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“無能”政府と“思考停止”メディアが織りなす「日朝交渉」 − この国が崩壊していくのも不思議ではない − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 31 日 19:37:02:

この29日と30日に「日朝国交正常化交渉」がクアラルンプールで開催された。
日本側は、「拉致問題」と「核開発問題」を中心議題として交渉に臨んだとされる。

予め、中心テーマとなっている二つの問題に関する見解を簡単に示す。

「拉致問題」については原状回復が原則であり、死亡などで原状回復ができない被害者についてはそうなった経緯が明確に示さなければならないと考えている。

「核開発問題」は、北朝鮮が調印批准している国際条約と合意した多国間協議に則って処理されなければならないと考えている。


クアラルンプールの「日朝国交正常化交渉」が不調に終わった原因は、一時帰国中の5人の残る家族の帰国をめぐる対立とされている。
日本側は、北朝鮮に一時帰国者はこのまま永住帰国させるので残っている家族を早急に帰国させるよう要求し、北朝鮮側は、5人は2週間ほどの一時帰国という約束だったのだから約束を遵守するよう求めたようである。

日本政府は、一時帰国した5人を当初は2週間ほどで帰国させるつもりだったが、曽我さんを除く4人の家族や“世論”に応えるかたちで永住帰国に切り替えた。

永住帰国を決定した基礎は、拉致という犯罪行為で北朝鮮に連れ去られたのだから、どういう名目で帰国したとしたとしても、日本政府は自国民の保護を行う権利と義務があるというものだろう。
そして、これは、曽我さんを除く4人の家族の「北朝鮮に戻ったら、二度と帰ってこれない可能性が高い」という危惧に応えたものである。

拉致被害者の家族がそう訴える気持ちもわかるし、TVや新聞を通じて知る家族の方々の発言内容もそのまま理解できる。

しかし、日本政府が一時帰国した5人を永住帰国に切り替えた判断については、交渉能力を欠如させた愚かなものだと考えている。

「拉致問題」のなかの生存者についての第一段階の解決は原状回復だから、5人は日本に戻してもらわなければならないし、それが実現しないまま正常化交渉は進められない。
日朝が5人の一時帰国で合意した背景にはこういう思いもあったと推測する。

ここで重要なのは、日本の外交当局も「5人は一時帰国」ということで合意した事実である。5人を永住帰国とする切り替えは、国家間の交渉で合意した約束なのである。

このような論に対しては、北朝鮮の国家犯罪によって拉致されたことが発端なのだから、5人の処遇について北朝鮮が約束を楯にケチを付けるのは筋違いだという反論が予想される。

もっと過激な人は、「犯罪国家」であり「カルト国家」であり「危険な独裁国家」である北朝鮮に約束という言葉は不適格と言うのかもしれない。

しかし、冷静に考えればすぐにわかるように、そのような論は、9・17のピョンヤン宣言で「日朝国交正常化」をめざした交渉を行うことに合意している事実を無視しているのみならず、北朝鮮に5人の家族が残されているという現実を無視したものと言わざるを得ない。

“約束”が守られないと考えている相手と交渉すること自体が倒錯である。しかし、政府は交渉を継続する意思を示しており、「読売新聞」をはじめとする各新聞社も、社説で原則を堅持した立場での日朝交渉を訴えている。
ある問題については“約束”を反古にしても当然だと主張し、その他の問題では、“約束”に向けた交渉を行おうとしているのである。

北朝鮮側に立てば、5人の一時帰国という“約束”を反故にしようとしている日本政府は、交渉で合意した内容をきちんと履行するかどうかわからないという疑心暗鬼を持ってもおかしくない。
そして、いったん“約束違反”を容認すればその後もそのような事態が頻発する可能性があると考え、とにかく“約束”を履行するよう迫るはずである。
本音はわからないが、5人が一時帰国を終えて北朝鮮に戻ってきたら、本人達の意向に沿って家族揃っての永住帰国を考えているとしても、“約束違反”で5人が戻ってこない状態で「じゃあ、子供たちは段取りを終わったら日本に行けるようにしよう」とはならないのである。

このような論に対しては、北朝鮮は崩壊の危機にあり日本の経済協力がのどから手が出るほど欲しいのだから、強気で交渉すれば向こうが折れるはずだという反論が予想される。
北朝鮮が日本の経済援助をのどから手が出るほど望んでいるのは事実だが、“約束違反”を認めたまま合意してもそれが履行されるかどうか定かではないと考えるだろうし、日本以上に国家のメンツにこだわる北朝鮮が膝を屈してまで経済援助を得ようとすることもないだろう。
北朝鮮の崩壊は韓国や中国にとって大問題であり、両国は、北朝鮮の崩壊を防げる程度の経済支援は行う。そのほうが、難民が大量に流入するよりはコストが安いからである。

