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(回答先: 噛み合ってない議論ですね 投稿者 あっしら 日時 2003 年 2 月 20 日 19:50:03)
東京 2月20日(ブルームバーグ):内閣府傘下の経済社会総合研究所は20 日、「インフレ目標政策を巡って」と題したフォーラムを開催した。インフレ目標政策の提唱者である伊藤隆敏東大教授と、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、浜矩子同志社大学教授らの反対派が火花を散らした。
伊藤氏はまず「デフレは悪化しつつあり、既にデフレスパイラルが発生している」としたうえで、1)指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)購入など非伝統的な金融政策、2)インフレ目標政策により効果を早め、副作用を抑制、3)乗数効果の低い公共投資から高い公共投資へ歳出の組み替え、4)短期的な減税と中期的な増税の組み合わせ、5)不良債権の迅速な処理――といった政策パッケージの必要性を指摘した。
伊藤氏はさらに、「インフレ目標はむしろハイパーインフレを防ぐために重要だ」と強調。日銀が非正統的な政策に踏み込むことで財務が傷つく可能性があることについては、「政府(財務省)が日銀(が政府に納める)納付金を減額したり、(日銀の)債務超過を一般会計から補てんするなど、前もって保証することが重要だ」と述べた。
日銀の株買いは株式市場の死
これに対して、東短リサーチの加藤氏は「ETF購入を行っても、日銀当座預金増加という経路からの金融緩和効果は期待できない」としたうえで、「仮に日銀による大規模なETF購入によって株式市場の価格を押し上げることが可能だとしても、消費者物価指数(CPI)への影響は軽微だ」と反論。その具体例として、米NASDAQがバブルのピークだった2000年初頭と現在を比較して、CPIが横ばいであることを挙げた。
加藤氏はさらに「デフレ対策の名のもとに漫然と市場を管理相場化することは、アジアの金融センターとしての地位を放棄することになる。日銀がETFを大規模に購入していけば、やがて株式市場において日銀が最大のプレーヤーとなる。現在の短期金融市場と同じように、株式市場は死ぬだろう」と警告した。
同志社大の浜氏も「明日2%になるとだれもが一様に信じたからといって、人々は買い急ぎに走るのか。今の日本の状況で企業を設備投資ブームに駆り立てることができるのか。わたしはそうは思えない。失業率が上がり、先行きがどうなるか分からない状況で、金融政策が非正統的な領域に踏み込むことで、需要を刺激することができるのか疑問がある」と述べた。
しみ出し効果は希望的観測
浜氏はそのうえで「財政赤字というリスクが非常に大きいので、期間限定にしたうえで慎重な姿勢を要する」としながらも、「今のような状況では、財政政策で欠落している需要をつくることが、一番まともな政策だ」と述べた。
伊藤氏はETFがCPI上昇に結び付く経路について「日銀のETF購入は資産価格を上げることが目的ではない」と反論。そのうえで「日銀にETFを売って現金を持った人が外債を買うかもしれないし、再びETFを買うかもしれない。ETF購入で単にCPIに働きかけるのではなく、資産価格の上昇に期待しているのでもなく、ポートフォリオリバランス(しみ出し)効果で景気に働きかけ、それを通じて物価に働きかけることを期待している」と述べた。
これに対し、浜氏は「ETFを日銀に売って現金を持つことが景気回復に結び付くようなメカニズムがすぐに働くのか。その現金をタンスに入れておけばどうなるのか」と反論。そのうえで「人々がモノを買い、金を使うことが最大の目的だ。物価目標を設けることがそこにつながるのか」と疑問を呈した。伊藤氏が期待するポートフォリオリバランス効果については、会場からも「希望的観測過ぎる」(証券会社系研究員)という批判の声が上がった。
人事には「ノーコメント」
インフレ目標論がメディアをにぎわせていることもあって、内閣府が用意した会場は満席。1時間ほど設けられた会場からの質疑応答の時間では、途切れることなく質問が続いた。
秒読み段階に入った日銀総裁人事で、正副総裁候補として名前が挙がっている伊藤氏は「デフレからの脱却が遅れれば遅れるほど、その後の混乱が大きくなる。2年前にインフレ目標を導入していればもっと混乱が小さかったはずだ。デフレ克服が3年後になれば、もっと混乱が大きくなる恐れがある。デフレの克服が遅れれば遅れるほど、最後は破局的な状況になる」と警告。
「日銀総裁になったら何をするのか」という会場からの質問には「人事には全くコメントできないし、仮定の話にはコメントできない」と慎重な発言に終始した。
東京 日高 正裕 Masahiro Hidaka