMMTの衝撃

 もし、経済学に再現性の高い科学的要素があるのならば、現在の日本の体たらくはどのように説明するのか。――と思っていたら、先頃、アメリカでMMT論争なるムーブメントが起きていることを知り、わずかな希望の光を見つけた。

 MMTとは「Modern Monetary Theory」の略で、日本語では「現代貨幣理論」と訳されることが多い。MMTが注目されるようになったきっかけは、2018年の米国の中間選挙で29歳の最年少女性議員として脚光を浴びたアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員が、今年1月に「MMTの議論をもっと盛り上げるべき」と主張したことだった。

 この主張が、2020年の大統領選の争点にまで発展しそうな勢いで議論を巻き起こしている。なにしろオカシオコルテスは将来、米国初の女性大統領になるのではないかと期待されている新星だからだ。

 ――ところでMMTって何だ? 多くの人がこの聞き慣れない理論に注目した。すると驚くべきことに、MMTでは「財政は赤字でこそ正常な状態なのだから、どんどん財政拡大すればよいのだ」、というではないか。日本で多くの人たちが緊縮財政、つまり財政赤字の縮小こそ正しいと主張しているのとは正反対だ。

 正反対だから、ノーベル経済学賞受賞者であるクルーグマンをはじめとする経済学者や中央銀行関係者、著名投資家たちなどが慌てて反論を始めた。何しろ自分たちが依って立つところの「信仰」が揺るがされかねないためだ。

■袋だたきに遭うMMT

 主流派と呼ばれる経済学では、財政赤字は悪だ。なかには一時的な財政拡大は認めるという一派もあるが、基本的には悪である。政府の債務が積み上がってしまうと国際的な信用が低下し、その国の国債が売り出されてしまう。その結果、国債の金利が上昇して債務返済が困難になってしまうという理由だ。

 実際、ギリシャやアルゼンチンなどは債務不履行に陥っているではないか、と主流派は言う。しかし、MMT支持者たちはこの理論を笑う。米国や日本など、自国通貨で借金をできる政府は通貨発行権を持っているため、破綻のしようがない、というのだ。

 この理屈はもっともだ。MMT支持者の主張は、日本という国で実証されている。

 日本ではずいぶんと昔から財政破綻が叫ばれている。1995年に武村正義大蔵大臣(当時)が国会で財政破綻宣言をしたのが始まりとも言われている。しかし、いっこうに金利は上がらないし、破綻しそうにもないではないか。

 米国も同様だ。MMTはでたらめな理論ではない。経済産業省の官僚で評論家でもある中野剛志氏は次のように語っている。

 “現代貨幣理論は、クナップ、ケインズ、シュンペーター、ラーナー、ミンスキーといった偉大な先駆者の業績の上に成立した「整合的に体系化された理論」なのである。”(東洋経済ONLINE:2019/3/26)

■MMTとは何か

 このMMTは最近になって突然登場した理論ではない。1990年代には構築されていた。その主な主張は以下の通りだ。

 ●自国通貨を発行できる政府は財政的な予算制約を受けることはない。たとえば日本や米国、英国が該当する。一方、自国通貨を持たず発行もできないユーロ圏の国々は該当しない。

 ●経済と政府には、生産と消費に関する実物的な限界と環境上の限界がある。これは、政府には消費を拡大したり減税したりすることでインフレを起こすことができるという意味だ。

 ●政府の赤字は他の人たちの黒字となる。これは誰かの赤字は必ず誰かの黒字になるという単純な法則だ。

■MMTなら未だに破綻していない日本を説明できる

 世界には、財政破綻できない国がある。その代表が日本や米国、英国などだ。これらの国の政府は自国通貨を発行することができる。つまり、政府が返済する意志を持つ限り、借金などいくらでも返済できてしまうということだ。

 主流派経済学が頭を抱えているのは、すでにGDPの240%にも上る政府債務残高があるにもかかわらず未だに財政破綻していない日本の存在だ。しかし、MMT支持者から見れば「当然の現象」ということになる。

 私たちの多くも、つい、政府の財政状況を家庭や企業と同じように考えてしまう。つまり、借金が膨らむと倒産したり破産したりしてしまうのではないか、という心配だ。

 しかし、政府は企業や家庭とは決定的に異なる特徴を持っている。最も大きな違いは、通貨発行権を持ち、徴税権を持ち、寿命がないということだ。この明白な事実を、私たちは忘れてしまっている。いや、忘れさせられている。

 とはいえ、いくらMMTでも、政府が野放図に支出しても良いとは言っていない。あくまで適度なインフレが保たれる範囲でとしている。つまり、極度な需要過剰(供給不足)でインフレが過熱しないように調整は必要だというのだ。

 ただ、現在の日本は、まったくの低金利どころかマイナス金利なので、この手の心配は無用だといえる。同時にMMTのこの考え方は、政府の財源を増税で賄う必要はまったくないことも示している。つまり、消費税の増税は愚か、消費税そのものもナンセンスなのだ。

■MMTは課税を不要だとは言っていない

 ただし、MMTでは課税そのものを不要だとは言っていない。なぜなら、MMTでは通貨の価値は課税で担保されると考えているためだ。課税を行わなければ、需要過剰(供給不足)が起きた際にインフレを制御できない。また、格差を是正するためにも、富の再配分システムとして課税は必要になる。MMTではほかにも、政府が最後の雇い手として機能することで物価調整を行えると考える。

 たとえば景気が悪く失業者が増えれば、政府が働く場を作り出せば良い。そうすることで完全雇用を達成し、賃金の下落を止めることができる。逆に好景気になり民間で人手不足が始まれば、公的雇用から労働者を採用すれば良いのだ。

 MMTでは、不況時に政府が財政支出を増やして赤字になることをまったく問題視しない。

■MMTは無制限に財政赤字をせよとも言っていない

 それにしてもMMTは批判される。

 MMTでは救われない、ユーロからの批判がそのひとつだ。欧州中央銀行(ECB)の理事会メンバーであるビルロワドガロー・フランス銀行(中央銀行)総裁がMMTにかみついた。そうしなければユーロの正当性が崩壊してしまうからだろう。

 同氏は、次のように言っている。

 “残念ながら、自国の債務をマネタイズしようとした国は極めて不幸な経済状況に陥ったことがケーススタディーで繰り返し示されている”(ロイター:2019/03/28)と言いながら、具体的な例が出てこない。そもそもEU諸国は自国通貨も中央銀行も持たないので、MMTの理論では救えない。だからドイツもフランスも財政破綻する可能性がある。

 しかし、日本や米国、英国、スイスなどは破綻できないのだ。日本でもことあるごとに財政破綻を煽る人々は、財政赤字が金利を急騰させて、政府の利払い負担が増えて将来の世代にツケを回してしまう、と主張している。

 あれれ? 日本は凄まじい低金利であることを忘れているようだ。この不思議(でもなんでもないのだが)はMMTなら説明できる。それは、政府の赤字は民間の貯蓄でファイナンスされているわけではないためだ。

■銀行はお金を創造する魔法を持っている? 信用創造とは?

 ここで「信用創造」という魔法について説明したい。

 銀行が企業などに融資する場合、なんとなく預金で集めたお金を貸し出していると思ってしまう。しかし現実には、銀行は実際に持っている以上のお金を貸し出すことができるという魔法を持っている。

 たとえば銀行がある企業に10億円を貸し出すとする。その時、銀行はどこかにとっておいた10億円を持ってきて貸し出すのではない。単純に、貸出先企業の口座に10億円記帳するだけなのだ。

 この仕組みは、書き込むだけでお金が生み出されることから「万年筆マネー」などとも呼ばれる。

 つまり銀行という制度は、理論的には相手が返済能力さえあれば、際限なくお金を貸し出せることになっている。ただ、実際には預金の引き出しに備えるために預金の一定の割合を日銀当座預金として中央銀行に預け入れることが義務づけられている。つまり、銀行が貸し出しを増やして預金を増やすと、日銀当座預金が増えるのだ。

■経済学は天動説なのか?

 前述の中野剛志氏は、MMTが主流派から批判されている状況を次のようにたとえている。

 “ガリレオが地動説を唱えた時、あるいはダーウィンが進化論を唱えた時、学界や社会の主流派は、その異端の新説に戸惑い、怒り、恐れた。そして、攻撃を加え、排除しようとした。しかし、正しかったのは、主流派に攻撃された少数派・異端派のほうだった。”(東洋経済:2019/3/26)

 主流派から攻撃されている少数派だから正しい、とはもちろん言えない。しかし、何よりも主流派にとって皮肉なのは、日本という国が財政破綻していないことで、MMTの正しさが実証されてしまっていることだ。

 私は経済学者ではない。そのため、MMTについて誤った解釈をしている可能性もある。それでも本稿を投稿したのは、MMTの議論が盛り上がれば日本経済にプラスになると考えたためだ。

 経済低迷が常態化してしまった日本で、MMTは希望の光となるだろうか。

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2019.4.26
財政赤字容認の「現代貨幣理論」を“主流派”がムキになって叩く理由
中野剛志:評論家
https://diamond.jp/articles/-/200555

 昨今、「現代貨幣理論(MMT、Modern Monetary Theory)」なる経済理論が、米国、欧州そして日本でも話題となり、大論争を巻き起こしている。

 今なぜ、MMTなのか。

 景気減速感が強まる一方、金融政策が手詰まりな状況で、「財政政策で活路を」と考える論者や、格差是正やグリーン・ニューディールなどを訴えて財政拡張政策を主張するいわゆるリベラル政治家らが、その理論的な根拠としていることがある。

 だが、このMMTに対して、主要な経済学者や政策当局の責任者たちは、ほぼ全員、否定的な見解を示している。日本でも、MMTに関する肯定的な論調はごくわずかだ。それには理由がある。

「異端の学説」なのか
MMTをめぐり大論争

 MMTが注目を集めているのは、その支持者が「財政赤字を心配するな」という主張をするからだとされている。

 より正確に言うと、「(米英日のように)通貨発行権を持つ国は、いくらでも自国通貨を発行できるのだから、自国通貨建てで国債を発行する限り、財政破綻はしない」というのである。

普通であれば、MMTのような「異端の経済学説」が、真面目に取り上げられるなどということは考えられない。無視あるいは一蹴されて終わりだろう。

 ところが、極めて面白いことに、MMTは、無視されないどころか、経済学者のみならず、政策当局、政治家、投資家そして一般世論までも巻き込んで、大騒ぎを引き起こしたのである。

暴露された
主流派の「不都合な事実」

 その理由は、MMTが、主流派経済学者や政策当局が無視し得ない「不都合な事実」を暴露したからである。

 もう一度言おう。MMTが突きつけたのは、「理論」や「イデオロギー」ではない。単なる「事実」である。

 例えば、MMTの支持者が主張する「自国通貨建て国債は、デフォルト(返済不履行)にはなり得ない」というのは、まぎれもない「事実」である。

 通貨を発行できる政府が、その自国通貨を返せなくなることなど、論理的にあり得ないのだ。

 実際、「自国通貨建て国債を発行する政府が、返済の意思があるのに財政破綻した」などという例は、存在しない。財政破綻の例は、いずれも自国通貨建てではない国債に関するものだ。

 実は、MMT批判者たちもこの「事実」を否定してはいない。その代わりに、彼らは、次のいずれかの批判を行っている。

 批判(1)「財政規律が緩むと、財政赤字が野放図に拡大し、インフレを高進させてしまう」

 批判(2)「財政赤字の拡大は、いずれ民間貯蓄の不足を招き、金利を高騰させる」

 MMTに対する批判は、ほぼ、この2つに収斂している。

 では、それぞれについて、その批判の妥当性を検討してみよう。この検討を通じてMMTが指摘した「不都合な事実」とは何かが明らかになるだろう。

財政赤字拡大で
「インフレは止まらなくなる」は本当か?

 まず「財政赤字の拡大は、インフレを招く」という批判(1)を考えてみよう。

 実は、MMT批判者たちが指摘するように、財政赤字の拡大はインフレを招く可能性はある。これはMMT自身も認める「事実」だ。

 政府が、公共投資を増やすなどして財政支出を拡大すると、総需要が増大する。総需要が増大し続け、総供給が追い付かなくなれば、当然の結果として、インフレになる。

 それでもなお、野放図に財政赤字を拡大し続けたら、インフレは確かに高進するだろう。

 ということは、MMT批判者たちもまた、「インフレが行き過ぎない限り、財政赤字の拡大は心配ない」「デフレ脱却には、財政赤字の拡大が有効」と認めているということである。

 言い換えれば、仮に「財政規律」なるものが必要だとすれば、それは「政府債務の規模の限度」や「プライマリーバランス」ではなく、「インフレ率」だということだ。

 すなわち、インフレ率が目標とする上限を超えそうになったら、財政赤字を削減すればいいのである。

 そして、米国も欧州も低インフレが続いており、日本にいたっては20年もの間、デフレである。

 そうであるなら、財政赤字はなお拡大できる。それどころか、デフレの日本は、財政赤字がむしろ少なすぎるということになる。

 この点は、MMTの批判者でも同意できるはずだ。


 実際、MMTを批判する主流派経済学者の中でも、ポール・クルーグマンや、ローレンス・サマーズ 、あるいはクリスチーヌ・ラガルドIMF専務理事らは、デフレや低インフレ下での財政赤字の拡大の有効性を認めている。 

 ところが、より強硬なMMT批判者は、「歳出削減や増税は政治的に難しい。だから、いったん財政規律が緩み、財政赤字の拡大が始まったら、インフレは止められない」などと主張している。

 しかし、これこそ、極論・暴論の類いだ。

 そもそも、国家財政(歳出や課税)は、財政民主主義の原則の下、国会が決める。「財政規律」なるものもまた、財政民主主義に服するのだ。

「政治は、財政赤字の拡大を止められない」などというのは、財政民主主義の否定に等しい。

 また総需要の超過は好景気をもたらすので、所得税の税収が自動的に増大し、財政赤字は減る。したがって、仮に増税や歳出削減をしなくとも、インフレはある程度、抑制される。

 加えて、金融引き締めによるインフレ退治という政策手段もある。

 要するに、インフレというものは、経済政策によって止められるものなのだ。

 実際、歴史上、ハイパーインフレの例は、戦争・内戦による供給能力の棄損や社会主義国の資本主義への移行による混乱、独裁国家による政治的混乱といった、極めて特殊なケースに限られる。

 また、1960年代後半から70年代にかけての米国の高インフレも、ベトナム戦争、石油危機、変動相場制への移行といった特殊な外的要因が主である。

 特に戦後の先進国で、財政支出の野放図な拡大が止められずにインフレが抑制できなくなったなどという事例は、皆無だ。

 そして何より、日本は、過去20年間、インフレが止められないどころか、デフレから脱却できないでいる。歳出抑制や消費増税といった経済政策によってインフレを阻止できるという、皮肉な実例である。

 したがって、「財政赤字の拡大を容認すると、インフレが止まらなくなる」などということはないのだ。

 これは、「事実」である。


「民間の貯蓄不足を招き
金利を高騰させる」は本当か?

「財政赤字の拡大は民間貯蓄の不足を招き、金利を高騰させる」という批判(2)は、先ほどの批判(1)とは違って、完全に「事実」に反する。

 まず、基本的な事実確認から始めよう。

 一般に、銀行は、個人や企業から預金を集めてきて、それを貸し出すと思われている。しかし、それは「誤解」である。

 実は、銀行は、集めた預金を貸し出すのではない。その反対に、銀行の貸し出しによって預金が創造されるのである。

「預金⇒貸し出し」ではない。「貸し出し⇒預金」なのだ。これが、いわゆる「信用創造」である。

 これは、MTT固有の理論ではない。銀行の実務における「事実」にすぎない。

 余談だが、この「事実」は、最近でも例えば、参議院決算委員会(2019年4月4日)の質疑で、西田昌司参議院議員が黒田日銀総裁に確認している。ちなみに、黒田総裁はMMTには否定的である。

 西田委員「銀行は信用創造で10億でも100億でもお金を創り出せる。借り入れが増えれば預金も増える。これが現実。どうですか、日銀総裁」

 黒田総裁「銀行が与信行動をすることで預金が生まれることはご指摘の通りです」


政府の赤字財政支出が
民間貯蓄を増やす

 貸し出しが預金を創造するというのは、政府に対する貸し出しにおいても、同様である。

 すなわち、政府の赤字財政支出(国債発行)は、民間貯蓄(預金)によって賄われているのではない。その反対に、政府の赤字財政支出が、民間貯蓄(預金)を増やすのである。

 ただし、政府は民間銀行に口座を開設しておらず、中央銀行にのみ口座を開設している。

 それゆえ、実際のオペレーションは、図1の通りとなる。


オペレーションの流れ

https://diamond.jp/articles/-/200555?page=6


 この図1からも明らかなように、民間銀行は、個人や企業が預け入れた預金をもとに、新規発行国債を購入するわけではない。

 中央銀行から供給された準備預金(日銀当座預金)を通じて、購入するのだ【1】。その上で、政府が財政支出を行うと【2】、それと同額だけ民間貯蓄が増える【4】。


政府債務残高及び長期国債金利の推移

https://diamond.jp/articles/-/200555?page=7


超インフレ、金利高騰は起きず
主流派経済学の「権威」脅かす

 このように、MMTは、実は、特殊な理論やイデオロギーではなく、誰でも受け入れ可能な単なる「事実」を指摘しているのにすぎないのである。

 だが、その「事実」こそが、主流派経済学者や政策当局にとっては、この上なく、不都合なのだ。

 例えば、「インフレが行き過ぎない限り、財政赤字の拡大は心配ない」というのが「事実」ならば、これまで、主流派経済学者や政策当局は、なぜインフレでもないのに財政支出の拡大に反対してきたのだろうか。

 防災対策や貧困対策、少子高齢化対策、地方活性化、教育、環境対策など、国民が必要とする財政支出はいくらでもあった。にもかかわらず、主流派経済学者や政策当局は、財政問題を理由に、そうした財政支出を渋り、国民に忍耐と困苦を強いてきたのである。

 それなのに、今さら「インフレが行き過ぎない限り、財政赤字の拡大は心配ない」という「事実」を認めることなど、とてもできないということだろう。

 さらに、「財政赤字は民間貯蓄で賄われているのではない」という「事実」を知らなかったというのであれば、「貸し出しが預金を創造する」という信用創造の基本すら分かっていなかったことがバレてしまう。

 主流派経済学者や政策当局にとって、これほど不都合なこともない。彼らのメンツに関わる深刻な事態である。

 というわけで、主流派経済学者や政策当局が、よってたかってMMTをムキになって叩いている理由が、これで明らかになっただろう。

 その昔、ガリレオが宗教裁判にかけられたのは、彼が実証した地動説が教会の権威を揺るがしたからである。

 それと同じように、MMTが攻撃にさらされているのは、MMTが示した「事実」が主流派経済学者や政策当局の権威を脅かしているからなのだ。

(評論家 中野剛志)
https://diamond.jp/articles/-/200555



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中野剛志 消費増税も吹っ飛ばす破壊力。「MMT」(現代貨幣理論)の正体 2019年4月26日
https://www.excite.co.jp/news/article/BestTimes_10271/

■アメリカでいま大論争
消費増税も吹っ飛ばす破壊力。「MMT」(現代貨幣理論)の正体

「MMT」って、聞いたことありますか?

 MMTというのは、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory)のことです。

 最近、アメリカで大論争を巻き起こし、日本でもよく採り上げられている経済理論です。

 きっかけとなったのは、2019年1月に、アメリカの史上最年少議員(民主党)として話題のアレクサンドリア・オカシオコルテス議員が「MMT」への支持を表明したことで、突如、MMTが脚光を浴びました。

 MMTの論者たちは、「財政赤字は心配するな」という過激とも思える大胆な主張をしています。

 このため、著名な主流派経済学者や政策当局が、MMTを「トンデモ理論」だとバッシングを始めました。

 ところが、このバッシングに対して、MMTを提唱する経済学者ステファニー・ケルトン教授らが、強力に反論したので、大騒ぎになりました。

 そして、この論争が、日本にも飛び火したというわけです。

 なぜ、日本に飛び火したのか。

 言うまでもなく、日本は、GDP比の政府債務残高が先進国の中でもダントツで大きく、財政危機だと言われているからです。

 しかも、今年、消費税率を8%から10%に引き上げようとしているところです。

 それなのに、「財政赤字は心配するな」などというMMTが正しかった、なんて話になったら、消費増税は、ぶっ飛びます。
 それどころか、これまで二十年以上にもわたって、財政危機を騒いできたのは、いったい何だったのかという話になって、大変なことになります。


 最近、世界経済も国内景気も急激に悪化しており、このまま消費増税をしていいのだろうかという不安が高まっています。

 先日も、自由民主党の萩生田幹事長代行が、消費増税延期を口走ったため、大きな波紋を呼んでいます。

 そんな最中に、海の向こうから、突然「財政赤字は心配するな」という理論がやってきたのです。

 それで、日本の財務省は、MMTに対して、異例の反論を行い、火消しに走っているというわけです。

 また、長年、財政健全化を訴えてきた朝日新聞編集委員の原真人さんも、MMTを「トンデモ経済理論」呼ばわりしています。
■意外とシンプルな理論
 ところで、MMTとは、どのような理論なのでしょうか。

 一見すると難しそうですが、ポイントだけ押さえれば、意外と簡単に分かります。

 ポイントは、こうです。

 日本やアメリカやイギリスのように、自国通貨を発行できる政府(正確には、政府と中央銀行)は、デフォルト(債務不履行)しない。

 自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない(アルゼンチンなど、デフォルトの事例は、外貨建て国債に関するものだけ)。   

 だから、アメリカや日本は、財源の心配をせずに、いくらでも、好きなだけ支出ができる。

 ただし、財政支出を拡大し、需要超過になって、インフレになる。

 たった、これだけです。
 しかし、実は、このMMTの主張は、単に「事実」を言っているだけで、何も新奇な理論を提唱しているわけではありません。


通貨を発行できる政府が、自国通貨建ての国債を返済できるなんて、当たり前の話です。

 それどころか、財務省だって、日本の国債は、自国通貨建てなので、デフォルトしないと言っているのです。

 平成14年に、海外の格付け会社が日本国債の格付けを引き下げました。すると、財務省は、格付け会社(ムーディーズ、S&P,フィッチ)宛に、質問状を発出しました。そこには、こう書かれています。
(1) 日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
 デフォルトしないのならば、政府は財源の心配は無用ということになります。

 しかし、もしそうだとすると、税金は、何のためにあるのでしょうか。

「財源の心配がいらないなら、無税国家ができるじゃないか」と思われたかもしれません。

 もちろん、無税国家は不可能です。

 なぜなら、税金を一切なくして、政府が好きなだけ財政支出をしまくったら、消費や投資が拡大し続け、インフレが止まらなくなって、大変なことになるからです。
■消費税は何を減らす?
 だから、税金を課して、消費や投資を抑えて、インフレを止めるのです。

 ただし、税金を重くし過ぎると、今度は、インフレの反対、すなわちデフレになります。

 この場合、税金は、物価を調整するための手段だということになります。

 他にも、税金には、重要な役割があります。
 例えば、高所得者により重い所得税を課すと、所得格差を是正できます。


また、温室効果ガスの排出に対して、炭素税を課すと、温室効果ガスを抑制できます。

 このように、税金は、抑制したいものや減らしたいものに課すことで、経済をうまく調整するのに使うのです。

 ですから、税金は、財源確保の手段ではなく、経済の調整の手段として、必要だということです。

 これが、MMTの、最も初歩的な説明です。

 しかし、この最も初歩的な説明だけでも、破壊力が抜群なのです。

 例えば、先ほど説明したように、税金は、温室効果ガスの排出に対して課すと、温室効果ガスを減らせます。

 ということは、消費税は、何を減らすのでしょうか。

 消費に税金を課しているのですから、当たり前ですが、消費を減らすことになります。

 さて、今年、消費税を増税する予定ですが、そうなると、消費が減ります。

 消費を減らしたら、当然、不景気になり、国民生活は苦しくなります。
■増税とインフレ・デフレの関係
 それなのに、どうして、消費を減らしたいのでしょうか?

 えっ、消費増税は、社会保障財源を確保し、財政赤字を減らすために必要?

 でも、自国通貨建て国債はデフォルトしないというのは、財務省ですら認めている事実ですよ。

 デフォルトしないならば、財源を確保する必要なんて、ないじゃないですか。

 こういうことを言うと、「そんなこと言ったって、財政赤字が大きくなり過ぎたら、インフレが止まらなくなるじゃないか!」と批判されるでしょう。
 この批判は、まったく、その通りです


実際、MMTも、財政赤字を増やすと、インフレになると言っています。

 でも、ということは、逆に財政赤字を減らしたら、インフレの反対のデフレになるはずですね。

 ところで、日本は二十年もデフレで苦しんでいて、安倍政権はデフレ脱却を掲げています。

 つまり、安倍政権は、インフレにしたいわけです。実際、インフレ率2%という目標を掲げています。

 そうだとしたら、安倍政権は、インフレを実現するために、財政赤字を増やさなきゃ、いけないはずですよね。

 それなのに、消費増税で財政赤字を減らしたりなんかしたら、どう考えたって、デフレはひどくなるでしょう。

 そもそも、安倍政権は、2%のインフレ率を目標に掲げています。

 だったら、2%のインフレ率という「行きつく先」まで、財政赤字を拡大すればいいではないですか。
■MMT反対派への反論
 えっ、MMTなんてトンデモ経済理論の実験なんか、してはいけない?

 それを言うなら、「デフレなのに、消費増税を断行する」ことの方が、よほど「実験」でしょう。

 だいたい、「デフレ時に消費増税をやっても問題ない」なんて経済理論、どこにあるんですか?

 MMTをトンデモ呼ばわりした原真人さん、教えてください。

 しかも、消費増税の実験でしたら、すでに、1997年の消費増税(税率3%から5%へ)と、2014年の消費増税(5%から8%へ)の二度もやっています。
 いずれの実験も、デフレを悪化させました


何で、二度も失敗した危険な実験を、もう一回、やろうとしているのでしょうか。

 意味が分かりません。

 ところが、財政赤字の拡大については、まだ、こう反論する人がいます。

「いや、財政赤字の拡大を認めてしまったら、インフレは止まらなくなる。インフレを止めるために、歳出を削減したり、増税したりするなんて、できないんだ。なぜって、国民が嫌がる歳出削減や増税を、政治家は決断できないからだよ」

 これは、ひどい反論ですね。

 なぜなら、財政支出や増税は、国会で決めることになっています。

 これは「財政民主主義」と言って、日本国憲法第83条で定められています。

「歳出削減や増税はできないから、インフレが止まらなくなる」というなら、財政は、国会以外のどこで決めるのでしょうか?

 財務省が決めるのでしょうか?

 いや、ダメです。それは、憲法83条違反ですよ。

 それに、日本は、すでに20年も、インフレを止めています。

 むしろ、インフレにしたくてもできなくて、困っています。

 2014年には、デフレで国民が苦しんでいるのに、消費増税をしてしまいました。

 そんな日本が、どうしてインフレが進み過ぎて国民が苦しんでいる時に、歳出削減や増税ができないというのでしょうか?

 日本の民主主義をバカにするのも、いい加減にしてもらいたいものです。

 というわけで、MMTの破壊力、いかがでしたでしょうか?

 財政や税金について、もっと知りたくなったでしょうか?

 それとも、狐につままれたようで、どうも納得できないといった感じでしょうか?

 どちらにしても、議論の続きについては、


目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】 – 2019/4/22
中野 剛志 (著)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4584138958/ref=as_li_qf_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=asyuracom-22&creative=1211&linkCode=as2&creativeASIN=4584138958&linkId=288b8e2d2b0e6fa2b42e0c3d793db718


をお読みいただけますと、幸いです。

 読み終わったら、経済学者、官僚、そして朝日新聞編集委員もビビるほど、経済が理解できるようになっているでしょう。
https://www.excite.co.jp/news/article/BestTimes_10271/?p=6



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「日本の未来を考える勉強会」ーよくわかるMMT(現代貨幣理論)解説
平成31年4月22日 講師:評論家 中野 剛志氏 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=LJWGAp144ak


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財政赤字を容認する「MMT理論」は一理あるが、やはり危険な理由
https://diamond.jp/articles/-/201833
2019.5.10 塚崎公義:久留米大学商学部教授 ダイヤモンド・オンライン

「財政赤字=悪」という常識を真っ向から否定する今話題のMMT理論は危うさも秘めています(写真はイメージです) Photo:PIXTA


米国で「Modern Monetary Theory(MMT、現代金融理論)」と呼ばれる理論が話題になっている。「自国通貨で借りている財政赤字は紙幣を印刷すれば返せるのだから巨額でも構わない」というものだ。筆者は日本政府の財政赤字について「日本政府が破綻するはずはないので、性急な財政再建で景気の腰を折るようなことはすべきではない」という財政赤字容認派であるが、それでも無条件の財政赤字容認論には危うさを感じている。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

「財政赤字は悪ではない」という新理論

「財政赤字、政府の借金が膨らむことは、様々な問題を引き起こすので悪いことだ」というのが常識的な経済学理論だが、MMTはこれに真っ向から挑戦している。

 その意味で、MMTは全くの異端であり「非常織」だ。しかし、米国の民主党左派が財政出動を正当化する「理論」として用いていることから話題になっている。

 正統派経済学の巨頭たちが「MMTはトンデモ経済学である」などと反論しているところを見ると、彼らが無視できないほど存在感を増しているのだろう。

 内容は「自国通貨建ての借金は紙幣を印刷すれば返済できるのだから、財政赤字は気にする必要がない。もっとも、財政赤字が膨らんでインフレになると困るから、インフレ対策としての緊縮財政が必要になることはあり得る」というものだ。

 筆者は、「非常識である」という理由だけでMMTを批判することは控えている。ガリレオの地動説も、当時は今のMMT以上に非常識であったはずだが、結局は正しかったのだから。したがって、以下では「非常識である」ことを除いて、筆者がMMTに賛同できない理由を示していく。

日本はMMTの正しさの根拠?

 日本の財政赤字は巨額で、政府の債務も拡大し続けているが、特に困ったことが今現実に起きているわけではない。これをもって彼らは、「日本でMMTの正しさが実証された」としているようである。

 これに対して、筆者は「日本でこれからひどいことが起きるかもしれない」「日本は諸外国と事情が異なるから、仮に日本で正しくても他国で正しいとは限らない」という2点から反論したい。

 日本でも、今後インフレ懸念が高まった場合には、財政赤字による政府の借金がインフレ懸念という火種に油を注ぐ役割をするかもしれないし、政府が破産するといううわさが国債を暴落させるかもしれない。「今まで悪いことが起こらなかったから今後も大丈夫だ」とはいえないのだ。

 とはいえ、確かに日本はMMT向きの国である。国民性からも過去のデフレの経験からも、国民がインフレ懸念を持ちにくいからである。日本よりインフレ懸念が持たれやすい国で同じことをやったら、悪性インフレが容易に発生する可能性は十分にある。

インフレ懸念に脆弱なMMT

 財政赤字が続き、政府の借金が巨額になっている日本で、インフレ懸念が高まったらどうなるだろうか。人々は、急いで銀行預金を引き出して物を買いに走るだろう。そして、銀行は預金者に紙幣を渡すため、準備預金を引き出したり国債を日銀に売却したりして紙幣を手に入れるだろう。

 瞬時にして世の中に大量の紙幣が出回り、それが人々の「買い急ぎ」に使われるわけだから、激しいインフレになるはずだ。もちろん政府と日銀がインフレ対策を講じるため、インフレに歯止めが利かなくなるわけではないが、インフレ対策の厳しい引き締めなどによって経済に大きな打撃が加わるだろう。

 一方、もしも日本政府が健全財政を貫いていれば、銀行は巨額の準備預金も国債も保有しておらず、瞬時に大量の紙幣が出回ることはないかも知れない。

 それ以前に、政府が従来巨額の増税によって財政を再建していたら、人々は今ほど多額の銀行預金を持っていなかったであろう。

 人々は預金を引き出して納税していただろうから、預金残高は減っており、買い急ぎの原資となる預金は限られた金額になっていたはずなのだ。

 したがって、日本でも「財政赤字が大きいがゆえのひどいこと」は起き得る。その契機は、石油ショックのようなもの、大地震による復興資材の価格高騰、あるいは「政府が破産しそうだから日本銀行券を実物資産に換えよう」という動きなど、様々な可能性が考えられよう。

 ここで問題なのは、財政赤字や政府の借金の大きさとインフレ率が連動していないことだ。

 もしも「財政赤字が10%増えたらインフレ率が1%高まる」というような関係があれば、MMTも採用可能かもしれない。「インフレにさえならなければ財政赤字は問題ない。インフレが始まったら直ちに緊縮財政を始めればいい」といえるからだ。

 しかし、実際にはインフレは地震のようなもの。地震は、地殻の変動によってエネルギーが徐々に溜まっていき、ある時突然にそれが地震として解き放たれるが、MMTでも「財政赤字によって徐々にインフレの潜在的なエネルギーが溜まっていき、ある時突然にそれがインフレとして解き放たれる」のである。

 したがって、財政赤字が続き、政府の借金が膨らむほど「万が一の場合の被害」が大きくなり得る。もっとも、地震と異なり、日本の財政赤字の場合は永遠に何も起きない(つまり結果としてMMTが正しかった)可能性もゼロではないが。

緊縮財政するリスクとしないリスクの比較が必要

 筆者は、MMTを無条件に肯定しないが、かといって「財政赤字は何としても縮小すべきだ」と考えているわけでもない。

 日本の場合、財政赤字を続けてもインフレ懸念が買い急ぎを誘発して、インフレが自律的に加速していく可能性はそれほど高くない。一方で、緊縮財政を採用した場合には、景気が腰折れして景気対策が必要となり、かえって財政赤字が増えてしまう恐れがある。

 したがって筆者は「日本の場合、10年待てば労働力不足が進展し、増税しても失業が増えない時代が来る(拙稿『令和が日本経済の「黄金期」になる理由』をご参照)のであるから、それを待ってから増税すればいい」と考えている。

 このように、日本についての結論だけを見ると「緊縮財政に反対」というMMTと似たようになっている。しかし、決して「財政赤字は全く気にする必要がない」などと考えているわけではない。

 日本以外の多くの国については、日本と比べて「インフレが自律的に加速していく可能性が高い」ため、MMTは危険である。仮に日本でのMMTの「実験」が成功しているからといって、他国でも成功するとは限らないのだ。

米国のMMTはやめてほしい

 特に、米国のMMTは肯定できない。1つには米国自身のために、そしてもう1つには米国以外の経済のために。

 米国は、日本よりインフレ体質の国である。「物価が上がると賃金が上がり、それが物価をさらに押し上げる」サイクルが日本より働きやすい。日本の正社員は終身雇用かつ年功序列なのでインフレ時に賃上げしなくても会社を辞めないが、米国はそうではないからだ。

 加えて、米国人消費者はインフレになると「買い急ぎ」をするため、インフレが加速しやすいだろう。日本人消費者はインフレになると「老後のための蓄えが目減りしてしまったから節約しなければ」と考える人が多いが、それとは事情が異なるからだ。

 米国人は日本人ほど将来のことを不安視しないという国民性に加え、米国人の金融資産はインフレでも目減りしない株式等のウエートが高いからだ。

 最近、先進国ではインフレが起きていないので、次にインフレがきた時にそうなるか否かは何ともいえないが、そうなる可能性は決して低くなさそうだ。

 したがって、米国の財政赤字拡大は日本より危険であるから、MMTは米国自身のためにも採用すべきではないだろう。

基軸通貨の混乱は世界に迷惑

 日本がMMTを採用しても、メリットとデメリットは主に国内に限られるが、米国がMMTを採用する場合にはそれにとどまらない。メリットは主に国内に限られるが、デメリットは世界中に及びかねないのだ。

 例えば、米国が激しいインフレに見舞われて金融が大幅に引き締められた場合、世界中で貿易や投資や融資に使われている米ドルが不足したり、金利が高騰したりする。米国以外の国にとっては大迷惑である。

「米国が受けるメリットと米国が受けるかもしれないデメリットだけを比べればMMTは良い物であるが、諸外国の受ける迷惑の可能性まで考えればMMTは悪いものである」という場合に、米国はどうするのであろうか。

「米国ファースト」の発想で他国の迷惑を顧みずMMTを導入するようなことは、ぜひともやめてもらいたいものである。もっとも、諸外国としては米国ファーストを止める手段を持たないので、祈ったり頼み込んだりするしかないのだが。





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【Front Japan 桜】均衡財政期の不都合な真実
- MMT VS 財務省[桜R1-5-10] - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Nx43e_XJotU

キャスター:佐藤健志・三橋貴明
■ 均衡財政期の不都合な真実
■ MMT VS 財務省



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本邦初公開(恐らく)統合政府のバランスシート! 2019-05-11
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460453329.html


 まずは、本日の日刊MMT。

2019.5.10
財政赤字を容認する「MMT理論」は一理あるが、やはり危険な理由
塚崎公義:久留米大学商学部教授+ 
https://diamond.jp/articles/-/201833

米国で「Modern Monetary Theory(MMT、現代金融理論)」と呼ばれる理論が話題になっている。「自国通貨で借りている財政赤字は紙幣を印刷すれば返せるのだから巨額でも構わない」というものだ。筆者は日本政府の財政赤字について「日本政府が破綻するはずはないので、性急な財政再建で景気の腰を折るようなことはすべきではない」という財政赤字容認派であるが、それでも無条件の財政赤字容認論には危うさを感じている。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

(中略)

 財政赤字が続き、政府の借金が巨額になっている日本で、インフレ懸念が高まったらどうなるだろうか。人々は、急いで銀行預金を引き出して物を買いに走るだろう。そして、銀行は預金者に紙幣を渡すため、準備預金を引き出したり国債を日銀に売却したりして紙幣を手に入れるだろう。

 瞬時にして世の中に大量の紙幣が出回り、それが人々の「買い急ぎ」に使われるわけだから、激しいインフレになるはずだ。もちろん政府と日銀がインフレ対策を講じるため、インフレに歯止めが利かなくなるわけではないが、インフレ対策の厳しい引き締めなどによって経済に大きな打撃が加わるだろう。(後略)』
https://diamond.jp/articles/-/201833

 突っ込みどころ満載の記事ですが、とりあえず「数字」を全く使っていないことが注目点です。現在の現金紙幣の額は115兆円ですが、「瞬時(ゼロ秒!)に、世の中に大量の(いくら?)の紙幣が回り、「激しいインフレ(だから、何パーセント?)」になるのでしょう。


 こんな書き方が許されるならば、わたくしも断言しますよ。いつの日か、月が日本列島に落ちてきて、日本国は滅亡します。

 というか、現金紙幣がたくさん引き出されたら「インフレになる」という発想が意味不明です。現金紙幣が引き出されて「いくら、使われた(需要が増えた)」ならばインフレになるのか、数値を示すべきです。それ以前に、我々は銀行振り込みで買い物しないんですかね?

 また、塚崎の頭の中では、

「現金紙幣は、使ったらこの世から消える」

 という設定になっているのでしょうか。店に移った現金紙幣は、そこでそのまま退蔵されるのでしょうか。バカバカしい。銀行に持ち込まれるに決まっているでしょうに。


 というか、MMTは別に「無条件の財政赤字容認」などとは一言も言っていません。


 もう、声が枯れるほどに繰り返しましたが、財政赤字や政府の負債拡大、あるいは財政拡大の限界は供給能力、インフレ率です。いい加減に、この「事実」を無視するのはやめて欲しいです。


 ここまで繰り返しても、「無条件の〜」などと書くということは、嘘つきか、頭が弱いか、頭が弱い嘘つきのいずれかでしょう。


 つまりは、例により「頭が弱い嘘つき」がMMT叩きのために「数字を使わず」「印象論」「抽象用語」で「それっぽい批判」をしているだけなのでございますが、この手のプロパガンダが続くのでしょう、こちらがギブアップするまで。(しないけどね)


 さて、恐らく本邦初公開。昨日のチャンネル桜でも使った、日本の統合政府のバランスシート。(2018年末 速報値版)

【2018年末時点 日本の統合政府のバランスシート(兆円)】
http://mtdata.jp/data_63.html#tougouseihu


 日本の一般政府と日銀のバランスシートを統合し、「統合政府のバランスシート」と作りました。(詳しくはリンク先を)


 財務省は、例の「反論資料」で、

『日本銀行の国債保有について
○政府と日本銀行を統合して考えれば政府の負債(国債)と日本銀行が保有する資産(国債)が相殺されるとの指摘があるが、仮に政府と日本銀行のB/Sを統合したとしても、日銀の保有する国債の額だけ政府の債務が見かけ上減少するだけであり、当座預金等の日銀の債務が負債に計上されるため、負債超過の状態は変わらない。』

 と、「自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ない」の根拠である統合政府に反論してきています(そのくせ、「自国通貨建ての国債のデフォルトはあり得ない」はスルーしていますが)。


 財務省が言う通り、一般政府と日銀を統合した相殺される国債は、日銀保有分(466兆円)のみで、統合政府のBSでも「国債・財投債」は442兆円分ります。もっとも、負債の半分程度は、元々は日銀の負債として計上されていた現金(115兆円)、日銀当座預金(405兆円)に姿を転じました。


 財務省は、

「当座預金等の日銀の債務が負債に計上される」

 と書いています。それはその通りというか「当たり前の話」なのですが、ということは、財務省は、

「現金や日銀当座預金といった【国の借金】が原因で、日本は財政破綻する!」

 と、言いたいのでしょうか。


 あるいは、統合政府にしたところで、日銀の純資産(27兆円)の金額分、政府の純負債が消えるだけであるため、財務省のいう「負債超過」は711兆円で計上されています(=739−28)。この一般政府や統合政府の負債超過、純負債が問題であり、711兆円を「ゼロにする必要がある」と財務省は主張しているのでしょうか(そうとしか読めませんが)。


 誰かの資産は、誰かの負債。あるいは、誰かの純資産は、誰かの純負債。


 政府の純負債を縮小し、ゼロにするということは、その分、我々国民の「純資産」を削るという話になってしまいます。つまりは、財務省には我々の資産を減らそうという魂胆があるとしか思えないのです。


 つまりは、財務省に問いただしたいのは、二つ。

1.財務省は「現金や日銀当座預金」といった「負債」が理由で財政破綻する!と、言いたいのか?

2.財務省は統合政府の純負債(負債超過)を削り、我々一般国民の純資産を奪い取ることを目的とした省庁なのか?

 財務省から主権を取り戻すためには、件の塚崎の寄稿のような抽象的な論評ではなく、数字を用い、具体的に議論する必要があると思うのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460453329.html



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「日本の未来を考える勉強会」ーMMTの真実〜日本経済と現代貨幣理論〜
ー令和元年5月15日 講師:京都大学大学院教授 藤井 聡氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=s2Uj-_RolsY


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 官僚というのは「恐怖心を持つこと」「怯えること」「上の顔色を窺うこと」に熟達した人たちが出世する仕組みですから、彼らにとっては「勇気を持たなかったこと」が成功体験として記憶されている。

 凡庸な知性は、論理的に突き詰めて達した予想外の帰結を前にして立ちすくんでしまう。論理的にはそう結論する他ないのに、「そんなことあり得ない」と目をつぶって踏切線の前で立ち止まってしまう。

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論理は跳躍する - 内田樹の研究室 2019-05-18
http://blog.tatsuru.com/2019/05/18_0922.html


少し前に「すばる」でも教育についてのインタビューを受けた。そのときに「論理国語」について話したことがテープ起こしされて戻ってきたので、加筆してここに掲げる。

 今度、兵庫県の国語の先生たちの集まりで講演をするのですが、その打ち合わせに来た先生たちに伺うと、現場の話題はやはり学習指導要領の改訂で登場した「論理国語」のようです。いったい何なの、とみなさん疑問に思っていらした。本当にわからないらしい。

 そのときに「論理国語」に準拠した模試の問題の現物を見せてもらいました。驚きました。生徒会の議事録と生徒会の規約を見せて、年度内に生徒総会を開催することは可能かどうかを問うものだったんです・・・。

 契約書や例規集を読める程度の実践的な国語力を「論理国語」という枠で育成するらしい。でも、模試問題を見る限り、これはある種の国語力を育てるというより、端的に文学を排除するのが主目的で作問されたものだと思いました。

「論理国語」を「文学国語」と切り離して教えることが可能だと考えた人たちは、文学とは非論理的なもので、何か審美的な、知的装飾品のように思っているんじゃないですか。だから、そんなもののために貴重な教育資源を割く必要はないと思っている。現にそう公言する人は政治家とビジネスマンには多くいますから。自分たちは子どもの頃から文学に何も関心がなかったけれど、そんなことは出世する上では何も問題がなかった。現に、まったく文学と無縁のままにこのように社会的成功を収めた。だから、文学は学校教育には不要である、と。たぶんそういうふうに自分の「文学抜きの成功体験」に基づいて推論しているんだと思います。政治にもビジネスにも何の役にも立たないものに教育資源を費やすのは、金をドブに捨てているようなものだ、と。そういう知性に対して虚無的な考え方をする人たちが教育政策を起案している。これは現代の反知性主義の深刻な病態だと思います。

「論理国語」という発想に対して僕が懐疑的なのは、試験問題を作る場合、「正解」がわかっていて、受験生は論理的にそれをたどってゆくと「すらすらと」結論に達するというプロセスが自明の前提されていることです。たぶん、彼らの考える「論理」というのは、そういうものなんでしょう。でも、論理的にものを考えるということを実際にした経験のある人ならわかると思うけれど、論理的に思考するというのは、平坦な道を歩くようなプロセスじゃない。むしろ、ある種の「深淵」に直面して、それを跳び越えるという「命がけ」のプロセスなんです。

 僕は子どもの頃にエドガー・アラン・ポウやアーサー・コナン・ドイルを読んで「論理的にものを考える」ということがどういうことかを学びました。「論理的にものを考える」というのはオーギュスト・デュパンやシャーロック・ホームズ「のように考える」ということだと最初に刷り込まれた。それは今でも変わりません。

 名探偵の推理こそ「論理的にものを考える」プロセスの模範だと思いますけれど、ここには「正解」を知っていて「作問」している人はいません。登場人物が現場に残された断片から推理して、その帰結として正解を「発見」するんです。名探偵の行う推理というのは、ひとつひとつの間に関連性が見出しがたい断片的事実を並べて、それらの断片のすべてを説明できる一つの仮説を構築することです。その仮説がどれほど非常識であっても、信じがたい話であっても、「すべてを説明できる仮説はこれしかない」と確信すると名探偵は「これが真実だ」と断言する。それは「論理」というよりむしろ「論理の飛躍」なんです。
 
 それは実際に学術的な知性がやっていることと同じです。

 カール・マルクスや、マックス・ウェーバーや、ジーグムント・フロイトはいずれもすばらしい知的達成をなしとげて人類の知的進歩に貢献したわけですけれど、彼らに共通するのは常人では真似のできないような「論理の飛躍」をしたことです。目の前に散乱している断片的な事実をすべて整合的に説明できる仮説は「これしかない」という推理に基づいて前代未聞のアイディアを提示してみせた。「階級闘争」も「資本主義の精神」も「強迫反復」もいずれも「論理の飛躍」の産物です。同じ断片を見せられて、誰もが同じ仮説にたどりつく訳じゃない。凡庸な知性においては、常識や思い込みが論理の飛躍を妨害するからです。
  
 例外的知者の例外的である所以はその跳躍力なんです。彼らの論理的思考というのは、いわばこの跳躍のための助走なんです。こうであるならこうなる、こうであるならこうなる・・・と論理的に思考することによって、思考の速度を上げているんです。そして、ある速度に達したところで、飛行機が離陸するように、地面を離れて跳躍する。そうやって、ただこつこつと理屈をこねている限りは絶対に到達できないような高みに飛び上がることができる。

「論理的にものを考える」というのはこの驚嘆すべきジャンプにおける「助走」に相当するものだと僕は思います。そこで加速して、踏切線で「常識の限界」を飛び越えて、日常的論理ではたどりつけないところに達する。

 でも、凡庸な知性は、論理的に突き詰めて達した予想外の帰結を前にして立ちすくんでしまう。論理的にはそう結論する他ないのに、「そんなことあり得ない」と目をつぶって踏切線の前で立ち止まってしまう。それこそが「非論理的」ということなんです。

 フロイトの『快感原則の彼岸』は20世紀で最も読まれたテクストの一つですけれど、フロイトはここで症例研究から、そのすべてを説明できる仮説として「反復強迫」さらには「死への衝動」という驚嘆すべきアイディアを取り出します。これは「跳躍」です。フロイト自身は「思弁」と呼んでいます。これは論理的にものを考えるということの本質的な力動性について書かれた重要な言葉だと思います。フロイトはこう述べています。

「次に述べることは思弁である。誰もが、それぞれの見地から価値をみとめたり、あるいは軽視したりするかもしれな行き過ぎた思弁にもなる可能性がある。つまりそれは、ある理念がどんな結論をみちびき出すかという好奇心から、その理念を首尾一貫して利用しつくそうという試みである。」(フロイト、「快感原則の彼岸」、『フロイト著作集6』、井村恒郎他訳、人文書院、1970年、163頁)

 論理的にものを考えるというのは「ある理念がどんな結論をみちびきだすか」については、それがたとえ良識や生活実感と乖離するものであっても、最後まで追い続けて、「この前提からはこう結論せざるを得ない」という命題に身体を張ることです。

 ですから、意外に思われるかも知れませんけれど、人間が論理的に思考するために必要なのは実は「勇気」なのです。

 学校教育で子どもたちの論理性を鍛えるということをもし本当にしたいなら「論理は跳躍する」ということを教えるべきだと思います。僕たちが「知性」と呼んでいるのは、知識とか情報とか技能とかいう定量的なものじゃない。むしろ、疾走感とかグルーヴ感とか跳躍力とか、そういう力動的なものなんです。

 子どもたちが中等教育で学ぶべきことは、極論すれば、たった一つでいいと思うんです。それは「人間が知性的であるということはすごく楽しい」ということです。知性的であるということは「飛ぶ」ことなんですから。子どもたちだって、ほんとうは大好きなはずなんです。
 
 今回の「論理国語」がくだらない教科であるのは、そこで知的な高揚や疾走感を味わうことがまったく求められていないことです。そして、何より子どもたちに「勇気を持て」という論理的に思考するために最も大切なメッセージを伝える気がないことです。

 そもそも過去四半世紀の間に文科省が掲げた教育政策の文言の中に「勇気」という言葉があったでしょうか。僕は読んだ記憶がない。おそらく文科省で出世するためには「勇気」を持つことが無用だからでしょう。

 官僚というのは「恐怖心を持つこと」「怯えること」「上の顔色を窺うこと」に熟達した人たちが出世する仕組みですから、彼らにとっては「勇気を持たなかったこと」が成功体験として記憶されている。

だから、教育の中でも、子どもたちに「恐怖心を植え付ける」ことにはたいへん熱心であるけれど、「勇気を持たせること」にはまったく関心がない。それは彼ら自身の実体験がそう思わせているのです。「怯える人間が成功する」というのは彼ら自身の偽らざる実感なんだと思います。だから、彼らはたぶん善意なんです。善意から子どもたちに「怯えなさい」と教えている。「怯えていると『いいこと』があるよ。私にはあった」と思っているから。

 でも、知性の発達にとっては、恐怖心を持つことよりも勇気を持つことの方が圧倒的に重要です。

「勇気」というのは、知性と無縁だと思う人がいるかも知れませんけれど、それは違います。スティーヴ・ジョブスはスタンフォード大学の卒業式で、とても感動的なスピーチをしました。いまでもYoutubeで見ることができますから、ぜひご覧になってください。その中でジョブスはこう言っています。

The most important is the courage to follow your heart and intuition, because they somehow know what you truly want to become.

「最も重要なのはあなたの心と直感に従う勇気を持つことである。なぜなら、あなたの心と直感はなぜかあなたがほんとうに何になりたいのかを知っているからである。」

 ほんとうに大切なのは「心と直感」ではないんです。「心と直感に従う勇気」なんです。なぜなら、ほとんどの人は自分の心と直感が「この方向に進め」と示唆しても、恐怖心で立ち止まってしまうからです。それを乗り越えるためには「勇気」が要る。

 論理的に思考するとは、論理が要求する驚嘆すべき結論に向けて怯えずに跳躍することです。

「論理が要求する結論」のことを英語ではcorollaryと言います。日本語ではこれを一語で表す対応語がありません。僕はこの語を日本の思想家では丸山眞男の使用例しか読んだ記憶がありません。でも、これはとても重要な言葉だと思います。それがどれほど良識を逆撫でするものであっても、周囲の人の眉をひそめさせるものであっても、「これはコロラリーである」と言い切る勇気を持つこと、それが論理的に思考するということの本質だと僕は思います。
http://blog.tatsuru.com/2019/05/18_0922.html




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平野憲一の株のお話 2019.05.19 再びMMT理論への考察。

 FRBのブレイナード理事は16日、独自の通貨を持つ国の政府は政府債務残高がどれだけ増加しても問題はないとする現代金融理論(MMT)について、経済に関する権限がFRBから議会や政治的意図がある他機関に移るリスクが生じかねないとの見解を示しました。

MMTの理論では、FRBの責務である雇用と物価の目標達成が、歳出入に関する議会決定に左右されるとし、強い警戒を示しました。

最近MMT理論は、社会保障拡充の財源として民主党議員などによって議論されています。日本でも国会議員の中に研究会があり、3月の日銀黒田総裁会見での質問にもありましたが、総裁は答えず受け流しました。その後日経新聞でも解説され、最近消費税増税延期・凍結論とセットで論議されることが多くなりました。

 MMTとはModern Monetary Theoryの略で、「新表券主義」と呼び、「独自の通貨を持つ国は、自国通貨を限度無く発行する事が出来るので、デフォルトに陥ることは無い。従って、政府債務残高がいくら増加しても問題は無い」と言う考え方です。シカゴ大学が40人の経済学者にアンケートを取ったところ賛同者ゼロと言う金融関係者にとって危険と思われている理論です。

しかし、債務残高がGDP比で突出しているのにこの理論で安定している国が世界で1つだけあります。それが日本です。

日本よりはるかに健全なギリシャやイタリアがデフォルトリスクに晒されるのは、両国はユーロを勝手に発行できないからです。日本がデフォルトリスクを取り立たされず円が安定しているのは、日本国債の保有者の大部分が国内だからと言われますが、その半分を持つ日銀は国と一体(これも議論になりますが)なので、その通りかもしれませんが、国民は別人格です。決して国と一体ではありません。

日本が236%と言う世界で突出した対GDP債務残高を誇って(?)安定しているのは、このMMT理論が陰で支えているからだと筆者は思います。従ってプライマリーバランスに固執し過ぎると、角を矯めて牛を殺す事になります。勿論、政府債務の過剰な増加は、どこかの時点でハイパーインフレを起こす危険性がありますので、MMT理論への学者の賛同者はほとんどいません。

 今アメリカの対GDP比債務残高は108%で、民主党員かと間違うほどのトランプ大統領の財政政策でじりじりとそのレベルを高めています。MMT理論は、賛同者としか思えないトランプ大統領を起点にして盛んになって行くと思います。

因みに、アベ・クロ理論は隠れMMT理論だと筆者は思っています。日銀のぶれない異次元金融政策は、口には出せない(学者の支持ゼロだから)MMT理論ではないかと思えてなりません。
http://kasset.blog.fc2.com/



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「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜
ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CMLYpWlQp1E&feature=youtu.be


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続 センメルヴェイス反射 2019-05-25
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463709459.html

三橋貴明

 改めて、MMT(現代貨幣理論)は凄まじいインパクトです。まさに、天動説派が多数派を占める中で、地動説が「証明」されてしまったのと同じなのです。


 以前、ある方の本の校正をした際に、
「日銀の量的緩和で発行された当座預金は国内の投資に向かわず、中国に流れていっている」
 と、あったため、
「日銀当座預金は民間は借りられないので国内の投資に使われることはあり得ず、ましてや外国に流れることもないですよ」(外銀とのインターバンクの決済除く)
 と説明し、該当箇所を修正してもらったのですが、一体「誰」が日銀当座預金が外国に流れているなどというデマを流しているんだ、と気になってはいました。


 ちなみに、銀行の日銀当座預金は、
「日本銀行が国債や政府短期証券、政府小切手と引き換えに、日銀当座預金を増やす」
「銀行が日銀当座預金を引き出す形で、現金・硬貨を手に入れる」
「日本政府が国債発行で借り入れる」
「日本銀行が国債を売却し、代金として日銀当座預金を受け取る(そして、相殺されて消滅)」
 以外の理由では変動しません。


 もちろん、インターバンク間の決済で日銀当座預金が動きますが、この場合は特定銀行の残高は変動するものの、全体金額が変わるわけではありません。

【日本の預金取扱機関の現金紙幣と日銀預け金(日銀当座預金)兆円】


http://mtdata.jp/data_64.html#touzayokin


 量的緩和が終了していないため(事実上、終わっているけど)、預金取扱機関(銀行)の日銀当座預金は360兆円台で高止まりを続けています。

 さて、昨日の桜の討論収録で、菊池英博氏がMB(マネタリーベース、ほとんどが日銀当座預金)とMS(マネーストック、市中の現金紙幣+銀行預金)のグラフを出し、MBの増加量ほど、MSが増えていないことを示し、
「この差額が外国に流れた」
 と、言いだしたので、「あんたかっ!」という話になってしまったのです。


 当たり前ですが、
「日銀当座預金は日本銀行が銀行(及び政府)に発行するおカネで、民間は借りることができない」
 のです。「MB ⇒ MS」というおカネの流れはあり得ません。そもそも、MBとMSが「違うおカネ(※現金紙幣除く)」である以上、MBとMSの差額を見るなど、ナンセンス極まりないのです。


 例えば、日本銀行がMBを100兆円増やしたとして、民間の資金需要がなく、銀行からの借入が増えない以上、極端なことを言えば「MSの増加はゼロ」ということは論理的にあり得るのです。


 その場合、MB100兆円−MS0円=100兆円が「外国に流れた」などということにはなりません。単に、銀行の日銀当座預金口座で凍り付いているだけの話です。


 MS(ほとんどが銀行預金)は、我々がおカネを借りる際に、銀行が「通帳の口座に数字を書く」ことで発行されます。銀行は、預金を発行する際に、「資金調達」をしているわけではないのです。


 ところが、菊池氏(他、数名も)は、
「日銀当座預金を民間に貸し出し、MSを増やすことが可能」」
 と、信じていたようです。


 というわけで、まあご想像がつくと思いますが、わたくしは、
「菊池さんは日銀当座預金を借りれるの?」
「(日銀は)金貨や銀貨を発行してるわけではないんですよ!」
 と、容赦なく批判し、「日銀当座預金が国内で使われず、外国に流れていっている」という出鱈目を全否定したわけでございます。


 ということで、相当に嫌われ、憎まれることになりましたが、正しいことは正しいので、仕方がありません。


 さて、菊池氏は今後、どうするのでしょうか。


 頑なに自説(MB増加とMS増加の差額が外国に流れた)などという、金貨銀貨を使っていた中世のような話にこだわり、三橋を憎み続けるのか。まさに、現代のセンメルヴェイスの反射です。
 あるいは、自説の間違いを認め、しれっと正しいことを言い始めるのか(それでいいと思います)。


 MMTは、今後、この手のリアル・センメルヴェイス反射を頻発させることになるでしょう。とはいえ、繰り返しますが正しいことは正しいのです。


 貨幣観を正すことこそが、日本の緊縮財政路線の打破に繋がる以上、「正しいこと」を繰り返し、広めるしかありません。皆様も「日本国民の貨幣観を正す」にご協力くださいませ。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463709459.html


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現代の真実 2019-05-26 三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463946426.html

チャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」」に出演しました。

【経済討論】最終警告!亡国の消費増税[桜R1/5/25]
https://www.youtube.com/watch?v=BcbuxUBgJTY&feature=youtu.be


 Youtubeのコメントを見ていると、MMTというか「おカネの本質」を理解している一般人があまりにも多く、ビビりました。一般人がここまでおカネの本質について学んでいるって、これはアメリカ以上でしょう(絶対数でも)。


 わたくしが、菊池英雄氏の、

「MB(マネタリーベース)の増加分と、MS(マネーストック)の増加分の差額が外国に流れた」

 という出鱈目に怒ったのは、まずは「間違い」であり、国民に誤解というか嘘の刷り込みをしてしまうためです。インターネットだろうが、言動は「ソース」にされてしまうのですよ。


 しかも、MBを増やしたが、MSが十分に増えたなかったのは、外国に流れたからだというのは、下手に説得力がある嘘だから厄介なのです。


 もちろん、上記は「おカネのプール論」であり、完全に間違っています。

そもそも、MBとMSは直接的な関係はありません。

MBは日銀の国債等の買い取りにより「書く」ことで発行されるおカネ

MSのメインの預金は、銀行が貸し出しの際に「書くこと」で発行されるおカネ。

MB⇒MSと動くおカネは、現金紙幣だけです。

 無論、銀行準備制度の下では、銀行はMS(預金)を増やした分、MB(日銀当座預金」を増やす必要がありますが、今は量的緩和で日銀預け金が巨額になりすぎ、有名無実化しています。


 いずれにせよ、別の経済主体が「書くこと」で発行されるおカネが、同一のはずがありません。番組中でも散々に言いましたが、金貨銀貨じゃないんです。


 しかも、おカネのプール論に基づく「MBの多くが外国に流れ、MSが増えなかった」という話が正しいとなると、

「ならば、MBを発行し、外国におカネが流れないようにすれば、デフレ脱却できるよね」

 と、バカバカしい(かつ間違った)結論に結びついてしまいます。財務省が喜びそうです。

・MBを増やしても、MSは増えない(そもそも違うおカネである以上、当たり前)。

・MSやGDPを増やすためには、政府が支出をしなければならない(国債発行もしくはOMFで)。

・政府は何ら債務的負担を負うことなく、MSやGDPを増やせる。

 上記を国民が理解しない限り、結局は勝てないでしょう。

 MMTやおカネの話をしていると、むしろ「ど素人」の方が鋭いように思えます。例えば、昨日の討論で言えば、水島社長の、

「(P&Gにおカネを貸した)シティバンクは、どこからおカネを調達したの?」

「何で、量的緩和政策で日銀当座預金を発行したの?」

 という質問は秀逸でした。

 ちなみに、答えは、

「どこからも調達しておらず、単にシティバンクがP&Gの通帳に書いただけ」

「量的緩和により期待インフレ率を引き上げ、実質金利を下げ、銀行貸し出し(これはMS)を増やし、需要を創出しデフレだっきゃできるという『風が吹けば桶屋が儲かる理論』」

 でございます。

 ところで、シティバンクから100億ドルを借りたP&Gがおカネ(預金)をGEのJPモルガンの口座に振り込むと、

「シティバンクのFRB準備預金口座から、JPモルガンのFRB準備預金口座に、100億ドル振り替える」

 ことで決済します。一応、島倉氏が説明していましたが、念のため補足。

 ともかく、敵(主流派経済学、財務省、政商、財政破綻論者たち)は、財政出動、特に政治の意思が入る財政出動「だけ」は絶対に嫌! という、価値観の持ち主です。


 この辺りの話は、

【Front Japan 桜・藤井聡×三橋貴明】日本経済が落第生の(他)[桜R1/5/24]
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q&feature=youtu.be


 で、藤井聡先生とやっています。

 実は、現在の日本における経済問題は、いわゆるリフレ派、あるいはプライマリーバランス黒字化目標を含め。

「政府支出に政治家の意思を入れてはならない」
「経済には自然法則があり、人が立ち入ってはいけない」

 という、経済学(古典派、新古典派など)と、

「経済は人間の意思から始めなければならない」

 という、経済学(ケインズ、ラーナー、ミンスキー、MMTなど) との戦いなのでございます。


 いわゆるリフレ派が、財政の必要性は認めつつ「給付金にするべき」と繰り返し、政治の意思が関与するプロジェクト系(公共事業、科学技術、社会保障など)を嫌悪するのは、そういう理由なのです。


 財政はプライマリーバランス。どうしても財政赤字を増やしたいならば、機械的な給付金。

 そういえば、フリードマンのベーシック・インカムも、まさに「機械的に所得を配れ」というわけで、ヒト(政治)の意図が全く入らない社会保障というわけですね。


 そして、経済には自然法則があり、それに従うべき(政治を関与させるな)という考え方が、政商に利用され、特定のビジネスの利益最大化に使われている。


 これが現代の真実です。


 というわけで、事態を打開するためには、「間違いは間違いだ」「嘘は嘘だ」と容赦なく否定していかなければならないのです。もはや我が国には、間違い理論を許容するような余裕はありません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463946426.html



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令和の政策ピボットの「資料室」
https://reiwapivot.jp/library/

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2019年05月29日
MMTで世界が気づき始めた 「日本の借金」実はゼロだった?