日本政府の決定やメディアの主張は、生存拉致被害者5人のことを尊重しているかのように錯覚しているか装いながら、その実は5人を置き去りにしたあまりにもデタラメなものである。

「拉致問題」の解決は原状回復が原則だとしても、日本政府やメディアは、四半世紀もの長い年月が経過し、彼の地で生活基盤を築き成人した子供までいるという現実を軽視している。
これもまた本音はわからないが、帰国する前の5人に「日本に戻ったらそのまま永住することになるが行くかい」と問いかけたら、「子供達も一緒だったらいいが、自分たちだけだったら行かない」という答えだったのではないかと推察する。
とりわけ、配偶者が逃亡米兵である曽我さんは、「夫は日本に行けば拘束されて米国に引き渡されるから、家族一緒でもイヤだ」ということになるだろう。

じゃあどうすればいいんだということになる。

4人の家族には事情をきちんと説明して、“約束”を守るかたちで5人を北朝鮮に戻ってもらう。北朝鮮に戻った5人の処遇が心配ならば、安部官房副長官他外務省担当者数名を監視役として同行させればいい。
その後交渉して、5人の家族をこの問題で中立的な国家に移動して、制約がない状態で今後どうしたいのか意向を聞けるようにする。そして、日本に永住帰国したい家族はそのまま日本に戻り、北朝鮮で生活を続けたい家族はそのまま北朝鮮に戻る。(曽我さんの配偶者の安全も保証されなければならないだろう)

もっといいアイデアもあるだろうが、このようなシナリを考えている。


「拉致問題」の生存者に関しては、

● 日朝国交正常化をめざし交渉を行う
● 北朝鮮とは交渉しない
● 拉致被害者残存家族の救出作戦を行う

の三つしか選択肢はない。

「日朝国交正常化をめざし交渉を行う」というのなら、約束を遵守しながら、5人の意向が満たされる解決策の合意にこぎつけるしかない。

「北朝鮮とは交渉しない」というのなら、日本に戻ってきた5人のみを永住させ、家族ばらばらになることをやむを得ないことだとしなければならない。また、死亡されたとする8人の方々の正確な情報を得ることも断念しなければならない。

「拉致被害者残存家族の救出作戦を行う」というのなら、北朝鮮との戦争を覚悟しなければならない。それで、救出がうまくいったり、5人の意向が満足されるという保証はないが。


※ 追記

北朝鮮を「犯罪国家」・「カルト国家」・「危険な独裁国家」と認識している人が、昨年末の「撃沈不審船」を北朝鮮の工作船だと信じているのも不可解である。
海底資源や海中資源に対しては排他的経済権益を主張できるが、軍艦や情報収集船であっても、そこでの航行は公海と同等にできるのがEEZ(排他的経済水域)である。

日本の海上保安庁の砲撃で撃沈した当日に15人ほどの死亡が確認され、2月末に2人の遺体が見つかり、引き揚げられた船から7人の遺体が収容されている。
合計すれば、24名の北朝鮮人が自由航行海域で日本政府の手で殺されたことになる。

北朝鮮政府は、それでも、「拉致問題」に対抗するかたちで「工作船撃沈24名虐殺問題」を取り上げることさえしていない。

「撃沈不審船」が北朝鮮工作船だと今なお考えている人には、「北朝鮮は、工作活動の非を認め、自由航行海域で撃沈されて24名が殺されても、日本政府に対して非難も補償要求もしない軟弱で穏健な国家」と認識を改めることをお奨めする。


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【日朝国交正常化関連参考書き込み】

『あまりにも“雑”であまりにも“政治的”合意』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/204.html

『素朴な推測です』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/273.html

『いくつかの質問への回答』
http://www.asyura.com/2002/war16/msg/323.html

『「田中外相“解任”」→「八尾恵さん“拉致告白”」→「9・4“不審船騒動”」→「9・17日朝合意」』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/245.html

『早見さん、小泉首相は米国政権の指示で訪朝したのですよ』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/199.html

『「日朝国交正常化交渉」の今後を占う − 既合意内容がリプレイされる“茶番劇” −』
http://www.asyura.com/2002/bd20/msg/597.html

『「北朝鮮の核開発継続発言」の流布は米国政権のシナリオ通り!! − 日朝国交正常化交渉は加速化する −』
http://www.asyura.com/2002/war17/msg/397.html

『日本に負担を押し付ける“食い逃げ”ブッシュ政権 − 重油とKEDO分担金を支払うべし −』
http://www.asyura.com/2002/war17/msg/514.html

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