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ドイツの音楽はドイツの真空管アンプで聴こうよ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/698.html
投稿者 中川隆 日時 2017 年 4 月 10 日 19:58:06: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

バッハ 無伴奏 Klangfilm-Siemens KL-V502 with KLL405 - YouTube 動画
https://www.youtube.com/watch?v=ef1PswrcEOk

RFT PB3060 Lautsprecher mit siemens verstärker
https://www.youtube.com/watch?v=zu8IMCpAJL8

Klangfilm 42006+402 FC SPEAKER
http://www.youtube.com/watch?v=UsJRVwdHbHE

Klangfilm/Siemens Smf V3b with 14a マーラー 交響曲9番
http://www.youtube.com/watch?v=YAunKObnr3U

Klangfilm - YouTube 動画
https://www.youtube.com/results?search_query=Klangfilm

eurodyn - YouTube
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%B3
https://www.youtube.com/results?search_query=eurodyn+

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クラングフィルムのアンプ(戦前編)
http://www.klang.jp/index.php?ci=10392&i=10398

クラングフィルムのアンプ(戦後編)
http://www.klang.jp/index.php?ci=10392&i=10399

楽鳴舎 アンプ 新入荷案内
http://rakumeischa.cocolog-nifty.com/audiotubes/cat23188059/index.html

楽鳴舎 レコード・コンサート 情報
http://rakumeischa.cocolog-nifty.com/audiotubes/cat23820407/index.html

クラング・クンスト KLANGの会
クラングフィルムのスピーカーや真空管アンプなどを聴く集会を毎年1回行ないます
http://www.klang.jp/index.php?ci=10420

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オーディオ仲間の新年会でWE252A〜Edまで真空管聴きくらべ


2010年1月9日に行った、地元長野県を中心とするオーディオ仲間の新年会として行われた「真空管聴きくらべ」のレポートです。


上段左から 210、250、WE300B、WE252A、PX25、DA30

下段左から RE604、LK460、Eb、AD1、Ed新、Ed旧、RV258旧、RV258新、RV239


写真は当日聴いた真空管のうち、わたしが用意したもので、このほかに、

45、71A、WE252Aプリント、WE275Aナス管、4300B、AD1直管、ValvoのEd

を聴きました。ウエスタン・エレクトリックの各種丸管など、さらに多数の真空管を用意してあったのですが、途中で「このままでは肝心のドイツ球にたどり着けない」ということになってしまい、以上の真空管を聴きました。

アンプはバラック作りのユニバーサル機で、6SN7パラレル1段によるトランス・ドライブ、半固定バイアス、直流安定化電源、そして出力トランスはU808という構成でした。

お世辞にも立派なアンプとはいえませんが、これといった見どころが無い代わりに、最近の高性能トランスを使ったアンプのような個性も無く、球の違いがストレートに聴き取れました。

音源は某メーカーの音質評価用CD、スピーカーは Europa Junior KL43004 でした。

意外かもしれませんが、Europa Junior はとなりにあった フィールドの Eurodyn 以上に明瞭、かつ正確に真空管の音のちがいを表現し、比較には最適なスピーカーでした。


はじめに聴いた45は、まさしく中庸で癖のない音でした。意外にひ弱でなくて45と大差の無かった71Aに対し、210は色彩を控えた古風な音で個性的に聴こえました。250もややモノトーンながら、厚みがあって魅力的でした。なお、45と71Aのみ、別のアンプで聴き、続けて71Aを試聴アンプでも聴きました。

ここでおなじみの WE300B をリファレンスとして聴きました。写真では不鮮明ですが、3桁シリアルの1950年代のオールド球でした。繊細でありながら厚みがあって悪い音ではないのですが、ありふれているためか、みなさんの印象は薄いようでした。続いてWE252Aの刻印にしたところ、250をウェスタン風にカラフルにしたような魅力的な音に、みなさんの表情が変わり、「いいね」といった声が数人から出ました。プリントのWE252Aに換えてみると、刻印よりも少しだけ薄味ながら同様にすばらしい音でした。

このあたりで「このペースでは時間が足りない」ということになって、WE275A のナス管でウエスタンを締めくくることにしました。WE300Bを引き締めたような音で、みなさん好ましく感じていました。

ここからイギリス球で、スタートは4300Bでした。300Bを透明で格調高くした雰囲気の音を聴いたみなさんは、オーナー氏の「WE300Bより良い」という説明に納得していました。続いてはDA30で、1本目がエミッションが出ないというトラブルに見舞われましたが、2本目はこれまでの真空管とは格のちがう、スケールの大きさと繊細さを兼ね備えた音を出してくれました。音の色付けの少なさと低域の明瞭さでも優れていました。続いてはPX25で、予想どおりDA30に近い音色でしたが、若干伸びの無い感じで、全体的な印象は思ったよりも異なりました。

ここで宴席に移動してネパール料理を食べたあと、いよいよドイツ球を聴くことになりました。まずはRE604の真鍮ピンで、初期の球です。RE604にはさらに古いトップシールの球もあるそうですが、現物を見たことはありません。イギリス球はアメリカ球に比べて伸びやかな傾向がありますが、ドイツ球はそれに加えて色彩感と厚みがあるように感じます。45よりも鮮明な音でした。つぎのLK460はRE604を少し地味でソフトにした感じで、悪くありませんでした。

中型管に移って直管の Klangfilm のAD1(製造は Valvo)を聴いたところ、これまでのどの真空管とも明らかに違う音でした。みなさんしきりに「透明で癖が無い」と溜息のような感想を漏らしていましたが、そんなに癖が無いと感じるということは、逆説的に個性が強いということになるのでしょうか?そのつぎはValvoのEbで、これぞドイツという感じの厚みがあって雄大な音は、じつに魅力的でした。

AD1は写真のように即席のRV258型ソケット用アダプターを付けて聴きました。Ebよりも引き締まった、緻密な音でした。続くEdシリーズも同様なアダプターで聴きました。ValvoのEdは、たった1本なので確証はありませんが、内部構造、特性、そして音もEbと同じでした。Siemensの新型Edは、これまで聴いた古い球に比べると少し硬質な音で、「やっぱり新しい球の音だ」と、みなさんの評判は良くありませんでした。それに比べて旧型のEdは、EbとTelefunkenのAD1の中間くらいのバランスの良い音でした。ただ、音自体には高価なこの真空管を買うだけのメリットは感じられませんでした。

最後は大型管シリーズで、はじめの旧型RV258は少し硬い音でしたが、「低域がとても良い」という意見がありました。つぎの新型RV258は旧型とは異なって、色彩が豊かに感じられるのに、落ち着きのある魅力的な音でした。最後はバイアスの深いRV239でしたが、PX25とDA30のような差は感じられず、RV258の新型とよく似ていました。深夜0時までかかってドイツ球を聴き終わり、楽しい新年会は幕となりました。

さて、新年会と同じくこの記事も長くなってしまいましたが、みなさんの評価を大雑把に集計すると、直管のAD1が1番、新型RV258が2番、3番以降は意見がまとまらず、といったところでした。45系といえるRE604やLK460と45自身、(一枚プレートの)2A3系といえる300Bや275AとAD1やEdなど、製造国による傾向のちがいを越えた、共通するニュアンスを聴き取れたのも収穫でした。レンズでいえば45〜RE604系がコントラストが良くて明解なテッサー型なら、300B〜AD1系が繊細で解像度の高いガウス型といったところでしょうか。

もちろん、このような短時間の試聴で各真空管の本質的な音が理解できるはずもありませんし、1本だけのサンプルでは不正確でしょうが、ふだんから「どの球を買うべきか?」「どの球でアンプを作るべきか?」と悩める参加者のみなさんは、とても真剣に聴いておられました。もっとも、真空管による音のちがいなんて、アンプ全体からすれば一つの要素に過ぎないのですが、ついつい夢中になってしまった新年会でした。
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=14482&i=14485

真空管聴きくらべパートII(RV258, RV239 編)2010年5月16日

新年会の真空管聴きくらべで好評だった RV258 系の真空管について、第2ラウンドの試聴会を行いましたのでご報告します。

参加者は会場の都合で突然中止になった、サウンドパーツさんのイベントから流れて来たみなさんです。米国系〜英国系で遍歴を重ね、WE300A や DA30 などの主要球を所有する大ベテランの諸氏ですが、ここに来てドイツ系の球へと切り替えつつあります。


左から古い順に並べた RV258 と P41/800


RV258 は1928年に登場したとされる TELEFUNKEN 製の球です。

古い設計なので、プレート電圧が 700 〜 800 V と高いものの、フィラメントが 7.2 V 1.1 A で 7.9 W なのに対して出力 10 W と、非常に効率が良い球です。グリッド・バイアスも -70 〜 -80 V とちょうど良いレベルで、価格も Ed や Da などのポスト・チューブや AD1 系の球に比べれば安く、とても実用的です。

R は真空管を、V は増幅器を表しますので、RV は増幅器用の真空管という意味になります。RS237 などの RS が通信用の真空管なのに対し、RV が本来のオーディオ管というのは使っていて気分が良いものです。じっさい、211系などの送信管よりも素性の良さを感じます。

300Bが実際のオーディオ用途でそれほど使われなかったのに対し、プロ用の大出力アンプで大成功を納めた RV258/RV239 は、戦前・戦中のドイツ球にしては数多く現存していますが、さすがに最近は入手が難しくなってきました。


RV258 の音は一言でいうとニュートラルです。初期の直熱3極管全般の明るく澄んだ音色に通じるところがり、特別にドイツの音だ!というほどの個性はありません。パワーに余裕があることもあって、音楽のジャンルを選ばない万能選手といえる球です。

AD1 や Ed のように暗いフィラメントの球とはちがって、明るいトリア・コートのタングステン・フィラメントなのが良いのかもしれません。いっぽう、パワーがあっても大型送信管のような鈍い音ではなく、210/VT25 のように古風な音でもありません。ニュートラルなのですが、RV258 を聴いたあとだと、ほかの球はつまらない音に感じてしまうことが多いから不思議です。


試聴は新年会と同じ 6SN7 パラレル+結合トランスのバラック・アンプに EUROPA JUNIOR で行いました。

初めはシリーズIの球で1930年4月の製造でした。TELEFUNKEN のこの系統の球には、エッチングで製造月年の表示があるので、正確な年月がわかります。最古のシリーズという先入観のためか、みなさんは少し渋めの音に感じたようです。もちろん、同じ RV258 の音のなかでの微妙な差ですし、こちらのほうが柔らかくてシリーズIII以後の球より聴きやすいという感想もありました。

2本目はシリーズIIで、1930年10月の製造でした。シリーズIIはIとほぼ同じ構造で、プレートもこの2本は同じ茶色で、シリーズIII以降の灰色とは異なります。また、電極の支持方法が少しだけ改良されています。このプレートの茶色は、純粋なニッケルを高温炉で酸化させたときの色ですので、コーティングなども無い単純なニッケルのプレートかもしれません。音もシリーズIとほとんど同じでした。

3本目はシリーズIIIで、1931年8月の製造でした。プレートの色が変わったということは、材質か表面仕上げが変わったということです。そのせいか音も変わって、非常に良いバランスです。これといった癖もなく、ニュートラルに感じました。

4本目はシリーズIVで、1932年9月の製造でした。ここまでの製造年月はわずか2年ほどで、ごく短期間に改良が進められたことになります。シリーズIIIとの違いはやはり電極の支持方法で、頂部に大きなマイカが使われるようになりました。正直なところ、わたしにはシリーズIIIとIVの間には、ほとんど音の差が無いように感じられました。


プッシュプル用に4本揃えるのは困難になりつつある RV258IV

5本目もシリーズIVですが、ベースが黒から白に変わっています。1934年7月の製造でした。シリーズIVは長期間製造されていて現存する本数も多いので、これがメジャーなモデルということになります。黒ベースのシリーズIIIとIVの差がほとんど無かったのに反して、同じシリーズIVどうしなのに、黒ベースと白ベースでは明らかな差がありました。1本だけでは個体差かも?ということになりますが、写真の物も含めて黒白ともに4本づつあって、この差は明らかでした。ベースの色のように、少し現代的でワイドレンジに感じました。ベースの材質は黒が真鍮、白がアルミです。

6本目はシリーズVで、1940年5月の製造でした。シリーズVになってようやく、1920年代の名残をとどめるトップシールから普通の形状に変わります。ここから戦中の球になりますが、作りはしっかりしており、けっして粗悪品ではありません。音も白ベースのシリーズIVに少しだけ艶を乗せた印象で魅力的でした。

7本目はシリーズVIで、1943年4月の製造でした。大戦が激化したこのころになると、わずかに品質が落ちているように見えますが、シリーズVの音にしっとりとした落ち着きを加えた聴きやすい音で、けっして悪くありませんでした。人によってはもう少しスッキリしたほうが良いと思うかもしれませんが、個人的には一番好きな音かもしれません。

8本目はシリーズVIIで、1952年9月の製造でした。これだけが戦後の球で、構造もかなり変わっています。とくに、プレートの断面が楕円形から8角形になっていて、かなり異なる印象を受ける外観です。品質は非常に高く見えます。音もガラリとちがう雰囲気で、ちょうど新型 Ed の音が旧型 Ed や AD1 よりも良くいえば明瞭で鮮やか、悪くいえば硬くて上ずり気味なのと同様でした。わたしたちの言葉では「新しい球の音」ということになりますが、もちろん微妙な差ですので、この新型管の個性がちょうど良いスパイスになることも多いでしょう。

最後はタングスラム製の RV258 である Tungsram P41/800でした。概観は金色の真鍮ベースに大きな ST管が乗ったような独特の形です。また、この球は普通の酸化物コート・フィラメントで(トリアも酸化トリウムですが)、プレートの形状も含めてナス管の PX25 に近い構造のせいか、音も普通の真空管に近い印象でした。


点灯中の RV258IV(抵抗はヒーターON時のラッシュ・カレント防止用)

以上の結果から、RV258 はどのシリーズも優れた球であって、300B のように製造年代が古いほうが良いということもなく、どれを購入しても損は無いといえます。

シリーズIとII、およびIIIとIVは見た目も音も差が小さいので、ペアで使っても良いと思います。また、シリーズVとVIのペアも許容範囲だと思いますが、シリーズVIIをVI以前とペアにするのは厳しい気がします。

その後、II、IV、VIと偶数シリーズの RV239 も聴きましたが、同じシリーズの RV258 と共通する特徴が聞き取れました。もっとも、同じシリーズなら構造や材質が同じで、ちがうのはグリッド巻き線のピッチだけですから、当然の結果といえます。

また、RV239 は RV258 よりも内部抵抗が若干低いことが音にも表れますが、PX25 と DA30 のような明らかな優劣はなく、-150 〜 -180 V とバイアスの深い RV239 で増幅段が1段増えるばあいには、かえって RV258 のほうが良い音になってしまうかもしれません。
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=14482&i=18086  

 

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コメント
 
1. 中川隆[7640] koaQ7Jey 2017年4月10日 20:08:11 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8127]
上のリンクだけ貼り直します:


【第1話】オーディオ仲間の新年会でWE252A〜Edまで真空管聴きくらべ
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10139&i=10210

・上段左から 210、250、WE300B、WE252A、PX25、DA30
・下段左から RE604、LK460、Eb、AD1、Ed新、Ed旧、RV258旧、RV258新、RV239
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10210_801.jpg


【第3話】真空管聴きくらべパートII(RV258, RV239 編)
http://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10139&i=10212

左から古い順に並べた RV258 と P41/800
http://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10212_801.jpg


2. 中川隆[7642] koaQ7Jey 2017年4月11日 07:02:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8129]

ハイエンド・スピーカーの世界 _ クラングフィルムのスピーカー
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/697.html#c18

ドイツの真空管 1 _ RV258
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/463.html


3. 中川隆[7643] koaQ7Jey 2017年4月11日 07:14:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8130]

ラジカセでクラシックを聴いている清貧の音楽ファンには音楽はわからない
_ スタインウェイとベーゼンドルファーの弾き比べ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/435.html#c3

ドイツの音とは何か?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/447.html

ブラームス最晩年のクラリネット曲に秘められたメッセージとは
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/434.html

バッハ シャコンヌを聴く
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/438.html

YouTube で聴くシャコンヌの名盤
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/439.html

モーツァルト 魔笛 ・ドン・ジョヴァンニ を聴く
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/559.html

作曲家フルトヴェングラーとは何であったのか?_宇野功芳 樂に寄す
http://www.asyura2.com/09/reki02/msg/482.html

宇野功芳 ブルーノ・ワルターと我が音楽人生
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/529.html  

あのバックハウスがラフマニノフやモシュコフスキを弾いていた!
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/696.html

ベートーヴェンの真実 _ ベートーヴェンは何故お金に困る様になったのか?
http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/569.html

プフィッツナーを聴く
http://www.asyura2.com/13/ban6/msg/417.html


4. 中川隆[7644] koaQ7Jey 2017年4月11日 07:18:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8131]

ヨウラ・ギュラーを発見 _ ベートーヴェン:ピアノソナタ32番 弾き比べ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/433.html#c1

5. 中川隆[7645] koaQ7Jey 2017年4月11日 07:56:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8132]

クラシックの核心 片山 杜秀 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%A0%B8%E5%BF%83-%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%B0%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%81%BE%E3%81%A7-%E7%89%87%E5%B1%B1-%E6%9D%9C%E7%A7%80/dp/4309274781


「フルトヴェングラー」の章では「音は悪くてかまわない」と、小見出しがあって次のような記述があった。(137頁)

「1970年代以降、マーラーの人気を押し上げた要因の一つは音響機器の発展があずかって大きいが、フルトヴェングラーに限っては解像度の低い音、つまり『音がだんごになって』聴こえることが重要だ。

フルトヴェングラーの求めていたサウンドは、解析可能な音ではなくて分離不能な有機的な音、いわばオーケストラのすべての楽器が溶け合って、一つの音の塊りとなって聴こえる、いわばドイツの森のような鬱蒼としたサウンドだ。したがって彼にはSP時代の音質が合っている。」

オーディオ的にみて興味のある話で、そういえば明晰な音を出すのが得意の我が家の JBLシステムでフルトヴェングラーをまったく聴く気にならないのもそういうところに原因があるのかもしれない。

通常「いい音」とされているのは、端的に言えば

「分解能があって奥行き感のある音」

が通り相場だが、指揮者や演奏家によっては、そういう音が必ずしもベストとは限らないわけで、そういう意味ではその昔、中低音域の「ぼやけた音」が不満で遠ざけたタンノイさんだが、逆に捨てがたい味があるのかもしれないと思った。

「いい音とは」について、改めて考えさせられた。
http://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/9426791e31fc7636d184b63f894b6d3f


6. 中川隆[7646] koaQ7Jey 2017年4月11日 08:00:25 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8133]

AD-1アンプの調整を続けている間は、久しぶりにZeissのアンプを繋ぎました。

さて、これが何とも色気と風格(あるいは古格)のある音で、確かにシングル三極管の爽やかさや切れの良さも捨てがたいものはありますが、長年現場で評価を得てきた名器の色香にすっかり酔わされてしまいました。


このアンプは1950年頃の製造と思われますが、使われている部品は当時の最高級のモノがフンダンに投入されており、半世紀を過ぎた今でも交換すべき部品はカソードのバイパスCが5個(2台で)だけでした。

夏頃に、前段のカソードから取り出すところのコンデンサが抜けているようでしたので、間に合わせの部品を取り付けつつ、純正の部品を取り寄せておりました。

今日は音の良さに気を良くしてこのコンデンサの交換に及びます。
http://blog-imgs-38.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC02559.jpg

本来の規格は4μFですが、同じものが無く、2μFのキャンタイプに2.2μFのチューブラーを足して使っていました。

なんだか、もっさりとした音で、Zeissらしい都会的な感じが出なかった。

そして・・
http://blog-imgs-38.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC02561.jpg


こちらがBoschの4μF MPコンデンサ。やっぱりスッキリと収まりがいい。
アンプ好きは、こんな肢体を見ただけで感動したり、素晴らしい音を想像できる類稀な(おめでたいとも言う)人種ですね

もう1枚、あまり見ることの無い、プリアンプの写真を載せておきます。
http://blog-imgs-38.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC02565.jpg


これもカッコいいなあ。
RIAAも取れるそうなんですが、怖くて(ノイズが)触れたことがありません。老後の楽しみに取っておきましょう。
http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-119.html

ドイツのアンプの音を特徴付けている MPコンデンサ
http://blog-imgs-30.fc2.com/k/a/o/kaorin27/DSC02242.jpg

写真上がSIEMENSのもの。右はRFTのアンプで使われていた抵抗です。左はある人が「ドイツのアンプの音を特徴付けている」と言っていたMPコンデンサです。


今回の一件は私に、以前、遠来の客人に訪ねて頂いた時のことを思い出させました。その時は、Zeissのアンプに不備があり低音が薄く、高音で刺激的な音が出ていたと思います。遠路来て頂き、全く申し訳ないことをしたと今思い出しても赤面の至りです。

その方は、所謂「凄耳」といえるタイプの方で、帰りしなに、控えめにアンプの不備を指摘され(凄すぎる!)

「300Bを使ったアンプなどいかがだろうか」

とご提案を頂きました。大人の振る舞いと、的確なご指摘に深く感謝をしましたが、当面アンプを代える心算も、経済的余裕もありませんでした。そして、今回の抵抗事件でその時の自分の気持ちがはっきりしたように思います。


バイオリンを例に取ると、教育を受けた先生の系列でボウイングの仕方に個性があるように感じます。ドイツではK・フレッシュやクーレンカンプに代表されるような、高音が若干丸くなる、というかくすんだ感じを受けます。

オーケストラになってもその個性は発揮され、各地域の楽団の特徴を形作っているようです。

英国のオケのバイオリンは「サーーー」と流れるように弾かれます。
(しかし近年、地球が狭くなりオケの個性が消えたと嘆かれています。なんとウィーンフィルに女性がいた!!!)

今回米国の抵抗から、ドイツの抵抗に換えたことでドイツのボウイングの音を取り戻すことになりました。

確かに、300B(知人のご指名は WE91B アンプ)はたいそう立派なアンプで、その素晴らしさは充分に存じております。我が家の幾つかあるアンプよりも、多くの面で勝っているかもしれません。

しかしながら、どれ程素晴らしい「音」に成ったとしても、バンベルグ響のボウイングが英国や米国、その他の地域の楽団のように聴こえてしまっては、私にとってはとても困ったことになってしまいます。


私は、一流の社の物であれば、部品や製品に優劣は無いと思っています。
使う人間が何を求めるかによって、選択をするだけのことです。

「A」という製品はずば抜けて良い。などという表現は全くおかしなことで、
「B」から「A」に代えることによって、得る物もありますが同じだけ失う物もあることを知らなければなりません。

ドイツの抵抗に変えることによって、金属の強さを得た代わりに木目の暖かさを失ったのです。

米国の抵抗が劣っているのでも、優れているのでもなく、私の個性が逆の物を選択したに過ぎません。

オーディオのマーケットやジャーナリズムに溢れている「最高」や「理論的に優れている」という台詞に振り回されてはいけません。以前は自身がそちら側にいたことに自戒の念も含めて書き止めておきます。
http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-98.html


7. 中川隆[7647] koaQ7Jey 2017年4月11日 08:19:41 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8134]


2012.12.13
やはり、ヨーロッパの装置で聴けるクラシックというのは、アメリカの装置で聴くクラシックとは何かが違っている。ほとんど苦労しないで、ちゃんとクラシックが聴けるというところで、最初から全くレベルが違う。

アメリカ製品を使い始めて、濃厚な感じにどっぷりと嵌ってきたので、久々にこういう音を聴くと、こっちも必要だと思うようになった。

最初はちょっと物足りない感じがしたが、次第にこの方が正しいのじゃないか?と思い始めた。

前に、ムジークフェラインの1階のど真ん中で聴いたときに、ずいぶんと物足りなさを感じた。

ああ、実際は、こんな音だったんだ・・・と思ったのを覚えている。

どこから音がとんできているのか、さっぱりわからないくらいに、音がブレンドされまくっていて、その響きがまさにムジークフェラインのホールの特質というか、美点というのか、だろう。

オーディオで聴くような、セパレーションの良い音なんて、全くのウソっぱちだった。

じゃー、アメリカの音響製品は、ウソっぽいのか?ということになる。

デフォルメされた音、メリハリのきいた音は、面白くないかというと、ものすごく面白く感じるわけで、実際の音に迫る必要がないというところに立てば、全くのエンターテイメントであっていいわけで。

そこらへんは、マッキンアンプは実に上手いと思う。
家庭での音楽の楽しみ方というものを、実に上手く提示してくれる。
それは全くのウソっぱちの音だとしても。
http://blogs.yahoo.co.jp/gonta4350a/MYBLOG/yblog.html?m=lc&p=2




8. 中川隆[7677] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:21:06 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8165]

昔のエレクトロボイスはドイツのスピーカーに近い音

 フルレンジスピーカーでは、私の所有しているのは米Electro Voice社のSP8Bという20cmユニットをBaronetというコーナー型バックロードホーンに納めている。

当時のエレクトロボイス社はPatricianという4wayシステムを筆頭にHi-Fi再生の先端を行っており、アメリカ製でクラシック再生ではトップを行くメーカーと考えていいと思う。

一方で、Baronetのような小型システムでは、小音量で快適に聴けるように高域の扱いを変えていて、SP8Bはアメリカ製では珍しくダブルコーンを使い4〜8kHzを持ち上げている。これはテープ録音がドイツから移入された初期の、Hi-Fiらしさを演出する工夫であり、このことが1950年代の家庭用システムを知る鍵であるように思われる。

これと同じ傾向の音では、サブコーンが付いたイギリスのLowther PM6、最近の製品ではイタリアのSICA社のPA用フルレンジも同様の特性を持っている。

 アメリカンを絵で描いたようなエレクトロボイス社のSP8Bの特性をみて、気になっていたことがある。それは例の2〜8kHzまで続くトサカで、もしやドイツ系スピーカーのトーンと近いのでは、と睨んだ。

1970年代までのドイツのオーディオは、ごく一部の業務用を除いて、ジャーマン・サウンドと呼ばれる強力な中高域を好む傾向があった。その歴史は深く、電気録音の始まった1920年代から続く由緒あるもので、逆にいえば明瞭でカッチリした音の正体は、このトサカのようにかぶっている中高域の強さにある。

同じ傾向のサウンドには、ノイズ検聴用に中高域を強めたBeyerdynamics社のDT48型ヘッドホンがあり、こちらは1937年からモニター用に使われ、Nagra社のテープレコーダーのデフォルト機としても長らく使われていた。

 エレクトロボイス社は創立時から本業はPA機器であり、明瞭な音響のための最適なイコライジングについて独自の見解をもっていた。1950年代まではベル研究所が研究したラウドネス・カーブを土台としてスピーカーが開発されており、

Jensen、Altec、JBLなどのフルレンジはどれも2.5kHzにピークを持つ特性であった。

一方で1950年代にHi-Fi用スピーカーを手がけたエレクトロボイス社は、カタログに独自の音響理論を展開し、Regency II のカタログでは放送録音のテクニックで3〜6kHz以上を持ち上げることを紹介している。

実はこれこそが、テープ録音と共ににドイツから輸入された音響特性なのだ。
http://quwa.fc2web.com/Audio-105.html#deutche
http://quwa.fc2web.com/Audio-103.html

Electro-Voice SP8B \18,500(1970年頃)

GEORGIANにも採用された20cmコーン型フルレンジユニット。

20cmコーン型ユニット

周波数特性 35Hz〜15kHz

クロスオーバー周波数 4.5kHz
http://audio-heritage.jp/ELECTROVOICE/unit/sp8b.html

KD7キットの言葉を借りると

「Baronetはその名のとおり、Hi-Fiスピーカー用のエンクロージャーとして、小さなアパート、子ども部屋、避暑地の別荘など、重たく嵩張るものが歓迎されないどの場所でも良質な音楽の要求に応えます。

Baronetの造りは大きな容積のエンクロージャーではありませんが、再生音の高忠実性と周波数特性を犠牲にしません」


とある。当時の量販店の広告にも「省スペース(Space Saver)システム」という文字が躍るほどで、ミニマムなオーディオ・システムとしてBaronetは注目を浴びていた。

エレクトロボイス社のカタログには"for Close Lisning"と書いてあり、ややモニター的な聴き方に近いような気がするが、パーソナルに音楽を楽しむために、小音量でちょっとした読書コーナーを作るには最適である。

モノラル時代のスピーカーは指向性が広いので、ステレオのように正面で聴くのではなく、部屋の響きを織り交ぜて斜め横から聴くのが本来の姿である。

上の図版でも女性の姿が目立つが、Baronetは大げさではなく音楽を楽しみたいユーザーに希求していて、シンプル=人間の生活中心の思想が現れている。

かの銀幕の大女優マレーネ・ディートリッヒも、ニューヨークのアパートでBaronet(それもフルレンジのみの初期型)を使っていたらしく、1997年のサザビーズ・オークションに、GE社の"Stereo Classic 7700"ステレオアンプ、ガラード社のRC型オートチェジャーとセットで出品された。

アパートの居間はグランドピアノを置くサロン風の部屋だが、よくヨーロッパの音楽家が比較的質素なステレオを自宅に置いていることの例に漏れず小粒なシステムながら、いずれも1950年代のビンテージである。

映画用のAltecではなく、さりとてステレオ時代に躍進したJBLやARでもなく、初期型のBaronetであるあたりは、彼女の活躍した時期を考えると、これがちょうど良かったのかもしれない。ゴージャスなジャズ・バンドを従えるよりは、ピアノに寄り添って静かに歌う彼女の姿とも重なる。


 OEMがらみでは、英国Garrard社と並ぶレコードプレーヤーの雄、スイスのThorens社もBE8(またはDE8)という型番でBaronetを販売していた。おそらくTD124型ターンテーブルを売り出した1956年頃から製造され、れっきとしたスイス製である。

こちらは箱正面のエッジが内側に切れ込んでいる。ツイーターは付かず、SP8Bフルンレンジ単発の仕様であり、残っている製品のほとんどはフリーエッジの3世代目のユニットを搭載していることから、ステレオ初期の1960年代初頭に製造されていたと思われる。

アメリカンの極地ともいえるエレクトロボイスとThorens社の組合せは意外な感じに思うかもしれないが、白羽の矢がエレクトロボイスにたてられたのは、それなりに優れたものがあったからだと思われる。

たとえ8インチのユニットとはいえ、SP8Bは当時の最高級フルレンジユニットのひとつで、単純にビギナー向けと割り切れないからだ。アメリカだから、イギリスだから、ドイツだからと無闇に峻別しない、クラシック、ジャズ、ロックの垣根を勝手に設けないことも大切だと教えられる。

BaronetおよびSP8B(SP8C)の特徴

•BaronetはKlipsch氏が設計したなかで最も小さいFolded Horn型キャビネットで、小型ながら35Hzまで低音の伸びを確保したことでオーディオ雑誌等で注目された。

•小さなアパート、子ども部屋、避暑地の別荘など、省スペースでのHi-Fiシステムとして最適である。初期には簡易PAとしても様々なレイアウトが提案された。

•1956年からキット箱KD7として量販され、エレクトロボイスのユニット以外にも様々なユニットが実装された。低コンプライアンスのビンテージ・ユニットと相性の良い箱のひとつである。

•エレクトロボイスのフルレンジは高級マルチウェイにも採用され、システムの拡張性を備えていた。実際に1950年の初代PatrisianにはSP8BTが、1960年代のGeorsian 400にはSP8Bが使われた。

•1952年の発表以来、30年以上に渡るロングセラー製品であり、その間のユニットの変換により時代毎に最適な組合せを選ぶことができる。

•初期型はアセテート盤と磁気テープが混在する多様な録音を再生するのに最適なラウドネスカーブが選ばれた。

•1950年後半から2way化が志向され、1960年頃にステレオ化に向けフラットな特性になった。

•1970年代のSP3Cは中高域にアクセントを付けたロック世代向けの音調に変わった。
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エレクトロボイス社の小型スピーカーBaronet
ここはエレクトロボイス社の小型スピーカーBaronetに関する豆知識では世界随一のページと自負しております
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9. 中川隆[7678] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:26:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8166]

1950年代のドイツ製音響機器
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 1950年代のドイツのオーディオ機器に目を向けると、意外にシンプルなシステム構成であることに気付く

そもそも100dB/W/m の高能率スピーカーを鳴らすことを前提としているので、家庭用はおろか、小規模PA装置でさえも5W〜10Wで十分な音圧が得られた

そしてスピーカーはフィックスド・エッジでベークライト製のスパイラル・ダンパーを用いているため、小音量でも反応スピードが早く、EL84やEL82(6BM8)のシングルで十分に鳴るし、そもそも大入力を入れることはできない。

当時のほとんどの人は、AM放送規格に適合した8kHzまでが限界のフルレンジ・スピーカーで十分だと感じていただろうし、実際にドイツ製フルレンジは、ドイツ語の発音の特性から4〜8kHzが強く出るように調整されているので、高域の不足はほとんど感じないだろう。

以下は戦前のスピーカーの特性であるが、最初の2way化によるワイドレンジ化からはじまり、1930年代にはシングルコーンのフルレンジで十分な高域特性が得られている。

Siemens&Halske社の2way特性(1928年)
Isophon P25の周波数特性

 これを普通のフラットな特性で聞く場合は、ヴァイオリンとピアノの音色の違いが気になるだろう。

ヴァイオリンは中高域が強いのに、ピアノは高域の落ちたカマボコ型である。

このことの原因も、ドイツ製スーピカーの 2kHzの落ち込みと 4〜8kHzの盛り上がりで説明できる。この強く出るのは単純に音圧が強いだけでなく、反応も早い特徴がある。なのでイコライザーで上げて調整してもどこか不自然なところが残るため、あくまでもスピーカーの機能で補うべきものである。

これにEL84やEL34などのビーム管を合わせることで、帯域が狭くても切れ込みの強いサウンドが得られる。

 また当時に良く行われたレコード鑑賞会というのも注目して良いと思っている。ようするに公民館の映画鑑賞会の延長のようなもので、そのときに使われたのはオイロダインのような立派な劇場用スピーカーではなく、スーツケースに入れた25cm程度のフルレンジスピーカーで、アンプもEL84プッシュプルで十分な音量が得られた。

フルレンジでも10kHzまでの再生周波数でサービスエリアが約50度得られることから、ちょっとしたホールでも十分に鳴り渡る。必要な機能を絞った現実主義から学ぶべき点は多いように思う。


Klangfilm社の移動式映画館
Siemens社 スーツケース・スピーカー
2000型映写機用


 当時のドイツでは、小学校などを巡回する移動映画館やレコードコンサートがよく行われ、LPレコードはそうしたところで使われる教育的な用途もあったと思われる。

そもそもドイツ・グラモフォンはジーメンス社の傘下にあり、レコード・コンサートは当然ジーメンス社のPAシステムで行われたと考えられる。もちろんKlangfilmも擁する大企業であるため、高級オーディオ機器の製造もあるにはあったが、戦後霹靂としたドイツ人が新たにオーディオを購入できるわけもなく、こうしたサービスを通じて新しいHi-Fi機器を知ってもらおうという意図も感じられる。

巡回用の簡易PAは、25cm程度のフルレンジスピーカーをスーツケースに治めたものを、10W程度のEL84アンプで鳴らしていた。50名強の人数なら、これで十分な音響が得られた。


 注意したいのは、ドイツ・グラモフォンのLP発売は1952年からで、それ以前はVARIABLE GRADE という78rpmのシェラック盤だったことである。

1941年からテープ録音を実用化していたドイツにおいて、意外に思えるかもしれないが、

テープ録音 → ラッカー盤

という工程を終えるとテープが破棄されることもしばしばあった。その後、LP用にテープにダビングされ保存されたものもある。例えば、フルトヴェングラーの1951年セッション録音、ケンプのベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集のうち1951年録音は本来ラッカー原盤だとされる。

逆に戦中からテープ録音での放送を楽しんでいたドイツ家庭において、Hi-Fiという文字はあまり意味がなかったらしく、LPの表示は「LANGSPIELPALTTE 33」という規格を示すのみである。このことからも、ドイツの放送規格とのグレーゾーンを辿っていたことも十分に考えられる。