財務省の言い分だと日本の借金は1100兆円「ある事になっている」


画像引用:財務省3.国の借金の現状は? :: テーマから調べる:: 調べる :: 日本の財政を考える

MMTと日本の借金の関係

最近欧米の経済メディアではMMT(現代貨幣理論)と日本の財政についての議論が戦われている。

MMTをざっくり一言で説明すると「中央銀行が保有する国債は借金ではない」という経済理論です。

日本の財務省は日本の借金が1100兆円だといっていて、MMT以前にこれは大ウソなのだが、事実としてマスコミが触れ回っている。

外国では国債だけを自国の借金としているが、2017年時点の日本の国債残高は865兆円でした。

このうち274兆円は高速道路やガソリン税かで返済する建設国債なので、外国では国の借金に含めていない。

残りは591兆円だが、このうち400兆円を日銀が購入しているので、「正味191兆円」になります。


さらに予算のやりくりで数か月だけ借りる短期借入金が70から100兆円ほど、為替介入の引当金も数十兆円含まれている。

どちらも一応借りているがすぐ返済しているので、これを「国の借金」に含めているのは世界で日本だけです。

これらを差し引きすると、日銀所有の国債を借金としても400兆円、日銀保有分をなしと計算するとゼロになります。


日銀保有国債は2019年5月時点で約447兆円と1割ほど増えたが、大筋では2年前と同じ状況です。

MMTが正しいなら日本に借金は存在しないことになり、ありもしない借金を返済しようとしていることになる。

1989年から30年間、日本が不況なのは予算を減らして増税したからで、理由は借金返済のためでした。


これらも全て「実際には存在しない借金」を返済しようとしていた事になる。


アメリカの借金5000兆円をどうする

アメリカ合衆国は日本以上に「国の借金」が多い国で、ブッシュ時代に3500兆円、現在は5000兆円ちかくとされている。

アメリカの累積債務は約20兆ドル(約2200兆円)だがこれは連邦政府が発行した国債だけの金額です。

予算の半分以上を使う州や地方自治体、特殊法人や年金、医療団体の借金は含まれていません。


それらを合計するとアメリカの「国の借金」は軽く2倍の40兆ドル(4400兆円)を上回ると推測できます。

アメリカのGDPは日本の4倍だが借金も4倍以上な訳で、日本より深刻なのを専門家は知っている。

ただアメリカでは冷戦時代に「アメリカ全体の借金」が国防上の機密になっていて、今もタブー視されている。


破綻しかねない状況を知りながら経済専門家は口にできないので、日本を引き合いに出している。

MMT理論では中央銀行が保有する国債は存在しないのと同じであり、ゼロ金利で倉庫にでも閉まっておけば良い。

実は欧米ではこうした事を既にやっており、イギリスやアメリカでは大恐慌時代に中央銀行が買った国債を、今も金庫にしまってある。


またアメリカ合衆国建国の時に、フランスから多額の借金をしたが、フランス革命に加担して王家が亡びると返済していない。

米中央銀行は民間銀行なので、倒産させてFRCとかFRDを新たに作ってもいい。

日本も日本銀行を破綻させて「大日本銀行」とかを作るか、ゼロ金利で地下室に永久国債をしまえば、国債を返さなくて済む。


FRBのバーナンキ元議長は来日した時「永久国債を発行して日銀が買えば、日本の借金はなくなる」と説明したが、日本政府は耳を貸さなかった。
http://www.thutmosev.com/archives/79954492.html



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MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由
「自民党の一部」が支持の動き、国会でも論議
中野 剛志 : 評論家 2019/05/29
https://toyokeizai.net/articles/-/283186

MMT批判には「誤解」が含まれている(写真:malerapaso/iStock)

「財政は赤字が正常で黒字のほうが異常、むしろ、どんどん財政拡大すべき」という、これまでの常識を覆すようなMMT(現代貨幣理論)。関連する新聞報道が増え続ける中、さらには国会でも議論されることが増えている。そのなかで必ずと言っていいほど出てくるのが「MMTで必ず起こるインフレはコントロールできないのではないか」という批判である。こうした批判をどう受け止め、考えるべきなのか。
『富国と強兵 地政経済学序説』で、いち早くMMT(現代貨幣理論)を日本に紹介した中野剛志氏が解説する。

自民党の一部にもMMTを支持する動きが

去る4月2日に寄稿した論考「異端の経済理論『MMT』を恐れてはいけない理由」で、筆者はMMT(現代貨幣理論)が、日本で一大ムーブメントを起こすかについて、「残念ながら、筆者は悲観的である。権威に弱く、議論を好まず、同調圧力に屈しやすい者が多い日本で、異端の現代貨幣理論の支持者が増えるなどということは、想像もつかないからだ。そうでなければ、20年以上も経済停滞が続くなどという醜態をさらしているはずがない」と予測した。


『富国と強兵 地政経済学序説』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

実際のところは、国会でMMTが頻繁に論議されるようになり、また、自民党などの一部にMMTを支持あるいは研究しようという動きが予想以上に出てきた。

その一方で、政策当局(財務大臣・日銀総裁など)はMMTを一蹴しており、マスメディアに登場する学者・評論家・アナリストの大半もまた、MMT批判を展開している。やはりMMTは、「異端」の烙印を押されたままである。

典型的なMMT批判というのは、次のようなものである。

「(財政赤字を拡大させれば)必ずインフレが起きる。(MMTの提唱者は)インフレになれば増税や政府支出を減らしてコントロールできると言っているが、現実問題としてできるかというと非常に怪しい」

MMT批判のほとんどは、このような「インフレを制御できない」というものに収斂している。

しかし、この程度の批判しかできない知的貧困にこそ、日本経済の長期停滞の根本原因がある。

順を追って説明しよう。

第1に、日本は20年にも及ぶ長期のデフレである。このような長期のデフレは、少なくとも戦後、他国に例を見ない。今の日本は、インフレを懸念するような状況にはない。長期デフレの日本で「財政赤字の拡大は、インフレを起こす」などと心配するのは、長期の栄養失調の患者が「栄養の摂取は、肥満を招く」と心配するようなものである。

もしかしたら、インフレを懸念するMMT批判者たちは、デフレの異常さや恐ろしさを理解していないのではないか。

デフレとは、需要不足(供給過剰)の状態が続くことである。

需要が不足しているから、消費や投資の抑制が続く。当然にして、経済は成長しなくなり、国民は貧困化する。長期的に見ても、設備投資・人材投資・R&D投資が不足することで、日本経済の成長力そのものが弱体化する。

逆に、インフレとは、需要過剰(供給不足)の状態であり、貨幣価値が継続的に下落する現象である。企業は、旺盛な需要を目指して供給力を強化すべく、積極的な投資を行う。また、貨幣価値が下落していくので、個人も企業も、貯蓄よりも支出を拡大しようとする。その結果、経済は成長する。

要するに、持続的な経済成長はインフレを伴うものなのであり、デフレでは不可能である。

もちろん、過剰なインフレは有害であるが、マイルドなインフレは正常な経済には必要である(『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』)。

だから、正常な経済運営であれば、インフレの過剰を警戒しつつも、デフレだけは絶対に回避しようとする。インフレが心配だからデフレのままでいいなどという判断は、ありえない。

インフレを心配するMMT批判者たちは、デフレの異常さ・深刻さをわかっていないのだろうか。

通常のマクロ経済運営の範囲内で十分に可能

第2に、平時の先進国で、インフレがコントロールできなくなるなどという事態は、想定しがたい。

MMT批判者は「増税や歳出削減は、政治的に容易ではないから、インフレを抑えられない」と言うが、これは甚だしい誤解だ。

例えば、安倍政権同様、2%という控えめのインフレ目標を設定する場合を考えてみよう。

そして財政赤字を拡大して、インフレ率が2%になったら、政府はどうすべきか。


増税も歳出削減も必要ない。単に、2%程度のインフレ率を維持するために、予算規模を前年と同程度にすればよいだけである。それは増税や歳出削減と違って既得権を奪うものではないから、政治的にはるかに容易だ。

しかも、この目標値は、あくまで目安にすぎない。実際のインフレ率は、目標値をやや超過して4%程度になるかもしれないが、そうであっても何の問題もない。インフレ率が許容範囲内に収まるよう、財政支出の規模を安定的に推移させていればよいのだ。

また、所得税(とくに累進課税)は、好景気になると税負担が増えて、民間の消費や投資を抑制するという性格をもつ(いわゆる「自動安定化装置」)。このため、インフレになると、増税や歳出削減をしなくとも、自動的に財政赤字が削減され、インフレの過剰を抑止するのだ。

ほかにも、中央銀行による金利の引き上げによってインフレを退治するという手段もある。

要するに、高インフレを起こさないようにするのは、増税や歳出削減を強行せずとも、通常のマクロ経済運営の範囲内で十分に可能なのだ。

ハイパーインフレは、戦争など極めて異常なケースのみ

仮に増税や歳出削減が必要なほど高インフレになったとしても、日本政府が増税や歳出削減に踏み切れないなどという証拠はない。

実際、日本政府には、過去20年間、高インフレどころかデフレにもかかわらず、消費税率を2度も引き上げ、公共投資を大幅に削減したという実績がある。愚かで不名誉な実績ではあるが、日本政府がインフレを抑止できることを見事に証明しているではないか。

財政赤字の拡大によってインフレがコントロールできなくなるなどという懸念は杞憂なのだ。

その証拠に、歴史上、インフレがコントロール不能(ハイパーインフレ)になるという事例は、極めてまれである。

しかも、そのわずかな事例は、戦争で供給力が破壊された場合、戦時中で軍事需要が過剰になった場合、独裁政権が外資系企業に対する強制収用を行ったために供給不足となった場合、経済制裁により国内が物資不足となった場合など、極めて異常なケースに限られる。

戦後の先進国で、財政赤字の拡大を容認したためにハイパーインフレに陥ったなどという事例は皆無だ。

ちなみに、MMTは、インフレの問題を無視した理論ではない。

むしろ、その逆である。

例えば、MMTに大きな影響を与えたハイマン・ミンスキーは、インフレが問題となっていた1960年代後半から70年代にかけて、その理論を形成・発展させていた。

ミンスキーは、ただ単に財政赤字を量的に拡大して需要を刺激するだけでは、民間投資が過剰になってインフレになる一方で、完全雇用や格差是正が達成できないという可能性があると論じた。そのような悪性のインフレを回避するため、ミンスキーは、公的部門が失業者を直接雇用するなど、有効な政策目的に特定した財政支出を提案した。


このミンスキーのインフレ抑止策の提案は、検討に値する。ただし、現在の日本は、インフレ抑止策の検討以前に、デフレ脱却を優先しなければならない状況にあるということは、再度強調しておかなければならない。

賃金上昇やインフレを望むなら、グローバル化に制約を

この状況判断は、次の論点とも関わってくる。

第3に、過去30年間、日本経済に限らず、先進国経済は、新自由主義的な経済運営に傾斜したために、インフレが起きにくい経済構造へと変化している。インフレで悩んでいた1970年代以前とは、資本主義の姿がまるで違うのだ。

1980年代以降、日本を含む先進諸国では、労働組合の交渉力が弱体化する一方、規制緩和や自由化による競争の激化、さらにはグローバル化による安価な製品や低賃金労働者の流入により、賃金が上昇しにくくなり、インフレも抑制されるようになった。最近では、ITやAI・ロボットなどの発達・普及が、この変化に拍車をかけている。

また、金融市場の規制緩和や投資家の発言力を強めるコーポレートガバナンス改革により、金融部門が肥大化し、投資家の力が強くなり、労働分配率は低下していった。

つまり、政策的にマネーを増やしても、実体経済、とりわけ労働者には回らず、金融部門に流れていってしまう経済構造になったのである。

その結果、1980年代後半の日本、2000年代前半のアメリカなどでは、好景気にもかかわらず、インフレ率は穏当な水準で推移するという現象が起きた。好景気を牽引していたのは、肥大化した金融市場が生み出した資産バブルであり、賃金上昇や実体経済の需要拡大ではなかったのである。

このため、現在の日本の経済構造では、財政赤字を拡大しただけではインフレは起きない可能性がある。

例えば、日本政府は、本年4月から本格的な移民政策へと舵を切った。このため、財政支出を拡大して需要を喚起しても、海外から低賃金労働者が流入するために、賃金は上昇しないかもしれない。しかも、世界経済の景気後退により、海外から安価な製品や労働者の流入によるデフレ圧力は、さらに増している。

賃金上昇やインフレを望むなら、グローバル化に制約を加えなければならない。バスタブに水を貯めたければ、底の栓を閉めなければならないのだ。

MMT批判者は「財政支出を拡大したら、インフレが止まらなくなる」などと懸念するが、これは、過去20年間の経済構造の変化をまったく考慮していない時代遅れの認識にすぎない。

今日、われわれが本当に懸念すべきなのは、「財政支出を拡大したにもかかわらず、インフレにならないこと」なのだ。

したがって、財政赤字の拡大だけでは、十分ではない。新自由主義的政策によって賃金抑圧的に改造された経済構造を改革し、賃金上昇が経済成長を牽引するようにしなければならない。それは、新自由主義とは正反対の方向の構造改革である。

実は、晩年のミンスキー(1996年没)も、この新自由主義によって歪められた経済構造を修正しなければならないと考えていた。MMTの支持者の多くも、同様であろう。

新自由主義とは正反対の経済構造改革を

以上の議論をまとめよう。

日本は20年にも及ぶデフレであるために、長期の経済停滞が続いている。

したがって、財政赤字を拡大して、デフレを脱却する必要がある。

ただし、新自由主義に基づく改革のせいで、財政赤字を拡大してもインフレが起きない経済構造になってしまっている。

このため、財政赤字の拡大と同時に、新自由主義とは正反対の経済構造改革をしなければならない。

要するに、平成時代に行われた一連の改革とは逆の方向に転換しなければならないということだ。

ところが、日本の政策当局や経済学者らの大半は、インフレのリスクを誇張してMMTを批判し、財政赤字の削減を主張し続けている。日本の長期停滞を招いた従来のパラダイムから抜け出せないのだ。

この日本の現状は、ドイツ生まれのイギリスの経済学者、エルンスト・フリードリヒ・シューマッハーの次の言葉を思い起こさせる。

「頭のいいバカは物事を必要以上に大きくし、複雑にし、凶暴にする。
逆の方向に転換するにはわずかの才とたくさんの勇気がありさえすればいい」
https://toyokeizai.net/articles/-/283186

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MMTは論理的に破綻…それを攻撃して消費増税強行に世論誘導する財務省は悪質
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28182.html
2019.06.03 文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授 Business Journal

      財務省(「Wikipedia」より/っ)


 世界経済の情勢が不透明感を強め、国内の景気も落ち込んでいるなかで数カ月後には消費増税するということは、常識レベルでも私たちの生活を直撃することは目に見えている。

 しかし、財務省という硬直化した官僚組織にはそのような常識は通用しない。あくまでも消費増税を完遂するのが、この組織の目的である。最近は「財政危機」という理由だけではなく、むしろ消費増税以外の経済政策は害悪である、という宣伝まで始めたようである。

 特に財務省がイメージ戦略のターゲットにしているのが、MMT(現代貨幣理論)への批判だ。このMMTは積極的な財政政策の拡大を主張していて、財務省の消費増税の方針とは真逆に位置する。もちろん以前から日本に積極的な財政政策を採用するようすすめる経済学者やエコノミストは多い。一例では、元IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストのオリバー・ブランシャールらが、日本に積極的な財政政策を採用するようにすすめたことは記憶に新しい(ブランシャール、田代毅「日本の財政政策の選択肢」2019)。

 ブランシャールだけでなく、従来から欧米の経済学者たち(ポール・クルーグマン、ジョセフ・スティグリッツ、トマ・ピケティら)は一様に積極的な財政政策の採用をすすめていた。また日本でも二十数年にもわたり、長期停滞の脱却に金融政策と財政政策の両輪で積極的に対応するように求めるリフレ派がいる。筆者もそのリフレ派の一員である。

 だがMMTと、彼ら欧米の経済学者やリフレ派には違う点がある。ひとつは、MMTには理論的な基礎がはっきりしない点がある。いくつかの断片的な言い切りや拡張的な財政のスタンスのみが強調されていて、実際に日本でのその同調者たちを含めてMMT側から具体的な理論モデルが提起されていない。

 この理論的な脆弱性(知的不誠実性)を、日本の財務省が突いてきている。なぜかというと、MMTを批判することで、イメージ的にリフレ派や欧米の財政拡張論者の主張も一緒に「理論的な根拠がない間違い」だとして、世論誘導をしようと狙っているふしがある。実際に財務省の主張をコピペしているような一部のマスコミでは、MMTとそのほかを一緒くたにして批判的な論調を展開しているところもある。財務省とすれば、まさにMMTは願ってもない反緊縮政策つぶしの素材だろう。

■MMTの理論とは

 ところで、MMTは「現代貨幣理論」の英語の略語だ。このMMTは、特にアメリカや日本で注目を集めてきている。たとえばNHKの朝のニュースでも時間を割いて紹介されたし、有力な経済学者や経済評論家たちの間でもちょっとした論争が起きている。このMMTはアメリカ発の最新の経済学のファッションだ。

 中心的な主張者は、ステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授である。ケルトン教授は、最近では民主党の大統領候補として有力なバーニー・サンダース上院議員の政策顧問にも就任した。そもそもMMTが政策論争の舞台で注目を浴びたのは、民主党の若きホープであり、史上最年少の下院議員でもあるオカシオ・コルテスがMMTの考えに賛意を示したからだ。
 
 MMTは一般的にどんなことを言っているのだろうか。松尾匡の論文「反緊縮のマクロ経済政策諸理論とその総合」(2019)を参考にすれば、以下のいくつかの命題によって構成される。

(1)経済全体でみると政府の財政赤字は、同時に民間の資産増である。民間は政府の借金である国債を購入し、国債を自分たちの財産として保有している。これは政府を通じて、特に不況期には、民間の所得が増えることを意味している。反対に、不況のときに政府が財政黒字になってしまうと、それは民間の使えるお金が減ることを意味するだろう。

 つまり不況期を例にとれば、政府が借金をしてそれで民間にお金を配ることが、民間には不況対策となり、反対に政府が借金をしないと不況はさらに強まってしまう。不況期に政府が借金をすることを、「反緊縮政策」といい、逆に不況期に政府が借金をしないことを「緊縮政策」とも呼んでいる。

(2)私たちの家計や企業は、もちろん赤字を重ねていけばやがて破産のピンチに陥る。ところがMMTによれば、政府には破産はない。なぜならどんなに借金をしていても、その借金を帳消しにできる権利を持っているからだ。それを「通貨発行権」という。

 つまり政府は借金の督促に直面した場合、いざとなれば自ら紙幣を刷って返済することができる権利を独占的に有している。いわば子ども銀行と同じで、自分で紙幣を印刷してバラ撒けばいいだけだ。そのためMMTは、「政府支出に予算制約はない」「債務の不履行のリスク(=デフォルトリスク)はない」と言い切る。

(3)MMTの独創的なところは、税金を利用した物価のコントロールにある。たとえば、経済がデフレ(物価が持続的に下落する現象)であれば、どんどん減税したり公共事業を増やしてでも経済を拡大していく。やがて経済が改善し、インフレ(物価の継続的上昇)が起これば、今度は増税して経済を抑制する。増税すれば、私たちの消費や投資が減少するので経済活動が弱まり、それで平均的な財やサービスがそれほど購入できなくなるために、平均的な財とサービスの価格もまた低下する。モノやサービスは貨幣と交換される。つまり財やサービスの価格と貨幣の価格は反対の方向に向かう。貨幣の価格(通貨価値)をデフレでもインフレでもない安定なものにするのに、税金を課すことが大きな意味をもつ。

(4)先ほどの子ども銀行の例ではないが、政府は自ら紙幣を刷ることによって財政上の必要を積極的に満たすことができる。これを「財政ファイナンス」という。通常は、各国には中央銀行が存在している。政府は教育、社会保障、防衛、インフラ整備などでさまざまな分野にお金が必要だ。お金の調達は国民などからの税収と国債で行われる。政府の国債はマーケットを通じて、民間の金融機関などが購入する。そして各国の中央銀行はマーケットからその国債を購入し、あるときは売却することで経済全体に流れるお金をコントロールする。

 言い換えれば、政府は自分でお金を直接印刷して配ることはしていない。中央銀行(日本では日本銀行)から、民間マーケットを経由して、国債の見返りにお金を得ているともいえる。だがMMTではそのようなことは特に重要ではない、むしろ政府が直接にお金を刷ることである「財政ファイナンス」が推奨されている。このような政府の機能を中心にして貨幣の価値(インフレやデフレ)をコントロールするのが、MMTの核心となっている。

■「財政ファイナンス」の間違いは、すでに証明

 私はこのMMTの内容を最初に聞いたときに、各論では賛同できる点もあるが、むしろ全体をみると支離滅裂な経済政策を生み出す可能性がある、と全面的に否定した。政府が税金の上げ下げによって物価をコントロールすることは、政府の機能からいって実践的に困難であるからだ。

 多くの国は予算を策定し、そのための審議を行い、そして決定してから予算の実施を行う。この決定・執行のプロセスには時間がかかる。どんな予算が必要になるのか、という問題を認知する上でそもそも時間がかかること(認知ラグという)、さらに政策決定の時間がかかること(政策決定ラグ)、そして予算が執行されるまでの時間もかかる(実行ラグ)。これらからいってインフレ率をみてコントロールする上で、財政政策は時間の遅れに対処できない。

 インフレの進行が起きてから、政治的な利害対立の大きい議会で審議しても手遅れになる可能性が大きい。ただでさえ財政支出には多くの既得権がつくことがあり、予算による物価コントロールを幾重にも困難にするだろう。そのために各国は、中央銀行に政治的な独立性を与えて、物価のコントロールに専念させている。

 その手段は、上記した国債のマーケットを仲介にして、お金の量をコントロールすることだ。加えて、最近の中央銀行は、一定のインフレ目標を掲げて、それによって物価と経済・雇用の安定を狙っている。もちろん不況が深刻になれば、限定的に政府が直接通貨を発行することは有力な手段になる。だが、それはあくまでも補助的な手段であり、物価のコントロールに財政政策が中心になることは難しい。

 実際に「財政ファイナンス」を中心的な経済政策として採用した国では、インフレの抑制に失敗している。南米のベネズエラは、その典型である。政府は積極的な財政政策を行い、また同時に産業の規制を厳しくした。その結果、経済が落ち込み、また積極的財政をする上での財源不足が起きてしまう。そこでベネズエラ政府は「財政ファイナンス」を始めた。結果として起きたことは、300万%に近い物価上昇である。MMTの危険性のひとつの実例だろう。

 冒頭のブランシャールは、あまりに財政政策を中心にして政府債務が累積すると、デフレを脱却した後に高い金利が実現してしまい、そのことが民間の経済活動を抑圧する可能性(クラウディング・アウト)を指摘している。積極的な財政政策は今の日本や欧米でも必要だが、それは金融政策や長期の成長戦略と相互にバランスよく構築されることが必要だ、という見解だ。

 だが、このような懸念はMMT側にはない。その理論的な背景を考えると、MMT側にはもとから経済を刺激する上で、財政政策中心になる必然性があると思われる。

■IS-LM分析

 その点は経済学者たちの何人かが指摘している「IS曲線の垂直化」として解説が可能である。経済全体をとらえる視点はマクロ経済学だが、その中核にIS-LM分析がある。IS曲線は、経済全体の財やサービスの市場の様子を示す曲線だ。またLMは経済全体の金融面を示す曲線である。経済全体の均衡はこのISとLMがクロスするところで決まっている。

 もしこの経済全体の均衡した水準が、完全雇用の状態から遠い時には、もちろん財政政策や金融政策でこのIS曲線やLM曲線を動かし、または曲線上で経済をコントロールする必要がある。これ以上の教科書的な説明は省略する(入門的解説としては、飯田泰之『マクロ経済学の核心』<光文社新書>などを参照されたい)。

 たとえば、下図ではリフレ派やブランシャールら欧米の経済学者が共有するIS-LM曲線を黒で図示している。LM曲線は低金利の状況を表している。他方でIS曲線、つまり民間の投資や消費は、政策的に財政(Gで表記、Tは税制だがこれは変化しない)と金融政策(π)によってコントロールされている。日本銀行などの中央銀行はインフレ率(π)に目標値を設定して、その達成を広く公衆に約束する。また中央銀行はその達成のために金融政策を行う。

    

 日本では、デフレ経済が続くために、このインフレ目標の達成には金融緩和が必要になる。インフレ率の予想値をコントロールすることで、投資や消費を拡大し、経済を完全雇用に近づける。そのためIS曲線は図のように右下がりになる。技術的にはこれは投資が実質利子率に感応的なため生じている。

 日本銀行は将来のインフレ率を高めることを約束し、それで実質利子率を低める。なぜなら実質利子率は、名目利子率から予想インフレ率を引いたものである。名目利子率を引き下げるのが難しい状況(これを現代版「流動性の罠」という)であっても、予想インフレ率を引き上げることで、この実質利子率を引き下げることが可能となる。もちろん実質利子率がこの意味で低下すれば、投資は増加していく。これがIS曲線が右下がりになる根拠となる。

 対してMMTでは、図に赤く描かれているように、IS曲線は垂直である。これは今までのリフレ派などと異なり、現代版の流動性の罠の条件では、投資が利子率に対して非感応的になっているため生じる。簡単にいうとMMTでは財政の拡大は効果があるが、金融政策自体には効果はないのが理論的な前提である。

 そのためMMTは、リフレ派などに比べて、財政政策に過度に依存することになる。ときには「財政支出を5000兆円にしても今は大丈夫」という極端な発言にもなるのは、この理論的な背景によるのだろう。ただしMMT側は、冒頭にも書いたが、特に日本の論者たちは理論モデルを提示していない。

 このため著者のようにMMTに批判的な論者が、むしろこのように理論的な整理をしようとしている。このMMT側の知的な怠慢を、財務省は悪質にも突いてきているのだろう。もちろん消費増税を止めるべきだという点では、MMTとリフレ派らの主張は変わらない。そのためにはこの消費増税をストップさせる点だけでの政策的な協調は可能である。そのために立場によらずに、消費増税のリスクを訴える経済学者やエコノミストたちの動きもある。だが、MMT側にはより自らの主張を理論モデルで説明する責務があると思う。それができないようでは、政策について真剣なものとはいえないだろう。
(文=田中秀臣/上武大学ビジネス情報学部教授)




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MMT(現代金融理論)が見落としているもの…財政の民主的統制の難しさ
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28206.html
2019.06.04 文=小黒一正/法政大学教授 Business Journal

 ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授などが「MMT(現代金融理論)」という理論を提唱し、アメリカを中心に徐々に広がりを見せ始めている。日本でも、経産官僚の中野剛志氏(現、経済産業省商務情報政策局の情報技術利用促進課課長)が、MMTを日本に紹介するため、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(ベストセラーズ)等を出版し、一部の間で話題となっている模様である。

 一方で、アメリカのハーバード大学のケネス・ロゴフ教授やサマーズ元米財務長官といった主流派の経済学者は、「MMTは様々なレベルで間違っている」とし、MMTの理論的な妥当性を強く批判している。

 どちらの見解が正しいのだろうか。中野氏の書籍を読むと、MMTが正しいと判断する読者もいようが、ロゴフ教授やサマーズ氏らの指摘のほうが正しい。理由は、MMTは、財政の民主的統制の難しさを深く考察していないためである。以下、順番に概説する。

■MMT(現代金融理論)とは何か

 まず、議論を簡略化するために閉鎖経済で考えよう。このとき、「民間貯蓄(S)=民間投資(I)+財政赤字(G−T)」というISバランスが成立するが、経済学の正統派ではISバランスが成立しない場合、市場原理で金利が変動し、ISバランスが自動的に成立するものとする。しかし、MMTでは、完全雇用のときの民間純貯蓄(S−I)は構造的に決まっており、市場メカニズムのみではISバランスが成立しないケースがあり、その場合では財政赤字が必要になると主張する。

 この主張は、有効需要の原理を重視する伝統的なケインズ派の理論に近く、別に目新しいものではない。むしろ、目新しいのは財政赤字を賄う財源として法定通貨の発行を主張することであろう。

 すなわち、「財政ファイナンス」の積極的な活用である。このため、MMTでは、(1)政府支出の拡大や減税=法定通貨の新規発行、(2)増税や政府支出の削減=法定通貨の回収を意味し、完全雇用のときの民間純貯蓄(S−I)にマッチするように、財政赤字(G−T)を制御する政策を提案する。

 そもそも、今の日本のように、失業率が低く、コンビニ等の労働力不足が懸念される状況で本当に有効需要の原理が機能する否かという考察も極めて重要だが、この財政ファイナンスを積極的に活用する発想は本当に目新しいのか。

 実は、ブキャナンとワグナーの名著『赤字の民主主義−ケインズが遺したもの』(日経BPクラシックス)(原題はBuchanan and Wagner1977), Democracy in Deficit: the Political Legacy of Lord Keynes, New York : Academic Press)で、ブキャナンらがすでに約40年前に指摘しており、これも目新しいものではない。

 例えば、同書の76−77ページには以下の記述がある(下線は筆者)。

<意図的な財政赤字の創出―支出はするが課税はしないというあからさまな決定 ―は、ケインズ政策の特徴だが、(略) ケインズ派が−大半のケインズ派が−通貨の増発を選ばず、古典的な公債負担論に挑戦する道を選んだのは、今もって意外である(略)需要不足という環境では、 政府の追加支出の機会費用は完全にゼロである。これは直ちに、必要な財政赤字を補てんするために通貨を創造しても、 純コストは発生しない−つまりインフレの恐れはない−ことになる。したがって、政治・制度上の制約がない場合は、意図的に財政収支を赤字にし、通貨発行だけで赤字を補てんすることが、ケインズ派 の理想的な景気対策になるはずだ>
 
 財政学者であれば周知の事実だが、ノーベル経済学賞を受賞したブキャナンらは「ケインズがいなければ、1960〜70年代の政治家がこんなに節度を失うことはなかった」とし、アメリカの財政赤字や通貨膨張、政府部門の肥大化の主な原因をケインズ派の理論にあると批判するために執筆したのが同書(『赤字の民主主義』)である。

 同書において、財政規律を重視するブキャナンらが「ケインズ派が−大半のケインズ派が−通貨の増発を選ばず、古典的な公債負担論に挑戦する道を選んだのは、今もって意外」とする記述は、ケインズ派に対する「強烈な皮肉」を投げかけるものである。

■予算膨張と減税の政治圧力をどうコントロールするのか

 MMTでは、財政赤字が害をもたらすとわかれば、その時点で適切な水準に財政赤字を縮小すればよいという発想だが、民主主義の下で政府支出の削減や増税を迅速かつ容易に行うのは極めて難しい。政府が財政赤字の縮小を迅速に行えるという仮定は、ケインズ理論が仮定する「ハーヴェイロードの前提」に近いものだが、政府支出の削減や増税は現実の政治プロセスで行うのは容易ではない。

 例えば、1997年に消費税率は3%から5%に引き上がったが、2014年に消費税率が8%に引き上がるまで17年もの時間がかかったのが一つの証である。本丸の社会保障改革もなかなか進まない。日本をはじめ各国では財政赤字の問題に長年悩んできたが、社会保障費の削減や増税が政治的に容易に可能ならば、今ごろ日本では財政再建が終了しているはずである。

 政治家は票を求めて選挙で競争を行う。その際、有権者や利益団体の要求に応じて予算は膨張するメカニズムをもつ一方、政治家は有権者に税を課すことは喜ばない。むしろ、減税こそが歓迎される。

 つまり、財政民主主義の下では、財政は予算膨張と減税の政治圧力にさらされることになり、現在の政治家と有権者には財政赤字が膨れ上がるメカニズムを遮断するのは簡単なことではない。このため、ブキャナンらは「民主主義の下で財政を均衡させ、政府の肥大化を防ぐには、憲法で財政均衡を義務付けるしかない」と主張する。

 なお、財政赤字を法定通貨の新規発行で賄うリスクは、第1次世界大戦後のドイツや第2次世界大戦後の日本などでも経験しており、その歴史的教訓から、中央銀行の独立性を高め、財政法で財政ファイナンスを禁止しているということも忘れてはいけない。

 この意味で、『赤字の民主主義』の216−234ページの以下の指摘が現代の我々に突きつけるメッセージを深く理解することが望まれる(下線は筆者)。

<政府は公債発行の権利よりも通貨発行の権利を厳しく制限されてきた。選択が許される場合、政府が課税よりも通貨の膨張(水増し)に傾く傾向があることは、 経済史の無数の例が示している。(略)選挙で選ばれる政治家は公的支出を承認し、有権者に課税する。もし予想される歳出を歳入と均衡させることが政治家の義務でない場合は、そんなことはしない。政治家の行動が必然的にインフレを招いても、有権者から直接責任を問われることはないからだ。(略)教科書通りのケインズ理論を鵜呑みにした有権者や政治家から見れば、財政赤字の削減で総支出のペースが落ちれば、雇用と実質生産がいつ減少してもおかしくない>

(文=小黒一正/法政大学教授)




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MMT(現代金融理論)とは何か
小黒一正(法政大学 教授)2019.06.10
 ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授などが「MMT(現代金融理論)」という理論を提唱し,日本でも若干の話題となっている。一方で,アメリカのハーバード大学のケネス・ロゴフ教授やサマーズ元米財務長官といった主流派の経済学者は,「MMTは様々なレベルで間違っている」とし,MMT(現代金融理論)の理論的な妥当性を強く批判している。

 どちらの見解が妥当であろうか。筆者は,ハーバード大学のロゴフ教授やサマーズ元米財務長官らの指摘の方が妥当であると判断する。理由は,MMT(現代金融理論)は,財政の民主的統制の難しさを深く考察していないためである。以下,順番に概説する。

 まず,議論を簡略化するために閉鎖経済で考えよう。このとき,「民間貯蓄(S)=民間投資(I)+財政赤字(G−T)」というISバランスが成立するが,経済学の正統派ではISバランスが成立しない場合,市場原理で金利が変動し,ISバランスが自動的に成立するものとする。しかし,MMTでは,完全雇用のときの民間純貯蓄(S−I)は構造的に決まっており,市場メカニズムのみではISバランスが成立しないケースがあり,その場合では財政赤字が必要になると主張する。

 この主張は,有効需要の原理を重視する伝統的なケインズ派の理論に近く,別に目新しいものではない。むしろ,目新しいのは財政赤字を賄う財源として法定通貨の発行を主張することであろう。

 すなわち,「財政ファイナンス」の積極的な活用である。このため,MMTでは,@政府支出の拡大や減税=法定通貨の新規発行,A増税や政府支出の削減=法定通貨の回収を意味し,完全雇用のときの民間純貯蓄(S−I)にマッチするように,財政赤字(G−T)を制御する政策を提案する。

 そもそも,いまの日本のように,失業率が低く,コンビニ等の労働力不足が懸念される状況で本当に有効需要の原理が機能する否かという考察も極めて重要だが,この財政ファイナンスを積極的に活用する発想は本当に目新しいのか。

 実は,ブキャナンとワグナーの名著『赤字の民主主義−ケインズの政治的遺産』(日経BPクラシック)(原題はBuchanan and Wagner(1977), Democracy in Deficit: the Political Legacy of Lord Keynes, New York : Academic Press)で,ブキャナンらが既に約40年前に指摘しており,これも目新しいものではない。

 例えば,同書の76−77ページには以下の記述がある。

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意図的な財政赤字の創出―支出はするが課税はしないというあからさまな決定―は,ケインズ政策の特徴だが,(略)ケインズ派が−大半のケインズ派が−通貨の増発を選ばず,古典的な公債負担論に挑戦する道を選んだのは,今もって意外である(略)需要不足という環境では,政府の追加支出の機会費用は完全にゼロである。これは直ちに,必要な財政赤字を補てんするために通貨を創造しても,純コストは発生しない−つまりインフレの恐れはない−ことになる。したがって,政治・制度上の制約がない場合は,意図的に財政収支を赤字にし,通貨発行だけで赤字を補てんすることが,ケインズ派の理想的な景気対策になるはずだ。(下線は引用者)

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 財政学者であれば周知の事実だが,ノーベル経済学賞を受賞したブキャナンらは「ケインズがいなければ,1960〜70年代の政治家がこんなに節度を失うことはなかった」とし,アメリカの財政赤字や通貨膨張,政府部門の肥大化の主な原因をケインズ派の理論にあると批判するために執筆したのが同書(『赤字の民主主義』)である。

 同書において,財政規律を重視するブキャナンらが「ケインズ派が−大半のケインズ派が−通貨の増発を選ばず,古典的な公債負担論に挑戦する道を選んだのは,今もって意外」とする記述は,ケインズ派に対する「強烈な皮肉」を投げかけるものである。

 MMTでは,財政赤字が害をもたらすと分かれば,その時点で適切な水準に財政赤字を縮小すればよいという発想だが,民主主義の下で政府支出の削減や増税を迅速かつ容易に行うのは極めて難しい。例えば,1997年に消費税率は3%から5%に引き上がったが,2014年に消費税率が8%に引き上がるまで17年もの時間がかかったのが一つの証である。本丸の社会保障改革もなかなか進まない。日本をはじめ各国では財政赤字の問題に長年悩んできたが,社会保障費の削減や増税が政治的に容易に可能ならば,いまごろ日本では財政再建が終了しているはずである。

 政治家は票を求めて選挙で競争を行う。その際,有権者や利益団体の要求に応じて予算は膨張するメカニズムをもつ一方,政治家は有権者に税を課すことは喜ばない。むしろ,減税こそが歓迎される。

 つまり,財政民主主義の下では,財政は予算膨張と減税の政治圧力にさらされることになり,現在の政治家と有権者には財政赤字が膨れ上がるメカニズムを遮断するのは簡単なことではない。このため,ブキャナンらは「民主主義の下で財政を均衡させ,政府の肥大化を防ぐには,憲法で財政均衡を義務付けるしかない」と主張する。

 なお,財政赤字を法定通貨の新規発行で賄うリスクは,第1次世界大戦後のドイツや第2次世界大戦後の日本などでも経験しており,その歴史的教訓から,中央銀行の独立性を高め,財政法で財政ファイナンスを禁止しているということも忘れてはいけない
http://world-economic-review.jp/impact/article1382.html



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MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由
主流派経済学の理想は「反民主的」な経済運営
中野 剛志 2019/06/11
https://toyokeizai.net/articles/-/285053?display=b


前回記事「MMT『インフレ制御不能』批判がありえない理由」
https://toyokeizai.net/articles/-/283186

で、インフレ率との関係をていねいに解説した中野剛志氏。著書

『富国と強兵 地政経済学序説』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492444386/asyuracom-22?p=TK


でいち早く日本にMMT(現代貨幣理論)を紹介した同氏が、今回は「そもそも貨幣とは何か」という視点から解説する。

MMTはなぜ嫌われているのか

MMT(現代貨幣理論)は、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよいと主張する。これに対して、主流派経済学者は、「そんなことをしたら、超インフレになる」と激しく批判している。


『富国と強兵 地政経済学序説』


このように、超インフレの懸念によってMMTを批判するというのは、極端な議論にすぎないことは、別の記事で明らかにしてあるので、ここでは繰り返さない。

問うべきは、なぜ、このような極端な議論がまかりとおっているかということである。

日本は、20年という長期のデフレに苦しんでいる。そんな日本が超インフレを懸念して、デフレ下で政府支出の抑制に努めたり、増税を目指したりしている姿は、どう考えても異常である。「インフレ恐怖症」とでも言いたくなるほどだ。

なぜ、これほどまで極端にインフレが恐れられているのであろうか。

そして、なぜ、MMTは、こんなに嫌われているのであろうか。

その理由の根源は、貨幣の理解にある。

主流派経済学の標準的な教科書は、貨幣について、次のように説明している。

原始的な社会では、物々交換が行われていたが、そのうちに、何らかの価値をもった「商品」が、便利な交換手段(つまり貨幣)として使われるようになった。その代表的な「商品」が貴金属、とくに金である。これが、貨幣の起源である。

しかし、金そのものを貨幣とすると、純度や重量など貨幣の価値の確認に手間がかかるので、政府が一定の純度と重量をもった金貨を鋳造するようになる。


次の段階では、金との交換を義務付けた兌換(だかん)紙幣を発行するようになる。こうして、政府発行の紙幣が標準的な貨幣となる。

最終的には、金との交換による価値の保証も不要になり、紙幣は、不換紙幣となる。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値があり、貨幣としての役割を果たす

(N・グレゴリー・マンキュー『マンキューマクロ経済学I入門篇【第3版】』110〜112ページ)。
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492314091/asyuracom-22

このような貨幣論を「商品貨幣論」と言う。

しかし、この「商品貨幣論」は、実は、誤りなのである。

第1に、歴史学や人類学における貨幣研究は、軒並み、貨幣が物々交換から発展したという「商品貨幣論」を否定している(フェリックス・マーティン『21世紀の貨幣論』)。

第2に、1971年にドルと金の兌換が廃止されて以降、世界のほとんどの国が、貴金属による裏付けのない不換通貨を発行している。しかし、なぜ、そのような不換通貨が流通しているのかについて、商品貨幣論は納得できる説明ができない。主流派経済学は「他人が受け取ることがわかっているから、誰もが不換通貨を受け取るのだ」という説明をするが、そんな脆弱な大衆心理に依拠した通貨では、価値が不安定すぎて使い物にはなるまい。

では、現代の不換通貨は、どうして「貨幣」としての価値が保証され、使われているのであろうか。

政府の「徴税権力」が物価を調整する

MMTの答えは極めて明快だ。

まず、政府は、債務などの計算尺度として通貨単位(円、ドル、ポンドなど)を法定する。

次に、国民に対して、その通貨単位で計算された納税義務を課す。

そして、政府は、通貨単位で価値を表示した「通貨」を発行し、租税の支払い手段として定める。これにより、通貨には、納税義務の解消手段としての需要が生じる。

こうして人々は、通貨に額面どおりの価値を認めるようになり、その通貨を、民間取引の支払いや貯蓄などの手段としても利用するようになり、通貨が流通するのである。

要するに、人々がお札という単なる紙切れに通貨としての価値を見出すのは、その紙切れで税金が払えるからということだ。

通貨の価値を裏付けているのは、金などの価値のある「商品」ではない。通貨を法定し、その通貨による納税義務を法定する権力をもつ「政府」である。政府の徴税権力こそが、通貨の価値を担保するアンカーとなっているのだ。

それゆえ、内乱などで無政府状態に陥った国家では、政府の徴税権力も弱体化するから、通貨はその価値を失い、超インフレに見舞われる。逆に言えば、政府権力が正常に機能していれば、戦争や石油危機のような有事でもない限り、インフレが制御不能になるなどということはありえない。


政府が徴税権力を強めれば(緊縮財政)、納税という通貨の需要が増えるので、人々はモノよりもカネを欲しがるようになる。その結果、通貨の価値が上昇(物価が下落)する。つまり、増税は、デフレ圧力を発生させるのだ。

反対に、政府が徴税権力を緩めれば(拡張財政)、納税という通貨の需要は減るので、通貨の価値が下落(物価が上昇)する。減税は、インフレ圧力を発生させるのである。

こうして、政府は、財政を拡張させたり、緊縮させたりすることによって、物価を上下させることができる。財政政策とは、物価調整という機能をもつ金融政策でもあるのだ。

貨幣に関する無知が招く「インフレ恐怖症」

さて、主流派経済学は、依然として「商品貨幣論」という誤った貨幣論に立脚している。

実は、この誤った貨幣論こそが、「インフレ恐怖症」の原因なのである。

改めて説明すると、「商品貨幣論」は、金などの貴金属のような、それ自体に価値がある商品が貨幣の価値を裏付けていると考えている。

かつて、金本位制の下においては、通貨には、金との兌換が義務付けられていた。各国政府が発行する通貨の価値は、金という商品によって担保されていたのである。

しかし、現代の通貨は、金との兌換が保証されていない「不換通貨」が一般的になっている。このことを、主流派経済学は「商品貨幣論」によってどう説明するのか。

すでに述べたように、主流派経済学は、「他人が受け取ることがわかっているから、誰もが不換通貨を受け取るのだ」と説明している。つまり、「みんながお金がお金だと思っているから、みんながお金をお金だと思って使っている」という苦し紛れの循環論法である。

もし、この説が正しいとすると、通貨の価値は、「みんなが通貨としての価値があると信じ込んでいる」という極めて頼りない大衆心理によって担保されているということになる。

しかし、もし人々が一斉に通貨の価値を疑い始めてしまったら、通貨はその価値を一瞬にして失ってしまうだろう。紙幣は、単なる紙切れとなってしまうのだ。これが、通貨価値の暴落、すなわちハイパーインフレである。

主流派経済学者が、なぜインフレを極端に恐れているのか、もうおわかりだろう。「もし、人々が通貨に対する信認を失い、通貨の価値を保証するものがなくなってしまったら、どうしよう」と不安で仕方がないのだ。

要するに、主流派経済学者は、それ自体に商品価値がないはずの不換通貨が、なぜ通貨として流通しているのかについて、本当のところをわかっていないのだ。だから、通貨の価値が失われることを極端に恐れているのである。


「インフレ恐怖症」の原因は、貨幣に関する無知にある。

そうであるならば、主流派経済学者は、MMTの正しい貨幣論を受け入れればよいではないかと思われるかもしれない。

それが、残念ながら、そう簡単にはいかないのである。

なぜなら、MMTは「通貨の価値を保証するのは、政府の徴税権力である」という理論である。

国民主権である民主国家においては、政府の徴税権力の根源は民主政治にある。わが国でも、憲法第83条において、国会が予算や税を議決する「財政民主主義」を定めている。

このように、現代民主国家においては、通貨の価値を保証するのは「徴税権力=民主政治」である。したがって、民主政治は、貨幣価値(物価)を調整するうえで、決定的に重要な役割を担うこととなる。

しかし、このような結論は、主流派経済学者には、とうてい受け入れられるものではない。

なぜならば、民主政治は、民意や政治的な利害調整によって決まるものである。そのような恣意的・裁量的な民主政治が財政を決め、物価の調整に深く関与することを、主流派経済学は極端に恐れるのである。

だから、主流派経済学者は、財政規律を重視し、民主政治による財政権力に制限を加えようとする。そして、物価の調整機能は、民主政治ではなく、中央銀行に委ねるべきだとする。主流派経済学者は「中央銀行の独立性」を強調するが、それは、民主政治からの「独立性」を意味しているのだ。

要するに、主流派経済学は、エリートや専門家による経済運営を理想とするのである。言い換えれば、主流派経済学は、その本質において、反民主主義的である。

こうした主流派経済学の理解に基づき、現実の経済運営は、中央銀行の金融政策が主導するものとなり、財政政策に対する評価は消極的・否定的なものとなった。

MMTは経済政策の「民主化」

しかし、今日、アメリカでも欧州でも日本でも、その金融政策主導の経済運営が完全に行き詰ってしまった。近年では、クルーグマン、サマーズ、ブランシャールのような主流派経済学者ですら、金融政策の限界を認め、財政赤字の拡大を強く主張するようになっている(オリヴィエ・ブランシャール「日本の財政政策の選択肢」)。

とくに日本では、量的緩和という金融政策主導によるデフレ脱却は、明らかに失敗に終わった。昨今では、金融政策の限界どころか、その弊害すら懸念されるようになっている(「危険なMMTがそれでも気になる理由」)。


しかし、こうした従来の金融政策主導の経済運営は、その根拠となっている主流派経済学が貨幣論からして間違っている以上、失敗に終わって当然だったのである。

ここで重要なのは、財政主導の経済運営とは、民主政治主導の経済運営を意味するということだ。経済政策の「民主化」と言ってもよい。

MMTは、経済政策を「民主化」すべきだと主張しているのだ(だから、アメリカでは、反エリート主義的な民主党左派などがMMTを支持するのである)。

超インフレは本当に起こるのか?

民主政治が完全なものではないのは、事実である。賢明とは言えない判断もする。しかし、主流派経済学に基づいたエリート主義的な経済運営が失敗に終わった以上、民主政治の判断で財政政策を発動するほかないのだ。

その民主政治をより賢明なものにするか否かは、われわれ国民の責任にかかっている。財政規律などインフレを抑制する制度を導入するにしても、国民が民主的に決めなければならないのだ。

筆者は、日本の政治、そして日本国民が、財政支出を拡大しすぎて超インフレを引き起こすほど愚昧だとはまったく思っていない。普通に考えて、国民が、自分たちの生活を破壊する超インフレを招くような政権を支持するはずがないではないか。「MMTを実行したら、超インフレになる」などという者は、日本の有権者をバカにしているのだ。

日本の民主政治は、確かに完全なものではない。しかし、超インフレを防げないほどではない(「MMT『インフレ制御不能』批判がありえない理由」)。

他方、主流派経済学の理論は、もっと不完全である。それどころか、貨幣論からして間違えている。

MMTの批判者たちは、エリートぶって民主政治を見下す前に、せめて貨幣について正しく理解してはどうか。そうすれば、どんなに不完全であっても、民主政治によって経済運営を運営するしかないのだと分かるだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/285053?display=b




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エコノミスト、ステファニー・ケルトン―新たな「ニューディール」の使徒(RFI)
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/627.html
http://www.rfi.fr/emission/20190614-stephanie-kelton-economiste-apotre-nouveau-new-deal-sanders-etats-unis

今日の経済―人物を描く


エコノミスト、ステファニー・ケルトン―新たな「ニューディール」の使徒
記者 アーブラ・ジュナイディ
放送:2019年6月14日金曜日


米国経済界で注目度上昇中の人物がいる。お茶の間のテレビから大学の会議までステファニー・ケルトンの話題で持ち切りだ。ニューヨーク州選出の民主党代議士アレクサンドラ・オカシオ−コルテスのような左派の面々が彼女を支持している。民主党予備選挙候補バーニー・サンダースは(2016年に既にそうだったように)自身の非常に野心的な事業に取り組むために、彼女を「主任経済顧問」にした。巨大インフラ事業の資金を工面するために財政赤字を増やしても良いとの彼女の考えには歯ぎしりする人々もいる。

彼女はバーニー・サンダースと共に再び立ち上がる。サンダースは数ある事柄の中でも、最低賃金と全国民を対象にした健康保険制度を確立したいと考えている。

数年前、この49歳のエコノミストは民主党の旗の下で行われた地元レベルの選挙を勝ち上がることが出来なかったが、社会正義への関心についてはその予備選挙候補者と同じものを持っている。

彼女はバーニー・サンダースと初めて電話で議論したときのことを語った。彼はそのエコノミストに自分が彼の立場なら何をしたいかを尋ねた。「私は彼に答えました―1944年の第2の権利章典ですと。そして、私たちはそこでフランクリン・デラノ・ルーズベルトについて議論を始めました。私はそれが民主党にとって未完成の仕事だといつも思っていました。党はルーズベルトの構想をやり遂げ、一定の基本的権利を国民に提供すべきでした。医療面の諸施策や教育の権利は当然ですが、労働の権利もです。ルーズベルトはこれを自分のリストの最初に入れました。彼はこのことを最初に行おうとしたのです。私は長年それを研究してきました。少なくとも一時期、それは民主党の核心的な構想だったのです。」


彼女の野心は新たな「ニューディール」を始めることだ


特に、経済が健全な状態にあってもなくても全ての人に雇用を保証する大規模プログラムだ。連邦政府がこれに責任を持ち地元レベルで効果的な管理を行う。表向きの数字は好調だが無数の国民が失業中か能力以下の職業に就いていると、ステファニー・ケルトンは述べる。

この施策の後ろ盾として、ある経済理論が存在する。現代通貨理論。この理論は20年来、始めは日の当たらない場所で、その後は光の中で、いくつもの感情を呼び起こしてきた。

あるプログラムの資金を工面するためには財源を探さねばならない。予算の削減や増税により財源を探すことが必要だ。政治的な議論とはこのような話だが、MMT[現代通貨理論]のエコノミストたちは米国政府には決して無視の出来ない強みがあると言い切る。その強みだが、米国政府は他のことで必要だと考えたとき自前のお金を生み出すことを禁じていない。ドルをだ。それを続ければ十分だとそのエコノミストたちは言う。赤字やインフレを恐れずさらに力強く進めば良い。米国経済が能力の限界に達するには程遠いからだ。

しかし、ラリー・サマーズのような左派に分類される経済学者でさえCNBCでこれに警告を発した。「通貨印刷機を回すことにより完全雇用や国民皆保険を保証できるという『現代通貨理論』の考えは危険だ。そして、この考えへの支持が広がるのを見るのは私にとって残念だ。私はこれが『新たなブードゥー経済』であることの証明を試みている。」


ステファニー・ケルトンは攻撃を非難する。しかし、彼女は前線に復帰する


その中心的な提唱者の天性のカリスマと雄弁に助けられて、現代通貨理論は信者をどんどん増やしている。この理論は通貨というシステムの働きをとても上手に説明しているため、長年ウォール街の金融業者を誘惑してきた。そして、議論のテーマが緊縮予算であってもこの理論は可能性の場を開くものであるために、変化を主張する全ての人々を魅了している。特に若者たちをだ。

現代貨幣理論がここまでの支持を得ていなかった頃からステファニー・ケルトンと道を共にする最初の仲間の一人、ランドール・レイは言う。

「ラリー・サマーズのような主流のエコノミストでさえ、私たちが長期的な不景気の中にあると言います。私たちが国民の大部分の面倒を見ることは不可能ですが、そうした人たちは自分たちを裏切るシステムからしっぺ返しを受けています。そこから極右が台頭しています。私たちは10年から20年の間、地球温暖化に反対してきました。これは消滅の危機をもたらすものです。そうしたことから、私たちのシステムがもはや機能しないことが分かりました。事態を変える必要があるのです。」

ステファニー・ケルトンは、自分たちが構想する2兆ドルの「新たなニューディール」により、来年は民主党がホワイトハウスを獲得できると信じている。 そして、彼女はまさに財務長官になった自分の姿を想像しているだろう。


−参考−
1944年1月の一般教書演説でルーズベルト大統領が提唱した「第2の権利章典」についての説明 (The Workmen's Circle Website)[英文]
http://circle.org/jsource/franklin-d-roosevelts-second-bill-rights-1944/




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三橋TV第109回【待望のあの方にご登場頂いたよ】 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=JoCGYFhNYPo
三橋TV第110回【中野剛志先生から社会科学を学ぼう】
https://www.youtube.com/watch?v=8ia1CFWMB7w&feature=youtu.be

三橋TV第111回【絶望の向こう側のチャンスを!】 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=xZeGnPqYnH4



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特別寄稿 中野剛志 消費増税も量的緩和も愚の骨頂!
主流派経済学や政策当局の主張とは正反対のことをやるべき。これが、MMT(現代貨幣理論)から導き出される政策提言だ。

2019年8月号 BUSINESS [MMTの大逆襲]
by 中野剛志(評論家)


最近、MMT(現代貨幣理論)なる経済理論が大きな話題となっている。というよりは、大半の主流派経済学者や政策当局者によって「馬鹿げている」「トンデモ理論だ」と激しく攻撃されている。

このMMTなる代物、どうしてこんな大騒動を巻き起こしたのか。

MMTとは、その名のとおり、現代における貨幣についての正確な理解を基礎とする経済理論である。実のところは、その中身は、次のように、あっけないほど簡単である。


現代貨幣理論(MMT)を、我が国に初めて紹介した中野剛志氏の大著『富国と強兵』(東洋経済新報社)

今日、「通貨」と呼ばれるものには、「現金」と「銀行預金」がある。「銀行預金」が「通貨」に含まれるのは、我々が給料の支払いや納税などのために銀行預金を利用するなど、日常生活において、事実上「通貨」として使っているからである。ちなみに、「通貨」のうち、そのほとんどを預金通貨が占めており、現金通貨が占める割合は、ごくわずかである。
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MMTの基本は単なる「事実」!

問題は、通貨のほとんどを占める「銀行預金」と貸出しとの関係である。

通俗的な見方によれば、銀行は、預金を集めて、それを貸し出しているものと思われている。主流派経済学もまた、そのような見解に立っている。しかし、これは銀行実務の実態とは異なっているのである。

実際には、銀行の預金が貸し出されているのではなく、その反対に、銀行が貸出しを行うことによって預金が生まれているのである。これを「信用創造」と言う。例えば、A銀行がα企業に1千万円を貸し出す場合、A銀行は手元にある1千万円を貸すのではない。単に、α企業の銀行口座に1千万円と記帳するだけである。

銀行は預金を元手に貸出しを行うのではなく、その反対に、銀行による貸出しが預金を生む。したがって、原理的には、銀行は手元資金の制約を受けずに、借り手さえいれば、いくらでも貸出しを行うことができる。驚かれたかもしれないが、これが紛れもない「事実」である。主流派経済学は、信用創造の理解を間違えているのだ。

ただし、銀行は、預金を現金と交換する要求があった場合には、それに応じなければならない。それゆえ、銀行は、そのような預金の引き出しに備えるために、預金の一定割合を中央銀行に「準備預金(日本であれば、日銀当座預金)」として預け入れることを法令で義務付けられている。

では、現金は、なにゆえに通貨としての価値をもち得るのか。それは、政府が価値を与えているからである。

まず、政府は、「通貨」の単位(例えば、円、ドル、ポンドなど)を決める。そして、政府(と中央銀行)は、その決められた単位の通貨を発行する権限をもつ。その上で、政府は、国民に対して、その通貨によって納税する義務を課す。すると、その通貨は、納税手段としての価値をもつので、取引や貯蓄の手段としても使われるようになる。紙切れに過ぎないお札が、おカネとしての価値をもって使われるのは、そのためだ。

MMTの基本は、これだけである。しかも、この説明は、単に、現代の貨幣というものを「事実」に沿って説明したまでのことである。だが、この単なる「事実」が、主流派経済学者や政策当局者を大いに動揺させたのだ。なぜなら、この貨幣の「事実」から導き出される財政金融政策のインプリケーションは、主流派経済学者が主張し、政策当局者が実施してきたものと、180度も異なるものだったからだ。
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ハイパーインフレは起こらない

MMTのインプリケーションとは、具体的には、次の通りである。

T 日米英のように、政府が通貨発行権を有する国は、自国通貨建てで発行した国債に関して、返済する意志がある限り、返済できなくなるということはない。

例えば、日本は、GDP(国内総生産)比の政府債務残高がおよそ240%であり、先進国中「最悪」の水準にあるとされるが、財政破綻していない。それもそのはず、日本政府には通貨発行権があり、発行する国債はすべて自国通貨建てだからだ。

アルゼンチンやギリシャなど、財政破綻の例としてあがるのは、いずれも、自国通貨建てではない国債が返済不能になったケースである。実際、アルゼンチンもギリシャも、GDP比政府債務残高は日本の半分程度だったのに、財政破綻に陥った。

日本政府は、家計や企業と違って、自国通貨を発行して債務を返済できるのだ。したがって、日本政府は、財源の制約なく、いくらでも支出できるのである。

ただし、政府が支出を野放図に拡大すると、いずれ需要過剰となって、インフレが止まらなくなってしまう。このため、政府は、インフレが行き過ぎないように、財政支出を抑制しなければならない。

言い換えれば、高インフレではない限り、財政支出はいくらでも拡大できるということだ。つまり、政府の財政支出の制約となるのは、政府債務の規模ではなく、「インフレ率」なのである。

さて、日本は、高インフレどころか、長期にわたってデフレである。したがって、日本には、財政支出の制約はない。デフレを脱却するまで、いくらでも財政支出を拡大できるし、すべきだということになる。

これに対して、「政治は、歳出削減や増税のような国民に痛みを強いる政策はできないので、インフレは抑制できない」などと論じる者がいるが、これは暴論としか言いようがない。

そもそも、インフレが制御不能となるハイパーインフレの事例というのは、戦争や内乱で供給能力が破壊された場合、独裁政権がでたらめな経済政策を行った場合、旧社会主義国が資本主義の移行の過程で混乱した場合、あるいは経済制裁により禁輸が行われた場合など、極めて異常なケースに限られる。

先進国の民主国家が、平時において、財政赤字を拡大し過ぎてインフレを止められなくなったなどという事例など、皆無だ。それもそのはず、物価の高騰は、国民の不満を高めるからだ。民主国家が、民意を無視して財政赤字を拡大し続け、ハイパーインフレを起こすのは不可能なのだ。

U 国家財政に財源という制約がないということは、課税によって財源を確保する必要はないということを意味する。

もちろん、MMTは、無税国家が可能だと主張しているわけではない。もし一切の課税を廃止したら、通貨の価値が暴落して、それこそハイパーインフレになってしまう。そこで、インフレを抑制するために、課税が必要となる。

つまり、増税は、インフレ抑止の手段なのだ。逆に言えば、減税は、デフレを阻止する手段である。また、格差是正のための累進所得税、あるいは地球温暖化対策のための炭素税など、政策誘導のためにも課税は有効である。

要するに、課税は、財源確保の手段ではなく、物価調整や資源再配分の手段なのである。日本は、長期のデフレ下で、消費増税を行い、今年、再度、消費増税を予定している。これは、MMTからすれば、デフレを悪化させる愚行でしかない。
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MMTが突きつける不都合な「事実」

V 量的緩和では、貨幣供給量を増やすことはできない。

黒田総裁率いる日本銀行は、2013年から大規模な量的緩和(準備預金の増加)を実施し、貨幣供給量を増やしてデフレを克服しようとしてきたが、結果は、周知のとおり失敗に終わっている。

その理由は、「貸出しが預金(貨幣)を生むのであって、その逆ではない」という信用創造の「事実」を知っていれば、明白である。デフレ下では、企業など借り手に資金需要が乏しい。それゆえ、銀行は貸出しを増やすことができないので、貨幣供給量は増えないのだ。

銀行の貸出しの増加が貨幣供給量を増やし、それに応じて準備預金が増えるのであって、その逆ではない。そうである以上、日銀が量的緩和をやっても、銀行の貸出しは増えるはずがないのだ。

W 財政赤字が民間資金を逼迫させ、国債金利を上昇させるというようなことは、あり得ない。

この理由も、貨幣や信用創造の「事実」を理解していれば、容易に分かる。銀行の貸出しは、預金を元手としない。反対に、貸出しが預金を生む。これは、政府の場合も同じである。すなわち、財政赤字は、それと同額の民間貯蓄(預金)を生むのだ。

もう少し説明すると、こうなる。

政府が赤字財政支出をするにあたって国債を発行し、その国債を銀行が購入する場合、銀行は中央銀行に設けられた準備預金を通じて買う。この準備預金は、中央銀行が供給したものであって、銀行が集めた民間預金ではない。そして、政府が財政支出を行うと、支出額と同額の民間預金が生まれる。つまり、財政赤字の拡大に依って、貨幣供給量は増えるのだ。

したがって、「財政赤字によって資金が逼迫して国債金利が上昇する」などということは、起きようがない。実際、日本では、過去20年にわたり、巨額の政府債務を累積し続ける中で、長期金利は世界最低水準で推移してきたのである(図1)。


https://facta.co.jp/article/201908017.html


以上の@からCは、いずれも主流派経済学者や政策当局者が主張してきたことと、ことごとく正反対である。それゆえ、ほとんどの主流派経済学者や政策当局者がMMTを激しく批判するのも当然であろう。

しかし、MMTには、この上なく強力な味方がいる。

それは「事実」である。

そもそも、MMTがその出発点とする貨幣論は、現代の貨幣に関する否定し得ない「事実」を説明したものに過ぎない。

また、日本は、巨額の政府債務残高を抱えながら財政破綻していない。1997年の消費増税以降、デフレに陥り、2014年の消費増税によってデフレ脱却に失敗している。量的緩和が物価上昇に失敗している。そして巨額の財政赤字にもかかわらず、長期金利は世界最低水準で推移している。いずれも否定し得ない「事実」である。

主流派経済学者や政策当局者がMMTをやっきになって批判している理由も、これで分かるだろう。MMTは、彼らに不都合な「事実」を突き付けたからだ。

再度、強調しておこう。

主流派経済学者たちが「馬鹿げている」「トンデモ理論だ」と揶揄している相手は、「事実」なのである。では、MMT(=「事実」)に基づいて考えた場合、今後の日本経済はどうなるのか、そしてどうすべきかを簡単に論じておこう。
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行うべきは「減税」と「財政支出拡大」

本稿執筆時点では、急速に景気が悪化しているにもかかわらず、政府は財政健全化の旗を降ろしていないどころか、10月に消費増税を予定している。消費増税による景気の悪化に対しては、政府は景気対策を、そして日銀は量的緩和の追加を行う構えである。

しかし、その結果は火を見るより明らかだ。デフレ不況の深刻化である。

そもそも、主流派経済学者も認めるように、財政赤字の拡大はインフレを招く。ならば、財政赤字の縮小がデフレを招くのは当然であろう。また、消費への課税は、間違いなく消費を抑制する。温室効果ガスへの課税(炭素税)が温室効果ガスの排出を抑制するのと同じ道理である。

消費増税による不況を景気対策で克服すると言うが、それは、増税による税収を上回る規模の財政支出を行うしかない。ならば、なぜ、そもそも消費増税をしなければならないのか。社会保障費の財源として必要だと言うが、既に述べたように、課税は財源確保の手段ではない。自国通貨を発行する政府は、そもそも財源を懸念する必要はないのだ。

そして、量的緩和の追加など、何の意味もない。準備預金(マネタリーベース)をいくら増やしたところで、貸出しが増えない限り、貨幣供給量は増えず、デフレから脱却することはできない。それどころか、量的緩和でこれ以上金利を下げてしまったら、銀行の経営を圧迫し、かえってデフレ圧力を引き起こしかねない。

したがって、日本政府が行うべきは、消費増税の中止(できれば減税)、そして財政支出の拡大である。量的緩和についても、それを終了する「出口戦略」を模索すべきだ。要するに、主流派経済学や政策当局の主張とは正反対のことをやるべきなのだ。

これが、MMTから導き出される政策提言である。それでもなお、MMTの主張を受け入れがたいというのであるならば、再び「事実」を示しておこう。図2である。


https://facta.co.jp/article/201908017.html


この図から明らかなように、GDPと財政支出は、ほぼ相関している。1990年代後半以降、財政支出が抑制され続けているが、同時にGDPも成長を止めている。そして、マネタリーベースがいくら増えても、GDPは増えなくなっているのである。

この「事実」を見てもなお、MMTよりも、主流派経済学や政策当局の方が正しいと言えるのだろうか?
https://facta.co.jp/article/201908017.html



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MMTを批判するエリートたちのどうしようもない愚民観
日本のMMTブームの仕掛け人・中野剛志(評論家)が緊急寄稿
中野 剛志 2019年07月29日
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10477

MMTブームは、エリートたちにとって、ちっとも面白くない。


 MMT(現代貨幣理論)を巡る論争は、提唱者の一人ステファニー・ケルトン教授が7月16日に来日したこともあり、ますます盛んになっています。
(参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190725/k10012008501000.html

 MMTの主張を一言で言うと、「自国通貨を発行できる政府はデフォルト(財政破綻)しないので、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよい」というものです。

 なお、ここではMMTの詳しい説明は省きますが、ご関心の方は、下載の記事をご覧ください。
https://facta.co.jp/article/201908017.html

 もっとも、論争が盛んと言っても、政策当局はもちろん、経済学者、アナリスト、ジャーナリストの間では、MMT批判の方が、圧倒的に多い。
 つまり、政策に大きな影響を与えられる立場の人たち(いわゆる「エリート」)は、ほぼ全員、MMT批判者というわけです。

 普通であれば、これでは、MMTが陽の目を見ることは、まずないですね。

 ところが、どうも、いわゆる「エリート」ではない一般の人々の間では、SNSなどを通じて、MMTに対する理解や支持が広がりつつあるように感じます。

 これは、アメリカでも起きた現象らしいです。 

 実に面白いですね。

 いや、エリートたちには、ちっとも面白くない。

 そこで、彼らは、MMTに「ポピュリズム」というレッテルを貼りました。
 MMTなんかを支持する連中は、「財政赤字は心配ない」などといううまい話に乗せられた無知蒙昧な「愚民」だとでも言いたいのでしょう。

 では、なぜMMTはダメなのかと言うと、エリートたちによれば、「いったん、財政赤字の拡大を許したら、インフレが止まらなくなる」からなのだそうです。

 というのも、「国民は、歳出削減や増税を嫌がるので、インフレでも、財政支出の拡大を止められない」からなのだそうです。
(参考:https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10463

