ついに韓国を潰しにかかった日本。たった3品目の輸出規制で韓国経済は大恐慌へ=勝又壽良 2019年7月4日 https://www.mag2.com/p/money/719590 日本政府は7月1日、大阪のG20サミット閉幕を待っていたように、韓国への半導体材料輸出で3品目の輸出規制策を発表しました。これが、韓国へ恐慌をもたらし、韓国輸出で20%を占める半導体産業を潰すつもりか、と大変な騒ぎになっています。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)
※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2019年7月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。 プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし) 元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。 日本からの優遇は当然という韓国の奢り、信頼関係はもう無い… 韓国への輸出3品目で規制 日本政府は7月1日、韓国への半導体材料輸出で3品目の輸出規制策を発表しました。 3品目とは、半導体ウェハーを思い通りの形状に削り、ディスクに細かい回路を描くのに使われるエッチングガス(高純度フッ化水素)とレジスト(感光剤)、スマートフォンやテレビのディスプレイ工程に使われるフッ素ポリイミドです。 日本が世界市場の70〜90%を生産している独占的な強味の半導体材料です。 事態の真相を知らない向きには、日本が韓国メイン産業の半導体生産に不可欠な材料輸出を妨害する「輸出規制」と映ります。韓国では、そういう受け取り方で騒いでいます。これは、フェアな議論でありません。 「輸出規制」の原因をつくったのは、韓国の徴用工賠償判決であること。日本は、これに伴い韓国への信頼を失ったので、日本が韓国に認めた「ホワイト国」としての待遇(後述)を取り消そうというのに過ぎません。
韓国は著しく国際法的認識に欠ける行動を取ろうとしているのです。日本は、それに対する警告であります。 日本政府「韓国は信頼できない」 この問題の裏には、韓国に存在する「ドロドロ」した反日感情が絡んでいます。54年前に解決済みの徴用工賠償問題が、韓国大法院(最高裁)で取り上げられて、日本企業に賠償を命じるという驚くべき事態へ発展しました。 これだけではありません。日韓慰安婦合意の破棄、韓国艦船による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射など、日韓が友好国であることを疑わせる事態が続出しました。 そして徴用工判決が最終的に引き金となって、半導体生産に不可欠な3資材の「輸出規制」問題につながりました。 日本政府は「韓国への信頼性低下」を理由に、7月4日から前記3品目輸出で、これまでの一括処理の「ホワイト国」(27ヶ国適用)扱いを外します。韓国に与えてきた恩典を取り消したのです。 今後は、輸出案件ごとに審査する方針へ変更します。以上が、半導体材料3品目の輸出規制に関する概略です。
引き金は徴用工賠償判決 徴用工賠償問題について、簡単に説明しておきます。 昨年10月の韓国大法院(最高裁)は、日本企業に対し戦時中の韓国人旧徴用工への補償金の支払いを命じました。日本政府は、この判決を受け入れ難いものとして拒否しました。理由は、1965年に結んだ日韓基本条約において、無償5億ドルに徴用工への賠償金が含まれていたのです。韓国大法院は、日韓基本条約の無償5億ドルの名目が「経済協力金」であって、「賠償金」でないことを理由に別途、賠償金支払いを命じました。 当時の日韓交渉で日本は、日韓併合が条約という形で合法的に行われたことを理由に、「賠償金」名目でなく「経済協力金」とした事情があります。ただ、名目は「経済協力金」であっても、実態が「賠償金」であるからこそ無償5億ドルを支払ったのです。「無償」という意味が、それを雄弁に意味しているはずです。 韓国大法院は、無償5億ドルが「経済協力金」名目であることを根拠に、徴用工賠償金を別途支払えと命じました。この判決に対して、日本政府は韓国政府に不服の旨を通報しました。そして、政府間での交渉を持ちかけましたが、韓国政府は無反応でした。