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第5部 絡み合う思惑―検証 東電30億円寄付
2007年7月の中越沖地震で柏崎刈羽原発が長期停止に追い込まれている東京電力。首都圏への電力供給を担う原発被災の影響は大きく、08年3月期決算で28年ぶりの赤字転落は必至の情勢だ。東電はこの難局下で、県に対し復興支援として30億円の寄付を決断した。国も柏崎市と刈羽村への交付金増額という異例の措置を敢行。地元では2つの支援策を歓迎する一方、運転再開への布石とみる向きもある。巨額マネーが投じられた狙いは何か−。当事者の間でさまざまな思惑が絡み合う背景を探った。
第1回 苦境下の決断 (2008年02月28日掲載)
核燃料税の穴埋めか
電力側は「復興支援」強調
30億円の目録を泉田裕彦知事に渡した後、取材に答える東京電力の勝俣恒久社長。「立地地域の活性化に貢献したい」と寄付の趣旨を語った=2007年12月25日、県庁
「柏崎刈羽原発は東電の“ドル箱”だったんですよ」。電力会社の経営に詳しい一橋大大学院教授の橘川武郎(56)は言う。
全7基を抱える世界最大の集積地である同原発。最新の7号機でも運転開始から既に11年目だ。新設時に比べ減価償却が進み、柏崎市、刈羽村に支払う固定資産税の負担は大幅に減っている。まさに収穫期を迎えたドル箱だった。
ところが、中越沖地震で同原発が被災したことで、東電全体の原発利用率は08年3月期、前期の74%から45%前後に急落する見通しだ。「利用率が1%低下すれば年間約120億円の影響がある」。橘川の分析である。
■すんなり承認
「新潟は2度も地震に見舞われて大変お気の毒だ。地域復興と原発の存立は一体であり、お役に立ちたい」。07年12月5日、東京・内幸町の東電本店10階の会議室で開かれた臨時取締役会。副社長の皷(つづみ)紀男(61)は社長の勝俣恒久(67)ら役員二十数人を前に寄付の議案を説明した。
前日の常務会で既に承認されており、5日も異論は一切なかったという。「ぜひやるべきだとの意見だったと記憶している」と皷。寄付の相手を県としたことについては「県が復興計画を立てていることと、柏崎刈羽を中心に広く県内でお困りの方に、という考えから」と話す。
一方、県側では30億円という額にこんな声がささやかれた。「柏崎刈羽原発が稼働していたら、07年度に県に入るはずだった核燃料税の金額に相当する。寄付はその穴埋めの意味ではないか」
しかし、現地対応の指揮を執る副社長の武黒一郎(61)は「それはない。寄付はどうせやるなら思い切ってやろうという気持ちだった」と言う。
では、何を基準に30億円としたのか。「議論した結果としての数字。1とか3とか5とか、そういう感覚だった」と皷。最終判断をした勝俣も知事・泉田裕彦(45)に目録を渡した同25日、「もともと方程式を解くような根拠はない。経営判断だ」と答え、詳細は語ろうとはしない。
どの幹部も、寄付は運転再開論議とは全く関係がなく、あくまでも復興支援だと強調する。
■「ドル箱」停止
「会社始まって以来の未曾有の難局」。次期社長への就任が内定した副社長の清水正孝(63)は1月22日、都内での会見で経営環境の厳しさを訴えた。
中越沖地震による被災の影響は08年3月期、約6000億円に上るとされる。原油価格高騰の折、火力発電量の増強を図った結果、同期連結決算は1550億円の赤字が見込まれている。東電は役員年俸を10−20%カットするなど経費削減にも着手した。
売上高5兆円余りを誇る国内最大の電力会社が苦境にあることは事実だ。その中でひねり出した30億円が重いものであることも確かだろう。
しかし、「減価償却の進んだ原発なら、動かせば30億円なんてすぐに取り戻せる」とするのは、電力業界に精通する元日本原子力産業会議副会長の森一久(82)。ドル箱原発と比較しての30億円の価値を指摘する。
一方、橘川は「柏崎刈羽は東電の最重要拠点。停止が長引けば利用率の低迷が続き、経営が傾く恐れもある」とみる。
30億円は、そんな中で、本県に手渡されたのである。
東電のアクションに先立ち、国も立地自治体への破格の支援を打ち出した。
(文中敬称略)
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