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『DAYS JAPAN』2005年01月号
”現場から” 野中章弘
「反日」を誇張するメデイア
2004年8月上旬、中国の「反日」感情なるものの背景を探るため、北京を訪ねた。サッカーのアジア杯をめぐり、日本のマスコミは中国で広がる「反日」の動きを盛んに書きたてており、その論調に強い違和感を感じたからである。
日本対中国の決勝戦が行われた競技場へも足を運んだ。試合後、一部の人々がゲート前で騒いでいたものの、身の危険を感じるということはほとんどなかった。中国に数万人はいると思われる日本人留学生や駐在員たちからも、「反日」感情の高まりで直接危害を加えられたという話も聞かない。友人のテレビ局特派員は、「東京のデスクはとにかく『反日的な言動を見せる中国人の映像を送ってこい』の一点張り。こちらは平静だといっても聞く耳を持たない」と嘆いていた。
日本では「小日本(日本への蔑称)をたたきのめせ」などと叫ぶ中国人の姿が繰り返し放映され、あたかも中国全土で「反日」の嵐が吹き荒れたように報じられた。これは現場にいた者の実感とは随分違う。
アジア杯をめぐる「反日」の動きを、日本のマスコミは、中国への批判的な論調に集約させている。論旨を整理すれぱおおむね3点に絞ることができる。第一は「反日は中国の愛国主義教育が生み出したもの」という中国の歴史教育批判。第二は「反日は貧富の格差など中国内部の矛盾のはけ口」と共産党体制を非難できない民衆の不満が反日へ向いているという指摘。第三は「反日世論を日本をけん制する『歴史カード』として使う中国政府」の対日戦略。一部の報道を除き、いずれも「反日」行動の原因を中国側に求めている。
中国の大国的なナショナリズムを擁護するつもりはまったくないが、冷静な分析を欠いた日本のマスコミ報道もまったくひどい。
(略)