このラジオ音源も曲者で、最近オリジナル・テープからリマスターされた、ベルリンのRIASやウィーンのRot-Weiss-Rotの録音は、1940年代でも驚くほど鮮明である。マイクの生音に近いので、人によっては高域がうるさいと感じるだろう。要は一般に流布する媒体に、これまで該当するものがなかっただけなのである。


家庭用オーディオについては、当時のドイツの状況からすると、以下の3タイプに分かれよう。


1.ほとんどの庶民はラジオで試聴し、LPを聴く機会はレコード鑑賞会も多かったと思われる。また一体型コンソール(Kombination:コンポ)も多数あった。これらの場合、ほとんどの場合フルレンジのみが基本である。

2.海外向けの高級オーディオ機器では、高域拡散用にコーン・ツイーターが幾つも付いているタイプが多い。これは1950年代のドイツにしかみられない様式である。

3.スタジオモニターで有名なLorenz社のポリエチレン製ツイーターは、英米のスタジオ機器で持て囃されたことから一目置かれているが、強烈な高域特性で、いわばF1レーシングカーのようなものである。


 このように当時のどのような立場で試聴するのかでも、録音に対する印象が違うと思う。それほどに、1950年代のドイツ・グラモフォンの録音は評価が定まりにくいのである。

はっきり言えることは、高能率だからと1970年代以降の重たいウーハーをEL156で鳴らすことはあり得ないと思うし、高域が足らないからと10kHz以上の再生周波数を無闇に伸ばす必要もない。

モノラル期のドイツ・グラモフォンは、もっと広い階層のユーザーに開かれた再生方法があるのだと思う。 ここでは個人的なプランで組んだ低予算システムを以下に示す。


1.95dB/W/m以上の高能率で、高域の4〜8kHzが落ちないフルレンジ・スピーカー1本

2.EL84(6BQ8)、EL82(6BM8)などの小型ビーム管のシングルアンプ

3.録音品質のばらつきが大きいためイコライザーは必須

4.CD再生の場合は古いライントランスで微妙な味付け

 フルレンジスピーカーでは、私の所有しているのは米Electro Voice社のSP8Bという20cmユニットをBaronetというコーナー型バックロードホーンに納めている。

当時のエレクトロボイス社はPatricianという4wayシステムを筆頭にHi-Fi再生の先端を行っており、アメリカ製でクラシック再生ではトップを行くメーカーと考えていいと思う。

一方で、Baronetのような小型システムでは、小音量で快適に聴けるように高域の扱いを変えていて、SP8Bはアメリカ製では珍しくダブルコーンを使い4〜8kHzを持ち上げている。

これはテープ録音がドイツから移入された初期の、Hi-Fiらしさを演出する工夫であり、このことが1950年代の家庭用システムを知る鍵であるように思われる。

これと同じ傾向の音では、サブコーンが付いたイギリスのLowther PM6、最近の製品ではイタリアのSICA社のPA用フルレンジも同様の特性を持っていて有用だと思う。


 1950年代のエレクトロボイス社がドイツ的なサウンドポリシーを持っていたと言える理由のもうひとつは、同時代のIsophon社のカタログとの比較でも明らかになる。

当時はモニタースピーカーとして開発され、テレフンケンのスタジオ等で用いられたOrchesterスピーカーには、姉妹品のPH2132/25/11があり、2つのユニットの特性の違いは、エレクトロボイス社の説明と同じとみられる。また小型スピーカー"Cabinet"のインストール方法にも類似性が指摘できよう。SP8Bも1960年代初頭の第3世代となると、フラット志向に集約されるので、Hi-Fiの過度期におけるビンテージ・オーディオの一断面である。

アンプはあえてキット製品で使われるようなEL84シングルアンプを使ってみた。実際、高能率スピーカーをつないだ場合、普通の家庭用であれば1Wもあれば十分である。小型ビーム管のほうが、低音は弾むように鳴るし、中高域のほのかなツヤが美音を演出する。

ただし、録音品質にばらつきが大きいためイコライザーは必須である。グラフィック・イコライザーのように仰々しいものではなく、3バンドあれば十分で、BEHRINGER社の製品が安くてカッチリした音で相性も良い。

 古いライントランスでは、10kHz以上を落としてあげたほうが響きが澄んで聞こえるという逆転現象もみられる。多分、トランスの磁気ヒステリシスで中域にコクと粘りが出るのと、ビーム管特有の高域のツヤ(小さいリンギング)が純粋に乗るからだと思う。

ちなみに私の所有しているのは、1950年代の米UTC社の軍用マイク・トランスで、50Hz〜10kHzがフラットというナロウレンジであるが、レンジ感はピタリと納まってビロードのような肌触りがでてくる。

裏技として1920年代の英国製ラジオ用インターステージ・トランスを使ってみると、5kHz以上が丸まって上品なHMVの音に変わる

これもイコライザーでハイ・カットした音とは違う伸びやかさが出るので不思議だ。こうしたアナログ時代には存在した電気的なトラップを重ねていくことで音の熟成度が増すと思われる
http://quwa.fc2web.com/Audio-105.html#deutche


10. 中川隆[7679] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:35:24 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8167]

戦中・戦後のドイツ放送録音


 デジタル全盛の時代にあって、ここではあえて1930〜1960年代にモノラルで収録されたドイツでの放送録音ソースを扱う。といっても当時の再生はAM放送となる。

 前項までは、アメリカのHi-Fiの歴史に切り込んでいたが、もうひとつのミッシングリングがドイツのテープ録音の歴史である。だがこの時代の録音はナチス・ドイツという暗雲に覆われていて、戦後のゴタゴタでテープが離散してしまうなど、なかなか状況を理解することが難しい。ただ戦後のドイツの放送録音技術は、確かに戦中の延長上にあり、再生技術を考えるのは有益なはずである。というか避けて通れないアーカイブなのである。

 英米が娯楽音楽の発展が著しかったのと違い、ドイツ圏で記録として残ってるのはクラシックがほとんど。理由は明白で、ナチス時代にジャズや現代音楽は退廃音楽として排除されたからだ。一方で、この時代のクラシック録音の魅力として、ドイツの人々が戦後の霹靂としていた時代に、ほとんどの音楽家が使命感を帯びてヒューマニックな演奏をおこなっていたことに尽きるように思う。

最も霹靂していたのは、18世紀から緩やかに広がっていたドイツ系東欧移住者で、1600万人規模のドイツ系住民が戦後にドイツ国内に強制移住させられるという事態となり、「故国」の資産を没収され無一文になったこれらの人々をどう養うかは、戦後処理の難題となっていた。そして国内向けラジオを通してドイツ人の尊厳と絆を支える音楽プログラムを提供したのである。

演奏技術がどうという問題はあるものの、ドイツ的であることが戦犯扱いされることと紙一重だった演奏家たちが、一芸に命を掛けていた時代の演奏は明らかに説得力が違う。


【ドイツ放送規格を巡る機器類】
Neumann Ela M301(1931)
AEG Magnetophon K1 (1935)

 ドイツでは1931年にノイマン社製のコンデンサーマイクでの広帯域の集音・拡声が可能となっており、1935年には磁気テープによる長時間収録が可能となっていた。最初のテスト録音はビーチャム/ロンドン・フィルによる独BASF社でのコンサートで、当初はS/N比が37dB程度だったと云われる。 1939年にBASF社 によるプラスチック・ベースの磁気テープ(酸化鉄)の開発、1941年にはHans Joachim von Braunmuhl と Walter WeberによるACバイアス方式の採用により10KHzまでの帯域確保が可能となった。当時としては非常に音が良かったらしく、隣国からドイツのテープ放送を聴いて生演奏の実況であると勘違いしたほどであった。

 当時は他のどこの国でもアセテート盤へのダイレクト・カットがほとんどだったことを考えると、これらのドイツ製放送機器は戦後のHi-Fi機器の基礎を作ったといって過言ではない。残されている英BBCや米NBCの音源と比べてもその差は歴然としている。

一方で戦後になって英米のLPを初めとする再生フォーマットが拡販された後も、ドイツの放送録音は長らく戦前と同じ規格で収録が続けられたと思われる。実際に1965年当たりまで、放送録音はモノラルで収録され、ラジオと共に歩んできたのである。

Neumann M147の特性
Sehnheiser MD441の特性

 ドイツ製のマイクの特性をみると、10kHz付近でこんもりと緩やかな山をもっているものが多いことが判る。Neumann M147、Sehnheiser MD441などがそれにあたる。1940年代のノイマン社のマイクを使用した録音を聴いても、驚くべきことに薄っすらと高域成分は伸びている。

戦後の放送業界で活躍したSehnheiser社のマイクは、明らかにこの領域の収録を意識しており、明瞭度の高い録音の一端を担っている。このことは、ドイツ放送業界で戦前に技術確立されたものが、ひとつのメーカーの技術枠を超えて既に規格化されていたことも示している


Rice & Kellogg社OEMのダイナミック型スピーカー(1927年AEG社)


家庭用スピーカーの歴史については1927年にAEG社が高音質ラジオの開発のため、Rice & Kellogg社の特許であるダイナミック型スピーカーを使用したシステムを販売していた。

その頃のスピーカーの特性は100Hz〜7kHz

分割振動の制御ができておらず、2.5kHz以上では大きな谷山ができている

これでもマグネチック型よりは過度特性に優れたもので

3〜7kHzの山はナレーションの聞き取りやすさにも繋がり、全体にプレゼンスの高い音となる

英BTH社も同様のライセンス提供をうけており、放送機器での音響技術の出発点はアメリカもヨーロッパも一緒であったと言えよう。

ドイツのレコード会社もイギリスと提携しているエレクトローラ、グラモフォンなど同じ歩調で歩んでいた

 これに対しSiemens & Halske社はBlatthallerという静電型スピーカーを開発した。ただし、これで低域を出すにはとてつもなく巨大なものとなるため当初は高域用ということで考えられ、8kHzまでフラットな特性が得られた。

後にこのBlatthallerは大型化され、大集会の拡声装置としても使用されたが、一般家庭の持ち物とはならなかった。

通常のツイーターを使用した2way化の実験結果では、クロスオーバーがくびれているものの、概ね150〜6kHzをフラットに再生できている。

この後にドイツが国運を掛けたラジオ放送の高音質規格が生まれた。

最も大きな出来事はラジオの低価格化事業で、国民ラジオ(Volksempfanger)が1933年に売り出されると、またたくまにドイツ中の家庭にラジオが普及した。とはいえ、国民ラジオはDKE38型をはじめマグネチック型スピーカーが主流だった。


ダイナミック型スピーカーとマグネチック型スピーカー
http://www.neomag.jp/mailmagazines/200808/letter200808.html
http://www.radioshounen.com/upfile/magsp/magnetspaker.html
http://qa.itmedia.co.jp/qa5247232.html


無線と実験誌の2003/1月号に戦前のテレフンケンとロレンツのユニットの特性が出ているが

500Hzを中心とする山成りの特性に鋭い3kHzのピークをアクセントに加えた感じで

どうもこの特性は戦後も変わらずに引き継がれていったようだ


英米のスピーカーが500Hzから2kHzに向かってなだらかに上昇していくのに対し

ドイツ製は2〜8kHzを盛った感じとなる。


単体だけで鳴らしても明瞭な音になるが、戦後のドイツ製ラジオはこれにサラウンド風にツイーターを搭載したのが最終形となる。


ドイツ製ラジオの3D-klang 方式

中央のメインに対し両横に小型スピーカー  


1950年代のLPなど非常に高価に取引されているがクラシックの殿堂ともいえるドイツ・グラモフォンでさえLP発売は1952年からで、それ以前はSP盤として発売した。このため、テープ録音を直に聴けるメディア媒体はラジオが中心だった

 
戦後のドイツ製ラジオは20cm程度のスピーカーが付いた幅60cm×高40cm程度の大型が多く、受信の安定度と音の良さで海外でも人気の商品だった。

Grundig社が1954年に開発した3D klang方式は他社の高級ラジオにも用いられたもので、ドイツ製フルレンジでも5〜10cm程度のものは、小型ラジオ用ではなく、サイド・スピーカーとして使われていたものと思われる。

モノラル音源でステレオ同様の音の広がりを作る工夫がなされていた


 日本のようにラジオ = 低音質ということが当てはまらない。


一方でこうしたスピーカーの特性はスタジオ仕様と家庭用とで分けていたようで、Isophonの同軸スピーカーでその違いがみられる


左図の1963年のカタログでは


高域にアクセントの付いたPH2132/25/11は家庭用であり

Orchesterはスタジオ用である。


この違いはラジオ放送を小音量で試聴するかスタジオで生テープを大音量で聴くかの違いである


Orchesterは戦後の1949年に開発されたもので


・戦争末期のEckmiller型スピーカーの後継種

・高域を10kHzから16kHzに伸ばした

・古いマグネトフォンの録音とも相性が良い

・廉価である


などの特徴をもっていた。こうしたニーズのほとんどは、戦後に竹の子のように増殖した地方放送局と付属オーケストラの録音管理に向けられたと考えて差し支えない

一方で、ラジオ用の特性は、日本で意外と人気のあるもので、

カッチリした輪郭のある音という評価を得ている。雑誌の聞き比べでも、

Orchesterは個性がなくつまらないという評がほとんどで

PH2132のほうが幾分まし

Grundigはもっと良い

という感じ。ただしOrchesterのほうが、当時としては高性能を誇れるものだったことは間違いなく、この辺がこの当時の録音の錯誤に繋がっているようにも思う。

 これは放送用アルヒーフを扱うための分岐点を示している。1980年代まで多かった劣悪な録音ソースに関してはラジオ用を選ぶべきだろうし、2000年以降に増えた放送局蔵出しのリマスター盤はスタジオ用を使うべきだろう。


こうした機器類に囲まれた肝心のドイツ放送録音はフラットな特性のスピーカーで聴くと一聴して判るカマボコ特性で、演奏の魅力と反比例して音の貧しさは否めない。
マスター・テープの高域劣化が激しく これを無理にイコライザーで修正すると位相歪みが目立ちザラザラした音になる

この点に関してはデジタル時代も一段落して当時のビンテージ機器のレストア技術や音の修復技術の向上などでAM放送がFM放送並みに聞こえるくらいの音質向上がみられる

一方で、地方局に配給されたもののなかには、アセテート盤にダビングされたものも時折みられる。

アセテート盤はスクラッチ・ノイズが乗るが、復刻のときに高音を落としたものがほとんどである。

アセテート盤でも収録音声が低いときに、録音側で増幅した際にサーモノイズが乗るのはコンデンサー・マイクの収録だということの照査でライブ録音の場合、過入力時にマイク側での歪みが散見される場合もある


中域のこんもりとした山成りの特性はコンデンサー・マイクでの収録による聴感補正のカーブに似ており、むしろ民生用のラジオに合わせ中高域を抑えて収録するパターンを持っていたようだ
これは初期デッカのように中高域を強調した録音では逆鞘になってしまう


 このような録音とスピーカーの癖を相互補完するという推察が可能なのは、ドイツでは戦時中に電子部品の規格化がかなり顕著に進められてスピーカー製造もライバル会社で相互にOEMする情況が戦後も長く続いているためだ

この絶妙な組合せが、通常のフラットなスピーカーではカマボコ型特性の録音に聞こえる理由ともいえる。


11. 中川隆[7680] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:38:14 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8168]

エレクトロボイス SP8B + Baronet で再生するドイツ録音盤
http://quwa.fc2web.com/Audio-104.html


アメリカンを絵で描いたようなエレクトロボイス社のSP8Bの特性をみて、気になっていたことがある。

それは例の2〜8kHzまで続くトサカで

もしやドイツ系スピーカーのトーンと近いのではと睨んだ


エレクトロボイス SP8B (1970年頃)

20cmコーン型フルレンジユニットhttp://audio-heritage.jp/ELECTROVOICE/unit/sp8b.html

1970年代までのドイツのオーディオは、ごく一部の業務用を除いて、ジャーマン・サウンドと呼ばれる強力な中高域を好む傾向があった。

その歴史は深く、電気録音の始まった1920年代から続く由緒あるもので、逆にいえば明瞭でカッチリした音の正体は、このトサカのようにかぶっている中高域の強さにある。

同じ傾向のサウンドには、ノイズ検聴用に中高域を強めたBeyerdynamics社のDT48型ヘッドホンがあり、こちらは1937年からモニター用に使われ、Nagra社のテープレコーダーのデフォルト機としても長らく使われていた。

 一方で、エレクトロボイス社は創立時から本業はPA機器であり、明瞭な音響のための最適なイコライジングについて独自の見解をもっていた。1950年代まではベル研究所が研究したラウドネス・カーブを土台としてスピーカーが開発されており、Jensen、Altec、JBLなどのフルレンジはどれも2.5kHzにピークを持つ特性であった。

一方で1950年代にHi-Fi用スピーカーを手がけたエレクトロボイス社は、カタログに独自の音響理論を展開し、Regency II のカタログでは放送録音のテクニックで3〜6kHz以上を持ち上げることを紹介している。実はこれこそが、テープ録音と共ににドイツから輸入された音響特性なのだ。

エレクトロボイス社のBaronet
SP8B+KD7キット箱:1950年代中頃製造

左:1924年にSiemens社が2way化の実験で得た特性
右:1950年代のBaronetの特性

 ドイツ放送局用のマイク、テープレコーダー、モニターは、当時の一級品を揃えているため、そちらを原音とする向きもある。一方でLP移行期には、放送局用のレコードプレーヤーは量産が間に合わず、フランスのPIERRE CLEMENT社に製造委託していた時代もあった。EMT社が製造を始める以前の過度的な時代であるが、現在見るEMT社のプレーヤーのほとんどは1966年にThorens社を買収した後のものであろう。

戦後の混迷のなかでLP発売後に新たにオーディオ機器を購入できるドイツ人の数は少なく、映写機で使う簡易PAでのレコード鑑賞会がよく行われた。

この場合はフルレンジ2発をトランクケースに収めたものが主流で、EL84などを使用した10W以下の小型アンプで駆動していた。

70年代以降の100W級のオーディオに慣れた現在において、この頃合いの良さはあまり理解しにくいものと思う。100Wを必要としたのは、Blatthallerのような大型平面スピーカーを屋外集会場で使う場合のみである。

 以下の図では、家庭用の範疇に収まるのは3Wまでであり、それ以上はPA用という区分になる。10W程度のアンプでも、ラジカセ並とあなどってはいけない。100dB/W/mの能率を誇ったフルレンジは、1W程度でも普通の家ではうるさいくらいに鳴り響く。

1934年のドイツ製スピーカー出力別の一覧
(私の狙いは1〜2Wの小型永久磁石スピーカー)

 このSP8Bも高能率なヴィンテージ・ユニットの例に漏れず、71Aのようなラジオ球を使った1w未満のアンプでもきっちり鳴る。そこでSP8Bと同じ時代の1950年代に開発された、EL84を使った3結シングルで鳴らしてみた。実はこのアンプ、1999年にTriode社で販売していたVP-Headというヘッドホンアンプである。EL84を3結で、しかもB電源を130V程度に抑えた安全運転型なので出力は0.3W/ch。これを並列につなぎモノラルにして、ヘッドホン端子からBaronetに接続。。。鳴った!。。。でも高域が強すぎる!!!

 多分、SP8Bの強力な中高域が生のままドバッと溢れてきたのだろう。イコライザーで補正すると、2.5kHz&10kHzを-6dB落としてやっと普通のバランスになった。これでも入力側はUTC C2080で固めて、高域を丸めているので、普通のフラットなスピーカーだとどうなるのかと、ヘッドホンを繋いで確認。。。なんとも古臭いSP録音のような音。これを普通に聴かせるSP8Bのユニークさが身に染みたと共に、何気なく繋いでいた45シングルアンプとのきわどいバランスにも驚いた。

 ここで実験的にヘッドホン出力をUTC C2080→83204につなぎ替えてみたところ、帯域は狭くなったが、アメリカンな臭いのプンプンする押し出しの強い音に変貌した。しかしこれがまた良い感じなのである。

古いジャズはともかく、クラシックも抑揚や流れが明確になり、意外に相性が良い。EL84のもつ艶やかさと、UTCのトランスもつ布ドロップのような質感とが巧く重なり合い、深い香りのコーヒーを味わうような音に仕上がった。最近のアンプで腰が浅いと思ったら、ビンテージ・トランスの逆繋ぎもありかと思った次第。直接電流を流さないので、意外に小さいトランスでも問題なく使えることも判った。


このトサカに絡んで、前から再生に苦慮していたのが、ウィーン系の放送録音を多数保有している墺Preiserレーベルで、これがまた癖のある音調で超が付くほどのカマボコ特性。

1950年代のウィーンの録音といえば、多くの人はDeccaやWestminsterなど、良質なスタジオ録音でシステムの音調を合わせているのではないかと思う。しかしPreiserレーベルの録音はれっきとしたスタジオ・セッションである。これが同じ時代の録音機材で録られたとは思えないほど、テイストが違うのである。

今回、改めてEL84+SP8Bという組み合わせで聴いてみると、ズバリこれが大正解。考えてみれば、戦後のSiemens社が製造した簡易映画館のPA装置をみても、フルレンジに紙製エンクロージャー、EL84にちっちゃなトランス。実はこれでOKなのである。

 まずはウィーン・コンチェルトハウス四重奏団によるハイドン四重奏曲集。この録音は1950年代にORFでランドン博士の監修のもとLP20枚以上(0CDだと12枚)に大量に録音されたもので、初期の喜遊曲の含まれている点でも貴重なものである。それに加え、小さなウィーン・フィルとも言われた、ウィーン・コンチェルトハウス四重奏団の甘美でありながら職人的な芸風が味わえるため、二重に貴重なのである。しかし例のカマボコであるため、珍しい録音以上から抜け出ない。これが見事に復活した。

良く知られるWestminster録音が気合いの入ったアウェイの演奏だとすれば、Preiser録音は気心の知れた仲間内で聴く落ち着いた感じ。これが実は古典派のハウスムジークを聴くのに非常にマッチしている。それでいてEL84は低音に適度な軽さがあるため、チェロのスッと弓を当てるだけのボウイングも存分に楽しめる。

 続けて、R.シュトラウスの米寿記念演奏会(1944年)。ノイマン製コンデンサーマイク、AKG製マグネトフォン、ウィーン・フィル、ムジークフェライン・ザールという黄金の組み合わせで収録された歴としたテープ録音である。ソ連が戦後に持って行ってしまったためオリジナルテープは行方不明。これが「偶然に」東ドイツの放送局からダビングテープが見つかり、何とかその陰が判るようなモノ。

ムジークフェラインで堂々と鳴らした管弦楽作品は、ただでさえ残響が強くボケた音なのに、例のもっさりした音。爪の垢でも煎じろとでも言わんばかりの商品と常々思っていた。ところがこれもちゃんと蘇った。ドンファン冒頭のffも綺麗なウィーン・フィルのもの。ツァラツストラも、むしろ後半の物語性が見通しの良いシュトラウス翁の渋い芸風が味わえる。

 嬉しいおまけは、独Gramophonのフルトヴェングラー&BPOの録音との相性である。聖ルカ教会でのシューベルト”グレイト”交響曲、ティタニア・パレストでのベートーヴェンNo.7&8のライブなど、いずれも好調。これらもモゴモゴした録音で、いきなり低音がブワッと膨らむプロイセン風の男気溢れる演奏を、何となく面白がっているのが精々だった。しかしグレイト3楽章のワルツの洒落た歌い回しなど聴くと、ベルリン・フィルの弦も結構いけるじゃない?という感じ。ベートーヴェンでは木管のセクションの飛び具合がとても心地よい。吹き始めのスピード感が軽く明快なのだ。それでいて音色は艶がありまろやか。これだけでも交響曲の立体的構成が、音響空間で戯れて面白さが倍増する。戦後のフルトヴェングラーの古典志向が改めて判った次第。

かといって同じ時代の録音で、誰が何と言おうと名録音といえる、フリッチャイ/RIAS響のバルトーク「管弦楽のための協奏曲」でも、サウンドに違和感がない。モノラル期のDG録音は苦手意識があって、なかなかサンプル音源以上の量が増えなかったが、これでコレクションの充実に踏み出せる気がする。

 ちなみに同じDGでもピアノ物は更に凶悪なカマボコ特性である。手元にあるのは、フォルデスの演奏するバルトーク作品集であるが、ハノーファー・スタジオでのあの丸まった音だけはどうしても違和感がぬぐえない。グールドのアレよりも何かが足らない。多分、強力なハイカットをしているのではないかと思うのだが、理由がわからない。

思い切って入力トランスをLessen社のHypernik Transformerに変えてみると、中域を核にしたベーゼンドルファーのような音調になり、ほどよい感じに収まった。この音調を頼りにUTC C2080で再度調整してみると、あろうことか、イコライザーがフラットの状態でOK.。つまり4〜8kHzの高域が10dBほど足りなかった(もしくはロールオフしていた)のである。

同じ傾向は、ギーゼキングが1950年に故郷のラジオ局で入れたバッハのパルティータ集でも言えて、これでケンペのベートーヴェン旧全集にも堂々と手を出せるというもの。楽しみが増えた。


ちなみにウィーン・フィルの名コンマスのシュナイダーハンが1953〜55年に収録したモーツァルトVnソナタ集では、ヴァイオリンが入った分だけオケ物と同じバランスで、2.5kHz以上が-6dBで落ち着く。

シュナイダーハンやフォルデスは、演奏が職人気質で地味なのに加え、録音の悪さが加わって評価が低いのである。コンサートで華のある演奏ではないため、何だか教授のレッスンを受けているような感じもしなくはないが、ベーム/BPOの演奏が好きな人なら、これらの演奏家の蘊蓄に耳を傾けて損はないと思う。

 これがDecca収録のクラウス/VPOによる喜歌劇「こうもり」となると、まるでお手上げである。歌手陣は違和感ないが、弦の音で引っかかる。かといってEMIの喜歌劇「メリー・ウィドウ」は大丈夫である。多分、DecolaのようにPX25の太い音の真空管で練り直さないとダメなのだろう。そうなるとグラモフォンは×である。かといって同じ英国でもEMIの喜歌劇「メリー・ウィドウ」は大丈夫である。なんという罪作りなオーディオの世界だろう。

 あと分類がやや判りにくい録音に、東独シャルプラッテン系の宗教曲録音がある。モノラル期では、1954年に収録したギュンター・ラミンと聖トマス教会聖歌隊のヨハネ受難曲などがあり、おなじみのライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のほか、後のリヒター盤で名エヴァンゲリストを務めるヘフリガーが居るなど、新旧の陣営が交錯する不思議なセッションである。もともとラミン氏は、1930年代のドイツ・オルガン復興運動の中心的人物で、現在のバロック・オルガンの保存に大きく寄与した。その意味では、演奏家としてよりはドイツ宗教音楽の方向性を、実際にカントールを務めながら思索したとも言える。特にナチスの後に共産圏に組み入れられるという2重の苦難の時代に、バッハゆかりの聖歌隊を維持しようとするために払った代償は想像を絶するものと思われる。

その貴重なドキュメントだが、本来は旧テレフンケンの流れを汲む、カッチリした音の傾向のはずだが、帯域がやや狭いのと、合唱の広がり感が出ない点で、「ステレオでないのが惜しまれる」という声がよく聞かれる録音でもある。これをEL84+Baronetで再生すると、中域の甘みと高音の抜けが両立したトーンに収まる。少年合唱団もトマス教会の高い天井を突き抜ける感じが良く出ているし、独唱ともなれば現在のものと全く遜色ない。無駄な贅肉をそぎ落とした内証的なヨハネ受難曲を、良質なラジオ・ドラマを聴いているように展開する。

 同じ傾向の録音として、マウエスベルガー率いるドレスデン聖十字架合唱団の1950年代の放送録音も、1960年代ほど鋼鉄の純度が上がってないが、突き抜けるような少年合唱の扱いは既にそのの片鱗が伺える。これも大きな収穫だった。

 これらの延長線上にあるのが、東欧の旧共産圏の録音で、ソ連が大量のテープ録音を接収していった後に、本国でテープ録音が西側と同じレベルで実用化されたのは1950年頃からだったらしい。ちょうど良いサンプルは、ゴロワノフ/モスクワ放送響によるスクリャービン交響曲集。最初の3番が1946年で、さすがにこれはSP録音である。1948年の1番はグレーゾーンで、おそらくテープ録音だが、マイクは旧ソ連製のため音響が窮屈なのだろう。1950年の2番でようやくHi-Fiに追いついている。ちなみに1947年のネウガウスによるスクリャービンのピアノ曲集も、レンジは狭いのにノイズがないため、ソ連製マイクによるテープ収録と思われる。

1956年のロストロボーヴィチ/ショスタコーヴィチによるチェロ・ソナタの録音はHi-Fi規格である。1950年代にターリッヒが晩年に残したチェコ・フィルとの一連の録音も、ドイツのテープ録音技術の恩恵を受けたもののひとつだ。これも1949年のスーク組曲「おとぎ話」、ヤナーチェク「グラゴラル・ミサ」(バカラ/ブルノ放送響)はレンジが狭い。

これらを総合すると、

1946年まではラッカー盤、
1947〜49年はテープ収録だがマイクは旧来品、
1950年からノイマン型のコンデンサーマイクが使用された

と考えられる。一方でこれらに先立ちドイツで録音された、1947年のヴァルヒャによるバッハ・オルガン集、1948年のドレスデンで少年時代のシュライアーの声を収録した録音は、明らかにHi-Fi録音である
http://quwa.fc2web.com/Audio-104.html



12. 中川隆[7681] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:40:02 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8169]

1950年代に意外に需要があったと思われるのが、室内楽と器楽の録音である。
http://quwa.fc2web.com/Audio-105.html#recording

というのも家庭用ラジオで再生する際に無理がない規模感なのは明白で、特に夜に聴く音楽として適量なボリュームで聴ける利点がある。

そう思える理由として、以下の点が挙げられる。


・ピアノの音がかなり癖の強いカマボコ型で、しかも芯がない。

・逆にヴァイオリンは中高域の芯が強く痩せギスである。

・これらは2kHzがへこみ 4〜8kHzにピークをもつドイツ製ラジオ用スピーカーの特性と真逆の方向性である

 これらを総合すると、1950年代のグラモフォンの室内楽は、戦前から続く放送用音源に近いバランスで収録されていると思われる

ちなみに この特性とペアになっているのがNeumann社 CMV3型マイクで、サウンド・ポリシーを総合的に見ないと中々理解しがたいところである

これは、ドイツ国内のローカル・ルールに沿った録音で、1930年代のテープ録音の開発当初からオリジナルな音響システムを伝承していた結果それ自体に何の疑問も感じないまま品質保証していた可能性が高い。

Neumann社 CMV3型マイクの特性

最も指向性の広いのは1kHz前後で、それ以上の高域は指向性が強い(音響エネルギーは低い)


Isophon社のラジオ用(左)とオーディオ用(右)の特性の違い

ラジオ用は500Hz〜2kHzがへこみ 3〜6kHzで急激にピークをつくる


これはドイツ人しか持ち得ないオーディオ・システムであり 1950年代のグラモフォン録音への評価を難しくしている原因のように思われる


バルトーク ピアノ作品集 (1955年)  アンドール・フォルデス

 録音はモノラル期のグラモフォン特有のカマボコ型の特性で個人的にはマスターテープの劣化が原因だとばかり思っていた。

これを4〜8kHzに強い山のあるヴィンテージのスピーカーで聴くと音の抜けが良くなり、一本調子のように思っていた強健なタッチが、実は一点の曇りもない狙いすましたショットのように正確に打ち込まれていることが判る

それほどに複雑なバルトークの和声進行を抜けよく再現しており、単に打鍵が鋭いとか民族色が強いとか、そういうレベルでの解釈が恥ずかしくなるような、古典的フォルムがしっかりした演奏である

ベートーヴェン ピアノ・ソナタ全集 (1951〜56年) ヴィルヘルム・ケンプ
 LP発売直前に企画され5年をまたいで録音された全集


 録音はベートーヴェン・ザールで録られているにも関わらず、残響の少ないデッドな音で、ステレオ録音に慣れている人は、一筆書きの単調な演奏に聞こえるかもしれない(よく淡々と弾いていると間違われる)。

特にピアノ録音の生命線ともいえる、高音の立ち上がりと倍音の共鳴は、モノラル期のグラモフォンのピアノ録音では周波数バランスがカマボコ型であるため、余計に朴訥とした雰囲気になりやすい。

ベヒシュタインを使ったとか、そういうことを気にする以前の問題と思う人も多いだろう。

4〜8kHzに強い山のあるヴィンテージのスピーカーで聴くと、目の前で自分がピアノを弾いているかのように、リアルに音が展開する。

弱音部での繊細で柔らかい響きは、モノラル収録に対してナイーブすぎて音がくぐもるが、これこそベヒシュタインの魅力であり、ケンプ教授の思索の森の入り口でもある。


モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ集(1953〜55年)
ウォルフガング・シュナイダーハン カール・ゼーマン

 シュナイダーハンは激動の1938〜49年にウィーン・フィルのコンマスを務めた名手で、後任をバリリに譲ったあとはソリストとして世界中で活躍した。ウィーン情緒タップリのモーツァルトかというとそうでもなく、フレーズを堅めにキッチリ弾くタイプで、これは他のウィーン・フィルのコンマスにも共通する独特のクセである。多分、残響の多いムジークフェラインのような場所で、アンサンブルを揃えるために必要とされた奏法のような気がする。

 録音は、やせぎすのヴァイオリンとあんこ型のピアノの取り合わせで、あまり良い印象ではない。モノラル期のグラモフォンの癖がモロに出た格好だ。

例えば同じ時期に録られたメンデルスゾーンやブラームスの協奏曲では、ヴァイオリンは適度の残響と潤いのある音で収録され、シュナイダーハンの連綿とした歌い口がとても判りやすいので、これは単純にグラモフォンの室内楽録音における癖だろうと思う。

一方で、この癖のある音の狙いがどこにあるのかを読み解くことは、モノラル期のドイツ・グラモフォンを知るうえで欠かせないような気がする。

個人的には品質管理したモニタースピーカーがどうのというよりは、それよりもっと先にあるもの、家庭用ラジオに答えとなる鍵があるような気がしている。つまりは原音再生ではなく、ドイツ国内でのラジオ・プログラムを意識した音質なのではないかと思う。

そういう観点で聞き直すと、これは隈取りの良い音に分類され、コンサートのライブのように音の揺れや会場ノイズも乗らない。そしてラジオ放送用に調整してある4〜8kHzに強い山のあるヴィンテージのスピーカーで聴くと、この矛盾が少し解けたような気がする。
http://quwa.fc2web.com/Audio-105.html#recording



13. 中川隆[7682] koaQ7Jey 2017年4月11日 22:40:46 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[8170]

モノラル録音のクラシックでは、エレクトロボイスが看板にしていたクラシック向けの素地がどういうものだったか一応理解できる。

1947年録音のワルター/NYPのマーラー5番。これがウィーン・フィルに負けない潤いのある几帳面な演奏であることが判り大収穫。この録音はマスターテープではなく78回転用のラッカー原盤で収録されたもので、翌年のLP発売には復刻したテープを使って発売されたもの。同様なものにトスカニーニのオテロなどがあり、同じように78回転ラッカー原盤に戻ってリマスターしたCDが出ている。いずれも鮮度の高いもので、十分に芸風を伝えてくれる。

1930年代から40年代初頭のストコフスキー/フィラデルフィアoの録音では、ただの団子状態だったものが、後年のDecca録音で聴けるコントラバスを増強する独特のサウンドが満喫できた。

1941年のホロヴィッツ/トスカニーニのチャイコフスキーP協ライブは、ピアノとオケの即興的で立体的な駆け引きが印象的。これも従来なら、トスカニーニのオケ伴が猛牛のように直進するのを、ホロヴィッツが華麗に翻すような印象だったが、見事に裏切られた。むしろオケのソロプレーヤーが、ホロヴィッツに突っ込みを入れるようなスリリングな場面も少なくなく、そのため全体の構成が崩れかかっている面も多々見受けられる。しかしこれがいつ聴いても飽きないのである。

1950年以前のアメリカのオーケストラというと、トスカニーニ的なスタイルばかりのように思われている一面があるが、これら3種類の録音だけでも、実に多様なサウンドが存在したのを十二分に教えてくれるし、SP盤からLPに至る録音が同じクオリティで楽しめる。

 もうひとつ付け加えなければならないのは、1950年代のクラシック録音とアメリカ市場の関係深さである。日本の多くの人は進駐軍の印象が強いため、アメリカ音楽といえばジャズとロカビリーと決め掛かっている。しかし当時のクラシック・レコードの牽引役はアメリカであり、EMI、Decca、Gramophoneなどの欧州レーベルにおいても、LPのプレスは質と量ともにアメリカ盤のほうが優っている。

そしてAltec や JBL、Jensenやエレクトロボイスもまた、クラシック再生を中心軸に据えて開発されていたのである。

当時のアンプの質も、トランス、真空管など、経年劣化に負けない安定度を保ったものが揃っている。そのうえで、1950年代のクラシック録音へのアプローチをアメリカ製品から行うのは理に叶っていると思えるのだ。

 実際にEMIだって、Gramophoneだって、Baronetでチャーミングに鳴り渡る。EMIは1952年のReel to Reel(イコライザー処理されない生テープ)の販売時期にエレクトロボイスと戦略的パートナーだったし、スイスのThorens社は1950年代末頃にBaronetをOEM製造していた欧州ディストリビューターだった。こうした実績からもエレクトロボイスはクラシックの2大レーベルの謎めいた時代の証人ともなり得るのである。
http://quwa.fc2web.com/Audio-103.html


14. 中川隆[-7691] koaQ7Jey 2017年5月14日 17:34:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

キット屋コラム「私のオーディオ人生」第37回門外不出!二管流アンプ武蔵誕生
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-037.html

真空管アンプの音はトランスが最大のキーパーソンを握っています。

出力管の交換は同等管の場合大きな変化はありませんがトランスを交換しますと劇的な変化が認められます

面白い事にトランスにもお国柄がありこの部分の比較も面白いのではと思います

真空管アンプのキーパーソンは出力トランスですからこの部分には特に拘る必要があります。

ましてや使用球がWE製VT52ですから本来はウェスタンを使いますが、今回はドイツのシングルトランスを使いました

このトランスもほとんど市場に出てこない大変レアなトランスでメーカー名はENGELでテレフンケン、ノイマン、シーメンスに納入している実績のあるトランスメーカーです。 

  今回私も初めて使いますがドイツのサウンドはゲルマン民族らしい真面目で几帳面な音が特徴ですが、その点米国のトランスはアメリカ人らしい豪快さがあり多少雑なところを持ち合わせている。

また日本のトランスはビールで云うならコクとキレが薄い、

やはりビールもトランスもドイツに限ります。

これはトランスに使用してあるコアと巻き線技術の差だと思う、

その点ヨーロッパ系のトランスは質の良い鉄鉱石が採掘されていますから鉄鉱石の違いかも、

WEのトランスは音が良いと云われていますがこのトランスもひょっとしたらヨーロッパのコア材を使っているのではと思いますが詳細は不明です。

トランスもお国柄がありどれが最高とは云えませんが自分がどんな音が好みなのか色々試して聴くのも面白い、


今回は最後の自作アンプですから自分なりに拘ったパーツを採用しました、

出力トランス ドイツENGEL社シングル10W

チョークコイル ヒューレットパッカード社の5H250mmH

抵抗 リケンオーディオ抵抗

コンデンサー カップリング スプラグ ブラックビューティー

カソードパスコン スプラグ 銀タンタルコンデンサー

ヒーター整流 東芝ショットキーバリアダイオード

スイッチ類 日本開閉器 トグルスイッチ

ボリューム アーレンブラッドレー

真空管 初段はテレフンケンダイヤマーク ECC−802S

ドライバー管 NEC 12BH7A

出力管 WE−VT52刻印

整流管 WE−274B刻印


アンプの出力は3.5W×3.5Wです。


今回はアナログでの試聴にしました、

アナログ

フォノモーター ヤマハGT−1000

アーム GRACE G−565F

カートリッジ オルトフォン SL−15E

昇圧トランス ウェスタンエレクトリック WE−618B

AWA オーストラリア

ブリアンプ マランツ#7

スピーカー ヴァイタボックス 30cmフルレンジ

試聴用アナログ キースジャレット ケルンコンサート、バッハ、無伴奏チェロの1番


 すべてのセッティングが終了して早速VT52シングルアンプの電源を立ち上げた、調整中にハムバランサーは最少の位置に設定してありますからスピーカーからはほとんどハムは聞えません。

最初にキースジャレットのケルンコンサートの試聴から開始、出てきた音に愕然、

ピアノの粒立ち奥行感を伴ったホールトーンの響きとスピーカーの存在感が消える素晴らしい空気感のある音、音色もこれがウェスタンを強調するようなサウンドには参った!