 でも、高インフレで自分の生活が大変なのに、なお財政支出の拡大を要求し続ける国民がいるとしたら、これ、相当の「愚民」ですよ。

 ということは、MMTを批判するエリートたちは、「日本の国民は、愚民である」という大前提を置いているということになります。

 乱暴に言えば、「なにぃ、インフレがひどくなる前に、財政赤字を削減するだとぉ?そんなこと、お前ら愚民どもに、できるわけないだろーが!」というわけですね。

 もちろん、日本国民は、そんな「愚民」ではありません。
 その証拠に、戦後日本において、財政赤字の拡大を放置したがために、インフレが止まらなくなったことなどないのです。
(参考:https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10462

 それに、そもそも、インフレが止まらなくなるなどということは、めったに起るものではありません。

 説明しましょう。

 インフレとは、需要(消費と投資)が過剰になり、供給が不足することで発生します。

 他方、インフレ(物価が継続的に上がること)とは、裏を返せば、おカネの価値が継続的に下がるということです。

 おカネの価値が下がっていくなら、個人や企業は、おカネを持っておくよりも使った方がよいと考えるので、貯蓄よりも消費や投資に積極的になります。

■あり得ない成長戦略を20年も採りつづけた平成の日本


 さて、インフレでは、消費や投資が拡大して、需要過剰・供給不足になるので、ますますインフレが進んで止まらなくなるように思われるかもしれません。

 しかし、そう簡単には、そうはならないのです。

 それは、なぜか。

 インフレで拡大するのは、消費だけではありません。「投資」も、です。
 設備「投資」であれば、数年後、生産設備が完成して稼働すれば、供給力が高まります。
 技術開発「投資」であれば、将来、技術革新が起きれば、供給力が高まります。
 教育「投資」もまた、将来、優れた知識や技能をもつ人材を増やすので、やっぱり供給力が高まります。
 要するに、インフレで拡大した「投資」は、今は「需要」を増やしますが、近い将来には「供給」を増やすのです。

 したがって、インフレによって、一時的に需要過剰・供給不足になっても、少し経つと投資の成果が出て、供給力が高まるので、供給不足は解消へと向かい、インフレ圧力が弱まります。

 でも、インフレが続く間は、投資は拡大し、また需要過剰・供給不足になる。

 しかし、いずれ投資の成果が出れば、供給不足は解消される。
 これが繰り返されます。

 すると、インフレはマイルドな水準で維持されつつ、供給力が高まっていくことになります。

 これこそが、経済成長の基本的なメカニズムなのです。

 ちなみに、これと逆のメカニズムが働いているのが、二十年もデフレが続く日本です。つまり、デフレのせいで投資が抑制されているので、供給力は高まらず、経済成長もしないのです。

 積極財政に否定的なエリートたちは、しばしば、「財政出動はカンフル注射で、短期的にしか効かない。必要なのは、潜在成長力を高める成長戦略だ」などと、もっともらしいことを言います。

 しかし、財政赤字を拡大してインフレになると、民間の設備投資や技術開発投資も増えるので、それで「供給力」=「潜在成長力」が高まり、持続的な経済成長が実現するのです。

 デフレ下では、財政出動なしの成長戦略など、あり得ないのです。

 そんなあり得ない成長戦略を、虚しく二十年も捜し続けたのが、平成の日本でした。

 ところで、高インフレの例として、よく挙げられるのが戦争です。

 戦争は、どうして高インフレを起こすのでしょうか。

 まず、戦争になると、軍艦や大砲の需要が、拡大します。

 しかし、軍艦や大砲は、生産設備ではないので、供給力は高まりません。

 平時の投資は、需要を拡大した後に供給力を高めます。これに対し、戦時の投資は、需要を拡大するだけで供給力を高めないのです。

 また、徴兵によって労働者が戦争に駆り出されるので、労働者不足になり、供給力はむしろ下がります。

 加えて、敵の攻撃によって生産設備が破壊され、労働者が犠牲になれば、需要過剰・供給不足は、いっそう深刻になります。

 だから、戦時においては、平時と違って、インフレが高進しやすいのです。

 MMTを批判するエリートたちは、よく、戦時中や終戦直後の高インフレを「歴史の教訓」として持ち出してきます。

 しかし、これは「戦争をすると高インフレになる」という教訓ではあるかもしれませんが、「財政赤字を拡大するとインフレが止まらなくなる」という教訓ではないのです。

 どうも、エリートたちは、MMT支持者を愚民扱いしている割には、経済について、よく分かっていなかったようですね。

 むしろ、MMTについて知った一般の人々の方が、経済をよく理解しているのです。
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/10477



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2019年8月10日
アングル:MMT理論、5つの疑問点
Reuters Staff


[ワシントン 7日 ロイター] - 米国を中心に話題となっている現代貨幣理論(MMT)について、5つの質問に対する答えをまとめた


◎主な考え方は

高名な経済学者のジョン・メイナード・ケインズと同様、MMTの提唱者らは、就労を望む人すべてが職を得るのに必要な需要が不足している時、政府が需要不足を補う上で重要な役割を担えると考えている。

経済学者ハイマン・ミンスキーの考え方も参照している。ミンスキーは金融バブルに関する仕事が最も有名だが、市場システムには完全雇用を達成できない傾向が本来備わっているとの考え方も示している。

MMT提唱者らは、ケインズと同時代の学者アバ・ラーナーの著作からも、貨幣需要に関する独自の見解を導き出している。MMTの考え方では、政府だけが発行し、かつ政府が財およびサービスに支出できる通貨で納税するよう国民に強制できる政府の権限が、貨幣需要の根幹を成す。つまり政府支出は、全景気サイクルを通じて需要を安定させる全国民への雇用を保証するプログラムなど、中核的な政策に利用できるというのがMMTの見解だ。

◎インフレを招かないのか

MMT提唱者らの考えでは、自国通貨を持つ政府には「予算制約」がない。言い換えれば、いつでも通貨を発行できるので資金が不足することはない。MMT理論では財政政策を経済安定化の主要な道具とみなしており、選挙で選ばれて政府の要職に就いた人々が雇用の保証などの目的達成に必要な支出決定を行うことに信頼を置く。

それではインフレを招くからこそ過剰な支出を監視する独立した中央銀行が必要なのだ、との指摘もある。MMT提唱者もインフレのリスクは承知しており、そのリスクが制約となって政治家に誠実な行動をとらせると考えている。MMTの枠組みでは、インフレは実物資源の限界の産物であり、インフレを抑制するために支出、税制、各産業の規制政策を決めるのは議会の役割だと見なされている。

◎雇用はどうなる

MMT提唱者は労働力を主な資源と見なしている。中心的な考え方は、労働力の過少利用が米経済の慢性的な問題であり、米連邦準備理事会(FRB)が近年、物価目標の達成に苦心している主因である、というものだ。提唱者は、就労を望む者全員に政府は雇用を保証すべきだと主張する。景気サイクルの良し悪しに応じ、民間部門の就労人数に対する政府保証職に頼る人数の割合は伸縮し、景気拡張期には民間部門が人材獲得のため賃金を引き上げる必要が生じるため、人々は高賃金につられて民間の職を求める。

◎FRBに残される役割は

MMT理論では、FRBはおおむね無駄な存在だと見なされている。MMTの枠組みでは、議会が参照金利(ゼロの場合もあり得る)を決め、FRBがそれを運用する。しかし全国民に雇用が保証されるため、完全雇用を達成するというFRBの責務は形骸化する上、物価も財政的な手段によって制御されることになる。FRBには金融監督の役割が残るほか、危機時の「最後の貸し手」機能も維持される。

◎裏目に出ないか

MMT理論では、選挙で選ばれた要職者および政府の規制機関に大きな信頼が置かれ、これらが正しく振る舞い、予算運営で卓見に富み、物価も非常に正確に制御できるとされている。批判派は、金融市場と世界的な資金フローが反乱を起こす可能性が見過ごされている、と指摘する。

MMTの枠組みでは、為替は変動相場制となる。米国財政への信頼が失われればドルが下落し、輸入物価の上昇を通じてインフレが起こったり、さらに悪いことに金融危機につながる恐れがある。




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左派が反緊縮でなく「消費増税に賛成」する理由
「道徳」として語られてしまいがちな財政問題 2019/11/19
https://toyokeizai.net/articles/-/311879?display=b

MMTに賛同する左派が「消費増税」に賛成する理由とは?(写真:freeangle/PIXTA)

内外で議論の最先端となっている文献を基点として、これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論する「令和の新教養」シリーズ。

前回に続き、経済評論家でクレディセゾン主任研究員の島倉原氏が監訳をつとめた『MMT現代貨幣理論入門』を基に、同氏と中野剛志(評論家)、佐藤健志(評論家・作家)、施光恒(九州大学大学院教授)、柴山桂太(京都大学大学院准教授)の気鋭の論客4人が、主権、言語、宗教などを切り口に同書をめぐって徹底討議する。


『MMT現代貨幣理論入門』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4492654887/asyuracom-22?p=tk

MMTと左翼

島倉原(以下、島倉):MMTの議論に賛同する学者は、なぜみんな左派なんでしょうね。


佐藤健志(以下、佐藤):保守、ないし右派が新自由主義に走ったことに対抗したいのでしょう。先進自由主義諸国では1970年代後半から「福祉国家路線など続けたら行き詰まる。小さな政府で民活路線だ」という風潮が強くなった。日本でもこれが「新保守(主義)」などと呼ばれ、のちの構造改革路線につながります。そんな状況の下「大きな政府で社会保障と格差是正を」と主張したい左派が、理論的基盤としてMMTを見いだしたのだと思います。

柴山桂太(以下、柴山):確かに、左派が「緊縮財政」に対抗する論理を模索するなかで、MMTが出てきたという印象はありますね。

中野剛志(以下、中野):MMT派経済学者のビル・ミッチェルが「MMTはディスクリプティブ(記述的)な理論で、政治的な右左は関係ない」といっていましたが、実際にMMTを唱えている人たちはこの本の著者のランダル・レイを含め、イデオロギー的には完全にリベラルです。ただナショナリズムを強く出しつつMMTを語ることも可能で、MMTはニュートラルだそうですから、私はそっちのほうで語らせてもらっています(笑)。


施光恒(以下、施):たぶん彼らはそれをされるのが嫌なんでしょうね。日本のMMT支持者の多くも、これを論拠に積極財政を進めたい人たちだと思いますが、日本の場合はなぜか、左翼が必ずしも積極財政ではないですね。


これから世界で起きること、すでに起こっているにもかかわらず日本ではまだ認識が薄いテーマを、気鋭の論客が読み解き、議論します。この連載の記事一覧はこちら

佐藤:その理由や経緯については、私の『平和主義は貧困への道』をご覧ください。

中野:僕は最近、朝日新聞から取材されて、「欧米で反緊縮の流れが出ているのに、なぜ日本では出てこないのか」と聞かれました。

柴山:僕のところにも朝日新聞の記者が取材に来て、「どうして左派は消費税増税に賛成するんでしょう」と聞かれましたよ。

中野:自分の胸に左手を当てて考えなさい、と(笑)。

通貨と主権

施:著者はMMTを論ずるうえで、先進国と途上国では前提が異なるといっていますね。

中野:例えば、国家としての徴税権力が確保できていないと、通貨制度や財政制度はうまく機能しません。また、多くの途上国は変動相場制をとれないので、財政政策も国際収支の制約を受けてしまう。


島倉 原(しまくら はじめ)/経済評論家、株式会社クレディセゾン主任研究員。1974年、愛知県生まれ。1997年、東京大学法学部卒業。株式会社アトリウム担当部長、セゾン投信株式会社取締役などを歴任。経済理論学会および景気循環学会会員。会社勤務の傍ら、積極財政の重要性を訴える経済評論活動を行っている。著書に『積極財政宣言─なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論)、監訳書に『MMT現代貨幣理論入門』(L・ランダル・レイ著、東洋経済新報社)がある(撮影:渡辺智顕)

島倉:現実に途上国の多くが通貨をドルにペッグしているのは、工業化を目指して海外から設備や技術を導入するにも、「ドルと固定レートでの交換を保証します」といわないと取引が難しいからでしょう。

柴山:経済発展の初期段階では、やはり健全財政と固定相場制は不可欠なんですよ。それなしで発展した国はない。

佐藤:戦後日本も、1ドル=360円の固定相場に支えられて成長しましたね。

島倉:MMTによれば、経常赤字を拡張しても大丈夫なのは、発展途上段階を超え、通貨が信用を得られた国だけだということです。

施:私は先進国と途上国の違いを考えたとき、おそらく政府に対する国民の信頼が問題なんじゃないかと思うんです。通貨にしても、徴税の仕組みなど政府が作り出す秩序にしても、それが揺らぎそうになったときに、国民が政府を信頼し、自分たちが国を支えるという姿勢や意欲がないと、安定を担保できないということじゃないでしょうか。


島倉:私もそう思います。逆に政府も通貨の安定や完全雇用をきちんと追求していかないと、国民に支えられなくなってしまうということもありますね。


中野 剛志(なかの たけし)/評論家。1971年、神奈川県生まれ。元・京都大学工学研究科大学院准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。2003年、論文‘Theorising Economic Nationalism’ (Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に山本七平賞奨励賞を受賞した『日本思想史新論』(ちくま新書)、『TPP亡国論』『世界を戦争に導くグローバリズム』(ともに集英社新書)、『国力論』(以文社)、『国力とは何か』(講談社現代新書)、『保守とは何だろうか』(NHK出版新書)、『官僚の反逆』(幻冬舎新書)などがある(撮影:今井 康一)

佐藤:レイがJGP(就業保証プログラム)を主張する根拠も、完全雇用と物価安定の達成でした。

施:政府がそういう政策をとらないと、実は貨幣も不安定になるわけですね。

中野:社会の安定なしでは貨幣の安定もないから、お互い支え合っている面がありますね。

島倉:ケインズ経済学者のアバ・ラーナーなどは、まさにそう言っていますね。政府が通貨と社会を安定させられなかったことによりファシズムが出現し、世の中が荒んだと。日本で言えば、日本円という通貨で運営される経済がそれなりに満足のいくものでないと、「やってられねえ」という話になって、過激な考え方が支持されるようになる。

佐藤:「貨幣」と並ぶMMTのキーワードは「主権」です。政府の役割を小さくしたがる新自由主義とはそこが根本的に違う。本書のサブタイトルも、日本語版では「現代貨幣理論入門」ですが、本来は「A Primer on Macroeconomics for Sovereign Monetary Systems(主権に裏打ちされた貨幣システムのためのマクロ経済学入門)」。政治的主権の行使(経世済民の達成)には積極財政が求められるが、それには経済的主権(通貨発行権)が不可欠だから、2つの主権を切り離してはいけないというのがMMTの真の骨子でしょう。

MMTでは民主主義を警戒している…?

中野:ミッチェルは別の共著で、「主権国家の存在意義を認めないと民主主義も成り立たない」と論じています。ただちょっと不思議なのは、MMTでは政策の重要性を認める一方で、裁量的な政策には総じて否定的なんです。ケインズなどは「社会には不確実性があるから、完全な制度設計などできない」という考えで、裁量は必要なものとみていた。ところがMMTでは就業保証プログラムにしても、政府の介入の余地をできるだけなくすべきだとして、自動安定化装置を一生懸命提案している。

佐藤:左翼性の表れというべきか、妙に設計主義なんだ。

中野:そうなんですよ。どうも民主主義を警戒しているというか、「選挙に決定を任すと、富裕層に有利になる」と心配しているようにみえる。


佐藤:レイも「(公共目的の達成を)よりうまく実行できるのが、民主的な政府であると長らく考えられてきた。しかしながら、どのような形の民主制が採用されるべきかは明白でない」と述べました(363ページ)。遠回しな表現ですが、民主主義に懐疑を呈している。

中野:まあ、選挙でトランプが選ばれているのをみたら、そうもいいたくなるかと(笑)。

MMTは世界政府型グローバリズムを肯定する理念である

佐藤:同時に提起したいのは、MMTは反新自由主義だが、反グローバリズムではない点。例えば世界政府が樹立されて、単一通貨のもと積極財政を行っても、政治的主権と経済的主権が一致している以上、問題はありません。いや、国家間の経済格差が是正しやすいぶん、そのほうが現在の主権国家システムよりも望ましいことになるでしょう。


佐藤 健志(さとう けんじ)/評論家、作家。1966年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業。戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』(1989年)で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞を受賞。『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋、1992年)以来、作劇術の観点から時代や社会を分析する独自の評論活動を展開。主な著書に『僕たちは戦後史を知らない』(祥伝社)、『右の売国、左の亡国』(アスペクト)など。最新刊は『平和主義は貧困への道』(KKベストセラーズ)(写真:佐藤 健志)

『MMT現代貨幣理論入門』の6章では、ユーロの問題が論じられています。ユーロこそは、政治的主権から経済的主権を切り離すと大変だという見本ですが、ナショナリズムの立場を取るのであれば、EU各国に通貨発行権を戻してやる(=既存の政治的主権に合わせて経済的主権を再設定する)のが正しい解決策のはず。

ところがレイは、ユーロ圏を解体する手もあるとは認めつつ、「全ユーロ圏中央財務省」をつくって「より完全な統合」を目指すほうに、明らかに肩入れしている。要は経済的主権の規模に合わせて政治的主権を再設定し、EUを1つの国家にまとめろと主張しているのです(345〜350ページ)。

この発想が、「EUグローバリズム」でなくてなんなのか。MMTはナショナリズムの肯定にも使えますが、世界政府型グローバリズムを肯定する理念でもあるのです。

施:ユーロ問題についての結論部分については、私は「だからやはりEUは難しいのではないか」と解釈しました。佐藤さんもおっしゃるように、素直に考えれば「主権国家の枠に合わせて、通貨発行の主権も決めるべき」ということにならざるをえないと思うんです。

施:国家の主権の枠から外れた通貨を、はたして1つひとつの国の人たちがどこまで支えようとするのか。もし外から攻撃されたとき、多くのヨーロッパ人は自分の国のためには死んでも、EUのためには死なないでしょう。EUが作ったユーロという通貨も、うまくいっている間はよくても、危機には弱い存在だと思います。

その意味で私は通貨主権の議論は、グローバリズムに向かうより、ナショナリスティックに解釈するのが自然ではないかと思うんです。

言語と貨幣の類似性

施:MMTの課税と貨幣のアナロジーは、他の分野にも使えないかなと思ってしまいますね。「租税を自国通貨で賦課するから、貨幣が国民に求められ、流通するようになる」という話でしたが、同じようなことが例えば言語にもいえるんじゃないかと思うんです。


施 光恒(せ てるひさ)/政治学者、九州大学大学院比較社会文化研究院教授。1971年福岡県生まれ。英国シェフィールド大学大学院政治学研究科哲学修士(M.Phil)課程修了。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。著書に『リベラリズムの再生』(慶應義塾大学出版会)、『英語化は愚民化 日本の国力が地に落ちる』 (集英社新書)、『本当に日本人は流されやすいのか』(角川新書)など(写真:施 光恒)

ある言語を公用語として国が定め、その言葉で大学入試や公務員試験や行政サービスを行う。高等教育が受けられ、雇用や行政サービスを享受できるようになるということで、その言語が流通するようになる――と考えると、昨今の日本のように「英語化」を進め、大学入試や公務員の雇用、行政サービスも日本語でなくて英語でもよいという流れが続いていくと、日本語が流通しなくなる可能性もあるのではないか。

柴山:なるほど。ドルの使用を国内で認めるようなものですね。

中野:どの国の国語でも、多様な地域言語を国家によって1つの公式言語に統一するという過程を経ていますね。国民としてのアイデンティティーを確立する目的で、ある意味でのホモジナイゼーション(画一化)に向かう。

佐藤:その典型がインドネシアです。オランダの植民地だったという以外、大してつながりのない1万3000もの島々からできている国なので、海上交易のために使われていた「海峡マレー語」を基礎に、インドネシア語という言語を新たにつくることになった。

中野:公式言語の成立と国民国家の成立、自国貨幣の成立は、どの国でもたぶんかなり軌を一にして行われていると思いますね。フランスもフランス革命以前は、今と同じフランス語をしゃべっている人はあまりいなかったらしいです。

佐藤:日本も同じですよ。江戸時代、幕府の隠密が鹿児島あたりに行くと、城には忍び込めても、肝心の会話が聞き取れなかった。まだ標準語がなかったわけで。


施:地域によって多様だった日本語が共通語として確立したのは、明治政府が意図して統一したからですね。国が公務員を雇うときに習得を課したり、公教育で教えることを義務づけたりすることによって、特定のコンテンツが国内に流通し、国民に共通する文化として支えられ、信頼されるようになってゆく。ある種の共通性、同質性を政策的に醸成していくことで、社会に複雑かつ高度な秩序が生まれ、法律や制度、経済システムが機能するようになる。例えば度量衡もそうでしょう。近代社会とはその意味で、国家、ならびに国家が政策として行うある種の標準化に支えられている存在だといえるのではないでしょうか。

財政と宗教

佐藤:『MMT』では人々が貨幣を保有しようと思う動機として、納税の必要を挙げています。ところが10章を読むと、実は宗教も絡んでいることがわかる。


柴山 桂太(しばやま けいた)/京都大学大学院人間・環境学研究科准教授。専門は経済思想。1974年、東京都生まれ。主な著書にグローバル化の終焉を予見した『静かなる大恐慌』(集英社新書)、エマニュエル・トッドらとの共著『グローバリズムが世界を滅ぼす』(文春新書)など多数(撮影:佐藤 雄治)

負債を返済することを「償還」といいますが、これにあたる英語は「redemption」。罪を贖うという意味の言葉です。返済が「罪滅ぼし」なら、負債を抱えるのは罪のはずでしょう。しかも債務によって預金が生まれるのは「(信用)創造」。英語なら「(money) creation」ですが、「ザ・クリエイション」と言ったら天地創造です。

レイは「redemption」について、「貨幣に関しても宗教に関しても重要なこと」(270ページ)とまで書きました。ならば貸し借りのない状態が「エデンの園」にあたり、負債発生による貨幣創造が「失楽園」にあたる。その貨幣を、返済や納税によって償還させることで罪が許される。まさしく「帳消しだ。ハレルヤ!」(502ページ)です。

施:私もこの本にはキリスト教的な、神学的文脈を感じました。

柴山:デヴィッド・グレーバーも『負債論』で、貨幣の起源には神への負債という宗教的な物語がある、と指摘していますね。古代オリエントでは納税の代わりに生け贄を差し出したりしていた。そうすると、納税は神への負債を清算する行為だということになる。そうした宗教的な発想は、今も無意識的に続いているのかもしれません。

佐藤:「緊縮財政」も英語では「austerity」。なんと「禁欲」という意味です。なるほど、聖書の定める七つの大罪には「金銭欲(強欲)」が含まれますからね。

柴山:自らを律する、ということなんでしょうね。近代経済学の父アダム・スミスも緊縮論者ですが、その背景にもどこかストイックなものを感じます。


佐藤:反緊縮財政は「anti-austerity」ですが、「反・禁欲」となると、欲望のままにという感じで背徳の匂いがする。そもそも「赤字」といいますけど、赤は扇情的な色です。


『MMTとは何か』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。デザインは変更される可能性があります)

中野:「財政規律」といったら気分がよくなるとかね。財政出動派の先生たちもそのことでは困っているようです。「借金は悪」という頭があるから、「国債を発行しろ」というと、みんな嫌な顔で反応する。

佐藤:「借りることは罪である」という概念がなかったら、返済が「贖罪」になるはずがない。金融危機に陥った国は、韓国であれギリシャであれ、IMFによって緊縮財政を強いられますが、あれも禁欲で罪を贖えということでは。占領中に成立したわが国の財政法が、国債の発行を原則禁止しているのも、これと無縁ではないでしょう。

中野:そうか、均衡財政は宗教だったんだ。確かにこの20年あるいは30年、まったく結果が出ていない中で、今も「緊縮、緊縮」といい続けているのは、理屈ではなくて何らかの信仰があったからなんでしょうね。

日本の財政の流れを変えるには…

島倉:何がなんでもプライマリーバランスの黒字化優先という日本の財政の流れを変えるにも、理屈だけでは無理なのかもしれませんね。

柴山:財政問題は、いつも道徳問題として語られますから。

中野:MMTを持ち出すまでもなく、主流派経済学の中でも、IMFのチーフエコノミストだったオリヴィエ・ブランチャードやノーベル経済学賞を取ったポール・クルーグマン、あるいはローレンス・サマーズらは日本に対して「消費増税はしてはいけない」とか、「財政出動すべきだ」と言っているんですよ。でも、それも聞こうとしない。

柴山:彼らも長期的には均衡財政の考えに立つので、MMTよりは受け入れやすいと思うのですが、世論が「財政健全化」で固まってしまった日本ではそれも難しい。

中野:おそらくずっと消費増税を唱えてきた人々にとっては、景気が悪化しているからといって、今さらそれを引っ込めるのは、政治的敗北だということなんでしょう。そこはマスコミも財界人も経済学者も皆同じ。失敗が見えてきたにもかかわらず意見を変えない理由は、自分の政治生命を守るためなんですよ。

佐藤:負けが見えているのに対米開戦したのと同じメカニズムですね。

中野:そのとおり。金解禁と緊縮財政をやって日本を恐慌にたたき込んだ井上準之助も、誰の目にも失敗が見えている中でも、死ぬまで「私が間違っていました」とは言わなかったそうです。それを言ったら、井上の政治的敗北だから。

柴山:思い返せばその当時、『東洋経済新報』主筆だった石橋湛山は反緊縮の論陣を張っていたわけで、いま東洋経済が『MMT現代貨幣理論入門』を刊行するのは、会社の伝統に忠実な選択といえるのかもしれません(笑)。

中野:MMTは実は、「モダン・マネタリー・湛山」の略だったのかも(笑)。

3. 中川隆[-13103] koaQ7Jey 2020年4月20日 14:13:00 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[19] 報告
2019/03/18
三橋TVは、視聴者に『経済』を学んでいただくためのものです。
今回は特別ゲスト山本太郎参議院議員をお招きした対談をお届けします。

【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=ynVn-3tLhj4&feature=youtu.be


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「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と経済成長ー 
平成30年3月7日 講師: 中野剛志 - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=PIVG7XDGrH4

第2回「日本の未来を考える勉強会」ー貨幣と租税ー 
平成29年4月27日 講師:中野剛志 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Zc9-Y5jiIO4
 

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【三橋貴明×山本太郎】Part2
「日銀破綻論」の大嘘〜御用学者が増税したい本当の理由、そして財務省の裏工作 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=FP3RyPpewvs

【三橋貴明×山本太郎】Part3
日本人を貧困に突き落とす東京大学名誉教授〇〇〇 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=9rF05-miTV8

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【経済討論】日本経済、滅びの道をひた走り?![桜H31-4-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sobuc4VM2pI


◆経済討論−日本経済、滅びの道をひた走り?!

パネリスト:
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 石井孝明(ジャーナリスト)
 高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 松田学(松田政策研究所代表・元衆議院議員)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総



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財政・国債の「天動説」を撲滅せよ 2019-04-08
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12452748337.html

財政破綻論者の特徴の一つは、自分でも理解せずに「それっぽい言葉」を使うという点になります。


 例えば、
「このままでは国の借金が膨らんで、国債のファイナンスができなくなって破綻する!」
 とか。


 何じゃ、ファイナンスって? 言っている本人は、理解しているんかいな?


 銀行預金は、しつこいですが借り手が借りる「瞬間」に発行されるおカネです。つまりは、銀行が「借り手に貸すおカネがない」ということは、地球上に住んでいる限りあり得ません。何しろ、書くだけ。


 逆に言えば、借り手が「借りるおカネがない」ということもあり得ないのです。無論、借り手の「与信」により、貸してくれないことはありますが。


 国債の場合は、日本政府が借りているのは日銀当座預金です。銀行から日銀当座預金を借り、政府小切手で支出。政府小切手は銀行に持ち込まれ、日銀当座預金で清算される。


 つまりは、最終的に銀行は「政府に貸した分の日銀当座預金」を資産として保有することになる。結果、政府が「国債を発行しようとした際に、借りるおカネがない」ということは起こりえないのです。

【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み(中央銀行の国債直接引受のケース)】

http://mtdata.jp/data_63.html#hikiuke


 上図の細かいプロセスについては、【【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実】のこの辺で解説しております。
https://youtu.be/ynVn-3tLhj4?t=669

 というわけで、自国通貨建て国債の場合、
「政府が国債を発行しようとした際に、銀行にカネがなくてファイナンスできない(で、いいの?)」
 といった論調は、
「銀行からカネを借りようとしたが、銀行のカネがなくて借りれない」
 と同じように天動説です。地球の周りを太陽を初めとする天体が回っていると考えるほどにバカげています。

 とはいえ、現実世界にはその種の天動説信者ばかり。典型的な「天動説」の財政論の記事。

『政府債務は家計貯蓄を超えるか?(大機小機)
 財政について「政府債務が日本の家計貯蓄を超えると財政は危ない」という議論がよくある。家計の金融資産すなわち貯蓄はいま約1800兆円。一方、国と地方の長期債務残高は1100兆円余りだから、今は政府債務を国内の貯蓄で賄えている。しかし、いずれ債務残高が貯蓄を超えると、大変なことになる。
 本当に政府債務は貯蓄を超えるだろうか。
 今年、政府が国民から100兆円を借金していると仮定しよう。国民は貯蓄として政府の借用証書すなわち国債を額面100兆円分、保有している。1年たって金利1%が増えると、政府の借金は101兆円になるが、国民の貯蓄も101兆円に増えている。政府が借り換えを続けるとしよう。2年後にはさらに金利が増えて、政府の借金は102兆円強、国民の貯蓄も同額の102兆円強となる。
 この計算は何年たっても同じなので、最初の年に国債残高と国民の貯蓄が同額だったら、何年たっても「国民の貯蓄=国債残高」が成り立つ。
 この等式が示すのは、国債が「金利分」だけ増えるのであれば、国債残高が国民の貯蓄を上回ることはない、ということだ。国民が政府の借り換えに応じる限り、国債が金利分増えるだけなら、「国債が国民の貯蓄総額を超える」との心配は不要である。
 ただし、これには前提条件がある。国民が貯蓄を大きく取り崩さないこと、また、国民が(ほぼすべての)国債を保有していることだ。
 基礎的財政収支の赤字があると話は違ってくる。赤字があると借り換えでは足りず、国債を新規発行して新たな資金を調達する必要がある。新規の国債発行額が家計貯蓄の増加分よりも大きければ、国債残高はいずれ貯蓄を超える。従って、基礎的財政収支をゼロまたは黒字にすることが、国債が貯蓄を超えないための絶対条件といえる。
 国債残高を減らすには極端な増税と歳出カットが必要だ。だが、基礎的財政収支を黒字にするだけなら、消費税を10%まで上げ、もう一段の増税と歳出削減を進めるだけで何とかなりそうである。
 債務残高の絶対水準を落とすというハードターゲットを狙うのではなく、債務の増加を貯蓄の増加の範囲内に抑えるという「スピード調整」が本質的に重要なのかもしれない。』

 本ブログや中野剛志先生の本を読まれているかた、あるいは「MMT(現代貨幣理論)」を理解されている方は、日経新聞の上記「大機小機」を読み、
「き、記者って・・・・ここまでバカなのか・・・・・」
 と、愕然とされたと思います。


 はい、ここまでバカなのです。


 上記を書いた記者も、

「政府は家計の貯蓄(銀行預金のこと?)からおカネを借りている」
 と、真逆の理解をしています。


 真実は、
「政府が国債を発行すると、家計の銀行預金が増える」
 であるにも関わらず。


 まあ、財務省の飼い犬としてPB(基礎的財政収支)の黒字化を正当化したいためのプロパガンダ記事といわれればそれまでなのですが、見事なまでに「おカネのプール論」になっているのが分かると思います。


 おカネの種類について何一つ理解しておらず、国債発行や政府支出のプロセスも知らない。


 この手の無知な連中が「それっぽい言葉」を使うだけで、おカネに関して無知な一般国民は見事に騙される。


 知識を身につけましょう。知識を広げましょう。そして、財政・国債に関する「天動説」を撲滅するのです。


 迂遠に思えるかも知れませんが、「正しい知識」の拡散こそが、最も近道なのでございますよ。


 というわけで、「正しい知識」に基づき政策をピボット(転換)するためのプロジェクト、「令和の政策ピボット」を広めて下さいませ。

 https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12452748337.html 

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MMTへの藁人形プロパガンダと闘う 2019-04-09
  

 相変わらず、MMTに対する「胡散臭いブードゥー経済理論」的な攻撃が続いています。


 何しろ、「中身」で議論をすると、先方には勝ち目がありません。


 例えば、銀行預金一つとっても、

「銀行が何らかの借用証書と引き換えに、自らの負債としての銀行預金というおカネを【書くこと】で発行している」

 というのが真実なのでございます。上記を覆すことは、どうにもこうにも不可能です。


 ちなみに、未だに理解していない人がいますが、現金紙幣は日銀の借用証書です。銀行に「現金紙幣を預ける」とは、日銀の借用証書と引き換えに、銀行預金というおカネを【書くこと】で発行してもらうことです。


 現金紙幣を預けた際に、「現金紙幣が銀行預金に変わった」のではありません。現金紙幣は、きちんと銀行の金庫(?)に存在し続けます。


 銀行は現金紙幣という借用証書を受け取り、代わりに銀行預金という「データ」のおカネを発行したのです。


 上記が単なる「事実」である以上、反MMT派としては「理論の否定」はできません。とにかく、藁人形を作り、レッテルを貼り、印象操作でMMTの主張を貶める以外に手がないのです。

『政府は借金し放題?=「日本が見本」、米で論争

 政府はいくらでも借金を増やせる−。米国で経済学の常識を覆す「現代金融理論」(MMT)をめぐる論争が注目を集めている。擁護派は、巨額の財政赤字を抱えながらも低金利が続く「日本が見本」と主張。これに対し、財政赤字が膨らめば金利上昇・景気悪化を招くとの定説を支持する主流派学者は「魔法」とこき下ろしている。

 MMTは、自国の通貨を持つ国はいくらでも通貨発行ができると説く。政府が国債の返済意思がある限り、債務が増えてもデフォルト(債務不履行)は起こらないという。

 大規模な財政支出を伴う環境政策「グリーン・ニューディール」を提唱する野党民主党の新星アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員がMMTを支持。大統領選が来年に迫る中、社会保障拡充案を裏付ける財政論として関心を集める。

 MMTを唱える、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は、無秩序な拡張財政で需要が膨れ、インフレが加速する事態を避けられれば財政は破綻しないと強調。「国内総生産(GDP)の240%の債務を抱える日本の事例が重要な見本」と、理論に自信を示している。

 これに対し、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン米プリンストン大名誉教授は「理解不能」と批判。ローレンス・サマーズ元財務長官(ハーバード大教授)も「非主流派学者」による「魔法」と切り捨てる。日銀の黒田東彦総裁は「極端な主張」と距離を置いている。(後略)』

 MMTにせよ、わたくし共にせよ、「政府はいくらでも借金を増やせる」とは主張していません。「全ての経済(及び政府)は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある」は、MMTの基本の一つです。


 国民経済の供給能力が足り、インフレ率が向上しない限り、政府は自国通貨建ての国債を発行できるし、中央銀行は国債を買い取って構わないという、単なる事実を主張しているに過ぎません。


 インフレにもならず、当然、金利も上がらず、国民が働き、モノやサービスが生産され、生産資産が蓄積され、経済力が強化され、国民が豊かになり、
「一体、何が問題なんだ!?」
 という話なのですが、既存の経済学(おカネのプール論)からしてみれば、許されざる話というわけでございます。

 わたくしが過去十年以上、作られ、釘を打ち付けられていた、
「三橋は政府が無限に国債を発行できると言っている」
 という藁人形プロパガンダが、現在はMMTで展開されているわけでございます。

 何しろ、

「MMTによると〜、政府は借金し放題だってさ〜(笑)」

 といった見出しの記事ばかりが流されているわけですから、国民側からしみてれば胡散臭さが半端ありません。経済について理解しておらず、自らの身に「置き換えて」考えるしかな無知な大衆は、

「借金は返さなければいけないに決まってるじゃん! 借金し放題って、バカじゃねえのwwww」

 といった「間違った認識」により自己満足感を得て、むしろMMT派やわたくし共を攻撃して悦にふける。まさに、地動説と天動説の争いです。


 しつこいほど繰り返していますが、経済力とはモノやサービスを生産する力です。経済力が許す限り、政府は国債や通貨を発行し、国民の所得や生産資産になるように支出して構わないのです。


 何しろ、供給能力(経済力)が足りている以上、インフレにはなりません。「何が問題なの?」としか言いようがありません。


 MMTを巡る「国債発行の限界」の議論は、MMTの胡散臭さを払拭し、さらには「経済力とは何なのか?」という日本国民が今、最も知るべき議論に繋がる。だからこそ、

「国債発行や通貨発行の限界は、モノやサービスを生産する力。つまりは、経済力そのものである」

 に加え、経済力は政府や民間の投資により強化することができるという「経済の真実」について理解を広める必要があるのです。(怖い話ですが、上記を最も理解してそうなのが、中国共産党です)


 特に、MMTへの藁人形プロパガンダに対し、「経済力」「供給能力」「インフレ率」といったキーワードで、いちいち反論していく必要があります。逆に言えば、先方はこの程度のくだらない藁人形プロパガンダにすがるしか、戦いようがないという話でもあります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12453005846.html



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ステファニー・ケルトン 2019-04-14

 さて、なぜわたくしが毎日のようにMMT(現代貨幣理論)を取り上げるのかと言えば、実は理由は大きく二つありまして、

1.政府に財政的な予算制約がない(自国通貨建て国債の債務不履行はあり得ない)ことを明らかにし、緊縮財政の打破、財務省改革につなげる
 に加え、

2.もっとも、国民経済の供給能力(=インフレ率)が国債発行の上限になる。故に、生産性向上の投資を継続しなければならないという、国民経済の本質を知らしめる

 という、二つの決定的に重要な「事実」を広めるためです。


 いや、お前は十年前から↑を言ってきたじゃないか。
「国債発行の上限はインフレ率」
「経済力とはカネの話ではなく、モノやサービスを生産する力」
 と、すでに何百回も聞かされたので、耳タコだ。


 との感想を持たれた方は多いでしょうが、十年「正しいこと」を言い続けて、これ(日本の現状)ですよ。


 もっとも、日本人が正論を言っても聞き入れない「日本国」も、アメリカから黒船が到来すると態度を改める。これが現実でございます故、わたくし(というか、わたくし共)はMMTを大いに活用させてもらうことにしたのでございますよ。


 まずは、自国通貨建て国債の「財政破綻」などあり得ないことを理解していく。
「だけど、政府が無限に国債を発行して、借金を増やしていいはずがない!!!」

 分かってます、分かってます。インフレ率、国民経済の供給能力が「上限」になるんですよ。だからこそ、国民経済の供給能力、モノやサービスを生産する力を強化しましょうよ。


 そのためには、公共投資、設備投資、技術投資、人材投資と、四つの生産性向上の投資を継続するしかないんです。他に方法はないんですよ。


 国民経済の供給能力が高まれば、国債発行の上限も引き上げられる。これが、経済成長なんですよ。


 という、国民経済の本質を、理解する必要があるのです。


 何しろ、恐ろしいことに、現在、上記の「国民経済の本質」を最も理解していそうなのが「中国共産党」というヤバイ状況なのでございます。

 ところで、日本経済新聞がMMT派経済学者のステファニー・ケルトン教授のインタビューを載せていました。しかも、不思議なことに「現代貨幣理論」と正しく書いています(現代「金融」理論ではなく)。

『提唱者・ケルトン氏に聞く インフレを恐れるな/雇用創出で赤字縮小 

 現代貨幣理論(MMT)の提唱者であるニューヨーク州立大教授のステファニー・ケルトン氏は日本経済新聞の取材に「日本が『失われた20年』といわれるのはインフレを極端に恐れたからだ」と述べ、日本がデフレ脱却を確実にするには財政支出の拡大が必要との認識を示した。(後略)』

 後略部で、ケルトン教授はMMTの目的について、
「完全雇用と物価安定を達成するには金融政策ではなく、財政政策への依存度を高める必要がある。インフラや教育、研究開発に投資すれば国の長期的な潜在成長率が高まるのは、経済学の基本論理だ」
 と、語っています。「インフラや教育、研究開発に投資」つまりは「公共投資」「人材投資」「技術投資」により、国民経済の供給能力を高める(=潜在成長率を高める)。わたくしと同じことを言っているわけです。


 ちなみに、勘違いしている人が多いですが、日本は「潜在成長率」が低いから経済成長しないわけではありません。実際は経済成長をしていないからこそ、潜在成長率が低いのです。何しろ、潜在成長率とは「そういう統計」」なのです。詳しくは、「週刊三橋貴明 Vol516 潜在成長率の真相」で解説しています。興味がある方は登録して下さいませ。


 ケルトン教授は、記者の「はいぱ〜いんふれ」懸念(本当にそう言っている)に対し、
「財政拡張策にインフレ防止条項を入れておけばいい。例えば5年間のインフラ投資計画を通したとしても、2年目にインフレの兆しが出れば支出を取りやめる。MMTは財政で物価をコントロールする」
 と、財政政策によりインフレ率を制御できると語っています。


 はい。消費税増税という「財政政策」により、物価上昇率を叩き落された日本人は、よ〜く理解しています。理解していないのは、目の前の現実ですら目にすることができない愚者共だけです。その愚者共の声がやたらでかいのが問題なのですが。


 また、ケルトン教授は日本について、
「日本政府と日銀はMMTを長年実証してきた。日銀は日本国債の40%を買い上げ、金融政策で長期金利も抑制している。政府債務が問題なら、実体経済に問題が出るはずだ」
 と語っています。はい、仰る通りでございますね。政府債務が本当に問題ならば、国債金利の急騰かインフレ率急騰のいずれかが「起きなければならない」のです。というか、経済学者は、そう主張しているわけです。


 現実は? 現実が見える? 経済学者と自称する寄生虫の皆さん。いい加減、おカネのプールはないという現実を知ろうよ。


 最後に、ケルトン教授は、
「日本が減税や歳出増で財政を拡張しても、現時点で供給不足によるインフレに近づいているとは思っていない。そもそもインフレは問題なのか。仮に3〜4%のインフレになるリスクがあっても、財政支出で長期停滞から脱却した方がいいのではないか。日本は『失われた20年』といわれるが、それはインフレを極端に恐れたからだ」
 と、語っています。


 う〜む、格好いい。というか、正しいことを言っているに過ぎない女性が、これほど眩しく見えるとは・・・。それだけ、日本の情報が歪んでいるという話なのですが。


 ちなみに、日本にももちろん「まともな経済学者」は(ごく少数ですが)いらっしゃいます。数少ない、まともな経済学者である青木先生が解説したMMT動画は、こちらです。


京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会:
「 MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」【講師:青木泰樹】 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=7fH3IXUoJ6M&feature=youtu.be

 外圧に屈し、国内を変えるというのは、極めて情けない話ですが、変わらないよりもマシです。MMTという黒船を利用し、日本を亡国に追い込む財政破綻論を叩き潰しましょう。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/




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米中覇権戦争 残酷な未来透視図(後編)2019-04-20
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12455551982.html


 本日は三橋経済塾第八期第四回講義開催日です。ゲスト講師は 佐藤健志先生。
 わたくしのテーマは、もちろんMMT。


 MMTという「理論」の根幹は、単に現代の「貨幣」について説明しただけです。だからこそ、現代貨幣理論なのでございます。


 この現代貨幣理論たるMMTが、なぜか「現代金融理論」と訳されていることは、ご存知の通り。


 不可解なことはさらにあり、国債のMonetizationが、なぜか「財政ファイナンス」。さらには、Money creationが、なぜか「信用創造」。


 わたくしが「信用創造」という言葉を嫌うのは、抽象的だからですが、元々の言葉は「貨幣創出」という誤解の生まれようがない言葉だったのです。それがなぜか、「信用」創造。


 信用創造にせよ、財政ファイナンスにせよ、現代金融理論にせよ、「貨幣」に関する具体的なロジックを「言葉」の威力を用いて抽象化している。誰がやったのかは分かりませんが、見事なものです。


 日本国民は「翻訳」により、貨幣の本質について思考を巡らせないようコントロールされているのです。


 というわけで、いわゆる信用創造とは、ずばり貨幣創出です。何しろ、元の言葉がMoney creationなのですから、他に訳しようがありません。


 それにも関わらず、日本の財務省や政治家、御用学者、経済人などは、「貨幣の本質」を理解せずに、財政破綻論を煽り、継続しようとしています。


『財務省が反論資料 財政赤字楽観論「MMT」

 米国で注目されるMMT(現代金融理論)など財政規律の軽視につながる議論をめぐり、財務省は17日、これに反対するデータを集めた資料を財政制度等審議会の分科会に出した。来年度予算へ向けた議論をスタートするにあたって、国の借金が膨らむことへの楽観論に反論し、財政健全化への理解を広げたい考えだ。

 資料には、国の歳出や歳入、債務残高といった基礎データのほか、財政再建を不要と見なす議論を牽制(けんせい)するデータを載せた。2年前の年度初めの資料の5倍近い62ページを費やした。

 MMTは一定の条件下で財政赤字を問題視しない考え方だ。提唱する米経済学者は「日本の債務は全く過大ではない」と主張する。財政審の場で話し合うのは初めての新理論に、資料では4ページを割いて、MMTに批判的な世界の著名な経済学者ら17人の意見などを列挙し反対する考えを示した。

 ほかにも「日本国債は大半が国内で保有されるため財政破綻(はたん)しない」、「インフレで財政の改善が期待できる」などの意見に対し、国債の海外投資家の保有割合が高まっているデータや、インフレになれば歳出も増えて財政は悪化するなどの見解を盛り込んだ。

 分科会長代理の増田寛也元総務相は終了後の会見で、会合でMMTに理解を示す意見は一切出なかったと紹介した。』
 
 MMTを「理解できない」ということは、貨幣の仕組みを全く理解していない、あるいは「理解する気がない」という話になります。


 しかも、MMTの藁人形を作るストローマン・プロパガンダ、権威を利用する権威プロパガンダ(権威に訴える論証)と、「貨幣創出=信用創造」については無視し、とにかく全否定。


 まあ、予想通りではあります。財務省の稚拙な反論資料については、明日以降、取り上げます。

 さて、MMTから理解できることは、「国家」あるいは「国民経済」にとって重要なのはおカネではない。MMTの言う「生産と需要について実物的あるいは環境的な限界」つまりは、供給能力の方が「無限に重要」なのでございます。 

 フリードリヒ・リストが、
「富を作り出す力は、富そのものよりも無限に重要である」
 と、説明した生産諸力(供給能力=経済力)こそが、国家の運命を決定するほどに決定的に重要です。


 つまりは、国家は「おカネ」など気にせず、国家全体のモノやサービスを生産する力を高めるべく、投資をするべきなのです。あるいは、民間の投資を支援する。国家全体で生産性向上を目指す。これが、正解です。


 繰り返しますが、おカネなど問題ではないのです。


 この現実を理解し、国家全体で供給能力を高めるべく邁進している国が存在しているからこそ、わたくしは強烈な危機感を抱いているのです。

【米中覇権戦争 残酷な未来透視図 】 


 易姓革命を繰り返す中華帝国の華夷秩序 と、党が最高権力となるナチス、さらにはトロツキーの世界革命論など、悪しき思想をミックスさせた「キメラの帝国」たる中華人民共和国が、「生産性向上」によりアメリカの覇権に挑戦しつつある。しかも、あちらは共産党独裁国家ですから、党の意思に基づきリソースを投じることができる。


 それに対し、日本国はメディア、野党が存在し、与党が「好き勝手にリソースを投じる」などできるはずもなく、デフレで民間の投資意欲は乏しく、さらには狂った貨幣観に基づく財政破綻論が蔓延している。


 だからと言って、このまま日本国が「中華人民共和国倭族自治区」に落ちぶれる未来を認めるわけにはいきません。


 経済成長が必要です。経済成長しなければならないのです。


 そのためには、デフレ脱却が必要で、デフレ脱却のためには財政拡大が必要。


 そして、財政拡大のためには間違った財政破綻論を打ち砕かなければならない。MMTだろうが、アメリカ様だろうが、利用できるものは何でも利用しますよ。


 我々の子孫が「倭族自治区」で虐げられて暮らすといった未来を防ぐ責任は、今を生きる現代の日本国民にあるのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12455551982.html

MMTに対する財務省の反論資料への反論 2019-04-21
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12455775935.html

『財務省が反論資料 財政赤字楽観論「MMT」

 米国で注目されるMMT(現代金融理論)など財政規律の軽視につながる議論をめぐり、財務省は17日、これに反対するデータを集めた資料を財政制度等審議会の分科会に出した。来年度予算へ向けた議論をスタートするにあたって、国の借金が膨らむことへの楽観論に反論し、財政健全化への理解を広げたい考えだ。(後略)』

 さて、財務省のMMTに対する反論資料ですが、実は財務省は「反論」していません。単に、MMTを批判する学者などの意見を羅列しているだけです。

【資料1 わが国財政の現状等について(PDF:4486KB)】
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417.html

 長〜い資料なのですが、MMTに関する財務省の記述は以下のみ。

『MMT(ModernMonetaryTheory)について

●MMT(ModernMonetaryTheory)は、1990年代にウォーレン・モスラー(米投資家)、ビル・ミッチェル(豪ニューカッスル大学)、 ランダル・レイ(米ミズーリ大学-カンサスシティ)、ステファニー・ケルトン(米ニューヨーク州立大学、サンダース上院議員の顧 問)等によって提唱された経済運営の手法についての考え方。

●米国では、2018年11月にニューヨーク州から連邦議会下院選に立候補し当選したアレクサンドリア・オカシオ-コルテス氏が MMTを支持したこと、また、MMTの主要な発信者であるケルトン教授が2020年の大統領選に出馬を表明している民主党サン ダース議員の2016年大統領選時の顧問を務めていたことなどから、注目が集まっている。

(参考)米国におけるMMT支持者は、国債発行で確保した財源を用いて、完全雇用を達成・維持するため、「雇用保障プログ ラム」(JobGuaranteeProgram)(政府が基金を作り、失業者を雇用してその業務を担わせる)を実施すべきとの立場。

●「MMT(ModernMonetaryTheory)というのは、近米国で色々議論されているということは承知していますが、必ずしも整合 的に体系化された理論ではなくて、色々な学者がそれに類した主張をされているということだと思います。そのうえで、それら の方が言っておられる基本的な考え方というのは、自国通貨建て政府債務はデフォルトしないため、財政政策は、財政赤字 や債務残高などを考慮せずに、景気安定化に専念すべきだ、ということのようです。」(2019年3月15日黒田日銀総裁会見)』

 その後、4ページにわたって延々と「権威」によるMMT否定が続きます。権威プロパガンダですが、財務省自身は何の論評もしていないというのが注目点です。


 何しろ、MMTは単なる「事実」であるため、財務省が黒田総裁の「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」を否定してしまうと嘘つきになってしまいます。というわけで、愚かな「権威」の連中に批判させるわけです。

 日銀の国債保有について、財務省は、

『○政府と日本銀行を統合して考えれば政府の負債(国債)と日本銀行が保有する資産(国債)が相殺されるとの指摘があるが、 仮に政府と日本銀行のB/Sを統合したとしても、日銀の保有する国債の額だけ政府の債務が見かけ上減少するだけであり、 当座預金等の日銀の債務が負債に計上されるため、負債超過の状態は変わらない。
○なお、日銀の当座預金には現在も利払(平成29年度:1,836億円)が発生しており、付利の状況は金融政策の判断次第。政府 と日本銀行を統合してみた場合、長期固定金利の国債が当座預金に交換されるため、むしろ債務の満期限の短縮化(金利変 動に対する脆弱化)をもたらしているとの指摘もある。』

 と、書いています。


『当座預金等の日銀の債務が負債に計上されるため、負債超過の状態は変わらない。』

 とありますが、そんなことは当たり前です。発行銀行券や日銀当座預金は「返済が必要な負債なのか?」という点がポイントなのです。散々に国債について、

「将来世代へのツケ! クニノシャッキンデ破綻しゅる〜」

 と煽っておいて、日銀の国債保有が増え、統合政府としての負債が「マネタリーベース」に変わったことは認めているわけですから、今後は、
「日銀当座預金や現金紙幣という借金の返済ができなくなって破綻する!」
 と、煽らなければ筋が通りません。早く「発行銀行券(現金紙幣)という借金の返済ができなくなって破綻する!」とやってください、財政破綻論者の皆さん。


 また、現在は付利の日銀当座預金は増えていませんが、日銀は毎年1836億円の利払いをしています。つまりは、日銀の純資産が食いつぶされるのは、150年後というわけですね,、藤巻センセ。


 さらに、日銀が債務超過になったところで、政府がおカネを発行し、資金投入したら「はい、おしまい」。


 この辺りは、専用の動画を用意していますので、そちらをご覧ください。

三橋TV第60回【日銀破綻論者に本動画を見せて下さい】
https://www.youtube.com/watch?v=KEVEBkxZaI0&feature=youtu.be


 さて、2018年末時点の日本国債・財投債所有者別内訳をグラフ化しました。
 
【2018年末時点 日本国債・財投債所有者別内訳(総計は1013兆円)】

http://mtdata.jp/data_63.html#uchiwake


 すでに、日本国債・財投債の46%は日本銀行が所有しており、返済や利払いの必要はありません。(連結決算で相殺)


 また、国債の「海外保有」について、財務省は、

『○内国債は、国民が貸し手であるため、将来世代への負担の転嫁は生じないとの指摘があるが、グローバル化が進んだ現 代の国債市場では、妥当する余地が限られていく議論。
○実際、グローバル化が進展し、国際的な金融取引が増加する中、海外投資家の国債保有割合は上昇している。
○海外投資家は、売買を積極的に行うことから、国債流通市場でのプレゼンスは高まっており、海外投資家からの財政への 信認を確保する必要性が一層増している。』

 と、適当なことを書いていますが、「国民が貸し手」はどうでもいい話で、ポイントは「自国通貨建て国債か否か」だけです。


 ちなみに、海外投資家の日本国債保有が増えている理由は、各国の中央銀行の外貨準備高において「日本円建て」が増えているためです。日本円を外貨準備で持つ場合、日本国債以外の保有手段はほぼありません。


 しかも、いずれにせよ「日本円建て」であるため、海外投資家が日本国債を売るのが問題だというならば、「日銀が買えばいいじゃん」でオシマイです。


 そもそも、長期金利がマイナスの状況で、「海外投資家からの財政への信認」と言っている時点で「頭がおかしい」のです。日本国債は信用(この単語は嫌いだけど)があり過ぎる。だからこそ、国債価格が高すぎ、金利がマイナスになっているのでございます。


 それにも関わらず、財務省は日本国債の「財政破綻」を煽りまくる。MMTについては、反論せず(できないので)、権威プロパガンダを撒き散らす。改めて、財務省とは最低の役所です。


 それはともかく、財務省はMMTに正面切って「反論」はできないことが、本資料から分かります。というか、「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」という黒田総裁の発言を引き合いに出し、日本政府の「財政破綻」があり得ないことを暗に認めてしまっています。


 MMTという黒船の襲来を機に、日本の財政破綻論を潰しましょう。
「財務省ですら自国通貨建て政府債務はデフォルトしないことを認めた」
 という事実を大いに活用するのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12455775935.html

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令和ピボットへの道 その1 2019-04-23

 まずは、本日のMMT。


『財務省がMMTに異例の反論 財政拡大論の広がり警戒

 米国で注目されるMMT(現代金融理論)など財政規律の軽視につながる議論をめぐり、財務省が反対するデータを集めた資料を財政制度等審議会の分科会に出した。資料は反論データに異例の分量を割いている。来年度予算へ向けた議論をスタートするにあたって、国の借金が膨らむことへの楽観論に反論し、財政健全化への理解を広げたい考えだ。

 17日に提出された資料には、国の歳出や歳入、債務残高といった基礎データのほか、財政再建を不要と見なす議論を牽制(けんせい)するデータを載せた。2年前の年度初めの資料の5倍近い62ページを費やした。

 MMTは一定の条件下で財政赤字を問題視しない考え方だ。提唱する米経済学者は「日本の債務は全く過大ではない」と主張する。日本の国会でもMMTを引いて財政支出の拡大を求める声が出ている。財政審の場で話し合うのは初めての新理論に、資料では4ページを割いて、MMTに批判的な世界の著名な経済学者ら17人の意見などを列挙し反対する考えを示した。(後略)』

 なぜか、朝日新聞が連日、MMTについて報道しています。


 62ページの資料を作成しながら、MMTに関する言及はわずか反ページ。しかも、MMTについて表層的な説明に加え、

『基本的な考え方というのは、自国通貨建て政府債務はデフォルトしないため、財政政策は、財政赤字 や債務残高などを考慮せずに、景気安定化に専念すべきだ、ということのようです』

 と、黒田総裁の発言を載せるのみ。


 注目点は、「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」との黒田総裁の発言を、財務省は「否定しない」という点です。理由は簡単で、否定できないためです。


 何しろ、財務省は2002年に「外国格付け会社宛意見書」を送付し、


【外国格付け会社宛意見書要旨】
『日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。』

 と、啖呵を切ってしまっているのです。ちなみに、上記の意見書を送付したのは、財務官時代の黒田総裁です。


 財務省は、本気で反論するならば、黒田総裁の発言にしてMMTの肝でもある、
「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」
 に正面切って反論しなければならないのですが、それはできない。というわけで、「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」とは無関係の膨大な資料を並べ立て、誤魔化すというせこい手を使っているのです。


 挙句の果てに、反・緊縮財政派について、
「内国債は、国民が貸し手であるため、将来世代への負担の転嫁は生じないとの指摘があるが」
 などと、藁人形を作り、釘を打ち込むストローマン・プロパガンダ。

 恥を知れ! 堂々と「自国通貨建て政府債務はデフォルトしない」に反論してみろ。


 もちろん、できないからこそ、この手の薄汚いプロパガンダで逃げを打つしかないわけです。


 桜の番組でも語りましたが、皆様、是非ともMMTや財政、国債発行、おカネの正体について正しい知識を地元の国会議員にインプットして下さい(野党でもOK)。そして、国会の場で追及させるのです。


 そうすることで、安倍政権のグローバリズムの否定の第一歩を踏み出すことになり、政権奪取への早道かも知れませんよ、野党の皆さん。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12456235010.html



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夢にまで出てきた財務省の嘘 2019-05-02
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12458346586.html

【財務省資料】戦後における我が国財政の変遷(名目額)

http://mtdata.jp/data_63.html#zaimusyounouso


 図の通り、「財務省」は大東亜戦争敗北から昭和39年までの、「公債不発行期」について「均衡財政」と呼称し、誇っています。


 その後、東京五輪後の五輪不況からの回復のために、財政法第四条で禁止されている赤字国債が特例法の下で発行されました。また、41年以降は建設国債(四条公債と呼んでいます)が発行され、三木内閣時にまたもや赤字国債発行。特例公債と四条公債が同時に発行される状況が続き、財政破綻のリスクは高まっていった、というのが財務省の見解です(嘘ですが)。


 凄いですね。昭和40年から現代まで、財務省は「不均衡財政」と呼び、どれだけ危機が深刻化しているかを全面アピールしているわけです。


 が、
 が、
 が、
 が、ちょっと待て? 昭和39年と言えば、東京五輪の年。日本は高度成長期、五輪に向けて東海道新幹線、東名自動車道などの交通インフラ、黒部第四ダムに代表される電力インフラなど、全国で大々的なインフラ整備を行いました。つまりは、公共投資が最も拡大した時期が、まさに東京五輪「「前」」なのです。


 インフラ整備をガンガンにやっていた五輪前、建設国債を発行していないって、それマジか? ならば、どうやってインフラ整備をしたというのだろうか。


 答えが、佐藤先生が解説してくれた「ガリオア・エロア資金」と「世界銀行(国際復興開発銀行)からの低利融資」でございます。

【外務省資料】ODAとは? ODAちょっといい話 第二話 戦後の灰燼からの脱却


 何と、戦後の日本はアメリカおよび世界銀行から、「ドル建て」の融資を現在価値にして12兆円(ガリオア・エロア資金)、6兆円(世界銀行融資)を受けていたのです。(ガリオア・エロア資金は無償も含みます。また、「ガリオア資金」と「エロア資金」と、両資金は異なる援助プログラムでした)


 何しろ、ドル建ての巨額「国の借金」でございますから、当時は冗談でも何でもなく「日本の財政破綻」はあり得たのです。


 世界銀行からの融資を返済し終わったのが90年です。それまでは、確かに日本の「財政破綻(政府の負債のデフォルト)」のリスクはゼロではなかった。(その後はゼロ)


 特に、戦後から五輪まで、財務省が「均衡財政」と呼んでいる時期こそが、日本の財政破綻リスクが最も高かった時期なのです。何しろ、当時は「巨額の外貨建て借金」があったのです。


 外国からの融資は、特別会計で、一般会計には含まれていない。


 財務省は↑それをいいことに、五輪前は一般会計で歳入と歳出が均衡していたという(これは事実ですが)ストーリーを描き、あたかも理想時代のごとく描写しているのです(何しろ、ご丁寧に色分けまでして、「均衡財政期」は青、それ以降は赤で表現している)。狂っているか、嘘つきか、狂った嘘つきのいずれかでしょう。


 実際には、五輪前こそが日本の財政破綻の可能性が最も高く、その後は下がり、90年以降にゼロになったというのが真実なのです。
 ここまでウソをつくのです、財務省は。

 日刊MMT。


『国債どんどん発行しても財政破綻しない? 「異端」経済理論を自民議員が支持、財務省は警戒

 東京・永田町で現代貨幣理論(MMT)に注目が集まっている。日本のように自国通貨建て国債を発行している場合、債務不履行はあり得ないので財政赤字の拡大に問題はないという理論で、米国で論争が盛んになっている。日本でも国会の質疑や議員勉強会で取り上げられ、京都の国会議員が中心となって動く。財政健全化が悲願の財務省は、反論資料を提示するなど警戒を強めている。

 「天動説から地動説に転換することが一番大事だ」。4月4日の参院決算委員会で、自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)が語気を強めた。日本は長年にわたって政府債務が増え続けているが、危惧された国債金利の上昇や円の暴落が起きていないと指摘。従来の財政理論では説明がつかないとして、政府にMMTの「正しさ」を訴えた。

 MMTは経済学者のケインズやシュンペーターらの業績を基礎として、1990年代に理論体系が確立したとされる。今年1月、史上最年少で米国の下院議員となり、将来の女性大統領候補との呼び声もあるアレクサンドリア・オカシオコルテス氏(民主党)が支持を表明し、論争が繰り広げられるようになった。

 主張の柱には「自国通貨建て国債の債務不履行はない」との考えとともに、「貨幣とは民間銀行が貸し出しという形で創造する」という「信用貨幣論」がある。デフレ是正のためには銀行の貸し出しが増えるよう、国債発行による財政出動で需要を拡大するべきとする。西田氏は質問で「官僚やインテリは考え方を変えられない。私は異端だと言われてもやっていく」と強調した。

 22日に衆院第2議員会館で開かれた若手自民議員の勉強会「日本の未来を考える勉強会」は、MMTの論客である評論家の中野剛志氏を招いた。主宰するのは安藤裕内閣府政務官(衆院京都6区)。MMTを取り上げるのは3回目だ。参加した10数人の中には新顔もいて関心の高まりを感じており、「黙っていたらMMTは党内議論の俎上(そじょう)に乗らない。理解を広めるための動きを取っていきたい」と意気込む。(後略)』

 真実は、真実。誰にも否定はできない。
「自国通貨建て国債の債務不履行はあり得ない。つまりは、日本の財政破綻の可能性はゼロ」
 さらには、昨日も取り上げた、
「政府は国債発行で銀行預金を借りているわけではなく、日銀当座預金を借りている。しかも、政府が国債発行すると、家計の銀行預金はむしろ増える」
 この二つの事実だけでも国民、政治家の間に広まれば、緊縮財政至上主義という政策ピボットを妨害する「ロック」を外すことができます。


 というわけで、与党系は西田先生や安藤先生、他のピボットメンバーの方々が進めていますので、わたくしは主に野党系担当で「事実」の拡散に努めたいと思います。


 皆様も、財務省がどれほどまでに「嘘つき」であるかを広めて下さい。財務省の嘘を打破しない限り、我々に繁栄の未来は訪れません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12458346586.html


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財務省から「財政主権」を取り戻せ! 2019-05-04
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12458814808.html

 MMT(現代貨幣理論)について理解すると、改めて財務省が分けの分からないことをやっているのが分かります。


 そもそも、政府は「徴税して、予算執行」しているわけではないのです。毎年、まずは政府短期証券(財務省証券)を日本銀行に発行し、日銀当座預金を調達し、政府小切手で支出する。


 税金を徴収するのは、その後なのです。つまりは、別に政府は税収がなくても普通に支出できるのです。というか、しているのです。


 上記の「現実」をMMTではスペンディング・ファースト、と呼びます。また、国債発行や徴税なしで資金を調達する手法(普通にやっている)がOMF(明示的な貨幣生成)です。


 銀行は、借用証書(現金紙幣、小切手、約束手形含む)と引き換えに、ゼロから「書くこと」で銀行預金というおカネを発行する。


 日本銀行は、借用証書(財務省証券、国債など)と引き換えに、ゼロから「書くこと」で日銀当座預金というおカネを発行する。


 まあ、実際には万年筆で書いているわけではなく、キーボードで打ち込んでいるだけでしょうが、日本銀行の国債買取について、

「直接引受は、財政法第五条で禁じられている!」

 と、否定しようとする人は、「政府短期証券(財務省証券など)」を日本銀行が「直接引受」、おカネ(日銀当座預金)を発行しているという現実を、いかに受け止めるのでしょうか。(目をそらし続けるだけだろうけど)


 ちなみに、国債にせよ、財務省証券にせよ、統合政府で考えれば「相殺」になってしまうため、いずれにせよ「債務不履行」の可能性はゼロです。

 上記を理解すると、「税金」についての理解が深まります。税金はおカネ発行ではなく、国民から政府への所得(おカネ)の移転です。


 無論、税金にはビルトイン・スタビライザー、所得再分配、「財源」の名目で徴税することで日本円の使用を強制するなど、複数の役割がありますが、少なくとも「政府の負債返済」のためには必要ありません。


 ところが、財務省は消費税を増税し、ガチで負債返済(財政赤字圧縮)をやっていたわけで、完全に「頭がおかしい」財政運営を続けているのです。


『増税再延期なら「日本の信用失う」 IMF副専務理事

 国際通貨基金(IMF)の古沢満宏・副専務理事が25日、朝日新聞のインタビューに応じ、今年10月に予定されている消費税の引き上げが再び延期されれば、「日本の政策決定についての信用が失われるリスクがある」と述べた。国際的にも約束している財政の健全化に、政府が着実に取り組むことを求めた。

 IMFはこれまでも、日本は将来的には消費税率を少なくとも15%まで段階的に引き上げるべきだと提案している。古沢氏は「(増税を前提にした)予算も組んでおり、(延期すれば)教育や社会保障などで資金の手当てに支障が出る恐れがある」との懸念も示した。(後略)』

 増税を延期し、予算が足りなくなったならば、単に財務省証券を日銀に発行すれば済む話です(一応、国会で補正予算を組む必要はあります)。あるいは、普通に国債発行でも構わない。


 それにも関わらず、財務省は「正しい予算執行のプロセス」等を説明せず、
「税金が徴収できないと予算執行ができない!」
 と、露骨な嘘をつき、国民貧困化政策に邁進している。


 日本国憲法では、財政権限は国民から選ばれた国会議員にあることが定められてます 国会議員を選択するのは、日本国の有権者です。
 財政規律を強化する、あるいは財政出動を拡大する。いずれの路線にしても、最終的な決定権は主権者たる日本国民にあるのです。


 ところが、現実には財務省が事実上の「主権」を行使する形で、緊縮財政が継続し、ひたすら国民が貧しくなっていっている。


 知識を身につけなければなりません。「仕組み」を知らずに、仕組みを熟知した勢力と戦うことはできないのです。


 しかも、仕組みは大して難しくありません。「おカネ」が債務と債権の記録であると正しく認識すれば、財政の仕組みも「完璧」に分かります。


 とはいえ、いちいち財政の仕組み等について「調べる」のは手間でしょうから、わたくしはGWを利用し「MMTポリティクス」を書き上げました。近々、刊行になりますので、ご期待ください。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12458814808.html



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MMTインプット 2019-05-05
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459065280.html

 MMTに対する財務省の「反論資料(反論していないけど)」を読むと、P57以降、4ページに渡り続く「MMTに対する批判、コメント」のおける、経済学者のレベルの低さに愕然としてしまいます。

【資料1 わが国財政の現状等について(PDF:4486KB)】
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417.html


 人類って、こんなにバカだったのか!


