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(回答先: 国家破産という観点からの医療サービスの供給。(時代認識と戦略) 投稿者 hou 日時 2004 年 6 月 23 日 22:05:33)
houさん
国家破産への論点の引き戻し、ありがとうございます。
>ので、この分野に詳しそうなあなたが頭から、「企業化でのサービス改善はできない。」と否定されると米国でのデータがない小生にとっては反論がむつかしくなります。
失礼いたしました。『米国で現在進行しているような企業化では』できない。という限定付の主張のつもりでした。あなたがスレッドの最初に引かれた資料の主張を、むしろ敷衍するつもりだったのですが。
>それどころか、さらに日本医療の現状は正しいといった具合に100%否定されると自由な論を楽しめなくなる恐れがあることです。
大変失礼致しました。現在米国で行われている「持ち株会社が病院を経営する形態」の帰結を、「危険な避けるべき反面教師」と見るか、「望ましい経済活動」と見るかは人それぞれです。私は前者の立場ですが、これで「日本医療の現状は(全部?)正しい。」と主張してはおりません。なにより、断定的印象を与えるような書き方になったことをお詫びします。
ただ、医療について私見を明らかにしておいたほうが、今後の無駄が少なくなるかと思いますので、一段落だけ。
私見 医療経済の本質は生産性とは程遠い
「医療は生存権にかかることなので、存在するの需要を全て充足するべきだが、社会的な弱者の方がマスとしても切実さからいっても常に医療の需要が高い。結局のところ、公平に供給しようとすると(公平にしても?)社会的弱者につぎ込んでばかり。」 私は、医療自体は究極の消費プロセスだと思っています。「資源を投入すると、なにかプロダクトができて、それを売却してこれだけ儲けました」とは、金輪際ならない。人間自体に資源をつぎ込んでも、結局人間はみんな死んでしまう。もちろん、死ぬまでは生きていて、稼ぐ人もいる、けど、生きている間にどれだけ稼げるか斟酌して医療を供給するわけではない。高額所得者ほど保険料は高い上に、保険の赤字は税金で補填(税率は累進でお金持ちから余分に取る)で、病気するのは貧乏な人が多い、結局、お金持ちのお金をつぎ込んでいる。それでもやる、ってのは、(うそっぽいけど、)生存権の平等ってやつでしょう。医療経済の本質はこういうことだと思っています。 以上
>そして、その流れのなかで生き残り戦略をかけるには、あえてその流れに抵抗しないこと、それどころか、その流れでさらに発達する戦略こそが日本の将来に向けた取り組みとおもっています。(それは違うという方が阿修羅には多いですが。)
houさんの「生き残った日本」ってどんな国なんだろう。私としては、景気は良いに越したことはないですが、(今より貧しくなっても良いや)米国みたいな「不公正を拡大させ放題で、ぎすぎす、って軋轢の音が聞こえてきそうな競争社会」よりは、ヨーロッパ型の方がよさげに見えるんです。「地理的に」とか「これまでの流れ」でそのうち「米中」流、趨勢そっちへ行くとしても、加担したくはない。そっちにいかないで済むよう頑張りたい。
>(ですから、医療の株式制というのは一度試すに値するのです。)
私は、医療の目的は「地域の住民に、できるだけ公正に医療サービスを供給すること」と理解しております。グローバルに公正、と言えないのがつらい。この目的を達成するためには、「医療供給の株式制」は不適なシステムであるとすでに「実証されている」と認識しております。日本で再試行してもかなりの確度で結果が再現されることになると思います。
しかし医療の目的として「日本の経済?なり、企業グループをグローバルに生き残らせること」がより重要だとおっしゃるなら、こちらの目的は達成できる可能性もあると思います。
>そして悪いことに財政に占める社会保障費率が上昇しています。
>人口が減少し、供給量を増加させても反応しない経済状態をなおすには、開拓していない供給分野を探し出す必要があります。
>それが医療だとおもいます。
先にも書きましたが、医療サービスは、「シンデレラでなければ受けられない」ような限られた供給では意味がない。保険組合なり厚労は「そのようなものは保険医療の対象とするべきではない」と限定することで、マネーフローをコントロールしています。 保険組合は、お金がなくなれば高水準医療を順次保険適用外に移してゆくことになるでしょう。もちろん無保険=自由診療=全額自己負担なら、今でもシンデレラ医療といえども合法です。 非合法医療を何とかしろというのは別問題でしょう。 一方、ボトムのほうの人権レベルのサービスは飽和状態にすべきで、こちらも本質的に供給量を増加して市場が「反応する」ような代物ではない。
開拓すべき供給分野はたとえば、「現在は保健医療の対象になり得ない高額医療」を普及させるための低価格化、医療技術教育(人材開発)システムの効率化、医薬品や医療器具の改良と低価格化などは、べンチャーとしてどんどん取り組んでほしいと思います。医療、社会保障費を削減しても、実質のサービスを落とさずにやってく方法の開発には、もっともっと投資しても良いと思う。 これができる企業はグローバルに食っていけます。 ほんと、日本のカネと技術力を投入するとしたらここですよ、ここ。
>また、国家財政(健康保険)は逼迫し、ほかへ財源を当てられない状況であり、>そのような中、民間消費を活発化させるのは当然の策だとおもいます。
医療はこれまでも民間消費ではなかったのですか? 健康保険は半分ないし3分の2は組合(民間)の保険料、のこりは国の金ですから半官半民ですか? 日本の保険組合はたしかに財務や厚労の意向を反映しようとすることがありますが、本来は保険者(いつかは患者)の意思を代弁するものです。より安く水準に達した医療を安定して供給しろ!と。 もっと民意を反映する民間医療保険会社を立てますか?