これは使ってあるVT52だけでなくトランスがドイツ製だからアメリカ的な明るいサウンドを抑えて伸びやかに音楽を聞かせてくれる。

 このような音になるのは勿論昇圧トランスのWE−618B、テレフンケンECC−802S高信頼管とWE−274B刻印が寄与しているのは間違いない、

次に試聴したマイスキーの無伴奏チェロも奥行感を伴った小ホールで聴く雰囲気たっぷりのあるサウンドになった、

WE−VT52は凄い!

 ウェスタンマニアがウェスタンは最高と云っていますがまんざら嘘ではない、

このVT52に対抗できるのは205Dか300Aしかないのでは、

それだけ素晴らしい球なのに情報量が少ないのか音を聴いたことがないのかわからないのか一度体感してみるとその良さがわかるのではないだろうか、

この球こそコクとキレに音楽性をプラスしたサウンドには偽りはない、VT52恐るべき!  
https://www.kit-ya.jp/etc/club/audio/y-037.html


15. 中川隆[-6493] koaQ7Jey 2017年9月07日 06:40:55 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ドイツ OCTAVE社の真空管アンプ


OCTAVE Audio-Japan
http://www.fuhlen.jp/octave/

HAL3 - OCTAVEプリメイン試聴レポート
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/octave_premain_report.html

OCTAVE V16 Single ended の私的インプレッション:多様性を求めて 万策堂の私的オーディオインプレッション
http://pansaku.exblog.jp/26017439/

最高の素材、真空管を生かしたアンプ造り ドイツ、OCTAVE社 HP 500 SEとMRE 130
http://www.vividcar.com/cgi-bin/WebObjects/f1b8d82887.woa/wa/read/10c066b977d/

OCTAVE(オクターヴ)は1986年にAndreas Hofmannによってドイツの真空管アンプ専業ブランドとして創立されました。

技術的な特徴としていえるのは電源や出力トランスの自社生産、世界の最先端を進む電源回路、五極管プッシュプル回路が中核となっている。

実際にOCTAVEのアンプからもたらされるサウンドはきわめて先進的なもので、現代のハイエンドオーディオ界に生まれたある意味で革命的な製品群と呼べるのではないでしょうか。長年に渡って研鑽を積んだ練達のオーディオファイルを心底から感服させる驚異的性能を、ドイツ的流儀といえる質実剛健さを感じる素朴な外観の中に内抱している。

真空管パワーアンプでは出力トランスの支配力が きわめて大きく、時として音質の殆どを決定してしまうキー・デヴァイスとなりえる。

元々OCTAVEは親子二世代に渡って継承されてきたホフマン・トランスフォーマーズというドイツのトランス工場を原点とし、現在も自前でトランスを自社アンプに供給している。

磁界を制御して変換効率を最大で10%近く向上させる独創的なPMZコアトランスは同社最大の技術的アドヴァンテージだ。

その音は最先端テクノロジーで真空管の持つ可能性をさらに追求したものと確信させる。音を文章に書き起こすと、たとえば高域は明快なまでに明るい傾向で、ハイコントラストでブリリアントな音、燦然と光り輝くサウンドは眩い光を空間に解き放っていく。体温を上昇させるほどの高揚感をともなって、音楽を活き活きとした生命感に満ちた音で表現する。


音色には血が通った暖かさがあり、ふくよかで温度感が高く濃厚な色艶が乗っている。

ギターは倍音成分が豊かで、艶やかな光沢感ともなった弦楽合奏の麗しき響き、格調高く、典雅な佇まいを持ち、音に対して主義主張の強い個性的なモデルである。

万華鏡を覗き込むような色彩感の豊かさは極上の管球機の持つ美点だが、ソリッドステート以外では実現が困難と思われた研ぎ澄まされた輪郭の切れ味や彫琢が深く空間に刻まれる高度な音像表現は抜群の解像力で驚かされる。

往年の管球銘機の霧のような繊細で濃密なノスタルジックな雰囲気と、 高い分解能でハイスピード、ウッドベースはタイトに切れて爽快な聴こえとが両立する。

ガラス細工のような締り切ったソリッドな低域を持ち、オールドマッキンやTVA-1、そして一部のドレットノート級モデルを除くと、「真空管パワーアンプの低音はヤワだ」「低音が軽い」と思い込んでいた私の固定観念を完全に拭い去ってくれました。

それも中高域の質感を一切犠牲にすることなく。思わず息を呑むような OCTAVE MRE130のサウンドは抑揚がかなり大きく、スリリングなもので室内に破壊神が降臨したかのような、猛り狂う激情を思わせる、

すさまじい怒涛のダイナミクスを叩きだす、圧倒的ハイパワーと際立った高性能さ、 静寂感(S/N比)の高さはとても管球とは思えない、耳を疑う程の優秀な特性を誇っている。

OCTAVE MRE130の持つ最先端のサウンドは鮮度感がきわめて高く、典型的な真空管機の持つ包み込まれるようにやわらかく広がるなんともいえない聴き心地よさも持っている。真空管愛好者だけにしか決して味わえない至福の一時だ。

ダンピングファクターは8と管球機らしい控えめな数値だが、実際のドライバビリティは特段といえる高さがあり、高効率98dBというスペックを持つが、 大きくて重たい14インチ(35.5cm)ダブルウーファーと負荷の高いネットワークを有し、インピーダンスが3Ωまで落ち込む特性上、とても鳴らし難いJBL S9500をシングルで完璧に鳴らし切っているのをみて、このスピーカーに惚れ込んでいるものの、シングルアンプ時の選択肢がかなり狭まったことに苦慮する私を安堵させた。

BLACK BOXの投入はさらに効果的で、どこまで音圧を上げてもへこたれない(オーバーロードプロテクションが働いてアンプが気絶しない)駆動力の高まりにさらに気を良くしました。JBLを鳴らす方に強くお勧めしたいです。

OCTAVEの音は元々日本に上陸した初期の頃から完成されております。
現在はモデルチェンジしてかなり高価になっていますが、音質的にはあまりというかほとんど変わらないです。

さらにステレオ機とモノラル機では段違いにモノラル機の方が良いです。

高性能な真空管パワーアンプでは間違いなく最高峰です。真空管で現代のハイエンドスピーカーを鳴らしたい方、ダイナミックでハード志向なのでJBLやTADなどのホーンスピーカーを鳴らしたい方に向いています。


OCTAVEのアンプは非常に堅牢で保護回路も万全、高い安定性を備えて故障しづらいと信頼性の高さに定評があります。内部パーツもフィルムコンデンサーなど経年劣化するものが使われておらず何十年とノントラブルで使えるほど耐久性に優れています。


また、OCTAVEのバイアス調整は非常に簡単で、正面右側のノブを回して出力管を選択し、真空管の側にそれぞれ付いているつまみをマイナスドライバーで時計回りに回してグリーンのランプが点灯する位置に合わせるだけです。
(最初に必ず一度反時計回りに一杯まで回してバイアスを最小値にします)



16. 中川隆[-6492] koaQ7Jey 2017年9月07日 06:51:48 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

OCTAVE MRE 130 パワーアンプ
トランス技術を生かし研ぎ澄まされた音♪ 2014/06/25
http://otomani.jp/poweramp/1342

Exif_JPEG_PICTUREMRE130はトランジスタと真空管を使い、五極管を出力段に採用したハイブリッドのモノラルアンプ♪

OCTAVEはドイツで製造され、アンドレアス・ホフマンが設計したアンプでアンドレアスの父親が1968年にホフマン・トランスフォーマーズという会社を設立し、コイル・トランスを開発し、販売していました。

そのホフマン・トランスフォーマーズの強みを生かし、長年に渡り電源、巻線の研究・開発を培ってきた成果が音に結びついています。
8Ω時で100W、4Ω時では140Wの出力があり、JBLの4344や9500等、鳴らしにくい旧大型スピーカーも十分にドライブが可能です。

付属の6550からKT88、EL34の真空管に差し替えが可能のモデルです♪

特に出力管をGECやGOLDLIONのオリジナルにするだけで大きく化けますね。
レプリカのGOLDLIONはロシアで製造されたロシア管でオリジナルと比べると比べものになりませんw

前段にはECC82(12AU7)が使われているのでTELEFUNKENやSIEMENSなどの高信頼管ECC802Sとの差し替えもお勧めです。

ECC802Sに交換するとよりSNが高まり、抜けが良く滲みもより一掃されます。
高信頼管は価格が高いのでECC82(12AU7)から交換されても良いですね♪
ダイナミックレンジが広くSNに優れ、エッジの立ったキレがあり、鮮度感の高い音色が特徴。

全帯域に渡り、色彩感も豊かでダイナミズムに優れていますので音の悪いアニソンでもある程度、纏まりがあります。
デメリットとしてはサ行・タ行が多少強いのでスピーカーによっては高域がキンキンします。

インシュレーターやケーブルでサ行が目立たないようにするのも良いです。
このアンプはオプションにBlack BoxやSuper Black Boxがありますのでそれらを使う事により、電源が強化され音質が向上します。

滑らかさも大幅に向上しますのでサ行やタ行が緩和されます♪

水樹奈々さんが歌う魔法少女リリカルなのはA’sのキツイ音もSuper Black Boxを入れればノープロブレム(`・ω・)b

Super Black Boxを入れなくてもケーブル、インシュレーターで多少のキツさは緩和出来ますがw

ライブ音源が好きな方にお勧めできるアンプです♪


☆ SPEC ☆

■型番:MRE 130

■価格:1,880,000円(税別)

■出 力:100W(8Ω)、140W(4Ω)
■出力段構成 パラレルプッシュプル、拡張型5極管接続

■ダンピングファクター 8(20Hz〜15kHZ)

■真空管 6550C×4、6C5×1(後期6SN7に変更)、ECC82×2

■外形寸法(カバー取付時) 485W×176H×408D mm
■重量(カバー取付時) 19dB(6.8Ω負荷時オーバーオール)
■ゲイン 25kg/1台

■国内代理店:フューレンコーディネート

本国:Octave Audio
http://www.octave.de/

MRE130 詳細
http://www.fuhlen.jp/octave/products/mre130.html



17. 中川隆[-6491] koaQ7Jey 2017年9月07日 07:21:49 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

楠 薫のオーディオ三昧 ■ OCTAVE HP500SE/LE ■
http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE.htm

 オーディオって、本当にわからないものです。

 以前、Ayreのアンプを使用していた時には、このプリアンプも試してみていたのですが、 少し音がクリアさに欠け、音が重たいと感じたのですが……。

 それが、メインアンプをFirst Watt SIT-1に変えてから、どうもAyreのラインアンプの音が 浮遊して地に足がついていない音だと感じて、他のプリアンプをいろいろ試聴することにしました。  解像度などの点と、メインアンプと同じ作者だけあって傾向が似ているということで、 ほぼ、パス・ラボのPASS XP-30に決まりかけていたのです。

 試聴機を返却し、AYRE KX-Rを下取りに出して購入資金を捻出し、他のプリも一応試すことに して、手元にクラシック音楽用のプリアンプがなくなったので、とりあえずはOCTAVE HP500SE/LE でも鳴らしておくか、と繋いでみて、ぶっ飛びました。

 First Watt SIT-1でSonus Faber Stradivari Homageを鳴らすと、鮮度が良すぎて高域側にエネルギーが集中する感じで、その分、 ローエンドの量感が不足する印象があり、ちょっとどうかな、と思っていたところを見事に補い、音の鮮度の点ではダイレクト接続には劣るものの、 透明感がありながら、懐の深い鳴り方をします。

 しかも、伸びやかでストレス・フリー。音ではなく、音楽に身を委ねることが出来る音です。

 加えて音が単調にならず、色彩豊か。

 メインアンプに寄り添った鳴り方をしているかのようです。

 もっとも、拙宅のOCTAVE HP500SE/LEは、Limitted Editionで、現行のSVとは回路的にも 少し違うようですが、詳細はわかりません。

 さらに真空管を交換し、私好みの音になっている点も見過ごせません。

■ラインアンプ真空管1:ECC82/12AU7 テレフンケン(ダイヤマーク)
■ラインアンプ真空管2&3:EF184 ムラード
■フォノアンプ真空管4:ECC83/12AX7  ムラード
■フォノアンプ真空管5:ECC81/12AT7 オリジナル(米国製)
■フォノアンプ真空管6:ECC88/6922 ムラード

 ですから、同じOCTAVE HP500SEでも、現行品を購入して、同じ音で鳴るわけではないのですが、 懐が深くてしなやかで伸びやかな鳴り方はムラード。

 楽器の質感を正確に描き出し、色彩豊かでシャープな鳴り方は、テレフンケン。
 たまたまでしょうが、それぞれの持ち味が生かされて、うまく溶け合った音、と言えましょう。

 それが活かされる、真空管の持ち味が損なわれない卓越した回路技術も重要なのでしょう。

 それならばOctave Jubilee Preampならもっと上の音が期待出来るかも、と比較試聴やってみた のですが、友人の言葉を借りるなら、

「こっち(HP500SE/LE)はずるい。真空管の素材があまりにも 違い過ぎる。Jubilee Preampの凄さの片鱗は随所に見えるのに、佐賀関の漁港で水揚げしたばかりの 関サバとスーパーの安売りコーナーに出ている氷で冷やされたトロ箱のサバで料理して比較されちゃぁ、 いくら料理人の腕が良くてもなぁ……」

 同席した他の4人、みな、大きく首肯いていました。
 九州の地元民しかわからない喩えで済みません。(^^;

 そういうわけで、OCTAVE HP500SE/LEは、正妻の座に復活することになりました。
 で、フォノアンプがこれまた凄く出来が良いので、REC Outから取り出して、EMT927からVIOLA SOLO に繋いでいます。


http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-1.jpg

正面です。
ツマミが滑りやすく、力を入れて回すと緩んでしまうことがあります。
真ん中のボリューム、Jubilee Preampのようにロータリスイッチ式の方が良かったように思います。
もっとも、400万円のJubilee Preampと比較しては、ちょっと気の毒かも。

http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-2.jpg

メッシュの天盤が付いています。


http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-3.jpg

出力にXLRはありますが、バランス入力はありません。RCAタイプだけです。
MCカートリッジも使用できますが、個人的にはトランスを挟んでMMで使用した方がEMTの厚みのある 音が損なわれないで良いように思いました。

拙宅の場合、ジャズ用としてプリ部を使用していますから、そういう結果になったのかも知れません。

繊細な感じは、やはりMCタイプが勝っているように思いました。

http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-4.jpg

天盤を取り外したところです。天盤はアルミパネル側の上の2穴が六角レンチ、後ろ側がプラス ネジとなっていて、天盤の上から差し込んで回さないといけないので、柄の長いねじ回しでないと、 届きません。

アルミパネル側にある真空管が、ラインアンプ用の真空管1。真ん中が12AU7で、テレフンケンの ダイヤマークに換装しています。 両脇の2本はEF184で、真空管2 & 3。秋葉原のアムトランスで手に入れた、ムラード製に換装 しています。

反対側の背面側にはフォノ部の真空管が並んでいます。左から真空管4(12AX7:ムラード)、 真空管5(12AT7:オリジナルのまま)、真空管6(ECC88:ムラード)。 詳しくは、マニュアル(pdfファイル)をご覧下さい。


http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-5.jpg

ほぼ、真上から見たところです。プリント基板上にパーツがビッシリ。


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前側から中を見たところです。この配置が、マニュアルの絵と同じ配置になります。


http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-7.jpg

前側から少し視線を低くして見たところです。
コンデンサーが立ち並んでいて、コンビナートみたいです。


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電源部を正面から見たところです。


http://www.kusunoki.jp.net/audio/OCTAVE/OCTAVE-HP500SE-LE/OCTAVE-HP500SE-LE-9.jpg

電源部を後ろから見たところです。
通常、電源スイッチは入れっぱなしで、スタンバイ状態が推奨。
でも、時々、電源スイッチを切る必要に迫られることがあり、背面は操作がしにくく、面倒です。


18. 中川隆[-6485] koaQ7Jey 2017年9月07日 10:00:16 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

OCTAVE V16 Single ended の私的インプレッション
多様性を求めて 万策堂の私的オーディオインプレッション
by pansakuu | 2017-09-01
http://pansaku.exblog.jp/26017439/

http://pansaku.exblog.jp/iv/detail/?s=26017439&i=201709%2F01%2F28%2Fe0267928_00354045.png
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進歩が生まれるのは、多様性の中の選択からであって、画一性を保持するからではない。
ジョン・ラスキン(美術評論家・思想家)


Introduction

ここのところのコーヒーブームからか、
コーヒーに関する本を書店でよく見かける。
現今、僕の読んでいる本も、コーヒーに関するインタビューをまとめたもの。
これはバリスタ達がコーヒーにかける思いを語る小さな本である。

さっき読んだこの本の中のある、バリスタの言葉が妙に気になった。

・・・・・「あの人の表現する味って、どんなものなのだろう」という理由でレストランに行きますよね。コーヒーの世界も間違いなくそういう方向に進んでいくんです。それに「あのブランドの豆を使っている」だけでは一瞬で終わってしまいます。三つ星のスターシェフやスターパティシエのように表現者として有名な人が出てきているなかで、お客様はバリスタとして優れた表現者を探すようになる。・・・・・

僕が通うカフェは東京だけでも30軒ほどあり、ほとんど毎日のように、それらのうちのどこかで何か一杯飲んでいるような生活だ。昨今のサードウェーブコーヒーブームとは関わりなく、東京に出てきた頃から、いろいろな店に出向いては店構えとインテリア、接客の態度、コーヒー・紅茶・スィーツの味質をチェツクしている僕であるが、上記のようなことまで考えたことはなかった。フレンチレストランのようにカフェでも自分の味を表現しうるという部分に僕は惹かれた。
それというのも、コーヒーだけでなくオーディオにもこういう要素があることを感じていたから。

例えばマークレビンソンの初期の製品を代表とするプロデューサー・設計者の個性が前面に出たオーディオ製品の魅力というのは、オーディオを趣味とするための主たる動機たり得る。

あの設計者の創り出したサウンドはどのようなものなのか?ここでは、それこそが僕の興味の中心である。

僕がOCTAVEというドイツの真空管アンプメーカーの音を初めて聞いたのは10年以上前だと思う。社長のホフマン氏が決めている、その特徴的なサウンドにはその当時から変わらない、独特の男っぽさや勢いが内在しており、僕の中では、他のアンプメーカーの音といつも一線を画してきた。

彼がここで高級ヘッドホンアンプに手を染めると、僕は夢にも思わなかったが、もうそんな時代になったのだろう。ハイエンドオーディオメーカーもヘッドホンを無視できなくなってきたのである。

OCTAVE V16 Single endedというヘッドホンアンプにSuper black boxという電源オプションを加えたセットを試聴した僕の感想は、ホフマン氏が表現するヘッドホンサウンドとは、今まで慣れ親しんできたOCTAVEの音そのものであるということだ。そして、この音の個性はヘッドホンの世界に初めて持ち込まれるものでもある。これは恐らく万人受けしない音、比較的無個性な音を指向する日本の普通のヘッドフォニアにはウケない音かもしれないが、とにかく斬新かつ容赦のない音であって面白い。僕は聞き入ってしまった。


Exterior and feeling

随分と変わった形のアンプである。フロントがタテに細長い。建築でいうと、繁華街にある雑居ビルのような形だ。こういう建築は最上階は斜めにカットされて日照を確保している場合があるが、そこのデザインまで似ている。上部はスリットの入った真空管の保護カバーであり、一番下に入力切替と大き目のボリュウムノブがある。アンプのカラーはいくつか指定できるようだが、マットブラックよりは、ジャーマンシルバーの方がこのメーカーらしい雰囲気となると僕は思う。全体の大きさとしては意外と小さく、占有する床面積は少ないが高さはあるので、普通のラックの二段目には入りにくそうだ。やはりこれはデスクトップに置くべきアンプだ。

リアパネルではL/Rのスピーカー端子がついているのがまず目に付く。こういう類の、普通のスピーカーを鳴らすアンプなのか、ヘッドホンアンプなのか、どちらともつかないようなアンプは、経験上は中途半端な音しか出せず、ほとんどロクなモノはないので、僕は心配になった。だがホフマン氏の説明によるとV16 Single endedはヘッドホンがあくまでメインという話であるから信用することにして試聴に臨んだ。OCTAVEには、かなり立派なスピーカー用のアンプがいくつもラインナップされているから、スピーカーを鳴らしたい人はそっちを買うべきだ。こんなスピーカー“も”鳴らせますよなどという余計な配慮はいらない。

大体、このクラスのヘッドホンアンプを買う人間はそれなりのスピーカーシステムを既に持っているか、少なくともそれは十分に経験済みである場合が多いのではなかろうか。その意味でも中途半端なプリメイン機能は排して、ヘッドホンに全力投球して欲しいものだ。

とにかく今回はこのアンプにはスピーカー端子はないものとして、話を進めたい。

http://pansaku.exblog.jp/iv/detail/?s=26017439&i=201709%2F01%2F28%2Fe0267928_00360617.jpg

リアパネルにはRCAとXLR両方の入力端子が備わっており、選択できる。だがV16Single endedというネーミングを考えると、中身はおそらくシングルエンドの構成であろう。XLRは疑似バランスと推測される。したがって今回はRCA入力のみで試聴した。なお送り出しはマランツの中級クラスのSACDプレーヤーであった。

使用できる真空管 としてKT120がデフォルトらしいが、お好みでKT150、KT88、6550、EL34を差し替えて使えるのがまず面白い。替えるとそれぞれで異なる音質傾向が生まれるはずである。ポタアンでオペアンプを入れ替えて愉しむという話があったが、経験的には、真空管の種類を変えることは、オペアンプよりもずっと大きな音質変化を生む場合が多い。もしこのアンプを買ったら、真空管をとっかえひっかえする愉しみは大きいだろう。

OCTAVEと言えばKT120や150などをプッシュプルで使うアンプメーカーというイメージがあるが、このアンプでもその手法を踏襲していると取れる。ただOCTAVEの多くのアンプはAB級動作なのだが、このヘッドホンアンプはA級動作らしい。ちょっと設計を変えてきているのかもしれない。

また、OCTAVEはトランスから入力ソケットまで多くのパーツを自社で設計製造し、オリジナル部品の比率が高いこと、真空管アンプの長期安定動作のためのソフトスタートと保護機能を完備すること、MOS-FETを使った安定化電源を持つことなどを特徴とするメーカーでもあるが、V16 single endedも、その部分はOCTAVEの他のアンプと同じ内容をもっている。

カタログやネット上の情報からアンプの内容を調べていると、ホフマン氏の真空管に対する思いが伝わる。もともと管球式アンプの設計経験はかなりある会社であるが、真空管をそれらしい懐かしさ満載の音を出すために使っているのではないようだ。あくまで現代のオーディオの水準をクリアし、求める音質を得るために必要なデバイスとして真空管を認めているように見える。特に真空管を動作させる電源部の造りにそういう視点を感じてしまう。

なお、OCTAVEのアンプには以前から外部電源のオプションがあって、BOXの名で呼ばれていた。このBOXの中身は、もともとトランス屋であったOCTAVEがオリジナルで作っている大容量のトランスであり、いくつかグレードがあるのだが、今回はその最上位であるSuper black boxを接続して聞いた。

僕は以前、オクターブの上級クラスのパワーアンプとプリアンプの組を取り寄せて試聴したことがある。この時、Boxの有る無しも比較したが、はっきり差を感じた思い出がある。簡単にいうとBoxを接続すると音がグーンと伸びた。こちらに迫ってくる度合いが明らかに強くなるのだ。

こういうオプションを設けているアンプメーカーはほとんどなく、ユニークなアイデアだと思うのだが、このBoxは結構大きいので、ちょっと困る。これだけでかなり大き目のヘッドホンアンプぐらいの図体である。これをV16 Single endedの脇に置くと大掛かりな印象になる。

また、このBoxの面白いのは外部電源装置ではあるが、そこに直接電源ケーブルを接続する形ではないということだ。アンプのリアパネルに専用端子がありそこにBoxから出ているケーブルの端子を接続するだけである。電源ケーブルはあくまでアンプ本体に挿さっている。内部にあるトランスを増設するような働きがあるのかもしれない。

システム全体の外観としては正直、あまり格好良くない。素人が作ったようなアンプに見える。子供が夏休みの宿題で牛乳パックでつくった工作みたいな、かなり微妙なフォルムである。真空管の美しさを前面に出すわけでもなく、かといって全く見せないようにするわけでもない。中途半端な形。いい音がするように見えない。ただ妙に印象に残ることは確かだ。こんな形のヘッドホンアンプは見たことがないから。だいたいOCTAVEのアンプというのは最上位はともかく、それ以外はどれもデザインらしいものに気を使った形跡がない。OCTAVEは外見で洒落(しゃれ)ようという気があまりなさそうである。

OCTAVEがヘッドホンアンプを出すこと自体は大歓迎であるが、こんな見てくれのアンプが120万円の価値のあるものなのか?この外見ではサウンドがよほどなものでないかぎりは話にならない。

また価格の話はしたくないが、OCTAVEのアンプが日本に紹介された当初はセパレートのプリとパワーあわせても130万円前後という設定だったように記憶している(うろ覚えだが)。今はこの小さなアンプ単体で、それとほぼ同価格である。OCTAVEもいつのまにかかなり高価になってしまった。私の感覚ではOCTVEのサウンドは当初から完成されたものであって、現在にいたるまで音に大きな変化はないと思う。なのに値段が高くなったのは何故?やはりオーディオは青田買いに限る。


The sound 

OCTAVE V16 Single ended では、4pinのバランス端子とシングルエンドのイヤホンジャックがフロントパネルに見えるが、Single endedと銘打つとおり、中身はシングルエンド構成だろうから、4pinのバランス端子は疑似バランスじゃのないか。それゆえ今回の試聴はRCA端子を入力に使うのと同じ作法で、シングルエンドのイヤホンジャックだけを使い、MDR-Z1R、HD800s、TH900Mk2などを使って音の傾向を探ってみた。

http://pansaku.exblog.jp/iv/detail/?s=26017439&i=201709%2F01%2F28%2Fe0267928_00382928.jpg


まずちょっと驚いたのは音を出す前にヘッドホンを装着した瞬間。確認のため幾つかのヘッドホンを接続して、ボリュウムを上げて試してみたりしたのだが、少なくとも僕の使ったヘッドホンについては背景のノイズがほとんど聞こえなかった。例えば、マス工房の406の製品版や改良前のGoldmund THA2などでは、ヘッドホンの能率とゲインの組み合わせの問題なのだろうが、はっきりノイズが聞こえる場合があった。

真空管アンプとは多くの場合、ややノイジーなものであり、SNの面で厳しいところがあるのは常識である。だが、このV16 Single endedはその点でかなり優れる。ライバルとなるFostex HP-V8も真空管アンプとしてノイズが低いが、聴感上はほぼ同等の静けさがある。なお、このような真空管アンプの電源についてはグランド分離によりノイズが減るケースがあるが、今回はそのような仕掛けは用いていない。プレーヤーのPLAYボタンを押し、ボリュウムを上げてゆく。

ハービーハンコックのRockitのイントロが流れる。
これは強い。こんなに音圧があるのか。

辛口の引き締まったサウンドで、真空管アンプとしてまずイメージされる緩くて甘美な音が全然出て来ない。鼓膜にガツンと音波をぶつけるようなダイレクトなサウンド。音が飛んでくる。音離れがいいというのはスピーカーオーディオに使う表現だが、思わずそうつぶやきたくなった。ホーンスピーカーをニアフィールドで聞く快感をヘッドホンで味わえるとはね。Rockitにしっくりと来る。

ここではロックやヘヴィーメタル、ラップはとても新鮮に鳴り、良い結果を出す。だが、クラシックやアニソン、Jポップではどうも合わない曲が多いか?いや、音楽のジャンルで合う合わないがあるというよりは、激しくストレートな訴えかけのある音楽がアンプに合っていて、萌えの要素が強かったり、アンビエンスが豊かに取り込まれた音作りをされた音楽が不得意なのだろう。

このアンプのサウンドは、音像、そして直接音が主眼。荒々しく、時に暴力的とさえ映る音圧に押し出されてくる音像が、なかなかに刺激的。

硬い輪郭で描き出される濃い陰影をともなった音像に鼓膜を打たれる。
どんな曲を送り込んでも、明晰さを堅持、弱音すら克明である。
メリハリ、コントラストの強い立体的な音の塊が次々に迫り、ぶつかり、砕ける。


このサウンドには一対一の戦いの兆しが感じられる。真剣で命のやりとりをしそうな覇気がある。こいつはBLEACHのキャラクターである更木剣八のような雰囲気を持つアンプだ。戦いの刹那・刹那だけを愉しむ者であり、危険な遊戯を仕掛けるオーディオマシーンだ。とにかく聞いていてゾクゾクするような嵐の予感が背筋に来る。こういう音は久しぶりに聞いた。凄いなと素直に思う。

空間的な見通しは良くはなく、音場の透明感もない。ホールエコーの広がりなどは申し訳程度に聞こえるけれど、背景に空間の広がりを意識しづらい。そのかわり音像の厚みは、ヘッドホンアンプとして異例などの分厚さだ。この際、空間性の欠如などは捨て置こう。

腰の据わった重たい音が、そんなはずはないのだが、なぜか腹に来る。時に邪悪さを予感させる黒っぽいリズムが刻まれる度に、グーンと伸びてくる低域の存在感が際立つ。この低域がサウンドの重心となって、定位に揺るぎは感じない。この低域の分解能はすこぶる高く、この帯域が緩くなる真空管アンプとは全く異なる。この低域の充実にはSuper black boxが一役買っているはずだ。だが、普通の真空管アンプファンはこの低域を快く思わないかもしれない。例えばHP-V8の低域のゆとり・ふくよかさとは180度、方向性が違うのである。

逞しい骨格と筋肉を誇るボディビルダーのようなマッチョなサウンドでありつつも、鈍重さはない。ハイスピードな出音であり、音の瞬発力高し。現代の最新のアンプに要求されるレスポンスの良さを十二分に備えたアンプだ。スカッとしたヌケの良さが発音の末尾に常に付け加わるような気配もあり、必要以上の音の粘りは感じない。また、音の温度感がやや低く、ことさらに熱気を感じないのは意外だ。クールでサラッとした音である。これはこのアンプの持つスピード感と関連するのだろう。

さらに、やや確信犯的だが、音のエネルギーが中域あるいは中低域にやや集中している。ただし全帯域を少し離れて眺めれば、どうやらナローレンジな音作りにはなっておらず、むしろ真空管アンプとしては高域方向、低域方向にもかなり伸びているワイドレンジな部類らしい。

克明な音像、中低域の力感と高い分解能、反応速度の速さ、鮮度とキレのあるスパイシーな音というのが、このアンプのサウンドを聞いてすぐに思い浮かぶ褒め言葉。これらは全てOCTAVEのスピーカー用のアンプにも感じる特徴である。だが、もう一つの要素がOCTAVEのアンプにはある。力で押す、テンションが張った音の中に、他のアンプには滅多に聞かない、各パートの調和と一体感が表現されているのである。最新のアンプともなれば各パートの音の分離の良さで性能を誇示するアンプが多い中、このアンプでは逆に渾然一体となった様々な楽器の音が堂々と提示される。この特別なブレンド感がV16 Single endedの音に深みを与えているということか・・・。最高級のJubileeシリーズと同じ血液がこの小さなヘッドホンアンプにも流れている。これがホフマン氏の音なのだろう。

妖艶さを盛り込んだ色彩感豊かでしっとりと優しい音というのが、大半の真空管アンプが奏でる音のイメージだが、そのような真空管アンプの標準語の発音・言葉使いとは異なる、いわゆる“方言”を駆使するヘッドホンアンプと言える。これほどの訛(なま)りがありながら説得力もあるヘッドホンアンプはかつて一つだけ知っていたが、それを上回るような、狂おしさ・重苦しさにまでつながるサウンドに、僕は少なからず驚かされた。かつて、G ride audio GEM-1という個性を手放してしまったのを悔やんできたが、全く同じではないにしろ、多少とも似た雰囲気を持つアンプにやっと出会うことができた。