 しかも、情けないことに、経済学者の一部は自分で勝手に「MMTという藁人形」をでっち上げ、それに釘を打ち込む批判をしている。つまりは、ストローマン・プロパガンダです。


 例えばロバート・シラーは、

「(※MMTについて)もしも大衆が望むなら、政府はどこまでも財政赤字を無限に続けられるというものだと思うが」

 ジェローム・パウエルは、

「自国通貨で借りられる国にとっては、赤字は問題にならないという考えは全く誤っている」

 などと、明らかにMMTを曲解する(というか、理解していない)論拠で、MMT批判を展開しているのです。もちろん、MMTは「財政赤字を無限に続けられる」「赤字は問題ならない」などとは主張していません。しつこいほど繰り返しますが、MMTの基本理論の一つは、

「2.全ての経済は、生産と需要について実物的あるいは環境的な限界がある」

 なのです。

 供給能力をはるかに上回るほど政府が財政赤字を拡大し、需要を創出してしまったら、そりゃ問題ですわ。


 また、以前にも取り上げた記憶がありますが、フランスのフランソワ・ビルロワドガロー中銀総裁は、

「自国の債務をマネタイズしようとした国は極めて不幸な経済状況に陥ったことがケーススタディーで繰り返し示されている」

 と、具体的なケーススタディーは挙げずに、「繰り返し示されている」と印象操作をしています。
 まあ、フランスはユーロ加盟国なので「お前は関係ないから」という話ではございますが。


 データ捏造で有名になったロゴフ=ラインハート論文のケネス・ロゴフは、

「投資家が国債を保有したがらなくなったら、その通貨についても所有しようとは思わないだろう。その国が通貨を投げ売りすれば、その結果はインフレだ」

 と、意味不明なことを宣っていらっしゃいます。エクセルの捏造(ロゴフ=ラインハート論文)してしまうほどのバカですから、この人。というか、国債金利がマイナスになるほど投資家(銀行)が国債を保有したがる国が、極東にあるんだが。


 何というか、MMT本を書いた(書き終わった)ために様々なMMT関連情報に触れることになったのですが、批判者の頭の悪さにひたすら愕然とします。地動説を唱えていたときのコペルニクスやガリレオも、同じような気分だったのでしょうか。


『MMTと呼ばないでくれ
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019050102000129.html

 自国だけの通貨を持っていれば、その通貨は限りなく供給できるので、国の財政赤字が増えても気にしなくていい−。米国発の極論とも言える考え方が注目を集めている。

 「現代金融理論」(MMT)と呼ばれる。米ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が提唱者だ。日本はMMTの成功例ではないか。こう指摘する向きもある。

 確かに政府は景気浮揚のため財政支出を拡大してきた。日銀は金融緩和や銀行経由で国債を引き受け、その拡大を下支えしてきた。公的債務の額は、ついに国内総生産(GDP)の約二倍になってしまった。

 しかしこの間、日本では経済破綻も極端なインフレも起きなかった。それどころかデフレ傾向が問題になっている。やはり日本経済はMMTの正しさを証明しているのか。

 バブル崩壊以降、大半の日本人や日本企業は支出を切り詰めてきた。将来が不安だからだ。みなが家族のために、会社の存続のために少しずつ支出を削り、頑張った。

 この結果、極端なインフレは起きず、海外から無用な借金もせずに済んだ。つまり国の政策というより「民」の涙ぐましい努力が経済危機を何とか防いできたのではないか。

 こうした努力は経済指標では測りにくい。ただ、日本人が生活を守るために懸命に続けた知恵の結晶を、MMTなどと机上の理屈で呼んでほしくはない。』
https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2019050102000129.html

 もう無茶苦茶。

「大半の日本人や日本企業は支出を切り詰めてきた。」

 いや、だからデフレが継続し、20年間で経済成長が「無し」という落第国に落ちぶれたんだろうが。

【主要国2017年ドル建てGDP対96年比(倍)】

http://mtdata.jp/data_63.html#2017IMF


 20年間、所得が伸びていない(GDPは所得の総計)。これほどまでの「経済危機」は、他にあるのか、という感じですが、東京新聞の記者、富田光の頭の中では「経済危機=財政破綻」になっているようです。


「どうだ、凄いだろ! 我々はこんなに貧しくなったんだ!」
 と、富田光は威張っているわけで、これほどまでに頭が弱いのか・・・。と、絶望心しか起きてきません。


 そもそも、富田光の頭の中では、「おカネの節約」が善であるという価値観になっているようです。豊かになるとは「所得が増えること」であり「おカネを節約すること」ではありません。


 バブル崩壊+橋本緊縮財政でデフレに陥った日本は、政府が国債を発行し、財政支出を拡大するべきだったのが、十分にやってこなかった。結果、需要不足=所得不足が続いたという話であって、民間の支出削減や切り詰めを評価してどうなるというのでしょうか。


 富田光は、「自分の給料は、誰かが支出をしてくれたからこそ生まれた」という経済の基本すら知らないようです。


 この手の無知もしくは「頭がお弱い」人物が、新聞記者などと名乗り、出鱈目を振りまく。我が国の経済問題が一向に解決しないのも、無理もない話です。


 まあ、絶望ばかりはしていられませんので、個人的に「最も近道」と考える「国会議員へのMMTインプット」を続けるしかありません。何しろ、財務省が超嫌がっているので、効果はあるのでしょう。皆さんも、ご協力ください。


 ポイントは、国会議員が財政問題について、

「今は国民の預金があるので破綻しないが、高齢化で国民が預金を取り崩すと破綻する」(最新の財務省のレトリック)

 などと発言した際に、容赦なく、

「先生、それは違います。政府は国民の預金ではなく、日銀当座預金を借りています。しかも、政府の国債発行は、むしろ銀行預金を増やします。財務省に思いっきり騙されていますよ」

 と、できれば図↓で説明することです。

【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み】

http://mtdata.jp/data_63.html#yokinzou


 さらに、

「先生、今、財務省の嘘やMMTを大々的にアピールすると、『あの先生、何て頭が良いんだ』と、有権者へのアピールになりますよ。早い者勝ちですよ。このままでは、自民党の連中に先にやられますよ(実際、始めているし)」

 と、煽るのです。

 わたくしは自分が作成した図について著作権を主張していませんので、好きに使ってくださって構いません。(この事実も広めてくれると嬉しいです。今でも「図を使わせてくれませんか」とメールや電話がくる)


 特に、野党の国会議員へのインプットが効果的でしょう。すでに、与党では安藤先生や西田先生が国会やメディアで取り上げ始めているので、野党がMMTに染まっても、別に「空気」的におかしなことはないでしょう。


 MMTをベースに、安倍政権の緊縮路線、消費税増税、PB黒字化目標を容赦なく攻撃、批判する。これこそが、正しい差別化であり、「国民のための政治」でもあるのでございますよ。

(国会議員から「三橋や令和ピボットの連中呼んで、説明させてくれない?」と言われた際には、ご遠慮なく連絡してください。弊社が調整します)


 そういうお前はどうするんだ、と言われそうですが、わたくしはGW明けから主に野党政治家にMMTインプットを開始します。そして、例によりカテゴライズ厨に批判されることになるでしょう。


 そういえば、

【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実

 の視聴数が21万に達しようとしています。


 以前と比べると、間違いなく反・緊縮財政の声は大きくなっているのですよ。十年以上、反緊縮、反財務省の言論活動を続けてきたわたくしが太鼓判を押します。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459065280.html


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センメルヴェイス反射 2019-05-06
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459302202.html


 さて、安藤裕先生がツイートしていましたが、中野先生の↓この動画、

【「日本の未来を考える勉強会」ーよくわかるMMT(現代貨幣理論)解説ー平成31年4月22日 講師:評論家 中野 剛志氏】
https://www.youtube.com/watch?v=LJWGAp144ak&feature=youtu.be


 の最も重要な点は、「センメルヴェイス反射」なのかも知れません。

 センメルヴェイス反射とは、通説や常識から外れたことを、「事実」であるにも関わらず受け入れられない傾向のことですが、逸話の源は実に恐ろしい。


 オーストリアの病院で妊婦が次々に産褥熱で亡くなっている状況で、センメルヴェイスは医師として「接触感染」に気が付き、対策を訴えたにも関わらず、他の医師たちからむしろ攻撃され、不遇の生涯を終えました。


 なぜ、センメルヴェイスの訴えた「事実」が広まらなかったのか。

「患者を殺していたのは、実は医師の手である」

 という事実が、医師たちに受け入れがたいものだったためです。


 以前書きましたが、「自分の言動のせいで、大勢の人が死んだ」という現実があったとして、多くの人間は、

1.「自分の言動⇒大勢の人々が死んだ」という事実をなかったことにする(記憶の消去)

2.上記の因果関係を認めず、それまでと同じ言動を続けることで、自己正当化を図る


 の、2パターンで自己防衛に走ります。そして、自分を守るために真実を語る者を攻撃する。まさに、センメルヴェイスと同じ状況になるのです。


 冗談でも何でもなく、財政破綻論者、主流派経済学者、あるいは財務官僚の天動説的「財政破綻論」が原因で、日本において緊縮財政が継続し、実際に何万もの人が死んだのです。身内を失った日本国民は、例えば財務省が、

「実は緊縮財政は間違っていました」

 と、正直に「事実」を語ったとき、果たして許すのでしょうか。許せない人が少なくないでしょう。


 そんなことは誰にでも想像がつくわけですが、となると、財政破綻論者や主流派経済学者の「センメルヴェイス反射」は終わらず、彼らが死滅するまで「正しい主張」には転じない高いのです。


 天動説を人々が信じていても、イデオロギー的闘争以外では人死には出ませんが、財政破綻論の場合は、冗談でも何でもなく大勢の人が死んでいるのです。さらに、貧困化した国民が数百万人、下手をすると数千万に達し、日本国が小国化し、発展途上国化していっている。


 正直、これほどの罪悪があるのか、という印象ですが、罪人である財政破綻論者たちは、今後、どうするのでしょうか。これまで通り、財政破綻を叫び続けるのか。


 あるいは、彼らが万が一(億が一)改心したとして、身内が緊縮財政で自殺した国民は、彼らを許すことができるのか。


 分かりません。


 もしかしたら、この種の問題を「何とかする」のが政治というものなのかも知れませんが、わたくしは政治家ではないので、とりあえず本日の日刊MMT。


 随分とまともなことを書かれる方だと思ったら、宍戸駿太郎先生のお弟子さんでした(我々も似たようなものですが)。

『消費税10%なんてとんでもない MMT(現代貨幣理論)から消費税は不要な税金である 
https://wezz-y.com/archives/65039

(前略)3.目からウロコが落ちるMMT(現代貨幣理論)的な税金論

 さて、本稿のメインの話に移る。そもそも消費税、ひいては税金とは何のために徴収するのであろうか。恐らく、100人中100人の人が、「政府支出を行う財源を集めるため」と答えるであろう。消費税に関しても、その増税賛成者の多くが、「政府の増え続ける社会保障費を補うため止むなし」と答えるであろう。

 しかし、実はこうした疑いの余地の無い、さも常識的な考えが、完全に誤りであったことが判明した。1億2千万人のほぼ全ての日本人が税金について誤解していたのである。この誤りを指摘したのが、21世紀の“地動説”や、経済論壇では21世紀の“黒船”と呼ばれ、昨今の世論を賑わせているMMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)にあるのだ。

 MMTの基本的な考え方の中には、

「税金とは、財源を集める手段ではなく、インフレを抑制する手段」

 といった趣旨のものがある。

 これはどういうことかと言うと、人々は何かの支出につけて、「財源!財源!」と反射的叫ぶが、端的に言えば、財源なんてものは、「国家が新たにお金を発行すれば良いだけ」の話なのである。具体的に言えば、現在行われているスタンダードな国債発行と日本銀行による市中からの国債の買いオペレーションで、新たな財源を生み出せば良いだけである。日本銀行が国債を買えば、実質的に国債の返済は不要となる(政府が日本銀行に払った国債の利払い費や償還金は、国庫納付金として政府に戻ってくるため)。いわゆる、日本銀行を政府の子会社と見なす統合政府勘定(株式会社で言えば連結決算)においては、国債の債権者(日本銀行)と債務者(政府)が同一になるため、債権は消滅するのである(MMT的に言えば、政府支出についてはもう少し違う説明になるが、説明が長く、分かりにくくなるので、今回は割愛させて頂く)。(後略)』

 池戸氏が「割愛」したのは、スペンディング・ファーストとOMFだと思います。


 実は、政府は「徴税」の前に「支出」をしている。(スペンディング・ファースト)
 さらに、政府は徴税や国債発行すら無しで、政府短期証券(財務省証券)を日銀に渡すことで日銀当座預金を調達し、支出をしている(OMF)。


 上記については、さすがに細かすぎる話になるため、書籍やメルマガ(週刊三橋貴明 〜新世紀のビッグブラザーへ〜)で扱っています。 最新メルマガが、ちょうど「週刊三橋貴明 Vol519 OMF(明示的な貨幣生成)」です。ご興味がある方は、ご登録下さいませ。


 さて、地動説 対 天動説と同じ(あるいは、それ以上)で、財政破綻・緊縮財政派と反・緊縮財政派の「闘争」は今後、さらに激しくなっていくでしょう。何しろ、彼らは完全に「センメルヴェイス反射」状態に陥っており、引くに引けないと思います。反・緊縮財政やMMTが正しいことを認めることは、彼らにとって「人殺しに加担した罪人」」であること認めることになってしまうのです。


 争いは激化する一方ですが、やめるわけにはいきません。センメルヴェイスにしても、死後ではありましたが正しさが認められ、「母親たちの救い主」と呼ばれているのです。


 日本国民が豊かになる経世済民を達成するためにも、貧困や困窮が理由で死を選ぶ国民を減らすためにも、反・緊縮財政、MMT派は、絶対に口をつぐんではならないのです。むしろ、より大きな声で「事実」を叫ぶ必要があります。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459302202.html

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財務省の露骨なMMT潰しが始まった 2019-05-07
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459559078.html

 さて、GWも明けたと思ったら、いきなり朝日新聞を利用した財務省のMMT派への攻撃が始まりました。


 というか「朝日新聞」と「財務省」の組み合わせというわけでございます。「センメルヴェイス反射」状態に陥っているのかどうかは分かりませんが、それにしても露骨です。

『「MMT」に気をつけろ! 財務省が異端理論に警戒警報 

 財政の破綻(はたん)など起きっこないから、政府はもっと借金してもっとお金を使え――米国で注目を集める「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論)と呼ばれる経済理論が、日本の政治家の間にも広まり始めている。政府が膨大な借金を抱えても問題はない、と説くこの理論は米国で主流派経済学者から「異端」視され、論争を巻き起こしている。これまで消費増税を2度延期し、財政再建目標の達成時期も先送りしてきた日本では、一見心地よく聞こえそうなMMTはどう受け止められていくのだろうか。
 4月22日午後、東京・永田町の衆院議員会館の会議室に、10人あまりの国会議員が集まった。自民党の若手議員らが日本の財政問題などを考えるために立ち上げた「日本の未来を考える勉強会」の会合。テーマは「MMT」だ。
 この会でMMTが取り上げられるのは、一昨年以降、これで3回目という。最近、MMTの提唱者のニューヨーク州立大教授、ステファニー・ケルトン氏のインタビューが報じられるなど、日本のメディアでもMMTが取り上げられ始め、勉強会の参加者の一人は「世界が、我々に追いついてきたね」と誇らしげだ。(後略)』

 後略部で、「評論家」の中野剛志先生について、わざわざ「現役の経産官僚でありながら」と書いている時点で、悪意というか「攻撃の意思」むき出しです。


 ちなみに、財務官僚はMMTについて、
「(MMTは)要するに、いっぱいお金を使いたい人が言っているだけ。論評に値しない。(経済政策の)手詰まり感の現れだろう」(ある財務省幹部)
 と、予想通り「論評に値しない」と切り捨てています。


 論評に値しないならば、無視すればいいのに、そうすることもできない。


 議論になったら負けるので、MMT派(というか反・緊縮財政派)に対する個人攻撃、誹謗中傷や、ストローマン・プロパガンダ、権威・プロパガンダ等々で貶め、潰そうとしてきているわけです。

 今後も、我々に対する様々な攻撃(特に、スキャンダル系)が続くと予想しています。

【経世史論〜「正しい祖国の歴史」を学び、「現代」を読み解く〜】


※5月15日(水)までに新規お申込み頂いたお客様に、三橋貴明:著「99%の日本人が知らない明治維新の大嘘」のサイン本をプレゼント致します。(送料も不要です。また、サイン本にはお名前が入ります)


 興味深いことに、朝日新聞は菅官房長官が顧問の「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」についても取り上げています。(自民党の20人超の有志議員で構成)


 政府の負債(国の借金ではない)、具体的には国債・財投債の内、すでに46%が日銀保有。

【2018年末時点 日本国債・財投債所有者別内訳(総計は1013兆円)】

http://mtdata.jp/data_63.html#uchiwake


 日銀が保有する国債について、政府は返済負担や利払い負担がありません(子会社ですから)。
 日本銀行の株式の55%は、日本政府が所有しています。日本銀行は歴とした日本政府の子会社です。日本銀行のホームページには、

「日本銀行は、特別の法律(日本銀行法)により設立され、設立に関し行政庁の認可が必要な「認可法人」と位置付けられています。日本銀行は株式会社ではなく、また株主総会もありません。」
 と、書かれていますが、何しろ日本銀行は「株式」を東証JASDAQに上場しているのです。(現時点で、日本銀行の株価は一株36,000円程度)わたくしにしても、単位株式数が100株なので、360万円ほどで日銀の株主になれます。(というわけで、日銀株を買おうとチェックはしているのですが、なかなか売りが出ない)


 もっとも、日銀の株式を保有していたところで、議決権はなく、配当金も制限されます。また、どれだけおカネを持っていようとも、日銀の株式を買い占め「俺が日銀の支配者だ」などとやることはできません。何しろ、市場に出回っている日銀の株式は過半数に満たないのです。逆に言えば、過半数の株式を保有されている以上、日銀は日本政府の純然たる子会社です。


 株式市場に株式を上場しておきながら、「株式会社ではない」など通るはずがありません(ならば、上場するな、という話)。少なくとも、会計上、日銀は疑いようもなく政府の子会社なのでございます。


 この手の「事実」やMMTの考え方(我々が主張してきたことと同じですが)について、早急に国民が共有しなければなりません。


 ちなみに、「政府紙幣及び無利子国債の発行を検討する議員連盟」の「無利子国債」は、無期限無利子国債だと思いますが、確かに日銀保有の国債を新規の「無期限無利子国債」と交換してしまえば、政府の負債は実質はもちろん、名目でも消滅します。


 もっとも、そんな面倒なことをしなくても、単に「日銀保有国債について、政府の債務不履行はあり得ない(当たり前)」という認識を国民や政治家が持てば住む話です(別に、無期限無利子国債の発行に反対しているわけではないですが)。黒田総裁が国会で発言し、財務省も否定できない、
「自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ない」
 という、当たり前の真実を国民が早急に共有し、日本の財政破綻の可能性はゼロであることを前提に財政拡大に転じるのです。


 まさに、There is no alternative(他に道はない)でございますよ。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12459559078.html

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財務省の急所を貫け! 2019-05-10
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460240837.html

 さて、日本では不思議なことに、「貨幣」という言葉を使うのが好まれません。Monetization(国債の貨幣化)は「財政ファイナンス」、money creation(貨幣生成)は「信用創造」、そしてModern Monetary Theory(現代貨幣理論)が現代「金融」理論。国民に「貨幣」について考えさせないためのプロパガンダなのでしょうか。


 もっとも、言葉を「変える」あるいは「抽象用語を用いる」ことによるプロパガンダは、財政破綻論の十八番です。代表は、もちろん「国の借金(正しくは政府の負債)」。


 現在、国会までをもを含めた舞台で「MMT派 対 財務省」の激しい情報戦争が繰り広げられていますが、財務省側はお得意の「よくわからん言葉で誤魔化す」「断言はしない」で乗り切ろうとしています。


 先日のMMTに対する「反論資料」からも分かる通り、財務省は、
「自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ない」
 については、否定をしません。否定すると、明確に嘘になってしまうためです。代わりに、大量のプロパガンダデータ、権威プロパガンダで「財政破綻ありうる」と、読者に印象を植え付けようとするわけです。


 もっとも、最近、分かってきたのですが、財務省は一つ、決定的なミスをしてしまっています。つまりは、明確な「嘘」をついてしまっているのです。

 それが、例の「おカネのプール論」に基づく、
「政府は国債発行で国民の預金を借りている。高齢化で国民が預金を取り崩すと、借りるおカネが無くなり破綻する」
 です。実は、↑について財務省は国会議員への説明資料に書いてしまっているのです。


 実際には、国債発行が家計の銀行預金を生み出しており、政府が銀行預金を借りているわけではないのはご存知の通り(そもそも借りているのは日銀当座預金)。


 ↑この「事実」を、↓この図を用いて、分かりやすく説明してしまったのが・・・。

【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み】


http://mtdata.jp/data_63.html#yokinzou

 ↓こちらの動画というわけです。


【【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実】


 しかも、上記の動画は22万視聴を超えてしまっているので、多くの国民が「真実」を知ることになりました。あるいは、知りつつあります。


 昨日の財政金融委員会で、西田昌司参議院議員が日銀の黒田総裁に対し、

「新規発行国債は日銀当座預金で購入し、財政支出で民間預金が増えるため、国債は民間貯蓄でファイナンスされているわけではない」

 を確認する質問をしたのですが、黒田総裁は見事に逃げを打ちました。

『国債発行自体に景気刺激の意味ない、財政効果は経済状況次第=日銀総裁

 日銀の黒田東彦総裁は9日の参院財政金融委員会で、政府による国債発行自体が経済を刺激する意味はないとし、財政措置が経済に与える影響はその時の経済状況によって変わり得るとの認識を示した。西田昌司委員(自民)への答弁。

 総裁は国債発行と経済の関係について「国が国債という政府の債務証書を発行すれば、最終的に民間の貯蓄でファイナンスされるというかたちで、民間の金融資産になるのはそのとおり」としたが、「それ自体が経済を刺激するとか、拡大するという意味はない」と指摘。

 その上で、公共投資や減税などの措置によって「経済が拡大すれば、新たな金融資産保有というかたちで民間がそれをファイナンスする可能性はある」と語った。(後略)』
 
 誰も、国債発行の景気刺激効果については聞いていないにも関わらず、「経済対策の話」に持ち込み、

「国が国債という政府の債務証書を発行すれば、最終的に民間の貯蓄でファイナンスされるというかたちで、民間の金融資産になるのはそのとおり」

 と認めつつも、経済刺激や景気刺激の話に争点をずらし、

「西田さあ、お前、単に、財政支出の拡大して欲しいだけだろ」

 と、先日の「財務省幹部」のMMTに対する論評、

「お金がいっぱい欲しい人が言っているだけ。論評に値しない(byある財務省幹部)」

 の印象操作の路線で乗り切ろうとしているわけです。


 特に悪質だと思うのは、「最終的に民間の貯蓄でファイナンスされる」の部分です。「民間の預金が増える」と、事実を口にするわけにはいかないため、「民間の貯蓄でファイナンスされる」と表現する。


 これでは、あたかも「民間の貯蓄が国債の原資」であるかのごとき印象を与えてしまいます(だからこそ、この表現を使っているのでしょうが)。抽象用語を使ったプロパガンダです。


 お分かりでしょうが、財務省の急所は、国会議員に、

「新規発行国債は日銀当座預金で購入し、財政支出で民間預金が増えるため、国債は民間貯蓄でファイナンスされているわけではない」

 と、文書で説明してしまっているころです。(近日、公開予定)つまりは、財務省の財政に関する明確な「嘘」が露見しつつあるのです。


 皆様も、是非とも財務省の急所である「政府が国債を発行すると、家計の預金が増える」という事実を拡散して下さいませ。日本国の主権を財務省から取り戻すために。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460240837.html



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【Front Japan 桜】均衡財政期の不都合な真実
- MMT VS 財務省[桜R1-5-10] - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=Nx43e_XJotU

キャスター:佐藤健志・三橋貴明
■ 均衡財政期の不都合な真実
■ MMT VS 財務省



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本邦初公開(恐らく)統合政府のバランスシート! 2019-05-11
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460453329.html


 まずは、本日の日刊MMT。

2019.5.10
財政赤字を容認する「MMT理論」は一理あるが、やはり危険な理由
塚崎公義:久留米大学商学部教授+ 
https://diamond.jp/articles/-/201833

米国で「Modern Monetary Theory(MMT、現代金融理論)」と呼ばれる理論が話題になっている。「自国通貨で借りている財政赤字は紙幣を印刷すれば返せるのだから巨額でも構わない」というものだ。筆者は日本政府の財政赤字について「日本政府が破綻するはずはないので、性急な財政再建で景気の腰を折るようなことはすべきではない」という財政赤字容認派であるが、それでも無条件の財政赤字容認論には危うさを感じている。(久留米大学商学部教授 塚崎公義)

(中略)

 財政赤字が続き、政府の借金が巨額になっている日本で、インフレ懸念が高まったらどうなるだろうか。人々は、急いで銀行預金を引き出して物を買いに走るだろう。そして、銀行は預金者に紙幣を渡すため、準備預金を引き出したり国債を日銀に売却したりして紙幣を手に入れるだろう。

 瞬時にして世の中に大量の紙幣が出回り、それが人々の「買い急ぎ」に使われるわけだから、激しいインフレになるはずだ。もちろん政府と日銀がインフレ対策を講じるため、インフレに歯止めが利かなくなるわけではないが、インフレ対策の厳しい引き締めなどによって経済に大きな打撃が加わるだろう。(後略)』
https://diamond.jp/articles/-/201833

 突っ込みどころ満載の記事ですが、とりあえず「数字」を全く使っていないことが注目点です。現在の現金紙幣の額は115兆円ですが、「瞬時(ゼロ秒!)に、世の中に大量の(いくら?)の紙幣が回り、「激しいインフレ(だから、何パーセント?)」になるのでしょう。


 こんな書き方が許されるならば、わたくしも断言しますよ。いつの日か、月が日本列島に落ちてきて、日本国は滅亡します。

 というか、現金紙幣がたくさん引き出されたら「インフレになる」という発想が意味不明です。現金紙幣が引き出されて「いくら、使われた(需要が増えた)」ならばインフレになるのか、数値を示すべきです。それ以前に、我々は銀行振り込みで買い物しないんですかね?

 また、塚崎の頭の中では、

「現金紙幣は、使ったらこの世から消える」

 という設定になっているのでしょうか。店に移った現金紙幣は、そこでそのまま退蔵されるのでしょうか。バカバカしい。銀行に持ち込まれるに決まっているでしょうに。


 というか、MMTは別に「無条件の財政赤字容認」などとは一言も言っていません。


 もう、声が枯れるほどに繰り返しましたが、財政赤字や政府の負債拡大、あるいは財政拡大の限界は供給能力、インフレ率です。いい加減に、この「事実」を無視するのはやめて欲しいです。


 ここまで繰り返しても、「無条件の〜」などと書くということは、嘘つきか、頭が弱いか、頭が弱い嘘つきのいずれかでしょう。


 つまりは、例により「頭が弱い嘘つき」がMMT叩きのために「数字を使わず」「印象論」「抽象用語」で「それっぽい批判」をしているだけなのでございますが、この手のプロパガンダが続くのでしょう、こちらがギブアップするまで。(しないけどね)


 さて、恐らく本邦初公開。昨日のチャンネル桜でも使った、日本の統合政府のバランスシート。(2018年末 速報値版)

【2018年末時点 日本の統合政府のバランスシート(兆円)】
http://mtdata.jp/data_63.html#tougouseihu


 日本の一般政府と日銀のバランスシートを統合し、「統合政府のバランスシート」と作りました。(詳しくはリンク先を)


 財務省は、例の「反論資料」で、

『日本銀行の国債保有について
○政府と日本銀行を統合して考えれば政府の負債(国債)と日本銀行が保有する資産(国債)が相殺されるとの指摘があるが、仮に政府と日本銀行のB/Sを統合したとしても、日銀の保有する国債の額だけ政府の債務が見かけ上減少するだけであり、当座預金等の日銀の債務が負債に計上されるため、負債超過の状態は変わらない。』

 と、「自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ない」の根拠である統合政府に反論してきています(そのくせ、「自国通貨建ての国債のデフォルトはあり得ない」はスルーしていますが)。


 財務省が言う通り、一般政府と日銀を統合した相殺される国債は、日銀保有分(466兆円)のみで、統合政府のBSでも「国債・財投債」は442兆円分ります。もっとも、負債の半分程度は、元々は日銀の負債として計上されていた現金(115兆円)、日銀当座預金(405兆円)に姿を転じました。


 財務省は、

「当座預金等の日銀の債務が負債に計上される」

 と書いています。それはその通りというか「当たり前の話」なのですが、ということは、財務省は、

「現金や日銀当座預金といった【国の借金】が原因で、日本は財政破綻する!」

 と、言いたいのでしょうか。


 あるいは、統合政府にしたところで、日銀の純資産(27兆円)の金額分、政府の純負債が消えるだけであるため、財務省のいう「負債超過」は711兆円で計上されています(=739−28)。この一般政府や統合政府の負債超過、純負債が問題であり、711兆円を「ゼロにする必要がある」と財務省は主張しているのでしょうか(そうとしか読めませんが)。


 誰かの資産は、誰かの負債。あるいは、誰かの純資産は、誰かの純負債。


 政府の純負債を縮小し、ゼロにするということは、その分、我々国民の「純資産」を削るという話になってしまいます。つまりは、財務省には我々の資産を減らそうという魂胆があるとしか思えないのです。


 つまりは、財務省に問いただしたいのは、二つ。

1.財務省は「現金や日銀当座預金」といった「負債」が理由で財政破綻する!と、言いたいのか?

2.財務省は統合政府の純負債(負債超過)を削り、我々一般国民の純資産を奪い取ることを目的とした省庁なのか?

 財務省から主権を取り戻すためには、件の塚崎の寄稿のような抽象的な論評ではなく、数字を用い、具体的に議論する必要があると思うのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12460453329.html



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MMTと、原真人ら400年前の愚者たち 2019-05-15
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12461406060.html

 朝日新聞が「MMT」(現代貨幣理論)にお怒りのようです。

 政府はいくら借金をしても財政破綻は起きない――米国で話題爆発の「MMT」(Modern Monetary Theory=現代貨幣理論)。日本で最初にMMTを紹介したのが評論家の中野剛志氏。4月22日の自民党の勉強会に中野氏は招かれ講演会も行った。MMTは米国では主流派経済学者から異端視され、すでに論争の的となっている。そして日本の政治家の間でも急激に広まっている。「政府が膨大な借金を抱えても問題はない」と説くこの理論を分かりやすく解説した書として中野氏の新刊『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』も注目を浴びる。今回、朝日新聞で掲載された「MMT批判」の記事に対して、中野氏が緊急寄稿した。(後略)』

 現実には、財務省がお怒りで、財務省の飼い犬である朝日新聞の原真人らが便乗しているだけなのでしょうが。

『(波聞風問)財政規律 失われゆく「あるべき論」 原真人
 借りたお金は返さないといけないというのは古今東西、共通のルールだろう。政府だって同じ。借りたものは必ず返す。万一返せなければ財政は破綻(はたん)し、国民への行政サービスが提供できなくなる。(中略)』

 後略部で、原は、

『政治家にとってそんなこと(※借りたものは必ず返す)は常識中の常識だ。もちろん現実は理想通りいかない。』
『各国が基準としている財政収支とちがって、日本だけが採用する基礎的財政収支はかなり甘い目標だ。』(プチンッ!と、欠陥が切れかけた)
『これは国家にとって一種の危機である。政権が憲法改正をめざすと言うなら、まず財政規律条項の創設から検討してほしい。』

 などと、陳腐な財政破綻論に基づくMMTや財政拡大派の攻勢を嘆き続けています。いや、お前の存在そのものが、国家の危機だ。一種ではなく、間違いなく最悪の危機だ。

 中世欧州において、おカネはい金貨や銀貨といった「貴金属の硬貨」が主流でした。結果、侵略したアメリカ大陸から金銀が送られてきたスペイン王国が一時的に世界の覇権を握りました。

 もっとも、「経済力」を貴金属の量と勘違いし、真の経済力(モノやサービスを生産する力)強化に背を向けたスペインは、自国の支配下にあった「生産性向上に努めた国」であるネーデルラント連邦共和国に覇権国の座を奪われることになります。

 この辺りは、経世史論「歴史時事 第六回 ネーデルラント連邦共和国の勝利」で取り上げます。

 さて、貴金属がおカネということは、各国の国王は戦争の際に、「正貨」たる金貨、銀貨を集めなければなりませんでした。十分な蓄財がない場合は、金融家借りるのです。

 無論、金貨や銀貨の貸し手は、担保を要求します。当時の担保は、「その国の将来世代の税収」だったのです。つまりは、原の言う、
「借りたものは必ず返す」
 あるいは、財政破綻論者がバカの一つ覚えのように使う、
「国の借金は将来世代の税金で返す。将来世代へのツケの先送り」
 は、中世欧州においては確かに正しかったのです。


 その後、アムステルダム銀行による手形決済流行、ゴールド・スミスの「ゼロからのおカネ発行(貸出)」、イングランド銀行の誕生と、おカネは「正常化」していきました。

 特に、イングランド銀行の設立。
「イングランド王国政府が公債(紙切れです)を発行し、イングランド銀行に持ち込み、イングランド銀行は「ゼロ」から銀行券(これも紙切れ)を発行する」
 というシステムを開発したイギリス(財政革命と呼びます)は、インフレ率を無視する限り、無限の資金調達力を得たに等しく、経済力と軍事力を強化。第二次対仏百年戦争に勝利し、世界の覇権国になりました。 

 逆に、ナポレオン帝政下で金属主義にこだわったフランスは敗北。人口では圧倒的に多いフランス帝国がイギリスに敗北したのは、「おカネの考え方」が主因なのでございます。

 つまりは、原真人ら時代遅れの財政破綻論者たちは、400年前の常識で語っているわけでございます。

 原は、「借りたお金は返さないといけない」と書いていますが、ならば、日本銀行の「負債」である現金紙幣についても「返済しろ」というのでしょうか。というか原真人よ、お前がまず、現金紙幣を日銀に持ち込み、
「借金を返せ。借りたお金は返さないといけないというのは古今東西、共通のルールだろう」
 と、言ってみろ。

【日本政府の長期債務残高(左軸、兆円)と長期金利(右軸、%)】


http://mtdata.jp/data_63.html#kokusaitokinri

 明治以降の例を持ち出すまでもなく、大東亜戦争敗北後に限っても、厳密には1970年以降に限っても、日本政府の負債は152倍になりました。とはいえ、国債金利は上がらず(むしろ下がり)、インフレ率は低迷。

 この現実を、どう説明するんだ、原真人よ。

 現実には「財政破綻」など起きず、政府の負債償還など不要であるにも関わらず、日本は原真人ら財政破綻論者の影響で必要な財政拡大に踏み切れず、多くの国民が死んだ。

 飢えに苦しむ貧困家庭、一人で苦しむシングルマザー、両親の所得が理由で教育を受けられない子供たち、蓄財のないまま高齢化し、貧しさに喘ぐお年寄り、介護の現場で過酷な低賃金労働に苦しむ人々、ワーキングプアと化し、結婚も出産もできない若者。

 日本国で「カネ」が理由で苦しむ国民を、日本政府は救うことができます。何しろ、政府は徴税や国債発行無しでも、財務省証券と日銀当座預金を交換するだけで、一切の負担なくおカネを支出することができるのです。

 というか、政府の予算は徴税や国債発行無しで、普通に執行されています(いわゆるスペンディング・ファースト)。

 カネの問題などないにも関わらず、原真人らの出鱈目な財政破綻論により、貧困にあえぎ、不幸に苦しみ、自ら命を絶つ国民が増えた。
 怒りに震えます。

 というわけで、自分にできることは全てやるつもりです。そろそろ、覚悟を決めなければならないときが訪れたようです。


 とにもかくにも、まずは日本の財政破綻論を撲滅しなければなりません。

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12461406060.html



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財務省の利己主義と戦う 2019-05-18
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12462076352.html

三橋貴明


 昨日は、「日本の未来を考える勉強会」でMMTについて解説したのですが、これは大変なことになる。


 と、後で気が付きました。


 わたくしは安藤先生や藤井先生、中野先生のように上品ではないので(厳密には政治家でも学者でも官僚でもないので)、財務省をもう批判。もちろん、事実に基づき、圧倒的なマウントの位置から財務省の「嘘」を暴き続け、意外に集まった国会議員に、
「財務官僚に聞いて下さい。国債発行をすると、家計の預金は減るのですか? それとも増えるのですか?」
 と、繰り返しました。


 家計の預金が減る、と答えた場合、財務省は完全に「嘘」」をついたことになり、「嘘つき省庁」として国民に認知され、歴史に残ります。というか、認知させて、残してやる。


 預金が増える、と答えた場合、財務省は事実を語ることになりますが、「今まで嘘をついていた」ことを正式に認めることになり、「嘘つき省庁」として国民に認知され、歴史に残ります。という(略


 改めて、日本の歴史を変えかねないほど重要な図です。

【政府の国債発行と、銀行預金増加の仕組み】


http://mtdata.jp/data_63.html#yokinzou


 多分、我々はスキャンダルで潰されることになるでしょうが(いや、本気です)、この図と「国債発行=家計の銀行預金増加」だけは拡散し続けて下さいませ。


 何しろ、単なる「事実」なので、誰にでも理解でき、一度理解してしまうと、二度とひっくり返りません。


 事実を周知するだけで、財務省の嘘、財政破綻論の嘘が確定する。しかも、我々は国会議員を巻き込んでおります。なかなか、洒落にならない局面を迎えようとしているのです。(さらに、今後、夏まで凄まじいイベントが目白押し。詳細は秘密!)


 これ、どうやってオチをつけるべきなのでしょうか。


 我々がスキャンダル(絶対に来る)を乗り越えたとして、絶対に発言や拡散をやめません。となると、財政破綻論を財務省自ら否定するまで続かざるを得ません。


 あるいは、政治的には財務省に、
「国債のファイナンシングといった説明をしており、国民に『預金から借りていた』といった『誤解を与えたのは遺憾』です。いずれにせよ、『以前からの我が省の主張通り』自国通貨建て国債のデフォルトはあり得ません」
 と、説明させ、オチをつけるか。


 政治的にはそれもありかも知れませんが、繰り返しになりますが、わたくしは政治家ではありませんので。


 一応書いておきますが、わたくし共は与党議員にも野党議員にもインプットを続けています。この状況でジミンガ〜、ヤトウガ〜はやめて下さい。


 自民党にもまともな議員はいるし、野党にもまともじゃない議員はいる。というか、そもそもまともな議員が与野党共にほとんどいないというのが日本の現実でしょうが。


 グローバリズムとの戦いも同じですが、この期に及んで「ジミンガ〜、ヤトウガ〜」をやっているのでは、普通に負けます。財務省との戦いでも、我々が負け、今後も緊縮財政が継続するか確率の方が「圧倒的」に高いのですよ、残念なことに。

【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】


http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/


※6月15日(土)まで、特別コンテンツ【MMTポリティクス〜現代貨幣理論〜第一回】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。


 というわけで、まともな自民党議員。

『財政赤字を恐れるな 財政至上主義は利己主義
 現代金融理論(MMT)に関心があり、4月の参院予算委員会でも質問した。
 みなさんは「貨幣」というと金貨のようなものを思い浮かべるかもしれない。紙幣も金と交換できる兌換(だかん)紙幣として始まった。わかりやすくいえば金貨を持っている人がそれを貸すというイメージだ。
財政破綻はありえない
 しかし、現在の貨幣はそうした仕組みではない。金とは関係なく国家の信用で強制的に通用している。極端に言うと元手はゼロだ。誰かにお金を貸した瞬間に、誰かの預金残高が増える。これを信用創造と言う。
 財務省などは預金残高が減ってくると国債の引き受け手がなくなり、国債の暴落、信用危機、ハイパーインフレが起きるという議論をする。しかし、実際には国債を発行するとその分、国民の側の預金残高は増えるのだから、破綻はありえない。
 貨幣は信用によって創造されている。それなのに現実とは異なる、金と交換できるような貨幣(商品貨幣)の理屈にとらわれているのが財務省だ。財務省の言う「財政赤字」をおそれる必要はない。(後略)』

 後略部で、西田先生は、
『財務省の存在意義は財政均衡にあるのだろうが、国民が困っている時に財政を振りかざして「できない、できない」というのは利己主義だ。日本の国全体で、人が困っていても仕方ないと考えるモラルの低下が起きている。 』
 と、語っていますが、財務省は利己主義です。

 というか、財務省の存在意義が財政均衡という時点で、奇妙な話です。何しろ、政府は「何の負担もなし」で、おカネを発行できる経済主体なのです。(この辺りの話は、間もなく超人大陸から公開される、わたくしの昨日のMMT解説で)


 財務省内において、単に「緊縮財政推進が出世の条件(財務官僚の家族の幸せ)」という構造になっている。財務官僚は、自らの出世や家族との豊かな生活のために、上司の指示に従い、緊縮財政が続く。


 結果、日本のGDPは二十年超も低迷し、国民は貧困に喘ぎ、国家は小国化。このままでは、普通にアメリカの属国「兼」中国の属国で、三世代後には「中華人民共和国 倭族自治区」といったところでしょう。


 この種の悪夢の未来を避けるためには、何としても緊縮財政だけは終わらせなければなりません。社会保障の充実や、交通インフラの整備、国土強靭化、教育・科学技術復興、防衛力強化、地方創生、食料安全保障の強化などは「その後」の話です。何しろ、予算制約が続く限り、結局、何もできませんので。


 こんな大仰なことは書きたくないのですが、日本国の未来を救うというよりは、赤ちゃんにまともな日本を残すためであれば、とりあえずできることは何でもやりますよ、わたくしは。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12462076352.html



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「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜
ー令和元年5月17日 講師:経世論研究所 所長 三橋 貴明氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CMLYpWlQp1E&feature=youtu.be


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2019年5月20日
【三橋貴明】財務省への宣戦布告
https://38news.jp/economy/13658


【今週のNewsピックアップ】
財務省の利己主義と戦う
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12462076352.html

宣戦布告
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12462312335.html


超人大陸から配信された

「「日本の未来を考える勉強会」ーMMTポリティクス〜現代貨幣理論と日本経済〜」
https://www.youtube.com/watch?v=CMLYpWlQp1E&feature=youtu.be


の視聴者数が物凄い勢いで伸びており、
本メルマガ執筆時点で2万2千を超えています。
(まだ配信から一日も経っていないのですが)

視聴者数が伸びてくれて、助かります。
できれば、山本太郎参議院議員との対談動画のように、
数十万の大台に載って欲しいです。

何しろ、本動画は財務省への宣戦布告も同然でございますから。
できるだけ多くの国民に
「事実」を知ってもらわないことには、正直、怖いでございます。


MMTのポイントを改めて整理すると、

1.自国通貨建て国債しか発行していない国は、財政的な予算制約はない
2.ただし、供給能力(インフレ率)という国債発行の上限はある
3.誰かの黒字は、誰かの赤字。誰かの赤字は、誰かの黒字。
4.政府は国債発行で日銀当座預金を借りており、政府の国債発行は家計の預金を増やす
5.政府はOMFにより徴税や国債発行無しで支出が可能(スペンディング・ファースト)


上記の内、1から4までは、
わたくし共が過去何年も主張し続けてきた
「単なる事実」でございます。

そして、5はMMTにより、
わたくしも初めて学んだ「単なる事実」です。

資金循環統計を見ると、
日本銀行の資産として「国庫短期証券」があります。
何となく「短期の国債」という印象だったのですが、
これがOMF(明示的な貨幣供給)の道具「政府短期証券」だったわけです。

日銀のHPを見ると、
『(2)政府の一時的な資金需要への対応等
https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exseifu01.htm/

(a)政府短期証券の引受け(2004/4月末残高:36,147億円)

日本銀行による公債の引受けは、
財政法により原則として禁止されている(財政法第5条2本文)が、
政府の一時的な資金需要に対応するために
発行される政府短期証券については、
当該条項の適用を受けないと解されており、
日本銀行法でも、日本銀行が政府短期証券の
引受けを行うことができる旨の条項が設けられている(日本銀行法第34条第4号3)。』

と、書かれています。
日本銀行は間違いなく
政府短期証券を引き受け、
日銀当座預金を発行しているのです。

つまりは、明示的な貨幣供給(OMF)です。

日本政府は一切の債務的な負担なしで、
おカネを発行し、国民を救うことができるのです。

それにも関わらず、ありもしない財政破綻論を叫び、
予算拡大を妨害する財務省。

財務省の財政破綻論の影響で、
膨大な国民が不幸になりました。

というわけで、三橋は財務省とMMT関連で
徹底的に戦うことを決意し、
動画において「宣戦布告」をしたのでございます。

◆ビジネス社「米中覇権戦争 残酷な未来透視図」が刊行になりました。
https://amzn.to/2UEWkYK

◆彩図社「亡国のメガロポリス」が刊行になりました。
https://amzn.to/2F5nqi3

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第320 MMT対財務省(後編)
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol521 おカネのプール論と資本主義
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
実は、経済学のおカネのプール論(貨幣ヴェール論)では、
資本主義が説明できないのです。

資本主義は将来の所得のために「今」おカネを借りてでも投資する、
というモデルですが、投資の際に企業が借りるおカネを、
銀行は「どのように用意している」のでしょうか?

(答えは「書くだけ」ですが)
https://38news.jp/economy/13658



▲△▽▼

続 センメルヴェイス反射 2019-05-25
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463709459.html

三橋貴明

 改めて、MMT(現代貨幣理論)は凄まじいインパクトです。まさに、天動説派が多数派を占める中で、地動説が「証明」されてしまったのと同じなのです。


 以前、ある方の本の校正をした際に、
「日銀の量的緩和で発行された当座預金は国内の投資に向かわず、中国に流れていっている」
 と、あったため、
「日銀当座預金は民間は借りられないので国内の投資に使われることはあり得ず、ましてや外国に流れることもないですよ」(外銀とのインターバンクの決済除く)
 と説明し、該当箇所を修正してもらったのですが、一体「誰」が日銀当座預金が外国に流れているなどというデマを流しているんだ、と気になってはいました。


 ちなみに、銀行の日銀当座預金は、
「日本銀行が国債や政府短期証券、政府小切手と引き換えに、日銀当座預金を増やす」
「銀行が日銀当座預金を引き出す形で、現金・硬貨を手に入れる」
「日本政府が国債発行で借り入れる」
「日本銀行が国債を売却し、代金として日銀当座預金を受け取る(そして、相殺されて消滅)」
 以外の理由では変動しません。


 もちろん、インターバンク間の決済で日銀当座預金が動きますが、この場合は特定銀行の残高は変動するものの、全体金額が変わるわけではありません。

【日本の預金取扱機関の現金紙幣と日銀預け金(日銀当座預金)兆円】


http://mtdata.jp/data_64.html#touzayokin


 量的緩和が終了していないため(事実上、終わっているけど)、預金取扱機関(銀行)の日銀当座預金は360兆円台で高止まりを続けています。

 さて、昨日の桜の討論収録で、菊池英博氏がMB(マネタリーベース、ほとんどが日銀当座預金)とMS(マネーストック、市中の現金紙幣+銀行預金)のグラフを出し、MBの増加量ほど、MSが増えていないことを示し、
「この差額が外国に流れた」
 と、言いだしたので、「あんたかっ!」という話になってしまったのです。


 当たり前ですが、
「日銀当座預金は日本銀行が銀行(及び政府)に発行するおカネで、民間は借りることができない」
 のです。「MB ⇒ MS」というおカネの流れはあり得ません。そもそも、MBとMSが「違うおカネ(※現金紙幣除く)」である以上、MBとMSの差額を見るなど、ナンセンス極まりないのです。


 例えば、日本銀行がMBを100兆円増やしたとして、民間の資金需要がなく、銀行からの借入が増えない以上、極端なことを言えば「MSの増加はゼロ」ということは論理的にあり得るのです。


 その場合、MB100兆円−MS0円=100兆円が「外国に流れた」などということにはなりません。単に、銀行の日銀当座預金口座で凍り付いているだけの話です。


 MS(ほとんどが銀行預金)は、我々がおカネを借りる際に、銀行が「通帳の口座に数字を書く」ことで発行されます。銀行は、預金を発行する際に、「資金調達」をしているわけではないのです。


 ところが、菊池氏(他、数名も)は、
「日銀当座預金を民間に貸し出し、MSを増やすことが可能」」
 と、信じていたようです。


 というわけで、まあご想像がつくと思いますが、わたくしは、
「菊池さんは日銀当座預金を借りれるの?」
「(日銀は)金貨や銀貨を発行してるわけではないんですよ!」
 と、容赦なく批判し、「日銀当座預金が国内で使われず、外国に流れていっている」という出鱈目を全否定したわけでございます。


 ということで、相当に嫌われ、憎まれることになりましたが、正しいことは正しいので、仕方がありません。


 さて、菊池氏は今後、どうするのでしょうか。


 頑なに自説(MB増加とMS増加の差額が外国に流れた)などという、金貨銀貨を使っていた中世のような話にこだわり、三橋を憎み続けるのか。まさに、現代のセンメルヴェイスの反射です。
 あるいは、自説の間違いを認め、しれっと正しいことを言い始めるのか(それでいいと思います)。


 MMTは、今後、この手のリアル・センメルヴェイス反射を頻発させることになるでしょう。とはいえ、繰り返しますが正しいことは正しいのです。


 貨幣観を正すことこそが、日本の緊縮財政路線の打破に繋がる以上、「正しいこと」を繰り返し、広めるしかありません。皆様も「日本国民の貨幣観を正す」にご協力くださいませ。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463709459.html


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三橋貴明は人の話が全く聞けない人だというのが良くわかります。
困った人ですね:

【経済討論】最終警告!亡国の消費増税[桜R1-5-25] - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=BcbuxUBgJTY


パネリスト:
 青木泰樹(京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授)
 菊池英博(日本金融財政研究所所長)
 島倉原(経済評論家・株式会社クレディセゾン主任研究員)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 浜崎洋介(文芸批評家)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総


22. 2019年5月26日 09:26:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2207] 報告
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現代の真実 2019-05-26 三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463946426.html

チャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」」に出演しました。

【経済討論】最終警告!亡国の消費増税[桜R1/5/25]
https://www.youtube.com/watch?v=BcbuxUBgJTY&feature=youtu.be


 Youtubeのコメントを見ていると、MMTというか「おカネの本質」を理解している一般人があまりにも多く、ビビりました。一般人がここまでおカネの本質について学んでいるって、これはアメリカ以上でしょう(絶対数でも)。


 わたくしが、菊池英雄氏の、

「MB(マネタリーベース)の増加分と、MS(マネーストック)の増加分の差額が外国に流れた」

 という出鱈目に怒ったのは、まずは「間違い」であり、国民に誤解というか嘘の刷り込みをしてしまうためです。インターネットだろうが、言動は「ソース」にされてしまうのですよ。


 しかも、MBを増やしたが、MSが十分に増えたなかったのは、外国に流れたからだというのは、下手に説得力がある嘘だから厄介なのです。


 もちろん、上記は「おカネのプール論」であり、完全に間違っています。

そもそも、MBとMSは直接的な関係はありません。

MBは日銀の国債等の買い取りにより「書く」ことで発行されるおカネ

MSのメインの預金は、銀行が貸し出しの際に「書くこと」で発行されるおカネ。

MB⇒MSと動くおカネは、現金紙幣だけです。

 無論、銀行準備制度の下では、銀行はMS(預金)を増やした分、MB(日銀当座預金」を増やす必要がありますが、今は量的緩和で日銀預け金が巨額になりすぎ、有名無実化しています。


 いずれにせよ、別の経済主体が「書くこと」で発行されるおカネが、同一のはずがありません。番組中でも散々に言いましたが、金貨銀貨じゃないんです。


 しかも、おカネのプール論に基づく「MBの多くが外国に流れ、MSが増えなかった」という話が正しいとなると、

「ならば、MBを発行し、外国におカネが流れないようにすれば、デフレ脱却できるよね」

 と、バカバカしい(かつ間違った)結論に結びついてしまいます。財務省が喜びそうです。

・MBを増やしても、MSは増えない(そもそも違うおカネである以上、当たり前)。

・MSやGDPを増やすためには、政府が支出をしなければならない(国債発行もしくはOMFで)。

・政府は何ら債務的負担を負うことなく、MSやGDPを増やせる。

 上記を国民が理解しない限り、結局は勝てないでしょう。

 MMTやおカネの話をしていると、むしろ「ど素人」の方が鋭いように思えます。例えば、昨日の討論で言えば、水島社長の、

「(P&Gにおカネを貸した)シティバンクは、どこからおカネを調達したの?」

「何で、量的緩和政策で日銀当座預金を発行したの?」

 という質問は秀逸でした。

 ちなみに、答えは、

「どこからも調達しておらず、単にシティバンクがP&Gの通帳に書いただけ」

「量的緩和により期待インフレ率を引き上げ、実質金利を下げ、銀行貸し出し(これはMS)を増やし、需要を創出しデフレだっきゃできるという『風が吹けば桶屋が儲かる理論』」

 でございます。

 ところで、シティバンクから100億ドルを借りたP&Gがおカネ(預金)をGEのJPモルガンの口座に振り込むと、

「シティバンクのFRB準備預金口座から、JPモルガンのFRB準備預金口座に、100億ドル振り替える」

 ことで決済します。一応、島倉氏が説明していましたが、念のため補足。

 ともかく、敵(主流派経済学、財務省、政商、財政破綻論者たち)は、財政出動、特に政治の意思が入る財政出動「だけ」は絶対に嫌! という、価値観の持ち主です。


 この辺りの話は、

【Front Japan 桜・藤井聡×三橋貴明】日本経済が落第生の(他)[桜R1/5/24]
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q&feature=youtu.be


 で、藤井聡先生とやっています。

 実は、現在の日本における経済問題は、いわゆるリフレ派、あるいはプライマリーバランス黒字化目標を含め。

「政府支出に政治家の意思を入れてはならない」
「経済には自然法則があり、人が立ち入ってはいけない」

 という、経済学(古典派、新古典派など)と、

「経済は人間の意思から始めなければならない」

 という、経済学(ケインズ、ラーナー、ミンスキー、MMTなど) との戦いなのでございます。


 いわゆるリフレ派が、財政の必要性は認めつつ「給付金にするべき」と繰り返し、政治の意思が関与するプロジェクト系(公共事業、科学技術、社会保障など)を嫌悪するのは、そういう理由なのです。


 財政はプライマリーバランス。どうしても財政赤字を増やしたいならば、機械的な給付金。

 そういえば、フリードマンのベーシック・インカムも、まさに「機械的に所得を配れ」というわけで、ヒト(政治)の意図が全く入らない社会保障というわけですね。


 そして、経済には自然法則があり、それに従うべき(政治を関与させるな)という考え方が、政商に利用され、特定のビジネスの利益最大化に使われている。


 これが現代の真実です。


 というわけで、事態を打開するためには、「間違いは間違いだ」「嘘は嘘だ」と容赦なく否定していかなければならないのです。もはや我が国には、間違い理論を許容するような余裕はありません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12463946426.html



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MMT 対 主流派経済学(後編) 2019-06-03 三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12465897701.html


 日本の報道では「異端 異端」繰り返されているため、MMT(現代貨幣理論)は「ぽっとでの新興経済学」と誤解されていますが、そんなことはありません。


 MMTはケインズ、シュンペーター、ラーナー、ハイマン・ミンスキー、ガルブレイスなど、錚々たる「知の巨人」たちの後継なのです。レイ教授やケルトン教授は、かつては「主流派」だったケインズ系の経済学の意志を継ぐ者です。


 世界大恐慌に端を発する超デフレーションを解決できなかった、当時に主流派「古典派経済学」が失墜し、代わりにケインズ的な考え方が主流になりました。戦後から70年代まで、西側先進国はケインズ的な経済政策、つまりは政府が「国民の財政主権」に基づき、需要をコントロールし、完全雇用を目指す政策により大発展。


 日本をはじめ、西側先進国の経済規模は一気に拡大しました。


 つまりは、新古典派など現在の主流派は、当時は「傍流」あるいは「異端」だったのです。


 ジェームズ・M・ブキャナンの著作である「赤字財政の政治経済学―ケインズの政治的遺産」を読むと、当時の非ケインズ派経済学者たちが、財政政策の拡大を「嫌悪していた」のが理解できます。


 ブキャナンは、政府をまるで財政赤字を垂れ流す「怪物」のごとく描いています。


 ブキャナンの「赤字財政の政治経済学 ケインズの政治的遺産(文眞堂)」から引用します。いきなり、冒頭から、


『アメリカの独立宣言の年(1776年)に、アダム・スミスは「すべての個人家庭の管理にみられる思慮分別が、大帝国の管理運営にとって愚行であるはずがない」ことをみてとった。今世紀中頃の「ケインズ革命」の到来までは、アメリカ共和国の財政運営は、このようなスミス流の財政責任原則によって特徴づけられていた。すなわち政府は、課税せずに支出してはならないし、また一時的で短命な便益の供給をもくろむ公共支出を赤字財政によって賄い将来の世代を束縛してはならない、とされた』


 と、ケインズ「革命」への憎悪から始まります。


 現代の日本に蔓延る「財政赤字は悪である」「国の借金で破綻する」「公共支出の効果は一時的で短命」といった財政否定論、あるいは財政破綻論は、ブキャナンら20世紀後半の主流派経済学者に端を発しているのです。


 ケインズは、国家(中央政府)の財政を家計簿と同一視することを否定しました。政府に通貨発行権や徴税権といった強大な権力がある以上、「家計簿で財政を語る」ことは明確に間違っています。


 とはいえ、ブキャナンは財政責任原則を唱え、当時のアメリカは「持続的かつ増大する予算の赤字」「急速に膨張する政府部門」「高い失業率」「慢性的かつ上昇気味のインフレ率」に苦しめられているとして、ケインズ主義を否定したのです。70年代後半以降、アメリカは「高インフレ+高失業率」というスタグフレーションに悩まされることになり、ブキャナンの考え方は説得力を帯び、その後の「経済学」に大きな影響を与えました。


 ブキャナンやフリードマンら、(現代の)主流派経済学者たちが「カネ」を求めていたとは思いません。とはいえ、彼らの財政均衡主義、緊縮財政、サプライサイド経済学、マネタリズムが、
「自らの利益最大化を目指すビジネス」
 により利用されたのは間違いありません。


 デフレ化政策により、税収が減ると、行政の「財政的」な維持が不可能になる(もしくは「不可能」と喧伝する)。ならば、民営化です、自由化です。規制緩和です。ついでに、外国の供給能力にも頼りましょう。自由貿易です。国境開放です。移民拡大です。もはや、国境や国籍にこだわる時代は過ぎました。


 というわけで、「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」のグローバリズムのトリニティが進み、国民貧困化、安全保障崩壊と引き換えに、一部の政商、レント・シーカー、ビジネスが利益を得る。


 主流派経済学の「インフレ嫌悪症」は、デフレ化政策の推進を容易にし、結果的に「儲けるビジネス」が出てくるわけでございます。だからこそ、主流派経済学は常に「強い」のです。

 例えば、
「日本の公務員の給料は高すぎる! 財政破綻するんだから、公務員を削れ!」
 と、ルサンチマンにまみれた国民が緊縮財政を支持すると、派遣会社最大手パソナの会長が、
「ならば、公務員も規制緩和ということで、派遣社員を可能にしよう」
 と、構造改革。今や、公務員の「五人に一人が非正規雇用」という恐ろしい状況になっています。


 さらには、財政均衡主義に染まった財務省のデフレ化政策、21世紀に入って以降、パソナ会長の竹中平蔵氏が主導した構造改革により、若者がまともな職に就けず、氷河期世代、失われた世代と化したと思ったら、就業支援を「人材派遣会社」に委託する。またもや、パソナが大儲け。

『就職氷河期世代、国が就業支援 不安定な仕事から脱却を
 「就職氷河期世代」とされる30代半ばから40代半ばの世代が安定した仕事につくための支援策を29日、厚生労働省がとりまとめた。今後3年間を集中的な支援期間とし、正社員として雇った企業への助成金の拡充や企業や自治体と連携しての職業訓練などが柱。政府は今夏にまとめる「骨太の方針」に盛り込み、数値目標を設けて達成をめざす。(中略)
 対策の柱として、人手不足の建設や運輸などの業界団体を通じ、短期間で就職に結びつく資格を得るための訓練コースをつくる。また、正社員に採用した企業には最大60万円の助成金を支払う制度の条件を緩めるほか、氷河期世代を対象にしたキャリア教育や職業訓練を人材派遣会社などに委託し、就職に結びついた成果に応じて委託費を払う。厚労省は今後、全国の労働局を通じて都道府県や地元の経済団体などと連携。具体的な支援の計画づくりを進める。(後略)』

 デフレ、国民貧困化、安全保障崩壊で大儲けした企業の政治力は高まり、さらに主流派経済学が力を増し、デフレ化政策が推進される。


 財政拡大派や、MMTなど、国民を豊かにすることを目指す考え方は無視されるか、潰される。


 そして、ついに「生産性向上」をスルーする主流派経済学の影響もあり、移民の本格的な受け入れが始まった。


 これが日本の現状なのです。


 MMTにより、歴史的な「主流派経済学」と「国民のための経済学」の争いが激化している。
 いわゆるリフレ派も、主流派経済学の一派で、インフレ嫌悪症に変わりはない。


 上記を理解して初めて、今の日本で起きていること、これから起きることが正しく見えてくるのです。

 とりあえず、我が国はデフレ脱却う実現しなければ話になりません。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12465897701.html



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元国税調査官が暴露。財務省が消費増税をゴリ押しする本当の理由
https://www.mag2.com/p/news/400450
2019.06.03 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース


先日掲載の「元国税が暴く『ヨーロッパに比べ日本の消費税はまだ安い』の大嘘」等で、消費税の「出鱈目ぶり」を指摘し続けてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。今回大村さんはメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、それほど酷い税金「消費税」を財務省が推進したがる理由を暴露しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

消費税のラスボスは財務省

これまで、このメルマガでは消費税がいかに欠陥だらけの税金なのかをご説明してきました。総務省の「家計調査」によると2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円をこえていたが、現在は290万円ちょっとしかありません。先進国で家計消費が減っている国というのは、日本くらいしかないのです。これでは景気が低迷するのは当たり前です。

この細り続けている消費にさらに税金をかけたらどうなるでしょう?景気がさらに悪化し、国民生活が大きなダメージを受けることは火を見るより明らかです。実際に、消費税が上がるたびに景気が悪くなり、消費が細っていくという悪循環を、日本は平成の間ずっとたどってきたのです。

この欠陥だらけの消費税を一体だれが推進してきたのでしょうか?最大の「ラスボス」は財務省なのです。政治家が消費税を推進してきたように思っている方が多いかもしれないが、それは勘違いです。

政治家は、税金の詳細についてはわかりません。だから、財務省の言いなりになって、消費税を推奨してきただけです。むしろ、政治家は、消費税の導入や税率アップには、何度も躊躇してきました。増税をすれば支持率が下がるからです。

それを強引にねじ伏せて、消費税を推進させてきたのは、まぎれもなく財務省です。なぜ財務省は、これほど消費税に固執し、推進してきたのでしょうか?

