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http://www.smepolicy.jp/us-startup.htm
相も変わらず、新規開業というとアメリカの話が多いですね。日本よりも開業率が高い国はいくらでもあるのに、なぜアメリカにばかり注目するのか、さっぱりわかりません。はっきりいって、アメリカは参考にする国としてはあまり適当ではありません。
なぜかといえば、まず人口構造があまりにちがいすぎます。アメリカでは、若い世代がたくさんいますし、人種も日本よりはるかに多様です。とくに人種の多様性はアメリカの開業率と深く関係しています。アメリカの中小企業数の推移を人種別にみると、数は少ないものの、マイノリティ(黒人やヒスパニック)所有企業の増加率はきわめて高い。たとえば、92年から97年にかけて、アメリカの企業数は6.8%増加しましたが、黒人が所有する企業は25.7%、ヒスパニックが所有する企業は30%も増加しました。なぜ、マイノリティの開業が多いかといえば、彼らの多くは雇用者としては良質の職につくことが難しいからです。それは、多くの法律にかかわらず、現に差別が存在していること、そしてヒスパニックやアジアからの移民・難民についていえば、まともに英語を話せないためです。彼らが経済的に恵まれた生活をしようと思えば、開業するしかないんです。つまり、貧しいから開業するんです。大半は失敗しますけどね(だから廃業も多い)。
この「貧しい」ということは、新規開業の多寡に関してきわめて重要です。たとえば、途上国をみてみればすぐわかります。いまでも活発ですが、市場経済への移行が始まった中国ではものすごい勢いで中小企業が増えていきました。理由は単純で、貧しかったからです。当然、起業家教育なんてものは受けていません。逆に、日本は開業しなければ食べていけないほど貧しい人なんて、ほとんどいないし、そういう人には社会保障もあります。余談ですが、起業家教育をやれば開業が増えると主張する人は、起業家教育が行われていない、あるいは行われていても受けていない人たちが、活発に開業していることをどう説明するんでしょうか。
新規開業というのは、その国の社会構造や経済の発展状況に大きく影響されるものなんです。だとすれば、日本が参考にすべきは、アメリカではなく、ヨーロッパでしょう。経済も停滞気味だし、少子高齢化も進んでいるし、大きな政府の国も多い。それでいて、ノキアとかSAPとか世界的な企業も生まれているし、ファッションじゃアメリカなんて足下にも及ばない。もし、アメリカを参考にするなら、まず社会の構造をアメリカと同じようにしなければまりません。アジアやアフリカの国々から、移民や難民、労働者を受け入れれば、確実に開業は増えます。
もちろん、アメリカに学ぶものがないというわけではありません。ただ、あまりに社会に仕組みが異なるのに、制度だけ移植してもうまくはいかないといいたいのです。外国人を受け入れることなしには、日本にシリコンバレーはつくれません。もうそろそろ、何でもかんでもアメリカの例を持ち出すのはやめて、日本独自の策を見つけたいものです。日本にだって青色LEDとか光造形システムとか、画期的なイノベーションを生み出す人たちは少なくないのだから。