Summary

人間にはある問題が出会った時に、正解は一つだと考える多少スクエアな人と、正解は複数ありえて、それらは互いに排他的ではないと柔軟に考える人がいる。
オーディオという趣味は、良い音とは何かという問題の解を求める試行錯誤であると考えることができるが、その始まりは大抵の場合、一つの理想を追う姿勢に終始する。一つのシステムをグレードアップして自分にとっての理想の音に近づけようとするのである。その過程で我々は様々な機材やシステムを通過し見聞を広め、自分で構築したシステムを味わい、味わい尽くしては飽き、システムを入れ替える。
それを繰り返すうち、色々なサウンドを聞いて達観する。理想の音は一つではないと。

つまり絶対的な一つの解があるだろうと考えて追求しているうちに、正解は複数ありえて、それらは互いに排他的ではないかもしれない、あるいはオーディオとは正解はないが不正解はあるという世界なのでは?という方向に考え方が変わってくる場合があるということだ。つまり多様性に目覚めるのである。

僕がやっている、色々な場所で様々なコーヒーを飲むという行為も、この多様性を求める行動の一環と捉えることができる。

様々な産地、様々な気候・土質そして品種、様々な製法で作られた、多様なコーヒー豆を吟味選択し、バリスタ達はそれぞれに異なる抽出法でもってコーヒーを淹れる。コーヒーの味というのはバリスタごとに異なるし、その日ごとに、一回として全く同じ味で淹れることはできない。これは一期一会がもたらす多様な味の表現なのである。

毎日、その多様性を求めてコーヒースタンド・カフェを渡り歩くことは、まずは究極の一杯に出会うための旅であるし、最後には究極の一杯が複数あることに気付くための旅でもある。

僕のオーディオもコーヒーに似ていて、その中にあるハイエンドヘッドホンというジャンルも、そういう旅のようなコンセプトを持っていると見て差し支えない。
ヘッドホンオーディオを続けるということは、とあるヘッドホンサウンドに出会うための旅であり、また、いくつもの個別なヘッドフォニアの世界があることを認めるための旅なのである。

僕はいつも多様性の中に身を置いていたいと望む。この多様性の前提とは、世界に単に多くのモノがあることだけではなく、互いに明らかに異なる、多くのモノが並立することが重要である。だから僕という人間はいつも自分の知らないモノを求める。自分の知識に既に有るモノとは異なるモノを探している。そして、V16 Single endedは僕が求めるモノに当てはまるのだ。こうして僕は、ヘッドホンサウンドの優れた表現者の一人としてOCTAVEのホフマン氏の名前を新たに記憶に刻むことだろう。

現代は複数同時展開する使徒のごとく、予想外に多くのハイエンドヘッドホン機材が選べ、比較的簡単にそれらと手合わせできる時代である。真空管式のハイエンドヘッドホンアンプに限っても、Fostex HP-V8、STAXのT8000、Sennheiser HE-1、Hifiman Shangri-la、Blue Hawaii、Woo audio WA-234などがあり、どれもマニアの間では、それなりに話題にのぼっている製品だと思う。

またハイエンドに限らなければ、ArtifactNoiseの新作アンプや山本音響工芸HA-02、izo iVHA-1、東京サウンドValveX-SE、Musical SurroundingsのFosgate Signatureなども面白かったし、実際に世話にもなった。

僕はWoo audioの製品を除けば、ほぼ全てを聞いているつもりだが、今思えば、どれ一つとして同じ音を出すものはないばかりでなく、それぞれに他とはかなり違った、個性的な音調を発揮しているものが多い。つまり思い返せば、僕の中で真空管式のヘッドホンアンプはソリッドステートのものよりも個性派揃いなのである。ここまであえてやってきた、柔らかくて甘美で艶のある音などという勝手なくくり方をすべきではなかった。

(それは知っていたが、話の流れからすれば、とりあえずそうしておくしかなかった)
そして、その中でも最も個性派と思われるのがこのV16 Single endedである。

V16 Single endedの個性を聞き、ヘッドホンの世界が多様性に溢れ、深く広くひろがりつつあることを僕は改めて確かめた。実際、このジャンルは未開拓であり、発展途上である。遠くまで自由に歩き回るにはまだ障害が多く、この広大な荒地を好き好んで歩く僕のような者もまだ多くない。しかしだからこそ、やりがいがある。このジャンルに十分に投資するメーカーもオーディオファイルも、新世界の開拓者としてオーディオの歴史に名を刻むチャンスがある。対するスピーカーオーディオは、いくら開発費を注ぎ込んでも、音質の向上率が頭打ちのように思えてならない。カネがかなり有り余っている人間でないかぎり、スピーカーによって新しいオーディオの可能性を追求することはできなくなってきている。またスピーカーの世界は年季の入ったハイエンドメーカーやユーザー達がひしめいていて、いくら努力しても、その分野の先駆者として認知されることが難しい。この状況を理解しているならば、僕がスピーカーオーディオの世界からあえて距離を置く理由も分かるはずだ。

OCTAVEのようなスピーカーの世界で定評のあるハイエンドメーカーが、この新世界に参入することを、一人のヘッドフォニア、そして一人のオーディオの観察者として歓迎してやまない。
http://pansaku.exblog.jp/26017439/


19. 中川隆[-6484] koaQ7Jey 2017年9月07日 10:09:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

HAL3 - VOL.81 OCTAVE プリメインアンプ 試聴レポート
2013年6月27日 H.A.L.3 島
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/octave_premain_report.html



OCTVEはドイツのブランドになりますが、ここ数年日本では人気が急上昇しているブ
ランドだと思います。

私の中ではプリアンプのHP500SE。真空管の良さと現代サウンドとの調和。
ここ近年でもベスト3にあげるぐらい個人的にも好きなプリアンプでした。

その後フラッグシップのJubileeシリーズ。そしてRE280MK2からRE290へのモデルチ
ェンジ。

モノラルパワーアンプMRE220の発売。プリアンプHP300SEはHP300、MK2そして、SEと
進化を続けております。

セパレートになるとプリをパワーで180万からになり、ちょっとと思っているお客様
も多いかと思いますが、プリメインアンプでもOCTAVEの表現したいサウンドは十分
にでており、逆にいうとそのコストパフォーマンスは非常に高いものに感じます。

そこで今回はOCTAVEのプリメインアンプをご紹介したいと思います。


≪OCTAVE プリメイン 比較表≫
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/octave_premain_report.html


五極管プッシュプル
出力管 6550WE×4(KT88, 6L6, EL34にも対応)

型 番 V40SE V70SE V80

ラインモデル
定価(税込) \588,000 \756,000 \1,176,000

出 力 50W + 50W 70W +70W 65W+65W
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/octave_premain_report.html



H.A.L.3で常時展示しているモデルはV70SEで、V40SEとV80に関しましては、輸入代
理店のデモ機をお借りして対応させていただいている状況です。

この3機種に関しましては出力管は全て6550WEということになりますが、V70SEとV80
に関しましては、電源トランスなど含めてほぼ同一モデルとなります。

V40SEとV70SEに関しましてはプリメインアンプという考え方が色濃くでております
が、V80に関しましては、アッテネーター付のパワーアンプという位置づけでの開発
となっているとのことです。

それでは、試聴に入らせていただきます。

まずスピーカーをB&W 805SDを使用しました。

V40SE:透明感のあるサウンドで楽器の響きが非常に良い。
    特にJ-POP系の女性VOCALは楽しく、麗しく感じます。
    アコスティックギターはホール感や弦の質感をうまく表現してくれます。
    JAZZやロックなどは少しきれいになり過ぎるところもありますが、スピード
    感がありますので、フュージョンなどは気持ち良く聞けます。

V70SE:V40SEと比べると当然ながら音に余裕が出るとともに、もっと高域が自然に
    伸びていきます。
    低域も出力があがったということもありますが、音離れが良くなってきます。
    ただV40SEだと全くダメかということなく、805SDでしたらV40SEでもしっか
    りなってくれるように感じます。
    一番差が出たのは、オーケストラで、混濁が減り、ステージが広くなります。

V80 :V40SE、V70SEとは音の出方が全然違います。
   古いJAZZなどは圧倒的にこちらが良いです。
   逆に言うと透明感はV70SEの方が良く、パワー感を重視する音源であればV80
   は非常に生きてくるのではないかという印象を持ちました。

次にSonus faber CREMONA Mを使用しました。

V40SE:Sonus faberとの相性も非常に良く素敵なコラボレーションです。
    B&W 805SDの時よりも個性的な音色ですが、全体的にバランスが上に上がっ
   てしまう印象です。
   ヴァイオリンなどはあまり感じませんが、チェロなどは深みにかけてしまい
   ます。どうしても駆動力不足なところを感じます。特にオーケストラやJAZZ
   のビックバンドは805SDの時は感じませんでしたが、音離れの悪さを感じてし
   まいました。

V70SE:これは素晴らしい!!V40SEの時の不満を解消してくれました。
   女性VOCALはV40SEの時は少し若く良い意味でフレッシュに感じましたが、V70
   SEはもっと大人びたイメージで男性VOCALは渋さが加わりました。
   弦楽器全体ももっと開放的になります。こちらの変化はB&W 805SDの時よりも
   差を明確に感じることが出来ました。

V80 :全体的に深みが増し、高域よりも中域がの張り出しが良くなり、チェロなど
    は断然良くなった印象です。
    ただ個性的なサウンドはあまり感じず、しっかりドライブして安定感が増し
    たというのが率直な意見です。

総評としては、V40SE、V70SEはOCTAVE独特な高域の魅力、V80は土台がしっかりした
安定感のあるアンプに感じました。イメージの中でV40SEの上位モデルがV70SE。V80
はOCTAVEの中でも独特なサウンドのようです。

価格はV80の方が上ですが、B&W、Sonus faberでしたらV70の方が私は好みでした。
ただ鳴らしにくいスピーカーですとV80になってしまうかもしれません。

V40SEとV70SEはしっかり価格差もあり、それが音質に顕著に出ております。

V70SEの方がもちろん良いのですが、ご予算、スピーカーを考えるとV40SEが良い時
もあるかもしれませんね。

ここ最近深みがあるアンプ、空間表現がうまいアンプなどは多いように感じますが、
透明感のあるサウンドは少ないように感じます。それがこのOCTAVEですね。

真空管アンプのイメージの音とはちょっと違うところも非常に面白いです。

真空管アンプの場合寿命や熱を気になされるお客様も多いかと思いますが、
音にほれ込んでしまうと気にならなくなるぐらいのサウンドです。

プリメインアンプをご検討中のお客様は是非候補にいれていただければと思います。

H.A.L.3 売り上げトップクラスのプリメインアンプをご堪能ください!!

おまけ。

真空管のまわりのボンネットですが、安全の為には良いですが、外したほうが音は
良いですね。
http://www.dynamicaudio.jp/audio/5555/4f/octave_premain_report.html



20. 中川隆[-6343] koaQ7Jey 2017年10月06日 14:43:07 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

AIRTIGHT ATM-3211 は OCTAVE みたいなカチッとした写実系の真空管アンプです。
エッジに非常にキレがあり、ヌケが良い音。

モヤッとしたりモタついた音が嫌いな方にはお勧めの管球メーカーです。
それなりの底力のようなものがあるのは確実ですが、JAZZ や JAZZボーカル向きの音質だと思います。真空管の濃厚さも感じられる。

OCTAVE のライバルになり得る実力があるのではないかと思います。

ちなみに今回 TIAS を一緒に回った方は

OCTAVE 13 0→ AIRTIGHT → LUXMAN MB-300

の順で買い換えています。

「古いアンプですが、現代的な OCTAVE や AIRTIGHT と比べると音が古くないです?」


『配線を全部やり直したり、かなり手を加えています。当時のラックスの職人にしか出せない音があるんですよ』

確かにこの方は LUXMAN になってからは長いこと買い換えておられないですね。

その方はスピーカーは Sonus faber Amati anniversario を使われています。



21. 中川隆[-6111] koaQ7Jey 2017年10月19日 10:25:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

真空管アンプの音質傾向雑感 2013年09月28日 MagicMusicさん
http://community.phileweb.com/mypage/entry/3684/20130928/39354/

主要機器 Nov. 3, 2013
Sonus faber Elipsa Red 〜 First watt SIT-2 〜 Burmester 099 〜 Luxman D-08


真空管アンプの音に惚れ込んで導入を真剣に検討したものの
結局は気になる部分があって導入とはなりませんでしたが
参考になるかもということで一応書いておきます。
無論、聞く人によって印象は変わりますので試聴お勧めします。


かなり雑な表現になってしまいますが
トランジスターっぽい音と真空管らしい音ということで

Tr > OCTAVE >> McIntosh > EINSTEIN >> EAR > (UNISON RESEARCH) > Tube

のように感じました。欲しいと思える機種以外の型番は
あまりよく覚えてないのでブランド別の記載です。
機器を目の前にすれば音はよみがえってくるのですが
すいませんです。

マッキントッシュ(MC275のみ試聴) 含めて
右側にいくほど声やら弦楽器の色艶、音の陰影感に優れ
惚れ惚れする音を出してくれてました。


MC275はプリ管が端から順番にオレンジ色に灯り、
最後は全て緑色にパッと変わる様は
まさにイルミネーションファンタジーで一見の価値あり。
ヤバイです。
音質は音の凹凸が聞き取れるような独特の表現力で
思っていたほどカラッとした感じはせず、
高域方向のサラサラ感健在ですが
湿度感のようなものも感じ取れます。
弾む低音がソースによっては少々引きずるので
Elipsaとの相性はもう一息な部分がなきにしもあらず。

個人的趣向ではOCTAVEだけがピアノが透明感高く
右手がクリアーにコロコロコロと鳴り響いてくれて
McIntosh MC275もそこそこいけてました。

ユニゾンリサーチはプリメイン「Preludio」のみ。
試聴環境が悪くいまいち信憑性に欠けますが、
見た目よし、ソース限定で音よし、しかし、
若干故障率が高いようなことをちらほら耳にします。

EARは機種によって結構違う音がするので(値段に比例して?)
色々試聴してみるとおもしろいかもしれません。

EARとユニゾンリサーチは音が丸すぎですが
とても官能的で真空管ってこんな音がするのか〜
と思った次第です。


もし、導入するとなればEINSTEINか次点でOCTAVE。
OCTAVEは球交換の可能性が気になります。

今は手は届かないものの
EINSTEIN The Preamp & The Final cut
がとても気になってますので
Elipsaつなげてそのうち聴かせていただく予定です。

コメント

オクターブが絶対好いですよ 真空管もちゃんと選別だれた物が使われていて最新の技術で作りこまれています

マッキンのC-2200+MC2120は一年で三回も真空管とフューズが飛び嫌になりました。
byJAZZLAND at2013-09-29 06:03


オクターブなかなかいいですよネ!FMはもっとイイデスネ!!!
オクターブは品質もいいらしいです。
でも出るとこ出ててるんですが引くとこ引いて欲しいのにって感じなのでハリすぎる声、低域の押し出し傾向を弱めるように球をうまく選別して調整すればいけるかなと勝手に想像してます。デフォルト管は使わず保管です。

マッキンはハズレ引いちゃったんですかねぇ(・。・、)

高額でmade in Japanだと滅多に壊れないので私にも修理・保守が当たり前に思えない節があります。ドイツもよさげですね。同じ国でも地域によって日本以上に違いますが、やはり欧米の「モノ・品質の価値観」の違いを仕事でも感じてます。
byMagicMusic at2013-09-30 23:01


22. 中川隆[-6088] koaQ7Jey 2017年10月19日 19:07:17 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

OCTAVE V70SE vs. EAR V12

真空管アンプはその構造、動作がシンプルな故に出力トランスの音質の比重が非常に大きく最終的な音を決定づける程です。

OCTAVEを初め、ハイエンドの真空管を採用するブランドの中にはオリジナルのトランスから製造し採用する程に拘りがありますが EARもオリジナルトランスを採用しています。

真空管アンプはもちろんデバイスとして真空管のもつ独特の音色は重要です。
が、一番大事なのはエンジニアのパラヴィッチーニ氏も力説する「トランス」にあるのです。

トランスこそ最終的に音を決定づける最重要なデバイスであるからEARはオリジナルのトランスを使うのです。


試聴はSPに
AUDIO MACHINA / CRM+CRSシステム
LANSCHE AUDIO / NO,3(画像システム)
小型SPとしてSONUS FABER / MINIMA VINTAGEを使用しました。

アンプはV12以外に同じ価格帯の好比較対象のOCTAVE / V70SEを。
CDにはHANSS ACOUSTIV / C-12Jを使用です。


EAR 「V12」

全面に真空管特有の滑らかで色彩感溢れる音に魅了されます。

公称パワーは50Wですが、再生範囲の音量では十分な余裕を感じますし、音色は温かみのある優しい音で、聴き易いです。

豊潤な中域を中心に、スケール感の良い堂々とした低域と、こじんまりとしない中高域を味わえるのが特徴です。

楽器が歌ってるとでも言いましょうか。楽器の音色が気持ちのよいものです!
温度感を感じる音色と滑らかさを十分に味わえます。 そして低域がしっかりとしているので、音量に関わらずにどんな音楽も楽しめるのです。

またシステムにもよりますが、真空管故のノイズもほとんど気になりません。
真空管の魅力でもある、音量を下げた少音量でも、薄くなる事なく、色濃く聴けるのです。

大音量でも崩れずしっかりと駆動し、また小音時の再生時でもぶれずにしっかりとしている音場再現は、この価格にしては大したものです。 解像度も良好で、アコースティック・ギター等の弦の繊細感は非常に良く再現され、音量に関わらずに流れるように聴かせます。

音色も真空管特有と書きましたが、柔らかい一辺倒ではなく力強さも感じますし、低域などはしっかりしています。

CRM+CRSでは実際に直接駆動しているのは上のCRMですが、駆動するアンプの効果は全体に表れ全体の柔らかさを感じれます。

LANSCHE AUDIO / NO,3は90dBを越える高能率ですので、そもそもパワーはそこまで必要ではないのですが その分アンプの音色は非常に出すものです。CORONAツイーターの良さでもある、「見通しの良さ」と「空気感」を大いに感じれるものです。


ここで同じカテゴリーでもあるOCTAVE / V70SEと比較してみましたが、

大きく変わるのは低域のスケール感や音色の濃さ等はV12が大きく惹かれます。

全体をスケール感良く気持ちよく慣らすOCTAVEは、やはり優等生ですし、改めて魅力を感じますし、 V12のリアリティを考えながら、上手く演出するのですが、その演出が非常に上手いのです!

ただ、この辺りもどちらが絶対、というよりは好みによる部分もありますので、ご検討の際には一度比較試聴してみても良いかもしれません。

リモコンはなく、アナログ入力のみのシンプルなプリメインだからこそ、デザインに遊び心を持たせ音質を考慮し、音楽を深く楽しんでもらう、V12を前にするとそういった思いが感じられます。

真空管の柔らかさ、滑らかさ、そしてシンプルな構造がもたらす、素直でありどんな音楽を楽しく聴ける演出感・・これらが「V12」の魅力と思います。

EAR 「V12」 定価:¥998,000 (税別)

「ダンディズムが宿る英国の高貴」

「パワフル、スムーズ、そしてシルキー。V型12気筒の咆哮が響く恍惚の瞬間」
素晴らしいプリメインアンプの登場です。


≪スペック≫
•インテグレーテッドアンプ/クラスA級/パラレルプッシュプル

•パワー出力 : 50W+50W/ ステレオ

•入力 : 5系統(RCA)/リモコン無し

•出力 : 1系統(TAPE OUT

•周波数特性 : 12Hz-60kHz-3dB(1/2パワー)

•ダンピングファクター : 10

•SN : 93dB

•入力感度 : 400mV

•入力 : 5系統(RCA)

•入力インピダース : 47KΩ

•出力インピダース : 4Ω,8Ω

•消費電力 : 200W

•重量 : 22kg

•サイズ : 420W×440D×135H

•使用真空管 : ECC83 x 10,EL84 x 12
http://www.dynamicaudio.jp/5555/5/osusume_hard_26.html


23. 中川隆[-5687] koaQ7Jey 2018年2月06日 20:25:32 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

ヤフオク! - アンプ - 「オクターブ」の検索結果
https://auctions.yahoo.co.jp/search/search;_ylt=A7dPDjIPkHlaY38A0M5APDh8?p=%E3%82%AA%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%96&aq=-1&oq=&fixed=0&ei=UTF-8&slider=0&tab_ex=commerce&auccat=23792&x=0&y=0
https://auctions.yahoo.co.jp/search/search;_ylt=A7dPFlWtj3la4i0ArkFAPDh8?p=OCTAVE&aq=-1&oq=&fixed=0&ei=UTF-8&slider=0&tab_ex=commerce&auccat=23792&x=0&y=0


OCTAVEは繊細で気品のある音でクラシックを静かに鳴らす印象が強いが、ダイナミズムに溢れた激しさもある。透明感があり研ぎ澄まされた切れ込みの良さは半導体譲りの反面、真空管の中では色味は薄くなるが、中高域の色彩感はやはり石では中々得難い。

FMやブルメスターと比較するとニランク程格下になる


24. 中川隆[-5685] koaQ7Jey 2018年2月07日 11:22:10 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

FM「とにかく力強く毅然として盤石の安定感、群を抜く高性能と精密感、低域の制動力」

Burmester「力強く雄大で濃厚、脚色や演出感はもっとも強い。声楽が絶妙。柔らかい低域は量感が多い」

OCTAVE「強靭で力強く激しくLIVE音源向き、低域の量感は少なめでスッキリとしており与し易い。引き締まった音」


25. 中川隆[-5471] koaQ7Jey 2018年3月15日 20:18:47 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-8523]

過去の使用歴 アンプ編 【最新版】|禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12071618740.html

プリアンプのナンバーワンは、
FM Acoustics FM155

パワーアンプのナンバーワンは、
FM Acoustics FM411


OCTAVEは広帯域で透明感が有り非常に綺麗に磨かれて洗練された上品な音、ソースに対する追従性があり、ダイナミズムがありジャジャ馬でかなり「激しい音」も出す。

VIOLAは隈取りも太く、FMは力強いが抑制された美音で整然とした盤石感は上だが激しさが足りない

「鳴りっぷりのよさ」FMの方が格上


BRAVO vs. FM411
VIOLAの方が透明感やフレッシュな鮮度感が高く、S/N比やレンジや激しさでは上、

FMは上から下までスピード感が揃いフォーカスがピシッと合う。
音の実態感や浸透力があり「鳴りっぷり」は上で、巨大アンプのような振る舞いだが、クイックで機敏な音のメリットはサイズと一致。弱点はS/N。


BRAVO痺れるなァ〜!
新鮮でかなり激しく鮮烈でシャキシャキした音で、鈍さは僅かにあるけど、LUXMAN MQ36が「感動」する音だとしたら、BRAVO は「爽快な音」で聴いていて実に痛快!非常に素晴らしい。

LUXMAN MQ36は色々な制約が厳しいけど、BRAVOは「サイズ」以外はストレスフリー。
音だけ評価すればMQ36の方が好き。


LUXMAN MQ36 国宝・レジェンド級OTL管球パワーアンプ 華やかな陽性のエナジーが放射される。活き活きとした圧倒的な音楽の高揚感。柔らかく包み込まれる包容力と優しさ、深く沈み込んでくる堂々とした低域。歯切れのよさ、シンバルのシャープな切れに瞠目する(!)まさに忘我の境地「音楽を選ぶアンプ」


MQ36 初期KRELLのような陽性の音色でエモーショナルで躍動感がある。OTLだからクリアーサウンドかと思いきや、幽玄で霊妙な管球銘機の濃密さはKRELLでは得られない。一方で最大出力や駆動力ではKRELLには遠く及ばず。物凄い感激!物凄い感動!製作者に会いに行きたくなった!発熱量も評判通り凄い(笑)

VIOLA BRAVO 広帯域で剥けるような鮮度の高さ、非常に綺麗な音で純粋で透明なのに色気がある。ソノリティが特徴的で魅惑的、クールな音色。巨艦だがスッキリした音でダイナミズムに優れ、激しくスペクタクルでスリリング。モノBTL化で出力四倍になるがS/N比と駆動力が低下。モノパラレル化で出力二倍。


現代も「力強い音」はあるが「激しい音」は無くなってきた。

少し前のConnoisseur 3.0や4.0 VIOLA Constellation OCTAVE、あとはKRELL DUO 300も現代的でニュートラルな音だが、獰猛で強靭で筋肉質な音である。


26. 中川隆[-7843] koaQ7Jey 2018年4月07日 01:16:40 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10003]

ドイツLEONI社製スピーカーケーブルのご紹介:螺旋館Blog 2009-02-07
http://rasenkan.blog.so-net.ne.jp/2006-02-08

音質が優れ、手ごろな値段のスピーカーケーブルとして、ドイツLEONI社のスピーカーケーブルをご紹介します。

LEONI社はドイツに本社をがあり、ケーブル製造の大企業で、世界中に20,000人を越える従業員と60の設備をもっているそうです。日本では、あまり知られていない会社ですが、欧州におけるBelden/CDTのような位置づけのメーカーではないかと思います。

クラングフィルム、ジーメンスなどのビンテージ・スピーカーケーブルを見ても、LEONIの外皮とそっくりな色のものがあるので、確証はありませんが、こういったメーカーにもOEMで線材を出していたのかもしれません。

現在もオーディオ分野については、スタジオユース用のスピーカーケーブルをカタログに載せていますが、LEONI社に直接依頼して、1990年代に一部のオーディオファンの間で評価の高かったスピーカーケーブルを特別に再生産して貰いました。LEONI社の担当者には、大変感謝しています。このケーブルはWestern Electoric研究家の池田圭さんと、その周辺のかたがたも愛用していたそうです。彼らは、Western Electoricの電線(ほとんどがOEM品ですが)は使わなかったのですよ!

メーカーの内部資料にもSpecial Audio Cableとあるだけで、生産方法は残っていても、詳細は不明のようです。現在市場に出ている殆どのWestern(ということになっている)ケーブルと異なり、他の目的のケーブルをオーディオ用と偽っているものではありません。

写真のように赤と青の被覆のシンプルな外観のケーブルです。

http://rasenkan.blog.so-net.ne.jp/2006-02-08


LEONIスピーカーケーブル

LEONIの極細銅線

被覆は非常に柔らかくしなやかなもので、日本やアメリカ製の被覆ではあまり見かけない、ドイツ独自のタイプです。

被覆、銅線ともに経年変化が少なく、被覆の硬化や銅線の錆などが発生しにくいので、長期にわたって安定した使用が可能です。私の手元には、1990年代に輸入されたものも若干ありますが、被覆の硬化も殆どなく、被覆の下の導線の酸化も殆どありませんでした。

銅線のスペックに関しては、メーカーが情報を開示していませんが、表面に特殊なガス処理を行っているらしく、これが、銅線の経年変化が少ない理由のようです。すずや銀のメッキ線と異なり、銅線の表面に異種金属を介在させないため、音に余分な癖がつきません。

音質は、非常にナチュラルで癖が有りません。愛用者の方が、60メートルの長尺と一般的に使われるであろう5メートルの音質の差を比較する実験をおこなったところ、両者の音質の差が解らなかったそうです。品質が悪いケーブルであれば、当然、長ければ長いほど、音質は悪くなりますし、高級・高音質のケーブルでも、特定の色つけがあるのならば、ケーブルの長さにより音色に変化が出る筈です。このことからも、このケーブルが如何に品質が高く、固有の音質を持たないものか、お分かりと思います。

高音質ケーブルの名前に踊らされて、意外と多くの人が見落としている視点が、劣化も色付けも無いケーブルです。かつて、色付けの少ないアンプはGAIN WITH WIREと呼ばれたものですが、今はそのWIREが色付けを持っている場合が多いのです。(これは、良し悪しと思います)

ケーブル固有の音質の色つけ(キャラクター)を利用して、システム全体の音の調整をしようとしている方には向きませんが、ケーブル固有の音を嫌い、アンプやスピーカー本来の音を聞きたい、本来の性能を発揮させたい と思う方には、最適な選択肢の一つとお勧めできます。癖のすき無い音質のため、基準となるケーブルとしても有用でしょう。

ビンテージオーディオから、現代のハイエンドオーディオまで幅広い機器に、よくマッチします。私も両方のシステムで愛用しています。ビンテージ機器の特徴的な音を活かす意味でも、現代オーディオ機器のニュートラルで色付けの少ない音を楽しむためにも、ケーブルで音質を演出しては本末転倒です。


赤青セットを3500円/m(税込み + 送料一律500円)でお分けいたします。赤青セットで、通常のスピーカーケーブルとして使用しますので、たとえば、左右のスピーカーに2mずつ使いたい場合、赤青セットが4m 3500x4+500=14500円になります。

特に使い方に指定はありませんが、ケーブル表面にLEONIの文字の刻印がありますので、ケーブルの方向を管理したい場合は、

アンプ → LEONIの文字の方向 → スピーカー

と合わせると良いでしょう。

スピーカー端子には、全ての導線を差し込み、接触不良やショートが生じないように注意してください。スピーカー端子の形状によっては、バナナプラグやYラグを使用してもよいでしょう。特に高価なものである必要は有りませんが、接触不良にならないよう、しっかり圧着できるものを使ってください。

購入を希望される方、質問がある方は、下記Web Pageの下のメール用フォームを用いて、WebMasterまでご連絡ください。


http://www013.upp.so-net.ne.jp/rasenkan/audio/leoni.html


販売は、管球王国の特集記事にも登場している川崎のVintage Audio SHOP TAFですので安心していただけると思います。

私のオーディオ仲間に、モニターをお願いしたので、こちらも参考にしてください。


http://rasenkan.blog.so-net.ne.jp/2005-04-28


P.S.
LEONIの現行製品のライン用ケーブルもTAFさんで数種類のサンプルを取り寄せて、一番好ましい音質だったものを購入し、販売できるようになっています。こちらは、ビンテージ線ではありません。

コメント


今、airbowの6N14Gを使っているのですが比べるとどうなんでしょう?
これしか使ったことがないので(^_^;)
by miya (2009-02-11 00:14)

6N14Gは、勿論、非常に優秀なケーブルですが、LEONIの赤青線に交換すると、若干の誇張感があって、マスクされていた音があったことがわかります。
(2度、別のシステムで6N14 → LEONIの移行をしています)

LEONIは、そっけなくてケーブルの音の存在を意識させないものですから、システムによっては、物足りなく感じるかもしれません。良くある音の良くなるケーブルではなく、音の変わらないケーブルです。
by YAS (2009-02-11 16:02)


hifi堂に、このページの記述をパクられました(苦笑
by YAS (2012-05-06 15:43)
http://rasenkan.blog.so-net.ne.jp/2006-02-08


27. 中川隆[-7842] koaQ7Jey 2018年4月07日 01:24:37 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-10003]

VINTAGE AUDIO

ドイツ製のAUDIOを中心に紹介及び販売を致します。

コレクションして来たアイテムやレア品や試作品など、オークションとは
違った形にて、お薦め品をじっくりと販売していきたいと考えております。

また、お探し品などリクエスト頂ければお探し致しますのでお気軽にお問い合わせ下さい。     


German Kabel Collection
http://www.vintagejoin.com/Kabel.html

ドイツのスピーカーを扱って来ておりますが、マッチングのケーブルとは?
と常に考えておりました。ここに来て目ぼしいケーブルが揃って来ましたので
紹介、及び販売を始める事となりました。YAHOOオークションなどでも
故意なのか、無知なのか、常識を外れた値段の物や明らかに違う物を
Klangfilmなどとして売られているケースも見られます。
情報が少ない分要注意です。

適正価格にて、そしてより良いケーブルを提案していく予定であります。
ドイツのケーブルの素晴らしさを少しでも紹介できたらと思います。

RCAケーブル加工品について

ケーブルを手で撚った後にプラグ周りには独自のシールドおよびデリケートな
ケーブルに力がかからないよう強度加工を施しております。
プラグは音質面、コスト面でも定評のあるNEUTRIKを使用しております。
ハンダは和光テクニカルSR-4NCuを使用しております。
シールドケーブル以外の加工品はPhonoケーブルにはお奨め出来ませんので
予めご了承下さい。


スピーカーケーブル加工品について

ケーブルにストレスを与えないように手で撚っております。
最大4mまでの延長加工も可能です。

SIEMENS 0.4mm 単線ワイヤー





1980年製のビニール被膜単線ワイヤーになります。0.4ミリ径にて固めのワイヤーです。
単線ワイヤーとしては理想の太さかと思います。
バランスよく安定したサウンドを奏でます。ラインケーブル、スピーカーコードと何でもこなします。

RCAケーブル(加工品) 50cmペア 4,500円


VEB KABELWERK Berlin 単線ワイヤー





80年代、東ドイツの0.4ミリ単線ワイヤーになります。とてもしなやかなケーブルです。
華のある表情豊かなサウンドを奏でます。ワイヤー通の人ならばVEB(東ドイツ)の
ワイヤーと聞いただけで、そそられる事でしょう。


RCAケーブル(加工品) 50cmペア 4,500円

LEONISCHE DRAHTWERKE AG HF Litzs線





1569年設立ドイツの老舗メーカーになります。現LEONI 社の元会社の1社になります。下記参照
http://www.schoene-aktien.de/leoni_alte_aktien.html

電気はワイヤーの表面を流れます。よって太いワイヤー1本よりも細い表面を絶縁されたワイヤー(エナメル線)を並列に並べた線(Litz線)の方が損失が少なく
流れます。そして生産に手間がかかることにより高価です。

上記の事より細い線ですが見た目より表面積が広いのでキチンと電流が流れます。
そして非常に繊細で、情報量の多いサウンドを奏でます。このLitzs線は60年の物ですがエナメル加工にて線の劣化(酸化)も見られませんので、ほぼ新品と同じ性能でしょう。人によっては線も半田も寝かせたほうが音が良くなるという人もおります。大変希少な線でもあり情報量豊かなサウンドをお楽しみ頂けます。


RCAケーブル 50cmペア 7,000円


*Litzs線は表面のエナメル質をとらないと通電しませんので
扱いになれた方のみお奨め致します。
http://www.vintagejoin.com/Kabel.html



28. 中川隆[-13350] koaQ7Jey 2018年10月27日 07:57:22 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19570] 報告

ドイツの音楽、ドイツの音、そして世界の音
https://www.calvadoshof.com/NewAudio/audiohistory7.html


音の傾向にも文化がある

アメリカのハイエンドオーディオショップに何回も行くうちに、アメリカの人たちの音の出し方が日本と大きく違うことに気づいていました。というよりも、日本の音の出し方が違うのではないかと思うようになっていました。

中低域の厚さが、日本の音の出し方にないのです。日本の音は、安っぽい造りの悪いコンサートホールで、痩せこけてしまった音を聴くような音で鳴らしていることが少なくありません。一言で述べると、音のバランスが異様な崩れ方をしているのです。

カセットやCDのウォークマンが開発された後、いろいろな人たちが音の良さ?に驚いたといいます。

音作りのよさにそうした評価が集まるのだと、当時いろいろな人が言っていました。これは半分当たっていますが、半分はそうではないと思います。
当たっているところは、音のバランスが取れているという意味で音作りが良かったところでしょう。

そして外れている点は、意識的に音を作っているとは思えないことです。

低出力ですし電池駆動であるので、条件がよく、良い音を出しやすい装置の一種です。

他方の真実は、それほどに音がおかしいオーディオ製品が当時に蔓延していました。このような音の作り方は、音の文化として当時に蔓延していたもので、デジタルオーディオの時代になってから大分訂正されてきました。しかし、地域的な音の文化として、日本とアメリカには出す音に大きな違いがありました。これは機器の違いというよりも、日常聴いている音楽の違い、そして、人の中にある音楽観の違いにあると思います。

そうした中でドイツに訪れた私は、それまでちょっとしか知らなかった新しい音楽の形と音の姿を知ることになりました。

ドイツの音楽、テクノとクラシック

ドイツテクノ
ドイツテクノは、ベルリン崩壊と同時に、
使われていない地下室のクラブカルチャーとして進展しました。
やがてドイツ全体でテクノは大きな文化として
根付いていきます。この時代背景の精神性こそ、
ドイツテクノの原点です
フランクフルト クリスマスマーケットの光景
フランクフルトのクリスマスマーケット
街のどこかにいつも屋台街があるのがドイツです