「国民の生活をよくするため」
「国の将来のため」

などでは、まったくありません。ざっくり言えば、「自分たちの権益」を維持するためです。今号から2回にわたって、なぜ財務省が消費税を強力に推進してきたのか? 彼らが守ろうとしてきた権益とは何なのかを紐解いていきたいと思います。

財務省は財界の代弁者

まず最初に念頭に置いていただきたいのは、財務省のキャリア官僚にとっては、「消費税は実利がある」ということです。消費税が増税されることによって、彼らは間接的にではありますが、大きな利益を手にするのです。なぜなら、大企業と財務省は、根の部分でつながっているからです。

ただ財務省といっても、財務省の職員すべてのことではありません。財務省の「キャリア官僚」のみの話です。なぜ財務省のキャリア官僚が、消費税の増税で利益を得るのかというと、それは彼らの「天下り先」に利をもたらすからです。天下り先が潤うことで、財務省のキャリア官僚たちは、間接的に実利を得るのです。

財務省のキャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下りしています。三井、三菱などの旧財閥系企業グループをはじめ、トヨタ、JT(日本たばこ産業)、各種の銀行、金融機関等々の役員におさまるのです。

しかも、彼らは数社から「非常勤役員」の椅子を用意されるので、ほとんど仕事もせずに濡れ手に粟で大金を手にすることができるのです。

財務省キャリアで、事務次官、国税庁長官経験者らは生涯で8億〜10億円を稼げるとも言われています。この辺の事情は、ネットや週刊誌を見ればいくらでも出てくるので、興味のある方は調べてください。

つまり財務キャリアたちは将来、必ず大企業の厄介になる、そのため、大企業に利するということは、自分たちに利するということなのです。

このメルマガでも何度か説明してきましたように、消費税というのは大企業にとって非常に有利なのです。というのも、消費税の導入や消費税の増税は、法人税の減税とセットとされてきたからです。

消費税が導入された1989年、消費税が3%から5%に引き上げられた1997年、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年。そのいずれも、ほぼ同時期に法人税の引き下げが行われています。その結果、法人税の税収は大幅に減っています。

法人税は、消費税導入時の1989年には19兆円ありました。しかし、2018年には12兆円になっているのです。つまり法人税は、実質40%近くも下げられているのです。

「日本の法人税は世界的に見て高いから、下げられてもいいはず」と思っている人もいるかもしれません。が、その考えは、財務省のプロパガンダにまんまとひっかかっているのです。

日本の法人税は、名目上の税率は非常に高くなっていますが、大企業には「試験研究税制」「輸出企業優遇税制」などの様々な抜け道があり、実質的な税率はかなり低いのです。

日本の法人税が実質的に低いことの証左は、日本企業の内部留保金を見ればわかります。日本企業はバブル崩壊以降に内部留保金を倍増させ446兆円にも達しています。

また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあります。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。

アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。経済規模に換算すると、日本はアメリカの2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の預貯金を日本企業は持っているんですよ!

だから、本来、増税するのであれば、消費税ではなく、法人税であるべきなのです。なのに、なぜ法人税ではなく消費税を増税するのかというと、先ほども述べたように財務省のエリートたちは、大企業に天下りしていくため、彼らは財界の代弁者となってしまっているのです。

なぜ大企業は財務省キャリアを受け入れたがるのか?

官僚の天下りというのは、昔から問題になっていたことであり、何度も国会等で改善策が施されたはずです。官僚の天下りはもうなくなったのではないか、と思っている人もいるはずです。

確かに、財務官僚以外のキャリア官僚たちの天下りは、大幅に減っています。が、財務官僚の天下りだけは、今でもしっかり存在するのです。なぜ財務官僚だけが、今でも堂々と天下りをしていられるのでしょうか?

実は、現在の天下りの規制には、抜け穴が存在するのです。現在の公務員の天下り規制は、「公務員での職務で利害関係があった企業」が対象となっています。が、この「利害関係があった企業」というのが、非常に対象が狭いのです。

たとえば、国土交通省で公共事業の担当だった官僚が、公共事業をしている企業に求職をしてはならない、という感じです。が、少しでも担当が違ったりすれば、「関係ない」ことになるのです。

また、バブル崩壊以降の長い日本経済低迷により、企業たちも天下り官僚を受け入れる枠を減らしてきました。だから、官僚の天下りは相対的には減っています。しかし、財務官僚だけは、ブランド力が圧倒的に強いために、天下りの席はいくらでも用意されるのです。

財務省というのは、一般の人が思っているよりはるかに大きな国家権力を持っています。財政だけじゃなく、政治や民間経済にまで大きな影響を及ぼしているのです。日本で最強の権力を持っているとさえいえます。そのため、その権力をあてにして、大企業が群がってくるのです。

しかも、企業にとって、財務官僚の天下りを受け入れるということは、税金対策にもなります。財務省は国税庁を事実上の支配下に置いており、徴税権も握っています。そのため各企業は、税金において手心を加えてもらうために、競うようにして財務官僚の天下りを受け入れているのです。

つまりは、大企業が税金対策のために財務官僚を天下りで受け入れていることが、国民全体に大きな損害をもたらしているといえるのです。

もし財務官僚を「上場企業への天下り禁止」などにすれば、国の税制は大きく変わるはずです。少なくとも、今のような大企業優遇、消費税推進などの流れは必ず変更されるはずです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)



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人類文明の歴史を変える"骨太の統計" 2019-07-15
三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12494139025.html

 


 昨日に続き、国民民主の「家計第一の経済政策」というよりは、MMTと資金過不足統計の話。
 昨日掲載した「資金過不足統計」厳密には「日本の資金過不足のグラフ」は、冗談でも何でもなく、人類の文明、歴史を変えてしまうほどに重要なのです。

【日本の一般企業、政府、家計、海外の資金過不足(兆円)】


http://mtdata.jp/data_65.html#kabusoku

 MMTが証明というよりは「説明」した「現代の貨幣の理論」は、
1.信用貨幣論(銀行が貸し出す際に、預金通貨が生まれる」
2.スペンディングファースト(政府は徴税なしで支出をしている)
 の二つが大きな柱になっています。いわば、骨太の理論です。本来は「背骨の理論」と呼ぶべきですが、竹中氏への嫌味を込めて「骨太」を使います。


 スペンディングファースト、日本政府は政府短期証券(要は短期の国債)を「子会社」の日銀に持ち込み、日銀当座預金を発行させ、支出をしています。MMTのいう「OMF(明示的貨幣供給)」です。


 この時点で、「日本政府の財政破綻」の可能性が「ゼロ」であることが理解できます。まあ、藤巻ら頭がおかしい財政破綻論者たちは、死の瞬間まで、
「ザイセイハタンガ〜ッ!」
「ハイパーインフレーションガ〜ッ!」
 と、叫び続けるでしょうが、とりあえず日本国民の99%は「説明されれば、理解できる」はずです。


 現実に、OMFをしている日本政府が、どうすれば「自国通貨建て国債の債務不履行」になるというのでしょうか。日本が世界を征服しちゃう可能性の方が高いでしょう。


 OMFと信用貨幣論が理解できれば、先日から繰り返している通り、政府の財政赤字(資金不足)は「貨幣発行量の増加」に過ぎないことが理解できます。


 ここに、資本主義の基本、すなわち、
「資本主義とは企業が負債(=資金不足)により、投資を拡大することが王道」
 という知見を加えると、日本の80年から86年が、まさに「資本主義の王道」であったことが理解できます。


 あ、未だに理解していない人がいますが、資金過不足は「資金」のデータであり「損益」ではありません。資金不足=損益計算書上の赤字は意味していませんので、ご注意ください。


 企業が負債・投資を拡大し、資金不足となっても、損益計算書上では「投資は減価償却で計上」となるため、赤字になるとは限りません。いや、普通、なりません。


 企業経営者の方であれば、すぐに分かります。というか、分からなければだめです。


 さて、企業はともかく、政府は預金をしません。というわけで、信用貨幣論から、
1.政府の資金不足(財政赤字)=貨幣発行量の増加
2.企業の資金不足(負債拡大、もしくは預金減少)≒銀行預金という貨幣発行量の増加
 が分かります。

 なぜ「2」が「=」ではなく「≒」なのかといえば、企業の「預金取り崩し」という資金不足は貨幣発行ではないためです。銀行預金は、あくまで「企業の借入」により発行されるおカネです。


 政府が財政赤字を出す(=国債発行)、あるいは企業が銀行からおカネを借り入れれば、普通は「家計の銀行預金の増加」となります。


 もっとも、デフレ期に企業が資金「過剰」となると、借金返済で銀行預金というおカネが消滅するか、もしくは政府の財政赤字により発行された銀行預金を「家計と企業が奪い合う」状況になります。<今ここ

【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】


http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。


【資金過不足統計のインフレ型とデフレ型】


 改めて、資金過不足の図を見ると、
第一期 80年〜86年 王道資本主義
第二期 87年〜92年 バブル期 企業の資金不足(借入)が激しく膨張し、政府が財政黒字化
第三期 93年〜97年 バブル崩壊期 企業の資金不足の縮小を、政府の財政赤字で補う
第四期 98年〜18年 デフレ期。バブル崩壊+緊縮財政により日本経済がデフレ化。企業が資金不足から資金過剰に転換し、貨幣を「消滅」させていっている。あるいは、政府の財政赤字で発行された貨幣を家計と奪い合っている。

 と、80年以降の日本が四期に分かれていることが分かります。

 四期目、長すぎですが・・・。


 いずれにせよ、日本は資金過不足統計が、第一期、王道資本主義の「インフレ型」になるまで、政府が財政赤字を拡大しなければならないということになります。


 そして、ここがポイントですが、
「政府の財政赤字拡大は、貨幣発行量の増加に過ぎない」
 のです。


 つまりは、家計を豊かにする、より具体的には「家計の資金過剰≒銀行預金」を増やす経済を実現したいならば、
「企業が安定的に資金不足になるまで、政府の資金不足(財政赤字)を拡大する必要がある」
 という話になります。


 他に、国民民主党の「家計第一の経済」を実現する手段はないのです。


 すべての経済政策、経済指標は、資金過不足統計に従属します。資金過不足のグラフが「インフレ型」にならない限り、GDPを含めた他の経済指標は総合的には好転しようがないのです。


 つまりは、資金過不足統計はbackbone statistics、すなわち"骨太の指標"ということになります。


 日本の"骨太の指標"たる資金過不足統計が「デフレ型」を継続する限り、我が国の経済成長はなく、長期的なアメリカの衰退の後、人類文明は「中国共産党」に支配されることになるでしょう。


 大げさでも何でもなく、日本国民がMMTや本ブログで展開される「経済の真実」について正しく知ること、あるいは知らないことが、人類の歴史を大きく変えてしまうのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12494139025.html



▲△▽▼

恐怖のグラフ 2019-07-22 三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12496630093.html

【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】概論、MMT(現代貨幣理論) - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=sJG7gqRbsAI

【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】MMTと日本経済の謎 - YouTube動画
https://youtu.be/1GmSBTFKeKo


 参議院選挙が終わりました。10月の消費税増税は、もはや覆ることはないでしょう。日本国民は実質賃金が下落している状況で、強制的に物価を引き上げる消費増税という「苛政」を民主主義で選択したことになります。


 特に、今回は10%という「分かりやすい税率」になるため、需要(消費量)に与える影響は大きい。


 しかも、色々とリサーチしたところ、今回は「駆け込み消費」が全くない。すでに、国民は駆け込み消費ができないほどに貧困化しているのです。


 もっとも、希望がないことはありません。本件については、ラストに。


 グローバリズムのトリニティは、「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」の三点セットをパッケージとして推進し、「今だけ、カネだけ、自分だけ」のグローバリストを富ませ、多数派の国民を貧困化に叩き込み、国家の安全保障を破壊。最終的には、国民国家そのものを亡ぼす路線です。


 ケルトン教授との対談(第二回)でも示した通り、日本は21世紀に入って以降(厳密には97年以降)、政府支出を全く増やさず、反対側で、消費税は増税。


【国民経済のシンク(水槽)】


http://mtdata.jp/data_65.html#sink


 国民経済のシンクに水を入れず、排水管から抜きまくっていたわけです。それはまあ、デフレーションが続いて当然です。


 もっとも、「グローバリストを富ませる」ためには、緊縮財政だけでは不十分です。金融市場や労働規制の緩和、さらには法人税減税、分離課税など、企業というか「企業に投資している投資家」に有利な政策を進める必要があります。


 というか、本気で「緊縮財政」を貫くならば、法人税は増税、分離課税は廃止しなければならないはずです。現実には、日本政府は法人税減税で企業を富ませ、分離課税で富裕層を富ませる政策を推進しつつ、反対側で消費税を増税。つまりは、
「高所得者層に減税し、ツケを国民全体で負担する」
 という政策を採ってきたわけです。


 法人税減税にしても、目的は配当金や自社株買いを増やすこ。株主を富ませる政策であることに変わりはありません。


 一連の、グローバリズムのトリニティは、デフレで所得のパイが拡大しない中、特定のグローバリストに所得、富を偏在させることが目的で推進されました。結果的に、国民が貧困化するのはもちろん、企業側も大変な状況になってしまっています。

【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】


http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。

 本グラフの作成者は、福岡で企業を経営しつつ、大学院で博士課程で勉強されている相川清氏。施先生の研究室の院生さんです。グラフは相川氏の修士論文「グローバル化時代における日本型資本主義の理想と可能性」に掲載されたものでございます。


【日本の資本金10億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資等の推移(97年=100)】


http://mtdata.jp/data_65.html#houjin


 嘘だろ! という印象です。


 97年を基準に資本金10億円以上の日本の大企業は、2017年までに配当金を5.7倍に増やしました。極端な株主優遇政策です。
 そして、経常利益は3倍になっているにも関わらず、売上は横ばい。どういうことでしょう。


 簡単です。
 企業はデフレで売上が伸び悩む中、人件費(97年比で▲7%)、設備投資を(同▲36%!!!)削減。販管費や減価償却を抑え込み、強引に利益を膨らませ、配当金を支払ってきたわけです。


 無論、政府の法人税減税も、配当金拡大に貢献したことは言うまでもありません。


 今回の図の注目点は、予想通り人件費は抑制されているのですが、それ以上に「投資▲36%」です。日本の大企業は、配当金の原資となる利益拡大に注力するあまり、企業のコア・コンピタンスたる「投資」を怠ってきたのです。


 日本企業は、恐るべき勢いで弱体化していっています。これほどまでに投資を減らしてしまうと、生産性は高まりようがありません。


 相川氏の図は、日本企業が人件費や自らの生産能力(資本)を削りながら、配当金を株主に貢ぎ続けたことを明瞭に示しているわけです。まさに、恐怖のグラフです。


 日本国民にしても、所得低迷(賃金抑制)や法人税減税(&消費税増税)という形で、配当金拡大に「協力」させられています。


 というわけで、希望の話。


 わたくしは以前、日本のグローバル化は相対的に進んでいないため、欧米のように「国民主義」の政治勢力が勃興する時期は、もっと遅いのではないかと考えていました。とはいえ、相川氏の図を見る限り、我が国はすでに相当に「食い尽くされている」状況に至っています。


 このタイミングで、MMTが広まり始め、かつ国民経済のデフレを深刻化させることが確実な消費税増税が強行される。


 山本太郎氏が、全国比例としては落選者として史上最大の90万票を獲得したことからも分かりますが、反・緊縮財政の「国民の声」は高まっており、消費税増税でさらに高まることになるでしょう。


 妙な話ですが、日本は本格的な移民国家に落ちぶれる「前」の段階で、デフレとグローバリズムにより「反グローバリズム」勢力が勃興する下地を整えられたことになります。


 相川氏の図から「日本で何が行われてきたのか」は、あまりにも明らかなのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12496630093.html




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【三橋貴明×ステファニー・ケルトン】MMTポリティクス - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=6NeYsOQWLZk


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2013/6/18
三橋貴明には気をつけろ・・・「日本はこんなもんじゃない」という幻想
https://green.ap.teacup.com/pekepon/1155.html
 
■ 経済論では無く、「日本は韓国や中国より優れている」と証明したいだけ ■

三橋氏は、「韓国経済崩壊論」でネットから登場した人物です。

彼は経済学者では無く、中小企業診断士が本業の様ですが、
実は「三橋貴明」というのはペンネームなんだそです。

彼の「経済論」の目的は、「日本は韓国や中国より優れている」と証明する事の様に思えます。
それが、長引く景気低迷で悲観的になっている若者の心に希望を植え付けるのでしょう。
同時に、ネトウヨ的な現在の風潮にシンクロして支持を拡大します。

経済学者や経済を専門に学んだ人達は、議論がかみ合わないので無視していますが、
安倍総理に影響を与えている事などを考えると、彼の影響力は小さくはありません。
むしろ、ネットでの支持は高く、政治に興味の無かった若者を自民党支持者にしています。

■ 経済学の美味しい所をツマミ食いする合成経済学 ■

彼の「経済学?」は、現存の経済学の美味しい所を合成して出来上がっていますが、
都合の悪い所は、あえて無視する事によって独特の体系を作り上げています。

その最たる物が、「自国通貨建ての内国債は破綻しない」というものですが、
高率のインフレを「破綻では無い」とする事のスリカエでしかありあません。

国家や中央銀行は国民に対して責任を負う立場にあるので、
通貨や国債の信用を失う政策は普通は取りません。

しかし、政治家や政党は人気取りの為に、大衆迎合の政策に陥りがちで、
国債を増発したり、通貨を大量に発行して古来より財政破綻を繰り返しています。

その反省の元に、現在の中央銀行制度は成り立っており、
政府から独立して通貨を管理する事で、通貨の信用が損なわれる事を防いでいます。

現在の世界の経済は密接に絡み合っているので、
ドルかユーロか円のいずれかが崩壊しても、
世界経済はパニックに陥り、通貨が紙でしか無い事が急激に意識されます。

ですから、IMFは各国の財政状況や債務残高に口出ししますし、
通貨の信用を軽視する国は、徹底的に糾弾され、市場ではその国の通貨が暴落します。

■ ケインズが天国で嘆いている ■

三橋氏に限らず、リーマンショック以降、クルーグマンなどケインズ派が復活しています。

ケインズは「不況に際しては国家が財政出動して景気を下支えするべきだ」と主張し、
実際に世界恐慌の時には、アメリカではニューディール政策が実行されました。

ケインズ経済学は戦後も主流派でしたが、
各国の財政赤字が拡大した事で、だんだんと新古典派に主流の座を明け渡して行きます。

新古典派、特にシカゴ学派は、「市場原理を重んじる事で、経済は自律的に成長して行く」と主張し、
アメリカやイギリスでは金融革命という名の下に、様々な規制が撤廃されて行きます。
その結果、市場は不必要なまでに拡大し、自己崩壊を起します。
これが、リーマンショックです。

シカゴ学派の生み出した金融革命が失敗に終わると、
ケインズ派が再び台頭してきます。
「中央銀行に大量の通過を供給させて崩壊を防げ」と主張します。
さらに「政府は需要創出の為に財政を拡大しろ」という主張も高まります。

しかし、ケインズ政策の行き着く先にケインズは自覚的です。
結局破綻する事を彼は知っています。

だから彼は「アニマルスピリット」に期待し、
野心によるイノベーションが経済を活性化させると述べたのでしょう。
ですから、規制緩和や構造改革の元祖もケインズだと言えます。

■ アニマルスピリットをあえて無視する三橋経済論 ■

三橋貴明氏の経済論の不自然な所は、市場原理を軽視しているところです。

1) 日本国債の保有者は日本の金融機関だから、
   日本国債の金利が上昇しても日本国債の投売りは発生しない。

2) 世界経済の危機が深刻化したら、安全資産として日本国債が買われる

3) 金融危機が発生したら、景気が後退するのだから国債金利は低下する

三橋氏の主張は、ある意味において常識的です。
しかし、一方で想定外の危機を無視しています。

ケインズの言う所のアニマルスピリットは、人の欲望が経済の不安定化の要因で、
アニマルスピリットによって、非合理激な決断が為される事がるというものです。

アニマルスピリットが無ければ、経済は縮小し活力を失いますが、
アニマルスピリットが時として経済に回復不能なダメージを生み出します。

市場参加者は、普段は「日本国債は安全だ」と判断しています。
しかし、異次元緩和で混乱が発生した様に、
需給バランスが崩れる様な事態が発生すれば「日本国債は危険だ」と判断するはずです。

国債市場で巨額の資金を運用する担当者は、
金利が上昇し始めれば、損失が拡大するので、どこかの時点で国債を売却せざるを得ません。
本当は皆が売らなければ、金利上昇も抑制されますが、
市場を恐怖が支配すると、個人の合理性が優先され、合成の誤謬が発生します。

「誰かが売り抜けたら、自分が損失を被る」・・・これが市場原理です。

三橋氏が「日本国債は破綻しない」と主張する背景には、
危機に際しても、日本国債の市場参加者達は、市場にとっての合理的判断を下し、
個人の合理性を抑制出来ると信じているのです。

はたして「自国通貨建ての内国債」は崩壊しないのか、
私は日本国債市場で実際に運用を担当されている方に伺ってみたいと思います。

尤も、実際の運用は、もっとテクニカルな理論に基づいていて、
現状は「暴落」などというリスクは想定外なのでしょうが・・・。


■ いざとなったら日銀が日本国債を全部買えば良い ■

三橋氏は「日本国債が暴落したら日銀が全量買い取れば良い」と言っています。

1) 日銀の金利収入は国庫に返納される
2) 政府が国債を発行して、日銀が引き受ければ事実上国債金利は発生しない
3) 財政が拡大したら、その分日銀が引き受ければ良い

確かにその通りなのですが、これは政府通貨と同じ事になり、
政府が経済規模に応じて通貨を直接発行する事と何ら変わりありません。

「実は政府通貨が何故いけないのか?」という疑問に、誰も正しい解答は出来ないと思います。
政府が十分に自制的であるならば、通貨の不必要な増刷も避けられるはずです。
もし、政府通貨が許されるのであれば、政府は財政赤字を気にせずに、
必要と思われる量の通貨を自分で発行して、公共事業を推進する事も出来ます。

しかし、実際の世の中では、政府通貨は通貨システム最大のタブーとされています。
政府が勝手に通貨を発行したら、民主主義の元では人気取りの為に
政府は財政を拡大してばら撒きを続け、結局はインフレを招くとされています。

同時に、国内の通過量がどんどん増えて行くので、為替が下落します。
これも輸入価格の高騰を招き、結局はインフレを助長します。

実際にジンバブエなどはこのケースに近く、
自国通貨建ての内国債を大量に発行してそれを中央銀行がファイナンスしています。
その結果がどうなったかと言えば、ハイパーインフレが発生しています。

三橋氏は日本は供給力が有り余っているのだからインフレは発生しないと主張します。
しかし、日銀が国債を直接引き受けたと市場が判断すれば、
将来的なインフレを予測して、金融機関は手持ちの国債を手放そうと必死になります。
金利が極端に低い国債を保有し続けていては、金利上昇局面で損失が拡大するからです。

かくして、日銀が銀行などが保有する国債も市場から買い上げる事になり、
市場に一気に円があふれ帰ります。

この状況を見て国民は判断するでしょう?
私なら、預金を引き出して、現物で価値を保存しようとします。
皆が同じ行動に出ると思われるので、銀行はシャッターを開ける事が出来なくなります。
所謂、「取り付け騒ぎ」が発生し、預金封鎖が実行されるでしょう。

「日本国債が暴落したら日銀が全量買い取れば良い」などという発言は、
責任ある大人の発言とは思えません・・・。

これを口に出来るのは、「中央銀行制度はロスチャのシステムだから破壊しろ」と主張する
ちょっと頭のネジの緩んだ、私の様な陰謀論者だけです・・・。
あるいは、ロン・ポールの様な、過激なリバタリアンでしょう。

■ 高橋是清の政策を理解していない三橋貴明 ■

「昭和恐慌の際には高橋是清が日銀に日本国債を直接買い取らせたがハイパーインフレは起きていない」

これも三橋氏がよく使う言葉です。

1) 当時の国際市場は未発達だった
2) 日銀は買い取った国債を、再び売却してインフレを抑制していた。

この事実は無視です。

現在の日本国債市場は規模も大きく、取引も活発です。
日銀が日本国債を直接買い取ったら、
日本国債市場は瞬時に反応して暴落します。

尤も、国債市場が暴落した後に日銀の全量買取に進むので、
既に、この時点で、日本国債市場は存在意義を失っています。


■ 少子高齢化は低迷の原因では無いのか? ■


三橋氏は日本のデフレの原因は、緊縮財政に原因があると声高に叫びます。
少子高齢化で経済は縮小しないと主張します。

日本国債はどんなに発行しても暴落しないと主張しているので、
財政だって、必要なだけ拡大しても構わないというのが彼の主張です。

しかし、少子高齢化の日本では、労働者が減少し、高齢者が増加するのですから、
財政負担は何もしなくても拡大し、プライマリーバランスは悪化します。
納税者が減り、年金需給者や福祉の対象者が増えるのですから当然です。

三橋氏が良く引き合いに出すクルーグマンですら、
「日本の人口動態は酷い」と言っていま。

三橋氏の主張は、財政を拡大して、日本経済を成長軌道に乗せれば
税収も増加して、プライマリーバランスは改善するというものです。

間違ってはないなのですが、費用対効果の認識が欠落しています。
国土強靭化などで公共事業が増発された場合、
一度動き出した巨大事業は10年くらいは継続されます。

もし、財政を拡大しても名目GDPが拡大分しか増加しなければ、
その効果は一過性で、後には財政赤字と、
メンテナンスコストが掛かる不要なインフラが残されます。

高齢化の進行する日本で、これ以上のインフラは不要です。
むしろ、財政的には既存のインフラのメンテナンスで手一杯になります。

■ ストックがある内に作っておこう ■

一方、考え様によっては、財政拡大余力がある内に、将来の為のインフラを整備しておこう・・
こういう考え方も正しいと思います。

しかし、これは財政破綻を前提にした考え方です。
今の内に作っちゃって、財政破綻の高インフレで支払いはチャラ・・・・。

しかし、それにしたって、作るべきものは、将来の日本の発展に寄与する
都市部のインフラの強化が主体であるべきで、
海岸線を津波防止の高い防波堤で固めて、日本の景観を損なう事業であるはずがありません。

そんな物を作るくらいなら、津波襲来時の非難訓練を徹底したり、
非常用備蓄に予算を回す方が効果的です。
防波堤が整備される前に津波が襲う可能性もあり、
あるいは、防波堤が一部だけ整備された時点で、財政破綻を迎えるかも知れません。

スーパー堤防と同じ運命を歩むのは明確です。

■ 「国民の為」という欺瞞 ■

三橋氏は「国民の為」という表現も良く使います。
だいたい、こういう事を言う人物は、政治家同様に信用がなりません。

「国民の為」と軽がるしく口にする人物の主張は、
メリットだけが強調され、デメリットやリスクが過小に評価されています。

政府が財政を拡大しても、将来的な税収の増加でバランスする・・・・。

財政拡大に現在の私達の懐は痛みません。
しかし、将来の税金は誰が払うのでしょう?
思った様に税収が伸びない場合は、増税が待ち受けています。

「今の君たちに利益があるのだから」というタダ乗りの理論は、大衆受けします。

■ 「日本の実力はこんなもんじゃない」という洗脳 ■

三橋氏が若者の支持を集める最大のポイントは、
「日本の実力はこんなものでは無い」という若者の自尊心をくすぐる言葉です。

製造業で韓国や中国に押され、20年以上も不景気の底に沈む日本で、
若者は失望の内に暮らしています。

そこに救世主が現れ「おまえ達はもっと出来る子だよ」と甘言を弄しているのです。
「中国や韓国は見かけだけで、本当にすごいのは日本人だよ」と囁きます。

最近のネトウヨの深層心理に見事に迎合する事で、三橋氏の支持は拡大しています。

■ 日露戦争前や第二次大戦前と似ている ■

現代の「経済宗教」である三橋教の雰囲気は、
日露戦争や第二次体制前の一部の言論に良く似ています。

そして、朝日新聞などが国民を煽った様に、三橋氏も若者を煽ります。
この雰囲気は非常に危険なものを感じます。

安倍総理は、彼に参議院選挙に立候補する様に要請したそうです。
三橋氏は断った様ですが・・・。

■ 個人のブログで個人を攻撃するのは好ましく無いが・・・ ■

基本的に個人のブログで個人の実名を挙げて攻撃する事は好ましくありません。
特に、匿名ブログであるだけに、卑怯とも言えます。

しかし、三橋氏は一種の「言論人」ですから、批判を受けるのは当然とも言えます。
批判に対して「抗弁」で対抗するのが「言論」であり、
本来、彼が「経済学」を批判するならば、それなりの「経済学者」が相手をすべきなのです。

しかし、あまりにも意見がかみ合わないのと、狂犬に触れると噛み付かれるので、
多くの経済学者は三橋氏を無視しています。

しかし、彼が多くの若者の支持を集め、安倍総理の信頼を得ているのなら、
その影響力を過小評価するのは危険だと思います。

池田信夫氏は、三橋氏を批判し始めましたが、
そろそろ、きちんとした経済学者が、批判を展開しても良い頃かと思います。

尤も、狂信者達は、それをも糧として信仰を深めてしまうのでしょう。


ケインズがあの世であきれています・・・。


最後に三橋貴明批判をブログで展開されている「meguのブログ」さんが痛快です。
三橋氏がリフレ論の根拠とする高橋是清についても詳しく調べていらっしゃいます。

http://megu777.blogspot.jp/2013/01/vs.html

少々、市場を妄信しすぎている感じもありますが、
まあ、経済を専門に勉強されている方からすると、
三橋氏の言説は相当頭に来るのかも知れません。


私はトンデモ論が好きですから、三橋氏の隠れファンではありますが・・・・。
この間、本も買っちゃたし・・・
でも直ぐにブックオフで売ったら100円にしかならなかった・・。


コメント

2019/6/18 14:24
投稿者:人力


ガリトン さん

最近のエントリーでMMTを議論しています。宜しければご覧になって下さい。

現在の経済はリアルな経済と資産市場というバーチャルな経済が重なり合っており、バーチャル経済は貪欲に資金を飲み込みます。これが金融政策のバッファーとなっているのでリフレ政策drもインフレ達成は容易ではありませんでした。そこで直接お金を国民にばら撒けば強引にインフレを達成し経済が活性化するというのがMMT支持者の本音ですが、既にアベノミクスの初期にクラウディングアウトが発生した様に、建設業を筆頭に限られた労働資源を政府と民間で奪い合う結果を生み出します。

そして、一旦は国民に配布された資金も、金利に引っ張られて資産市場でリスク運用されるので、国内景気の回復効果は限定的です。一方で、フリーランチは存在しないので、危機が一度発生して悪い金利上昇が始まると、金融政策も財政政策もこれをコントロールする術を持ちません。

テールリスクは見えにくく、時間的にも未来に押し込められているので、近視眼的な方々はこれを軽視し、いざ危機が発生すると「予測し得ない危機でブラックスワンだった」などと誤魔化します。

MMTは、劇薬ですが遅効性なので注意が必要です。


2019/6/18 11:40
投稿者:ガリトン

MMTが米国からやってきて物議を醸しだしていますが
が、どうでしょう。足元の国内の人物には見向きもしない
日本人も、海外、とくに欧米の情報には弱く、信用してし
まいやすくないですか。これまでの貨幣という常識の裏が
透けてみえてきました。


2018/8/21 20:33
投稿者:日本男児は文句を言わない

30歳以下の健康保険免除、所得税・住民税減税あるいは定期的に地域振興券を配布したほうが良いと思います。三橋何某や藤井何某の説明ですと、キャッシュフローが大きくなって終わりです。

三橋の話を一般家庭に置き換えると、消費者ローンから借りた100万円を、政府が0円にしてくれると言っているようにきこえます。日本人は皆、日本政府の連結子会社の従業員ですから、その従業員の負債を0円にするのは親会社である政府の役目となりますね。

交通関係と堤防や防衛の予算は、だいぶ無理に捻出しているのがわかります。
これでも不足していると感じている人がいるならば億単位のふるさと納税を実施して用途を「公共土木」に限定するしかありません。

三橋氏や藤井氏など国を思う気持ちは大事だと思いますしとても立派ですが、公共事業ではデフレ脱却や経済成長は難しいのが現実です。

三橋信者の人たちはまず、たとえ低賃金であっても地道に働いて汗を流してしっかり納税することがもっとも経済成長につながることを自覚してほしいです。

日本人が中国韓国より、素晴らしい民族であるならば、文句や不満をネット上であっても言わずにまじめに働くのではないでしょうか?日本男児ならできるはずです。

2018/2/21 12:18
投稿者:人力

インフラ研究者 さん

最新の記事でちょっと妄想してみました。防災インフラの重要性は充分に理解しておりますが、インフラ整備の費用対効果が地方においては益々低下しる時代に、従来のシステムはいつか破綻し、「強制的な選択と集中」が発動する気がしてなりません。

欧米人は合理的思考で社会を改革しますが、日本は切り捨てる事が苦手で、結局は「どうにもならない事態」が問題を解決するのかな・・と。


2018/2/20 8:28
投稿者:人力

インフラ研究者 さん

感情的なコメントが多い当エントリーに、冷静で丁寧な書き込みを頂いた事、驚いています。じっくりご返答させて頂きたいので、先ずはお礼まで。

2018/2/20 4:43
投稿者:インフラ研究者


続き

>防波堤が整備される前に津波が襲う可能性もあり、あ
るいは、防波堤が一部だけ整備された時点で、財政破綻
を迎えるかも知れません。

近視眼過ぎるのではないかと思います.完工前に災害が
発生したら無駄だと言うのであれば,これまで整備して
きた防災インフラはどのような論理で整備されてきたの
でしょうか?いずれの防災インフラも完工前に災害が発
生するというリスクの中で実施されてきたのではないで
しょうか?完工前に災害が発生しても次の災害を防ぐ事
が出来ます.また,しっかりとした防災投資がなされて
いるという安心感がその地域における投資を活性化する
のではないでしょうか?

財政破綻が整備期間中に発生するという点,防災インフ
ラ投資のための起債が財政を圧迫することを念頭に置か
れているかと思います.しかし,防災インフラが災害時
に効果を発揮し,投資額以上の減災効果を生めば,防災
インフラを整備していないケースと比較してむしろ債務
を減らす効果があるのではないでしょうか.災害が起こ
る前に財政破綻が起こるというのであれば,数十年に渡
って発生するストック効果に主な意義を持つ防災・更
新・新設いずれのインフラ投資なんか無視し,債務返済
に当てたほうが良いことになります.しかし,年度の金
額で見ると,建設国債の発行額は6兆程度.それに対し
て日本の社会保障費は30兆円程度,プライマリバランス
赤字は20兆円.そして,債務残高は1200兆円.インフラ
が債務問題の本質とは思えません.

>高齢化の進行する日本で、これ以上のインフラは不要
です。

高齢化社会になると何故インフラが不要になるのでしょ
うか?高齢化は働き手不足の継続的な悪化を意味します
から,将来に向けて早めにインフラの質を高め,一人あ
たりの生産効率を高めるおくことが必要ではないでしょ
うか.正に■ストックがある内に作っておこう■に相当
するかと思いますがいかかでしょうか.

是非再考を期待したい所です.


2018/2/20 4:42
投稿者:インフラ研究者

三橋氏がどんな方かは存じませんが,インフラ投資に関
しては,以下の点もどうぞご検討頂け
ればと思います.

>海岸線を津波防止の高い防波堤で固めて、日本の景観
を損なう事業であるはずがありません。

十分な高さの防波堤を作らなかった結果として,海岸部
の景観どころか街そのものが台無しになった311の現実
があります.日本は世界でも最大級の津波が押し寄せる
国であり,津波を敵と考えれば世界最大規模の大きな城
壁(防波堤)があっても何らおかしなことではないかと
思います.投資によって防げる災害被害はどのようなも
のかという冷静な費用対効果の視点が重要です.「進撃
の巨人」が流行していますが,あの世界で景観が大事だ
から城壁を低くするという発想には至らないかと思いま
す.国防のような観点からの考察も必要ではないでしょ
うか.

>そんな物を作るくらいなら、津波襲来時の非難訓練を
徹底したり、非常用備蓄に予算を回す方が効果的です。

ソフト面の充実は大事なのですが,それによって防げる
ものは人命のみなのです.津波が生産施設を破壊するこ
とで日本の供給能力≒GDP≒税収源を毀損します.ある
いは供給力不足によるインフレもあるでしょう.当然,
人々の居住地も破壊されますから,その人々の保証や生
産設備の復旧などの財政支出が増大してしまいます.ハ
ードな防災は人命と広義な生活施設双方を災害から保護
します.是非,インフラのストック面にも着目した批評
をお願いしたい所です.

続く


2017/9/29 3:47
投稿者:人力


総入れ歯 さん

私の主張を短い文章でまとめている方が居ます。

「自国通貨で借り入れている安定した政府を持つ先進国は、危機がなければ、非常に高いレベルの借金を上げ続けることができることを私たちは知っている」 – ポール・クルーグマン


キーポイントは「危機が無ければ」です。そして、「危機」とは日本のおいては「金利上昇」。少子高齢化の日本では潜在成長率が既にマイナスに足を突っ込んでいるので金利上昇は起こり難い、さらに日銀が指値オペまで導入して金利を固定し、景気回復局面で消費税増税をぶつける・・・実に良く出来ています。

私は、次なる世界的な金融危機は必ず債権危機になると妄想していますが、これが国債に波及すると日本も他人事では居られないのはと想像しています。


2017/9/28 19:36
投稿者:総入れ歯

随分と長い文章ですが、三橋氏の主張は結局正しいのが分かりました。
三橋氏主張の対して正しいと思うとか正解ですばっかり。


2017/7/24 12:04
投稿者:人力

学者 さん

下の返答にも書いたのですが、日本の成長率が財政拡大で改善するのか・・・多分、労働力の不足がネックになって民間事業を圧迫するので、これ以上の公共事業の拡大は現在の日本では無理が在ります。これ、建築業界に携わっている人には常識かと。

単純労働を移民で受け入れる手段も在りますが、既に日本は研修生制度によって世界で4番目の移民大国になっていたと記憶しています。これ以上の外国時に労働者の受け入れは、三橋氏らが嫌う事では無かったでしょうか?

財政的には既存インフラの整備維持で手一杯であり、さらに無駄な公共事業に振り向ける予算は在りません。公共事業が無駄を生み出す事は東北の復興を見れば明らかで、既に多くの住民が津波の被災地域から高台などに転居する中で、高い防波堤が着々と整備され守るべき街は最早そこには無い地域も在ります。

復興に結び付けた補助金のばら撒きもヒドイイ状態で、それが将来的に地域の発展に結びつく物は少ないでしょう。

人口が減少する国家でGDPがマイナス成長する事が当たり前ですが、構造改革や規制緩和は嫌だ、財政拡大や金融緩和は賛成だ・・・これで国が将来的に維持出来るのなら見てみたい。

問題とすべきは少子化対策ですが、これは既に遅すぎて手遅れ。後は移民の受け入れしかありませんが・・・世界が隠れ移民大国の日本の現状をいつまでも容認するとも思えません。

イギリスなどはシタタカですから、EUに加盟して、EUの圧力で移民受け入れを国民に納得させ、移民が足りた所でEU離脱を選択しています。

先進国はどこの国も人口動態が悪化していますから、国内に移民という途上国を取り込んで搾取する事で経済成長を達成しています。これがイヤならば、低成長を受け入れるしか無いのでは?
https://green.ap.teacup.com/pekepon/1155.html

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2013年1月3日
meguのブログ 三橋貴明・中野剛志 vs 高橋是清
https://megu777.blogspot.com/2013/01/vs.html


三橋貴明や中野剛志、その他チャンネル桜に巣食うアホな評論家もどきの詐術を、今回は高橋是清・元大蔵大臣に暴いてもらいましょう。


まず、三橋貴明のトンデモ論から

〈三橋貴明「高校生でも分かる日本経済の凄さ!」彩図社より〉

『日本を見ますと、国債の全ては日本円建て、つまり自国通貨建てで す。国債を販売した相手は、ほとんどが日本の金融機関、もしくは日本の個人投資家です。外国人の日本国債ホルダーは、わずかに6・4% (2009年3月末)でしかありません(こんな超低金利の日本国債を買うなど、奇特な外国の方がいるものです)。その上、日本国債の金利は、すでに十年以 上もの長期に渡り、世界最低水準を維持し続けています。

すなわち、日本は「政府が財政破綻するための条件」を、 一つたりとも満たすことができていないのです。マスメディアの皆さんにはお気の毒ですが、日本政府の財政破綻など、今後千年間くらいは起きないでしょう。

同時に、日本政府の借金を日本国民の税金で返す必要など、全くありません。そもそも借金の残高を減らす必要がないのに、なぜわぎわぎ返済しなければならないのでしょうか。しかも、国民の血税を使って。』(38頁〜39頁)

日本国内で、「財政再建― 財政再建!」と叫んでいる人たちの、経済オンチぶりは凄いものがあります。(42〜43頁)


〈中野剛志「国力とは何か」講談社現代新書より〉


『ケインズ主義的な財政政策は、政府による積極的な支出のことであるが、その費用も使益も、国民国家全体によって共有される。また、金融政策は、国民通貨の操作を通じ、国民生活全体に影響を及ぼす。ケインズ主義政策の発動は、階級差を越えてネイション全体に影響を及ぼすことで、需要のみならず、国民意識をも刺激するのである』(144頁)

『内国債の場合、政府が財政破綻する国債の債務不履行に陥る)ことはありえない。仮に将来の課税によって公的債務を返済しない場合ですらも、政府は借り換えを続けていけばよいのであって、全額返済して債務をなくす必要はないのである。なぜなら、政府(国家)は、民間企業や個人とは異なり、永続してなくならないと想定されているからだ。

(中略)

この内国債と外国債の違いをもたらしているものこそ、「国民」の概念にはかならない。民間企業や個人の負債や(外貨建ての)外国債とは違って、財政破綻のリスクから自由であるという特権を内国債に与えているのは、国民なのだ』(187頁〜189頁)

『政府債務が内国債である場合は、財政破綻はあり得ない。それゆえ、健全財政論者のように、累積債務残高の大きさそれ自体を問題視することは無意味である』(190頁)


この売文業者(三橋貴明)、税金泥棒(中野剛志)の話と、高橋是清の話を比較してみましょう。


以下、神戸新聞 1935.7.27(昭和10)より
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00811764&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1

(転載はじめ)
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高橋蔵相の公債政策声明

放漫な公債増発は財政経済破綻の導因

全国民の研究協力に俟って円滑なる運行を期待


高橋蔵相は二十六日午前十一時三十分葉山御用邸に伺候、天機奉伺を終え一色の別邸に赴き八月末まで引続き同地に静養することとなったが右に際し蔵相は公債政策に関して左の如く談話の形式を以って声明を発した。

昭和十一年予算編成方針については曩に閣議の決定を経て公表した通りであるが之に対しては世間でも大体政府の意の存する所を諒として居られることと考える。
当時も述べた通り予算編成ということは単り大蔵省の力だけで解決すべきでなく各省の協力に俟たねばならぬ次第であるが更に進んで考える上財政の問題は国勢全般の解決の鍵であるから単り政府当局の手にのみ委すべきでなく国民全般の考究と協力に依らねばならぬ大問題と考える。

この見地からすると最近財政の問題殊に公債の問題が著しく世人の注意を惹くに至ったことは洵に結構なことであると考える。

我国財政の現状は今後或る期間に亘って毎年相当額の歳入補填公債発行のやむを得ざる状勢にある。

もし公債の発行が茲一両年でその必要がなくなるというようなことであるならば一時多額の公債の増発も或は差支えないと考え得らるるも若しこの先き何年となく歳入補填公債の発行を継続せねばならぬこととすると今年、来年という如き目前のことばかり考えず長きに亘って公債政策の行詰りを来す如きことなきような計画の下に進まねばならぬ理である。

若し今後に於て公債が一般金融機関などに消化されず発行公債が日本銀行背負い込みとなるようなことがあってはこれは明かに公債政策の行詰りであってその結果としては所謂悪性インフレーションの弊害が現われ国民の生産力は消費力と共に減退し生活不安の事態を生ずるに至る虞れがある。

故に今後継続し軍事、産業その他重要なる国家施設の実行を保証し又同時に産業の発展並に国民生活の安定を確保するがためには先ず以て公債政策の円滑なる運行を図ることが絶対の要件となるのである。

然るに昭和七年度以来毎年巨額の公債の発行にも拘らず今日までのところ幸いにその運用は理想的に行われ未だ公債に伴う実害を発生して居らぬ、却って金利の低下や景気回復に資せるところが少くない。世間の一部にはこの効果に着目し公債は何程発行しても差支えなきものであるかの如く漠然たる楽観説を抱いているものもあり又今日政府の執っている公債政策の如きは未だ不充分であってどしどし公債を増発して国家の経費を大いに膨脹せしむべしと説くものもあるようである。然し乍ら公債の過剰発行に依る財政経済の破綻に就てはヨーロッパ大戦後多数の国にその実例を存するところであって公債は何程発行しても差支えなしと論ずるが如きはこの最近の各国の高価なる経験を無視する議論である。

抑々昭和七年度以来の公債政策が円滑に運行されたことについては重大なる原因がある。即ちその発行につき手段方法を改めたることもその一因と目すべきであるが公債の発行額が民間産業資金等との関係上金融機関の消化能力の範囲内に止まるを得たること及び昭和八年度以来歳入補填公債は年々幾分ずつ減少し財政に対する国民の信用の維持されたること並に通貨統制が理想的に行われ物価及び外国為替相場は安定し延いては我国近時の産業貿易の異常なる進展に資したること等を以て根本原因と見なければならぬ。

今迄公債に関する政府の考え方と著しく異なる意見が世間に流布されているようである。その一例を挙げてみると国債は国民の債務なると共にその債権なるを以て国債の増発も国民全体としては『財』に増減がない故に内国債の増加も国民負担の増加にあらず何等恐るるに足らずとの論である。是は国債を通じ債権と債務が併存すると云う事実だけはその通りであるが、然るが故に国債が増加しても財政上並に国民経済上差支えないという結論が簡単に出て来るものではない。国家の財政もその機能に於て国民経済活動の一部を構成すると共に独自の存在を有するものであって財政としての組織が保持せられなければ軍事、外交、産業そのほか国家特有の活動を継続保障することが出来ない、また常識より考えても国家その他の公共団体の経済たると個人経済たるとを問わず借金政策の永続すべからざることは当然である。
公債増発に伴って利払い費は漸増し租税その他の収入もその利払いに追われる結果となるであろう。

斯の如き事態が生ずると国費中公債に依る部分が益々多くなり財政の機能わ行詰りに陥らざるを得ない。斯の如き状態になると国家財政の信用を維持し難く公債の消化は行詰り結局印刷機械の働きに依り財源の調達を図らざるを得ざるに至るのであって、かくの所謂悪性インフレの弊は必至の勢となるであろう。故に公債の問題は単なる国内の債権、債務の均衡というが如き狭い見地から是非を論断することが出来ないのである。

その他の異説についても事物としては一面のみを見て国家社会全般に対する影響を忘れたる議論が多いようである、前にも述べたる如く研究は大いによろしい、斯くて国民全体の協力によって永続性ある国家の発展策を確立したいと考える。

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(転載終わり)


売文業者の詐術に騙されている人は、頭を冷やして欲しいです。

特に、安倍晋三氏は、日本国総理大臣という立場にあるだけに、あとから「ごめんなさい」で済まされる問題ではありません。
民主党や維新の会よりマシだとはいえ、あまりにも脇が甘すぎます。


『NHKのコメンテーターレベルお粗末すぎ。藻谷氏といい藤原氏といい今まで言ってきた事もう一度検証したら恥ずかしくて人前にでれないでしょう。藻谷氏はデフレの原因は人口減少とか本に書いてましたが、人口減ってもデフレに陥っていない国はいくらでもあります。この前フジテレビで完全論破しましたが、恥を知れといいたいですね。香山リカしは論外』


香山リカは論外として、藻谷浩介氏はエリート中のエリート、その道(財政・金融・経済問題)の専門家で、その学識と経験は成蹊大学卒の安倍晋三氏の及ぶところではありません。安倍氏率いる自民党は昨年末の選挙で大勝したとはいえ、民主党と維新の会の自滅で漁夫の利を得たに過ぎないことへの自覚がないのでしょうか?


当ブログの読者様の次のご意見に傾聴すべきでしょう。


http://megu777.blogspot.jp/2011/10/blog-post_22.html#comment-form


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はじめまして。私も三橋にだまされていたものです。

彼の正体はあなたが想像されているとおりでしょう。

三橋ブログの正体はただの怪しげな情報商材サイトや催眠商法と変わりません。
彼は早くつぶさないといけません。


17 件のコメント:

ムギ2013年1月9日 0:07

このブログで言われていることが大多数のマスメディアで言われていることとほぼ等しいことからmegumiさんのブログの内容が正しいことがよくわかります。


匿名2013年1月14日 5:31

三橋のような連中はすぐ高橋是清を持ち出し、トンデモ理論に利用しますが、都合の悪い情報は切り捨てますね。


匿名2013年1月19日 17:07

こういう定性的な事はいいから、経済を語るなら具体的な
数字を出して語ってくれないかな?

三橋氏も中野氏も日銀が1000兆円通貨を発行して国債を買い取れとか、
政府が1京円国債を刷れとか言ってる訳じゃないだろ?


蓮薄2013年1月21日 1:07

デフレ下では政府が金を刷って借りて使う
政策は当たり前です

昭和6年、世界恐慌下の日本は当然デフレで
国債発行による財源調達と積極的な財政支出政策により
いち早く経済を回復させます
それは放漫財政ではないですよ?

その記事、昭和十一年ですね
軍費が一般会計予算の50%を占めていたころです
当然これは放漫財政で
高橋是清はこれに反対し、昭和11年の二・二六事件で
殺害されます
あまりいい加減な事を書かない方がいいですよ


通行人兼ブログ読者2013年1月22日 9:58

megumi様、こんにちは。
コメント欄をお借りします。

経済論は取りあえず横に置いて、三橋支持者の皆さんにお尋ねします。

支持者の皆さんは、三橋氏の経歴を本当に信じていますか?

1、三橋氏は、1969年生まれで1994年大学卒業。24歳(かな?)で卒業。
  浪人か留年か分かりませんが、転職の際、履歴書で少し不利になります。

2、14〜15年間で、転職回数10回に成功。
  この短期間で、この転職回数は、一般的に転職活動には、非常に不利となります。
  採用担当者からは、堪え性の無い性格または単なるトラブルメーカーと冷たく判断されます。
  
3、しかも全て正社員。
  

4、持っている目ぼしい資格は中小企業診断士。しかも2004年に資格取得。
  大学卒業以来10年の間は、目ぼしい資格無し。
  この状態で転職10回、しかも正社員で転職成功できるんでしょうか?

以上、私にはどうしても信じられません。
例えば、英語堪能、かつ、公認会計士の資格を併せて有していたら、多少は信じられるんですが・・・

  
また、経歴とは別に、次の点も尋ねたいです。
三橋氏の著作を読んでも、大学時代の話、会社員時代の失敗、同僚や友人達との会話、
中小企業診断士としての成功談など、こうしたエピソードが見当たりません。
したがって、どうもリアリティを感じないんです、三橋氏の話には。
この点は、私の認識不足かもしれませんので、適当な著作なりサイトなりがありましたら、
ご紹介ください。


megu2013年1月29日 21:42

確かに、仰るとおり、三橋貴明は本でもブログでも、実際の実務の話は一切しませんね。しないというより、できないのでしょう。

知人に経営コンサルタントがいますが、その道のプロは、忙しくて、本業と関係無い話を2ちゃんねるに書き込んでいる暇も、毎日ブログを更新する暇もありません。

三橋貴明に限らず、廣宮孝信や渡邉哲也など三橋貴明のコピーも同様に、単なるニート崩れとしか思えないのですが、信者には神様のように見えるようですね。


バカの二つ覚え2013年1月25日 21:22

megumi様お久しぶりです。こちらのコメントさせていただくのは久しぶりですね。今更ながら、最近三橋理論と平和主義者の論法の共通点を発見しました。それは利率が上がったらどうするか、と聞いても現状は上がっていないからどうやったら上がるのか、と答えるし、他国が攻めてきたらどうすると聞いているのに、攻めてこないように外交するという。この人たちは話の論点がズレていて話にならないということです。例えは悪いですが、もし交通事故で人をはねてしまったらどうするか、という質問に、安全運転で対処すると言っているようなものです。現実目の前に怪我をしている人がいてもこういったこと言えるでしょうか、この人ら。とにかく事前段階の対処しか考えず、事故が起きることも想定していない浅はかな人たちということですね。その上、財政問題はない、他国は攻めてこないと理屈をつけて、現実を見ないところまで共通しています。


megu2013年1月29日 21:46

まるで、戦時中に早期講和を唱える人を「非国民」扱いして一億火の玉だとか神州不滅と叫んでいた連中と同じですね。

共産党も社民党も「子供手当の財源はある」と豪語していた民主党も三橋貴明も、根は同じですね。

匿名2013年1月29日 12:17

平和主義は思想のはなしであって、三橋貴明氏は国民経済を発展させる経済理論を展開しています。
政治思想と経済理論は比較対象できない内容をこじつけて変な文章を書いていますね。
ノーベル経済学賞を獲得したクルーグマン教授も三橋貴明氏と同様に財政出動と金融緩和のセットパッケージを現在のデフレの対策として実行すべきだといっていますし、トンデモ議論をされているのはこちらのブログの主ではないかと考える次第です。

匿名2013年2月4日 21:20

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/


匿名2013年2月6日 2:40

中立の立場から見て中野、三橋の完勝です。書いていることが勉強不足なのか意図的な嘘なのか(失礼ですが疑ってしまいます)?。これだけの資料を集められるのであればもう少し発言の年代や意味、その時の社会事情を整理してから再度このお題でリベンジしてみてください。頑張れ


匿名2013年2月16日 21:13

>藻谷浩介氏はエリート中のエリート、その道(財政・金融・経済問題)の専門家で、その学識と経験は成蹊大学卒の安倍晋三氏の及ぶところではありません。

???

dabesita2013年2月27日 20:13

三橋さんの過去の経歴とかどうでも良くないですか?

中野さんも三橋さんも言ってることはまともです。

文句があるなら、経歴がどうとかじゃなくて、内容で議論しましょう。


匿名2014年3月31日 1:09

> 三橋さんの過去の経歴とかどうでも良くないですか?

興味深かったです。

> 中野さんも三橋さんも言ってることはまともです。

発言のすべてがまともとはとても思えません。

TPP反対において、ISD条項が毒素条項だという主張は論理的飛躍があり、あまりにいい加減すぎると思います。

これに気づいてからの発言がすべて信用できなくなりました。


匿名2015年1月1日 0:02

マクロ経済に関してのそれは、総じて仮定や
推論の域を出ていない。
高尚な経済論もちまたの経済評論も50歩100歩
であることは歴史が語っている。
三橋氏の主張も、所詮有限内の数字や統計を
区間的に分析しているに過ぎず、彼が主張し
ていること実施してみなければ、その真偽も
また誰にもわからないだろう。


匿名2016年11月2日 12:50

なんだ単なる三橋嫌いじゃねーか。期待したのに
インフレとデフレで同じ政策するわけねーじゃん


Unknown2017年1月9日 2:05

私は、きちんと働いて裕福な生活がしたいです。
周囲の人であっても同じです。

そのためには、適度に経済成長する日本であってほしいです。
https://megu777.blogspot.com/2013/01/vs.html

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「三橋貴明」とか 山本太郎 の経済論は要するに、経済学の美味しい所をツマミ食いする合成経済学で
本質を理解している訳じゃないんですね。
そもそも数学もできない「三橋貴明」や 山本太郎に経済理論が理解できる筈もないしね。

「三橋貴明」の歴史の話はすべて長浜浩明の受け売りで、「三橋貴明」自身は歴史学も考古学も遺伝学も民族学も知識は完全にゼロ

チャンネル桜の番組に出ている自称専門家の意見をそのまま鵜呑みにしているだけなんですね。

「三橋貴明」とか 山本太郎 の経済論もすべて他人の受け売りでしょう。
信じると豪い目に遭います






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2019/6/25
「誰得」の理論考えるMMT的な財政拡大とベーシックインカム
https://green.ap.teacup.com/pekepon/2373.html
 
■ お花畑左翼とネトウヨが相乗りする山本太郎 ■

山本太郎氏が立ち上げら「令和維新の会」への寄付が2億円を突破して、安倍総理を越えたそうです。

山本太郎氏は原発事故以来、原発反対を声高に訴えて、「お花畑左翼層」の支持を集めていましたが、今回はMMT的な財政拡大を訴えてネトウヨ層にも支持を拡大しています。

これが何を意味するのか・・・。

私は何度も書いて来ましたが「お花畑左翼と、ネトウヨのメンタルは同一」という事が証明されたのだと思います。

両者は共に「所得さん分配」の機能の低下した日本では不利な存在です。不満が鬱積する中で、一昔前ならばコミュニストのアジテーションが有効に作用し、「誰もが平等な社会」のソ連型共産主義へ流れる若者が多かった。(今は老人となっていますが)


一方、ソ連や東欧が民主化して以降に成人を迎えた世代は「共産主義の幻想」を抱く事は有りません。一方で「就職氷河期」など、新自由主義の弊害も身をもって体験しています。ところが、彼らの不遇を味わった時代は「リーマンショック後と東日本大震災後の民主党政権」だったので、「リベラル政党アレルギー」が強い。「悪夢の民主党政権時代」というキャッチコピーに踊らされた世代とも言えます。

実際には麻生政権が崩壊して自民党が下野したリーマンショック直後が、経済的には最悪期でたが、これは民主党政権の失敗によってオーバーライトされています。(私個人としては、麻生政権を非常に高く評価しています。だからこそ、中川元財務大臣の犠牲によって、今の日本が保たれている事を国民は知るべきだと・・・)

初期の「ネトウヨ」はネット環境に親しんだ若者がメインでしたが、「団塊の世代」が定年を迎えるにあたり、「ネトウヨの高齢化」という現象が発生します。スマホなどでネットをある程度使える高齢者が、ネトウヨに「感染」したのです。

「お花畑リベラル」と「ネトウヨ」は本来反目する存在でしたが、実はメンタルが非常に似ています。それは「政府がどうにかしてくれる」という他人に依存した思考です。それが、本来社会主義的な財政理論であるMMTによって共通の「メリット」を発見した。

それは、「誰の負担も発生せずに皆が幸せな社会が実現できる」という「ダダ乗り」の妄想。

そして彼らの一部が持ち上げるのが「山本太郎」です。

■ 主流派経済学(マネタリズム)の敗北 ■

私が最近、MMTを批判するのは、「筋が悪すぎる」からです。MMTよりもベーシックインカムの方が余程マシです。

MMTは「民間投資が減少するならば、政府部門が財政を拡大して雇用を確保し、経済成長を後押しするべきだ」という従来のケイジアンと同じ主張をしています。ただ、ケインズ的財政拡大では、政府の債務残高が拡大するので、従来の「財政均衡」を求める経済学では、「債務残高の拡大」という限界を突破出来ませんでした。これが「新自由主義」や「シカゴ学派」と呼ばれる現在の主流派経済学の台頭を招いた。

ところが、主流派経済学の「マネタリズム」は、資産市場の拡大と、リーマンショックに代表だれる「不安定なバブルに依存した経済」を生み出す結果となります。そして、リーマンショック以降の「量的緩和」によって、「マネタリズム」も敗北します。マネタリーベースを無制限に拡大しても、バブルは膨らみますが、実体経済の成長にはあまり寄与しない事が証明されてしまったのです。(実は金融市場を通して、先進国の成長を、新興国の高成長に置換しただけなのですが)

■ シムズ以降の「インフレを達成する為の財政政策」 ■

主流派の中で、サマーズ(米元財務大臣)らがこの問題を最初に指摘し始めます。彼はリーマンショックのしばらく後に「長期停滞論」という考え方を提示し始めます。「先進国においては、最早バブル無くして経済は成長しない」と看過?したのです。

さらに、クリストファー・シムズ教授が「物価水準の財政理論(FTPL,Fiscal Theory of the Price Level)」を提唱すると、従来は「財政拡大は債務残高の上昇によって経済に悪影響」と主張していた主流派経済学者達が、「財政政策によてインフレ率を向上させる」という主張を始めました。

「財政拡大は通貨の価値を棄損する」と否定していた彼らが、金融政策の限界を実感する事で、「ケインズ的な財政拡大」を「シムズ的な財政拡大」に翻訳する事で正当化したのです。

異次元緩和でもゼロ金利の日本は、まさにMMTの実験場ですが、アメリカの経済学会のリーダーであるブランシャイル元IMFチーフエコノミストまでもが「無限の将来まで財政赤字を出すべきだ」と主張し始めます。

■ 既にアベノミクスで証明されているMMTの限界 ■

実はMMT的な財政拡大が失敗する事を、既に2012年に日本は証明しています。第二次安倍政権は「国土強靭化」という財政拡大製作を掲げ、民主党から政権を奪還しますが、その年に9兆円の追加補正予算を組み、土木工事を中心に財政出動を拡大します。

その結果、日本で何が起きたのか・・・。

「クラウディングアウト」が起きたのです。政府が財政を拡大して公共事業(土建工事)を拡大すると、民間事業の人手が公共事業に取られ、人件費が急拡大しました。これは、バブル崩壊以降、日本の建設業が労働者を削減して来た事が原因とも言えますが、需要が低迷している中で、労働力を維持する事は、民間企業には不可能です。

こうして、「国土強靭化」という看板は、クラウディングアウトによって早々に降ろされる事になります。

この時点で、安倍政権復活の影の立役者である三橋貴明氏らを支持していた、一部のネトウヨ層
三橋教から離反し、「リフレ製作のみで経済成長を達成すべき」と主張し始めます。彼らは周回遅れで主流派経済学と合流したのです。

一方、三橋教は、都合の悪い事象は無視するいつものスタンスで、財政拡大を訴え続け、アメリカでのMMTの台頭によって最近は「自説の正しさが立証された」かの発言を繰り返しています。

■ MMT的な財政拡大では格差は拡大する ■

MMTはゼロ金利に張り付く世界では「限定的に正しい」。これは私も認めます。ゼロ金利やマイナス金利が続く限り、国債発行コストはゼロ以下ですし、高い金利の既発国債をゼロ金利やマイナス国債で借り換えれば、債務残高を縮小します。これが日銀の異次元緩和の真の目的です。

一方で、MMTを公に認めてしまうと、政治家や政党は支持拡大の為に「財政出動の大盤振る舞い」をする様になります。

仮にMMT的に公共事業の拡大を今の日本で行うとどうなるか・・・

1)国債を発行して公共事業が拡大される(主に土建関連)
2)建築関係の人件費が上昇すす
3)民間事業に採算性が悪化する(人手不足と賃金の上昇)

4)外国人労働者によって人手不足解消を図る ← イマここ
5)建築労働者の賃金が伸び悩む、或いは低下する

6)建築業界の経営者は、公共事業の受注や、人件費の低下で利益が拡大
7)労働者は安い外国人労働者によって賃金水準が低下する

8)経営者と労働者の格差が拡大する

これは建築業界に限った事では無く、ソフトウェアー業界でも発生する事です。


■ 「労働力の不一致」によってニートやフリーターの問題は継続する ■ 

団塊の世代の定年によて、日本では労働力不足が発生しました。しかし、ニートやフリーターが正社員の職に就けるかと言えば、そんなに世の中は甘くありません。

何故なら、増えたのはパートやアルバイトや契約社員などの非正規雇用の枠だからです。正社員はコストが掛かりますから、実績の無い労働者を受け入れる事は有りません。(新卒の雇用は改善しましたが)

バブル崩壊後にニートやフリーターを選択された方々が中高年になる事で将来的な生活保護者が拡大するであろう事が社会的問題となっていますが、彼らが就業する機会などいくらでもありました。ただ、人手不足の業界を彼らが好まなかっただけ。大学を出たのに建築の現場で働くと言う選択肢は、彼らには有りません。


■ MMT的なモラトリアムが発動しているうちにベーシックインカムの議論を高めてはどうか?■

政治や政府の目的は「国民の暮らしを支える」事です。ところが、実際の政治では「支持者の利益を拡大する」ことが優先されています。そして、「支持者」とは企業経営者の場合が多い。

MMT的な政策を、政治家の手に委ねると、それに群がる企業経営者に利益を誘導する結果となり、格差が拡大します。

MMTを支持する多くが「恵まれない人」である事を考えると、MMT的な政策が実施されても、彼らに恩恵は少ない。

それよりも、ベーシックインカムの財源としてMMTを利用する方が、公平性は高いと私は考えます。政治の介入する恣意性も回避出来ます。

例えば、国民一人当たり月額1万円を政府が支給する場合、人口が1億2600万人だとすると、そのコストは凡そ年額18兆円。基礎年金や生活保護費は1万円のアップが無いとするならば、とても雑ですが15兆円程となるとします。(4人家族で月額4万円の支給ですから額とすれば充分でしょう)

うーーんん、とても大きな金額ですね・・・。

まあ、これ程までの規模としなくても、半額の7.5兆円程度ならば補正予算の額として前例が無い訳ではありません。金利が上昇したら、減額する様な法律にしておけば、年額で支出が固定される一般的な財政支出よりも、柔軟に金利上昇に対応できます。


私は仮にMMT政策の実験をするならば、公平性という意味からも、金利上昇に対する対応性のからも、ベーシックインカムの実験が良いのでは無いかと考えますが、皆さんは如何でしょうか?