要するに「無視」したのです。 そこで、日本政府は日韓基本条約の規定にある「第三国仲裁委員会」への付託を提案しましたが、これも無視したのです。 国際司法の場から逃げ続ける韓国 ところが、6月28〜29日に開催されたG20大阪サミットでは、日本が韓国との首脳会談に消極的な姿勢を見せました。韓国側はそこで急遽、日韓企業が資金を提供して、徴用工賠償金に充てる案を提示しました。日本は、日韓基本条約で解決済みを理由に、この提案を拒否し、日本提案の「第三国仲裁委員会」を主張したのです。 日韓政府の間では、日韓基本条約の解釈に食い違いがあり、これが紛争の原因となっています。
日本は厳格に解釈します。韓国は変更可能というルーズな解釈です。この重要な部分を棚上げして、日韓企業に資金を提供させて賠償金にする案は、あまりにも姑息過ぎるのです。 韓国大法院が、日韓基本条約という国際条約で解決済みの問題に介入できるのか。そういう根本的な疑念を解明しないで、曖昧にしたままなのが韓国流です。 日本は、こういう根本的な問題を国際司法の場で議論すべきという姿勢です。韓国は、自国に不利であることを自覚しているのか、国際舞台での決着に反対しています。あくまでも、韓国の理屈で押し通したいのです。 これでは、いつまでも根本的な解決は望めません。
日本依存の韓国半導体産業
以上で今回、日本が韓国を「ホワイト国」から除外する理由と、その背景について説明しました。 そこで、韓国にとって前記の3資材の重要性を見ておきます。『朝鮮日報(7月3日付)』から一部引用しました。 韓国は世界第1位の半導体製造国ですが、韓国にある半導体製造装置の国産化率は18.2%、素材の国産化率は50.3%に過ぎません(2017年基準)。中でも、半導体素材分野における日本への依存度は50%近いものです。 韓国大統領府は7月2日、日本政府による「経済報復」のような事態を防ぐ案として、輸入先の多様化と国産化推進を挙げました。これを聞いた半導体業界は、「すぐに実現できる目標ではない」と難色を示しました。 日本が輸出規制を発表したレジストの場合、全世界で90%が日本企業の供給によります。サムスンやSKハイニックスが、世界最高水準の工程に使うレジストが作れる企業は、日本企業以外にないと言われています。韓国で国産化するには、とてつもない時間が必要なのです。 日本への依存度が最も高いのは、今回輸出規制されるレジストとフッ化ポリイミドです。この2素材の韓国における日本への依存度は90%を超えています。一部国産化に成功したとされるエッチングガス(フッ化水素)も、実は日本から原材料を持ち込んで合成・精製したものに過ぎません。 第二次世界大戦後、日本のノーベル科学賞の受賞者が、米国に次いで2位であることを思い出してください。化学物質を扱う素材開発は、長年のノウハウに基づいています。日本は、100年以上も精密化学の素材産業分野で世界最高水準にあるのです。
こういう日本企業を相手にして、韓国大統領府は暢気なものです。「日本以外から購入先を見つけろ」と尻を叩かれても不可能です。ましてや、日本に追いつくことなど、夢のまた夢の話です。 こういう、日本と紛争を構える韓国大統領府の目が曇っていると言うほかありません。 韓国輸出入銀行海外経済研究所によると、2017年時点の世界半導体製造装置市場は米国(44.7%)と日本(28.2%)が握っており、韓国の占有率は3.6%にとどまっています。 現在、全世界の半導体製造装置10大企業の構成は、次のようになっています。 ◾日本企業:5社 ◾米国企業:3社 ◾オランダ企業:1社 ◾韓国企業:1社 これをみてもわかる通り、日本の半導体製造装置企業は世界10大企業の半分を占めています。 こうして日本は、半導体製造装置と半導体製造化学品の両面で、世界市場を左右する力を持っていることがわかります。 日本を敵に回すと痛い目を見る 韓国側は、ここで大きな見誤りを犯したようです。日本が韓国企業を有力な得意先にしている以上、韓国への輸出規制を掛ければ日本自身も損害を被るはず。だから、輸出規制には出ないだろうと見てきたのです。 日本は、昨年10月の韓国大法院判決が出た直後から、「韓国報復策」を練っていたことがわかりました。日本政府は一度、韓国政府と厳しく対決して「思い知らせる」という側面もあるように思います。 これまでの日韓外交は、日本が韓国に主導権を握られ振り回されてきた歴史です。今回は、日本が「経済制裁」というテコを使って韓国を動かすのです。