ドイツに訪れるまでは、ドイツの音楽文化というとクラシックしか連想しませんでした。私はもともとクラシック好きでしたし、ドイツ音楽が好きでした。訪れて驚いたのは、ドイツの日常の音楽というとテクノが中心だったのです。

ドイツテクノはメロディーがあまりなく、クラシックで言えば現代音楽的な感じです。

はじめ私には心の中にものすごい抵抗感があり、雑音のように聞こえていました。現代音楽のコンサートであれば聴こうと思い行っているのですから楽しめましたが、ドイツではちょっとした場所のBGMでも、平気でテクノがかかっていました。ちょっと不意打ち的で、あーあ どーしよう、というのがはじめの印象でした。

しかし、滞在期間が長くなるにつれ、私の中にドイツテクノに対しての許容体ができたようです。だんだんと聴いていて楽しくなるようになり、自分でもドイツテクノのCDを買い求めるようになってきました。


また、ドイツの日常にはクラシックも根付いています。お祭り好きなドイツ人のこと、大都市に行けば、土日はどこかに出店が出ており、街頭でいろいろな人がバイオリンやその他の楽器演奏をしています。ちょっとしたお金が欲しくて音楽の教育もなにも受けていない人が笛をめちゃくちゃに演奏をしていたり(どうも東ヨーロッパ出身の教育の無い人たちみたい・・・演奏家が結構お金を投げてもらっているのを見て真似しているらしいです)、音楽学校の生徒さんが自分の演奏を聴いてもらいたくて演奏していたり、演奏を楽しむサークルみたいな人たちがやっていたり、玉石混交で面白いです。

しかし、日本とは1つ違いがあります。日本で街道の演奏というと携帯用PA設備を持って、大きな音にして、へたな演奏を無理やり聴かせるという犯罪的な場合が少なくありませんが、ドイツをはじめとしてヨーロッパではPAを使用しない場合が少なくありません。

そうして聴ける音は、アコースティック楽器の柔かく美しい音です。

アコースティック楽器の音について誤解があるように感じるのですが、アコースティック楽器の音は演奏する場所により完成します。基本的には、コンサートホールで演奏するのですから、コンサートホールで演奏して音が完成するように作られています。ですから、屋外で演奏する場合音は反射音が不足するため楽器本来の音としては未完成になります。このような環境では、ほとんどの場合、柔かい暖かい音になります。中高域ほど反射しやすいので、ホールの中の音としてそうした音が楽器に重畳されているので、全体の音のバランスを考慮した楽器の音はちょっと柔かい感じになるからです。

このような音楽を聴く人たちは、音よりも純粋に演奏を楽しんでいます。クラシック音楽は、美しいメロディとハーモニーが基本ですので、メロディが中心に無い現代音楽やテクノと対象を成しています。ひょっとすると、ドイツの人たちにとっては、クラシックの発展形が現代音楽を超えてテクノなのかもしれませんね。

アメリカとも日本とも異なるドイツの音

ドイツはオーディオについても高い水準にありますが、その音はアメリカや日本とは異なります。信じられないほどたくさんのメーカーがあるのですが、日本のようなマスセールスと縁のない小さなメーカーも少なくなく、また、ドイツ製品は鳴らし方を間違えるとじゃじゃ馬になってしまいそうな製品が多いからか、日本ではドイツのオーディオメーカーはあまり知られていません。ですから、ドイツにはオーディオメーカーが少ないと誤解している方も多いようです。日本でのオーディオの情報は大変偏っています。ドイツはオーディオ大国です。ドイツの音には以下のような特徴があります。

1. 原理に忠実

MBL無指向性スピーカー
MBL 101 X-Treme Speaker System
ブーメスターのパワーアンプ
Burmester Power Amplifier 909

ドイツのオーディオ雑誌を見ると、どのような製品についても膨大な測定データが用意されています。これはメーカが測定したものではなく雑誌が測定したものですが、周波数特性、歪率だけではなく、位相特性、方形波やパルスを入力した結果の特性などすべてが公開されています。

こうした背景から、ドイツのスピーカーは小口径のものが多くなります。その理由は位相特性を制御しやすいからです。大型のスピーカーは正しい過渡特性をそのままでは実現できません。

また、この時代からドイツにはデジタル信号のままスピーカーの位相特性を制御する製品が昔から製品化されていました。

いずれにしても、音だけではなく更に正しい特性を実現していない製品を好まないドイツの人たちのオーディオに対する考え方が出ていると思います。

このような背景から、世界で最も多くのハイエンド無指向性スピーカーが製品化されている国でもあります。スピーカーの指向性は、スピーカーという機構にとって原理的にマイナスだからでしょう。また、ドイツのがっちりとした家の構造において、無指向性スピーカーは素晴らしい性能を発揮できます。日本では、どうでしょうか・・・。写真はベルリンにあるハイエンドオーディオメーカーMBLの無指向性スピーカーです。同社は、長い間、この方式のスピーカーを作り続けています。

2. 広帯域な音

ちょっと聴くとアメリカの音よりも高域がずっと伸びた音をドイツでは好むようです。

これは、楽器の音、それも近接している楽器の音になれている人たちだから選ぶ音なのだと思います。

日本の音は中高域にちょっと癖が強い音にする傾向があるように思いますが、ドイツでは透明で強力な中高域を好むようです。

ドイツのハイエンドオーディオメーカーで最も有名なメーカーは、ブーメスター(Burmster) 脚注20です。あまり日本には輸入されていません。

同社の製品は日本やアメリカのように電源電圧が低い国では能力をあまり発揮できないみたいな気がしますが、ドイツらしい音を実現している素晴らしい製品群を送り出しており、ドイツのオーディオの原器を提供しています。

私はブーメスターの音を知ってから、初めてワーグナーが好きになりました。広帯域で痩せない音とは、ブーメスターのような音を言うのだと思います。

3. 幅広い音楽の志向

すでに述べたようにドイツではクラシックとテクノが愛されており、オーディオ機器は音的には全く異なる傾向をもつ音楽を取り扱います。

そこに、オーディオ機器としての試練があり、クラシックとテクノというまったく異なった啓子馬音楽をうまく再生できるシステムが多くあります。

クラシックだけではない音楽の志向こそ、現代のオーディオ機器がくぐらなければならない関門であり、ドイツのさまざまな製品はその試練に、原理に忠実な音により答えています。

聴いて気持ちがいいだけでは許さないドイツの音楽に対する魂は、アメリカのおおらかな音とも、日本の変に神経質な音とも、全く異なり、幅広い音楽に対して門戸を開いています。

ドイツで最高の製品は、国境に関係なかった


ドイツのハイエンドオーディオフェアの様子
これは私が参加した時の写真ではありません

このようにドイツの音は大きく志向が日本やアメリカと違うのですが、ドイツで愛されているハイエンドオーディオ機器はここで紹介したブーメスターやMBLだけではありません。KRELLもMark Levinsonも愛されていますし、他のハイエンドオーディオメーカーも愛されています。アキュフェーズだってドイツで鳴らされると暖かい素晴らしい音を出しています脚注21。これらのメーカーの製品は、聴く人の意思に合わせて最高の音楽を実現していたのです。

ドイツのハイエンド・オーディオ・フェアがフランクフルトのケンピンスキーホテルで開かれたとき、私は2日間通いました。ドイツとヨーロッパで愛されている音を本当に知ることになりました。日本には知られていない様々なオーディオメーカーがひしめいていました。日本のメーカーのブースはアキュフェーズを除いてみっともないものでした。ほとんどの人が一聴して立ち去ってしまうのです。

その理由は明白です。日本の最高級の製品ですら、ヨーロッパやドイツで知られている音楽の域に達していないからです。なぜ恥ずかしげもなく出展できるのか私には理解できませんでした。

私の音に対する感覚が大きく飛躍したのは、ドイツに3年間いたときだったと思います。


第06章 モバイルオーディオの至福 オーディオの遍歴 INDEX !第08章 JPOSに心を打たれる


脚注20

昔はCECが輸入していましたが、今では輸入していません。ブーメスターの広帯域で可憐な音はその音を知らない人には取り扱えない厄介なオーディオ製品かもしれません。

脚注21

国際マーケットで低価格製品に手を出すという過ちから知名度を傷つけてしまった同社の製品を広く輸入している国は今ではドイツだけです。しかし、ドイツ人の音楽センスは同社の音を全く異なったテイストで鳴らしており、私は心を打たれてしまいました。
https://www.calvadoshof.com/NewAudio/audiohistory7.html

29. 中川隆[-13430] koaQ7Jey 2018年11月04日 10:09:50 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19975] 報告
KL-32611 アンプ  実用化に向けて
Der Klang vom Theater (ドイツ〜劇場の音と音楽)2011/10/07
http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-295.html


営利企業と言うものは、すべからず効率を上げて利益を追求し公人としての社会責任を全うし・・・

ま、平たく言うとコストを下げて売上を上げる為に、合理化は不可欠なわけで。
劇場用の音響システムを提供するのであれば、館の大きさによって適宜ウーハーやドライバーの数を増したり、ブースターアンプで出力の増加を図ってフィッティングを行うと基本コンポーネントはそれぞれ一種類あれば使い回しが利きます。

WEだってALTECだって、これは当然のことですね。(515を4本に288を2本使うとかね)

ところがどうも、ドイツ人の生真面目さというか融通の利かない処ですがKlangfilmのシステムでは想定される劇場の規模によってアホみたいな種類のラインナップが用意されており、企業の効率としては最低の部類に入ります。
よって、そんな体制は間もなく崩壊しましたが。


多くの人は「オイロダイン」という名前のスピーカーがあると思っているようですが、実は「オイロダイン」はシリーズの名前で、そのシリーズを構成するパーツとしてアンプもスピーカーも存在します。

ちょっと古いけれど、ONKYOの「INTEC」というシリーズ名のような意味合いで「オイロダイン」という呼称が使われているのです。
「INTEC」の中にはアンプもスピーカーもあると。


前置きが長くなりましたが、800人のホール用として

Europa-Junior-Klarton シリーズがあり

それを構成するスピーカーに KL-43006 が
同じくアンプとして        KL-32611 が配置されています。

http://blog-imgs-17.fc2.com/k/a/o/kaorin27/01_convert_20111007125524.jpg


アンプにも ジュニア−クラルトン−アンプと命名されています。

同様にオイロダイン−アンプもありますが、実際には使われていないアンプも(ドイツ製というだけで)オイロダインの威勢をかったモノも多く流通していますので、購入の際にはそんな乗っかり商法には注意が必要です。

その辺りは別途詳しく記事にしたいと思います。


さて、そんな専用のアンプを使うことを楽しみに購入し、整備をしたのは数年前になります。
出てきた音は納得以上のパフォーマンスでした。しかし、ステージ上に置かれたスピーカーを駆動するアンプですからノイズに対する許容度が桁違いです。・・・・ひどいノイズの量です。

入力をショートし、出力端をバルボルで測ってみると、80mV(200Ω)あります。

普通のメーカー製多極管PPアンプならば 0.5mVでも大きい方か。

ヴィンテージアンプや三極管アンプでも 2〜3mV辺りには押さえたい。

まあ、出力Zが200Ωですから単純比較はできませんが、それにしてもです。 
自分としてはハムを気にしない方です、しかしこのままでは鑑賞に支障の出る状態です。

http://blog-imgs-17.fc2.com/k/a/o/kaorin27/PICT0055.jpg

記念にノイズの波形を撮っておいた。

60Hz に120Hzが乗って、お手本のような電源ノイズ(Hum)。


此処からがノイズ退治のスタートです。

しかし、私はノイズ対策はあまり経験がないのです、AD-1sアンプは最初から問題なく現在はヒーターをAC点火しているくらいだし。
Ziessのアンプは同じ劇場用なのに全く問題ない。(さすがに大企業はたいしたものだ。というか傍熱五極管PPだから当たり前?)

以前に使っていたV69を始めとするスタジオ用のアンプは「壊れているんじゃないか?」と疑うほどLowノイズだった。


このNet時代は本当にありがたいもので、その気があれば自宅に居ながらにして勉強が出来る。

とりあえずは、ハム対策の方法論の勉強を必死に始めました。

コメント


オイロッパアンプ

こんばんは、ご無沙汰しています。

以前、お邪魔させていただき、ありがとうございました。

音楽は?で、音にこだわってしまう性分で、自分でもしょうもないなあ、と思っています。

聴かせて頂いて、CR結合のシングルアンプのすばらしい音と思いましたが、、、個人的には、ちょっとこのスピーカーの本来の鳴り方とは、きっと違って、、などと感じました。生意気なこと、書いてすみません(笑)当時のアンプでは、どんなふうに鳴るんだろうと、考えながら聴かせていただきました。

オイロッパアンプ、出力がAD1のPPで、前段は傍熱管のようですので、当時でもノイズは家庭でも全く問題ないレベルまで、押さえられていたのでは、と思います。
たいへんでしょうが、是非ノイズの処理上手く言う事願っています。

RCAの245アンプや、フェランテーアンプなど、電源平滑は4マイクロが2つ使われているくらいで、ほとんどノイズは出ません。B電源のコンデンサーは、これで十分のようです。ここに、大きなコンデンサーを足して、何とかしようといろいろやったことがありますが、、、、

それにしても、プレートチョークを使い、それをDCカットして、またインターステージトランスに入れるという、とんでもない回路のアンプですね!(笑)

2011/10/08(土) 01:43 | URL | marco #-[ 編集]

昔懐かしい回路図が!

おはようございます。

むか〜し・・・中学生の頃ラジオを弄り恥じまた頃の
このケースに貼り付けて有る回路図を頼りに
分解してまた組み立てて・・・をしていましたが
カソードに当たる○印の意味が判らずに復活出来ずに
壁にぶち当たって居ました!
子の回路図を見ていて、その頃を思い出しましたよ〜!(^_-)-☆

2011/10/08(土) 09:16 | URL | altum #VQ8ezY4k[ 編集]

面構えがいいです

おはようございます

KL-32611、回路的には全くチンプンカンプンなの
ですが、前回の記事で出ていたあの面構えが何とも
いえないくらい魅力的でした。
カッコいいアンプはいい音がすると思っているので
ノイズ対策が完了したらまた聴かせて下さい。


2011/10/08(土) 10:15 | URL | メタボパパ #-[ 編集]

Re: オイロッパアンプ

こんばんは、コメントありがとうございます。

レコード音楽を聴く行為は各々の癖と言うかやり方があると思いますが
私は、体験した事の無い昔の音を想像しながら聴くというのはちょっとピンと来ないので
各地で聴いた演奏会の印象と付け合わして聴いているというのは過去記事でも書かせて頂きました。

現在はEuropaの整備も一段落し、3つの異なる形式(多極管とかPP)のアンプで、
「真空管の音の違いを楽しむ」
といったファンタジックな目的はなく、物理的にソースの帯域に対応させて聴いています。


さて、今回の一連の記事は7月末〜9月上旬頃の報告で、現在はノイズ対策が済んで常用しています。

これがまた、marcoさんがご存知のアンプほどドイツの戦前の劇場用アンプは優しく(笑)
作られてはいないので、家庭で使えるなんて「あまーーい(井戸田調で)」モノじゃありませんでしたが
その内容はサプライズ満載で楽しいと思いますのでこれからの記事も是非ご覧下さい。

特に交流電源によるハム(長野で60Hzと120Hz)は、アンプのノイズ自体の課題と言うよりはむしろ
裸の増幅率や繋いだスピーカーの能力によって初めて問題となるもので、バカみたいにハイゲインな
ステージ用アンプと高効率スピーカーのコンビならではということです。

このように、同じアンプであっても環境によってノイズの評価が変わりますから、単にハムが
出たとか出ないとかと言っても読まれている方への情報としては何も伝えることができません。

アンプ単体の絶対値で論じる必要があり、そのために記事中では電圧表記&波形としました。
これで誰がどこでご覧になってもイメージや空想ではなく周波数成分と強さが伝わります。

同様に出力Z=200Ωと注釈をつけたのですが、この辺りもご理解頂くにはもう少し説明が必要かも知れませんね。
コメントを読ませて頂きまして、今後の記事には更に分かりやすくなるよう気を配ってまいります。
ありがとうございます。


P.S

長くなりましたが一生懸命補足を入れさせて頂きました。

と、ここで思ったのですが、marcoさんのお宅へお邪魔するという件をまだ、達成できて
いませんでした。また、伺える事を楽しみにしております。

2011/10/08(土) 13:36 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

Re: 昔懐かしい回路図が!

おはようございます。

初めて固定バイアスの実回路を見たときはビックリしました!!
○はアースラインに行くはずないだろうって思いますよねえ。
どうやって電圧でるんだよーーー

あと電源の0V側に入ってるちっこい抵抗はなんだ!?ってヤツですよね。
良く見るとそれ以降の0Vラインは浮いてるじゃん!!って。

今では電圧増幅では理想的じゃないかと思っています。
信頼できる部品を使って、手元に置いて監視できる範囲では、ですけれど。

今回はちょっとC電源に手を加えましたのでまた宜しければ覗いてみて下さい。

2011/10/08(土) 13:46 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

Re: 面構えがいいです

おはようございます

この記事は7月から9月の出来事なので、このアンプはこれから
電車にとび乗って来て頂いても聴いてもらえます。いつでもどうぞ。

こうしている今もカルミニョーラの「四季」のCDを書け流して
コメントを書いています。
先鋭的なカルミニョーラもアーヨのような雅な響きになりますねえ(失笑)

そういえば Hi-FiStereo盤お持ちでしたよね、アーヨの。
ほすいなあ、e-bay見てみよ、手の出る金額なら良いのですが。

2011/10/08(土) 13:52 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

よろしかったら

こんにちは。

明日か、明後日、午後はあいています。Kaorinさん、もしご都合がつくようでしたら、いらっしゃいますか?

アパートの物置部屋状態なんですが、、

2011/10/08(土) 16:43 | URL | marco #MZf6kU0Y[ 編集]

Re: よろしかったら

早速のご連絡ありがとうございます。

明日9日は午後でしたら夕方6時頃までの時間ですとありがたく思います。
10日は午後ずっと大丈夫です。

こんなに急なご予定でご迷惑でなければ、お伺いできれば幸いです。
引き続き(変更されてなければ)メールにご連絡差し上げます。

よろしくお願いします。

2011/10/08(土) 17:39 | URL | kaorin27 #-[ 編集]

http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-295.html

30. 中川隆[-9899] koaQ7Jey 2019年6月01日 08:09:15 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2456] 報告

ドイツ古典フルレンジユニット
http://www.soundstage.jp/Full_Range.html


1950年代のドイツ製フルレンジは、超軽量コーンを強力アルニコマグネットでドライブ。
96〜97dB/W/mの高能率を得ています。

コーンの実効質量は、何と5〜6g!
(fostex FE203等の代表的な軽量ユニットに比べても半分以下です)


*この時代のユニットは同一モデルでもロットの違いによるバリエーションがございます。磁石、フレーム形状等が写真の物と一致しない場合がございますが予めご了承ください。同一品質基準、同一工場で生産されたコーン紙の優秀性は、全てのユニットに共通です。


声、木管がリアルなことは、ドイツヴィンテージユニットに共通の特徴と思いますので、以下の個別ユニットの説明では省略させて頂きました。


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Telefunken 20cmフルレンジユニット


同社Opusシリーズの大型ラジオ、コンソールに多用されたユニットで、この時代のドイツの情感を伝えてくれる代表的ユニットと言えばこれでしょう。


弾むような低音にクリアな中域と少し華やかな高域を乗せ、


どこまでも楽しく音楽を聴かせてくれます。


特性の暴れが上手く高域のレンジ感に結びついている一面がありますため、


単体で十分楽しめるユニットである反面、ツィータの追加で大幅にグレードアップいたします。特に弦楽の倍音の豊かさ、艶等が顕著に改善され、どなたにも安心してお勧めできるシステムになります。


____


Telefunken 楕円フルレンジユニット


背面放射音が華やかな傾向がありますので、後面開放キャビネットに用いるにはデッドニング等のチューニングが必要ですが、


コーンの材質、面積が同じなので最終的には円形20cmユニットと同じ音色傾向にまとめることが可能です。


ツィータの追加で本領発揮となるのも同じです。


円形20cmユニットより新しい時代のものなので全般に保存状態がよいのも利点かと思います。


_____


SABA 22cmフルレンジユニット Permadyn25


ほぼ20cm口径ながら一回り大きいSABA製のユニットです。


帯域バランスが実に巧みで、 造り手のセンスと技術の高さをうかがい知ることができる HiFi指向の正統派ユニットです。


ハッタリの無い落ち着いた雰囲気の再生音は、


小編成のジャズや男性ボーカルにマッチするかと思いますが、


クラシックでしたらピアノソロもありだと思います。


SABA(Schwarzwälder Apparate-Bau-Anstalt)社は現存しませんが、


Telefunkenの対向メーカーとして一時代を画した総合電機メーカーです。


____


ラーヴェオプタ(LoeweOpta) 20cmフルレンジユニット


ややプレスの効いたコーン紙による張りのある明晰な鳴りっぷりが特徴です。中域を基軸とする表現のためレンジ感は今ひとつですが、その分、弦楽の切れ込み感や、金管の輝き、ピアノのアタック感等が小気味よく出るユニットかと思います。


勿論レンジ感についてはツィータの追加で改善されますので、


最終的なシステムの完成度は他の兄弟銘柄(Graetz、 Telefunken 、 Grundig、 等々)に全く引けを取りません。


_____


ローレンツ(Lorenz) 20cmフルレンジユニット


下手なツィータなら付けない方が良いくらいよく伸びて歪の少ない高域を持ち、それが躍動感溢れる中低域と見事に一体化しています。


ヴィンテージの味わいは薄いかも知れませんが、


音源を選ばないオールマイティなユニットで、


この時代のフルレンジユニットの最高傑作の一つでしょう。


_____


グルンディヒ(Grundig) 20cmフルレンジユニット


ベークダンパならではの硬質でハイスピードな音のユニットです。


帯域は上下に若干狭い傾向がありますので、これをセッテイングで補う工夫が求められます。具体的には、高音をよく反射する硬質の壁面(窓ガラス等)を背にすることや、 部屋のコーナー近くに配置して低音を増強すること、等の工夫になります。


鳴らすのが難しいユニットではありますが、


セッテイングが決まった時には背面音を最大限に利用した後面開放キャビネットの理想形が完成しています。


特にピアノ曲などでは、他のシステムでは得られない生々しい説得力や典雅な余韻表現が可能です。


_____


グレーツ(Graetz) 20cmフルレンジユニット

コルゲーション補強されたコーン紙にNT4クラスの大型マグネットを組み合わせた強力ユニットです。


中域以下に厚みがありチェロのゴリッとしたところの表現などは秀逸です。


高域は出ませんが元々低域がよく伸びていますので、アドオンツィータとの組み合わせで最もワイドレンジなシステムが完成します。


フルオケ再生も迫力十分です。
http://www.soundstage.jp/Full_Range.html



▲△▽▼

粋音舎 ドイツ古典フルレンジユニット用の後面開放型エンクロージャー
http://www.soundstage.jp/OpenBack.html

ヴィンテージの味わい


この時代のドイツ製ユニットを鳴らすということは、単に昔の音を甦らせるということではありません。

その枯れて乾いた音色は、約60年の歳月をかけた熟成の結果でもあるからです。


歳月という試練に耐える素材、構造、
それを現実の姿にする優れた製造技術、
そして熟成という時間の魔法・・・


全てが結集された再生音は、60年貯蔵の美酒を開封するが如く、今この時のために流れ出すのです。


現代の代表的な軽量ユニットに比べても半分以下という超軽量のコーン紙は空気との親和性が極めて高く、録音マイクがスタジオやステージの空気と交わした会話を
まるでリスニングルームの空気に口移しするように、優しく、熱く、伝えてくれます。


裏板のない開放型キャビネットとの組み合わせは、超軽量振動板の軽快な動きを妨げないための工夫。


最新のハイレゾ音源をも活かす音楽再生の完成形が、60年前のドイツで既に極められていたのです。


______


粋音舎 ドイツ古典フルレンジシステム(受注生産品)


ユニット

口径 20センチ
搭載数 1個

形式 コーン型フルレンジユニット

能率 96dB/W・m

耐入力 5ワット

製造国 ドイツ


キャビネット

寸法 幅38cm×高さ58cm×奥行30cm

形式 後面開放型

材質 フィンランドバーチ材

( 前面グリルは別売となります。)


※ユニット製造元は、テレフンケン、グルンディッヒ、ローレンツ等々の銘柄を取り揃えています。


※ステレオの片側に2個または4個のユニットを用いたタンデム仕様の大型システムも特注製作承ります。


(注記)

 本製品は、背後の壁による反射を利用いたします。このため壁との間に50センチ以上の距離が必要です。

壁の材質も反射音の音質に大きく影響しますが、一般的な木質の建築内装材であれば良好な結果が得られます。背後が石膏ボードやガラス板などの場合には、薄手(6ミリ前後)の合板を壁に立て掛けて設置することをお薦めいたします。


 本製品に搭載のユニットは、1950年前後にドイツで製造された家庭用ラジオから取り出した使用済みのヴィンテージユニットです。動作良好なユニットを検査厳選の上、 極力外見を揃えてステレオ左右のペアを組んで おりますが、モノラル再生が主流だった当時のラジオ1台からは1つのユニットしか取り出せないため、製造年や保存環境の違いにより細部の形状や色合いが微妙に不揃いな場合があります。


 本製品は極めて高能率なため、数ワット程度の小出力真空管アンプとの組み合わせを推奨いたします。 大出力アンプとの組み合わせでは、誤入力等により破損する場合があります。
http://www.soundstage.jp/OpenBack.html



▲△▽▼

合同会社 粋音舎(すいおんしゃ)

E-mail suion@soundstage.jp

Web http://www.soundstage.jp

TEL   03- 6271- 5760

所在地 東京都練馬区


事業内容 音響機器の企画、製造および販売


製造委託先 株式会社 サカエ工芸


株式会社 サカエ工芸
http://www012.upp.so-net.ne.jp/strata/SAKAE.html





▲△▽▼


粋音舎 タンデム化対応システム
http://www.soundstage.jp/Tandem.html


後面開放型キャビネットの醍醐味の一つはタンデム化でしょう。

タンデム化によりバッフル面積が拡大するためカットオフ周波数が下がり再生帯域を広げることができます。

同時に耐入力が2倍、4倍になりますので数10Wの大出力アンプとの併用も可能になります。


特にフルオーケストラ再生で威力を発揮する雄大なスケール感を手に入れることができます。


本システムのキャビネットは、上面に3分割の外装パネルを備えていて、個別に脱着可能となっています。


外装パネルと脚部を全て取り外せば、横置き配置にも好適なブックシェルフスタイルとなります。

中央のパネルのみを残して凸形状にすれば、上に積んだキャビネットの脚部の間に凸部が入り込んで安定します。


上下のキャビネットを貫通ボルトで連結一体化することも可能なので、耐震固定も容易です。

____


タンデム化対応ドイツ古典フルレンジシステム

(特注対応品につき下記仕様は参考例となります)


ユニット

口径 20センチ

搭載数 1個

形式 コーン型フルレンジユニット

能率 96dB/W・m

耐入力 5ワット

製造国 ドイツ


キャビネット

寸法 幅38cm×高さ58cm×奥行30cm

形式 後面開放型

材質 フィンランドバーチ材(フィンランドバーチ材ツキ板仕上げ)
http://www.soundstage.jp/Tandem.html

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粋音舎 Telefunken製楕円フルレンジ 試聴


東京・町田 ライフ・ステージ 町田モデルハウス
(Telefunken楕円ユニットをご試聴いただけます)
http://www.soundstage.jp/LifeStage.html


株式会社ライフ・ステージ 町田モデルハウス
https://l-st.co.jp/showroom


東京都町田市小川4-18-3
TEL:042-788-8777

OPEN: 10:00〜19:00(平日)
    9:00〜19:00(土日祝)
    定休日: 水曜日 第一・第三火曜日
(ただし祝日の場合は営業)


アクセス

JR横浜線 成瀬駅より「つくし野駅行き」バス5分 「柳谷戸」バス停下車 徒歩1分

東急田園都市線 つくし野駅より「成瀬台行き」、「町田バスセンター行き」バス5分 「柳谷戸」バス停下車 徒歩2分

尚、当スペースは建築ショールームでございますので、商談、イベント等と試聴のご予定が重ならないことを事前にご確認ください。平日のご来店がお薦めです!


株式会社Life Stageさんのご好意により、同社の町田モデルハウス内にドイツ古典フルレンジシステムにピッタリのリスニング空間を実現することが出来ました。ヴィンテージの香り溢れるスタイリッシュな内外観のモデルハウスは、体に優しい無添加、ナチュラルな素材選択が特徴です。その選択が音響的にも正解であることをご体感いただけることと思います。


____


後面開放箱は、後ろ向きのショートホーンという一面を持っています。それ故に背後の壁は、システムの一部とも言うべき重要な要素であり、その材質や箱との距離設定は、再生音に大きな影響を及ぼします。背後の壁に反射されて広がる後方放射音と、スピーカーユニット前面からの直接音とが適度にブレンドされて初めて、後面開放箱の真価が発揮されます。

その真価をお確かめいただくため、再生システムには、音源から駆動アンプまで、現時点で粋音舎が考えうる最良のラインナップを揃えました。


ドイツ古典フルレンジならばここまで出来る・・という再生品位のスタンダードを、是非ご確認になってみてください。


プレイヤー*:  SDカードプレイヤーにてクラシック、ジャズの優秀録音を連続再生しています。


        SDカードは、エラー訂正読み出しが可能な最もシンプルな記録媒体です。


        機械駆動系を一切持たず、エラーやノイズから解放された高品位デジタル再生が


        可能となっています。 (*CD、LP等の音源持ち込みには対応しておりません)

DAC:     TDA1541A搭載16bit/44.1kHz専用DAC(粋音舎オリジナル)


        オランダPhilips社製の伝説的銘チップTDA1541Aを用いたノーマルCD専用の


        高解像DACです。音楽再生にハイレゾ音源は不要、ノーマルCDで十分なことを


        ご納得頂けるかと思います。

アンプ:    ドイツ古典フルレンジ専用デジタルアンプ(開発中参考展示)


        出力を抑える一方で全ての設計資源を音質向上に振り向けたデジタルアンプです。


        僅か8W+8Wの出力ですが、高能率なドイツ古典フルレンジシステムとの組み合わせで


        広いモデルルームを十分な音量で満たします。

スピーカー:   個性豊かなドイツ古典フルレンジの魅力をお楽しみ頂くため、ユニット銘柄や


        システム構成は今後定期的に更新して参ります。

【現在のユニット構成】Telefunken製楕円フルレンジ

この楕円フルレンジは、振動板面積が円形20cmユニットと同等なので低域の伸びも十分、円形ユニットと同等或いはそれを上回るクオリティを持ちます。
http://www.soundstage.jp/LifeStage.html


▲△▽▼


粋音舍 Online Shop
http://suion.ocnk.net/product-list


ドイツ古典フルレンジ専用アドオン・ツィータ
http://suion.ocnk.net/news-detail/2



31. 中川隆[-9896] koaQ7Jey 2019年6月01日 08:44:19 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2459] 報告

4、5年前、捨てられていたラジオから外したような、ボロボロのドイツスピーカーがネットオークションなどで出回ったが、こうした事を積み重ねた結果がドイツスピーカーの評判を落としてしまったのではあるまいか。

あの手の8pほどのスピーカーはおそらくラジオから外したものと推察され、もしそうなら所詮人の声さえ満足に聴く事が出来れば事足りるので、其れなりの性能にしか造られていないだろう。それを50円か100円か或いは1000円か知らないが塵の山から安く拾って来て、オーケストラを鳴らし「フィールドスピーカーで御座い。付いては20万円頂きます。此方は上等のテレフンケンなので100万円頂きます」、これでは評判が落ちるのも無理はない。

スピーカーで一番難しいのは箱だという事は今更めく話で、とうに皆様御承知の通りである。

ただ造るだけなら大工仕事でも出来るが、ユニットの実力を実力通りに鳴らす事はそう簡単に出来ることではない。

指定の寸法で造ったから音になるかといっても、まずまともな音になった例を僕は知らない。無論素人仕事でも偶然の大当たりが無いとは言えないが、エンクロージャーの自作ばかりは決してお勧めできるものではない。

尤も、どう造ったって、音は出るに決まっているので、願望から僕らはつい錯覚する、出来たてのほやほやの時は「なんて良い音だ」と思いたいのである。

そして、JBLやアルテックのユニットを使っているんだから良い音に決まっているというブランドに対する先入観がまた僕らの耳を錯覚させる。

回路図通りに組み上げれば一応回路図通りの音が出るアンプなどとはわけが違って(これだって部品配置や配線方法等で俄然音は違ってくるが)目に見えない空気の振動に関する計算と現実の音の間には大きなギャップがあるようだ。

だが逆の事もあるだろう、コーラルのスピーカーユニットだって、箱を旨く造れば素晴らしい音に仕上がるかもしれない。今も云った通り偶然の産物が成功をおさめないとは云えないから、つい期待するし箱造りに嵌るのである。

この事は自作エンクロージャーに限った事ではなく、他社製造の箱つまり指定寸法に依る本職の仕事だってユニットがまともな音を出した例を聴いた事が無い。
まして、他社独自の設計によるエンクロージャーをや、である。

タンノイ然り、JBL,アルテック然りオリジナルとの音質の差は歴然としている。

古くはヴァイタボックスのコーナーホーンに物凄い奴があった。大メーカーともあろうものがよくぞここまでやってくれたものだとほとほと愛想が尽きて、以来このメーカーの物は何によらず買った事が無い。こういう音造りを平気でやる音響メーカーを信用出来ないのである。指定寸法という触れ込みながら、どう造ったってここまで酷い音にはなるまいと思うが、それがちゃんとそうなっているのだから驚く。

件のラジオ用スピーカーも当然箱を作らねばならないが、素人仕事も本職仕事も含めてちゃんと音になった例があるんだろうか、甚だ疑わしい。

僕の知っている限りでは、自称スピーカーの専門家の造ったへんてこりんなバッフルなど随分杜撰でいい加減なものだった。言うまでもなく音は出ていたが音にはなっていなかった。

会社の大小を問わず、どういうものを造るかというメーカーのコンセプトは、要は経営の先見性に加えて教養とセンスとモラルを根本とする筈だから、これが無いメーカーは気楽なものである。何でも有りなのだ。要は「だからこのスピーカーは良いのですよ」という話を造ってしまえば良い。

僕らはだから自分の耳をしっかり信じて、良い悪いもさることながら、好きか嫌いかをしっかり耳で判断したら良いのだろう。JBLだから好きなのではなくて、眼をつぶって聞けば自分の好き嫌いは誰に教えてもらわずとも基よりはっきりしている筈だ。

その耳で是非ともちゃんと整備されたドイツスピーカーの音を聞いてみては如何だろう。

ただし、どうしてもオイロダインをというなら、閉館した映画館を買ってしまうのが早道だろうから相当の費用も必要になるに決まっている。だが、価値はあると思う。勇者の出現を期待して、是非とも聴かせて頂きたいものだ。
http://audio-file.jugem.jp/?eid=34

32. 中川隆[-9810] koaQ7Jey 2019年6月06日 21:35:36 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[2630] 報告

オーディオ懐古録掲示板 - したらば掲示板
TELEFUNKEN 欧州ビンテージスレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/music/11602/1301612344/


1: あらい :2011/04/01(金) 07:59:04 HOST:p154.net219126028.tnc.ne.jp

会社としてのテレフンケン(Telefunken AG 、初期はTelefunken GmbH )は1903年5月27日に、シーメンスとAEGの合弁会社として
無線技術の為にベルリンで設立された。
後にシーメンスは独立した会社となる。

欧州のビンテージメーカとして、人気はあるものの
あまり知られてないところもあるメーカで一部のマニアには人気ある。
自分も、それほど知らないです。
このスレはあるべきでは。とおもっていました。
JBL,アルテック、タンノイなど、とは違った特徴のある欧州のオーデオを
書き込みましょう。



2: ジークフリート :2011/04/02(土) 12:19:49 HOST:wb56proxy14.ezweb.ne.jp
>>1
テレフンケンのスピーカーは、4機種しか聴いたことがありませんが、「こんな安物で、なんでこんなマトモな音がするのか?」って感じで…流石、五味先生が感心しただけのことはあると思います。

私が使った2機種は、ユニットにテレフンケンのテの字も無いので、イソフォンかどこかのOEMかもしれません。

今所有している8インチ古レンヂは、金色のアルミダイキャストフレームにドルトムントのマグネット。
フレームは、バッフルから浮かせるようになっていたり、ダンパーの背圧抜きの穴があったりで、結構よく考えて作ったみたいです。

目下の課題は、この古レンヂの設置場所でして、後面開放箱の特徴を活かしながら、他のスピーカーの邪魔にならないように。

3: あらい :2011/04/02(土) 18:28:31 HOST:p042.net219126025.tnc.ne.jp
無い袖は振れぬかと思ってましたが。
ジーフリークさんが使っていましたね。

自分は、JBL、アルテック、タンノイから、フルレンジの魅力に行き着き
イソフォンのラジオ楕円スピーカが、芯のある国産には無い特徴が気に入って
ジーメンス15m15d、ザクセン8吋、テレフンケン青L,をききくらべて
購入。
メンデフィールドからテレフンケン10吋となりました。
30年〜60年くらいのユニットは、テレフンケンの同じサイズでも色々とあり
蝶ダンパーの種類やセンターダンパー、フレーム構造で違った種類のものがあり
程度の差も結構あるようです。
テレフンケン8吋は、知り合いや山中湖す○もでも専用の後面開放フロント
ローデッドのボックスでも聴きました。

欧州ユニットで、これらのスピーカは共通したスピード感と分解能の高さ
でウエスタンやジャンセンのスピーカに共通するようなポテンシャル
を持っているのが特徴だと思います。
人気のせいで、値段も比べて安く手に入るのはありがたいと思ってます。
今ある、入手できるユニットではまたフィールドのユニットが結構多い
のも、得をするように思えますね。
シーメンスの11nはツイータを加えるだけで、全体の雰囲気がもてる
のは、フルレンジベースならではのメリットもあるように思えます。
自分のオリジナルなスピーカを作るの楽しみが、感じられるマニアックな
オーデオがこの手のビンテージではないかと思ったりもします。

4: あらい :2011/04/02(土) 19:03:45 HOST:p042.net219126025.tnc.ne.jp >こんな安物は、言えてます。
でもジャンセンの8吋も、皆これはゴミ捨て場で落ちていても
不思議無いというか、だれも見向きせんで500円だなとか。
自分はみつければ拾ってかえりますが。

5: ジークフリート :2011/04/03(日) 09:02:04 HOST:wb56proxy06.ezweb.ne.jp テレフンケンで何を聴くか?ですが…今のところ、私んちでは、常設ではないので…たまにアンプに繋いで、テレフンケン〜テルデックのクラシックでも聴いてみようかナ?と考えております。
テルデックのCDでは、主に古楽器ものを揃えましたので、古楽器のフレッシュさと鋭さをちゃんと表現して欲しいところですが…8インチシングルコーンでは、ちとツライかナ?