コメント


2019/6/28 3:50 投稿者:人力

一ブログ読者 さん

以前、高橋洋一氏が、自民党議員に政府通貨のメリットを説いて回っていたら、ゴルフ場のロッカーでロレックスを盗んだとして逮捕された・・。

多分、それだけ政府通貨やMMTというのは、通貨マフィアにとってタブーなのでしょう。

尤も、MMMTが間違いなのでは無く、ニクソンショック以降のドル自体がMMTによって成り立っている事を隠したいが故だと思います。

国民はワガママですから、MMT的政策が可能だと知れば、減税と福祉の拡大を要求し、それを主張する政党が政権を取る。すると、微妙なバランスが崩れて通貨価値が損なわれる。


ガンダムのギレンのセリフではありませんが「せっかく減った人口です・・・・」なのかも知れませんね。これから日本は人口動態の最悪期を迎えます。これから30年程をどうやって乗り切るのか・・・役人の腕の見せ所なのでしょう、。

私が心配するのは、女性の出産年齢の上昇。特に、教育レベルの高い方に顕著です。会社でそれなりの地位や職能を持たれている方は、結婚しても、なかなか出産に踏み切れず、30歳を過ぎた頃に出産準備に入る方が多いのですが、少なからぬ確率で不妊治療をする事になります。どうにか子供を授かっても、今度は障害を持った子供が生まれる確率が高くなる・・・。

住宅取得や教育費にお金が掛かるから、二人で稼げるうちは・・・・そう考えている内に、出産適齢期が過ぎてしまうのです。

資金力があって教育費を掛けられる家庭の子供が遺伝子継承の最適基を逃す一方で、若くして結婚・出産する労働者層の子供は、健全な遺伝子が継承される・・・。教育の重要性を考えるならば、ここら辺を上手く解決できると良いと思います。

「優秀な遺伝子を残す為には若いうちに出産しよう」的なキャンペーンと、「優秀な子供には公的奨学金を支給」みたいな政策を組み合わせて、トップクラスの頭脳を育成する。

・・・・うーーん。国会でこんな主張をしたら、国民から袋叩きに合いますね。


2019/6/27 23:25 投稿者:一ブログ読者


「人口=国家の重荷」の時代は確実に来ると思います。
日本の官僚は人口減を享受して、その時代を待つつもり
でしょう。
ただ、MMTと「次世代のために投資する」というポピュ
リズムは相性がいいはずなので、掲げる政党が現れない
とも限りません(ぱっと思い浮かんだのは小池百合子。
さすがにないか?)。
もしかしたら最悪のタイミングで少子化対策を始めてし
まうかもしれませんが、今からやると労働人口比率がひ
どいことになります。まあ、もしそれで賃金インフレに
なったら金融抑圧で財政再建できそうなので、悪いこと
ばかりではありませんけど……

あと、短中期的に不足する、長期的には淘汰される単純
労働は、高齢者や外国人労働者にできるだけ担わせる方
向性がいいでしょう。
将来のある若者は、できるだけ教育を施して優秀な人材
として活用する……もちろん本人の適性もありますが、
そういう方向性にせざるを得ないと思います。
(教育=大学、ではありませんが)
75歳くらいまでピンピンしている老人が旅行やスポーツ
を楽しんだりしながら年金の心配をしている、というの
は不条理です。人手不足のときは身体が動く人は働いて
いた方が良い社会になるかと。


2019/6/27 2:32 投稿者:人力

一ブログ読者 さん

私はこれからの世界は「人口≠国力」と考えています。確かに賦活型年金制度の維持だけを考えれば、若年人口は多い方が良いのですが、AI化や自動化の時代には、知能労働の多くや単純労働の一部で人間は不要になります。

第一次産業や介護などの分野では、相変わらず人間の手が必用になると思いますが、それらの仕事を率先して選ぶ若者は少ない。特に、大卒ではほとんど居ないのはないでしょうか。

世界では、AI時代の失業問題がベーシックインカムとセットで語られていますが、これからの時代「人口=国家の重荷」になるのでは無いかと考えます。

そうなると、シンガポールや香港型の都市国家が、高い生産性と競争力を武器に世界から優秀な人材を集めて発展する様になるのでは無いかと妄想しています。

仮に、農業の自動化が進んだ場合(アメリカですら成功していない難しい分野ですが)、都市の人口を、ほぼ無人の地方が支えるなどという時代も50年後にはやって来るかもしれません。アニメ『サイコパス』は、この様な未来が描かれています。意外にマンガやアニメ(要はSF)は正確にSF)未来を予見します。

何れにしても50年、100年後の未来ですが、優れた国家とは50年、100年先を見越して運営されるものと考えています。

但し、人口の縮小期にアンバランスとなる老人福祉をどうするのかが、現在、全ての先進国の切実な問題である事も理解しています。

年金受給開始年齢を引き上げるというのは、世界的な風潮です。


2019/6/26 22:33 投稿者:一ブログ読者


少子化対策と教育に投資するかは、また別の問題じゃない
でしょうか。
もし子供を増やす政策が可能なら(年間20兆円あればでき
そうですが)、専門学校や高専を増設して吸収する、とい
うのはありな方向性でしょう。


2019/6/26 16:13 投稿者:人力

一ブログ読者 さん

「ガキは甘やかすな」というのが私の持論。現在の少子化の一因が、増大する教育費ですが、実際に大学教育を受ける知能の子供は全体の3割でしょう。

AIの時代、不足するのは頭脳労働者ではなく、単純労働者です。下手に大学などに行くと、「大学を出たのにこんな仕事は嫌だ」と行った「職業選択の不一致」が発生してニートやフリーターを増産します。

それよりも不要な大学を淘汰して、大学受験資格試験を設けるなど、こどもも親も早期に将来選択をする社会の方が国民が幸せになるのではないでしょうか。

優秀な人材は海外から受け入れるアメリカの様な国の方が成長力を維持出来ます。

一方で公立大学を無償化するなど、親が貧しくても能力のある学生がしっかり勉強出来る環境を整える事が重要かと思います。

ベーシックインカムはAI化の時代の最低生活補助として必ず必要になりますが、一方で無駄な公共事業を辞めて、優れた学生や研究を支援するなどの、選択と集中が必要なのだと思います。
重要なのは予算配分におけるバカな利権議員達の介入の機会を減らす事ではないかと。これだけで、成長力はかなり高まると思います。


2019/6/26 13:21 投稿者:一ブログ読者


仮に年額18兆円が出せるなら、それを全額少子化対策
(子ども手当とか)に突っ込むと、子供一人あたり年間
100万円程度のバラマキができます。ま、なんとか人口
減少を止められるでしょう。
こっちの方が『国是』にかなうのでは? 月一万円のベ
ーシックインカムよりは筋が良いと思います。
実際は18兆円の財政赤字を恒久予算化するのは厳しいで
しょう。でも、半分くらいは増税を財源にしても、国民
の理解は得られるんじゃないかな。
https://green.ap.teacup.com/pekepon/2373.html


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MMTは理論上は素晴らしく見える、しかし・・・

ドルはニクソンショック以降、ペーパーマネーで、しかも基軸通貨ゆえに刷り放題。
結果、360円から240円、そして、プラザ合意以降120円、100円、と減価しています。
これ、通貨価値を意図的に棄損する事で、米国債の償還負担を減らしているに等しい
要は借金の一部踏み倒し。

アメリカは実はMMTを上手に使い続けている国家なのです。


1)アメリカでも福祉コストが増大した1970年代初頭から、実質的には「隠れMMT政策」を行っているに等しい

追加説明すると、ドルが金兌換制を廃止した時点で、ドルの発行の上限は無くなりました。ドルは発行量を増大させて、アメリカの財政を支えていますが、同時に他国通貨に対して緩やかに減価する事で、ドルの価値もゆるやかに棄損しています。

2)政府部門の支出、特に福祉は新たな生産を生まない

3)インフラが充実した国家の財政支出の生産性は低い

4)アメリカの長期停滞の原因は、1970年代から始まった隠れMMT政策が原因


日本がMMT をやって財政出動に使った金を円安を通して欧米に押し付けるのは不可能なんだ

アメリカが日本の損失を肩代わりする訳ないだろ





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緊縮財政という宗教・道徳 2019-11-20
三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12547017630.html

 中野剛志先生、 佐藤健志先生、施光恒先生、柴山佳太先生、島倉原先生のMMT対談の続編がリリースされました。


『左派が反緊縮でなく「消費増税に賛成」する理由 「道徳」として語られてしまいがちな財政問題

◆MMTと左翼

島倉原(以下、島倉):MMTの議論に賛同する学者は、なぜみんな左派なんでしょうね。

佐藤健志(以下、佐藤):保守、ないし右派が新自由主義に走ったことに対抗したいのでしょう。先進自由主義諸国では1970年代後半から「福祉国家路線など続けたら行き詰まる。小さな政府で民活路線だ」という風潮が強くなった。日本でもこれが「新保守(主義)」などと呼ばれ、のちの構造改革路線につながります。そんな状況の下「大きな政府で社会保障と格差是正を」と主張したい左派が、理論的基盤としてMMTを見いだしたのだと思います。

柴山桂太(以下、柴山):確かに、左派が「緊縮財政」に対抗する論理を模索するなかで、MMTが出てきたという印象はありますね。

中野剛志(以下、中野):MMT派経済学者のビル・ミッチェルが「MMTはディスクリプティブ(記述的)な理論で、政治的な右左は関係ない」といっていましたが、実際にMMTを唱えている人たちはこの本の著者のランダル・レイを含め、イデオロギー的には完全にリベラルです。ただナショナリズムを強く出しつつMMTを語ることも可能で、MMTはニュートラルだそうですから、私はそっちのほうで語らせてもらっています(笑)(後略)』

 後半、議論されている財政関連の「英語」が、実に興味深いのです。


 償還(負債返済)が「redemption」。redemptionは、確かに償い、という意味も持ちます。

 信用創造(=貨幣生成)は、money creation。 The creationは、「創成」「天地創造」です。

 austerityは、わたくしは「緊縮財政」としか認識していませんでしたが、一般には厳格、禁欲といった意味もあります。


 確かに、財政関連の英語は、宗教色というか、道徳色が強い。


 つまりは、現象の表現ではなく、善悪の表現になっているわけです。


 反・緊縮財政は、反・禁欲、つまりは、強欲。強欲といえば、悪魔マモンが統べる七つの大罪の一つです。

 改めて日本語を見ると、償還は「償い、還す」であるため、宗教色・道徳色が入っています。「償還」という言葉が江戸末期の造語の一つなのかは分かりませんが、いずれにせよ「redemption」の訳としては、実に適切という話になります。


 緊縮は、「きつく締め、縮ませる」であるため、これは単なる現象の表現であり、宗教色・道徳色はありません。が、英語は「強欲の逆」というわけで、善悪の概念が入っている。


 さすがに「強欲は善」という主張に賛同する人は、少なくとも表向きは少ないでしょう。となると、強欲を戒める「austerity (緊縮財政)」は、道徳的に正しいことになる。


 緊縮財政は政策でも、理屈でもなく、実のところイデオロギー(主義)なのですね。


 イデオロギーとは、人間の思考や行動を左右する、根本的な思考体系です。理屈でも現実でもなく、「正しいから、正しい」というのがイデオロギーの特徴です。


 無論、あらゆる人間は特定のイデオロギーと無関係ではいられません。
「自分は自由にものを考えている」
 と、思いたいところですが、残念なことに人間は「特定の枠組み」の中でしか思考できません。


 人間が生きていく上で、社会の秩序を維持するための思考の枠組み、規範の一種が宗教であり、道徳です。


【歴史音声コンテンツ 経世史論】


http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/

※11月5日から上島嘉郎先生と三橋貴明の対談「自虐史観はなぜ始まり、深刻化したのか」がご視聴頂けます。

 七つの大罪が典型ですが、「欲してはいけないこと」「欲して構わないこと」をイデオロギーとして規定し、社会の秩序を維持する。


 人間が社会的な生命体である以上、社会の秩序を維持するために、何らかの「決まり」は必要です。代表的な「決まり」が法律ですが、法律に頼らずとも、人々の思考や行動を制御できるのが宗教であり、道徳です。


 その宗教や道徳と「緊縮財政」が直接的に結びついているとなると、我が国が緊縮路線をなかなか転換できないのも無理もありません。


「政府が貨幣を発行し、国民の所得(利益)となるように支出する」
 と言われると、反射的というよりは「道徳的」に拒否のメカニズムが働いてしまう人が少なくないわけです。特に、「正義感」が強ければ強いほど、
「そんな国民を甘やかすことはしてはいけない」
 と思ってしまうのでしょう。


 皮肉な話は、国家の「決まり」を嫌悪し、社会の共同体を壊し、人間を個別化する「グローバリズム」と緊縮財政の相性がいいことです。グローバリズム、あるいは主流派経済学の「経済の管理人」は、「市場」ですが、これをアダム・スミスは「見えざる手」と表現しました。


 この「見えざる手」に、いつの間にか「神の見えざる手」と、「神」という言葉が入ってしまった。神となると、露骨に宗教的です。


 何を言いたいのかと言えば、緊縮財政・規制緩和・自由貿易という、特定の誰か(つまりは「自分」)の利益最大化を目指すグローバリストは、人々の「宗教心」や「道徳心」に訴え、目的を達成しようとするという話です。


 偽善というか、やはり邪(よこしま)と表現するべきなのでしょう。


「市場は神の見えざる手が動かしている以上、逆らったり、歪めてはならない」
 と言われると、普通の人は納得しますが、結果的には多くの国民が貧困化し、特定の誰かだけが儲かる。


 ちなみに、わたくしは別に市場を否定しているわけではなく、レント・シーカーのレトリックを批判しているに過ぎません。市場に任せた方が「経世済民」につながる財やサービスも、それはあるでしょう。


 あるでしょうが、「全ての財やサービスにおいて、市場が常に正しい」などという話になるはずがありません。それにも関わらず「神の見えざる手」と、あたかも普遍的に正しいかのごときレトリックが使われる。


 そして、緊縮財政に反対すると、「強欲的」と批判され、道徳的に間違っているという印象を植え付けられる。というか、英語に至っては、言葉そのものがそうなっている。
 厄介です・・・。


 厄介ですが、恐らくこの種の問題に、過去の人類は数百年、あるいはそれ以上の期間、苦しんできたのでしょう。
「緊縮財政は道徳的に正しい」
 とやってくる緊縮推進派に対し、
「いや、違う。一見、緊縮財政は禁欲的で、道徳的に正しいように見えるが、実際には『特定の誰か』を富ませるだけで、国民が貧困化し、最終的には経済や共同体が維持できなくなる」
 と、上記の構造を説明する必要があるわけです。


 禁欲も道徳的に正しいのかも知れないが、「みんなで豊かになる」も道徳的に正しいよね? という、問いかけをしていく必要があるのです。 

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12547017630.html

4. 中川隆[-13102] koaQ7Jey 2020年4月20日 14:21:53 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[20] 報告
内閣官房参与をクビにされた藤井聡先生、遂に本音を語る

【経済討論】日本と世界経済の行方 2019[桜H31-1-5] - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=-2jIEzJFMUg&feature=youtu.be

2019/01/05 に公開
◆経済討論−日本と世界経済の行方 2019

パネリスト:
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 金子洋一(前参議院議員)
 島倉原(経済評論家・株式会社クレディセゾン主任研究員)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 武者陵司(武者リサーチ代表・ドイツ証券グループアドバイザー)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総

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ぱちもん
藤井さん、参与辞めたら飛ばすなぁw

佐藤恭一
藤井さんが元気になってる!


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消費増税に反対した藤井聡・内閣官房参与“退職”の裏に、安倍官邸の陰湿圧力!「赤旗」に出たことで菅官房長官が
https://lite-ra.com/2019/01/post-4467.html


2019.01.02 消費増税反対の内閣官房参与“退職”の裏に官邸の圧力 リテラ
    
解任の発端!?藤井氏が登場したしんぶん赤旗日曜版 2018年11月18日号


 2019年はいよいよ消費税10%への引き上げが実施されるが、その年が明ける4日前、仕事納めの日に安倍政権がなんとも陰湿な言論弾圧人事を行った。

 消費税増税反対を主張する藤井聡京都大学大学院教授の「内閣官房参与」退職を発表したのだ。

 内閣官房参与というのは、首相が各専門分野で直接、専門家に助言をえるために設けられた非常勤のブレーン職。藤井氏は第二次安倍政権発足と同時に、防災・減災ニューディール政策担当の内閣官房参与に就任し、安倍首相が公共政策の目玉としてぶちあげた「国土強靭化計画」の策定に関わった。

 思想的にも右派で、安倍首相の有力ブレーンのひとりと目されていた藤井氏だが、しかし、一方で増税反対の立場を取っており、以前から様々なメディアで消費増税反対を主張してきた。安倍首相が2019年10月の10%増税を予定どおり行うと表明してからも、口をつぐむことはなく、むしろ批判を強めていた。昨年11月には著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を出版、さらに、共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)にも登場して、消費増税を批判していた。

 そんななか、いきなり年の瀬に退職が発表されたというわけだ。当然、これには姑息な裏があった。

 報道では、今回の退職が藤井氏から申し出たということになっているが、実際は完全に建前で、かぎりなく「解任」に近いものだったらしい。

「藤井氏が『赤旗』に出たことを菅義偉官房長官が“政権への背信行為”だと激怒。杉田和博官房副長官ら官邸幹部もいれかわりたちかわり藤井氏に迫り、辞職に追い込んだようです。これまで藤井氏をかばっていた安倍首相もこの決定を追認したようですね。
 もっとも、安倍官邸は今回の『赤旗』問題の前から、藤井氏を切ろうとタイミングを見計らっていました。藤井さんは内閣官房参与であるにもかかわらず、消費増税が貧困化と逆に財政悪化を導くことをあちこちで語っていたうえ、アベノミクスの景気回復に実体がないことを主張するなど、完全に“目の上のたんこぶ”状態でしたから。それでも、安倍首相が増税を決断しないうちは目をつぶっていたのですが、増税が決定したことで、いよいよ放置できなくなった。藤井氏に参与のまま自由に発言を続けさせたら“安倍首相の側近で右派の学者までが消費税に反対している”と取り上げられ、政権を揺るがしかねない。そこで、藤井氏が『赤旗』の取材に応じたことを口実にして、辞職に追い込んだということでしょう」(全国紙政治部記者)

 まったく、安倍官邸らしい陰湿なやり口だが、しかし、不思議なのは、藤井氏がこの事実上の解任の経緯について口を閉ざしていることだ。藤井氏は12月28日、Facebookで内閣官房参与の辞職願を提出したことを報告していたが、〈学究、とりわけ「言論活動」がこれからますます重要な局面となりますことから、今後の本務への参与職の影響を鑑み、安倍総理ともしっかりとご相談させて頂いた上で、参与職を辞する決意を致した次第です〉と書いただけで、圧力については一切ふれなかった。

「菅官房長官のことですから、藤井氏に対して“余計なことしゃべるな”といろいろ脅しをかけたんじゃないでしょうか。それで、自分から辞職を申し出たことにするということで落着したんでしょう」(前出・全国紙政治部記者)

 もっとも、藤井氏は辞職の真相については口を噤んでいるものの、消費増税反対の姿勢は崩していない。むしろ、内閣官房参与という足かせがとれたことで、舌鋒はさらに鋭さを増し、左右の垣根を越えて消費税に反対する勢力と連携を強めているようにも思える。

 本サイトは、藤井氏が「赤旗」に登場した際に、藤井氏の消費増税反対論を紹介したことがある。政治的には右派の藤井氏だが、経済政策では安倍政権の法人税減税などの格差助長政策に反対する立場をとり、消費増税の問題点を鋭く分析している。

 今回再編集して掲載するので、最悪の格差助長政策を阻止するため、改めて読み返してほしい。

■安倍政権の内閣官房参与が「赤旗」に登場して消費増税を徹底批判!

 安倍政権を支える現役の内閣官房参与が、「赤旗」一面に登場し「消費税10%反対」を唱えている。

「私は来年10月の消費税増税は凍結すべきだと思っています。10%への税率引き上げは日本経済を破壊するからです」

「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)で、こう断言しているのは、2012年から安倍内閣で内閣官房参与を務めている、藤井聡・京都大学大学院教授だ。藤井氏は「しんぶん赤旗日曜版」のインタビューに応じ、景気への悪影響、貧困の拡大、被災地復興への打撃といった観点から、2面に渡って消費増税の危険性を語っている。

 実は藤井氏が消費増税反対を唱えるのはこのインタビューが初めてではない。先日刊行された著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)においても、〈デフレ状況にある現在の我が国において消費増税を行うことは、 国民を貧困化させ、日本を貧国化させ、そして、挙げ句に日本の「財政基盤」そのものを破壊することにつながると確信する〉と主張。増税の「凍結」、いや「減税」こそが〈日本経済に最悪の被害がもたらされることを避けるための、最善の策〉だとし、増税の凍結・減税は〈政治の力で変えられるのは、当たり前〉だと述べているのだ。

 そもそも、安倍首相は「日本経済は11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長」「内需主導の力強い経済成長が実現している」などとしきりに景気回復を強調するが、一方で今年9月のJNN世論調査では84%の人がアベノミクスの景気回復について「実感ない」と答えている。だが、これは当然の話だ。藤井氏によると各世帯の年間消費額は、2014年に消費税を5%から8%に引き上げる直前が369万円だったのに、増税後は一気に下がりつづけ、2017年には335万円にまで落ち込んだのだ。つまり、〈消費増税のせいで、私達は一世帯当たり年間 34 万円分も「貧しい暮らし」を余儀なくされるようになった〉というわけだ。

 しかも、「景気回復」との掛け声とは裏腹に、2014年の増税後からサラリーマンの給与水準も低いままで一向に回復していない。中小企業の「景況感」をはかる業況判断指数(DI)も、リーマンショックで「どん底」に落ちて以降はマイナス(景気が悪い)ながらも徐々に回復しつつあったが、2014年の増税によって改善傾向がマイナス領域でピタリと止まったまま。「消費」「賃金」「景況判断」の客観的データからも、2014年消費増税によって庶民の暮らしは大打撃を受け、依然として深刻な状態にあることがわかる。何より、日本経済全体の6割を占める「消費」の総額(実質値)は、消費増税前後で14兆円も下落。その後も消費は冷え込んだままなのだ。

■安倍首相の経済ブレーンが「アベノミクスで経済上向き」の嘘を指摘

 では、どうして「アベノミクスで経済が上向き」などという報道が出てくるのか。これを藤井氏は〈世界経済が好調なおかげ〉にすぎないと喝破する。実際、GDPは2014年の消費増税前から現在まで約18兆円(実質値)伸びているが、この間に輸出は約15兆円も増加。輸出の増加がなければ〈一年あたり約0.7〜0.8兆円、成長率にして実に年率平均約0.2%しか伸びなかった〉のである。また、この4年で、輸出に次いで伸びたのは「民間投資」だが、これも輸出が伸びた結果であると考えられるという。藤井氏はこう述べている。

〈つまり、世界経済の好況という「他力」がなければ、日本経済はやはり、消費増税によって「衰退」していたのである〉
〈万一、消費増税によって内需がこれだけ弱々しい状況に至っている中で世界的な経済危機が勃発すれば、衰弱した日本経済は恐るべきダメージを被るであろう〉

 さらに藤井氏は、世界各国の経済成長率(1995〜2015年)に目を向け、〈日本の20年間成長率は断トツの最下位〉〈日本の成長率だけが「マイナス」の水準〉であるとし、〈日本はもはや、「経済大国」でないばかりか、「先進国」ですらない〉〈先進国でも発展途上国でもない、世界唯一の「衰退途上国」とでも言わざるを得ない〉と明言。こうした元凶が、バブル崩壊後の1997年に実施した消費税の3%から5%への引き上げによって「デフレ不況」に突入したためだと説明した上で、〈未だに「デフレ脱却」を果たせていない〉いまの状態で消費税を10%に引き上げることは〈確実に破壊的ダメージがもたらされる〉と警告を発するのだ。

 その上、2014年の消費増税時は「外需の伸び」という幸運があったが、これは「アメリカ経済の好況」と「安い原油価格」があってのこと。ご存じの通り、トランプ大統領は目下、安倍首相に自動車の追加関税をちらつかせており、原油価格も上昇。つまり、〈2019年増税の外需環境は、2014年増税よりも、より深刻な被害をもたらした1997年増税時のそれに類似している〉のである。

 しかも、今回の増税は、安倍首相肝入りの「働き方改革」による〈労働者の所得は8.5兆円縮減される〉という予測や、東京オリンピック投資が縮小に入るというタイミングとぶつかる。また、「10%」という数字の「キリの良さ」「わかりやすさ」が消費行動にブレーキをかけやすいという心的傾向もあると藤井氏は指摘。〈日本経済にもたらす破壊的ダメージは極めて深刻なものになるのは「必至」〉であり、それを回避するためにも「凍結」あるいは「減税」こそが求められるというのである。

■「消費税でなく法人税を上げるべき」と主張する藤井聡・内閣官房参与

 だが、こうは言っても「国の借金は1000兆円もあるのに放置していいのか」「消費税を延期ばかりしていたら国の借金で日本は破綻する」という声が必ずや上がるだろう。しかし、藤井氏はこれを〈何の根拠もない「杞憂」(無用の心配)であり、ただ単に、経済学者や増税推進派が撒き散らかした「デマ」であり「プロパガンダ」(主義の宣伝)に煽られているに過ぎぬもの〉と断言。「デマ」である根拠を挙げている。

 そのひとつが、1997年や2014年の増税がそうであったように、デフレ不況下で消費税を増税すれば、〈経済が停滞し、かえって税収が減って、財政が悪化してしまう〉ということ。国の破綻回避を叫ぶなら、税収が減少する増税を止めたほうがいい、というのである。

 さらに、「国の破綻」という曖昧な言葉自体が詐欺的であり、「日本政府の破綻はありえない」ということ。たとえばよく引き合いに出されるギリシャだが、ギリシャの場合は「国の借金が増えた」ことで危機に陥ったのではなく、〈経済が低迷し、失業者が増えてしまったことが「原因」で、税収が減り、借りた金が返せなくなり、「政府が破綻」〉した。ギリシャの借金は「ユーロ」だったが、日本の場合は基本的にすべて円建ての借金であり、円の通貨発行権もある。自国通貨建ての借金であるために破綻することはあり得ないのだ。また、ギリシャが破綻危機にあった際は金利が30〜40%だったというが、日本の国債の金利はいま0.1%程度。だからこそ、市場関係者が「日本政府が破綻する」などと心配している者はいない、というのだ。

 そして、「国が破綻するから消費税」という主張に対し、藤井氏は加えて〈増税する対象として「消費税」を選ぶ必然性など何もない〉といい、消費増税とは反対に税率が下げられてきた法人税を上げるべきだと強調する。

 当然の主張だろう。第二次安倍政権の発足以降、アベノミクスの成長戦略として法人税率はどんどん引き下げられ、法人実効税率は37%から2016年度には29.97%に減少。消費税増収分は法人税の減収の穴埋めに使われたようなものだからだ。実際、藤井氏は過去約30年に遡って現状と比較し、〈金持ちと大企業がかつて支払っていた税金を10兆円以上減らしてやり、その大半を、貧乏な世帯も含めたすべての庶民が肩代わりしてやるようになった〉〈消費増税は確実に、庶民の間の「格差」や「不平等」を拡大させた〉と指摘。法人税のほかにも、“所得税の高額所得者ほど減税の流れの見直し”や、先日、増税見送りが発表された金融所得の税率引き上げ、環境税・混雑税、土地利用是正税なども提案している。

 格差が広がるなか、低所得者であるほど負担が重くなる「逆進性」の消費税を増税するのではなく、法人税や所得税の税率を見直し、不公平な税制を正すべきというのは、至極真っ当な考え方だ。だが、安倍首相はそれを実行しようとはけっしてせず、世界景気の恩恵を受けているだけの結果を「内需主導の成長」などと嘘をつき続けている。

 いや、それだけではない。消費増税の目的として、安倍首相がぶち上げている「幼児教育・保育の無償化」についてもさっそくインチキが発覚した。スタートから半年間は国費で払うものの、無償化に必要な8300億円のうち半分以上となる4370億円は市町村に負担させるというのだ。

 昨年9月に解散表明をしたときの大義名分は「消費税の使い方の見直し」であり、安倍首相は「幼児教育の無償化を一気に進める」と大見得を切った。だが、これも「半分以上は地方でよろしく」とツケを回そうというのである。しかも、〈自治体によっては無償化の負担が消費税の増収分を上回る〉(朝日新聞11月8日付)という。

 政府は混乱必至の軽減税率を筆頭に「プレミアム付き商品券」だの「キャッシュレス決済でポイント還元」だのと愚策ばかり打ち出しているが、幼児教育の無償化にしても、待機児童家庭はその恩恵を受けられないという問題がある。その上、待機児童解消のための地方財源が無償化によって削られる可能性まで出てきたのである。

 幼児教育の無償化を「未来の投資だ」と喧伝するばかり。一方の国民も、政府に言われるがままで「増税しかたなし」と諦めている。

 上述の「赤旗」で藤井氏は「10%への増税は決まったことだから仕方がないと国民が容認すれば、消費税率は15%、20%へとさらに引き上げられる」とも警告。そして消費税10%への増税中止もあり得るとの見方を示し、「カギとなるのは国民世論」「この問題に党派は関係ありません」と国民世論の喚起を呼びかけている。

「やはり増税はおかしい」と、いまこそ国民が声をあげなくては、安倍政権によってほんとうに立ち直れないほどわたしたちの暮らしは破壊し尽くされてしまうだろう。


▲△▽▼


「平成パターン」を回避するために 2019-01-05


藤井先生が内閣官房参与を辞任されましたが、12月28日付でした。29日からはお正月休みに入ってしまうため、インパクトをできるだけ最小化しようという意図があったのでしょう。


 しかも、官邸は辞任をわざわざ「退職」と呼び変えています。藤井先生は別に内閣官房に就職したわけではないでしょうに。


 「辞任」という単語を使いたくなかったのだと思います。

『消費増税に反対した藤井聡・内閣官房参与“退職”の裏に、安倍官邸の陰湿圧力!「赤旗」に出たことで菅官房長官が
https://lite-ra.com/2019/01/post-4467.html

 2019年はいよいよ消費税10%への引き上げが実施されるが、その年が明ける4日前、仕事納めの日に安倍政権がなんとも陰湿な言論弾圧人事を行った。

 消費税増税反対を主張する藤井聡京都大学大学院教授の「内閣官房参与」退職を発表したのだ。

 内閣官房参与というのは、首相が各専門分野で直接、専門家に助言をえるために設けられた非常勤のブレーン職。藤井氏は第二次安倍政権発足と同時に、防災・減災ニューディール政策担当の内閣官房参与に就任し、安倍首相が公共政策の目玉としてぶちあげた「国土強靭化計画」の策定に関わった。

 思想的にも右派で、安倍首相の有力ブレーンのひとりと目されていた藤井氏だが、しかし、一方で増税反対の立場を取っており、以前から様々なメディアで消費増税反対を主張してきた。安倍首相が2019年10月の10%増税を予定どおり行うと表明してからも、口をつぐむことはなく、むしろ批判を強めていた。昨年11月には著書『「10%消費税」が日本経済を破壊する』(晶文社)を出版、さらに、共産党の機関紙「しんぶん赤旗日曜版」(11月18日付け)にも登場して、消費増税を批判していた。

 そんななか、いきなり年の瀬に退職が発表されたというわけだ。当然、これには姑息な裏があった。(後略)』


 「姑息」というか、実際に消費税増税に反対し、財政拡大を主張する藤井先生が煙たかったのでしょう。

 正論を言う藤井先生を、年末ギリギリに「退職」という名目で辞職させる(ということでしょ、間違いなく)。安倍政権もいよいよ末期症状になってきたと思います。


 問題は、安倍政権「後」です。


 これまでの「平成パターン」は、グローバリズム的政策が批判を呼び、政権が変ったと思ったら、新政権がそれまで以上のペースでグローバリズムを推進するというものでした。自民党の構造改革路線が批判を呼び、政権交代に至ったと思った5ラ、TPP交渉参加や消費税増税を民主党政権が決めました。


 その「グローバリズム民主党政権」をはるかに上回る速度で、安倍政権はグローバリズムのトリニティに忠実に政権を運用しています。


 ここで安倍政権が倒れ、緊縮派(石破、岸田、小泉、稲田、野田など)か構造改革派(菅、小泉、橋下など)の政権が発足し、安倍政権以上のペースでグローバリズムを推進するのが「平成パターン」でございます。


 平成パターンを阻止するためには、グローバリズムの「構造」について国民が正しく知識を持ち、政治を動かすしかありません。


「そんなことで本当に変わるのか?」
 と、思われた方が多いでしょうが、何しろ他に方法がないので、仕方がありませんね。民主主義国日本では、テロや革命ではなく「言論」」により世界を変えなければならないのです。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12430750075.html
 

▲△▽▼


2019年1月9日 安倍内閣は、「コンクリートから人へ」継続内閣である。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/default/13030

安倍内閣は、民主党政権の
「コンクリートから人へ」から大きく舵を切って、
公共事業を拡充させた・・・
という論調が新聞各社では書かれています。
(例えば http://archive.gohoo.org/alerts/131229/

ですから、多くの国民、
そして多くの政治家は、素朴に

「安倍内閣は公共事業を拡大させた」

と思っていると思いたり、場合によっては、

「安倍内閣は公共事業バラマキ内閣だ」


とすら思っているものと思います。

・・・が!!

このグラフを見てください。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1635339379900332&set=a.236228089811475&type=3&theater

このグラフは、
政府の公共事業関係費の推移を示したものですが、
特に、2010年以降の推移に着目ください。

2010年〜2012年の予算は、
民主党政権が主導して作った予算です。
一方、2013年以降は、安倍政権が主導して作った予算。

ご覧のように、
当初予算と補正予算の合計値に着目すれば、
安倍政権の公共事業費は民主党政のそれよりも低いのです!

その背景には、
2011年と2012年の補整予算が、
東日本大震災の関係で大きかったということがありますが、

結果的には、安倍内閣が、
コンクリートから人へと主張した政権よりも
「少ない」インフラ投資しかしていない
というのが、実態なのです。

もちろん、「当初予算」に着目すれば、
2012年の、民主党政権の末期の「野田政権」時よりも、
安倍内閣のそれの方が「幾分高い」水準になってはいますが、

それでも、「コンクリートから人へ」と言って、
過激に公共事業を削減した「鳩山政権」時と比べれば、
安倍政権の方が、低いのです!

そもそも、安倍内閣における
公共事業関係費の「当初予算」の水準は、
民主党政権が誕生する前のどの政権よりも低い水準。

ピークに比べれば半分以下、
民主党政権直前の麻生内閣の時に比べても、
1兆円近く低い水準になっています。

こうした状況を全て加味すれば、
安倍内閣は決して「公共事業を拡大した内閣」などではなく、
「コンクリートから人へ」路線を、
明白に継続、あるいは、加速している内閣なのです。

ではなぜ、世間に、安倍内閣は
公共事業を拡大したというイメージが
流布されてしまっているのでしょうか?

その重要な原因が
「統計の取り方の変更」にあります。

実は、安倍政権になって二年目の2014年に、
それまで公共事業費にはカウントされていなかった「社会資本特会」が、
公共事業費にカウントされるようになったのです!

その結果、安倍内閣は、
2014年に公共事業を増やしたと
「見える」ようになってしまったのです。

ですが、社会資本特会は、
昔から存在しているものですから、
別に、公共事業が実態上増えたわけでもなんでもなかったわけです。

にもかかわらず
その「統計マジック」のせいで、

安倍内閣の公共事業は、民主党時代よりも
高い水準であるかのような印象が
世間に流布されてしまうようになったわけです。

上で紹介したグラフは、
その影響を除去して作ったもので、
世間に流布されているものとは違って
「本当の公共事業の増減」が見て取れるようになっているものですが、

それを見れば、安倍内閣が、
「コンクリートから人へ」継続内閣であることが、

さらに言うなら、トータルの事業費は縮小していることを勘案するなら、
「コンクリートから人へ」加速内閣ですらある、という真実が、
はっきりと分かるようになったという次第です。

これは大変に深刻な問題です。

なぜなら、安倍内閣が終わった時に、

「安倍内閣は、公共事業バラマキ政権だった」

という完全に事実とは「正反対」の
間違ったフェイク・イメージが残っていれば、
次の政権は間違いなく、
公共事業をさらに過激に削減することになるからです。

そうした最悪の未来を回避するためにもまずは、
少なくとも現時点における安倍内閣が、

コンクリートから人へ「継承」内閣

あるいは

コンクリートから人へ「加速」内閣

である事をしっかりと、
ご認識頂きたいと思います。

そして、国民の生命を守る防災減災を進めたり、
地方の疲弊を食い止めるためには、
公共事業費を拡充し、適切なインフラ投資を安倍内閣が加速させるべきなのだ

という「当たり前の認識」を、
しっかりとお持ち頂きたいと思います。




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「日本の未来を考える勉強会」ー今後三年間の成すべき国政方針ー平成30年12月20日 
講師:内閣官房参与・京都大学大学院教授 藤井 聡氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=w99I-HEfQxQ


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“増税、入管法反対”で官邸を追われた「藤井聡」官房参与語る「日本の未来は最悪に…」
政治週刊新潮 2019年1月17日号掲載


藤井聡
“イエスマン”以外は去って行く

 多くの会社で仕事納めとなった先月28日。この日、日本の中枢、安倍官邸でも、一人の男がその仕事を終えようとしていた。

「2012年以来、内閣官房参与として、安倍政権の国土強靭化政策の旗振り役をしていた藤井聡京大教授が、28日付で辞任を発表したのです」(政治部記者)

 任期を全うしての辞任であれば、ことさら注目を集めることもなかったであろう今回の人事。しかし、

「藤井さんが消費増税反対の急先鋒だったことから、更迭されたのではないかとの憶測が飛び交ったんです。彼は昨年11月、『しんぶん赤旗』にまで登場して増税批判を展開。これに菅官房長官が激怒し、半ば追われる形で官邸を去ったのでは、と囁かれているのです」(同)

 真相やいかに。藤井氏ご当人に話を聞いてみると、

「昨年12月に閣議決定された国土強靭化の5カ年計画を一区切りとして、これからは、本分である学究の分野で、自分の考えを主張していこうと思ったんです。総理とも相談の上、辞任を決めました」

 今後は安倍政権に対しても是々非々の立場で言論活動を行っていくという。

「安倍政権は、5%であった消費税を8%に増税し、今秋には10%に引き上げようとしています。こうして経済に圧力をかけ続ければ、デフレ脱却や経済再生は不可能。経済再生なき財政再建などあり得ませんし、今度の消費増税でデフレ脱却に失敗すれば、日本の未来は最悪なものとなるでしょう」

 さらに藤井氏が異を唱えるのは増税だけでない。

「入管法改正という名の“移民政策”など、経済、社会を混乱させるグローバリズムを加速させた。このような政策は本来、保守とは対極にある考え方で、一線を越えたと考える国民が保守層含めて急速に増えています」

 手枷足枷の取れた藤井氏に官邸もヒヤヒヤ?
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/01210558/?all=1


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2019年1月23日
【藤井聡】<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(前編)
https://38news.jp/economy/13105

From 藤井聡@京都大学大学院教授

先日、経済学者の松尾匡先生と
参議院議員の山本太郎先生とご一緒して、
消費増税の深刻な問題についての
シンポジウムを開催いたしました。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/440034

当日の議論は大いに盛り上がり、
これからはやはり、
「反緊縮」運動の、
国民的展開が必要だということを
改めて認識する機会となりました。
https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190121/

そんな中で、

「自分の周りに、消費増税の問題を伝えようとしても、
なかなか、伝わらない。
どうしたらいいでしょう?」

という切実なご質問を、
いくつかいただきました。

その折りには、やはり、

「デフレの時の増税は、大変なダメージをもたらす。

過去の97年増税、14年増税も共にデフレだったから、

やはり、激しく消費が減って、経済が成長できなくなった。

今はまだ、デフレだし、特に今は、世界経済の先行きも不透明。

こんな時に増税をすると、経済はさらに低迷し、

挙げ句に97年の時にそうであったように、


総税収自体が縮小し、財政を悪化させます」

と話をするのが、第一だと思います。

ですが、増税が必要だと思っている人は、
この程度の説明ではなかなか引き下がりません。

あれやこれやと、
質問をぶつけてくるものと思います。

その時に、的確に応えていくことが、
増税問題をしっかりと世論で広めていく上で、
とても大切だと思います。

こうした認識にて、
「別冊クライテリオン:消費増税を凍結せよ」
https://the-criterion.jp/backnumber/s01_201812/
の中には

Q&A
「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ
10の想定問答

というページを設けております。

この「10の想定問答」をご覧いただくと、
消費増税問題の全体像をご理解頂くこともできますし、
「別冊」の各論考の概要や関係もよく分かる―――
ということで、ここで改めて、ご紹介します。

ついては今回はまず、「前編」ということで、
Q1〜Q5をご紹介します。

――――――――――――――――――――――
Q1.「戦後二番目の景気拡大期」

などと言われている今が、増税のチャンスではないのか。


A. 今の増税は最悪のタイミングです。

今、増税してしまえば、日本は再び


激しいデフレ不況に舞い戻ってしまいます。

「戦後二番目の景気拡大期」と言われているのは、

ただ単に、景気が上向いてきている期間が「長い」、

というだけで、その成長の勢いが二番目に強い、という話とは全く違います。


現下の状況は、全く勢いのない

経済成長がダラダラと続いているにすぎません。

しかも、そのダラダラと続く成長がもたらされているのは、

単に、世界経済の好景気を背景とした「輸出の増加」がメインの要因。


日本経済の勢いそれ自身は極めて脆弱。

こんな状況で増税をしても、それを乗り越えることはできません。

それ以前に、増税をする予定の2019年というタイミングは、

文字通り「最悪」のタイミングです。

「オリンピック特需」が終わり、「世界経済」が不景気になっていき、

しかも、働き方改革で残業代が5〜8兆円程、私たちの給料が減っていく時期でもあります。

だからそもそも、増税などしなくても「大型の景気対策」が必要なくらいに、

最悪の状況になっていくのが、来年という年なのです。


そんな状況で、日本経済の6割を占める消費に

「増税」なんてしてしまえば、

最悪の経済状況となるのは明らかです。


 このあたりの状況についての詳しい議論は、

『なぜ今、「消費増税を凍結せよ!」、なのか?』

――以下、巻頭企画と呼称します――や、

本誌に寄稿された数々の経済学者、エコノミスト達の記事を参照ください。


各寄稿者がそれぞれの立場で、

それぞれの視点で、如何に来年の消費増税が


「危険」極まりないものであるのかを、冷静かつ客観的に議論しています。

――――――――――――――――――――――
Q2. 政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、増税しても大丈夫じゃない?
A. 全く大丈夫ではありません。最悪の帰結をもたらします。

そもそも軽減税率が適用されるのはごく一部。
ポイント還元なども検討されていますが、それも、ごく一部。

しかも、短期間で終了してしまいますが、

10%の消費税は、来年以降、ずっと払い続けなければならないもの。

だから、軽減税率やポイント還元等の効果は、「限定的」なのです。


しかも、「10%」になるということで、

そのインパクトはさらに拡大することも、心理学の視点から指摘されています。

(巻頭企画、および、川端祐一郎助教の本誌記事を参照ください)


さらには、先にQ1.への回答にもあるように、

来年の消費増税は「最悪のタイミング」でもあり、

その増税インパクトは恐ろしい水準に達することが真剣に危惧されます。

もちろん、消費増税のインパクトをはるかに上回る対策を行えば、

その被害を回避することはできます。

しかしその水準は、年間10兆円〜15兆円の

追加的な補正予算を経済対策として

五カ年程度継続するというものでなければなりません

(例えば、『10%消費税が日本経済を破壊する』(藤井聡著)を参照ください。

そもそも増税をしなくても、「現下のデフレ」や「オリンピック不況」等の対策だけにでも

年間10兆円規模の対策を「2年程度」続けなければならないのですから)。

もしも、政府の対策が、その水準に到達しないのなら、


「増税しても大丈夫」とは絶対に言うことは出来ないのです。

――――――――――――――――――――――
Q3.2014年に増税したけど、

今でも成長してる。やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?


A.全く、軽くありません。

増税後、消費も賃金も激しく下落し、庶民は確実に貧困化しています。

にも関わらず「輸出」が15兆円も伸びたから、

その被害が見えにくくなっているだけです。
そもそも、14年以後「成長している」といっても

その成長率は極めて低い水準です。

『巻頭企画』でも紹介しましたが、

増税によって物価も賃金も、消費も激しく下落しています。

それにも関わらず、僅かなりとも成長しているのは、

誠に「ラッキー」な事に、世界経済の好景気を受けて「輸出」が伸びているからです。

図1に示したように、増税直後から、輸出が15兆円も伸びたのです。


そもそも消費税の総額は8兆円程度ですから、

その約「二倍」もの水準で輸出が伸びたわけで、

これが、消費税増税の被害を埋め合わせています。


例えば、本誌記事の中で元日銀副総裁の岩田規久男教授が

「最近2年弱に渡って低飛行ながらもプラス成長が続いているのは、

ひとえに輸出の増加のため」と指摘している他、


経済学者の松尾匡教授や経済ジャーナリストの田村秀男氏も本誌で論じている通りです。


図1 輸出額(実質値)の推移

――――――――――――――――――――――
Q4.「成長させて税金増やす」って言うけど、

これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。無責任じゃない!?


A.断じて無責任ではありません。

そもそも人口が減少している国も含めた、日本以外のすべての国が成長しています。

日本が成長しないなんて、あり得ません。

そして、成長しなければ、貧困や格差は広がり、財政も悪化します。

だから「成長させる」と言わない政治こそ、無責任なのです。
図2をご覧ください。この図は、過去20年間の経済成長率のランキングです。

ご覧のように一つの例外を除いて、全ての国が「成長」しています。

ところが、一つだけがマイナス成長している国があります。

その国こそ、我が国日本。
成長率は、実にマイナス20%。

世界中には人口が減っている国もたくさんありますし、

いくつもの先進国がありますが、それらの国は全て成長しています。

にも関わらず日本だけ衰退しているのです。

これはつまり、日本が衰退しているのは

「人口が減っているから」でも「先進国だから」でもない、ということです。

日本だけが異常な状況にあるのです。

ではなぜ、日本だけが成長できない異常状況なのかと言えば、

それは、日本だけがデフレという「病気」にかかっているからです。

こんな「マイナス成長」の病理的なデフレを放置しておく政治こそ、

無責任政治だと言わねばなりません。
ちなみに、本誌に寄稿されたほとんど全ての経済学者、

エコノミストの皆さんが共通して指摘しているように、


財政政策と金融政策を適切に組み合わせれば、経済は成長します。

そして逆に、今このタイミングで消費増税をしてしまえば、

この「衰退」から脱却することができなくなります。

消費増税の悪影響を無視し、

日本だけが成長していないという

「真実」を無視し続ける学者やエコノミスト、


政治家の皆さん達こそが、「無責任」なのです。


図2 世界各国の過去20年間の経済成長率のランキング

――――――――――――――――――――――
Q5.今、増税して少しでも借金を減らしておかないと、

将来にツケを残すんじゃないの?


A.消費増税すると、かえって「ツケ」が拡大しまいます。「消費増税」をすると、景気が悪くなり、税収それ自体が減ってしまいます。

例えば経済学者の飯田泰之准教授が本誌で指摘しているように、

「消費増税は消費の減少を通じて景況を悪化させ,

本来得られたであろう税収を失う」ことになります。

そうなると借金がかえって増え、「ツケ」が拡大します。

それどころか、本誌座談会でも議論されているように、

消費増税をすれば「成長」できなくなって、

今日よりもさらに貧困や格差が広がると同時に、

経済力、科学技術力や防災力、国防力といったあらゆる側面で国力が弱体化し、

アジアの貧国、さらには最貧国の一つになる―――


という悪夢のような未来が、


私たちの子や孫に「ツケ回される」ことになります。

〜以上の続き(Q5〜Q10)は、次週、公開いたします〜
https://38news.jp/economy/13105



▲△▽▼

《藤井聡》過去20年で8000兆円を失った日本 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=i05Yn-Se7_Q
2018/06/14 に公開


「茹でガエルよりもっと馬鹿なんです今の日本は」

「衰退してるわけですから本当バカなんですよ日本って」

「左のインテリも右のインテリもねバカばっかやってられん」



▲△▽▼

2019年1月30日
<拡散希望>Q&A「増税やむなし」と言われたら、こう言い返せ―10の想定問答(中編)
From 藤井聡(京都大学大学院教授)

前回のメルマガでは、

『別冊クライテリオン:消費増税を想定せよ』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07JHJV5XV

に掲載した、

「増税やむなし」と言われたら、
こう言い返せ―10の想定問答

におきます、前半をご紹介しました。
https://38news.jp/economy/13105

ご紹介したのは以下の五つ。

Q1.
「戦後二番目の景気拡大期」などと言われている今が、
増税のチャンスではないのか。

Q2.
政府は「軽減税率」とかいろいろ対策するから、
増税しても大丈夫じゃない?

Q3.
2014年に増税したけど、今でも成長してる。
やっぱり増税の影響は軽いんじゃないの?

Q4.
「成長させて税金増やす」って言うけど、
これから人口も減るし、増えなかったらどうするの。
無責任じゃない!?

Q5.
今、増税して少しでも借金を減らしておかないと、
将来にツケを残すんじゃないの?

これらの回答については是非、
https://38news.jp/economy/13105
をご参照頂くとして、今日は、
残りの「想定問答」の内、
以下の「4つ」についてご紹介します。

ーーーーーーーーーーーーー
Q6.
福祉とか社会保障のためには、
やっぱ、消費増税が必要なんじゃない?

A.
社会保障のために、消費増税は、必要ありません。
むしろ、消費増税をすれば、
安定的な社会保障が不可能になってしまいます。

高齢化社会を迎えるわが国で、
「社会保障」をどうしていくのは、
とても大切な議論です。
でもだからといって、
「消費増税すべきだ!」と考えるのは、
あまりにも短絡的。
というよりもむしろ、
「愚かの極み」と言わざるを得ません。

第一に、先に指摘したように性急な消費増税で、
かえって税収が減り、
将来の社会保障が難しくなってしまいます。

あるいは、経済評論家の島倉原氏が指摘するように、
「生活に困窮している人」それ自身を減らすのが
社会保障政策の目的なのですから、
格差と貧困を拡大する消費増税など
あり得ない選択だともいえます。

第二に、本誌の座談会の中で
元財務官僚で経済学者の高橋洋一教授が指摘するように
「社会保障」のための財源に「消費税」を当てるのは、
「世界の非常識」。
おおよそ社会保障制度は、
飯田泰之准教授が指摘しているように
「世代で閉じた社会保障制度」にしておかなければ、
その持続性が保てません。

にも関わらず長期的な展望も無しに、
目先の財源確保で消費増税をしてしまえば、
経済が不安定化し、将来世代の社会保障財源が、
ますます無くなっていきます。

だから財源確保のためには、
(例えば、島倉氏が主張するように)
「成長」こそが必要なのであり、
(例えば、エコノミストの会田氏や岩田氏が論じたように)
大局的視点の下で「国債」を発行しつつ、
(例えば、高橋氏が指摘したように)
保険制度を見直すことが必要です。
そして、消費増税の代わりに、
例えば塚崎公義教授が指摘する所得税増税や、
岩田教授が指摘した相続税の見直しなどを行えばよいのです。

第三に、消費増税が行われてきた背景には、
法人税減税が繰り返されてきたという
歴史的背景があります。例えば、
経済学者の菊池英博教授が指摘しているように、
法人税が縮小してきた減税分はおおよそ、
消費税増税による増収分とほぼ同水準。

つまり
「法人税減税のために空いた穴埋めのために、
消費税が増税されてきた」
のです。だから、このバランスを見直し、
消費税のかわりに法人税を
増税すべきであるという議論は当然成立します。

このように福祉や社会保障を充実したいなら、
成長すべきであり、
一時的な国債発行の可能性も見据えながら
社会保障制度それ自身をみなすべきであり、
税制そのものを見直すべきなのです。

にも拘わらず、
目先の財源確保のために焦って消費増税をしてしまえば、
成長できず、かえって日本人の社会保障環境は
「最悪」なものとなってしまいます。

ーーーーーーーーーーーーー
Q7.
欧州では20%以上の国も多いんだから、
10%にするくらい当たり前じゃない?

A.
当たり前でも何でもありません。
そもそも日本は、「税率」それ自身が低くても、
総税収に占める消費税の割合は諸外国よりも
「高い」のです。
だからこれ以上税率を上げれば、
「世界で最も消費税に依存する国家」
になってしまいます。

経済学者の菊池英博先生の本誌記事でも紹介されている通り、
額面上の「税率」は、イギリスやドイツ、
イタリア、スウェーデンの方が圧倒的に高く、
20%前後〜25%という水準で、
仮に日本が10%にしたとしても、
その半分前後の税率しかない、と言うことができます。

しかし、「総税収に対する消費税収の割合」に着目すると、
日本が10%に増税すれば、
それらの国々よりも高い水準になってしまいます。

最も額面上の税率が高いスウェーデンでも、
「総税収に対する消費税収の割合」は
18・5%に過ぎない一方で、
日本は37%にまで達してしまいます。

こうなっている理由は、
日本だけがデフレ不況なので
所得税や法人税が少ないという事や、
諸外国では食料品などについて
消費税率「0%」という大胆な軽減税率が
適用されている事などが挙げられますが、
いずれにしてもこの様な状況で10%増税をすれば、
日本だけが異様に消費税収にだけ依存する国家になってしまいます。

ーーーーーーーーーーーーー
Q8.
どっかの学者が、
「消費増税で将来世代の不安が無くなって、
かえって消費が増える!」
って言ってたよ。
そういうこともあるんじゃない?

A.
あり得ません。
むしろ増税すれば、
将来が不安定になり、デフレが深刻化し、
人々はますます不安が大きくなって、
消費を減らしてしまいます。

確かに、私たちは将来不安があれば、
消費を控える効果はあります。

しかし、本誌で岩田規久男教授が
経済学的な視点から指摘したように、
「日本の財政状況を心配して、
消費を抑制している人は、
いたとしても、きわめてまれな人」
です。ですから、
「消費税によって、財政が改善するから、
皆が安心して消費を増やす」
という現象は現実的にはあり得ません。

むしろ私たちが将来に対して
不安な気持ちを持っているのは、「デフレ不況」
(消費者にとっての「所得」が下落し続けていく状況)
が続いているから。

だからデフレ不況が続く限り、
自分たちの将来の所得は上がらないだろうし、
それ以前に失業することすらあるかも知れない―――
という不安におびえ続けるのです。
それどころか、
消費増税はデフレを深刻化させますから、
ますます不安を高め、
消費はさらに縮小していくことでしょう。

ーーーーーーーーーーーーー
Q9.
「増税反対」って言ってる人たちって、
どうせ「民衆の受け狙い」で言ってるだけじゃないの?

A.
あり得ません。
日本の経済や財政のために必要な
「増税凍結」という方針が、
たまたま、
民衆に支持されているにすぎません。


確かに、民衆は
(例えば、評論家の小浜逸郎氏が論じているように)
「増税反対」を支持するであろうと予期されます。

そして、「民衆が支持するものが間違っている」
ということも当然あり得ます。

そして、中には「民衆の受け狙い」で
増税反対を主張する政治家もいることでしょう。

しかしだからといって、
「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
とは当然言えません。

そもそも「民衆が支持するものは、『常に』間違っている」
というのなら、
一刻も早く民主主義を辞めるべきだ、
ということになりますよね。

そういう議論はさておき、そもそも、
それぞれの政策が正しいかどうかは
民衆人気とは無関係に
客観的な分析に基づいて判断すべきもの。

そして、本誌に寄稿された専門家の皆さんが
口を揃えて言うように、例えば
「データという事実」に基づいて論じた三橋貴明氏が

「現在の日本は消費税の増税どころか、
減税、あるいは『消費税廃止』を
検討しなければならない局面である」


と断じ、
野口旭教授が経済学に基づいて
「拙速な消費増税によってその後の5年10年を無駄にする」
と主張し、さらには経済学者の飯田泰之氏が
『財政再建』の視点からすら

「消費増税は消費の減少を通じて
景況を悪化させ,本来得られたであろう
税収を失うだけではない.
景況の悪化による政権の安定性の低下は
より大きな財政の課題である社会保障改革を遅らせ,
財政危機の深刻さを増大させる」

という危機があると指摘している様に、
「このタイミング」での消費増税は
「経済」の視点からも「財政」の視点からも、
そして「実証的」にも「理論的」にも
最悪の愚策でしかないのです。

そうした「消費反対論」が、
たまたま「民衆の支持を得ているから」
というだけの理由で
「民衆の受け狙いだ!」と批判するのは、
無根拠な「誹謗中傷」であり、
単なる「濡れ衣」に過ぎないと言えるでしょう。

・・・

以上、これで10の想定問答の内、
9つまでご紹介しましたが、
あともう一つのQ&Aは

Q10.
新聞やテレビで、
学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、
彼ら、嘘ついてるの?

というもの。これについてお答えしてると、
また長くなってしまいますので・・・
次回は、このQ10について、
じっくり、たっぷりお答えしたいと思います。


https://38news.jp/economy/13148



▲△▽▼

三橋TV第43回【元内閣官房参与から見た財務省の闇】 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=8OXObV55imQ

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2019年2月6日
増税推進の学者やエコノミストは「ウソつき」である。 〜Q&A 10の想定問答(後編)〜
From 藤井聡(京都大学大学院教授)


これまで過去二周にわたって、ご紹介してきた、

「増税やむなし」と言われたら、
こう言い返せ―10の想定問答

も、いよいよ今回が最終回。

これまでの9つの想定問答は、是非、
https://38news.jp/economy/13105
https://38news.jp/economy/13148
を改めてご参照頂ければと思いますが、

本日ご紹介する最後の「想定問答」は、
以下のものです。

是非、じっくりご一読ください!

――――――――――
Q10.
新聞やテレビで、
学者や専門家が消費増税すべきだって言ってるけど、
彼ら、嘘ついてるの?

A.はい。「真実でないこと」であるという

広辞苑の「嘘」の定義に従うなら、

彼らはおしなべて「嘘」をついています。


誠に驚くべきことですが、残念ながらそれは、真実です。

『別冊クライテリオン:消費増税を想定せよ』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07JHJV5XV
に寄稿いただいた20名以上もの専門家達は、
皆、口をそろえて、
「増税派の主張は間違いだ」と、
学術的視点から指摘しています。

例えば、経済学者の岩田規久男教授は、
上記の別冊クライテリオンの中で、

「財務省と同省の政策を支持するエコノミストは、
消費税増税の経済に対する影響が軽微であるという
理由として次の3点を上げるのが常である」

と指摘した上で、
それぞれの理由が
正当化し得ないものであるということを
一つ一つ丁寧に解説しています。

同じく経済学者の浅田統一郎教授も、
別冊クライテリオンの中で、

「消費税増税の悪影響を軽視して
増税を正当化する発言が、
財務省の影響下にある
一部の経済学者や政治家等によって
なされている」


と指摘した上で、
彼らがそうした発言の根拠にしている理論
(マンデル=フレミング・モデル)が、
如何に日本経済に適用できないのかを、
厳密に論証しています。

あるいは、経済学者の松尾匡教授は、

「消費税増税推進派は、
2014年の消費税引き上げに先立ち、
引き上げても消費への影響は軽微だと
言いはっていたが、
それは本当は推進の理由としてはおかしい。
・・・『そのためにやったのだ』と
開き直らなければならない。」

と、消費増税推進派が
根本的に間違った主張を
しているに過ぎないことを、
同じく別冊クライテリオンの中で、
辛辣に批判しています。

さらには、経済学者の野口旭教授は、

「デフレは悪くないとか、
インフレは問題だとか、
ハイパー・インフレになったら
どうするとかいった
類いのものが多かった。
それは、長期デフレを招いた政策判断ミスを
糊塗して組織を守るために、
旧日銀がそのような
プロパガンダを陰に陽に流布し、
主要なメディアやエコノミストが
それにすっかり洗脳されたためである。」

と、メディア上での発言の多くが
「プロパガンダ」や「洗脳」
の帰結に過ぎないと
別冊クライテリオンの中で、
指摘しています。

このように数々の経済学者が、
「増税派」の学者やマスメディアが
「プロパガンダ」と言い得るほどの
(広辞苑の定義から言う)

「嘘」

をついているということを、
論理的に指摘しています。

では、なぜ、
増税派の学者やマスメディアは
「嘘」をついているのでしょうか。

この点を論じた実に様々な記事が、
別冊クライテリオンには寄稿されています。

第一に、経済学者の青木泰樹教授が
「増税論に潜む経済学者の嘘」
という本誌寄稿記事の中で、
そもそも「経済“学”が想定する世界」と
「現実の世界」とを混同している
(一部の)経済学者達が、
消費増税を主張しているに過ぎない、
という議論を展開しています。

例えば、経済学がモデル分析を
容易にするために導入したに過ぎない
「予算制約式」なるものに基づいて、
「現実政府も予算制約式通りに運営されねばならない」
という倒錯した議論を展開し、
その帰結として消費増税が主張されている、
というメカニズムを紹介しています。

第二に、
別冊クライテリオンの編集長の筆者も
『「学者のウソ」が、日本を滅ぼす。』

と題した記事の中で、
消費増税を目指す財務省の
意向に沿った発言を繰り返す
「御用学者」が存在している可能性を、
客観的な事実情報に基づいて
指摘しています。

この可能性については、
高橋洋一教授が本誌座談会の中で、
そして小浜逸郎氏や、
先に紹介した経済学者の先生方も、
(上記の引用からも見て取れる様に)
言外に示唆・暗示しています。

第三に、
マスメディアの実態についての
博士論文をまとめた田中皓介助教は、
「消費増税を巡る財務省プロパガンダ」

という記事の中で、
政府内でもとりわけ巨大なパワーを誇る財務省が、
マスメディア各社に消費税を支持する論調の記事を
書かせるために
実に様々なアプローチで
陰に陽に巧みに圧力をかけている、
という様子をマスメディア研究の視点から
「学術的」に明らかにしています。

同様の構図を、
「新聞だけが軽減税率の対象となる」
という論点に基づいて、
高橋洋一氏、そして、評論家の宮崎哲弥氏も
本誌座談会の中で指摘しています。

第四に、
消費増税は「財界」の影響が強く、
その影響に引きずられる形で進んでいるという構図が、
政治学者の施光恒准教授に指摘されています。

上記の座談会でもその点は指摘されています。

以上に加えて、
消費増税が進められる
社会的、政治哲学的背景が
存在していることも、
複数の論者から指摘されています。

まず、
評論家の佐藤健志氏は、
消費増税肯定論の背後には、

「ニッポンのためには、
大衆が嫌がっても断固として、
消費増税を行い、
立派な、自立した国に
ならねばならぬのだ!」

との思い込みがあり、
どれだけ不条理を指摘しても
彼らの耳には何ら届いていない
という構図を描写しています。

さらには文芸批評家の浜崎洋介氏は、
この不条理な現象は、
日本人が「思考」しなくなったことの帰結であると、
以下のように論じています。

『二〇一九年一〇月に「予定」されている
消費増税ほどに、
日本人における根深い「弱さ」を
示し出しているものはない。

そこに見出されるのは、
刻々と変化する経済的現実に対して
プラグマティックに思考していく態度ではなく、
一度決めた目標(財政再建のための消費増税)と、
それによって醸成された
「空気」(財務省内の融和と調和)のなかで、
甘い「期待」(消費増税の影響は軽微なはずだ)
だけを頼りに、
「予定」に向かって
なし崩し的に突き進んでいく日本人の姿、
これまで何度か目にしてきた
「思考」しない日本人の姿である。』

この様に、
消費増税論に「ウソ」が潜んでいる構図は、
経済学のみならず、
政治学、行政学、社会学、社会心理学、
マスメディア論のそれぞれの観点から
様々に描写されているのです。

つまり、
先の大戦の敗戦によって作り上げられた
「戦後レジームの中」で
「思考停止」に陥った日本人達が、
最強官庁によるプロパガンダや洗脳、
圧力によって都合よく作り上げられた
メディアや御用学者達の論調に載せられる形で、
深刻な経済被害が生ずることが明らかである
「10%消費増税」が、
さながら集団自殺を行うかのように
愚かにも断行されようとしている―――

という構図が、
別冊クライテリオンに寄稿された様々な学者、
評論家たちの論説から浮かび上がるわけです。

・・・・

いずれにしても、
すくなくとも筆者がみた限り、
今日の消費税推進論者の言説の中には、
まともなモノは、当方が拝見した限り、
一つもありません。

彼らはおしなべて「ウソ」をついている
(そうでなければ、騙されている)
としか言いようがありません。

ついては、身近な増税論者がいれば、
是非、今回までの三回にわたってご紹介した、
「想定問答」を活用いただきつつ、
徹底的に反論して差し上げて頂ければと思います。

日本が少しでもまともな国に近づくには、
こうした草の根的な
地道な取り組みが、
どうしても必要なのだと思います。
https://38news.jp/economy/13181



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2019年2月27日
「アベノミクス」は、結局、やられてなかった。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13240

「アベノミクス」というと、
ヒトによってとらえ方はそれぞれです。

一般的に、「金融緩和」のことだけを指して、

アベノミクスと呼ぶことが(新聞などでは)多いようです。

が、もちろん、三本の矢がそろってアベノミクス。

そもそも、当方が2012年、
(総選挙後&組閣前の)当時の安倍自民党“総裁”に
提案していた資料に掲載していたのが、
こちらのフローチャート。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700559520044984&set=a.236228089811475&type=3&theater

この考え方はいたってシンプル。

アベノミクスの全体の目標は、
(実質)賃金を上げて、国民を豊にすること。

そのために、
第一に、「金融政策」で日銀から金融市場に
大量のマネーを供給します、

第二に、そのマネーを、金融市場から
実態経済に注入するために、
徹底的な「財政政策」を行います。

(その際に、その財政でインフラを形成すると、
経済成長はさらに加速されます)

そうして実態経済が活性化すれば、
国民への所得が増えていき、
国民が豊かになっていく・・・

これが、当方のアベノミクスと呼ばれる経済政策の
全体イメージ、でした。

そして、おそらくは、誰が考えても、
「三本の矢」を前提としたアベノミクスというものは、

このイメージにならざるを得ないものです。

では、安倍内閣は実際に、
このイメージ通りに
アベノミクスを展開したのでしょうか?