もう文政権の「親日排除」は効かない
韓国は、これまで日韓併合時代を前面に出して、日本の「過去」を問いただして譲歩を求めてきました。その最新版が、文政権の「親日排除」です。韓国国内で、北朝鮮統一へ動かすテコとして、親日=保守系=排除の方程式に使う計画でした。 それには、韓国大法院から徴用工賠償判決を引き出す。そのために、文氏が判決前の昨年8月、「徴用工裁判は永遠の人権問題である」という大演説をして大法院判決を誘導したのです。通常であれば、大法院判決直前という微妙な時期に、大統領がこういう演説は控えるはず。文氏は、堂々とそういう禁を破りました。 その結果、まんまと思惑通りの判決が出ました。ここで一気に、親日=保守派を排除して、北朝鮮との統一ムードを盛り上げて突進のはずだったと思います。 その思惑が、日本政府の抵抗で躓(つまづ)き始めたのです。日本が「法律闘争」に出てきたからです。 「第三国仲裁委員会」の設置、さらには国際司法裁判所への提訴をちらつかせました。韓国政府が、日本政府の話し合いの呼びかけに一切、応じなかった理由は、在韓日本企業の資産を差し押さえるコースを選択していた結果と思います。 WTOで日本に負ける ここで最近、思わざる事態に遭遇しました。日本政府が、3種の半導体材料輸出規制策を発表したからです。韓国では、まさか日本がこういう「手荒な」輸出規制に出るとは想像もしていなかったようです。韓国政府が、まったくその対応策を準備していなかったことに現れています。 韓国政府はあまりの驚きで、大統領府がこの問題の対応の指揮を執らず、産業資源部に委ねて自ら傷を負うことを回避しています。産業資源部は、日本をWTOに提訴すると言い始めています。
韓国は、WTO提訴で勝訴できるでしょうか。 日本からの輸出で、「ホワイト国」(輸出手続きが一括処理される)という優遇される国が27ヶ国あります。 韓国は、今回の日本政府発表で7月4日から「ホワイト国」でなくなります。韓国はこれを不満として、WTOに提訴するというのです。 韓国は「ホワイト国」とは言えない 安倍首相は、今回の措置はWTO規則と無縁であること。貿易管理の問題であるとしています。 韓国が、日本から「ホワイト国」として優遇されたのは、信頼関係があったからです。それがなくなれば、自動的に「ホワイト国」の座が消える運命なのです。 現在の「ホワイト国」を見ますと、すべて民主主義国で欧米主体です。すべて「信頼できる国々」です。韓国のように常時、日本といざこざを起こしている国はありませ。韓国は、徴用工問題以外にも慰安婦問題で、世界中に「少女像」を立てて日本の不利益になるようなことばかり行なっています。やはり「信頼できる国」でなく、日本に「難儀をもたらす国」の方がピッタリした表現の国になっています。
「日本からの優遇は当然」という韓国の奢り
韓国は、「ホワイト国」を既得権益のように捉えているので、WTOへ提訴すると息巻いているのです。 既得権益ではなく、日本の恩恵なのです。韓国が、日本から輸出事務手続きで、優遇を受けるには、それなりの謙虚さを求められるのです。韓国のあまりにも身勝手な行動は、チェックされて当然です。 日本にはもう1つ、「外交保護権」があります。日本企業の韓国資産が、韓国で差し押さえられ売却されれば、日本政府が韓国政府に対して、賠償請求できる権利が外交保護権です。 日本政府が、この外交保護権を行使すれば、新たな外交火種が発生します。そういうリスクを抱えてまで、韓国政府は徴用工問題で日本を追い詰めたいのでしょう。それによって、親日=保守系=排除という方程式をつくり、北朝鮮との統一を目指す計画と見られます。 日本には、「ホワイト国」という制度があります。これを外せば、いつでも韓国産業に圧力を加えられることは、大きな切り札になります。 ただし、輸出事務手続きを調整できる権限をバックにして、自由貿易の原則を歪めてはなりません。韓国もまた、「反日」という感情に訴える手法を捨てるべき段階です。 韓国が「ホワイト国」に復帰できる日が来ることを願っています。 https://www.mag2.com/p/money/719590
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