6: あらい :2011/04/03(日) 09:15:57 HOST:p164.net219126028.tnc.ne.jp ttp://www.cattlea.jp/news/info.php?id=50

ペンションす○○の木にあった、ボックス入りのテレフンケン8吋合わせて
5インチツイータは、聴かせて貰ったですが
良い音でした。
他にはVITAVOXがありスケール感はありますが
テレフンケン8吋はダイニングの20畳ほどでも十分に鳴っていました。
このボックスは手間かかるとのことでスピーカ込み30万ペアしますが
知り合いの方が聞いて後からすぐ買ったようです。
今はメンデ8吋フィールドが、抜群に良いとメール来ました。
元はラジオでも化けるみたいですね。

7: あらい :2011/04/03(日) 09:23:31 HOST:p164.net219126028.tnc.ne.jp 因みに、ペンションす○○の木のオーナはアンプカトレアをやって
売る事もしてますが
ここは、スピーカユニットや、真空管のストックがすごいです。
大抵のものとレアなフィールドツイータも見せてもらい、今度はオールフィールド
システムを作るらしいです。
ビクターの試作品30cmユニットが3ペアと言うのもありました。
サウンドパー○さんと知り合いみたいです。

8: ハーゲン :2011/04/03(日) 15:51:36 HOST:ksechttp131a.sec.nifty.com テエフンケンはスピーカーだけでなくエレクトロニクスも非常に良い
と思います。
某ドイツ物ショップでノイマンのW444StaとテレフンケンのW691(アクティブ
フェーダー)を聴き比べたところテレフンケンの良さを思い知りました。

9: あらい :2011/04/03(日) 16:38:11 HOST:p068.net219126042.tnc.ne.jp む!!。。。そうです。
>某ドイツ物ショップ
VINTAGE ○○○Nですね。

ハーゲンさん
実は、来月にテレフンケンモノラルのフェーダ(ACTIVE)
を仕入れます。
シーメンスもあるようですが、知り合いからテレフンケンが良いといわれ
予約。
これの24V電源を作ります。
AZ-1の整流管を使って自作でやります。

音は鮮度よく、音圧もあって絶対これだと思ってました。

10: あらい :2011/04/03(日) 16:45:05 HOST:p068.net219126042.tnc.ne.jp Telefunken W690 monoです。

電源は、110V位を24Vまで落として、チョークフィルター3段にして
ビンテージコンデンサーをレイアウトするのが味噌です。

11: ハーゲン :2011/04/06(水) 19:49:28 HOST:eaoska053208.adsl.ppp.infoweb.ne.jp >VINTAGE ○○○Nです!

ノイマンのW444Staと(型番は忘れたけど)パラメトリックイコライザと
V473でヘッドフォンを聴くシステムにしようと思っています。
が、V473のピンアサインわからず困っています。
この手のものは電源でかなりとが変わるといってました。専用の電源を自作
するというのは考えになかったもので、シーメンスのスタジオ用のレクチ
ファイアを買ってしまいましたが、19インチラックででかい!
どうしたものかと思案しています。

12: あらい :2011/04/06(水) 23:20:36 HOST:p134.net219126024.tnc.ne.jp ハーゲンさん

19インチラックのSUPLLYはすごいですね。
アナログミキサーの安定化電源では?
タンガーの入ったウエスタンはオークションで出てましたね。

知り合いは、電源をAZ-1とセレンで比べて
自分は整流管のほうが良いと思いました。
電源の差は大きいです。
アンプを換えるほどと変わらない差があると思います。

13: ハーゲン :2011/04/08(金) 23:28:43 HOST:180.248.12.61.ap.yournet.ne.jp あらいさん
確かに電源はセレンがいいと言ってました(例のお店)。理由はよく
わかりませんでしたが・・・

以前はドイツのものはあまり日本では一般的ではありませんでしたが
今はいろんなものが入ってきていますね。

クラングフィルムやテレフンケン、EMT、ノイマンといった製品の優秀
さには舌を巻きますね。

例のお店でザクセンウェルケのフルレンジを聴きましたが、昔お金持ちの
家にあった高級ラジオの音を彷彿とさせるものでした。
ザクセンウェルケって旧東ドイツの物なんだそうですね。

14: あらい :2011/04/09(土) 00:25:21 HOST:p227.net219126023.tnc.ne.jp ハーゲンさん
ザクセンのフィールドは、励磁の電源値でかなり音が変わるといいますので
知り合いが持っていました7インチサイズ。
これのマグネットは前に聴いたことはありますが、20cmくらいの割りに
低音が出てくる感じでした。
RFT のフィールドもなかなか良いらしいです。
メンデも、元は高級ラジオですね。
ラジオのスピーカはモノラルでも、ユニットがシリーズに入っているので
抜き取りで数はとれるようですね。

励磁の電源でトランスを色々聴き比べてみて、USのトランスの差が結構あります。
チョークでもうなりやハムが出るのは、論外にして
それぞれ、比べると違いがでてくるのが分かります。
後は、整流管の種類がおおきいです。

大抵、おおがかりにすると巻き線抵抗で電圧を4割位おとすので
電熱ストーブみたいになる場合もあります。
そんなことは、当時やっていたかはわかりませんが(タンガーなどあるので)
まともに電気回路を組む人からは、意味の無い事に思えると思います。

ビンテーのお店のかたは、シンプルイズベストに音楽を楽しむ趣向なマニア
向けに考えてるようで
自分もこんな世界を、ずっとやってゆくと、そうなってくるように思えます。

15: あらい :2011/04/15(金) 21:46:53 HOST:p230.net219126026.tnc.ne.jp VINTAGE ○○○N

ここのところ、ソーラ電源でフェーダやCDPなどの電源をつくっているですね。
バッテリーで動かし、インバータを使うと言ってます。
どのくらい効果あるか興味あります。
自分も、車のバッテリーをひっぱってきて試そうと思います。
アクティブフェーダが24V 仕様なので、バッテリー2個を入手か。

16: あらい :2011/04/16(土) 13:27:57 HOST:p145.net219126040.tnc.ne.jp 試しました。

VINTAGE ○○○Nのテレフンケンモノがとどき、
手持ちの4WDクラスの12Vバッテリーに繋ぐ。

元々24V12mA仕様なようですが、音は十分出ました。
これなら、電源を作るでもない感じします。

音厚いし、今までに聴こえてなかった音圧が増してよい。汗

試しに繋いだ9Vアダプタは、汎用品でイマイチ高音がうるさめになりますが
比べてバッテリーは静かに、パワー感があってリアルです。

17: あらい :2011/04/16(土) 13:57:47 HOST:p145.net219126040.tnc.ne.jp バッテリーにしてSNが良いというのは
これの事ですね。
スピーカ変えたというか、カートリッジを上げたような音の出方です。
前に金田アンプのバッテリーは、固すぎでしたが
これは全くそんなことありませんね。
低音の音圧も一ランク上げたという感じに鳴ります。

18: ハーゲン :2011/04/16(土) 14:44:41 HOST:122x211x108x218.ap122.ftth.ucom.ne.jp 電源は難しそうですね。セレンがなぜいいのかもよくわからないのに
選択肢が増えてしまうと困ってしまいます。

以前のシステムはすべてアメリカ製のものだったのですが、このところ
取り替えるものはだんだんヨーロッパ製のものばかりになってきました。
それもオーディオでは古くからなじみのある英国製ではなくドイツ製の
ものが多いようです。私は車を運転しないのですが、オーディオ以外でも
ドイツ製品が多いように思います。
カメラ、望遠鏡、爪切り、シャープペン知らず知らずにドイツ製になって
きています。地味だけどいい製品が多いような気がします。
あんなに食べ物が不味い国なのにね・・・・(偏見かな?)

19: あらい :2011/04/17(日) 00:08:52 HOST:p086.net219126020.tnc.ne.jp ハーゲンさん、
ACTIVE FEDERでやるでしたら、バッテリーはお勧めです。

手間も、繋げば直ぐ聴けますし、充電のメンテはケアいりますが。
電流値もチェックできるようにします。
これで、AZ-1やトランスを入手したりしましたが必要ないかも。
別に、ACでセレンも仮に試す予定です(半導体のトランスで)
同じにテレフンケンのフェーダでセレンとAZ-1を切り替えて作った
人のを聴かせてもらったときは、抜けは整流管のほうがありました。

励磁で作ったものがかなり重たく、大きいのも考え物です。

食い物まずいですかね。。
意外にドイツワインもうまいとおもいますが。都会のベルリンではあまりうまい
ものは食えなかったですね。

20: あらい :2011/04/17(日) 16:13:55 HOST:p179.net219126045.tnc.ne.jp ACTIVE FEDERは、今日聴いていて。
ゲインがすごく高く、LPで聴くと誘導ハムを拾います。
バッテリーだからか?
励磁電源のEZ150が直熱管のように、振動を拾うのがわかる。
これは対策が必須。
アースだけではおさえられない。
指で、はじくとスピーカから音が出てきます。
フェーダのゲイン位置でもノイズの出方がかわる
ACも折角だから、作ってみることになりそう。

21: あらい :2011/04/18(月) 22:03:34 HOST:p176.net219126030.tnc.ne.jp 治った。。。

アンプとラインのアースと、プレーヤのモータシャーシのアースをとって
ぴたり止まりました。
ハムが無い状態でないと、やっぱ音が汚く聴こえる。。汗

22: ハーゲン :2011/04/19(火) 20:18:00 HOST:eaoska051196.adsl.ppp.infoweb.ne.jp 某オークションサイトを見ていたらオイロフォンのエンクロージャーなし
「ユニット14個とアンプ」というのが出ていたので思わず精進してし
まいました。オイロフォンは見たこともないので楽しみではあります。
日本には輸入されたことがあるのだろうか

23: あらい :2011/04/23(土) 21:39:42 HOST:p004.net219126047.tnc.ne.jp 今日、フェーダの電源
バッテリーとタムラのトロイダル2次30Vをセレン(シーメンス)で簡単に作り
聞き比べる。
ACの方が、パワー感はあるけど鮮度が落ちる。
ボーカルのリアルなニアンスや陰影はバッテリーが勝る。
バッテリーは12V(23mA)実測。
ACはスライダックで電圧調整して24Vとのききくらべの差はあるものの
バッテリーの音の出方の方が自分は気に入ってます。
これを24Vにして、後はAZ-1のチョーク3段と比べる予定。

24: あらい :2011/04/27(水) 21:05:34 HOST:p054.net219126020.tnc.ne.jp バッテリーを元々あった12vのものから
今日、オークションで仕入れた、安いバッテリー12vに換えて6k円くらい
聞き比べる。(液補充が入らないタイプの物)
なんと、前の方がよい。(日赤三菱)2万位してたです。
なんなのと言う感じ。

2つ購入したので24vでフェーダ(仕様は24v)を比べても
前にあった、12vの方が良いと言う。

電流を調べてみようと思いますがなんで。。という感じです。
マイリマシタ。

25: あらい :2011/04/27(水) 21:25:21 HOST:p054.net219126020.tnc.ne.jp 12vでは同じ電流値ですね。
24vで51mA

なにが最新カリューム合金なんか、大きさでプレートの差なのか
これでも電源の差があるなんて物量の差なのか。

26: あらい :2011/04/28(木) 21:47:55 HOST:p016.net220216008.tnc.ne.jp

旧バッテリー日石の物は
カルシウムバッテリーでプラスマイナス両方の極板にカルシウム合金を
使用したハイパワーな バッテリーです。

2個で1万円の新バッテリータイプは
アンチモンバッテリーでプラスマイナス極板にアンチモン合金が
使用している物。

やはりカルシウム合金が良いのでしょうか!

カーオーディオで調べてみるとパナソニックのカオスというバッテリーが
音が良いと言われているみたいです。

セレンも確かめてみました。
シーメンス300V200mAにタムラブライトシリーズ
2次30V
フェーダ負荷で18V

フェーダの定格は24V120mAまでとなってる様ですが
聴いた感じでは、18Vくらいが良いです。
これだったら、良質バッテリー12Vをモノで繋ぐがよいかと思いました。

1)旧バッテリー12V
2)セレン18V
3)新バッテリー12V
4)新バッテリー24V
の順位で音の感じを受けてます。

後は、整流管で確かめます。

27: あらい :2011/05/03(火) 22:07:29 HOST:p084.net219126023.tnc.ne.jp 今日は、電源をバッテリーとセレン2段チョークで作り
比べてます。
バッテリーは確かに高音の澄んだ音や静かに立ち上がる音の良さは、あると思いますが
低音の繋がり感というのが、イマイチかけるところがあるように思いました。
仲間で聞き比べてそういう意見も参考になり、

ACから平滑を十分に行うほうが、音楽的なここちよさというのがある様に思えてきました。
整流管を使うのがまだパーツが届かないので
早く試して比べたいところです。

一人でやっていると、わからない所を客観的に指摘された感じもあり
独りよがりになるのは、間違いと反省。
素直に考え直した、、と言うものです。

28: あらい :2011/05/06(金) 20:58:24 HOST:p006.net220216009.tnc.ne.jp 昨日、手持ちタムラのトランスでモノ電源のセレン仕様をつくりました。
セレンは、かなり熱がでてくるのには参りましたが
(これは有毒ガスがでるかも)
シリコンでも試してみるかな。
音は、モノラルにするとセパレーションと、低音の解像度がよくなり
しっかりした音に、なってきます。

電源セレンとチョークを分けて、整流管AZ-1と聞き比べするのが楽しみです。

29: あらい :2011/05/15(日) 11:05:50 HOST:p031.net219126026.tnc.ne.jp セレンで試して

目安として500mAの物ですと2倍〜3倍のトランス容量になります。
トランスは1Aか1.5A位がベストです。
その逆で500mA欲しい場合には2〜3倍のトランスを使わないと流れません。
上流のトランスの話と、セレンの下流のバランスも重要です。
セレンは逆電流に弱いので電流を出来るだけ抵抗なく流してあげる必要が有ります。

コンデンサインプットなのですが超低ESRの物
をパラって使用しております。チョークの場合は出来るだけ抵抗値の低い物を
使わないと逆電流にてセレンがやられてしまう場合も有るようです。

上流と下流のバランスが難しいようです。

30: あらい :2011/05/27(金) 23:51:16 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp ACTIVE FEDERその後。
イーべにてやっと仕様のトランスペアUTC重量級を見つける。
これで、整流管AZ-1が使える。

セレンは4種類、耐電圧とMaの違うものを比べて
結構違いも出てくるようでした。
チョークはソーダーソン、ケニヨンがやはり音がよいです。
スタンカーはイマイチ、音が荒く
コンデンサーはフィルムとオイルで色々比べる。
自分はオイル系の方が深い感じでクリヤーなフィルムとは悩み。
コンデンサーインプットはすっきりとまとまっても、
なにか硬いという感じもあって基本チョークで平滑の電圧を半分くらい
抵抗で落とすやり方。
励磁電源と同じやり方がやはり良いようでう。



31: あらい :2011/06/11(土) 07:57:36 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp 今月のMJにビンテージJの記事
ソーラバッテリーが載るそうです。

自分はバッテリーは止めましたが
active-faderのセレンを今日ビンテージから別に電源をいれたので
聞き比べします。
シンプルに洗練された作りのもので、自分の3段チョーク電源との違いが
どうかまた報告。

32: 私の息子はEL34 :2011/06/11(土) 09:03:23 HOST:FLA1Abg225.fko.mesh.ad.jp テレフンケンのECC82/83を何十本か所有しています。
管底のダイヤマークの事を知り必死で調べたら1本も無くて
落ち込んだ遠い昔w。

33: あらい :2011/06/11(土) 10:31:48 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp 自分はTESLAのECC83とE83CCを持っています。
フォノで比べると音は確かにE83CCの方が上だと思いました。
値段も高いです。
ECC83は、アンペレやムラドのロシアと同じ位のレベルだと思いましたが
国産東芝通測も同じ位だと思いました。

34: あらい :2011/06/11(土) 13:28:19 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp *ビンテージJと 自分の電源比較

一聴した印象、同じシーメンスセレン仕様でもだいぶ違いありました。
中は確認してませんが、電圧は24Vで同じ位のMa70〜80mA
フェーダはテレフンケンモノに電源は1つです。

ビンテージJの電源は、全体に落ち着いた、ボーカルもセンターに等身大
の大きさに聴こえ、SNが良い感じで音楽的にとても心地よい気がしました。
音のまとまり感は秀でていると思います。
HIFIな印象というか、破綻が無い。
自分のは、トランスと物量が3段チョークで解像度やレンジは伸びて聴こえ立体的に鳴る
様です。
比べて少しSN落ちているかという感じで傾向は
そのままな音です。
電源を今はスライダックをつけているので3箇所、規定電圧にあわせるまで
ハムが聞こえるのがチョークのそれぞれで電流が変わってゆくためかと思えます。
この辺り、コンデンサーインプットの量とレイアウトも効いて来るので
またカット&トライでやるしかないです。

ついでにビンテージJの電源に自分のチョーク3段を加えると
立体感は出てきますが、なにかバランスが取れてないように感じ
オリジナルのまとまり方を変えない方が音がやさしく、リアルに聴こえれば
良いのだなと思います。
パンチがあるわけではないですが、音のまとまりが美しいというか
何を聴いても落ち着いて聴けます。
この音が欧州系といえばそうかと思いますが、ビンテージの店主はケーブルや
コンデンサーもかなり検討したと言っていたので
間違いないのだと納得しました。

35: あらい :2011/06/12(日) 19:14:25 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp やっと届いた
電源トランスで、AZ-1の整流管電源を仮つくり
組み合わせる回路が完璧でなく
チョークインプットの場合の電圧が規定にでてませんが。
整流管の音は、良い感じします。
セレンのパワー感というかダンピングの効いたようなよさはありますが
整流管は、抜けの良い楽器の響き具合が自然かとおもいます。

電源の影響は出力管より、おおきいと思います。

36: あらい :2011/06/14(火) 00:07:01 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp 今日整流管仮組ですが、かなり良いと思います。
規定の24Vまで調整
セレンと比べ、こちらの方が音が立体的というかリアルに出てきます。
人の声や楽器の余韻が自然に聴こえ、心地よい。
AZ-1はEZ150 に比べてプリの電源に丁度収まる感じです。
UTCトランスが150vの350mAヒータが5V6A
で余裕があるせいもあると思います。
後はコンデンサーのレイアウトでチョーク3段のモノブロックで電源完成に
します。

37: あらい :2011/06/16(木) 21:45:47 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp AZ-1の真空管3種類を交換して比べてみました。
フィリップスのナスメッシュが一番良いです。
後は、テレフンケンメッシュと、バルボのメッシュでないNOSです。

セレンも、購入したビンテージ○インのと、自分のも比べました。

電圧は、同じ位でAZ-1はスライダックで少し調整していますが
同じ24Vで50mA程度でした。

AZ-1の比べ
1)フィリップスのナスメッシュ
2)テレフンケンのメッシュ
3)バルボNOS

3)のAZ-1と自分のセレンが似たレベルでした。
○ジョインの電源は、音色の傾向が抜け良く聴こえ心地よいと思います。

ただ、ワイドさと言うのでしょうか、AZ-1の整流管の音色傾向に近い気がしますが
比べると、
1)フィリップスのナスメッシュ
2)テレフンケンのメッシュ
の方が上に 聴こえます。


抵抗も要らない状態でならせそうです。
100Vで25V位、55mA程度です。

これで、決まりました。

38: あらい :2011/07/02(土) 10:50:05 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp Active-fader後は、ケーシングで完成です。
これが、重い。
パワーアンプ並みの電源20K位以上はあり、欲張りすぎか。

今日朝、他で借りているAMPEXマイクアンプ4CHビンテージ(値段不明
買うとイーべで1000jくらいと思います。
音の傾向が全然違い
USと欧州の違いか、ライブとスタジオの音傾向の違いといいますか。

厚みやボーカルの押し出しの感はAMPEX が特徴ありますが
余韻や情報量の多いさは、フェーダにあります。
温かい音はアンペックスで楽器よりなアナログな音
active-faderは鮮度があがり空気感というか、繊細な音まで表現されるのは
優る。音は硬くないPUREな音ですね

システムによって使い分けるほうが良いのかですが、AMPEXは捨てられない
魅力もあるようです。

39: あらい :2011/07/02(土) 10:58:45 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp どちらをとるかと言われれば

電源で自由に音が変えられる点のあるACTIVE-FADERです。
平滑をどうするかで、かなり音が変わり
全体の鮮度が優るのは、どうしてもそうなると思います。

40: あらい :2011/07/17(日) 15:58:41 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp テレフンケン電源は、モノブロック正解でした。
シングルでは、負荷のせいもあるのですが音の厚みが違うほうがセパレーション
より出てきます。
音色は変わらずですが。
Vin○ageの電源は、バランスはよく音色も整っていますがダイナミックな
音はきれいに出る音だけでは無いようで
構成での絶対量で、自分のが勝ると思います。
電源の差は、やはりおおきい。
UTC電源&3段チョーク10H250mA 2段と150mAコンデンサーの初段4F&30F30F
特にチョークは銘柄の差は、コイルの巻き方や太さなのでしょう、
好みはソーダーソンで、後ケニヨン。スタン○ーはイマイチな
国産では絶対に得られない音がでます。

41: あらい :2011/08/04(木) 08:22:35 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp テレフンケンフェーダの電源モノがほぼ完成し
改めて、アンペックスのミキサー真空管アンプと比べてみました。
ほぼ互角と聴こえますが、鳴り方の違いがあり
この辺りは、好みが残ります。
USのライブレコーディングと欧州スタジオの差なのでしょうか

アンペックスはなかなか良い音で雰囲気を出します。
程度の良い物が入手しにくいアンペックスですが、借りているものは
かなり良いもので、手入れもしてありました。

情報量は比べれば少なめかなとおもいますが、音楽を心地よく出す
アンペックスは良いと思いました。
ヘッドアンプはプロスタジオで真空管の高価なものも聴いたこと
ありますが、傾向は音圧があってリアルに響いてくれるところだと
思います。
この差は、マイク&アウトプットトランスの影響があるのだとおもいました。
(アンペックス、4マイク2アウトトランス)

42: あらい :2011/08/07(日) 12:34:56 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp 昨日、テレフンケン用のモノブロック
片方がおかしくなり、発振
色々チェックして、分からず迷宮入り状態。
最後にダメ押しでわかったのが、フィルムコンデンサーの絶縁不良
中古で持っていて屋根裏にほったらかしていたネットワークのものを使ったのが失敗。
今日は借りたノイマンフェーダと比べる。
どちらが良いでもない感じで、このみでしょう。
基本はactive faderの切れのある情報量な音でどちらでもOKだと思います。

やはり電源での違いで全く変わりました。

43: セスク :2011/08/16(火) 06:46:10 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp ジーメンス手に入れました。これも良いですよ。ボーカルがバッチリ前に出てくるよ。テレフンケンやノイマンと比べてどうなんだろう?

44: セスク :2011/08/16(火) 06:54:58 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp ちなみに上の方でバッテリー電源が良いとあったのでやってみましたが。音が痩せてつまらない音でした。バッテリーの種類でも変わるのかな?GSユアサのバッテリーを使ってみました。
現在はセレン電源です。

45: あらい :2011/08/20(土) 23:42:09 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp >テレフンケンやノイマンと比べてどうなんだろう?

テレフンケンとノイマンは、比べましたが
レベルは同じで、どちらも電源次第で音が変わります。
シーメンスは多少、派手目にでるけどバランスはテレフンケンが良いと
いう方が居ますが、自分は聴いてません。

整流管、セレン、バッテリーの順で
AZ-1でナスタイプのテレフンケンメッシュが一番良い音がしますね。
フィリップスは大雑把に感じます。

セレンは平面的な、音のダイナミックさは整流管仕様です。
特にモノブロックは、音がかなり自然に鳴ってくれますが、
電源の平滑化でまた音は変わります。

46: あらい :2011/08/20(土) 23:48:59 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp SNの点では、バッテリーも良いですが
音がやせるのは同じ意見で
パナソニックのカーオーデオ用のものがよいそうですが値段が高いので
自作でAC電源を作るほうが調整もできて面白いです。
セレンもシリコンよりはよいですが、半導体的な音なのは、避けられないと思います。

47: セスク :2011/08/21(日) 08:21:25 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp あらい様おはようございます。
セレンが音に深みもあってかなり良いと思っていましたが
真空管も良さそうですね。
AZ−1とはどんな整流管ですか?なぜAZ−1を選んだのかお聞かせください。

48: あらい :2011/08/21(日) 09:24:33 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp セクスさん、はじめまして。
AZ-1はテレフンケンです。
カソードの電圧を小タイプのモノで選んだからです。
5AR4なんかよりランクはやはり上です。
比べれば分かりますが、整流管は深みや立体感の表現力は音楽を
心地よく鳴らせます。
是非にお勧めします。

49: あらい :2011/08/21(日) 09:27:27 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp テレフンケンの管は、なかなか良いです。
EZ150でやってみたという人も居ますが、より音がしっかりするようですが
大掛かりになるのが気になります。
自分のは、旧掲示板に写真を載せています。

50: あらい :2011/08/21(日) 09:37:37 HOST:p016.net182021192.tokai.or.jp 良いことばかりでなく、ビンテージ中古ペアで集めた
部品で、電源トランスUTCの片側が何故かハムがでて止まりません
叩くと治ったりしますが、
結局、特注で巻いてもらうことにし
ヒータも4V(AZ-1)5V 6.3Vをつけて後々の他の整流管を交換できる様に
注文。
AZ-1は、サイドソケットでソケットがぐらつきやすく注意が必要で
大抵は少し緩んで補修してあったりします。
フィラメントは、Vの字のメッシュが見た目も良いです。
カーボンのAZ-1は、音はイマイチ良くないです。



51: セスク :2011/08/22(月) 09:41:18 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp テレフンケンやバルボなど昔のラジオ用の整流管たくさんあるようなので研究してみたくなりました。
やはりメッシュがかっこいいですね。

52: セスク :2011/08/25(木) 06:54:00 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp あらい様
電源トランス特注とは、国産トランスメーカーに注文したのでしょうか?
そのような規格を作ってくれるところはありますか?教えてください。

53: あらい :2011/08/25(木) 07:52:27 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp セクスさん
おはようございます。
ノグ○とか、カス○とか特注で巻いてもらえます。
タム○は高いです。
カス○でよく自分はヒータトランスとかやってもらってます。HPで確認してみては。

整流管は、かなり音変わるところだと思います。
出力管より楽しめますね。

54: セスク :2011/08/25(木) 09:49:44 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp あらい様ありがとうございます。しかしノグ○とか音はどうですか?UTCが凄すぎるので比べてしまいます。イーべなどで探してみようかと思います。

55: あらい :2011/08/25(木) 12:38:23 HOST:fwgw.yamaha.co.jp 電源トランスは、まだ安心と思ってますが
仕様も、思うように設定できます。
海外ビンテージは保障は無く、1次が117とかアバウトに下げて考えるしかないです。
アウトプットでは、選びますが、逆にビンテージでf特が狭くなってしまうケース
もありそうですね。イーべはペアででていたりしているので、得な場合も多い
ですが、返品も可能なケースもありますね。
因みに、上で書いたUTCのトランスは配線の接触ミスでトランストラブルは無かった
です。
中には、負荷入れて電圧が出なくなる場合もあります。

56: あらい :2011/08/25(木) 12:41:18 HOST:fwgw.yamaha.co.jp セスクさんのセレンは、是非整流管をやってみる事をお勧めします。
仲間連中もやっぱ、整流管よね!と
同じ意見です。

57: セスク :2011/08/25(木) 18:24:10 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp 整流管やってみたいです。トランスを探さないとダメですね。やはりチョークを入れ
π型フィルターでやるようですかね。チョークインプットが良いかコンデンサーインプットが良いか…楽しみです。

58: あらい :2011/08/25(木) 20:28:46 HOST:fwgw.yamaha.co.jp AZ-1の場合、自分は75V の両波でチョーク3段でやってます。
他の方は、100V前後でやってるようです。
電流は60前後位流れるので3倍くらい電源トランス200mA以上の許容量があるほうが
良いです。
大きすぎても、音が返って雑になるような感じしますので
仮組でトライすると良いです。
チョークも、Ma200以上のでかいのを使ってます。
自分はソーダーソン、ケニヨンが抜けよくすっきりした音がすきです。

コンデンサーはオイルか、フィルム
ケーブルでの音も影響します。これは好みでブレンド程度。

59: あらい :2011/08/26(金) 22:56:08 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp  電源トランス
カス○無線、特注

 1次 0-100V-110V(E)
  2次 75V-0-75V 300mA 
   80V-0-80V    300mA 
     0-4V AC 3A 
     0-5V  AC 3A 
     0-6.3V  AC 3A
容量   138.9VA 
形状   O-BS500型
端子数 15端子 (1端子追加)
オプション 静電シールド(E)

これで特注しました。

これをUTC
Pri: 117vac
Sec: 3-4-5=1000vct 300ma
Sec: 6-7-8=150vct 350ma
Sec: 9-10-11= 5vct 3A
Sec: 12-13-14=5vct 3A
Sec: 15-16-17=6.3Vct
Sec: 18-19-20-21-22=6.3vct (term 20 is ct.) 6A

と比べてみます。

追って報告しますです。

60: セスク :2011/08/27(土) 08:58:54 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp 4V 3Aではヒーター電圧が高く出そうですね…。

61: あらい :2011/08/27(土) 11:45:53 HOST:fwgw.yamaha.co.jp AZ-1は、4Vですよ。

ヒータをそれぞれとったのは、他の整流管も試せるようにしました。
電流容量は2Aはあったほうが良いと思います。電流は負荷で60mA
EIコアとUTCはよくわかりませんがその音の差
トランスもプリでも、ある程度熱ロスもあるので、うなりなどハムをケアできる
サイズは必要だと思います。

62: セスク :2011/08/27(土) 19:24:09 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp AZ-1の規格表を見ていたら、4V 1.1A となっていましたから、3Aでは電圧が高く出るのかなと思いました。私はアンプビルダーなので、ついそういうところに目が行ってしまいます。
まあ、ドロップ抵抗でも入れればいいのでしょうが…。
AZ−1手に入りそうです。自分も試してみます。

63: あらい :2011/08/27(土) 19:37:24 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp セスクさん
出来上がったら是非、ご感想お願いします。
自分も、もう一組組む予定でいます。
AZ-1は、自分のでテレフンケンナスメッシュがよいです。

64: あらい :2011/08/27(土) 19:40:36 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp ところで、スピーカは何をお使いでしょうか。

65: セスク :2011/08/27(土) 20:16:02 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp まあいろいろやりましたが現在は、ビンテージ物のフィリップス8インチです。

66: あらい :2011/08/27(土) 21:13:12 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp 8吋はメンデも前に使ってました。
フィリップス8インチは、聴いてないですが評判のよいユニットですね。
自分は、5吋アルペアと10吋テレフンケンです。

68: セスク :2011/08/31(水) 18:47:04 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp フィリップスにしか無い艶があります。お気に入りです。あと良かったのはRFTのフィールドかな。

69: あらい :2011/08/31(水) 19:11:26 HOST:p053.net112139230.tokai.or.jp ビンテージは、艶感があってどうしても他にでないというモノがありますね。

電源は進んおられますか?
自分のは、ケーブルと電圧調整抵抗で聞き比べてます。
ケーブルは突っ込みたくは無いのですが、ハイエンドな抜けの良さなど影響が
でます。

70: あらい :2011/09/01(木) 20:51:26 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp セクスさん
フィリップスのメッシュは、音がおおらかで良い感じもあります。
自分はテレフンケンのナスがすきなのですが(これのSTは、ナスの方が良い)
直熱で他も試してみたいですね。

最近聴いてなかったCDで比べて、このactive-faderで情報量は勝り
自分のシステムも自分なりの進展がありました。
別に欧州であろうが、USであろうが関係ありません。
当時、回路のUS作りの欧州といわれていたのはなるほどと思いました。

次は国産、名前の無いようなカス○とがどれほど違いでるのか確かめます。
単純にトランスを換えるだけで試せるです。
タムラに関しては、セレンでしかみてないですが普通でした(セレンでのはなし)

71: セスク :2011/09/03(土) 07:02:19 HOST:FL1-119-242-189-196.szo.mesh.ad.jp AZ1試しました。成功です。セレンより音に深みがあるのが確認できました。
電源トランスは余っていた国産を使い、チョークだけはUTCとWEを使いました。
AZ1はテレフンケンメッシュです。SNが悪いとも感じず、音は素晴らしいです。
最終段に可変抵抗を入れ、10V〜26Vまで調整できるようにしました。コンデンサーは様々なオイルコンのみ使いました。
(WE、ジーメンス、等余っていたので…。)こんなんで満足のいく電源になりました。

72: あらい :2011/09/03(土) 09:27:22 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp おはようございます。
よかったですね。
直熱のAZ-1は、自分も良い管だとおもいます。

自分は、今UTCの電源を仮組でカス○のトランスに繋いで聞き比べをやってます。
最終は、また落ち着いて報告しますが
電源トランスで音は変わりました。(仕様は2次 75V-0-75V 300mA とUTCは350mA)

電圧トランスがカス○(24Vで48mA)に対して、UTC (22Vで40mA)まで落ちます。
カス○のトランス極性を換えるとまた定位や音も変わります。
ファーストインプレで言えば
UTCですね。
チョークでも音は結構変わり選びますが、電源トランスも影響ありです。
音が、一見おとなしいようでもSNのよさか静かに余裕がある感じになります。
トーンのボトムエンドでバスドラムも下がってくれるようです。

73: あらい :2011/09/03(土) 09:56:19 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp 自分の今まで試したところで言えば。

音に影響あるパーツは

1)電源トランス⇒これは初めに決めたものが足を引っ張りますので大事。
国産、ビンテージでの差もあります。
2)チョーク⇒3段くらい平滑、mAが足りないと音が延びない、SNで音の感じが変わる。
3)配線と線材⇒ばかにできません、ブレンドの音色は大事
4)コンデンサー⇒フィルム、オイルの差、電解の差もありますがあまりこだわらずにやる方が
良い。

74: あらい :2011/09/03(土) 11:47:25 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp 国産特注カス○と、UTCの聴き比べ。

カス○は、ダイナミックレンジが広いのか情報量は多い感じにきこえます。
UTCは、比べてナローぎみなのかもしれませんが
比べて、聴きやすさはUTCで

丁度CDとLPの感じに似ているというか
ソース録音は同じでも、やはり延びきらないCDは機械的に出す音で
音楽性を出せないのと、サンプリングの狭さによる不自然さはCDに感じますね。
UTCは、ずっと聴いて飽きない感じします。
カス○はつかれる用におもえ、ボーカルのニアンスや余韻はUTCです。

この辺り、アンペックスのマイクプリに似た傾向がUTCにあると思いました。

国産の、ISOがカス○とにた感じを受けますね。
タムラは前にセレンでしか使える仕様でしかなく、比較はできませんが
国産はだいたい傾向は同じなところもある様に思ってます。
佐久間アンプなど、タムラを使わないと発振すると言うひともいますので
安定度は信頼できるものだと思います。

エージングでまた、仮配線状態なので正確ではないですが傾向はそうだと思っています。
以上です。

75: あらい :2011/09/04(日) 20:31:16 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp 今日、行きつけの音楽いろいろ録音までやる喫茶で
フェーダ一式を持ってゆき、丁度あったTRUE-SOINIC3台を鳴らしてみました。
USというより、欧州的な鳴り方は良いSPですが
フルレンジタイプの方が、自分はこのみです。
フェーダ電源は、皆(3人)の意見は、一皮向いた感じでパワーアンプ変えたくらい
変化があって良いと言う意見でした。

アンペックスMx10は、ALTEC409と鳴らすと本等にライブな感があり
パワーアンプがまた、6L6ppのミリタリー1950年
WE直系なアンプでした。
ちょいメンテが必要な歪に敏感なのは古いゲイン高い初段6SL7で構成して
居る為でしょう。
アンペックスのボリュームガリが普段より大きく聴こえる。
よくあるランドセルタイプより大きいくらいのWEやジャンセンアルテックを
鳴らしていた時期でしょう。409とはぴったりと嵌りました。
当時はこうして慰問してライブや映画演出していたものかと思います。
雰囲気があり、決して優秀でもないですが
音楽が楽しく聴こえました。

76: あらい :2011/09/07(水) 00:19:40 HOST:p036.net182021158.tokai.or.jp 今日、整流管を手持ち(WE705A)直熱のフィラメント
トリタンを試しに使ってみました。
音太い。熱は送信管ですが
フィラメントが5V/5A、
プレート耐圧30kV(ピーク)、プレート電流は375mA
プレートを500V程度、無負荷で70V 程度がでて
24Vをあわせて使う。

これは、良いような音圧あってAZ-1よりリアルに、はっきりとした音で
鳴るようです。

77: セスク :2011/10/01(土) 16:10:26 HOST:FLH1Adp169.szo.mesh.ad.jp ドイツにはまだまだ知らない良いものがありそう。テレフンケン、ノイマン、ジーメンス以外でもっといい機器は無いのでしょうかね?