houさんの「活発化させる」「民間消費」の財源が保険組合でないとすると、それは「無保険診療(必然的に高額医療)に株式会社を参入させよ。」という主張ですか? このままではペイしませんから、必然的に何らかの形で健康保険制度に食い込んでくると思います。高額納税者が専用の別の組合を作るとかという形で。(すぐ思いつくのは会員制病院ですね。)米国では民間の医療保険会社が台頭しています。当該企業は利潤を揚げるでしょうが、国(地域)全体規模で見たときには医療水準の低下とフローの停滞が起こるのです。複数の企業に競争させても同じこと。一番金出してるは一番の受益者じゃないんだもの、市場原理なんてそもそも働くわけない。完璧に受益者負担にすれば、やはり全体規模としてはフローの停滞に陥ると思います。一番需要があるところに一番金がないから。それと社会的不公正。
私、また、断定的になってますか? 反省はしてるんです。ほんとに。
>ここで、国際社会に溶け込める医療システムの開発を行えば、日本はもっと予算を自由に投資できる環境が出来上がります。
houさんのおっしゃる国際的システムが「多国籍金融資本が日本で病院を経営できる」「日本の国庫も簡保も金融機関もよその国の病院を経営できる。」というものなら、私は反対です。「誰にど(れだけ)の医療を供給するかの決定権」を、「カネを『カネを生み出す種』とみなして」マネーフローにタッチしている意思に委ねては「医療の安定供給」にとっては危険だと思う。結果はもう米国で出ている。
>それが、医療の株式会社はどうなのか?という選択肢にいたった理由です。(浅はか、と思われるかもしれませんが論評お待ちしています)
私の「株式」の理解はすでに述べたとおりで、株式会社の病院経営は危険だと思っています。国民の安寧?をねがうなら「国」の権限で禁止すべきことだと思います。国家破産をにらんで、緊縮!とおっしゃるなら、なおのこと、民間の資本にとって医療サービスの供給に参入すること自体には魅力はない。単なる小さなパイのとりあいです。 医療サービスの安定供給より資本のサバイバルだ!とおっしゃるなら、もちろん、別の結論に至るでしょう。
先に書きましたが、お金を 「おカネを生み出す種」として使うみちはちゃんとあります。医薬品や医療器具、治療法、診断法など医療技術の開発、改良。特に低価格化、人材の教育システム などなど。グローバルに保険組合(消費者=患者〜患者予備軍)や病院(小売店)が買ってくれそうな商品開発ができる企業(開業)をしてください。ぼろ儲けはなんか不公正なことをしていると思う。 資本そのものの輸出でなく、その資本で何をするのかという知恵の輸出もお願いしたい。
●いまの国家の財政は
http://www.kh-web.org/fin/
>赤字国債以外の赤字を含めると700兆円あるようです。
>(ハイパーインフレ(日銀の国債引き受けで)にしろという方もおられますが、今後は経済の質という問題も出てくるのでインフレはあっても目標値をさだめた緩やかなインフレというのが理想だとおもいます。)
可能ならば後者で願いたいものです。 ハイパーインフレでアルゼンチンという目も有りうるのですから。