まず、「金融政策」については、
文句なく徹底的に進められています。
(マネタリーベースが何倍にもなりました)

では、「財政政策」についてはどうかというと・・・
残念ながら、全く進められておらず、
民主党政権の方が、
積極的に展開していた、というのが実態なのです。

こちらのグラフをご覧ください。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700564250044511&set=a.236228089811475&type=3&theater

これは、
「政府が民間に注入したマネー量から、
政府が民間から吸い上げたマネー量を差し引いた値」
つまり、政府の民間への資金供給量の推移を示しています。

ご覧の様に、安倍内閣が誕生してから、
一貫して、民間への資金供給量は
縮小されてきたのです。

これを、先ほどのフローチャートで言うなら、
本来なら、左側の「金融市場」から右側の「実体経済」
に政府がマネーを注入していかなければならないところ、
それを「やらない」どころか、むしろ「縮小」させて、
右側の「実体経済」から右側の「金融市場」に、
マネーを吸い上げる圧力をかけ続けていった、

という次第です。

これでは、国民の賃金が上昇していく筈はありません。

実際、下記のグラフに示した様に、
(このグラフは、三橋さんが公表データに基づいて作られたものです)
安倍内閣下で、実質賃金は、下落の一途をたどっています。


https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12440253064-14354710285.html

つまり、安倍内閣下で、国民は貧困化していったわけです。

ただし・・・

民主党末期であり安倍内閣が誕生した年とその翌年の
「2012年」「2013年」は、
実質賃金は1%以上もの上昇を見せています。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-12440253064-14354710285.html

これは偏に、2012年、2013年までは、
民主党政権、ならびに、それを一部継続した安倍内閣が、
豊富な資金を民間市場に供給していたからです。

先に示したグラフを再度確認すると・・・


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1700564250044511&set=a.236228089811475&type=3&theater

2012年、2013年は、GDPの7〜8%程度、
つまり、40兆円もの資金を、
政府が民間に注入していたのです。

ところが、2014年の4月に消費税を増税。

政府が民間から大量のマネーを吸い上げ始めます。

これによって、資金供給量は一気に縮小。

資金供給量は、
安倍内閣誕生時点で40兆円だったのが、
今や、11兆円にまで縮小しています。

そしてこれによって経済は再びデフレ化しはじめ、
実質賃金は下落の一途を辿るようになったのです。

・・・

ちなみに、この「資金供給量」という尺度は、
別名「財政赤字」と言われます。

したがって、安倍内閣は、
プライマリーバランス黒字化目標なるものを立て、
財政赤字を一生懸命削っていったのですが、
それは、マクロ経済的に言うと、ただ単に、
資金供給量を縮小させたと言う話に過ぎないのです。

つまり、現状において、
アベノミクスが「失敗」していると評価するなら、
それは、アベノミクスそれ自身が悪いのではなく、
偏に、アベノミクスがやられなかったからに
過ぎないのです。

そして、なぜ、アベノミクスがやられなかったのかと言えば、
本来は拡大すべき、
「政府の資金供給量」という数値を、
「財政赤字」と、さも悪いものであるかの様にレッテル張りし、
いそいそと、その縮減に努めたからに他ならないのです。

だから、デフレ化を促進する他無い消費増税が断行され、
今もなお、さらに10%まで上げようという議論が
後を絶たないのです。

今からでも遅くはありません。


「カロリー」は
肥満体質の人々にとっては
「悪」なのかもしれませんが、
栄養失調の人々にとっては、
「善」なのです。

安倍総理でも、次の総理でも誰でもよいので、
(少なくともデフレが脱却するまでの間は)
「政府の資金供給量」に「財政赤字」という
下らないレッテル張りをすることをやめ、
「資金供給量」と正しく呼称しつつ、
それを拡大する取り組みを徹底推進いただきたいと思います。

今のままでは、日本は確実に衰弱し、
国民が貧困化していく他ないのです−――。

https://38news.jp/economy/13240



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2019年3月6日

財務省は今、安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の全てを、国民のためでなく「自分のため」に活用しています。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)

突然ですが今、
経済、財政、金融、防衛、科学技術、
インフラ、農業等の様々な視点から、
今後の日本の政治のあるべき姿を「提言」する本

を書いています。

出版は5月か6月頃になるかと思いますが、
それを執筆する中で、
現在の安倍内閣による政治が、
一体どのようなものだったのかを
客観データに基づいて「検証」する作業を
進めています。

その中でとりまとめてグラフの一つがこちら。


この一枚のグラフは、
今の日本で展開されている「政治の本質」

を理解する上で、
極めて重大な意味をもっています。

今日はこの「一枚のグラフ」が暗示する
恐ろしい「真実」を、解説したいと思います。

・・・

安倍内閣下で税収は、
実に17兆円も拡大しました。

安倍内閣誕生時点の2012年度の税収が
42兆円に過ぎなかった一方で、
2018年時点では59兆円にまで拡大したのです。

詳細はまた別途解説したいと思いますが、
消費増税によって7兆円、
世界経済の好景気に牽引される形で実現した
「26兆円もの輸出拡大」によってもたらされた
経済成長による自然増収10兆円によって、
合計17兆円、割合にして実に40%も拡大したのです。

では、この17兆円の増収を、
安倍内閣は一体何に投入していったのかを検証した結果、
得られたものが、このグラフなのです。


ご覧の様に、圧倒的に多くの「増収分」が、
「赤字圧縮」政策に投入されています。

「赤字圧縮」政策とはつまり、
「借金削減」政策であり、
広い意味で言えば「借金返済」政策と
言うこともできます。

その金額は10兆円、
17兆円の増収の実に「6割以上」もの水準に
達しています。

具体的に言うなら、安倍内閣は、
新しく国債発行額を縮減するために
10兆円もの巨大な税収を活用したわけです。

その一方で、
社会保障の拡大に6・6兆円が活用されているのを除けば、
17兆円の増収分は、
その他の政策項目にほとんど活用されていない様子が
見て取れます。

公共事業が0・2兆円、
防衛が0・5兆円拡大していますが、
その拡大分は17兆円の税収拡大分から
拠出されているというよりはむしろ、
総務省が所管している「地方交付税交付金」を
1兆円以上削ることで拠出したものです。

そして、
文部科学行政や環境、農水、外交に到っては、
予算が全く増えておらず、17兆円の増収分が
「一切」活用されていないのです。

つまり安倍内閣は税収が40%も拡大し、
17兆円も豊かな収入が得られる様になったにも関わらず、
(法律的に拠出する金額が規定されている)社会保障の
増分には致し方なく充当している一方で、
それ以外の全て、
実に増収の6割にあたる10兆円以上もの大量の税収を、
「赤字圧縮」行政に投入してしまっているのです。

言うまでも無く、
「赤字圧縮」政策を推進する官庁は財務省。

一方で、それ以外の政策項目を所管する省庁は、
その他全ての省庁です。

そして、
この予算の配分を決定する事務を所管するのも財務省です。

つまり財務省は、
17兆円もの増収分をどこに投入するかを決定する事務を
所管しているわけですが、
法律的に削除することが原理的に出来ない
「社会保障」に致し方なく一部(しぶしぶ)回した上で、

防衛や公共事業など、
政策的に拡大することが必要な部分については、
僅かに増やしたものの、その拡大分も、
地方自治体に回す交付税交付金を削ることで捻出したのです。

つまり、防災や国防など、
国家国民の最低限の安心や安全のため行政には
予算の拡大が必須ではないかという声に応えるために、
財務省は、地方自治体に回す分をむしり取って、
その分のカネを用意したというわけです。

こう見れば、「赤字圧縮」行政を所管する財務省は、
安倍内閣下で、
「赤字圧縮」政策ために必要な
「支出の抑制」の仕事をほぼ完璧にやり遂げたのです。

そしてそれを通して、
10兆円にも上る国民の血税を
政府の借金、あるいは赤字を圧縮するため
「だけ」に活用したのです。

すなわち・・・

財務省は今、
安倍内閣下で増えた「自由に使える血税」の「全て」を、
国民のためでなく自分のために活用しているのです。

借金返済は何の富も国民にもたらさないにも拘わらず、

そして、

もしも他省庁の「国民のための行政」に活用していれば、
経済が成長し、税収がさらに拡大していたにも拘わらず・・・

一人でも多くの国民が、
この恐るべき真実を理解されんことを、
心から祈念したいと思います。
https://38news.jp/economy/13285


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2019年3月20日
大蔵省から「財務省」に転換した時、平成デフレーションは決定づけられた
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13369

今、政府はプライマリーバランス(PB:基礎的財政収支)の
黒字化目標を掲げており、
その目標通りに、増税と支出カットが
毎年繰り返され続けてきました。


その結果、政府が市場に供給するマネーが
大幅に縮減し、デフレが継続し続けています。

そして、そんなPB目標を導入し、
それに忠実に財政が運営されているのは、
財務省の設置法に、
「財務省は、健全な財政の確保・・・を任務とする。」

と明記されているからだ、
というのは、先週ご紹介したところです。
https://38news.jp/economy/13344

つまり、財務省の役人たちは、
国民経済が疲弊しようが、
国勢が衰弱しようが、そんな事に何も気にせず、
真面目にこの法律に記載されたとおりに、
「政府の財布」の健全化を目指し続けてきたわけで、
その結果が、20年以上にも及ぶデフレだったわけです。

では、そんな理不尽な設置法がいつ作られたのかというと・・・
財務省が、2001年に誕生した時なのです。


それ以前はどうだったかというと、
財務省は「大蔵省」という名称の省でしたが、
その設置法には、そんな任務は記載されていなかったのです。

大蔵省の設置法は、次のようなものだったのです。

「第三条 大蔵省は、
左に掲げる事項に関する
国の行政事務及び事業を
一体的に遂行する責任を負う
行政機関とする。
一 国の財務
二 通貨
三 金融
四 証券取引
五 造幣事業
六 印刷事業」

つまり、大蔵省の設置法には、
「健全な財政」なぞという文言は一切無く、
ただ、仕事の内容が淡々と書かれていただけだったのです。

だから、日本は1998年からデフレになりましたが、
その直後から2000年頃までは
小渕内閣が徹底的な財政政策を展開していたのです。

大蔵省はそれを無理やり阻止することは
しなかったわけです。

しかし、2001年に財務省が設置されてから、
そうした財政出動はほとんど無くなってしまいました。

例えば、公共事業関係費に着目すると、
「シーリング」と言って、
機械的に当初予算を削るようになったのは、
財務省が設置された2001年からでした。


トータルの政府の財政を見るために、
政府の民間への資金供給量全般を確認すると、
やはり、2001年の財務省設置以降、
激しく、右肩下がりで急落していく様子が、
このグラフからも見て取れます。


その経緯を詳しく見ると、
次のような事実が明らかになります。

まず、2001年に健全な財政を確保するための省庁として、
財務省が設置されます。

すると、その翌年2002年には、
プライマリーバランス目標が導入されます。


その後は、その目標にそって、
機械的に財政支出が抑制され続け、
政府の資金供給量は減少の一途を辿っていきます。


しかし、2008年にリーマンショックが勃発し、
事実上、プライマリーバランス目標は撤回されます。

ところが、ショックの翌々年の2010年には、
再びプライマリーバランス目標が導入されます。

その後、2000年代と同様、
政府の資金供給量は減少し続けていきます。

つまり、
財務省が設置された途端に、
設置法で明記された「健全な財政」を機械的に確保すべく
プライマリーバランス黒字化目標が導入され、
リーマンショックによって一時的に解除された時期以外は、
ひたすらにその目標が守られ、
政府の市場への資金供給量は、
一貫して縮減されてきたのです!

これこそ、日本がデフレ脱却出来な基本的な理由です。

筆者は、デフレ脱却を果たすために、
PB目標を撤廃すべきだ、という
「PB亡国論」を唱え続けてきましたが、
実はその背後には、
「財務省設置法」という問題があったわけです。

したがって、20年以上も続く「平成デフレーション」は、
2001年に、大蔵省が財務省へと衣替えをした瞬間に、
決定づけられていたわけです。

だからデフレ脱却を果たすためには、
財務省の設置法を、
大蔵省の設置法と同様に、
ただただ「財務省の仕事の内容は、国の財務である」という旨を
明記するだけのものに修正する等の対応が必要です。

あるいは、健全と言う言葉を用いるのなら、
財務省の主任務を「健全な財政の確保」ではなく

「健全な国民経済に基づく健全な財政の確保」


あるいは

「国民経済に基づく財政基盤の健全性の確保」等


へと修正すべきなのです。

以上の筆者の意見に賛同される国民は是非、
この問題を世論において、
そして国会において取り上げて頂いて、
優秀な財務省の官僚の皆さんが、
もうこれ以上、国民の暮らしを毀損することなく
日本国民のために気持ちよく仕事ができる環境を
作って差し上げて頂きたいと思います。
https://38news.jp/economy/13369



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【経済討論】日本経済、滅びの道をひた走り?![桜H31-4-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sobuc4VM2pI

◆経済討論−日本経済、滅びの道をひた走り?!

パネリスト:
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 石井孝明(ジャーナリスト)
 高橋洋一(嘉悦大学教授・「政策工房」会長)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 松田学(松田政策研究所代表・元衆議院議員)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
 渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総



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2019年4月17日
MMT(現代貨幣理論)とは、「現代社会の実態に即した、貨幣に関する政策論」です。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13499

昨今俄に注目を集めているMMT(現代貨幣理論)。

今年の年明け頃までは、
一部の学者や評論家、あるいは、
ネットユーザー達にしか知られていなかったこの理論が、
今、俄に注目を集めているのは、
その主張の「衝撃度」が極めて高いからです。

例えば、ウィキペディアを見れば、

「政府は将来の支払いに対して非制限的な支払い能力を有して・・・いる。そのため、政府の債務超過による破綻は起こりえない。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/Modern_Monetary_Theory#cite_note-MMTreply-1

という、Tymoigne and Wrayの言葉が紹介されていますし、日経新聞は、MMTを

『通貨発行権を持つ国家は債務返済に充てる貨幣を自在に創出できるため、「財政赤字で国は破綻しない」と説く。』
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43695190S9A410C1EA3000/

と紹介しています。

国内の多くの論者は今、
この「財政赤字で国は破綻しない」という一点だけをとって、
MMTを徹底的に批判・批難しています。

例えば、日本のメディア上では今、

MMTは「異端」だ

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO43692690S9A410C1EA3000/
https://www.asahi.com/articles/ASM444VCTM44ULFA02C.html

と報道するのが一般的流儀、となっています。

しかし、MMTの論者達は別に、
「実際に」政府は無限に債務を拡大しても「良い」、
とは言っておらず
「理論的には」政府は無限に債務を拡大「できる」
という、控えめな主張をしているに過ぎず、
そこまで批判・批難される筋合い等何もないのです。

・・・・

では、MMTの本質とは一体何かといえば、
(筆者なりの方法で説明するとするなら)

「『貨幣とは“負債”である』という「客観的事実」を前提とし、
「現代社会の様々な現実」を踏まえながら
なすべき経済政策の在り方を考える理論体系』

というもの。

そしてこの
『貨幣とは“負債”である』(あるいは、借用書である)
という一点を前提とすれば、
(主流派経済学からは)「革命的」とも言い得るような
様々な「理論的帰結」
を導き出す事が可能となります。

(MMTの論理にご関心なき方は、
下記の「帰結」だけでもご参照ください)

帰結1:「借り手がいる限り、貨幣は、原理的には、銀行によって無制限に増やすことが可能」
(現実:全ての銀行で行われている現実)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、借り主達が銀行からカネを(準備金制度やbis規制の制約、借り手の返済能力の制約の下で)「借り続けられていられる限り」においては、「負債は拡大する」=「貨幣が創造される」こととなる)

帰結2:「政府は、税収に制約されず、任意に財政支出量を調整(拡大・縮小)できる」
(現実:GDPの240%もの国債を発行している)
(理由:そもそも、「貨幣は負債」だから、政府が(自国通貨建ての)国債を発行し「カネを借りる」ことを通して、税収とは無関係に、貨幣の創造量=貨幣の供給量=国債発行額を調整できる)

帰結3:「ただし、政府が、過剰なインフレになってしまう程に大量の国債を発行すると、国民生活は苦しくなる」
(現実:幸か不幸か、デフレ日本の現状は、そうした状況からはほど遠い・・・)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を発行しすぎると、国内の供給力を大幅に上回るほどの需要が発生し、過剰なインフレとなり、国民生活が苦しくなる。)

帰結4:「したがって、政府が、望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債を発行すると、経済は順調に成長することになる」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状は、そうした状況に達していない)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行に伴う政府支出の拡大は、貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、国債を「適切」に発行すると、国内の供給力を幾分上回るほどの需要が発生し、マイルドなレベルのインフレとなる。)

帰結5:「逆に言うと、政府が、『望ましいレベルのマイルドなインフレになる程度の国債額』を下回る水準でしか国債を発行しなければ、デフレ化し、経済は低迷する。そして、国民は貧困化する。」
(現実:誠に不幸なことに、PB規制をかけているデフレ日本の現状はまさにこうした状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債発行は貨幣量を拡大する。そして、貨幣量が拡大すると需要が拡大する。だから、逆に言うなら、国債を「適切」に発行しなければ、総需要は、国内の供給力に比して十分でない水準となり、ゼロ成長、あるいは、デフレとなる)

帰結6:「したがって、デフレ下の政府が、『PB黒字化』のために国際発行額を抑制すると、デフレがさらに深刻化する。」
(現実:誠に不幸なことに、今の日本はこの状態)
(理由:「貨幣は負債」だから、税収が低いデフレ下で「PB黒字化」を目指すために国債発行額を縮小すれば、政府支出が縮小し、政府による貨幣供給量が下落する。結果、需要はさらに縮小し、デフレが深刻化する。)

帰結7:「政府が全ての国債を返済(償還)してしまうと、市場内の貨幣は大幅に縮小し、深刻なデフレとなるリスクが拡大する」
(現実:デフレ化の日本でPB赤字を縮小しようとして、デフレが深刻化し、日本経済は今、混乱状態になっている)
(理由:「貨幣は負債」である以上、市場におけるあらゆる貨幣は、民間および政府の負債である。そのうちの政府の負債がゼロになれば、当然、貨幣は縮小し、その結果、需要も大幅に縮小し、激しいデフレとなるリスクが拡大する。ただし、「バブル経済」状況では、そのリスクは最小化される。)

帰結8:「政府の徴税能力が崩壊すれば、貨幣が流通しなくなる」
(現実:日本では徴税能力が十分あるため日本円は十分流通している。一方、政府の徴税能力が無くなった国家では、当該国の通貨は――当該国民の信頼を無くしてしまうので――流通しなくなり、ドルなどの国際通貨が使用されはじめるようになる)
(理由:「貨幣は負債」である以上、「信用」がなければ、負債が出来なくなる。そして通貨創造における国内最大の信用は「政府の徴税能力」によって産み出される。だから(統合)政府は、その徴税能力のお陰で、「負債」を負うことが可能なのであり、その借用証書としての「貨幣」を、人々が受け入れる形で発行することが可能となっている。しかし、徴税能力が無くなれば、その政府はもう「負債」が不可能となり、(統合)政府の借用証書である「貨幣」を人々が受け入れなくなってしまう。結果、例えばアメリカ政府の徴税能力に裏打ちされた米ドルを、外国においてすら人々が使うようになってしまう)

帰結9:「政府の国債がどれだけ増えても、金利は上がらない。むしろ、下がる。」
(現実:国債はGDPの240%も発行しているが、金利は極めて低い状況にある)
(理由:「貨幣は負債」だから、国債を発行すると貨幣が市場に供給され、さらに国債を買う余地が市場において拡大する。そうなると必然的に、各銀行の準備金等も拡大し、それらを通して金利は下がる。)

・・・以上の他にも、
様々な帰結を導くことができるのですが、
これらは全て、
「貨幣は負債」だから・・・
から出発して、導かれるのです。

それはまるで、
物理学における古典力学は、
「ma=f」を出発点とし
(後は現実的な制約条件を導入していけば)
全て解けるようになる・・・
という話とそっくりです。

にも拘わらず、
今日の主流は経済学や経済財政政策は全て、
貨幣を「負債」ではなく
紙幣そのものに価値がある「商品」と捉えています。


この、「貨幣についての認識」の間違いにこそ、
今の経済学や経済政策が間違え続けている、
根本的原因があるのです。

(すなわち、皮肉な事に、
「主流派経済学が間違った貨幣観に基づいて、
間違った経済政策を演繹し続けている」
という事実からも、
MMTの正しさが証明されているわけです)

ついてはこれからは是非、
「オカネとは負債であって、借用書なのだ!」
という「真実」に基づいて
あらゆる経済政策を考えて頂きたいと思います。

そうすれば、後はじっくり時間をかければ、
誰でも必ず、「正解」にたどり着けるのです。

追伸:
私たちは今、こうしたまっとうな議論に基づいて、
「令和時代」を作らねばなりません。
ついては今、表現者クライテリオンでは、
「令和への建白書」を最新号として取りまとめました!
その根幹は、「令和八策」。
令和ピボット運動の「理論的支柱」ともなり得る
この建白書、是非、ご一読ください!
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/

—発行者より—
総理「政権中にこれを破棄できなければ、日本はオシマイ」

三橋貴明と総理との会談時で明かされた真実。

●総理が、三橋との会食をオープンに
(世に公開)してまで国民に伝えたかった事とは…?

●この会食で明らかになった、
私たちの邪魔をする[3つの敵の正体]とは?

●2020年に訪れるかもしれない
日本の危機的状況とは一体何なのか?

日本が発端となり、
2008年のリーマンショックが再来する?

などなどメディアが決して報道しない
「安倍総理の告白」と「日本経済2020年危機」
について解説した書籍を出版致しました。

こちらから詳しい内容をご覧ください。
https://keieikagakupub.com/38JPEC/1980/


https://38news.jp/economy/13499



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2019年4月24日
政府の支出拡大が財政を健全化することを「数学的に証明」します。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13526

世間では、財政健全化のためには、政府支出をカットしていくことが必要だ、消費増税などをして緊縮を進めることが必要だ―――と信じ込まれています。

しかし、今日の日本では実は、そんな風にして緊縮を進めれば進めるほど、財政が悪化しているのです。

そのためにいろいろな論者が、経済成長の視点を加味しつつ、様々な説明を試みてきましたが、今日はそれとは全く違う観点から、政府の支出拡大が財政を健全化する、というお話しをいたしたいと思います。

今日のお話は、極めてシンプルでしかも画期的、なものです。

何が画期的かと言えば、仮に、政府の支出拡大による経済刺激効果がさして大きくなく、乗数効果が「1」程度であったとしても、政府支出拡大は財政健全化を導く、という点を数学的に明らかにした、というところです。

まず、日本政府は今、G20の「サンクトペテルブルク文書」や「骨太の方針」などの公式文書で、PBと同等、あるいはそれ以上に重視している財政規律が、「債務対GDP比」の安定化・引き下げです。

この「債務対GDP比」について数学的、実証的に分析したところ次のようなことが明らかとなりました。

まず、下記グラフをご覧ください。これは、2017年度において、もしももっと多くの政府支出をしていた場合、債務対GDP比はどうなっていたのか・・・を分析したものです。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1773338826100386&set=a.236228089811475&type=3&theater


ご覧の様に、政府支出を拡大しておけばしておくほど、債務対GD比は「小さく」なっていただろう、ということが明らかに示されています(このグラフの詳細は、本メルマガの文末にて解説しています)。

ちなみに、2016年度の債務対GDP比の実績値は197%で、2017年度のそれは199%と2%程「悪化」していましたが、もしも政府が追加的に13.7兆円以上の支出を(補正予算等の形で)拡大していれば、2017年度の債務対GDP比は悪化せず「改善」していたであろう、ということが分かります。

(ちなみに、以上は、乗数効果が、政府がしばしば使用する1の場合の結論です。乗数効果が2の場合なら、4.6兆円以上の追加支出があれば、債務対GDPは改善していた、という結論になります)

つまり、債務対GDP比が200%程度にある状況では、政府支出を拡大すれば(10兆円程度の支出によって、金融政策を徹底的に進めている今日の日本で金利が大きく変化することもあり得ませんから)、分母も分子も同じだけ拡大し、結果、その比率は「縮小」することになるのです。

つまり、債務対GDP比の視点から言うなら、簡単な数式から「政府支出の拡大が財政を改善する」ということが数学的に証明できるのです。

極めて単純な「分数」のお話しです。

以上は、2017年の日本と言う一ケースについてのお話ですが、以上のお話は、数学的に網羅的に証明することができます。

詳細にご関心の方は、是非、以下の【政府支出の拡大が債務対GDP比を改善する事の数理的証明と実証分析】をご一読ください(今日のメルマガにて、この数理展開は初めて公表するものですが、今後、別途学術的な媒体で公表したいと思います)。

なお、さらに言うならこの分析結果をさらに別の角度から考えれば、債務対GDP比が200%程度の今日の日本なら、(借金返済のために)消費増税を行えば、かえって債務対GDP比が「悪化」するであろうということも理論的に予測されることになります。

なぜなら、消費税を行って政府支出を拡大しなければ、債務対GDP比の分母も分子も縮小しますが、それによってその比率は「悪化」することになるからです。

・・・

いずれにせよ、今の日本では、「政府支出を拡大するほうが、債務対GDP比という視点から財政は改善していく」、そして逆に「緊縮を重ねる程に、債務対GDP比は悪化していく」という数学的かつ実証的な「真実」をしっかりとご理解いただきたいと思います。

【政府支出の拡大が債務対GDP比を改善する事の数理的証明と実証分析】

今、ある年次tの累積債務をR、GDPをGと定義する。

そして、その翌年t+1年次の累積債務、GDPをそれぞれR’、G’とし、かつ、それらとR, Gとの関係が以下のものであると考える。

R’=pR (t+1年次の累積債務について)
G’=qG (t+1年次のGDPについて)

と表記する。ここに、p, qは累積債務とGDPの前年比のパラメータである(例えば3%増えたら1.03、5%減ったら0.95等)。

ここで、もし仮にt+1年次に政府がXの財政支出を行った場合の累積債務とGDPをそれぞれR’’, G’’と表記すると、その場合の乗数がaだとすれば、

R’’=R’+X (t+1年次の累積債務について)
G’’=G’+aX (t+1年次のGDPについて)

したがって、

R’’=pR+X (t+1年次の累積債務について)
G’’=qG+aX (t+1年次のGDPについて)

以上を前提とすると、債務対GDP比の引き下げ、という「債務対GDP比制約」というものは、

R/G > R’’/G’’

であり、以上の式を代入すると次のように整理できる。

R/G > (pR+X)/(qG+aX)

これをさらに整理すると、

X > (p –q)RG/(aR-G) if (aR-G) > 0
X 0

これはつまり、「 (aR-G) > 0」の場合、政府の追加支出が(p –q)RG/(aR-G)「以上」であれば、債務対GDP比が前年以下となり、一方、もしも「 (aR-G) (p –q)RG/(aR-G) if (aR-G) > 0
X 0

という、「債務対GDP比が改善していく条件式」から求めることができる。

まず、2016年のR,Gの値から「aR-G」を求めると(仮に乗数効果を、政府がよく使用する「1」という水準にしておけば)520兆円という値になる。これは明らかに正であるから、債務対GDP比を改善する政府追加支出額の条件は、

X > (p –q)RG/(aR-G)

となる。そして、「(p –q)RG/(aR-G)」の値を、2016年のGDPと累積債務の実績値、ならびに、それぞれの2017年度に対する比率であるp、qの実績値(それぞれ、1.029、1.017)を挿入すれば、13.7兆円という数字が得られることとなる。

なお、以上の分析における乗数効果を1ではなく、2であると想定すると、政府支出はさらに少なくても、債務対GDP比を改善することができる。その場合の追加支出額は、4.6兆円である。

つまり、乗数効果が多ければ、債務対GDP比の分母であるGDPがより効率的に拡大していくため、政府支出の拡大は、より効率的に債務対GDP比を改善していくのである。

なお、もしも政府支出の拡大が「金利の上昇」を導くなら、以上の結論に調整を加えることが必要となる。しかし、金融緩和が強力に進められている今日の日本において、5兆円や10兆円規模の追加の政府支出の拡大が、上記の論理展開に影響を及ぼす程の金利拡大をもたらすとは現実的には考えがたい。

なお、実証的な分析からは、1兆円の赤字拡大は長期金利を約0.15〜0.25bps(=0.0015%〜0.0025%)上げるという分析結果も報告されているが、これは実質的にほとんど影響しない、と判断できる水準である。
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007149554

しかも、政府支出の拡大の金利への影響については、上記のように、「金利上昇をもたらす」という指摘以外に、かえって「下落」させるという指摘もある。というよりむしろ、今日の日本では、実際に、累積債務の拡大に伴って金利は下落し続けているのが実態である。ついては今後はこうした理論的可能性を踏まえつつ、金利の変動を加味して以上の数学的証明を拡張していくという展開が考えられる。

ただし繰り返すが、「金融緩和が強力に進められている今日の日本において、5兆円や10兆円規模の追加の政府支出の拡大が、上記の論理展開に影響を及ぼす程の金利拡大をもたらすとは現実的には考えがたい」ため、以上の数学的論証および実証分析は、今日の日本経済に十分以上に妥当するものである考えられる。

以上

追伸:

以上の数学的証明が難しくとも、下記の『私立Z学園の憂鬱』なら、小学生でもわかると思います。特に「第二話」は圧倒的に分かりやすいです! 是非、いろんな方に紹介・拡散差し上げてください!
https://indies.mangabox.me/amp/manga/14526/


https://38news.jp/economy/13526



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京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会:
「 MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」【講師:青木泰樹】 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=7fH3IXUoJ6M&feature=youtu.be


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2019年5月1日
財務省が紹介した「有識者のMMT批判」の「間違い」を解説します。
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13570

いよいよ「令和」となりました!

この新しい御代が、明るく、
素晴らしい時代となるためにも是非、
無粋にも、愚かしい帰結を導くこと必定な
消費税増税は今、避けねばなりません。

そんな議論の中で、今、
大きな話題を集めているのが、MMT(現代貨幣理論)。

このMMTについては、
連日、新聞、雑誌に取り上げられていますが、
その多くが「批判的」論調です。

こうした状況の背後には、

「MMTが正しければ、
今年10月の消費増税なんて論外だ、
ということが“発覚”してしまう」

から、という事情があります。

ですから、メディアに大きな影響を持つ、
財務省を中心とした「緊縮派」の勢力は、
MMTを躍起になって否定しようとしているわけです。

彼らにしてみれば、
特に今は、10月の消費増税前の「正念場」ですから、
MMTが普及してしまうことを、
過剰に恐れているわけです。

そんな彼らが、MMT批判に活用している、
ほぼ唯一のツールは
「外国の権威の学者さん達」の意見。

例えば、財務省が、
4月17日に公表したペーパーには
17人もの経済学者達のMMT批判を
ずらりと並べています。
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417/01.pdf

しかしそれらの批判の実に多くが、
「単なるMMTについての認識不足」
に基づくもの。

例えば、シラー教授は、
「政府はどこまでも財政赤字を無限に続けられる」
というMMTは極めて悪質だと批判し、
パウエルFRB議長は、
「赤字は問題にならないという考えは全く誤っている」
とMMTを批判していますが、
MMTは決してそんなことは主張していません。

マイルドなインフレを超えるほどの赤字拡大は
控えるべきだと、名言しているのがMMTだからです。

それ以外の典型的なMMT批判が、
ポールクルーグマン氏の次のような批判です。

「債務については、経済の持続可能な成長率が利子率より高いか低いかに多くを左右されるだろう。もし、これまでや現在のように成長率が利子率より高いのであれば大きな問題にならないが、金利が成長率より高くなれば債務が雪だるま式に増える可能性がある。

債務は富全体を超えて無限に大きくなることはできず、残高が増えるほど、人々は高い利子を要求するだろう。つまり、ある時点において、債務の増加を食い止めるために十分大きなプライマリー黒字の達成を強いられるのである。」
(2019年2月12日、ニューヨークタイムス)

この指摘は要するに、国債発行額の上限は、
MMTが主張するような「(マイルド)インフレになるまで」
というだけでは、場合によっては、
債務は無限に拡大してしまうこともある、
だから、債務が無限に拡大してしまうことを避けるためにも、
「債務対GDP比が発散させない」
ということも制約の一つとして考慮すべきである、
というものです。

クルーグマン氏は、もともと、
デフレ状況では、デフレ脱却こそが優先されるべきであり、
したがって、債務の拡大を気にせず、
デフレ脱却まで徹底的に財政拡大をすべきだ、
と何度も論じてきた経済学者です。

したがって、このMMT批判は、
「アメリカの様に、デフレでない経済を想定した批判」
であり、
「日本の様な、デフレ経済を想定した批判」
ではないと言えるでしょう。

したがって、この批判を「日本」の財務省が、
MMT批判の文脈で引用すること自体が
根本的に間違っているともいえるのですが・・・

それはさておいても、
このクルーグマン氏のMMT批判について、
アメリカのMMT論者の一人であるケルトン女史が、
強く批判しています。
(例えば、こちら http://econdays.net/?p=10437

当方もまた、このケルトン女史の批判に強く賛同します。

なぜなら、クルーグマンは、
国債発行は、資金の枯渇をもたらし、
金利の上昇をもたらすと想定している一方、
現実のマーケットでは、
(ケルトン女史が主張するように)
国債発行は、資金供給量を拡大するため、
金利の高騰は起こらず金利はむしろ下落する、
という現象が起こっているからです。

ただし、こうしたケルトン女史の批判に加えて、
先週お話した「債務対GDP比の安定化条件」を加味すると、
以下のように批判することもできます。

・・・

今回のクルーグマン氏の指摘は、国債発行額を、「(マイルド)インフレ」以下になるようにするという、いわば「マイルド・インフレ制約」を考えておけば、国債発行額を債務対GDP比が発散させない範囲内にとどめるという「債務対GDP比制約」には必ずしも配慮しなくてもいい、という理論的可能性について考察されていない。

実際、日本(ならびに、現在のアメリカ)の様に債務対GDP比が少なくとも100%を超えている場合(仮に乗数効果が1にしか過ぎなかったとしても)、「債務対GDP比制約」は、事実上、現実的な水準では存在していないことが数理的に明らかにされている(https://38news.jp/economy/13526)。
(※ なお先週の上記記事は、クルーグマン氏のMMT批判に数理的に改めて反論するための下準備として公表したものです)

したがって、(債務対GDP比がはるかに1を下回る国ならいざ知らず)少なくとも日本においては、クルーグマン氏の懸念は単なる「杞憂」に過ぎない。

なお、ケルトン女史の指摘をさらに踏まえるなら、(債務対GDP比の水準が如何様であろうとも)マイルド・インフレ制約の方が、債務対GDP比制約よりも、より「厳しい」ものとなるという条件が成立する可能性がより高いものとなることが理論的に予想される。

なぜなら、MMTの理論的帰結として導かれ、しかも、現実の経済において観測される「国債発行額の拡大が国債金利を引き下げる」という現実の現象があり、かつ、「中央銀行の国債保有分については、政府の利払いは必要ない」という現実があるからである。

以上より、クルーグマン氏が懸念する「債務対GDP比制約に配慮して、国債発行額を抑制すべき必然性」は必ずしも高くなく、かつ、少なくとも今の日本においては、その必然性は事実上皆無である。

・・・

なお、クルーグマン氏以外の様々な論者の批判についても、
その多くは、このクルーグマン氏への反論で
十分に対応可能なものです。

なぜなら、伝統的な経済学者の多くが、
金利と国債発行、そして、債務対GDP比についての
基本的な「現実」を踏まえていない、
という事情があるあるからです。

ついてはクルーグマン氏をはじめとした世界の有識者達には、
(MMTについてのより適正な認識の形成というよりむしろ)
政府赤字と金利、そして債務対GDP比についての
「実際上の関係」をしっかりと認識頂いた上で、
それぞれの国情に即した適切な経済財政政策を提言されんことを、
心から祈念申し上げたいと思います。

追伸1:
財政政策の現実の現場では、何が効果的な「支出項目」なのかの判断が何よりも重要。ついては是非、当方の今年最初の新著であります、「インフラ・イノベーション」を是非ご参照ください。
https://www.amazon.co.jp/dp/459408205X
(本書の解説は、こちらをどうぞ https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20190429/

追伸2:
「令和ピボット」の詳しい考え方については是非、表現者クライテリオンの最新刊「令和への建白書」をご一読ください!
https://the-criterion.jp/backnumber/84_201905/
(10%OFFの定期購読は、コチラから→https://the-criterion.jp/subscription/


https://38news.jp/economy/13570




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【Front Japan 桜】インフラ・イノベーション〜強くて豊かな国をつくるプロジェクト[桜R1-5-15] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=XkjeLoT5W-A

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[2019 5 13放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=3hwKNUWk3_c


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「日本の未来を考える勉強会」ーMMTの真実〜日本経済と現代貨幣理論〜
ー令和元年5月15日 講師:京都大学大学院教授 藤井 聡氏 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=s2Uj-_RolsY


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2019年5月20日
<号外速報>「内需冷え込み」による輸入急落が無ければ、名目成長率は「マイナス2・7%」です。
From藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/13663

今朝5月20日の午前、
政府からGDP速報値が公表されました。

1−3月期のGDPは、
経済の冷え込みからマイナス成長になるのでは、
との観測が支配的でしたが、
蓋を開けてみればなんと、年率プラス2・1%。

この「意外」な結果を受けて早速、
茂木大臣などは消費増税を行うと明言しています。
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN1SQ01O.html

しかし、今回のGDPプラス成長は、
「単なる見かけ上」の数字。


何と言っても、今回の成長に最も寄与したのが、
内需の拡大でも輸出の拡大でもなく、
「輸入の減少」だったからです!


具体的に言うなら、
名目値で言えば、102.9兆円もあった輸出が
94.7兆円へと8.2兆円も一気に急落。

この8.2兆円の急落が、見かけ上、GDPを押し上げたのです。
(統計上、輸出はGDPから「差し引く」項目なのです)


もしもこの輸入減が無ければ、
GDPはプラス成長どころか、
名目で年率マイナス2・7%になっていたのです!
(実質では年率マイナス1・3%)

ではなぜ、輸入がここまで急落したのかと言えば、
内需が冷え込み、日本人の購買力が下落したからです。


事実、消費も投資も下落しています。
https://this.kiji.is/502993738726098017

つまり今回のGDP成長は、
内需が冷え込み過ぎたあおりを受けて輸入が減り、
その結果、もたらされた
「単なる見かけ上」の数字に過ぎなかったのです。

統計はあくまでも統計。

使いこなすには、
それを読み解くリテラシー(読解能力)が必須です。

日本政府、そして、国会においては、
的確なリテラシーに基づく
正しき政治判断を下されんことを、
心から祈念したいと思います。
https://38news.jp/economy/13663


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【Front Japan 桜】日本経済が落第生の理由 -
今の消費増税は「害」しかない[桜R1-5-24] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q

キャスター:三橋貴明・藤井聡

■ ニュースPick Up

■ 日本経済が落第生の理由

■ 今の消費増税は「害」しかない



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世界経済はバブル崩壊直前

【Front Japan 桜】日本経済が落第生の理由 -
今の消費増税は「害」しかない[桜R1-5-24] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4POHZ97qB8Q

キャスター:三橋貴明・藤井聡




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令和の政策ピボットの「資料室」
https://reiwapivot.jp/library/


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元国税調査官が暴露。財務省が消費増税をゴリ押しする本当の理由
https://www.mag2.com/p/news/400450
2019.06.03 大村大次郎『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』 まぐまぐニュース


先日掲載の「元国税が暴く『ヨーロッパに比べ日本の消費税はまだ安い』の大嘘」等で、消費税の「出鱈目ぶり」を指摘し続けてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。今回大村さんはメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、それほど酷い税金「消費税」を財務省が推進したがる理由を暴露しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

消費税のラスボスは財務省

これまで、このメルマガでは消費税がいかに欠陥だらけの税金なのかをご説明してきました。総務省の「家計調査」によると2002年には一世帯あたりの家計消費は320万円をこえていたが、現在は290万円ちょっとしかありません。先進国で家計消費が減っている国というのは、日本くらいしかないのです。これでは景気が低迷するのは当たり前です。

この細り続けている消費にさらに税金をかけたらどうなるでしょう?景気がさらに悪化し、国民生活が大きなダメージを受けることは火を見るより明らかです。実際に、消費税が上がるたびに景気が悪くなり、消費が細っていくという悪循環を、日本は平成の間ずっとたどってきたのです。

この欠陥だらけの消費税を一体だれが推進してきたのでしょうか?最大の「ラスボス」は財務省なのです。政治家が消費税を推進してきたように思っている方が多いかもしれないが、それは勘違いです。

政治家は、税金の詳細についてはわかりません。だから、財務省の言いなりになって、消費税を推奨してきただけです。むしろ、政治家は、消費税の導入や税率アップには、何度も躊躇してきました。増税をすれば支持率が下がるからです。

それを強引にねじ伏せて、消費税を推進させてきたのは、まぎれもなく財務省です。なぜ財務省は、これほど消費税に固執し、推進してきたのでしょうか?

「国民の生活をよくするため」
「国の将来のため」

などでは、まったくありません。ざっくり言えば、「自分たちの権益」を維持するためです。今号から2回にわたって、なぜ財務省が消費税を強力に推進してきたのか? 彼らが守ろうとしてきた権益とは何なのかを紐解いていきたいと思います。

財務省は財界の代弁者

まず最初に念頭に置いていただきたいのは、財務省のキャリア官僚にとっては、「消費税は実利がある」ということです。消費税が増税されることによって、彼らは間接的にではありますが、大きな利益を手にするのです。なぜなら、大企業と財務省は、根の部分でつながっているからです。

ただ財務省といっても、財務省の職員すべてのことではありません。財務省の「キャリア官僚」のみの話です。なぜ財務省のキャリア官僚が、消費税の増税で利益を得るのかというと、それは彼らの「天下り先」に利をもたらすからです。天下り先が潤うことで、財務省のキャリア官僚たちは、間接的に実利を得るのです。

財務省のキャリア官僚のほとんどは、退職後、日本の超一流企業に天下りしています。三井、三菱などの旧財閥系企業グループをはじめ、トヨタ、JT(日本たばこ産業)、各種の銀行、金融機関等々の役員におさまるのです。

しかも、彼らは数社から「非常勤役員」の椅子を用意されるので、ほとんど仕事もせずに濡れ手に粟で大金を手にすることができるのです。

財務省キャリアで、事務次官、国税庁長官経験者らは生涯で8億〜10億円を稼げるとも言われています。この辺の事情は、ネットや週刊誌を見ればいくらでも出てくるので、興味のある方は調べてください。

つまり財務キャリアたちは将来、必ず大企業の厄介になる、そのため、大企業に利するということは、自分たちに利するということなのです。

このメルマガでも何度か説明してきましたように、消費税というのは大企業にとって非常に有利なのです。というのも、消費税の導入や消費税の増税は、法人税の減税とセットとされてきたからです。

消費税が導入された1989年、消費税が3%から5%に引き上げられた1997年、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年。そのいずれも、ほぼ同時期に法人税の引き下げが行われています。その結果、法人税の税収は大幅に減っています。

法人税は、消費税導入時の1989年には19兆円ありました。しかし、2018年には12兆円になっているのです。つまり法人税は、実質40%近くも下げられているのです。

「日本の法人税は世界的に見て高いから、下げられてもいいはず」と思っている人もいるかもしれません。が、その考えは、財務省のプロパガンダにまんまとひっかかっているのです。

日本の法人税は、名目上の税率は非常に高くなっていますが、大企業には「試験研究税制」「輸出企業優遇税制」などの様々な抜け道があり、実質的な税率はかなり低いのです。

日本の法人税が実質的に低いことの証左は、日本企業の内部留保金を見ればわかります。日本企業はバブル崩壊以降に内部留保金を倍増させ446兆円にも達しています。

また日本企業は、保有している手持ち資金(現金預金など)も200兆円近くあります。これは、経済規模から見れば断トツの世界一であり、これほど企業がお金を貯め込んでいる国はほかにないのです。

アメリカの手元資金は日本の1.5倍ありますが、アメリカの経済規模は日本の4倍です。経済規模に換算すると、日本はアメリカの2.5倍の手元資金を持っていることになるのです。世界一の経済大国であるアメリカ企業の2.5倍の預貯金を日本企業は持っているんですよ!

だから、本来、増税するのであれば、消費税ではなく、法人税であるべきなのです。なのに、なぜ法人税ではなく消費税を増税するのかというと、先ほども述べたように財務省のエリートたちは、大企業に天下りしていくため、彼らは財界の代弁者となってしまっているのです。

なぜ大企業は財務省キャリアを受け入れたがるのか?

官僚の天下りというのは、昔から問題になっていたことであり、何度も国会等で改善策が施されたはずです。官僚の天下りはもうなくなったのではないか、と思っている人もいるはずです。

確かに、財務官僚以外のキャリア官僚たちの天下りは、大幅に減っています。が、財務官僚の天下りだけは、今でもしっかり存在するのです。なぜ財務官僚だけが、今でも堂々と天下りをしていられるのでしょうか?

実は、現在の天下りの規制には、抜け穴が存在するのです。現在の公務員の天下り規制は、「公務員での職務で利害関係があった企業」が対象となっています。が、この「利害関係があった企業」というのが、非常に対象が狭いのです。

たとえば、国土交通省で公共事業の担当だった官僚が、公共事業をしている企業に求職をしてはならない、という感じです。が、少しでも担当が違ったりすれば、「関係ない」ことになるのです。

また、バブル崩壊以降の長い日本経済低迷により、企業たちも天下り官僚を受け入れる枠を減らしてきました。だから、官僚の天下りは相対的には減っています。しかし、財務官僚だけは、ブランド力が圧倒的に強いために、天下りの席はいくらでも用意されるのです。

財務省というのは、一般の人が思っているよりはるかに大きな国家権力を持っています。財政だけじゃなく、政治や民間経済にまで大きな影響を及ぼしているのです。日本で最強の権力を持っているとさえいえます。そのため、その権力をあてにして、大企業が群がってくるのです。

しかも、企業にとって、財務官僚の天下りを受け入れるということは、税金対策にもなります。財務省は国税庁を事実上の支配下に置いており、徴税権も握っています。そのため各企業は、税金において手心を加えてもらうために、競うようにして財務官僚の天下りを受け入れているのです。

つまりは、大企業が税金対策のために財務官僚を天下りで受け入れていることが、国民全体に大きな損害をもたらしているといえるのです。

もし財務官僚を「上場企業への天下り禁止」などにすれば、国の税制は大きく変わるはずです。少なくとも、今のような大企業優遇、消費税推進などの流れは必ず変更されるはずです。(メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』より一部抜粋)



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2019年6月12日
吉川洋氏の「地震に備えて消費増税を」論を完全撃破します
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13838

誠に驚くべき意見です。

東京大学名誉教授で、
元日本経済学会会長で、
財政審議会の元会長でもある
現立正大学教授の吉川洋先生が、
次のように語ったとのこと。

「大地震が30年以内に起こる確率は驚くべき高さであり、いつか必ず来ると言ってもよい。被害金額は半端ではないが、それに耐えなければならない。地道に財政再建に向けた努力を続けていかなければならない」

そしてその上で、
10%への消費増税については、
本当にリーマン級のショックだとはっきりしない限りは、
「先延ばしすべきでない」
と語ったそうです。

つまり、南海トラフ地震に対する
日本の強靭化の一環として、
消費増税をしておくべきだ、という話。

これほどのトンデモない詭弁は、
耳にしたことがありません。

そもそも私は、
国土強靭化担当の内閣官房参与を六年間勤め、
現在でも、政府の国土強靭化の有識者会議の座長を務めており、
巨大地震が来た時に、
金融不安も含めた深刻な事態を回避するために、
一体何が必要なのかを議論し続けてきました。

その議論の中で、
「強靭化のために消費増税をしておきましょう」
なぞという議論は、
財務省サイドからも、金融庁サイドからも
未だかつて耳にしたことがありません。

なぜなら、消費増税は、
強靭化を導く対策では一切ないからであり、
さすがにそのようなことを、
政府の真面目な強靭化の会議で、
財務省・金融庁側から主張するようなことは
不可能だからです。

もうどこから吉川氏の主張の詭弁性を
明らかにしていけばいいのか
分からない程に、激しくでたらめなご主張ですが、
一つ一つ論じていきましょう。

第一に、地震が起こって、
財政の危機的状況(例えばデフォルト)が起こるとすれば、
それは、その時点での財政の健全性ではなく、
最後の貸し手である日銀が、
地震時点で即座に対応できない、
という場合に限られます。

ですから、強靭化の議論では、
日銀や金融庁、さらには、財務大臣や総理大臣が、
迅速に対応可能な状況をつくるべきだ、
という議論と対策を進めています。

「増税をして財政を地道に健全化しましょう」
というような吉川氏がイメージしているであろう悠長な議論など、
強靭化の議論の現場では、全く通用しないのです。

第二に、地震が起こり、復興しなければならない場合、
そのコストは税収でなく、
国債で賄うのが常識です。

そもそも、税収で復興すると決める、
ということイコール、
復興をあきらめる、ということを意味します。

なぜなら、
一般会計は平時の支出で「いっぱいっぱい」なわけで、
地震時にはそれに「追加」して、
莫大な復興費がかかるわけですから、
国債以外の財源などあり得ないのです。

だから、吉川氏がイメージしているであろう、
「復興にはオカネがいるから、
普段から税収を増やしておきましょう」
なぞという、悠長な話は全く通用しないのです。

その様なことをやっていては、
大怪我をした子供を、
今、手元にオカネがないからというだけの理由で放置して
死に至らしめてしまうように、
日本は二度と復興できなくなってしまうでしょう。

それ以外にも、

・そもそも、消費増税を行い、デフレが悪化すれば、
民間の強靭化投資の水準が低下し、
日本の強靭性は低下し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する

・消費増税をして支出をカットするという、
吉川氏がイメージしているような対策をすれば、
公的な強靭化投資も縮小し、
地震の被害が拡大する。
そしてその結果、先と同じく地震後の復興支出も拡大し、
地震後の収入も縮小し、
地震による財政被害が極大化する

という問題を指摘することもできます

いずれにせよ、
国土強靭化の政府の有識者会議の座長である当方の目から見れば、
吉川氏の主張は、
巨大地震の時に一体何が起こるのかについて
冷静に考え続けてきた
国土強靭化の議論のすべてを無視し、
ただ単に、「地震が起こる危機があると言う事実」と、
「消費増税をすべきだという結論」を
機械的に接続した、
著しく思慮の書いた暴論ないしは詭弁にしか、
残念ながら見えないのです。

万一、強靭化の有識者会議の座長である筆者に
吉川氏からの以上についての反論があるなら、
いつでも反論いただきたいと思います。

反論できるのなら是非とも、
反論していただきたいと思います。

追伸1:
真の強靱化のために何が求められているのか・・・については是非、
「インフラ・イノベーション」
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/
を、ご一読ください。

追伸2:
こうした吉川市の議論からの「ピボット」のためには是非、筆者の新著「令和日本・再生計画」をお読みください!
https://www.amazon.co.jp/dp/409825350X




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「MMT批判」がいかに不条理か、徹底的に指摘する
「有りもしない亡霊」におびえ、なすべき政策を葬るつもりか
2019.6.11 (藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663

 今、話題を集めているMMT(現代貨幣理論)。その具体的な主張は、自国通貨建ての国債で政府が破綻(デフォルト)することはないのだから、デフレが脱却できるまでは、政府は消費増税を凍結すると同時に、国債で財源を調達して政府支出を拡大していくことが必要だ、というものだ。

 しかしこれまで政府は、国債は政府の「借金」なのだから望ましくない、だから国債はできるだけ抑制すべきだ、というスタンスを取り続けてきたし、多くの経済学者達もその見解を支持し続けてきた。だから、政府や学者達にとっては、これまでの政府見解と正反対の主張をするMMTは、トンでもない不当な理論に過ぎない、と激しく反発した。

変わってきたMMT批判の視点

 彼らは当初、「無制限の財政支出の拡大を主張するMMTはトンデモない」というタイプの批判を繰り返した。しかし、こうした批判は全く間違った批判だった。なぜならMMTは「少なすぎる支出」を問題視すると同時に、過剰なインフレになれば今度は逆に支出を抑制すべきである、という形で「多過ぎる支出」をも問題視するものだからである。

 つまりMMTは両者を考慮しながら政府支出額を調整すべきだというタイプの新たな「財政規律」を主張するなのだ(詳細は例えば、こちらの拙稿を参照されたい。『経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず』、「JBpress」2019年5月21日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429)。

 MMTに対するこうした初期的な批判に対する反論が様々に展開されたせいか、「無制限に支出を許容するMMTはトンデモない」というタイプの批判は徐々に少なくなっていった。しかし、それとともにこれまでとは少し違った、次のようなタイプの批判が繰り返されるようになっていった。

『MMTの提唱者は「インフレにならない限り、財政赤字は問題ない」と主張するが、増税や歳出削減には法律改正や政府予算の議決が必要で、それほど機動的に変更できるわけではないから、インフレ加速の危険性が明らかになってから財政赤字を削減しようとしても間に合わない可能性が大きい』(「東洋経済ONLINE」2019年04月28日、櫨浩一 : ニッセイ基礎研究所 専務理事)https://toyokeizai.net/articles/-/278558

『予算というものは、一度それを作ったら、それを前提とした様々な社会構造が出来上がり、変更するには多大な経済的社会的コストを要するうえ、民主主義社会においては政治的コストも膨大で、インフレ率を見て突然変えるなどと言うことは到底出来っこないものなのです』(「論座」2019年5月16日、米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019051500003.html

『日銀の原田泰審議委員は・・・「現代貨幣理論(MMT)」に否定的な考えを示した。「必ずインフレが起きる。(提唱者は)インフレになれば増税や政府支出を減らしてコントロールできると言っているが、現実問題としてできるかというと非常に怪しい」との認識を示した』(「日本経済新聞」2019年5月22日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45118610S9A520C1000000/


 こうした批判は一言で言うなら「インフレ抑制不能」批判と言えるだろうが、これらは皆、不当極まりないものでしかない。それについては例えばMMT論者の一人である中野剛志氏が、『MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由』(「東洋経済ONLINE」2019年05月29日、https://toyokeizai.net/articles/-/283186)の中で的確に論じているが、筆者もまた、別の角度から改めて「インフレ制御不能」批判の不当性、不条理性を徹底的に指摘することとしたい。

「インフレ制御不能」批判は不当な言いがかりである

 そもそも、彼らは「一旦、財政政策を拡大すれば、抑制できなくなる」と心配しているようだが、これはあからさまな杞憂(無用の心配)だ。

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 そもそも「政府予算」というものは、補正予算と当初予算とで構成されている。ここ最近の日本政府の予算を振り返れば、確かに当初予算は急激に増えたり減ったりしてはいないが、補正予算は多い時には15兆円程度の水準に達していた一方、ほとんどゼロである場合もあった。つまり、今の現実の予算は、15兆円程度の「泳ぎしろ」があって運用されているのであって、補正予算を効果的に活用すれば、一旦予算が増えれば縮小が難しくなる、ということなど絶対あり得ない。

 しかも、過去20年間、我が国は高いインフレ率ではなく、低すぎるインフレ率に苦しめられてきたわけだが、そうなっているのはもちろん、国会で決められる予算の総額が、適正な水準よりも遙かに低く水準に抑制されてきたからだ。その中で例えば公共投資について言うなら、実にかつての「半分」程度にまで削減されてきた。つまり我が国は(その是非はさておき)、「当初予算」についても現実に「削減してきた」という実績を持つのである。

 つまり、政府支出の量をアクセルで例えるなら、我が国は確かにアクセルを踏み込んだり弱めたりする能力を明確に持っているのであり、かつ、現実にそのように調整してきているのである。だから「インフレ制御不能」批判は、アクセルを調整しながら日常的にクルマを運転しているドライバーに対して、「おまえはアクセルを一旦踏み込めば緩めなくなってしまうかもしれない。だからクルマの運転なんてもうやめなさい」と批難するようなものだ。これは単なる不当な言いがかりと言うほか無かろう。


MMTを知らずに濡れ衣だけを着せるMMT批判論者

 しかも、「インフレ抑制不能」批判論者達は、MMTは財政を引き締めることだけでインフレを抑制しようとする論理だと考えているようだが、これもまた単なる誤解だ。そもそもMMTは財政政策「だけ」で、インフレを抑制しようとしているのではなく、財政政策と金融政策をあわせて、インフレ率を抑制すべきだと主張するものだ。

 例えば、現在のアベノミクスに重大な影響を及ぼした「リフレ理論」と呼ばれる経済理論を主張する人々もまた、MMTと同様に過度に高いインフレ率は抑制すべきだ主張しているが、その際に彼らが主張しているのが金融政策だ。つまり彼らは、金融引き締めでインフレ率を抑制すべきだと論じているわけだが、その点はMMTにおいても全く同じなのである。むしろ、財政政策をあまり強調しないリフレ派よりも、金融政策に加えて財政政策も政策オプションとして提案するMMTの方が、金融政策をとりわけ強調するリフレ理論よりもインフレ率をより強力に抑制できると言えよう。

 つまり彼らの批判は、MMTとは何かについて十分に知らないままに展開されている、実にいい加減なものに過ぎないのである。

それは、デフレの恐怖について無知過ぎる破壊的な批判

 さらに言うなら、「確かに財政を出せばインフレになるが、インフレが抑制できなくなるのは良くないから、財政拡大はすべきではない」という彼ら見解は、よくよく考えてみれば、「インフレになるくらいなら、今のままのデフレの方がましだ」と主張しているに等しいものだ。


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 しかし、デフレは日本国民の豊かな暮らしを蝕み、日本国家の国力を衰弱させる極めて恐ろしい深刻な病だ。1998年からデフレに突入した日本は、貧困が蔓延し、格差が拡大し、平均世帯収入は135万円も下落した。政府の収入も縮小し、赤字国債発行額も年々拡大し、財政論者達が四六時中心配している「財政」もまた悪化していった。

上記のMMT批判論者達は、そんなデフレの凄まじい恐怖を全て度外視し、インフレになることを過剰に恐れて、今のままのデフレでいいのだと考えているわけだ。つまり彼らのメンタリティは、「ガリガリにやせ細った栄養失調状況にあり、あらゆる体調不良が顕在化しているにも関わらず、肥満になってしまうことに過度に怯えて、ほとんど何も食べられなくなっている拒食症患者」のそれと全く同じなのだ。このまま彼らの言いなりになっていては、早晩、そんな拒食症の人間が命を落としてしまうように、我が国はもう取り返しのつかない状態にまで衰退していくことは避けられないだろう。

日本はMMTで「制御できないインフレ」にはならない

 しかも、その「制御できないようなインフレになるかもしれない」という話自体もまた、文字通りの杞憂に過ぎない代物だ。

 そもそも、上記に紹介した記事中で中野氏が指摘しているように、制御不能なインフレになるのは、戦争や大地震によって生産能力が著しく破壊されるといった、極端なケースの場合に限られる。そういう極端ケースでは激しいモノ不足が生じ、モノの値段が激しく上昇するのだが、そうでもない限り、そんな極端なモノ不足が、十分な生産能力を持った先進諸国の一翼を担うこの日本で起こることなどあり得ない。実際、制御不能なインフレに陥ったのは、ジンバブエやザイール、ベネズエラなどの、生産能力が十分存在しないいわゆる発展途上国に限られているわけだ。

 この点を考えると、「制御不能なインフレが怖いから、何もしない方がよい」というMMT批判のメンタリティは、「あらゆる食べモノには毒が入っているかもしれない――という絶対にあり得ない病理的な思い込みが頭から離れず、何もモノが食べられなくなってしまった神経症患者」の様なものなのだ。

「有りもしない亡霊」におびえ続ける愚を避けよ

 この様に、現時点で、最も典型的なMMT批判である「インフレ制御不能」批判なるものは、

 第一に、日本は財政を拡大したり縮小したりする能力を実際に持っていると言う点で、MMTに対する不当な言いがかりに過ぎないのであり、

 第二に、MMTは別に財政政策だけでインフレ率を制御すべしなどとは一切言っていないに関わらず、MMTはさもそう主張しているかのような印象操作を図っていると言う点において、MMTに対して不当な濡れ衣を着せるものであり、

 第三に、制御不能なインフレになど、十分な生産能力を持つ先進経済大国である日本が陥る筈等あり得ない、と言う点で、単なる「妄想」にとりつかれた、著しく不条理な批判に過ぎないのであり、

 そして第四に、何もせずにデフレを放置し続けることは、現在、そして将来の日本国民に激しい被害をもたらすという現状認識を一切忘れていると言う点で、甚大なる被害をもたらす恐るべき無責任発言に過ぎないのである。

 つまりMMTに対する「インフレ制御不能」批判は、これだけ多面的に完全論破される批判も少ないのでは無いかと思えてしまうほどに、お粗末極まりない代物なのである。

 だから政府は今、何を恐れることも無く、合理的な支出項目とは何かをしっかりと考えながら、デフレ脱却までは粛々と政府支出を拡大すればそれで良いのである。わが国はもうそろそろ、過剰インフレというありもしない亡霊に怯えて政府支出を抑制し続ける愚をやめねば、取り返しのつかない最悪の状態に立ち至ることになろう。

 一日も早く、為政者達による賢明なる政治判断が実現されんことを、心から祈念したい。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663



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経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず
MMTは財政規律の「破棄」でなく「改善」を主張している
2019.5.21(藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429
 今、MMT(現代貨幣理論)が話題だ。今アメリカで「ブーム」を巻き起こしている民主党の史上最年少議員アレクサンドリア・オカシオコルテス女史が、MMTを強烈に支持しつつ超大型の景気対策を主張したことがそのきっかけだ。

 しかし、ポール・クルーグマンやロバート・シラーなど、ノーベル賞を受賞した主流派経済学者たちがこのMMTに一斉に反発。それだけでも話題だったのだが、それに対して今度はステファニー・ケルトン教授を中心としたMMT論者達が、ひるむことなく徹底的に反発したことでMMTの話題はさらに拡大した。

日米で話題騒然となったMMT

 こうした流れは、瞬く間に日本にも上陸した。

 とりわけ、MMTは、デフレ状況下では、デフレが終わるまでは財政赤字を拡大していくべきだと理論的に主張するものであるから、今年10月に予定されている消費増税の是非の議論を巡って、MMTはさらに話題となっている。MMTによれば、デフレ下の消費増税など論外だと瞬く間に結論付けられるからだ。

 そんな中、西田昌司参議院議員等が麻生財務大臣や安倍総理大臣にMMTについて質問を行うなど、その議論は国会にも飛び火した。一方で、消費税の推進を図る財務省は、審議会の中で、MMTを批判する海外の多数の経済学者達の声を何ページにもわたって掲載する等の強烈な反応を示したことで、さらにMMTが話題となっていった。

MMTの具体的な中身

 もう少し、詳しく言うなら、MMTとは、具体的には以下の3つを主張するものと捉えることができる。その最初の主張はこういうものだ。

(MMTの主張1)
 政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられないのだから、借金したくないという思いに囚われて、政府支出を抑制するのはナンセンスである。だから政府の支出は、借金をどの程度以下に抑えるかということを“基準”にしてはならない。何か別の、国民の幸福に資する“基準”が必要である。

 MMTがしばしば激しく批判されるのは、この主張の一行目の「政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられない」という部分なのだが、実はこれは、専門家の間では、誰もが認識している当たり前の見解なのだ。例えば、財務省も、自身の公式ホームページで、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と言明している。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm


MMTに強烈な反応を示した財務省


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 これは、政府が破綻しそうになれば、中央銀行である日銀が必ず「最後の貸し手」として、カネを貸してくれるためだ。だから政府は日本円建てで借金をしている限り、「破綻」することは考えられないのだ。こうした自明の事実を踏まえれば、破綻に怯えて、借金を減らす事ばかり過剰に考えるのはナンセンスだ、とMMTは考えるのである。

 では、赤字を減らすという財政基準でなく、「何か別の、国民の幸福に資する財政規律」として何が必要かなのかを実際の経済の仕組みを踏まえて考えれば、自ずと以下の“下限基準”と“上限基準”が必要であるという現実が見えてくる。

(MMTの主張2)
 経済が停滞しており成長が必要とされている場合、政府は財政赤字を拡大することを通して、その目的を達成することができる。逆に言うなら、政府支出(あるいは財政赤字)の“下限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)経済が停滞してしまう程度の政府支出量である。

(MMTの主張3)
 政府支出(あるいは財政赤字)を、その国の供給量を超えて拡大し続ければ、過剰なインフレになる。したがって、政府支出(あるいは財政赤字)の“上限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)過剰インフレになってしまう程度の政府支出量である。(MMTの主張3)

 ちなみに、具体的な政府支出の下限と上限の基準としては、これまでのインフレ率の実績を踏まえると、「下限」については、おおよそ(コアコアCPIという尺度で)2%程度を想定することができよう。実際、現在のアベノミクスにおいても日銀がこの水準を目標としている。さすがにこれを下回る状況は、不健全だと考えるわけだ。一方で、インフレ率が4%、ないしはさらに安全を見て3%を上回るような状況は、これもまた不健全だと言うことができる。日本では80年代以前は高いインフレに苦しめられたのだが、その水準がちょうど、3〜4%以上だったからだ。

 つまりこの点に着目し、「インフレ率3〜4%を超える程の過度なインフレになってしまう程に過剰な政府支出=赤字」を上限、「インフレ率2%を下回る程の過度なデフレや停滞になってしまう程に少なすぎる政府支出=赤字」を下限とする、という「新たな財政規律」を提案しているのがMMTなのである。

 ただし、インフレ率には、日銀の金融政策も大きな影響を及ぼすことは間違いない。だから、この財政規律に基づく運用においては、可能な限り適切な金融政策が並行して実施されていることが必要な点は、忘れてはならない。

 いずれにせよ、MMTは、一部の日本のマスコミや評論家連中が言うような「トンデモ理論」とは決して言えないものなのだ。それよりもむしろ、これまでの財政規律の不条理性を指摘した上で、それをより適切なものへと財政規律を「改善」することを主張する、至って理性的なものなのである。

 兎にも角にも、日本人はインフレになることを恐れすぎた余り、デフレを放置しすぎてしまったようだ。これではまるで、栄養失調で死にかけている時に、肥満だった過去の記憶に過剰に怯えて食事を口に出来なくなってしまっているようなものだ。そんな時には、少しくらいは食事を口にしないと、体が持たない。この程度の話は「常識」に過ぎない話である筈だ。

 MMTは、そんな「常識」を呼び覚まし、今日、我々が陥っている状況それ自身の「非常識さ」を教えてくれている。これまでのモノの見方に過剰にこだわり続ける人々からは「トンデモ」であり「異端」に見えるのかも知れないが、その中身をよくよく精査してみれば、至って穏健な理論なのである。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429




▲△▽▼

「MMT批判」がいかに不条理か、徹底的に指摘する
「有りもしない亡霊」におびえ、なすべき政策を葬るつもりか
2019.6.11 (藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663

 今、話題を集めているMMT(現代貨幣理論)。その具体的な主張は、自国通貨建ての国債で政府が破綻(デフォルト)することはないのだから、デフレが脱却できるまでは、政府は消費増税を凍結すると同時に、国債で財源を調達して政府支出を拡大していくことが必要だ、というものだ。

 しかしこれまで政府は、国債は政府の「借金」なのだから望ましくない、だから国債はできるだけ抑制すべきだ、というスタンスを取り続けてきたし、多くの経済学者達もその見解を支持し続けてきた。だから、政府や学者達にとっては、これまでの政府見解と正反対の主張をするMMTは、トンでもない不当な理論に過ぎない、と激しく反発した。

変わってきたMMT批判の視点

 彼らは当初、「無制限の財政支出の拡大を主張するMMTはトンデモない」というタイプの批判を繰り返した。しかし、こうした批判は全く間違った批判だった。なぜならMMTは「少なすぎる支出」を問題視すると同時に、過剰なインフレになれば今度は逆に支出を抑制すべきである、という形で「多過ぎる支出」をも問題視するものだからである。

 つまりMMTは両者を考慮しながら政府支出額を調整すべきだというタイプの新たな「財政規律」を主張するなのだ(詳細は例えば、こちらの拙稿を参照されたい。『経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず』、「JBpress」2019年5月21日、https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429)。


 MMTに対するこうした初期的な批判に対する反論が様々に展開されたせいか、「無制限に支出を許容するMMTはトンデモない」というタイプの批判は徐々に少なくなっていった。しかし、それとともにこれまでとは少し違った、次のようなタイプの批判が繰り返されるようになっていった。

『MMTの提唱者は「インフレにならない限り、財政赤字は問題ない」と主張するが、増税や歳出削減には法律改正や政府予算の議決が必要で、それほど機動的に変更できるわけではないから、インフレ加速の危険性が明らかになってから財政赤字を削減しようとしても間に合わない可能性が大きい』(「東洋経済ONLINE」2019年04月28日、櫨浩一 : ニッセイ基礎研究所 専務理事)https://toyokeizai.net/articles/-/278558