78: あらい :2011/10/02(日) 11:08:32 HOST:p124.net112139151.tokai.or.jp セスクさん
こんにちは。

他に探すしかないものかと思いますが、それを拘るなら
自分のシステムを思うように作る方が大事ではないですかね。
整流管1本でも音はかなり変わりますし、
自分は、そちらのオーデオ趣味の方が悩んで楽しい事に思えますね。

79: あらい :2011/10/02(日) 11:22:47 HOST:p124.net112139151.tokai.or.jp 今日、ノイマンW444のモノラルを組んで、前のテレフンケンW690と比べました。
傾向は違いありますが
ノイマンは、比べて出方が落ち着いた感じになってくれます。
テレフンケンは、解像度があるような前にでる音という印象でした。
細かくはかきませんが、
テレフンケンのSPの感じは同じに、でもフェーダもある様に聴こえます。

どちらもレベルは高く、後は電源のつくりでうまく作ればよいという
感じでした。

80: セスク :2011/10/03(月) 18:14:48 HOST:FLH1Adp169.szo.mesh.ad.jp ドイツものは凄いものが多いですね。SPにしろフェーダーにしろ、アンプにしろ。
テレフンケンのアンプは究極らしいですね。そういう話を聞いています。でもとても高価で買えるようなものでもないですし、聞いたこともありませんが…。
自分は重箱の隅をつつくような趣味は嫌なんで、簡単に作ります。深みにはまると音楽が楽しめなくなってしまうからです。まあそれが楽しくてやっている方はそれでいいと思います。
ただ、人に勧める必要もないですが。

81: あらい :2011/10/03(月) 21:05:54 HOST:p124.net112139151.tokai.or.jp テレフンケンのアンプは究極なのか、自分も聴いたことありません。
高いですね。
スピーカと比べて、何故か高くて買えるお値段ではないです。
音より、独特なデザインが好きですね。

自分は、ブランドで買ってしまうのは反面反発を感じるタイプなので
(これも角でしょうか)
元々、欧州はイソフォンからの安いものから入ってます。
テレフンケンは8吋で聞き比べては、シーメンスの方が気に入りました。
その時は、ザクセンも比べてましたがRFTのフルレンジは聴いていません。

82: あらい :2011/10/03(月) 21:36:33 HOST:p124.net112139151.tokai.or.jp イーべで、会社の(この人はモノラルで聴くという)知り合いが
最近RFTか、ザクセンを入れたと訊いてます。
今度、聴いて見ますのでまたご報告。
自分の周りでは、何故かひねくれた?聴きかたをやってる人が増えてきた。

83: セスク :2011/10/04(火) 05:30:26 HOST:FLH1Adp169.szo.mesh.ad.jp RFTのフィールドは布のダンパーが多いですが、アルニコの蝶ダンパーを見たことがあります。
当然ながら蝶ダンパーの方が音が良さそうなんですが、なぜフィールド型は布のダンパーが多いのか興味が湧いています。
RFTは布のダンパーでも音に深みがあり良いです。
テレフンケンなどはセンター紙ダンパーや蝶ダンパー、ザクセンは蝶ダンパーですね。

84: あらい :2011/10/04(火) 07:33:37 HOST:p124.net112139151.tokai.or.jp フィールドスピーカで書き込みすべきかもと思いますが、
以前書いたものです。(この方は、フィールドを色々経験した人)
ダンパーの差は自分にはよくわかりません。比べるほど数を聞き込んでない為

テレフンケン(またはジーメンス)の音の深みや厚みは、コーン紙が影響している
ようです。
1931〜38年は、厚く柔らかく、木目の荒いコーン紙。
1938〜42年は、少し薄く硬く、木目の荒いコーン紙。
1940〜49年は、少し薄く硬く、木目の細かいコーン紙。
1950年以降は、薄く硬く、木目の細かいコーン紙。
「コーン紙がパンパンに張っている」「コーン紙が硬い」「コーン紙が薄い」こ
とが良いコーン紙の定説になっています。
私自身もかつてはそう信じていました。
ところが、古いスピーカーをたくさん聴き、色々なフィールド電源を制作してみ
ると、全く逆であることが分かりました。
えー、逆って、アメリカン・スピーカーのコーン紙みたいだとイメージされてし
まいますが、コーン紙の粘りが全く違います。
30年代初期のコーン紙の音がやはり優れています。
音の明確さや静かさでは30年代後半が優れていますが、音楽性では30年代初期に
は敵いません。
1939年製の30センチを購入された方から、「音は良いんだけど、何かが足らな
い。トゥイーターを足したり20センチを足したりしてみたんだけど、なんか
シックリ来ない」という連絡がありました。
この方は、購入時にお友達と一緒に1ペアずつを購入し、39年製ペアと36年製ペ
アを購入しました。
購入する時に、「少し安い36年製の方が良いですよ」と話しているのですが、音
を聴き比べて39年製にしました。
39年製はハイファイで音が明確で静かですが、音の深みや厚みが38年以前と比べ
足りません。
私も友人も当初は39年製が最も優れていると思っていましたが、聴き込んでいく
内に38年以前のスピーカーが良いと感じるようになりました。
これを感じるようになると、音の薄さが突出して気になりだし、39年以降のス
ピーカーに興味が持てなくなりました。

85: セスク :2011/10/04(火) 10:07:02 HOST:FLH1Adp169.szo.mesh.ad.jp テレフンケンの種類については聞いたことがあります。テレフンケンはなぜそのようなタイプの変更をしたのでしょうかね?
集める身になればとても迷うし、何が良いか自分の装置で聞いてみないとまったく眉唾でわからない世界ですね。
結局いろいろ集めて検証するとかしないとならないわけで、お金かかりますね。

86: あらい :2011/10/04(火) 13:47:35 HOST:fwgw.yamaha.co.jp 聞きかじりですが。
理由はラジオです。

1930年代のテレフンケンでは、1年間に約100種類のラジオが生産されていました。
ジーメンスも30種類、AEGも10種類、のラジオを生産していて、スピーカーはテレフンケンから提供されていました。
そうすると、テレフンケンは、1年の間に100種類以上のスピーカーを生産していたことになります。
スピーカーのレベルの絶頂期である1932年〜1940年の間に、テレフンケンは1000種類以上のスピーカーを生産していました。
1つのラジオには1つのスピーカーしか入っていません。
しかも、同じ型番のラジオに、何種類ものスピーカーが設置されていることもあります。
型番は同じスピーカーでもフレームやマグネットカバーの形、あるいはコーン紙が異なるケースがたくさんあります。
1つ1つのスピーカーを丹誠込めてそれぞれの一流技術者が手作業で製造していたのですから、
当たり前のことかもしれません。

それで、ペアを組むのはかなりの数を持っていなければ出来ない事のようです。

87: セスク :2011/10/08(土) 15:36:20 HOST:FLH1Adp169.szo.mesh.ad.jp ところでテレフンケンなどビンテージのフィールドタイプは、平面バッフルが一番マッチするのでしょうか?
バッフルやエンクロージャーでも音が相当変わりそうです。当方RFTは平面バッフルに取り付けています。
低域も不足なく出ているように感じますし、質も良いと思います。

88: あらい :2011/11/12(土) 22:32:28 HOST:p066.net182021156.tokai.or.jp テレフンケンW690モノは、自分は気に入って使ってます。
他にノイマンW444Aモノ(これもビンテージ)
このオリジナルの音は、結構違いあり。

ノイマンは低域よりなバランス感でHIFIなオーデオ的?な音で
テレフンケンは比べてリアルさな解像度を重視したつくりです。
好みはあると思いますが。
電源の作りこみでも変わりますが。
やはり、整流管仕様が好みです。
ノイマンは、トラブルでアンプ壊れてしまい、MTさんにお願いして
丁度スペースがある箇所に、ディスクリートでアンプを作って貰いました。
音は、解像度があがって、まるでテレフンケンなような音になり
満足、自分としてはですが
有難うございました。

89: あらい :2011/11/26(土) 08:02:13 HOST:p066.net182021156.tokai.or.jp テレフンケン13cmフルレンジ、レアー物が手に入りました。
10吋励磁と合わせて
今まで使っていたジーメンス11nより解像度がよく、能率、パワーもあり
これに交換
11nは、ビンテージな可憐な音で気に入ってますが
(これしか出ない、ボーカルの余韻がだせる)
この13cmで密度といい、はまってしまいます。
ペア5万ほどしますが、後悔なし。
飽きればフルレンジで使えるし、暫く様子見。
11nは逆に、フルレンジ5吋スピーカで聴いてみることに。

90: あらい :2011/11/26(土) 08:04:38 HOST:p066.net182021156.tokai.or.jp //www.german-vintage-loudspeakers.com/navid.283/telefunken-ela-5-5-1270-full-range-driver-13-cm.htm

91: あらい :2011/12/04(日) 10:10:17 HOST:p066.net182021156.tokai.or.jp 最近手に入れた、シーメンス励磁13cmツイータ。
これでまとめることにしました。
今年は、励磁で全て揃えるような格好になりました。

励磁のスピーカは、電源いのちなところがあり自分は楽しんでいます。
パーマネントは、ユニットを合わせて組み上げる楽しみですが
励磁は、電源やアンプと合わせて作ってゆく楽しみが増えます。
基本は整流管でどれを使うかによりますが、これも面白いです。

92: あらい :2011/12/04(日) 10:22:52 HOST:p066.net182021156.tokai.or.jp 励磁スピーカの特徴は、音の立ち上がりや下がりが早く
励磁ツイータも同じ特徴で鳴ってくれ
鮮度がよく、奥行きも出てくるスピーカら鳴っている感がしないような
鳴り方になり、
電源の違いは、合わせて音色にも影響があるようです。
ユニットの違いもありますが、それ以上にその調整の方が違いが大きいと
思います。
ジャンルは問わず、何でもロックでもクラシック、演歌でも同じに聴ける
ように楽しめ音楽が聴けるシステムの方向には適したものだと思ってます。

93: あらい :2012/05/16(水) 23:32:37 HOST:p231.net112139187.tokai.or.jp ソロソロ、自分の電源が入れ替えあったので
TFKのフェーダ電源を作らなければならなくなりました。
メインのTFKは、水銀球の872を使用。

リビング5インチサイズに705Aを持ってきたため

使い慣れたAZ-1TFKを使い、USのチョーク電源&トランスパーツ類。
次に作るのは、前よりは小型にして3段のチョークでつくります。

その後は、励磁ツイータの電源も同じくらいの電圧なので流用可能。
スピーカに合わせて、電源を作ってゆきます。

94: あらい :2012/05/16(水) 23:45:17 HOST:p231.net112139187.tokai.or.jp AZ-1
TFK,PHILIPS,TRD,VALVOと使ってみて
何故かTFKのナス吊メッシュになってしまい
それでも電源はUSものという。
フェーダもノイマンよりTFKが好みに合って、そうなったといいますか。?
まあ関係ないか。

95: あらい :2012/05/18(金) 22:23:32 HOST:p180.net112139187.tokai.or.jp 改造して貰った、ノイマンのフェーダを
リビングのアンペックスと交換して聴いてみる(久しぶり)
DACとの愛称はインピーダンスがあってるようで、解像度は確かに良い感じ
これは電源をセレンから整流管にすればよさそうな感じだな。
解像度は、オペアンプでも勝るのは確か。。
こう、、聴いているとなにか疲れてくるのがなければ完璧かと。
やっぱりデジタルアンプ的だけど、電源とおもう。

96: あらい :2012/05/18(金) 22:37:45 HOST:p180.net112139187.tokai.or.jp やっぱり、アンペックスがよい。
人の声が抑揚でるし、メリハリも感じて人の声とわかりましたです。

97: あらい :2012/07/01(日) 20:44:41 HOST:p154.net112139153.tokai.or.jp フェーダTFKの電源
電源トランスから平滑回路を新規で作る。
サイズを小さくコンパクトにと考えても、平滑部のコンデンサーの容量
を削ると駄目で
チョークインプットをベースにして、仮組状態で聞き比べて決める。
電源の差は、音に影響してやはり大きく変わる。
これがコンデンサーインプットにすると整流管の寿命が縮まる以上に
音がつまらなくなる。
AZ−1 の個体差がこんなに違うかと思いますが、吊りのヒータ構造と
カーボンの違いは全く違う音で
AZ−1は古典球のよさがでるものでそれを生かすように作ってます。
24Vに合せて、できるだけ抵抗調整を避けて電圧を調整というのが
正解な様ですね。
アナログの魅力は、どうしても聞き込みながらと言うのが基本で現れてくる
のが面白いです。
同じにDACの電源を、アンプ(差動回路)で組むのと、半導体でやるものは
元の音声信号の情報を真空管だとロスしてしまうけど
半導体にないバランスで鳴ってくれるのはそのメリットなのかと思います。
同じにバッテリーでやってもその違いは出てきますが、
このあたりデジタルも基本がアナログで構成されると、思いました。
ハイレゾでいくらやっても、勝る16bitの録音もありますので
DACは情報量をまずは、ちゃんと出せるかが一線の違いだと思いますが
基本的なアナログがしっかりしてないと、薄いつまらない音で終わってしまいます。

98: あらい :2012/10/25(木) 22:51:45 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp そろそろ。
メインのTFKの電源を計画してゆきます。
WEトランスがどれほど励磁電源で威力出せるかですね。

99: D7 :2012/10/25(木) 23:50:14 HOST:PPPa814.e14.eacc.dti.ne.jp あらいさん
WEのトランス届きました。
また、別途ebayで入れたKENYONのチョークと軍用ヒータートランスが到着しました。
結構重いので、ヘルスメーターで測ってみると既に12s!
あとチョーク4個、オイルコン6個、ローゼン2個入る予定です。
3段チョークでやりたいと思っていたので、やはり整流部分は一つでも、平滑部分は
L・Rを独立でやらないと、ぎっくり腰(この間やりました・・・)になりそうです。
370V・1.12Aという弩級トランス、使いきれるか自信が無いですが、期待できそうですね。
このような凄いものを送っていただき、感謝・感謝です。

100: あらい :2012/10/26(金) 07:41:50 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp D7さん
おはようございます

それだけ揃えば、楽しみですね。
モノだしきっとすごいのができると思います。
出来れば終段の抵抗なしでゆけるといいですが。
分割はかならずやりましょう。30Kにはなります。




101: あらい :2012/10/30(火) 07:28:14 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp D7さん
おはようございます

WEのチョーク(前に手持ちで軍用の測定器からひっぱりだしたもの)
チョークで、小励磁電源につけてみるとmAが小さく合いませんでした。
これをえらばないと、音が発揮できなくなりますね。
100mA以上ある軍用などが良いです。
計画のは、ツイータの24V励磁電源なので
今回のWEトランスは、2A3で使うかもしれません。

102: D7 :2012/11/01(木) 00:50:22 HOST:PPPa77.e14.eacc.dti.ne.jp あらいさん
こんばんは。
WEのトランスを2A3で使うと豪華仕様になりますね。
自分の2A3はシャーシが小さ目なので、WEを使うとシャーシ交換載せ換えが必要です。
これは大手術になるので、WEトランスは初志貫徹でモノ×2の電源で行く予定です。
まだ手頃なチョークを捜し中で、完成は年内は難しいかな〜。。。

103: あらい :2012/11/01(木) 18:12:55 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp WEは、電源が良いです。
フィールド電源は直に音に効いてきますが、絶対的に違いが出るのは
トランスやチョークが大きいと思います。
コンデンサーは後でなんとかなりますから、交換や増しもできるから。
UTCの1KVAのトランスを使いその差は、特にリアルな低音にでて来ました。
比べないでもわかると思いますね。

104: あらい :2012/11/03(土) 20:54:50 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp インターナショナルオーディオフェアに、いってきました。
SonusFaberを聴いて、なかなかなもんだと思います。
弦楽器がすばらしい。こういう厚みが出せるスピーカはパーマネントで
もモダンななかでは珍しいとおもいます。

JBLのD5000とか、その最近出ているフロアータイプJBL Project K2 S9800SE
はどう聞いてもインパクトがなく音がつまらないですね。
accuのアンプが良く使われていたけど、イマイチなんかフラットに伸びているだけ
で新鮮味無し。
QUADの新い静電スピーカ
ESL2805/ESL2905はあれはダメだとおもいます。
えらくひずんでwaltsu for debeuがクリップしていたが?なんで、こんなんけ?
というもの

説明員は、それがわかって、「CDが悪いとか?」うそつくな
静電は正直に音が出るので、ひずみまで再現しすぎる??とか
、「置き場所によって
システムの音は変わるものと考えてください?」
でたらめな説明には、閉口。直ぐに出る。

105: あらい :2012/11/03(土) 21:08:25 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp インターナショナルオーディオフェアその2

FOCALがやはりおいてあり、
かたつむりB&WのようなVIVID G2G3これは、なかなかです。
ただ、DEVIALETは、IFAショーで感じた音の傾向がデジタルDクラス
にあるようで、自分はDEVIALETはモニターとしてはすごいとは思いますが
あまり音楽が楽しめない感じに思えますね。

あとトピックスでは、DYNAUDIO Xeo2Gのワイヤレススピーカシステム
DACがESSのポーランド製とか、SONOS的なシステムでトラブルは少なく
LINAXサーバで直で鳴らしていた。
15万ほどのスピーカ&トランスミッターだが、結構まともに聴こえて
下手なハイレゾ抱くむ音よりよさそう。ESS DACが決めてな感じですね。
LINNもまけそう、コスト神話から比べて。

106: あらい :2012/11/03(土) 21:54:15 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp インターナショナルオーディオフェアその3

アヴァンギャルド聴いていて疲れてくる。低音がパワードのせいか
なにか低音がしっくりこない、○ホーンで組んでいても。
某JAZZ喫茶と同じ。
フォステは、国産の中で優秀だとおもいますが音は平明的な感じがしますね
アンプのせいかACCUもありだけど、
国産アイシンは、そんなもんな感じ
TRIADの845シングルは、ナローだけどスペンドールにあった雰囲気で交換は
持てました。ショーで聴く感じでなく家庭的な音。
NAGRA300&CDPシステムは、値段では当然な感じ、少し詰まったような感もありますが
おおらかさほしいかな。。

この手の高級オーデオの特徴は、中高の音で特に弦楽器やヴォーカルを聴いたときに
わかりますね。音像がしっかりリアルに出るかどうかの差と思いますが。
半導体アンプでもこのクラスでは真空管にないレンジの広さをうまく出せれば
文句は無いです。
DSDはこのクラスだと結構良い感じで、響き具合がソースから出てくる方が良い
と思います、スピーカでそれを出すとぼろ出るかも。。所謂つくった低音なのか。

107: D7 :2012/11/04(日) 21:14:53 HOST:PPPa3589.e11.eacc.dti.ne.jp あらいさん

108: D7 :2012/11/04(日) 21:33:53 HOST:PPPa3589.e11.eacc.dti.ne.jp あらいさん
↑すみません。書き込み前に「書き込む」を押してしまいました。

インターナショナルオーディオフェアで、WALTZ FOR DEBBYがクリップするSPなんてダメですね。
FOCALは、例の励磁ウーハーのものですね。
最近youtubeでも説明つきで出ていますね。
youtubeの映像では、例の小さな電源と壁掛けのデジタルアンプ?の様なものが
写りますが、実際の鳴り方は、モニター的とのことで少し残念な感じも(買えませんが・・・)
また、TRIADの845シングルがまずまずだったようですが、845は高音に癖があるそうですが
これはうまく鳴っていましたでしょうか。

109: あらい :2012/11/04(日) 22:07:49 HOST:p086.net112139133.tokai.or.jp D7さん
WALTZ FOR DEBBYはそれでは、地下鉄の音が聞こえるかというと聴こえてなかった
ですから、低音と解像度が良いわけではないと思いました。
あのCDは、元がひずんでいるかはすぐわかるしピアノがあんなにひずんでいるはずない
と思って首かしげましたね。
説明する人も途中からボリューム下げたりしていたので、トラブルだと思いますが。
DEVIALETは、FOCALでは鳴らさずに音出してましたが音の感じがDクラスデジタルの
音を持っているようです。小さい電源というのは、リモコンの事だと思いますが
DEVIALETはDACのついたプリメインデジタルアンプのようです。
TRIADの845は聞いた感じ結構帯域は狭く、敢えてなのか。
ドライブが2A3みたいですね。
直熱2A3の音がかなり聴いていると思いますが、845は増幅している感じで
ドライブ管でかなり音は変わります。値段が高いです。
自分の持っていたのが、ハットオーデオppの845でモノラル×2でオークション11万位でした。
オケはこれくらいパワーあると余裕はあります。

110: D7 :2012/11/07(水) 23:24:43 HOST:PPPa755.e14.eacc.dti.ne.jp あらいさん
こんばんは。
WALTZ FOR DEBBYの「地下鉄の音」が気になっていて、今日改めて聴いてみました。
2トラック目のWALTZ FOR DEBBY(take2)の6分53秒から終わりまで
拍手のバックにゴーという音が確かに聴こえますね。
(A12・小励磁・バックロード共に確認)
ビルエバンス大好きで良く聴いていてこの暗騒音は分かっていましたが、
録音機器のノイズかと思っていましたが、地下鉄の音とは知りませんでした。
その他の曲にも、地下鉄と思われる暗騒音のような音が入っていました。
なるほどこれは発見でした。
録音が1961年6月25日とありますが、そのころも結構頻繁に地下鉄が
走っていたことが分かりますね。
そういえば、自分の小励磁は1961年製造のようです。
同じ年に製造されたSPで、当時の卓越した演奏とたまたま走っていた
地下鉄の音を聴くのも洒落ています。

111: あらい :2012/11/08(木) 07:09:40 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp D7さん
おはようございます。
ビルエバンスの地下鉄の音は、制作ソフトにリッピングして波形で
確かめましたが、片側にかなり低い音で入ってます。
解像度の良いシステムでないと聴こえません。
普通だと聴こえないと思いますが、
これが小励磁で聴こえるというのは、音的に優秀だとおもいます。
国内版のもので、CDのみだと思いますが海外版は持ってませんが
ノイズをとってるようです。

112: ディラン :2012/11/08(木) 21:54:57 HOST:FL1-118-110-163-45.kyt.mesh.ad.jp WALTZ FOR DEBBYの「地下鉄の音」
今のA5では聴こえません。以前聴こえていた事が有りましたがどのソフトかシステムか覚えが
有りません。聴こえなくても宜しいでえーす。

113: 権○衛 :2012/11/08(木) 23:10:09 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp ↑
流石のお言葉、エライ!

因みに>たまたま走っていた地下鉄の音
たまたまではあーりません、定期的(時刻表で)に走っておりますでつ。

114: あらい :2012/11/08(木) 23:30:23 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp ディランさん
こんばんは。

音的に聴こえる解像度の事を言っているまでです。
別にそれが良いとはいってませんよ。
CDの国内版だけですが
かなり低い、音で普通際限ができないシステムが多くA5でもそうなのでしょう。

115: あらい :2012/11/08(木) 23:34:05 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp 普通際限→再現。
ナローで音楽性のあるもので聴こえなくとも良いものはいっぱいありますね。

116: あらい :2012/11/08(木) 23:43:51 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp 因みに、でようがない低音で
5吋のアルペア5のスピーカで聴こえたことがありましたが

833Aを放送設備等に使われた3極直熱真空管で3000V350W級で
それが聞こえたことはありました。

117: 権○衛 :2012/11/09(金) 00:06:16 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp ゴホン ゴホン♪
>音てきに聴こえる解像度の事を言っているまで・・・それが良いとは・・・

>小励磁で聴こえるというのは、音的に優秀(良い?)だとおもいます。

矛盾でつね。些細な事でつが?ハイ。

雰囲気で聴くか、解像度で聴くか、スタンスの違いでつね。多分!?

どちらもOK牧場。♪(*^_^* 

両方ホスイ・・・わかります。 オデオ道楽「永遠の課題」でつね!? 多分。

118: あらい :2012/11/09(金) 00:11:18 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp 、音的に優秀!!

じが読めませんか。

119: 権○衛 :2012/11/09(金) 00:21:59 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp ハイ ハイ

優秀の反対語は如何に???

キリッ!

日本語は奥が深い!でつ。ハイ!ハイ!!ハイ!!!でちゅ。

オデオも同じかも???  多分!? キリッ♪(*^_^*

120: あらい :2012/11/09(金) 00:26:19 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp 酒を飲んで、勢いで自分におごる人もいれば
飲んでも、他人に迷惑はかけない
大人な方もいれば。。。笑

本性なのかわけのわからない、言葉を発する人は迷惑ですね。

121: 権○衛 :2012/11/09(金) 00:27:32 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp ですね!? キリッ(おまけ)

122: くろねき :2012/11/09(金) 04:13:17 HOST:KD113159118125.ppp-bb.dion.ne.jp 皆さんこんばんは。


☆あらいさん☆

いわゆる「サゲ投稿」(E-mailの欄にsageと入れる。
ちなみに私は基本サゲ投稿ですが、このレスも参照)にして、
このスレを11番目以降に沈めれば、この手のトラブルは回避できるかと。
書き込みと閲覧にひと手間かかるようになるのがちょっと厄介ですが・・・。

123: たそがれ :2012/11/09(金) 07:15:12 HOST:FL1-133-205-110-190.myg.mesh.ad.jp 基本的に1人、2人で投稿しているスレの場合サゲ進行が良いようです。
大勢の人が投稿して賑わっているところのトップに頻繁に出て来るので
目につくのです。11番目以降に沈めてからそこをブラウザのお気に入りに
登録すればあらいさんが頻繁に書き込んでいる3つのスレは簡単に呼び出せ
ます。お気にいりに登録しないと数百の中から探すのが大変になります。

124: あらい :2012/11/09(金) 07:35:08 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp くろねきさん
たそがれさん

ご忠告ありがとうございます。

次回のフィールド、1000オーバーからサゲ投稿にします。
実は、サイトで書いてもか若干で限られているものなのでいっその事
止めようかと考えていましたが
知り合いにも投函せずに、見ている人もいますし
フィールドのレスは特殊なオーデオかとおもいます。
いらぬトラブルは、ほかの方にも迷惑になるものですので観たい人のみ
限ればよいと自分も思います。

125: くろねき :2012/11/09(金) 16:57:28 HOST:KD113159118125.ppp-bb.dion.ne.jp >1000オーバーから・・・
いや、今からやってください、たった今から!次のレスから!
1スレにつきキャパ1000レスですよ、お忘れなく。

126: あらい :2012/11/09(金) 19:18:24 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp そこまで、強要されるのでしたら止めましょう
くろねきさん
PC、ネットワークオーデオも精通できるかたも限られるようですね。
D7さん、フィールドはホームページでやりましょう。

127: 権○衛 :2012/11/09(金) 20:33:48 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp ですね♪(*^_^*

128: 権○衛 :2012/11/09(金) 20:36:33 HOST:zaq7ac40c2c.zaq.ne.jp 追伸

「オーディオ懐古録」でつ。♪(*^_^*

129: D7 :2012/11/09(金) 21:18:14 HOST:PPPa3292.e11.eacc.dti.ne.jp みなさん、こんばんは。
先ほど出張から戻ってきて、懐古録を見てびっくりしました。
自分の投稿で不快な思いをされた方がいらっしゃいますので、
その点はお詫びします。

あらいさん
フィールドと言う面白い世界を味わう良いスレッドだと思っています。
少なくとも自分はこのスレが無かったら、新たな感動を得ることも無かったでしょう。
しかし、自分の投稿によりあらいさんにご迷惑をおかけしました。
思慮が足りず申し訳ありません。
重ねてお詫びします。

130: あらい :2012/11/10(土) 10:15:55 HOST:p106.net042127109.tokai.or.jp D7さん
メールで送りましたが、とんでもないことです。
D7さんには全く非のない事です。
こちらこそ、ご迷惑をかけてしまいましたことをお詫びいたします。

どうか実になるオーデオを、お互い楽しみましょう。

133: 薬漬け :2012/11/29(木) 15:26:19 HOST:proxybg058.docomo.ne.jp カキコするタイミングを逸してましたが、そういえばテレフンケンのV69aアンプって、
どんな音がするんでしょうね?
(あの五味康祐氏もわざわざ聴きに渡欧しながら遂に聴けなかった代物のようですが。)

134: SAT-IN :2012/12/01(土) 01:14:07 HOST:s1408059.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp >渡欧しながら遂に聴けなかった
そのくだりは彼の国なら、さもありなんと思える内容ですね。
日本でも周辺機器・材料になると似たような対応も有りそうです。

135: RW-2 :2012/12/01(土) 04:07:23 HOST:201.77.112.219.ap.yournet.ne.jp V69aは前段に銀タンのような形のチャージバッテリー使ってませんでしたっけ?記憶違いかな。

136: SAT-IN :2012/12/01(土) 04:44:40 HOST:s1111059.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp ニッカドのような電池が有りました。MJのバックナンバーに記事あり。

137: SAT-IN :2012/12/01(土) 05:54:13 HOST:s1111059.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp ↑NEUMANN-WV2aだったかも知れない。

138: SAT-IN :2012/12/01(土) 12:28:57 HOST:s801119.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp やはりノイマンのWV2aでした、MJ1995年9月号に載っています。
初段EF804Sの自己バイアス用にノイマン印のニッカド電池が使われていました。
小生の記憶に有ったのがこれです。
V69aは確認出来ていません。

139: RW-2 :2012/12/01(土) 12:37:39 HOST:201.77.112.219.ap.yournet.ne.jp あ、ノイマンでしたか。戯言失礼。補足感謝です!

