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◎解放交渉は今週がヤマ場 拉致事件、1カ月
【ビシケク22日共同】キルギス南部で日本人技師拉致(らち)
事件が発生してから23日で1カ月。4人の日本人人質は無事とみ
られるが、解放のめどは依然立っていない。人権活動家アクノフ氏
とイスラム武装勢力最高指導部との非公式の人質解放交渉が今週中
にもアフガニスタンなど第三国で始まる見通しで、事件はヤマ場を
迎える。
一方で武装勢力は南部で攻勢を強めている。本音部分の解放条件
も明確でなく、早期に解決する意思があるのか真意は不明で、一層
の長期化を懸念する声も出ている。
キルギス政府は交渉解決を最優先する方針を強調するが、こう着
状態が続けば武力救出作戦もあり得るとの意見が内部で出ており、
交渉解決に残された時間は多くないとの見方もある。
アクノフ氏は、武装勢力の母体であるイスラム原理主義組織「ウ
ズベキスタン・イスラム運動」指導部との直接交渉で解放を目指す
と意欲を見せる。しかし、キルギス政府では悲観論と期待論が交錯。
「公的代表でないアクノフ氏が何か約束しても武装勢力が信じると
は思えない」(政府高官)との意見がある一方で、「良い結果をも
たらす可能性はある」と別の政府幹部は期待する。
キルギス政府は、ウズベクへの通行黙認や同国で収監中の仲間と
の交換はもちろん、身代金にも応じない方針を崩さず、交渉の落と
しどころは見えてこない。政府軍は人質の安全を重視、武装勢力へ
の本格的掃討作戦を手控えているが、同勢力はキルギス南部にある
ウズベクの飛び地領土への侵入を図るなど、政府軍との戦闘は激化
する一方。「このままでは国の安全が脅かされる」(国防省筋)と
の危機感が強まっている。軍部は武力救出作戦は策定済みと言われ、
武力解決の可能性を完全に排除する政府関係者はいない。 (了)
[共同 9月22日] ( 1999-09-22-15:08 )