『予算というものは、一度それを作ったら、それを前提とした様々な社会構造が出来上がり、変更するには多大な経済的社会的コストを要するうえ、民主主義社会においては政治的コストも膨大で、インフレ率を見て突然変えるなどと言うことは到底出来っこないものなのです』(「論座」2019年5月16日、米山隆一 前新潟県知事。弁護士・医学博士)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019051500003.html

『日銀の原田泰審議委員は・・・「現代貨幣理論(MMT)」に否定的な考えを示した。「必ずインフレが起きる。(提唱者は)インフレになれば増税や政府支出を減らしてコントロールできると言っているが、現実問題としてできるかというと非常に怪しい」との認識を示した』(「日本経済新聞」2019年5月22日)https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45118610S9A520C1000000/


 こうした批判は一言で言うなら「インフレ抑制不能」批判と言えるだろうが、これらは皆、不当極まりないものでしかない。それについては例えばMMT論者の一人である中野剛志氏が、『MMT「インフレ制御不能」批判がありえない理由』(「東洋経済ONLINE」2019年05月29日、https://toyokeizai.net/articles/-/283186)の中で的確に論じているが、筆者もまた、別の角度から改めて「インフレ制御不能」批判の不当性、不条理性を徹底的に指摘することとしたい。

「インフレ制御不能」批判は不当な言いがかりである

 そもそも、彼らは「一旦、財政政策を拡大すれば、抑制できなくなる」と心配しているようだが、これはあからさまな杞憂(無用の心配)だ。


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 そもそも「政府予算」というものは、補正予算と当初予算とで構成されている。ここ最近の日本政府の予算を振り返れば、確かに当初予算は急激に増えたり減ったりしてはいないが、補正予算は多い時には15兆円程度の水準に達していた一方、ほとんどゼロである場合もあった。つまり、今の現実の予算は、15兆円程度の「泳ぎしろ」があって運用されているのであって、補正予算を効果的に活用すれば、一旦予算が増えれば縮小が難しくなる、ということなど絶対あり得ない。

 しかも、過去20年間、我が国は高いインフレ率ではなく、低すぎるインフレ率に苦しめられてきたわけだが、そうなっているのはもちろん、国会で決められる予算の総額が、適正な水準よりも遙かに低く水準に抑制されてきたからだ。その中で例えば公共投資について言うなら、実にかつての「半分」程度にまで削減されてきた。つまり我が国は(その是非はさておき)、「当初予算」についても現実に「削減してきた」という実績を持つのである。


 つまり、政府支出の量をアクセルで例えるなら、我が国は確かにアクセルを踏み込んだり弱めたりする能力を明確に持っているのであり、かつ、現実にそのように調整してきているのである。だから「インフレ制御不能」批判は、アクセルを調整しながら日常的にクルマを運転しているドライバーに対して、「おまえはアクセルを一旦踏み込めば緩めなくなってしまうかもしれない。だからクルマの運転なんてもうやめなさい」と批難するようなものだ。これは単なる不当な言いがかりと言うほか無かろう。


MMTを知らずに濡れ衣だけを着せるMMT批判論者

 しかも、「インフレ抑制不能」批判論者達は、MMTは財政を引き締めることだけでインフレを抑制しようとする論理だと考えているようだが、これもまた単なる誤解だ。そもそもMMTは財政政策「だけ」で、インフレを抑制しようとしているのではなく、財政政策と金融政策をあわせて、インフレ率を抑制すべきだと主張するものだ。

 例えば、現在のアベノミクスに重大な影響を及ぼした「リフレ理論」と呼ばれる経済理論を主張する人々もまた、MMTと同様に過度に高いインフレ率は抑制すべきだ主張しているが、その際に彼らが主張しているのが金融政策だ。つまり彼らは、金融引き締めでインフレ率を抑制すべきだと論じているわけだが、その点はMMTにおいても全く同じなのである。むしろ、財政政策をあまり強調しないリフレ派よりも、金融政策に加えて財政政策も政策オプションとして提案するMMTの方が、金融政策をとりわけ強調するリフレ理論よりもインフレ率をより強力に抑制できると言えよう。

 つまり彼らの批判は、MMTとは何かについて十分に知らないままに展開されている、実にいい加減なものに過ぎないのである。

それは、デフレの恐怖について無知過ぎる破壊的な批判

 さらに言うなら、「確かに財政を出せばインフレになるが、インフレが抑制できなくなるのは良くないから、財政拡大はすべきではない」という彼ら見解は、よくよく考えてみれば、「インフレになるくらいなら、今のままのデフレの方がましだ」と主張しているに等しいものだ。

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 しかし、デフレは日本国民の豊かな暮らしを蝕み、日本国家の国力を衰弱させる極めて恐ろしい深刻な病だ。1998年からデフレに突入した日本は、貧困が蔓延し、格差が拡大し、平均世帯収入は135万円も下落した。政府の収入も縮小し、赤字国債発行額も年々拡大し、財政論者達が四六時中心配している「財政」もまた悪化していった。

上記のMMT批判論者達は、そんなデフレの凄まじい恐怖を全て度外視し、インフレになることを過剰に恐れて、今のままのデフレでいいのだと考えているわけだ。つまり彼らのメンタリティは、「ガリガリにやせ細った栄養失調状況にあり、あらゆる体調不良が顕在化しているにも関わらず、肥満になってしまうことに過度に怯えて、ほとんど何も食べられなくなっている拒食症患者」のそれと全く同じなのだ。このまま彼らの言いなりになっていては、早晩、そんな拒食症の人間が命を落としてしまうように、我が国はもう取り返しのつかない状態にまで衰退していくことは避けられないだろう。

日本はMMTで「制御できないインフレ」にはならない

 しかも、その「制御できないようなインフレになるかもしれない」という話自体もまた、文字通りの杞憂に過ぎない代物だ。

 そもそも、上記に紹介した記事中で中野氏が指摘しているように、制御不能なインフレになるのは、戦争や大地震によって生産能力が著しく破壊されるといった、極端なケースの場合に限られる。そういう極端ケースでは激しいモノ不足が生じ、モノの値段が激しく上昇するのだが、そうでもない限り、そんな極端なモノ不足が、十分な生産能力を持った先進諸国の一翼を担うこの日本で起こることなどあり得ない。実際、制御不能なインフレに陥ったのは、ジンバブエやザイール、ベネズエラなどの、生産能力が十分存在しないいわゆる発展途上国に限られているわけだ。

 この点を考えると、「制御不能なインフレが怖いから、何もしない方がよい」というMMT批判のメンタリティは、「あらゆる食べモノには毒が入っているかもしれない――という絶対にあり得ない病理的な思い込みが頭から離れず、何もモノが食べられなくなってしまった神経症患者」の様なものなのだ。


「有りもしない亡霊」におびえ続ける愚を避けよ

 この様に、現時点で、最も典型的なMMT批判である「インフレ制御不能」批判なるものは、

 第一に、日本は財政を拡大したり縮小したりする能力を実際に持っていると言う点で、MMTに対する不当な言いがかりに過ぎないのであり、

 第二に、MMTは別に財政政策だけでインフレ率を制御すべしなどとは一切言っていないに関わらず、MMTはさもそう主張しているかのような印象操作を図っていると言う点において、MMTに対して不当な濡れ衣を着せるものであり、

 第三に、制御不能なインフレになど、十分な生産能力を持つ先進経済大国である日本が陥る筈等あり得ない、と言う点で、単なる「妄想」にとりつかれた、著しく不条理な批判に過ぎないのであり、

 そして第四に、何もせずにデフレを放置し続けることは、現在、そして将来の日本国民に激しい被害をもたらすという現状認識を一切忘れていると言う点で、甚大なる被害をもたらす恐るべき無責任発言に過ぎないのである。

 つまりMMTに対する「インフレ制御不能」批判は、これだけ多面的に完全論破される批判も少ないのでは無いかと思えてしまうほどに、お粗末極まりない代物なのである。

 だから政府は今、何を恐れることも無く、合理的な支出項目とは何かをしっかりと考えながら、デフレ脱却までは粛々と政府支出を拡大すればそれで良いのである。わが国はもうそろそろ、過剰インフレというありもしない亡霊に怯えて政府支出を抑制し続ける愚をやめねば、取り返しのつかない最悪の状態に立ち至ることになろう。

 一日も早く、為政者達による賢明なる政治判断が実現されんことを、心から祈念したい。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56663

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経済論争の的「MMT」は「トンデモ理論」に非ず

MMTは財政規律の「破棄」でなく「改善」を主張している
2019.5.21(藤井 聡:京都大学大学院教授)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429


 今、MMT(現代貨幣理論)が話題だ。今アメリカで「ブーム」を巻き起こしている民主党の史上最年少議員アレクサンドリア・オカシオコルテス女史が、MMTを強烈に支持しつつ超大型の景気対策を主張したことがそのきっかけだ。

 しかし、ポール・クルーグマンやロバート・シラーなど、ノーベル賞を受賞した主流派経済学者たちがこのMMTに一斉に反発。それだけでも話題だったのだが、それに対して今度はステファニー・ケルトン教授を中心としたMMT論者達が、ひるむことなく徹底的に反発したことでMMTの話題はさらに拡大した。

日米で話題騒然となったMMT

 こうした流れは、瞬く間に日本にも上陸した。

 とりわけ、MMTは、デフレ状況下では、デフレが終わるまでは財政赤字を拡大していくべきだと理論的に主張するものであるから、今年10月に予定されている消費増税の是非の議論を巡って、MMTはさらに話題となっている。MMTによれば、デフレ下の消費増税など論外だと瞬く間に結論付けられるからだ。


 そんな中、西田昌司参議院議員等が麻生財務大臣や安倍総理大臣にMMTについて質問を行うなど、その議論は国会にも飛び火した。一方で、消費税の推進を図る財務省は、審議会の中で、MMTを批判する海外の多数の経済学者達の声を何ページにもわたって掲載する等の強烈な反応を示したことで、さらにMMTが話題となっていった。

MMTの具体的な中身

 もう少し、詳しく言うなら、MMTとは、具体的には以下の3つを主張するものと捉えることができる。その最初の主張はこういうものだ。

(MMTの主張1)
 政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられないのだから、借金したくないという思いに囚われて、政府支出を抑制するのはナンセンスである。だから政府の支出は、借金をどの程度以下に抑えるかということを“基準”にしてはならない。何か別の、国民の幸福に資する“基準”が必要である。

 MMTがしばしば激しく批判されるのは、この主張の一行目の「政府は、自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられない」という部分なのだが、実はこれは、専門家の間では、誰もが認識している当たり前の見解なのだ。例えば、財務省も、自身の公式ホームページで、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と言明している。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm


MMTに強烈な反応を示した財務省


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 これは、政府が破綻しそうになれば、中央銀行である日銀が必ず「最後の貸し手」として、カネを貸してくれるためだ。だから政府は日本円建てで借金をしている限り、「破綻」することは考えられないのだ。こうした自明の事実を踏まえれば、破綻に怯えて、借金を減らす事ばかり過剰に考えるのはナンセンスだ、とMMTは考えるのである。

 では、赤字を減らすという財政基準でなく、「何か別の、国民の幸福に資する財政規律」として何が必要かなのかを実際の経済の仕組みを踏まえて考えれば、自ずと以下の“下限基準”と“上限基準”が必要であるという現実が見えてくる。


(MMTの主張2)
 経済が停滞しており成長が必要とされている場合、政府は財政赤字を拡大することを通して、その目的を達成することができる。逆に言うなら、政府支出(あるいは財政赤字)の“下限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)経済が停滞してしまう程度の政府支出量である。

(MMTの主張3)
 政府支出(あるいは財政赤字)を、その国の供給量を超えて拡大し続ければ、過剰なインフレになる。したがって、政府支出(あるいは財政赤字)の“上限基準”は、(金融政策を十分に行ってもなお)過剰インフレになってしまう程度の政府支出量である。(MMTの主張3)

 ちなみに、具体的な政府支出の下限と上限の基準としては、これまでのインフレ率の実績を踏まえると、「下限」については、おおよそ(コアコアCPIという尺度で)2%程度を想定することができよう。実際、現在のアベノミクスにおいても日銀がこの水準を目標としている。さすがにこれを下回る状況は、不健全だと考えるわけだ。一方で、インフレ率が4%、ないしはさらに安全を見て3%を上回るような状況は、これもまた不健全だと言うことができる。日本では80年代以前は高いインフレに苦しめられたのだが、その水準がちょうど、3〜4%以上だったからだ。

 つまりこの点に着目し、「インフレ率3〜4%を超える程の過度なインフレになってしまう程に過剰な政府支出=赤字」を上限、「インフレ率2%を下回る程の過度なデフレや停滞になってしまう程に少なすぎる政府支出=赤字」を下限とする、という「新たな財政規律」を提案しているのがMMTなのである。

 ただし、インフレ率には、日銀の金融政策も大きな影響を及ぼすことは間違いない。だから、この財政規律に基づく運用においては、可能な限り適切な金融政策が並行して実施されていることが必要な点は、忘れてはならない。

 いずれにせよ、MMTは、一部の日本のマスコミや評論家連中が言うような「トンデモ理論」とは決して言えないものなのだ。それよりもむしろ、これまでの財政規律の不条理性を指摘した上で、それをより適切なものへと財政規律を「改善」することを主張する、至って理性的なものなのである。

 兎にも角にも、日本人はインフレになることを恐れすぎた余り、デフレを放置しすぎてしまったようだ。これではまるで、栄養失調で死にかけている時に、肥満だった過去の記憶に過剰に怯えて食事を口に出来なくなってしまっているようなものだ。そんな時には、少しくらいは食事を口にしないと、体が持たない。この程度の話は「常識」に過ぎない話である筈だ。

 MMTは、そんな「常識」を呼び覚まし、今日、我々が陥っている状況それ自身の「非常識さ」を教えてくれている。これまでのモノの見方に過剰にこだわり続ける人々からは「トンデモ」であり「異端」に見えるのかも知れないが、その中身をよくよく精査してみれば、至って穏健な理論なのである。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56429





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【Front Japan 桜】令和日本・再生計画 〜安倍内閣検証編〜 [桜R1-6-19] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nuoXkXKcM-I

キャスター:上島嘉郎・藤井聡

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2019年6月26日
「事を荒立てず、仲良くしようとする」だけの、情けなき日本外交。
From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13937

こんにちは、京都大学の藤井聡です。

当方が編集長を勤めています表現者クライテリオンの
最新刊の特集テーマは、「日本外交の大転換」。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/

対米従属外交、媚中外交、弱腰外交・・・等と言われ続けた
我が国の外交を「大転換」しなければ、
日本の復活などあり得ない―――
これがこの特集の出発点です。

言うまでもありませんが、
外交において「友好」は極めて重要です。

ですが、「紛争」も辞さず、
あえて「対立」を深める姿勢もまた、
絶対的に必要です。

そもそもあらゆる諸外国が、
日本を上手に使って利益を得てやろうと、
虎視眈々と狙い続けているのです。

「詐欺師」や「泥棒」とどれだけ仲良くしても、
搾取され、収奪される他ないのと同じように、
利益を掠め取ろうとしている諸外国に、
どれだけ媚びてもどうにもならなりません。

しかし、今日の日本政府は、
外交とは、ただひたすらに
「友好を深め」「対立を回避」することだと、
認識し続けているような振る舞いを日々積み重ねています。

そしてその結果、国益を失い続けるのみならず、
国家の威信を地に落とし続けています。

例えば、安倍内閣が肝いりで進める「貿易交渉」ですが、
そもそもそんな「貿易交渉」にどのような「利」があるのかを
全く持って曖昧にしたまま、
ただただ「仲良く協定を締結する」ことだけが国益だと誤認し
TPPや日欧EPA、日米FTA等を軒並み推進し続けています。

中国に対しても、
ただひたすらに「日中外交」を重視して、
ウイグルやチベット、
そして台湾や香港の問題について
中国政府を非難しようとはしていません。

韓国にしても、レーダー照射され、
「不当な言いがかり」でもって
日本国民の民間施設が不当に搾取され、
売却されてまでいるのに、
口で批難こそすれ、具体的な報復には至っていません。

ロシアにしても、
プーチンとの会談何回だけは多く、
「経済協力を仲良く進める」
ことを繰り返し呼びかけてはいるものの、
北方領土問題が一向に改善しないどころか
むしろ、「四島一括返還」の旗を降ろすなど、
大きな禍根を残す判断を繰り返し、
事態はさらに悪化しています。

日本国内について言うなら、
米ソ中の工作員が、
日本の世論を操作しようとする工作をどれだけ続けようとも、
それを排除しようとする具体的な取り組みは、
全く行われていません。

そしてアメリカについては、
どれだけ不当な扱いを受けようとも、
「日米同盟の強化」なる空悟のみを叫びながら、
あらゆる事柄について、
アメリカの指示に半ば言いなりとなる
対米追従の姿勢を崩してはいません。

例えば、トランプの指示を受ける様な格好で
イランとアメリカの中を取り持つために
何日間もかけてイランにまで出かけた挙げ句、
滞在中に日本タンカーが攻撃を受けるなど、
イランとアメリカの間の「非難」合戦は、
日に日に激化しています。

誠に情けなきことに、
そんな非難合戦を繰り返す姿からは、
わざわざ首相がイランにまで出かけた
日本側に対する敬意などほとんど何も見られません。

あるいはトランプを国賓扱いし、
ゴルフやって相撲を一緒に見たり、散々接待し、
「強固な日米同盟が確認できた」なぞと言った尻から
トランプにはいきなり日米同盟「破棄」が言及され、
シーレーン防衛について直接名指しで非難される始末です。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-25/PTMUOE6TTDS801?srnd=cojp-v2&fbclid=IwAR1mck8iK1jVI8kPSUbG0n1v3CN-mdGdfFH5yzCgOu0wlZ-CpRL4_Dj5waA
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-24/PTLZVG6K50XZ01?fbclid=IwAR3emAW-_uJKCkqZ-BIMaiJyFrZbTyAXE5peCNeELyVQs7_k19cl9z8V99M

かろうじて北朝鮮に対して経済制裁を加えたり、
ファーフェイ問題について厳しい対応をとったりしていますが、
それらはいずれも、
アメリカの振る舞いにただただ、
つき従っているだけでしかありません。

要するに日本は、

「仲よくしよう」
「ことを荒立てないようにしよう」

としているだけで、
外国の言いなりになる他、何もない、と言う様な
情けない外交を展開し続けているのです。

これはもはや、
「外交」と呼べる代物ではありません。

外交とはそもそも、
融和と同時に「対立」を通してぶつかり合いながら、
両者の間の勢力の「均衡」を目指そうとするもの。

にも拘わらず、とにかく対立を回避し続ければ、
ただただ、収奪され、はく奪され、従属・隷属する以外に
何も起きないのです。

果たして、私達は、
この情けなき「日本外交」を、
「転換」することはできるのでしょうか―――?

それができるとすれば、
まずは、私たちの外交が如何に情けなきものであるのかを、
過不足なく認識することが全ての出発点になります。

そのためにもまず、
日本外交を様々な角度から論じた
表現者クライテリオンの最新号
「日本外交の大転換」
を是非、ご一読頂きたいと思います。
https://the-criterion.jp/backnumber/85_201907/
https://www.amazon.co.jp/dp/B07RVHG9B1/

中国、韓国、アメリカ、ロシア―――
そういった国々との間で、
どのような非常識としか言い様の無い
外交が展開されてきているのか―――
是非、ご一読頂く事を通して、
しっかりと現実をご認識頂きたいと思います。
https://38news.jp/economy/13937


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日本外交の大転換! - 米英同盟が中国一党独裁体制を潰す!![桜R1-6-26] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=YY--0rAl_Fs

キャスター:藤井聡・河添恵子




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[藤井聡]消費増税はリーマンショック70回分の衝撃やで - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=tUktm8DyTA0

[藤井聡]瓶の蓋外すて、とうとう本性現しよったなぁ - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=UaPJNUsl3fo




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20190520 UPLAN 藤井聡
「消費税減税・格差是正の税制改革と、 くらし安心社会への財政投資で日本経済を再生せよ!」 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ZEpAE_dVnrs

2019/05/20 に公開

【「99%フォーラム」第4回学習会】

講師:藤井聡(京都大学大学院 工学研究科 教授、元内閣官房参与)

演題:
「消費税減税・格差是正の税制改革と、くらし安心社会への財政投資で日本経済を再生せよ!」




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消費税増税が決まってから、チャンネル桜でもやっとアリバイ作りで安部批判する様になりましたね。 もう手遅れだけど:

【経済討論】MMT(現代貨幣理論)は日本を救うか?[桜R1-7-6] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0B-wvXt86Zw


パネリスト:
 青木泰樹(京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授)
 安藤裕(内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官・衆議院議員)
 池戸万作(日本経済復活の会 幹事・政治経済評論家)
 浜崎洋介(文芸批評家)
 藤井聡(京都大学大学院教授)
 三橋貴明(経世論研究所所長)
司会:水島総




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[2019.7.8放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=MgSriww-IXE

2019/07/08 に公開

今週のテーマは『検証・安倍外交 〜ホントに「成果」はあったのか?〜』です。


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[2019.7.15放送]週刊クライテリオン 
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uMf0CrKOvEw


2019/07/15 に公開

今週のテーマは『年金2000万円問題、どうすりゃいいか、教えます!』です。



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週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ
(KBS京都ラジオ) - YouTube動画
https://www.youtube.com/watch?v=Jf2wUvLuWA4

今週のテーマは『日本は、アメリカの「都合のいい愛人」を辞められるのか?』です。

第28回 2019年7月22日(月)放送



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2019年7月31日
MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし
From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/14183


MMT理解のコツ(実践編):「政府が貨幣の供給者だ」という一点を知るべし

ケルトン教授が来日されてから、はや二週間。

その間、参議院選挙があり、
増税を掲げた与党の「大勝」を通して、
消費増税延期に向けた一縷の望みは事実上消滅。

日本国民は自ら「地獄の扉」を開き、
先進国から転落することを愚かにも事実上、
確定させてしまうとの愚挙に出たわけですが・・・

こうなれば後は心ある国民は、
消費増税後の世界を見据えた
「消費減税」に向けた闘争の準備を、
始めねばなりません。

その闘争に向けた最大の武器こそ、
もちろん、ケルトン教授が主唱する、
MMT、現代貨幣理論。

ケルトン教授との対話から
学ぶことは数多くありましたが、
その中でも特に当方が学んだのは、

「MMTで最も大切なポイントは、
政府は『貨幣の供給者』だという点です」

という「説明の仕方」でした。

もう少し言葉を足すなら、

「政府は貨幣の供給者であり、
貨幣の使用者である国民とは、
ぜんぜん違うのです」

と言うお話し。

MMTにはいろいろな側面があるのですが、
(信用貨幣論、表券主義、貨幣循環論・・・等)
確かに、この説明なら、誰でもスグに理解できるし、かつ、
「政府は財政赤字が原因で破綻することは無い」
というMMTの最大のメッセージを即座に理解できます。

なぜなら、「貨幣の供給者」である政府は
自分で好きなだけ貨幣を作れるわけですから、
どれだけ借りようが、
「破綻する」事などある筈ないですよね。

もちろん、貨幣が増えすぎて、
過剰なインフレになってしまっては
経済が混乱してしまいますが―――

逆に言えば、
「政府は貨幣の供給者だ」
という一点だけ抑えておけば、
そうしたインフレの問題「だけ」が、
政府支出量の制約になるんだという事も、
即座に理解することができますよね。

さすが、物わかりの悪い
不誠実な経済学者や政治家達を相手に、
何度も、何度も、何度も、何度も・・・
MMTを説明してきたケルトン教授ならではの、
ストレートな説明方式だと改めて感心した次第です。

・・・

さて、「政府が貨幣の供給者」
であることさえ知っていれば、
次のような重大な「結論」を、
即座に得ることができます。

■「財源調達のための消費増税が必要だ」論は、完全に間違い。
政府は自分で貨幣を作れるわけですから、
景気を冷え込むこと必至の消費増税までして
政府が貨幣を調達しようなんていうのは、
「正気の沙汰」とは思えない暴挙だ、
という他ありません。

■「オカネがないから政府投資はできない」というのは、真っ赤なウソ
国民の生命と財産を守る防災投資、
次世代を担う日本人を育てる教育投資、
日本の科学技術力を増強する科学技術投資、
地方を豊かにする地方の新幹線・高速道路の投資等々・・・

こうした投資は全て、
日本国民を幸福にするものですが、今、
「政府にはオカネがない」というだけの理由で、
その投資の全てがストップしています

しかし、「政府はオカネの供給者」なのですから、
政府にオカネが無い、なんて話は、
100%純粋な「真っ赤なウソ」。

インフレにならない限り、これらへの政府投資は、
全て進めることができるのです。

したがって、今の政府は国民を欺いて、
防災や教育、地方創生について成すべき仕事をしない
「サボタージュ」(=サボり)を重ね、
国民の生命と財産を傷つけ続けているのです。

■「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」というのも真っ赤なウソ
政府は今、経済成長のためにも賃金の上昇が必要だ、
と主張し、財界に賃上げを要請し続けていますが、
そんなのは、完全なる「二階から目薬」。

いくら政府が要請しても、
民間が賃上げなど、する筈もありません。

ですが、公務員給与を上げたり、
政府支出で賄う公定賃金を直接上げたり、
賃上げ分を政府が補助をすれば、
確実に賃金を上げることができます。

ところが、今の日本でそんな主張をすると、
「そんな財源、どこにあるんだ!?」
という嵐の様な批判が巻き上がりますが、
そんな批判もナンセンス。

そもそも政府が貨幣の供給者なのですから、
政府は賃上げ対策を「直接」行うこともできるのです。

つまり、「オカネがないから賃金水準の政府保証なんて無理」
っていう話も、真っ赤なウソなのです。

・・・

このように、「政府が貨幣の供給者」
であるという一点さえ抑えておけば、
誰がウソをついているのかが明らかになり、
政府が成すべき政策方針が明確になるのです。

しかも、「政府が貨幣の供給者」という一点さえ抑えておけば、
「MMTを深く知ること」もより容易くなるのですが・・・
その点についてはまた、次週、解説することとしましょう。

いずれにしても、
MMTについて知人、友人に語る機会があれば是非、
「政府が貨幣の供給者」
だという一点をまず、ご説明差し上げてみてください。

そうすると、
「正しくMMTを理解するの仲間」が
一人また一人と、増えていくことになるかも・・・知れません。

どうぞ、よろしくお願い致します!

追伸1:
MMTが政府にしっかり浸透すれば、拙著『インフラ・イノベーション』で紹介した様々な

秀逸な当時事案を全て、前に進めることができるのですが・・・この日本にどれだけなすべ

きインフラ投資がなされないままに放置されているのか、その「惨状」を是非、下記書籍に

てしっかりとご理解ください。
https://www.amazon.co.jp//dp/459408205X/


https://38news.jp/economy/14183



▲△▽▼

【Front Japan 桜】『言いがかり』しか出来ない、MMT批判の有識者達[桜R1-7-31] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=RxKsz9cst-k
キャスター:上島嘉郎・藤井聡



▲△▽▼

藤井聡先生はデービッド・アトキンソンが完全なバカだと言い切ってくれました:

【藤井聡】最新 ニュース速報 2019年10月24日 おはよう寺ちゃん活動中 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4ryMJ7H7J6A

日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義 – 2019/1/11
デービッド アトキンソン (著)
https://www.amazon.co.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%8B%9D%E7%AE%97-%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E6%B8%9B%E5%B0%91%C3%97%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96%C3%97%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9-%E3%83%87%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%89-%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4492396462/ref=sr_1_1?qid=1571884454&refinements=p_27%3A%E3%83%87%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%89+%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3&s=books&sr=1-1&text=%E3%83%87%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%89+%E3%82%A2%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3

この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした
アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」
デービッド・アトキンソン : 小西美術工藝社社長
2019/10/03
https://toyokeizai.net/articles/-/305116A

日本経済の問題点は、突き詰めていくと「1本の法律」に行き着くといいます(撮影:梅谷秀司)

オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏。

退職後も日本経済の研究を続け、日本を救う数々の提言を行ってきた彼が、ついにたどり着いた日本の生存戦略をまとめた『日本人の勝算』が刊行されて8カ月。生産性を高める具体的な方法を示した新著『国運の分岐点』(講談社+α新書)が刊行された。


日本に足りない「要因分析」とはどういうことか、生産性が低い現実を「要因分析」すると何がわかるのか。解説してもらった。

前回の記事(「中小企業の改革」を進めないと国が滅びるワケ)に対するコメントの中に、よくある誤解に基づいたものがありました。極めて重要なポイントですので、ご紹介したいと思います。

「町のラーメン屋が多すぎるといって10軒を1軒にまとめたところで中国には勝てません」

私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。

日本の生産性が低いのは「働き方」の問題ではない

さて、日本の生産性が一向に上がらず、デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。


『日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義』は8万部のベストセラーとなっている(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。

しかし、経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。

では、何が日本の生産性を低くさせているのでしょうか。これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。


ただ、日本国内ではこのような意見を掲げる人はほとんどいらっしゃいません。政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。

このあまりに”残念な勘違い”を象徴しているのが、「働き方改革」です。

残業を減らし、有給休暇を増やす。女性にも高齢者にも、働きやすい環境を作る。そうすれば、労働者のモチベーションが上がって、これまで以上によく働く。その結果、会社の業績も上がるので景気がよくなる。

驚くほど楽観的というか、ご都合主義な考え方です。繰り返しますが、この程度の施策で巨大国家の経済が上向くのなら、日本はとうの昔にデフレから脱却しています。20年も経済成長が滞っているという事実こそが、労働者個人の頑張りでどうにかなる問題ではないことを雄弁に物語っているのです。

日本に欠けているのは「徹底した要因分析」だ

そこで次に疑問として浮かぶのは、なぜこうなってしまうのかということでしょう。なぜ表面的な経済議論しか行われないのか。なぜ国の舵取りをするリーダーや専門家から、泥縄的な解決策しか出てこないのか。

1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは、経済の専門家を名乗る人たちでさえ、起きている現象についての知識はすごいものの、その原因を徹底的に追求することはほとんどありません。原因の説明は表面的な事実をなぞるだけで、「なんとなくこういう結論になるだろう」と直感的な分析をしているのです。

どういうことかわかっていただくため、多くの識者が唱える「女性活躍で生産性向上」という主張を例に出しましょう。

生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実があります。一方、生産性の低い日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実があります。この2つの事実をもって、専門家たちは、日本も諸外国並に女性に活躍してもらえば、諸外国並に生産性が向上するに違いない、と主張しているのです。

確かにそういう理屈も成り立つかもしれませんが、実はここには大きな落とし穴があります。「日本の女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいない」ということの要因を分析できておらず、「日本は伝統的に女性が蔑視されている」「働きたくても保育所が不足している」という、なんとも大雑把な話しか語られていないのです。

このあたりの要因分析を徹底的に行えば、「保育所さえあれば女性が活躍できる」という極論がいかに表面的な分析に基づく主張かということは明白です。

海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。

これは冷静に考えれば当たり前の話です。小さな企業は産休や育休、時短などの環境整備が難しいので、どうしても女性が働き続けることのハードルが高くなるのです。これが一次的な問題です。女性を蔑視する価値観や保育所の数などは、あくまで二次的な問題にすぎません。


当然ながら、まずは女性が活躍できる産業構造に変革した後で、具体的な環境作りに取り組むべきです。しかし、一次的な問題を解決せずに、二次的な問題を解決するだけでは、根本的な解決にはなりません。つまり、女性活躍というのは、女性蔑視うんぬんや保育所の数という二次的な問題より、その国の産業構造によって決まるというのが世界の常識なのです。

このような要因分析をロクにしないまま「女性活躍」を叫んで、働くように女性の背中を押しても、生産性向上につながるわけがありません。

これは同じく生産性向上が期待されている「有給休暇」についてもまったく同様です。

https://toyokeizai.net/articles/-/305116?page=3

生産性が高い国では、有給休暇取得率が高い傾向があります。そして、日本は有給休暇取得率が低いということで、これを高めていけば、生産性も上がっていくだろうというわけです。しかしこれを本気で進めるのならば、そもそもなぜ日本の有給休暇取得率が低いのか徹底的に要因分析をしなくてはいけません。

日本では、「日本人の真面目な国民性が関係している」「日本は集団主義で職場に休みにくい雰囲気がある」と、これまた直感的な理由しか出てこないでしょうが、海外では「有給取得率は企業規模と関係する」という要因分析がなされています。大企業になればなるほど有給取得率が上がり、小さな会社になればなるほど下がることがわかっているのです。この傾向は万国共通で、日本も例外なく当てはまります。


つまり、アメリカの有給取得率が高いのはアメリカ人の国民性ではなく、単にアメリカの労働者の約50%が大企業で働いているから。日本の有給取得率が低いのも日本人の国民性ではなく、単に日本の労働者の中で大企業に勤めている人が約13%しかいないからなのです。

長く分析の世界にいた私からすれば、国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。

日本の低迷の主因は伸びない中小企業

さて、このように日本の専門家があまりしてこなかった「要因分析」というものを、日本経済を低迷させている諸問題に対して行っていくと、驚くべきことがわかります。

実は日本経済の低迷も、女性活躍や有給取得率でもそうだったように、最後は必ず「小さな企業が多すぎる」という問題に突き当たるのです。低賃金、少子化、財政破綻、年金不足、最先端技術の普及の低さ、輸出小国、格差問題、貧困問題……さまざまな問題の諸悪の根源を容赦なくたどっていくと、「非効率な産業構造」という結論にいたるのです。

それはつまり、日本が他の先進国と比べて、経済効率の低い小さな企業で働く人の比率が圧倒的に多く、そのような小さな企業が国からも優遇されるということです。実は日本は、生産性の低い「中小企業天国」と呼べるような産業構造になっているのです。

このような話をすると、「小さな企業が多いのは日本の伝統で、普遍的な文化だ」とこれまた漠然とした主張をする人たちが多くいらっしゃいますが、実はこれも表面的な分析に基づく”残念な勘違い”なのです。


歴史を振り返れば、小さい企業が多いのは日本の普遍的な文化だと言えるような客観的事実はどこにも見当たりません。むしろ、ある時期を境にして、現在のような「他の先進国と比べて小さな企業で働く人の割合が多すぎる」という産業構造が出来上がっていったことがよくわかります。

では、その時期はいつかというと、「1964年」です。

この年、日本はOECD(経済協力開発機構)に加入しましたが、その条件として突きつけられたのが、かねてより要求されていた「資本の自由化」でした。当時の日本では、資本が自由化されれば外資に乗っ取られるかもしれないという脅威論が唱えられ、護送船団方式など「小さな企業」を守るシステムが続々と整備されました。つまり、1964年というのは、日本を「低生産性・低所得の国」にした「非効率な産業構造」が産声を上げたタイミングなのです。

日本を「生産性の低い国」にした中小企業基本法

そして、この「1964年体制」を法律面から支えたのが、前年に制定された中小企業基本法です。

同法は当時、「中小企業救済法」とも言われたほど、小さい企業に手厚い優遇策を示したものです。同時にその対象となる企業を絞り込むため、製造業は300人未満、小売業は50人未満とはじめて「中小企業」を定義しました。

しかし、これが逆効果となってしまいます。優遇措置を目当てに、50人未満の企業が爆発的に増えてしまったのです。

中には、企業規模を拡大できるにもかかわらず、優遇措置を受け続けたいということで、50人未満のラインを意図的に超えない中小企業まで現れてしまったのです。非効率な企業が爆発的に増え、なおかつ成長しないインセンティブまで与えてしまいました。

中小企業を応援して日本経済を元気にしようという精神からつくられた法律が、優遇に甘えられる「中小企業の壁」を築き、「他の先進国と比べて小さな企業で働く労働者の比率が多い」という非効率な産業構造を生み出してしまったという、なんとも皮肉な話なのです。

それでも1980年代までは人口が増加し続けたため、経済も成長を続けました。しかし1990年代に入り、人口増加が止まると、この生産性の低い非効率な産業構造の問題が一気に表面化してきました。

ちなみに、日本の生産性を議論する際に必ず出てくるのが、日本では製造業の生産性が高く、サービス業の生産性が低いという事実です。この現状を説明するためによく言われるのが「日本人はものづくりに向いている」「サービス産業の生産性が低いのは『おもてなし』の精神があるからだ」という”神話”のような話ですが、実はこれも非効率な産業構造ですべて説明ができます。これもまた、単に中小企業基本法の影響なのです。

この法律で、中小企業が製造業では300人未満、その他は50人未満と定義されて以降、日本ではこれに沿うような形で企業数が増えていきました。その影響もあって、製造業はどうしても他の業種よりも規模が大きくなりました。


規模が大きければ生産性が高くなるというのは、先ほども申し上げた経済学の鉄則のとおりです。一方、日本のサービス業は圧倒的に規模の小さな事業者が多く乱立しているという事実があるので、当然、生産性は顕著に低くなるというわけです。

「守りに特化」した経営は暴走していく

「1964年」と聞くと、ほとんどの日本人は東京オリンピックを連想すると思います。そしてここをきっかけに、日本人が自信を取り戻し、焼け野原から世界第2位の経済大国へと成長していく、というのが小学校の授業などでも習う「常識」です。

しかし、現実はそうではありません。

オリンピックの前年からすでに景気は減退していました。急速なインフラ投資の反動で、オリンピック後の倒産企業数は3倍にも急増しています。1964年からの「証券不況」も事態をさらに悪化させて、被害拡大防止のために日銀は公定歩合を1%以上下げました。しかしこれも焼け石に水で、1965年5月には山一證券への日銀特融を決定し、同年7月には、戦後初となる赤字国債の発行も行いました。

この不況が、「資本の自由化」が引き起こす「外資脅威論」にさらに拍車をかけます。「乗っ取り」や「植民地化」という言葉にヒステリックに反応するうち、やがて財閥系や大手銀行系が手を取り合い、買収防止策として企業同士の持ち合いも含めた安定株式比率を高めていきます。1973年度末の法人持株比率はなんと66.9%にも達しました。

この「守り」に特化した閉鎖的な経済活動が、護送船団方式や、仲間内で根回しして経営に文句を言わせない「しゃんしゃん株主総会」などを定着させて、日本企業のガバナンスを著しく低下させていったことに、異論を挟む方はいらっしゃらないのではないでしょうか。

このようにとにかく「会社を守る」ことが何をおいても優先されるようになると、経営者に必要なのは調整能力だけになっていきます。数字やサイエンスに基づく合理的な判断をしないので、他人の意見に耳を貸さず、とにかく「直感」で会社を経営するようになっていくのです。その暴走がバブルにつながります。

そんな「暴走経営」がこの20年、日本経済に与えたダメージは計り知れません。


『国運の分岐点』
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4065175607/asyuracom-22?p=TK

ものづくりメーカーは、社会のニーズや消費者の声よりも、企業側の「技術」や「品質」という直感が正しいと考える「product out」にとらわれ衰退しました。そしてバブル崩壊後も、データに基づいた客観的な分析をせず、直感に基づく表面的な分析をして抜本的な改革ができなかった結果が、この「失われた20年」なのです。

このように日本経済の衰退を要因分析していくと、「1964年体制」に原因があることは明白です。つまり、「1964年は東京オリンピックで日本の飛躍が始まった年」というのは残念ながら間違いで、実は経済の衰退をスタートさせてしまった「国運の分岐点」なのです。

「1964年体制」がつくった産業構造を元に戻すことは容易なことではありません。その動かぬ証が、1990年代から実行されたさまざまな日本の改革がことごとく失敗してきたという事実です。その結果、国の借金は1200兆円にまで膨らみました。

人口減少などさまざまな「危機」が迫る日本には、もはや悠長なことを言っている時間はありません。日本経済を立て直すためにも、古い常識や”神話”を捨てて、数字と事実に基づく要因分析を、すべての国民が受け入れる時期にさしかかっているのです。




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[2019.10.28放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-X-9-fmHoRU

今週のテーマは『台風19号災害、それは予算削減が導いた人災である』です。

第42回 2019年10月28日(月)放送





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【藤井聡】最新 ニュース速報 2019年10月31日 おはよう寺ちゃん 活動中 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=q7rdLJ23gVw

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【Front Japan 桜】台風災害は、人災である [桜R1-11-1] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-qw9VxwqhL0
キャスター:藤井聡・葛城奈海



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フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」 H29 3 改訂版 - YouTube


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[2019.11.04放送]週刊クライテリオン 
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=t86sehKxvRw

今週のテーマは『ソフトな防災偽善者にはご注意を』です。



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2019年11月5日
【添田勝彦】[特別寄稿]川を見ておもうこと
https://38news.jp/economy/14881


去る10月12日、台風19号が東海、関東、
東北を通過し多大なる被害を与えました。
私が住んでいる須賀川市でも阿武隈川、
釈迦堂川流域を中心に大多数の浸水被害が
発生し、死亡者も出ています。
私の家は岩瀬地区で阿武隈川や釈迦堂川
からは距離があり、
特に大きな被害も無かったので
報道されている被害状況を見て驚きました。

私は平成10年に8.27水害を経験しています。

「平成10年8月末および9月に
 福島県内を襲った豪雨・台風は
 阿武隈川の氾濫をもたらし、
 流域に多大な被害をもたらしました。
 8月26日夜から東北地方に停滞していた
 前線が活発化し、福島県南部と栃木県北部に
 局地的な豪雨が長期的にわたり降り続き、
 福島県西郷村の真船観測所では、
 降り始めからの雨量は1267mmに達し、
 一時間当たりの雨量も90mm
 (26日17〜18時の同観測所)を
 記録しました。
 この豪雨は僅か6日間で年間総雨量の75%、
 8月の福島県白河地方の平均月雨量の
 6.3倍にも相当する観測史上類のない
 ものとなりました。」

国土交通省東北地方整備局
福島河川国道事務所ホームページより
www.thr.mlit.go.jp/Bumon/J77101/homepage/typhoon/index.html

当時は消防団員を務めていました。
土嚢袋に土を詰め、浸水しそうな家に
運んだりエンジンポンプで排水を
行ったりしました。
地元の土木建設業者も重機を稼働させ、
崩れた河川の堤内にフレコン袋を
設置するなど復旧作業を行っていました。
合羽越しに伝わる雨の冷たさと炊き出しの
ありがたさを今でも覚えています。

あれから20年以上経過しました。
当時重機を稼働させた土木建設業者は
無くなってしまいました。

今回の台風19号が通過する夜、
被害の予想に8.27水害での経験と
比較して思いました。

「あの時よりは雨の降り方も弱いし、
 台風なんて東北に来る頃には速度が
 上がっているから降る時間も短いだろうし、
 どうしても低くて水が溜まる場所は
 あるけども被害も限定的だろう」

雨脚が強くなり家の周りは水で溢れ、
前の道路は川となり、
田んぼは湖になりました。

「ああ想定内想定内、
 あの時もそうだったし」

実際、次の日には天候も回復し
徐々に水も引いていきました。
そして県内の被害状況を確認しようと
ネットを見て驚きました。

広範囲で警戒レベル5、
避難指示が出されていたのです。
命を守る為の行動をと
繰り返し繰り返しわめくラジオ。
堤防決壊を伝えるニュース速報、
その個所は段々増えていく。
そして被害状況を中継するテレビからは
信じられない映像が・・。
なぜここまで被害が拡大して
しまったのでしょう。

ある放送局では阿武隈川が限界を超えるほど
増水した原因を次のように解説した番組を
放送しています。
多数の阿武隈川水系河川が同時に増水し、
同時に一気に阿武隈川に流れた為と。

NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191018/k10012138921000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191016/k10012133601000.html

確かにそうでしょう。
ですが、私は今回の水害を拡大させた
河川増水の原因は他にもあると考えています。

私の家の近くには阿武隈川水系の県一級河川、
滑川が流れています。
年々、土砂が堆積していき見るからに
川底が浅くなっています。
挙句に木が生えたりしています。
まるで、河川の中に川が流れている
ような状態です。
「そのうちここ溢れるな」
常々そう思っていました。

10月19日、東京行の新幹線の窓から
阿武隈川を見てあっと思いました。
そしてある仮説を考えました、今回の
洪水被害を増大させた原因は何なのかを。
それを確かめるべく次の日に須賀川市に帰り、
阿武隈川と支流の複数個所に足を運び、
様子を見てきました。

河川整備の不備だと思いました。
阿武隈川も阿武隈川水系の支流の河川も
土砂の堆積や樹木等あり、
明らかに川の容積が少なくなっています。
かつ水の流れの妨げとなっています。

これ等の堆積土砂と樹木は除去すべきです。
そして土砂の流入を少しでも防ぐべく、
上流に砂防ダムを建設すべきなのです。
これ等の事業は20年ぐらい前までは
定期的に行われていたと記憶しています。
いつの間にか
行われなくなってしまったのです。
つまり水害被害増大の原因は
緊縮財政政策による公共事業の削減で、
土砂堆積を防ぐ対策を行ってこなかった。
土砂堆積を防ぐ対策は無駄
(溜まったらまたやり直しだから
 永遠に続けなくてはならない)
だからと行わないという姿勢を感じました。

でも、これは基本的な
メンテナンスだと思います。
保有している資産のメンテナンスも
出来ない行政組織ってどうなのでしょうか。
自分の物をメンテナンスする気力もない
行政組織ってどうなのでしょうか。

それでもう一つの原因、それは平成の
大合併、市町村合併に代表される
行政執行窓口の削減、なぜなら当選する
市議会議員が中央に集中します。
そうなれば郊外に予算配分が渡らなくなり、
郊外の建設業者は仕事を失う事になります。
結果、郊外の整備事業が削減されて
河川の治水、保水機能が低下します。

分かりやすく言うと阿武隈川ばかりに
メンテナンスが集中し
(実際のところ分かりませんが)
支流は荒れ放題なので負荷が阿武隈川に
集中しパンクするという事なのです。
これがどれほど危険なのかは、
地方の衰退と東京一極集中のような
インフラ整備の地域間格差を見れば
分るでしょう。

誰かが唱えていた集中と選択は幻想なのです。
それらを証明したのが今回の
台風19号による水害被害と考えます。

今回の台風19号による水害に被災され、
犠牲になられた方のご冥福をお祈りします。
また、
一刻も早く被災による苦しみが
消えますように、
健やかな日々が訪れますように
強く祈念します。
https://38news.jp/economy/14881



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【Front Japan 桜】MMT名付け親のビル・ミッチェル教授記者会見!
- 第2回 京都大学MMT国際シンポジウムを振り返る - ブレグジットから見る民主制の本質[桜R1-11-8] - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2Xn3FAOqRPE

キャスター:藤井聡・三橋貴明

■ 第2回 京都大学MMT国際シンポジウムを振り返る
VTR:第2回 MMT国際シンポジウム閉会後 ビル・ミッチェル教授記者会見(令和元年11月5日:衆議院第一議員会館)



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>>47 で触れられているミンスキー・モーメントの解説
政府負債はいくら増やしてもいいが、民間負債を増やすとバブル経済になる


「バブルかどうかの判断基準は「ミンスキーモーメント」=「民間債務」の対GDP比

2019年5月29日
「バブル」の実態は「民間負債」
From 藤井聡(京都大学大学院教授)
https://38news.jp/economy/13731


そもそも「リーマンショック」とはいわゆる「バブル崩壊」。

そして、その「バブル」の実態は「民間負債」です。

皆がカネを借りまくって投機しまくって、
地価や株価が急騰していく現象です。

で、そんな「民間負債」が超絶に拡大していった時、
何かのきっかけで「借金の焦げ付き」が
(つまり、「貸した金が返ってこなくなる」と言う現象が)
急速に連鎖し、皆が一気に“破産”していく現象が
「バブル崩壊」です。

こういった「バブル崩壊」は、
(MMTの主唱者の一人であるレイの師匠である)
経済学者のハイマン・ミンスキーがそのプロセスを理論化しており、
しばしば「ミンスキーモーメント」とも呼ばれています。

バブル崩壊=ミンスキーモーメントの
過去の代表例として挙げられるのが、

・1990年 日本のバブル崩壊
・1997年 タイや韓国等のアジア通貨危機
・2007〜9年 アメリカのリーマンショック(サブプライム住宅ローン危機)

です。

「この時、一体、何が起こったのか」
を見てみたのが、こちらのグラフ。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1826739577426977&set=a.236228089811475&type=3&theater

これらのグラフは、
「民間債務」の対GDP比の推移を示しています。

まず、日本は、80年代のバブル景気の時、
民間債務が年率でGDPの9.2%ずつ拡大していき、
(つまり、年間40兆円〜50兆円程度ずつ!)
GDPの210%にまで膨らみきった1990年、
(金融引き締めや、土地取引の総量規制をきっかけとして)
その「バブル」が崩壊しました。

タイや韓国も、
民間債務がGDP比で
年率8〜10%ずつ拡大していき、
GDPの140〜160%程度にまで膨らんだ時に
(ヘッジファンドの通貨の空売り攻勢がきっかけで)
そのバブルが崩壊しました。

アメリカも、民間債務が、
GDPに対して年率4.3%ずつ拡大していき、
170%に達した時に、バブルが崩壊しました。

こう見てみますと、
バブル崩壊には次のような共通のパターンがある
ことが見えてきます。

すなわち、民間の借金が、
GDPに対して年率で5〜10%ずつ拡大していき、
GDPの150〜200%程度に至った時に、
何かのきっかけで、バブル崩壊が起こるわけです。

(※ なお、新興国は、概して、債務の拡大率が大きく、
破裂水準は低いようですね。)

こう考えると、
「民間債務の膨らみ」
は、地震の岩盤の破壊エネルギーの様なもので、
ある程度溜まると岩盤が破壊して地震が起こるように、
その内「バブル崩壊」してしまうのです。

・・・では、今の世界を見回したところ、
一番ヤバそうなのが、中国!


こちらのグラフに、今、バブル崩壊が、
ヤバそうな国を並べてみました。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1826741800760088&set=a.236228089811475&type=3&theater

ご覧の様に中国は、かつての日本と同様、
対GDP比で年率10.2%もの割合で、
民間債務が拡大していき、
もはやGDPの207%にまで達しています。

もうこうなれば、何かのきっかけがあれば、
スグにでも、この中国バブルは崩壊することになるでしょう。

実際、こんな報道もなされるようになってきています。
https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_1410636/

そんな中国の中でも特にヤバイのは、香港。

債務が年率12.1%という未曾有のスピードで拡大し、
何とGDP比で300%を超えてしまっているのです!

こんな債務拡大が、いつまでも続く筈がありません。

実際、UBS証券は香港の不動産バブルが「世界最悪」だ、
という分析結果を公表しています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-01/PFWA786K50XX01

中国・香港のバブル崩壊は、
もはや秒読み段階にあると見ていいでしょう。

これから始まる米中経済戦争が、
その引き金を引くことになるかもしれません。

あるいは、「日本の消費増税」に伴う日本の大不況が、
中国のバブルをはじけさせるきっかけになるかもしれません。

何と言っても、日本経済はまだまだ巨大な存在であり、
それが不況になってしまうのは、
世界に大迷惑をかけるのです。

なお、民間債務対GDP比が200%を超えたカナダや、
新興国の危険水域である140〜150%に
近づきつつあるベトナムも要注意です。

人類は、リーマンショックで
過剰なグローバル化や過剰投機が
どれだけヤバいモノなのかを学んだ筈なのですが―――
何度も何度も、過ちを繰り返すようです。
https://38news.jp/economy/13731


▲△▽▼


世界の民間債務残高対GDP比 国別ランキング・推移 – Global Note
https://www.globalnote.jp/post-15129.html

・世界の民間債務残高対GDP比 国際比較統計・ランキング。
・各国の民間部門債務残高の対GDP比率と国別順位を掲載。
・単位は%。

・当該国の民間部門総債務残高のGDP対する比率。

・民間部門は企業部門(除く金融機関)と家計部門(個人及び対家計民間非営利団体)の合計値。

・金融機関の債務残高は含まない。

・債務には金融機関、企業、政府、個人及び海外からの債務を含む。

・債務残高は各年末時点ベース。

・家計部門・企業部門別の債務残高対GDP比率は内訳データリンクより。


【内訳データ解説】
・民間債務残高対GDP比(家計部門)
 - 家計部門の総債務残高のGDPに対する比率
 - 家計部門には個人のほか対家計民間非営利団体(NPISH)を含む。
・民間債務残高対GDP比(企業部門)
 - 金融機関を除く一般企業の総債務残高のGDPに対する比率
https://www.globalnote.jp/post-15129.html


▲△▽▼


「民間債務」の対GDP比
https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh18-01/pdf/s1-18-1-2.pdf

https://www.google.co.jp/search?lr=lang_ja&hl=ja&rlz=1I7AWNC_jaJP826&tbs=lr%3Alang_1ja&ei=4FyyXY6gGIy4mAXaq72wDw&q=%E6%B0%91%E9%96%93%E5%82%B5%E5%8B%99+%E5%AF%BE+%EF%BC%A7%EF%BC%A4%EF%BC%B0&oq=%E6%B0%91%E9%96%93%E5%82%B5%E5%8B%99+%E5%AF%BE+%EF%BC%A7%EF%BC%A4%EF%BC%B0&gs_l=psy-ab.3...2098.10126..10319...0.0..0.106.387.2j2......0....1..gws-wiz.......0.ebvDflokUeQ&ved=0ahUKEwiOkLzNrbblAhUMHKYKHdpVD_YQ4dUDCAo&uact=5#spf=1571971849631





▲△▽▼

(1) [2019.11.18放送]週刊クライテリオン 
藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7zhoNhN4DLY
今週のテーマは『核の傘無効論:アメリカは日本のためには「核」を打たない』です。

週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ
第45回 2019年11月18日(月)放送



▲△▽▼

2019年11月20日
なぜ、安倍晋三氏は憲政史上最長総理となったのか?〜安倍晋三「器」論から考える空虚な結論〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/politics/14943

本日、令和元年11月20日、
安倍晋三氏はついに桂太郎氏を抜いて、
明治からはじまる日本の憲政史上、
「最長」の在任期間を誇る総理大臣となった。

まず冒頭で宣言するが、
この「憲政史上最長総理」という称号こそ、
安倍総理の最大のレガシー(遺産)だ。

もちろん、多くの国民は、安倍総理大臣こそ、
デフレ脱却を果たし、
衰退し続ける日本を救い出し、
「失われた20年」を取り戻すことを
大いに期待したに違いない。

しかし、消費税を10%に引き上げた今、
その望みは事実上、あえなく断たれてしまった。

また別の多くの国民は、安倍晋三総理に
「戦後レジームからの脱却」
を夢想し、
「日本の独立を不可能にせしめている
アメリカから押し付けられた憲法9条を
正しい方向に改正してくれるに違いない」
と大いなる希望を抱いたに違いない。

しかし、憲法九条の2項を温存したまま、
自衛隊の存在を記載する3項を追加する
「加憲」を耳にした瞬間に、
その夢は完全に断たれてしまったことを
確信したに違いない。

つまり、安倍内閣は、

・デフレ脱却
・憲法9条改正
・戦後レジームからの脱却

といった、多くの国民が夢見たレガシーを
何一つ達成しないままに、
憲政史上最長の総理在任期間を貪ったのである。

それどころか、
デフレ脱却については
5%から10%へと消費税を倍増させたことで
日本のデフレ長期化を決定づける
「負のレガシー」を残してしまった。

戦後レジームからの脱却について言えば、
憲法9条2項削除・修正の議論を退潮させ、
北方領土交渉を退潮させ、
防衛的・経済的な対米従属を強化し、
消費税率の倍増を通して経済力を大幅に弱体化
させることを通して、
外交的防衛的経済的なすべての視点で
戦後レジームからの脱却をより困難なものとする
という、ここでもまた「負のレガシー」を残した。

以上の議論は、
親安倍論者にしても、
反安倍論者にしても、
共通に認識しなければならない、
「単なる事実」
だ。

しかしそれにも拘わらず、
安倍政権の支持率は
(二大臣の自認や桜を見る会騒動を経てもなお)
高止まりし続けている。

これは一体なぜなのだろうか?

その答えはもちろん、
株価の上昇や円安、
現野党の民主党政権時に対するトラウマ、
そして、
「変わりがいない」という世間的共通認識等、
様々なものが挙げられるが、
政治哲学的な視点からの分析を経れば、
最も本質的な原因は、
安倍政権自体が、
「長期政権を自己目的化した空虚な器」
と化しているところにある。

政治には、
政治を通して公益を拡大することを目的とするという
政“策”的原理
と、政治権力を維持し続けることを自己目的とする
政“治”的原理
の二種類がある。
(無論後者の政治と言う言葉は、狭義の意味だ)

普通国民は、政治家に
「政策的原理」
で政治を動かしてもらう事を望んでいる。

ところが、政治の世界では、
政“策”的原理を口にするのは単なるタテマエで、
ホンネではほとんどが、
政“治”的原理
で動いているのが実情だ。

無論、心ある政治家は、
「手段」として政“治”的側面を活用し、
「目的」として政“策”的側面の実現を目指す、
という振る舞いをする。
(これこそ、政“策”的原理の政治家だ)

しかし、凡庸な政“治”的原理の政治家は、
そこが逆転しているわけだ。つまり、
「手段」として政“策”的側面を声高に叫びながら、
「目的」として政“治”的な意図の達成を目指す、
という振る舞いをする。

そして言うまでもなく、
昭和から平成、平成から令和へと時代が変遷するにしたがって、
政界において
政“策”的原理はどんどん退潮し、
政“治”的原理がどんどん拡大していったのである。

その最も象徴的な政治体制こそ、
安倍政権なのである。

多くの国民は、

デフレ脱却を叫びながら
デフレを決定づける消費増税を行う矛盾

保守政権だと主張しながら、
国体の崩壊につながりかねぬ移民政策を加速する矛盾、

戦後レジームの脱却を叫びながら、
それを不可能にする加憲を推進する矛盾、

こういった矛盾に戸惑いを隠せずにいるだろう。

しかし、そこで戸惑うのは、
安倍政権が「政“策”的原理」で
動いているとイメージしているからなのだ。

ここで、もし安倍政権が「政“治”的原理」で
動く存在なのだとイメージすれば、
それらは何の矛盾もない、
と言う実態が浮かび上がる。

なぜなら、「政“治”的原理」で言うなら、
デフレ脱却や戦後レジームの脱却を叫び、
保守政権だと主張することも、
移民政策を加速し、加憲し、消費増税することも皆、
国益とは無縁の、
「長期政権を維持する」
という「政治目標」にとっては、
何の矛盾もないからだ!

つまり、安倍政権の目標は、
デフレ脱却や戦後レジームからの脱却などではない。

それらはいずれも、
政権維持のための方便に過ぎない。

安倍政権の目標は、
「長期政権を維持する」
というその一点なのである。

その結果、
安倍政権は、巨大な「空虚な器」と化した。

それは、政権維持のためならば、
政策的な矛盾など何の配慮もせず、
何でもかんでも放り込んでいく、
途轍もなく空虚で巨大な器となったのである。

(無論、反サヨク、の色彩を帯びてはいるのだが、
 それとて、単なる政権維持のためのイメージ戦略だ。
 それについてはまた、別途論じよう
 https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ

そしてその器の「象徴」として、
安倍晋三氏という一人の政治家が存在しているのである。

したがって、
この政権には「真の目的」と呼べるものは何もない。

それはただ単に、「延命」することをだけを目的として持つ、
巨大な一つの空虚なマシーンなのである。

いわば、戦後日本のニヒリズムの集大成として、
安倍総理は憲政史上最長の総理大臣となられたわけだ。

以上は、無論、一つの理論仮説だ。

しかしこの仮説は、安倍政権の振る舞いの
全てを矛盾なく説明しつくすことができる。

逆に言うと、筆者は、この仮説以外で、
安倍政権の諸行動を統一的に説明できる
仮説を想起することができない。

なお、我々はこの理論仮説を、

「安倍晋三『器』論」

と呼称している。その詳細は、

表現者クライテリオン
「安倍晋三:この空虚な器」
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ

で縦横に論じている。

日本のまともな政治を取り戻すには、
こうした「空虚な器政治」を根底から
作り替えねばならない。

そのための第一歩として、
是非とも、
「安倍晋三:この空虚な器」
https://www.amazon.co.jp/dp/B07YMF27NQ
をご精読いただきたい。

追伸:
こんな「器」政治が続けば、日本に「ジョーカー」が何人も生み出されることになるでしょう。あわせてこちらも是非、ご購読下さい。
https://foomii.com/00178/2019111511000060331
(『ジョーカー』映画評論 〜腐った社会が「純粋な無私の悪人」を産み出す〜)

https://38news.jp/politics/14943



▲△▽▼

[2019.12.23放送]週刊クライテリオン 藤井聡のあるがままラジオ(KBS京都ラジオ)
https://www.youtube.com/watch?v=EJOE8R_I2kg

今週のテーマは『引き籠もるアメリカ、すがり付く日本 〜失敗する安倍外交〜』です。
第50回 2019年12月23日(月)放送




5. 中川隆[-13101] koaQ7Jey 2020年4月20日 14:23:43 : at6ayMU0Ck : WklkR3pzU3dhZmM=[21] 報告
2020年2月19日
「名目」GDPの落ち込みが、半端なくヤバイ 〜安倍増税ショックの真実〜
From 藤井聡@京都大学大学院教授
https://38news.jp/economy/15392

令和2年2月17日、消費増税直後の四半期である令和元年10−12月期のGDP統計が公表されました。その結果、激しい経済の冷え込みが明らかにされました。
(前期比)年率で6・3%も下落するという値が示されたのです。
年率6・3%と言えば、一年で35兆円もGDPが縮小するという勢い。それは国民一人あたり、おおよそ30万円ものオカネを失っていくという、途轍もない冷え込みを示しています。

では、過去二回の増税時と比べて、今回の6・3%の下落というのは、どれくらいのものなのかを見みましょう。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2310086432425620&set=a.236228089811475&type=3&theater

ご覧の様に、今回の増税直後に、実質GDPが大きく下落している様子が見て取れます。その下落は、97年増税時よりも激しいもの。

ただし、14年増税時と比べると、同程度の下落水準。

ですが、今回「2%」であった増税幅が14年増税時は「3%」ですから、実質GDPの凹み方は、14年の方が「3/2倍」(1・5倍)であっても良いはず・・・なので、それを差し引くと、今回の方が激しく下落していると言えそうです。

ただし・・・今回の増税のヤバさは、こっちの「名目値」の方がクッキリ表れています。
こちらをご覧下さい。


https://www.facebook.com/photo.php?fbid=2310098469091083&set=a.236228089811475&type=3&theater

ご覧の様に、過去二回の増税時、「名目」GDPは実は、消費増税後に全く凹んで無かったのですが・・・今回は激しく凹んでしまっているのです!

過去二回の増税時には、名目GDPは、0%〜2%弱という「プラス」の水準だったわけです。にも関わらず、その時、先にも示したように、「実質」GDPは凹んでいました。これはつまり、「実質」GDPの凹みの原因は、「消費増税がもたらした強制的な物価上昇」だけだったわけで、「国民が払ったカネの総額」は、実は全く減っていなかったわけです。

ところが今回は、この図に示されたように「国民が払ったカネの総額」も実に5%近くも縮小してしまったわけです。

つまり前回までは、「国民のカネの支払い総額(名目GDP)は減らなかったが、モノの値段が上がったが故に、買うモノの総量(実質GDP)が減った」という話だったのが、今回は、「モノの値段が上がったが上に、国民のカネの支払い総額も減って、買うモノの総量が(ダブルの効果で)激しく減った」という事になったのです!
これはもう、異常事態。

これからコロナショックがデータに反映されていく事を考えれば、日本経済が奈落の底に沈んでいく事は、もう確実と言えるでしょう。
・・・では、なぜこんな事になったのでしょうか・・・?
ついてはまず、名目GDPの各項目に注目してみましょう。

————————–
消費    -9.0 %
住宅投資  -3.6 %
民間投資  -13.7 %
政府支出  -1.5 %
輸出    -2.3 %
輸入    -13.2 %
————————–
GDP   -4.9 %
————————–

(いずれも名目値、対前期年率変化率)

まず目立つのが、「投資」と「消費」の縮小。
その縮小率は13・7%と9・0%。
両者とも実に1割前後縮小したわけです。

それと同程度の下落を見せたのが「輸入」。実に13・2%も縮小しています。これはもちろん、国内の「購買力」の減退を反映したものですが、統計上は、これは激しく「プラス」に作用する変化です。

つまり、(購買力の減退故に)輸入が1割以上も「減る」事を通して名目GDPに対して大きくプラスの影響があったにも関わらず、(同じく購買力の減退故に)消費と投資がそれを上回る水準で下落したため、トータルとして5%も名目GDPが縮小してしまったのです。

以上を踏まえると、今までの二度の増税では見られなかった「支払総額=名目GDPの下落」が、今回、起こってしまったのは、今回の消費増税では過去二回に比べてより激しく「購買力を減退」したからだという背景が見えて参ります。
ではなぜ、今回、「購買力の減退」が激しく起こったのかと言えば・・・一つの有力な仮説が、「10%という税率が、超絶に分かり易く、誰でもスグに税率を計算できるから」というもの。

これまで、 https://www.mag2.com/p/money/339998 などで詳しく解説して参りましたが、消費税というものは、「計算しやすければしやすいほど、購買力を減退させる効果」が大きくなることは、心理学研究から明らかにされてきていたのです。そして、「10%」=「1割」という数字は途轍もなく計算しやすくなるため、購買力減退が激しく生ずることになるのです。

・・・この仮説の真偽の程は引きつづき、確認していくことが必要ではありますが、いずれにしても、今回、今まで見られなかった「購買力の異様な減退」が生じているのは事実。

これに加えて、今は、外需が下落しているという背景もあるわけですから、日本経済はまさにこれから「地獄」になることは必至・・・。
にも関わらず、我が国のリーダーは、以上のデータが公表された直後に、こんな事を公衆の面前で臆面も無く嘯いています。

「経済対策の効果もあり基調として緩やかな回復が続く」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200217-00000043-reut-bus_all&

・・・・絶句する他ありません。
つまり、現下の大不況の最大の根本的原因は、「10%への消費増税」というよりもむしろ、我が国の政治リーダーの「無見識」と「無責任さ」なのです。
誠に遺憾です。

追伸1:
こうした国家を滅亡に導きかねない政治リーダー達の「ウソ」について、徹底的に批判しました。是非、ご一読ください。
『ウソ』で自滅する国家 安倍・トランプ・文在寅
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B084B14TY6/

追伸2:
感染症対策と同様、「安全保障」問題においても日本は不十分な対応しか出来ていません・・・是非、ご一読ください。
政府は「プライマリーバランス」より「日本」を守ることを優先せよ! 〜奄美大島の基地視察が教えてくれた西南諸島“防衛”物語〜
https://foomii.com/00178/2020021411000063573

追伸3:
コチラの動画も是非、ご覧下さい!
https://www.youtube.com/watch?v=jglMLZLEE9U

https://38news.jp/economy/15392

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