140: SAT-IN :2012/12/01(土) 16:08:11 HOST:s803211.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp ノイマンと言ってもカッティングシステムに付随するEMT用イコライザーアンプで
実質Telefunken ですね。
V54、V87とか同じ系統ですが良く解りません。
この辺の機種になると解ったところで縁が無い訳でして・・・

ただその素っ気ない外観と内部構成にゲルマンの美を感じます。

141: エンリケ :2013/01/07(月) 09:03:22 HOST:FL1-125-198-154-192.szo.mesh.ad.jp telefunken W691というフェーダーを手に入れました。
これをプリにして使います。
正直言って・・・高級プリもこれには凌駕されるすばらしい音です。
これ使うともはや高いプリは要らないですね。
この手のアクティブフェーダーを使っている方いますか?
意見を聞きたいです。

142: ハーゲン :2013/01/08(火) 22:04:58 HOST:110.77.233.58 >エンリケさん
テレフンケンのフェーダーですか!素晴らしいものですね。私もノイマンとテレフンケンのアクティブフェーダーを聴き比べたことがありますが、ずいぶん音が違って驚きました。(テレフンケンのほうが好み)
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/music/11602/1301612344/

33. 中川隆[-9469] koaQ7Jey 2019年6月19日 14:27:06 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3009] 報告

ドイツ製ヴィンテージ・オーディオ販売 クラング・クンスト KLANG-KUNST
http://www.asyura2.com/18/reki3/msg/479.html

クラング・クンスト 音響レンズ
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10137&i=10206

テレフンケン L6 やクラングフィルム KL-L307 といった、口径からは想像できないような再生能力があるものの、やや硬質な音のフルレンジスピーカーを想定して開発しましたが、AXIOM80 などでも良い評価をいただいています。


 パーツやアクセサリーとしては、いまのところ音響レンズを販売しています。
電源基板などのアンプ製作用パーツを開発中で、2017年春頃に発売予定です。

音響レンズは口径12インチ(30 cm)までのフルレンジスピーカーユニットや、ツィーターに適しています。

ブルーフレームやレッドニップルといった愛称で有名なテレフンケン L6 やクラングフィルム KL-L307 といった、口径からは想像できないような再生能力があるものの、やや硬質な音のフルレンジスピーカーを想定して開発しましたが、AXIOM80 などでも良い評価をいただいています。

軸上で聴くと音がきつく感じるばあいに有効です。また、フランジを組み合わせることで、コアキシャルスピーカーを自作することが出来ます。

 汎用音響レンズ LZ2010 (1枚) 25,000円(消費税別)

 直径 298 mm、厚さ 42 mm、重量約 2.4 kg、 材質は厚さ約 2 mm の鉄、黒つや消し電着塗装です。


音響レンズ正面を横から見た様子
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_801.jpg


 バッフルに直径 300 mm の孔を開け、バッフルの裏側にユニットと音響レンズを固定するためのサブバッフルを用意します。サブバッフルは金属板か厚さ 5.5 mm 以上の合板(ベニヤ板)が適しています。音響レンズの固定で補強されるので、フルレンジ1発なら薄い板で十分です。あまり厚くすると、音響レンズとコーン紙との距離が開いてしまいます。コアキシャルにするばあいは、ツィーターのお尻がウーファーのコーン紙に接触しないだけの厚さが必要です。サブバッフルにスピーカーユニットを裏から固定するのに適した直径の孔を開けます。

 まず、サブバッフルの表面に音響レンズを固定します。固定にはサブバッフルの厚さよりも 3 〜 5 mm 長い 4 mm ネジ8本を使い、裏側からねじ込みます。スピーカーユニットが大きいばあいは、皿ネジを使って8本のネジの頭が沈むようにします。つぎに、スピーカーユニットをサブバッフルに裏側から木ネジで固定します。最後にサブバッフルをスピーカー本体に取り付ければ完成です。


音響レンズ正面を斜め下から見た様子
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_802.jpg


 ツィーターを取り付けるばあいは、サブバッフルの表側にツィーターを先に固定してから、その上にかぶせるように音響レンズを取り付けます。サブバッフル開口の縁に厚さ 5 mm 程度のネオプレンゴム製戸当りテープを貼り、音響レンズとの間に挟んでデッドニングすることができますが、デッドニングしないで響かせて使用している方のほうが多いようです。

 この音響レンズを見ての印象は、クラングフィルムのオイロダインというスピーカーのことをよく知っているか否かで二つに分かれます。知らない人は換気口のフードみたいでダサいと感じ、知っている人は貴重なオイロダインの音響レンズをイメージして気に入ってくれます。マニア的でないリビングでは、音響レンズをサランネットでカバーするのも手です。この音響レンズは案外便利で、思わぬロングセラーになりました。


音響レンズ正面を斜め上から見た様子
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_803.jpg


 音響レンズのフィンを1枚ずつ手作業で溶接した国内生産品(地元の工場)です。音響レンズは光学レンズの凹レンズに相当し、音を拡散させます。音の通過するフィンの隙間は約 12 mm ですので、20 kHz の波長約 17 mm よりも狭く、徐々に弱くなるものの高い周波数まで効果があります。一方、中央の音が通りやすい部分の幅が約 80 mm、音響レンズの厚みが約 40 mm と短いため、中音域では効果がかなり弱くなります。


カブトガニをひっくり返したような音響レンズ裏側
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_804.jpg


 JBL など一般的な音響レンズのように、薄い材料で作ってフィンの隙間を狭めればもっと高い周波数まで拡散できますし、音響レンズを厚くすればもっと低い周波数まで拡散できますが、フルレンジスピーカーやコーンツィーターを対象にしているため、あまり高い周波数を拡散させると 高音が不足し、鮮度のない眠い音になってしまいます。音楽の根幹となる中音域も、あまり拡散させるとスピーカーユニット本来の音の味わいを損ねてしまいます。


クラングフィルム 42006 でホワイトノイズ再生時の音圧の周波数分布(後面開放箱に取り付けて軸上1メートルで測定)
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_806.jpg


 コーンスピーカーは音創りのため 4 〜 8 kHz あたりにピークのある周波数特性にしてあるばあいが多く、とくにビンテージスピーカーはそうです。上のグラフは Klangfilm(クラングフィルム)の 42006 という戦前に作られたフルレンジスピーカーの周波数特性で、やはり高音を持ち上げてあって、広くないリルニングルームでは、そのピークが耳障りに聴こえてしまうことがあります。この音響レンズは、そういう問題を緩和する程度に、控えめに音を拡散することを狙って設計してあり、フルレンジの名ユニットの経験が豊富な方が使用されることを想定しています。


裏面の上下左右に4個あるネジ止め用ステー
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10206_805.jpg


 わたし個人(小林です)はフルレンジスピーカーが大好きで、安い「Sabaグリーンコーン」の弦の音色や、高価な「Klangfilm 42006」の不思議にリアルなピアノの音色などが気に入っています。しかし、ボーカルではどことなく乾いた声になってしまうので、オイロダインのようにホーン型ユニットを組み合わせたスピーカーのほうが好ましく感じてしまいます。それが、この音響レンズを組み合わせることで、少しだけホーンスピーカー的な響きが加わり、かなり満足できます。音響レンズの材質や形状、溶接方法を工夫するなどして、そのような響きに調整してありす。音響レンズを指で弾くと、一枚いちまいのフィンが異なる周波数で控えめに鳴ります。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10137&i=10206


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クラング・クンスト 音響レンズでコアキシャルスピーカーを作る
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10137&i=10509

SIEMENS(シーメンス)の10インチコアキシャルスピーカー「鉄仮面」を分解した状態
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 そもそもこの音響レンズを作ろうと考えたのは、「鉄仮面」と呼ばれる SIEMENS(シーメンス)のコアキシャルスピーカーユニットを入手したからです。入手したときはすでに、めぼしいドイツ製フルレンジスピーカーをほとんど蒐集済みでした。「鉄仮面」は日本で多く販売されたものの、ドイツではあまり使われなかったために品薄で、コレクションの最後のほうになっていました。見た目が貧弱な「鉄仮面」にはあまり興味がなかったのですが、いざ聴いてみると感心させられました。なにを聴いても上品でまとまりが良く、少し物足りなさはあるものの、コーン型スピーカーにありがちな「音の暴れ」をほとんど感じませんでした。

 「ブルーフレーム」とか「レッドニップル」という愛称で有名な TELEFUNKEN(テレフンケン)の L6 や、KLANGFILM(クラングフィルム)の KL-L307 といった名機とされるフルレンジユニットは、「鉄仮面」よりもスケール感と聴き応えのある音を出しますが、常にコーン型スピーカーであるということを意識させられる癖のようなものを感じてしまいます。私もかつて ALTEC(アルテック)や GOODMAN(グッドマン)、LOWTHER(ローサー)といった米英のフルレンジユニットを使いましたが、同様な傾向があります。単純にツィーターを追加すれば高音は延びるものの、やかましさがあって「鉄仮面」のような音のまとまりは得られません。なにが「鉄仮面」の音を作っているのでしょうか?


TELEFUNKEN(テレフンケン)の10インチフルレンジL6とSIEMENSのツィーターによるコアキシャル

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 答えは音響レンズに決まっています。「鉄仮面」の由来である仮面のような鉄のカバーは、中央部分が2枚のプレスされた鉄板の重ね合わせになっていて、ツィーターの高音だけでなく、ウーファーとなるフルレンジユニット中央部分の音も拡散します。中心部分の音は障害物が無いのでそのまま出ますが、その周囲の音は曲げられて通り道が長くなるので遅れ、ちょうど凹レンズのようになります。実際に音響レンズを作って取り付けてみるとみると、コアキシャルにしなくても L6 や KL-L307 のようなフルレンジスピーカーからまとまりの良い音が出ました。そして、コアキシャルにしたばあいは、もっと大きな効果が期待できます。


L6でホワイトノイズ再生時の音圧の周波数分布(後面開放箱に取り付けて軸上1メートルで測定)

https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/105/10509_805.jpg


 上のグラフはL6の周波数特性で、測定に用いた箱が小さいために100 Hz以下の低音が減衰しています。高音はグラフの左端から2番目にある中心周波数が16 kHzの棒まで十分なレスポンスがあって立派な特性ですので、測定と同じ軸上の至近距離で聴けば、十分な高音どころか少し過剰に感じるほどです。しかし、軸上から外れると高音は減衰してしまうので、広い立体角の平均では高音は不足しています。ですから、広い部屋で徐々に離れていけば、ちょうどバランスが取れるリスニング位置があるはずですが、日本の住宅事情では無理なばあいが多いと思います。

 そのためか、「フルレンジにツィーターを追加して2ウェイにしても、うまくいかない」という話をよく耳にします。2〜3メートルくらいの近距離で聴くと、ただでさえ過剰な軸上の高音が、ツィーターでさらにやかましくなってしまうケースが多いようです。ヴィンテージのばあい、フルレンジの高音をカットせず、コンデンサーでツィーターの低音をカットするだけの2ウェイ化が多いので、両方の高音が重畳してしまってなおさらです。

 そういうときこそ音響レンズです。同軸にしないばあいでも効果があり、やかましいからと音響レンズをご購入された方から、「実験の結果ツィーターはそのままでフルレンジのほうに音響レンズを付けて成功した」といいうご報告をいただいたこともあります。普通はツィーターに音響レンズを取り付けようとしますが、フルレンジの高音に問題がある場合が多く、そんなときは逆のパターンが有効です。

 コアキシャルでは音響レンズ1個で両方のユニットの音が拡散できるだけでなく、音が融け合って一つのユニットのようになるという効果もあるのでとても有利です。フルレンジに音響レンズを取り付け、ツィーターを天井に向けるというのも良い方法で、デッカのデコラやテレフンケンの O 85 モニターに似た雰囲気のステレオ感が味わえます。ツィーターの数を増やすと、より近い雰囲気になります。


SIEMENS(シーメンス)のツィーターの裏面処理とスペーサー用コルク製ガスケット


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 音響レンズでコアキシャルを作るには、上の写真のようにツィーターを中央で支えるための板を用います。写真では黒い鉄板製ですが、5.5〜12ミリくらいの合板(ベニヤ板)でも良いと思います。注意点は、ウーファーとなるフルレンジユニットのコーン紙の正面に来る支持棒をあまり太くしないことです(3センチ以内にしましょう)。写真の板は外形も円ですが、四角でも問題ありません。板に2つのユニットと音響レンズを取り付ければ、コアキシャルの出来あがりです。

 シングルコーンフルレンジとちがって、コアキシャルには複雑な分だけ音をチューニングする要素がたくさんあることも楽しみです。上の写真はツィーターを板に取り付けた状態の裏側です。SIEMENSのアルニコ磁石のツィーターを使っていて、その裏側にフェルトを貼り付けてあります。SIEMENSのコアキシャルにも同様な吸音処理がしてあり、上質な音にするための秘訣といえます。

 周囲のコルク製ガスケットは、ツィーターのお尻がL6のコーン紙にぶつからないようにするためのスペーサーです。このようにツィーター支持板にはある程度の厚みが必要なので、写真のような鉄板ではなく、ベニヤ板で十分です。ユニットはいろいろとあるので共通化できず、鉄板で2枚だけ作るとCAD入力などで高額になってしまうので、ベニヤ板で作れば良かったと反省しています。多少雑に作っても、板が音響レンズに隠れてしまうので気になりません。


L6で作ったコアキシャルを音響レンズ正面の斜め下から見た様子

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 音響レンズは高音を広い角度に拡散させるだけで、量を減らしてしまうわけではありません。ですから、反射音の比重が大きい離れたリスニング位置では、音響レンズなしに比べてそれほど高音は減少しません。つまり、スピーカーからの距離や角度による高音のバランスの変化が小さくなるので、より自由なリスニングポジションで良い音を楽しむことができます。

 音響レンズを使えば好きなユニットを組み合わせて自分だけの「鉄仮面」を作ることができます。フェライト磁石の10W(「鉄仮面のウーファー」)よりも強力なL6やKL-L307、あるいはフィールド型フルレンジなどとヴィンテージツィーターを組み合わせて、SIEMENSのオリジナル以上のコアキシャルが作れます。今回作った「L6版鉄仮面」は、貸し出し中でなければ試聴可能です。私の耳にはSIEMENSの「鉄仮面」よりも中低音が充実しているように聴こえて物足りなさを感じませんし、シングルコーンフルレンジが苦手とするクラッシックのソプラノも楽しめます。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10137&i=10509


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クラング・クンスト 【第2話】ドイツの同軸スピーカー「御三家」 2010年2月20日
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10139&i=10211


 同軸スピーカーといえば、TANNOY の モニター・シリーズや ALTEC の 604 シリーズが有名ですが、「ドイツにも優れた同軸スピーカーがあります」といえば、「ああ、SIEMENS のコアキシャルことだろう」という程度の反応が多いようです。でも、凝ったメカの王国であるドイツに、優れた同軸スピーカーが無いはずがありません。なぜか、この年明けから不思議なくらい、ドイツから同軸スピーカーのオファーがあって、いろいろなユニットを吟味する機会がありました。そこで、それらも含めたドイツ製の同軸ユニットのうちで、わたしが代表的と思う3本をご紹介することにしました。


左からシュルツ、ジーメンス、イゾーフォンの同軸12インチ

https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10211_801.jpg


 さて、そのドイツの同軸スピーカー「御三家」とは、SCHULZ(シュルツ)、SIEMENS(ジーメンス)、そして ISOPHON(イゾーフォン)のことです。クリーム色のフェルトと保護用の金網でコーンがカバーされて見えない SCHULZ と、皮エッジに3本のアームで支えられた大きなツィーターの SIEMENS が極めて個性的な外見なのに比べると、ISOPHON は少し地味に見えますね。残念ながら ISOPHON 以外は数が少ないユニットで、入手は容易ではありません。


シュルツの後側(カバーを外したところ)

https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10211_802.jpg


 御三家の筆頭といえば、やはり SCHULZ になるでしょう。SCHULZ は戦中に帝国放送協会などが開発した世界初のステレオ・テープレコーダーとともに用いられた、Eckmiller の12インチ同軸ユニット O15 にまで遡る、ドイツの同軸スピーカーとして、最も深い歴史のあるユニットです。戦後になって東ドイツの SCHULZ に受け継がれて、O16、O17、O18と作り続けられ、シャルプラッテンのレコーディング・スタジオや、放送局でモニターとして使われました。ツィーターはアルミドームで、柔かい普通のアルミ材をプレス成形ではなく、ヘラで加工したように見えます。ウーハーのエッジは発砲ネオプレンゴムで、密閉箱や大型のバスレフが適しています。現代の基準でも十分にワイドレンジで、とても古いユニットとは思えません。能率が低いのが欠点ですが、極めて分析的な音でありながら耳にやさしいのは不思議です。ステレオの臨場感が素晴らしいのは、いうまでもありません。


ジーメンスの後側

https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10211_803.jpg


 つぎは SIEMENS ですが、俗に鉄仮面などと呼ばれる有名な(10インチの)コアキシャルではなく、12インチの同軸で、鉄仮面とは比較にならないほど本格的な作りのユニットです。能率は見た目ほど高くなく、皮のフリーエッジで延長された低音に対し、高域はアルミコーンなのに SCHULZ のようには伸びていません。そのせいかコアキシャルとしては重心が低くくて暖かい音色で、SIEMENS のユニットによくある硬さは感じません。入手は3つのなかで最も困難です。


イゾーフォンの後側

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 最後は ISOPHON で、複数モデルの同軸ユニットを製造しましたが、なんといっても有名なのはオーケストラです。このオーケストラ同軸ユニットは、テレフンケンのスタジオ・モニターとして多用されました。ご紹介するのは初期のもので、よく見かける後期のものとは異なっています。磁気回路の塗装が後期の黒に対して鮮やかな青であること、大きなマッチングトランスがあること、そして、ツィーターの背面に吸音処理のための大きめなカバーがあることが主なちがいです。地味な外見に反して明るく爽やかな音色なうえ、能率も3つのなかで一番高いので、3極管シングル・アンプ愛好家に重宝されているのも納得できます。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10139&i=10211

34. 中川隆[-9444] koaQ7Jey 2019年6月20日 17:37:11 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3037] 報告

KLANG-KUNST 乱聴録【序ノ一】まえおき
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10219


「乱聴録」
この記事を2007年10月10日より書き始める。

著者 小林正信 略歴


1961年に長野県の伊那谷に生まれ、小学生のときにカセットデンスケでオーディオに入門し、中学では真空管アンプの設計と製作を学んだ。

高校生のときにオイロダインの入手を志し、米国方面の長い回り道を経て、四半世紀後にようやく購入した。大学時代はレコード初期の演奏と蓄音機に入れ込み、都内のレコード屋を自転車で巡回した。

最近はクラングフィルムを中心としたスピーカーに傾倒するかたわら、自分の知っている楽曲の範囲が狭いことを痛感して全曲集ものを多量に聴くなど、一貫して駄菓子のおもちゃのごとき人生の付録を楽しんでいる。


ニッパーのふりをする愛犬アイザックとEMGの蓄音機
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10219_801.jpg


乱聴録【序ノ一】まえおき(2007年10月11日)


わたしが記事を書くのならばと、貴重な資料を提供してくれたクラングフィルム・ホームのフランク氏、ジャーマン・ビンテージ・ラウドスピーカーのニコラウス氏、サウンドパーツの水谷氏、サウンドボックスの箕口氏をはじめとする諸兄に感謝する。


 6GA4 から始まって WE252A シングルまで、かつては真空管アンプの自作に熱中したが、やがて音を決めるのはラッパであって、アンプは調整役にすぎないという認識に至り、興味の中心がラッパ(スピーカー)に移った。

いっぽうで、パハマンやダルベーアのピアノなど、20世紀初頭の演奏に魅せられたことで古い録音の価値を知り、それらを再生するための古い装置が生活必需品となった。

ここ数年はドイツと縁が出来たこともあって、クラングフィルムを中心としたラッパが増えたが、米国系のシステムの情報が大量なの比べるとドイツ系の情報は極めて少なく、全体像の把握が困難で不便な思いをしている。

同様に情報を求めている人が少なくないことから、多少なりとも得た知識を提供することは意義があるとの考えに至り、このようものを書くことにした。

クラングフィルムの歴史は別の記事にまとめつつあるので、ここでは音を中心にして書くつもりである。(その後、クラングフィルムの情報も増えたようだ)


(2015年4月19日)
 やれやれ、ずいぶん長いこと無精をしていて、前回のコンスキ&クリューガーの記事を書いてから7年もたってしまった。オーディオどころではなかった時期も含め、その間にいろいろあって考えも変わったので、再開後はスタイルを改めようと思う。

以前は「名ラッパ乱聴録」として、スピーカーの名機を聴き比べて、客観的な要素も交えて書こうとしていたが、少々無理があった。そこで、タイトルを単に「乱調録」と改め、雑多なオーディオ機器を聴いた印象を書くことにしたい。


 「もとより個人的な試聴記であるので、無響室での測定のような厳密さはないにしても、ある程度は条件を整えたい」と考えてスタートしたが、大した仕組みでもない割に面倒だったうえ、道具の置き場所にも難儀した。

また、俗に「レッドニップル」、あるいは「ブルーフレーム」と呼ばれるテレフンケンの10インチ・フルレンジユニットをリファレンスにしてみたが、いろいろと条件をそろえて比較試聴してみると、そろえるほどにマンネリ化してしまうことが分かった。それで、これからは条件は整えずに気楽に聴いて気楽に書き、取り上げる機器を増やすことにしようと思う。もちろん、スピーカー以外も対象にする。


周波数特性測定時の様子(右下が測定対象のユニットで、ほかはバッフルの役目)
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10219_802.jpg


 写真は試聴するユニットを入れていた小型の後面解放箱で、外寸は幅 43 cm × 高さ 50 cm × 奥行22 cmで、愛犬アイザックにコーン紙をなめられないように、前面を金網でカバーしてあった。

これを4個積んでバッフル効果が得られるようにして、周波数測定にも使用したものだ。今後もフルレンジユニットなどの試聴用仮設箱として使うかもしれない。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10219



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KLANG-KUNST 乱聴録【序ノ二】試聴用のレコード
(2007年10月14日、2015年4月21日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10221

リスニング・ルームから数十メートルの池の冬景色
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上の写真は細い道路を挟んで向かいにある池の冬景色で、ごらんのとおりの田舎だ。いまはちょうど桜が満開で綺麗に見える。リスニングルームの一部を2階に増築中で、来年の春には吹き抜けを通じた音を聴きながら、桜と池を眺められそうだ


 録音による影響はあまりにも大きいので、当初からの試聴用ソースをそのまま使い続けることにした。条件が許せばそれらを聴き、出先などで無理ならその場のソースを聴くといったところだ。


 「オーディオの真髄は時空を越えた演奏の再現である」とするなら、たとえ古い録音で音質が悪くても演奏が優れていれば、最新優秀録音でも凡庸な演奏より、真剣に再生する必要があるということになる。

サイトウキネン音楽祭が近くの松本で開催されることもあって、田舎者としてはコンサートに足を運んでいるつもりだが、現在の演奏家は生を聴いて感動しても、レコードではつまらなく感じることが多い。

それにひきかえ、個性ある往年の名手の録音には、聴けども尽きぬ魅力がある。

故・池田圭氏が特性の悪い古いレコードが「缶詰音楽」と揶揄されていたのを、噛めばかむほど味が出る「乾物音楽」と表現したのは至言だと思う。カール・フレッシュのヴァイオリンなんて、正しくそうだ。

 試聴用の7つのソースは、楽しんで聴けなければ繰り返し聴くことが苦痛になってしまうので好きな演奏を選んだが、古い録音からデジタル録音、そして、少し歪んでいる録音など、なるべく異なる音の側面を聴けるように配慮した。

LP で多くの試聴を繰り返すことは困難なので CD にしたのだが、いまではFLACやDSDなどのファイルを主に再生するようになってしまったので、リッピングしたファイルも使うことにする。


ヨゼフ・ハシッドのオリジナルSP盤
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10221_802.jpg


ディスク1 : 「マーラー/子供の不思議な角笛」 : Mahler / Des Knaben Wunderhorn
Elisabeth Schwarzkopf, Dietrich Fisher-Dieskau : London Symphony Orchestra / George Szell : 1969. EMI

ディスク2 : 「モーツァルト/女声歌曲集」 : Mozart Songs II
Claron McFadden(sop), Bart van Oort (Fortepiano 1795) : 2002. BRILLIANT

ディスク3 : 「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」 : Ginette Neveu & Josef Hassid
1938, 39, 40. EMI-TESTAMENT

ディスク4 : 「ショパン/ノクターン全集」 : Chopin Nocturnes
Vladimir Ashkenazy : 1975, 1985. LONDON

ディスク5 : 「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」 : Mussorgsky / Pictures at an Exhibition
Ravel / Bolero : Munchner Philharmoniker / Sergiu Celibidache : 1993, 1994. EMI

ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」 : Waltz for Debby
Bill Evance Trio : 1961. REVERSIDE

ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」 : Sarah Vaughan with Clifford Brown and others
1954. MARCURY

 まだ問題なく動作するので、独 NTI の AL1 と専用の校正済みマイクロフォンの組合せも可能なときは引き続き用いることにする。もっと詳細なグラフで周波数特性が測定できる装置もあるが、残響の多いリスニングルームでは、この程度の粗い周波数分解が適切だろうと思う。もっとも、AL1 が故障したら高分解能なものに変えるかもしれない。

参考のために中心周波数をリストしておく。有効数字を2桁にしてあるので、1.26kが1.3 kHzというように値が丸められている。

なお、中心周波数が 20 kHz の場合の周波数範囲は約 18〜22 kHz になるので、20 kHz までフラットなスピーカーでも 20〜22 kHz で応答が悪くなれば 20 kHz の測定レベルは低下してしまうことになる。

20、25、32、40、50、63、80、100、130、160、200、250、400、500、630、800、1.0 k、1.3k、1.6 k、2.0 k、2.5 k、3.2 k、4.0 k、5.0 k、6.3 k、8.0 k、10 k、13 k、16 k、20 k


https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10221_804.jpg


最後の画像はスピーカーから音を出さずに測定した、リスニング・ルームの環境騒音である。普段は鳥たちの声と水のせせらぎに、少しだけ車の騒音が聞こえるという静かな環境なので、ご覧のように都会では考えられないほど騒音レベルが低く、測定に与える影響はわずかである。

とはいえ、8インチ・フルレンジなど、低音の出ないユニットの測定結果に現れる重低音は、この環境騒音がかなりの部分を占めているばあいがある。

この画像程度のレベルなら、まったく再生されていないと理解していただきたい。
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10221



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乱聴録【其ノ一】アルニコのオイロダイン KL-L439 EURODYN
(2007年10月28日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10222

試聴時のオイロダインの様子(中央にはKL-L501が2本)
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長いまえおきが終わって、ようやく最初のラッパの試聴である。その記念すべき第一号には、一番有名なオイロダインに登場してもらい、この乱聴録の評価がどの程度参考になり得るのか、あるいは乱調で無意味なものなのかを判断していただくことにする。オイロダインといってもいろいろとあるが、登場するのはクラングフィルム製のアルニコのオイロダイン KL-L439 である。試聴は上の写真のように、KL-L501と兼用の仮設の平面バッフルで行った。バッフルの実質的なサイズは幅が 2.5 m、高さが 1.5 m であった。このオイロダインには音響レンズが付いているが、少し前まで音響レンズの無いオイロダインを、もう少しまともなバッフルに取り付けてメイン・スピーカーとして愛聴していたので、音響レンズの有無によるちがいにも触れることにする。

クラングフィルム(Klangfilm)は英語風ならサウンドフィルムという名前の会社で、1928年にトーキー映画システムの開発と販売を目的として、SIEMENS & HALSKE と AEG(Allgemeine Elektrizitaets-Gesellschaft)によって共同設立された。ウェスタン・エレクトリックの事業が電話をはじめとして数多くあったのに対し、クラングフィルムはトーキー専業であった。その戦後初のトーキー・システムとして1945年に登場したのが「オイロダイン・システム」である。オイロダインというのは、そこで使われていたスピーカーであったことに由来する呼び名で、スピーカー本体に Eurodyn という文字は無い。なお、1945年当時のモデルは、フィールドの KL-L9431 であり、アルニコは1950年代の途中からである。


オイロダインの背面
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オイロダインは劇場用の典型的な2ウェイ・ホーン・スピーカーで、クロスオーバー周波数は 600 Hz 付近である(ネットワーク回路の設計値は 500 Hz で、この値は実測によるもの)。日本に多いジーメンスのオイロダインと、クラングフィルムのオイロダインとの一番のちがいは、高音用のドライバーである。上の写真のように、クラングフィルムが2インチ半ほどの振動板とは思えないほど巨大なドライバー(KL-L302)なのに対し、ジーメンスのドライバーは二回りほど小さい。ウーハーはどちらも KL-L406 で同じである(ウーハー3発のモデルを除く)。この試聴はホーンのデッドニングなど、一切手を加えていない状態で行った。(正確さのために追記するが、オリジナルで行われた音響レンズの取り付けでは、レンズの後端とホーンの間にゴムシートが挟まれており、それがある程度デッドニングの役割を果している)


オイロダインのウーハー KL-L406
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■ ディスク1「マーラー/子供の不思議な角笛」
昨年ついにシュヴァルツコップが物故してしまい、新盤の解説に没年が記載されているのを見るのが寂しい。このディスクは名曲の名演奏の名録音という、三拍子が最高次元でそろった究極の名盤なので、オリジナルのLPを愛蔵している人も多いことだろう。1曲目のフィッシャー・ディースカウが歌う「死んだ鼓手」は、マーラーらしい皮肉っぽい曲で、大太鼓の30 Hzにおよぶ低音が鮮明に録音されている。我が家のラッパでこれをみごとに再生するのは Europa Junior Klarton のみなので、重低音の判定にはもってこいである。耳に染み着いたシュヴァルツコップの声の聴こえ方も、ラッパの素性がよくわかるという点で最高である。

ところで、このCDも最近のデジタルリマスター盤は音の人工的な臭いが強くなってしまっている。この点をオーディオ評論家の新氏にたずねたところ、「特定のデジタル編集装置を使うのであるが、そのためにどのリマスターもその機械の音になってしまう」という恐ろしい回答であった。リマスター以前の旧盤CDを中古レコード屋で探すなどというバカバカしい事態が、現実になってしまうのかもしれない。


「方形の宇宙」の江夏氏がLPよりも好みだ、というジャケット


冒頭の大太鼓は15インチウーハーにしては「トンッ」と軽い音で、全体に量感が不足しており、やや中高音寄りのバランスであった。これは小さな仮設バッフルのせいで助長されているが、大きなバッフルに取り付けてもこの傾向があるラッパだ。それで、2メートル角のバッフルが必要という話が登場することになる。フィッシャー・ディースカウの声は硬質だが、説得力があってこの曲にはふさわしかった。4曲めの「ラインの伝説」では、シュヴァルツコップのソプラノが、鮮やかでありながら聴き馴染んだ声のイメージから外れることもなく、魅力的であった。また、ホーン・スピーカーならではの輝かしい金管で、オーケストラ全体も色彩豊かに聞こえた。


■ ディスク2「モーツァルト/女声歌曲集」
このソプラノはフォルテで声がハスキーっぽく感じられるような、少し変調がかった感じの音で録音されているのであるが、オイロダインによってそれが誇張されてしまった。やはり録音を選ぶ傾向のあるラッパである。この録音は後の編集までもがシンプルなのか、スタジオの残響による空気感のようなものが自然に記録されており、少し不鮮明だが古楽器のフォルテピアノの響きが美しい。そのあたりはオイロダインの克明さによってうまく表現された。

■ ディスク3「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」
SPの復刻はナローレンジでノイズもあるので、どんなスピーカーでも十分に再生出来るように思えるかもしれないが、実際には非常に難しい。それは、SP盤のころは再生装置による音響効果も計算に入れて音作りをしていたため、ディスクに入っている音をそのまま再生しただけでは不十分だからである。そのような録音の再生は邪道であるというのなら、ヌブーとハシッドだけでなく、エネスコ、ティボー、クライスラー、そして、全盛期のカザルスらの芸術を良い音で聴くという喜びが味わえなくなってしまう。ところが現実には、これらSP全盛期の録音は、特に弦楽器のソロに関して、現在の不自然な録音よりも好ましいというベテランのオーディオ愛好家が少なくない。それほど、当時の録音エンジニアの見識は優れていたのである。したがって、ディスクには半分しか入っていないヴァイオリンの音を補間する能力は、ラッパにとって非常に重要である。その点においてオイロダインはまずまずであった。ハシッドよりもヌブーが良く、やや金属質ながら、艶やかな美しさが勝った。

■ ディスク4「ショパン/ノクターン全集」
全般にオイロダインのピアノは音が明るすぎるように感じる。もっとも、実際にコンサート・ホールに足を運べば、生のピアノの音はかなり明るくて輝かしいので、オイロダインはそれなりに正しい音を再生しているということになる。このディスクにはアナログ録音とデジタル録音が混じっている。その差は極めてはっきりと聞き取れて、特にデジタルのピアノが明るかったが、この印象にはショパンのノクターンという曲の趣が影響したと思う。よく「オイロダインのピアノは硬い」と聞く。たしかに硬めで少し金属質たが、硬さによってリアルさと輝きが生み出されるというメリットもある。もっとも、アンプによっては聴き疲れする音になってしまうから難しい。

■ ディスク5「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」
冒頭の拍手は自然、かつ、臨場感豊かに広がりをもって聞こえた。これには音響レンズも一役買っていて、本来は前に出る傾向のある音像が、後方にも広がるように作用していた。低音がやや軽いのは同じであるが、ラベルの鮮やかなオーケストレーションを存分に楽しめた。よく、オイロダインとドイツの重厚な音楽であるワーグナーやブルックナーを結びつけて語る人がいるが、自分には特別に相性がいいとは思えない。オイロダインには案外カラフルなフランス物がぴったりで、昨年末までのオイロダインをメインにしていたとき、いったい何回クリュイタンスのラベルを聴いたのか数え切れないほどである。ワーグナーなら、むしろテレフンケンの O85 が極め付けのように思う。

■ ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」
とにかく、はじけるようなベースの音に圧倒された。もっとボリュームを上げれば、すさまじい迫力になるにちがいない。スネアやハイハットも鮮明で、まるで見えるかのようだった。ジャズのピアノは音像が巨大で、自分にはどう再生されれば正しいのかイメージが持てないのだが、ショパンとは異なり、音色が明るいことはデメリットにはならなかった。

■ ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」
たぶんサラ・ボーンの声はもっと太く再生されなければならないのであろうが、自分にはそれなりに心地よく聞こえた。トランペットも雰囲気たっぷりに鳴ったし、全体にとても満足できた。


■■ まとめ ■■
このオイロダインの音色がそうであるように、ドイツの音はけっして金属的なモノクロームの世界ではなく、寒色から暖色までの豊かな色彩をもつ音である。米国系の音は暖色に偏っているために明るく、より鮮やかに感じるのに対し、ドイツ系の音は冷たい色も含んでいるために一聴すると地味なのだが、じっくりと聴けば、より色合いが豊富で表現の幅が広いことに気づくはずだ。オイロダインはジャズとクラッシックのどちらにもマッチする、さまざまな音色の出せるラッパなので、手間がかかることを除けば万人向けともいえる。予算とやる気があるのなら、初心者が買うのも悪くないと思う。入力抵抗が200オームもあるフィールドよりも、15オームのアルニコが無難だ。

ここで手短に説明できるほど簡単ではないが、オイロダインを使いこなすには、とにかくホーンを手なずけなければならない。マーラーでは良かったシュヴァルツコップも、ゼーフリートとのモラヴィア二重唱では、ホーンが共鳴するように聞こえてしまう部分がある。相性の悪い女声といえばフェリアで、もともとメガホンを付けたような声の傾向が誇張されてしまうのであるが、調整しだいではフェリアのグルックを、えもいわれぬリアルな声で楽しめるようにできるのも事実である。音響レンズはゴム・シート(追補:フェルトもある)を挟んで取り付けてあるので、デッドニングの効果もある。

個人的には、トランス結合を多用してナロー・レンジなアンプを作るという方向よりも、ホーンをある程度デッドニングするほうが賢いと思っている。まことに得難い、ズミクロン・レンズのごとき解像度を台なしにしないためである。また、無帰還アンプは普通のスピーカーでは顕在化しない部品のアラが出て失敗することが多いので、完璧に材料を吟味し尽くすのでない限り、軽くNFBをかけたほうが無難である。もっとも、ジャズを聴くにはそんな小細工は無用で、あるがままが一番よいのかもしれない。

ある弦楽ファンのオイロダイン・オーナーが、「以前のアルティックでは聞こえなかった、カルテットの冒頭で音が出る直前の気配が、オイロダインでは克明に感じられる」と話すのを聞いた。オイロダインの表現能力をみごとに言葉にしたと思う。このようなシリアスなリスニングには、音響レンズが無いほうが適しているが、オーケストラなどの大編成では、音響レンズがあったほうが音像が左右や後方に広がって自然になる。音質も多少はマイルドになるが、下記の評価が変わるほどの大きな差は無い。


ホワイト・ノイズ再生時の音圧の周波数分布
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■■ スペック ■■
: Weight : 重量
: Diameter : 外径
490 mm : Width : 幅
815 mm : Hight : 高さ
415 mm : Depth : 奥行き
: Depth of basket : バスケットの奥行き
: Voice coil diameter : ボイスコイルの直径

15 ohm : input impedance : 入力抵抗
50 - 18 kHz : Frequency range : 実用周波数帯域
70 Hz : Resonance frequency : f0
600 Hz : Crossover frequency : クロスオーバー周波数
(electrical crossover is 500 Hz)
Very high : Efficiency : 能率

■■ 評価 ■■
3 : Amount of bottom frequency : 重低音の量
4 : Amount of low frequency : 低音の量
7 : Amount of high frequency : 高音の量
5 : Amount of top frequency : 最高音の量

7 : Quality of lower frequency : 低音の質
6 : Quality of middle frequency : 中音の質
7 : Quality of higher frequency : 高音の質
4 : Frequency balance : 各音域のバランス

3 : Softness : 音のやわらかさ
6 : Brightness : 音の明るさ
7 : Clearness : 音の透明さ
8 : Reality : 演奏のリアル感
7 : Sound source image : 音像の明瞭さ

5 : Soprano : ソプラノ
5 : Baritone : バリトン
7 : Violin : ヴァイオリン
6 : Piano : ピアノ

7 : Orchestra (strings) : オーケストラ
8 : Brass : 金管楽器
4 : Big drum : 大太鼓の重低音
9 : Triangle : トライアングル
7 : Perspective of applause : 拍手の臨場感

8 : Snare drum : スネアドラム
8 : Jazz base : ジャズ・ベース
5 : Jazz vocal : ジャズ・ボーカル

6 : Aptitude for Classic : クラッシックへの適性
8 : Aptitude for Jazz : ジャズへの適性
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10222



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乱聴録【其ノ二】テレフンケン(ブルー・フレーム) TELEFUNKEN Ela L6
(2007年10月28日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10223

TELEFUNKEN Ela L6 10インチ・フルレンジ
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テレフンケンは1903年に皇帝ヴィルヘルム2世の命により、SIEMENS & HALSKE と AEG によって共同設立された無線分野を開拓するための会社で、社名は遠隔を表す「テレ」と火花や電波を表す「フンケン」に由来する。ちょうどクラングフィルムよりも四半世紀早く、同じ2社によって設立されたこの会社は、現在のオーディオ界ではスピーカーよりも真空管で有名であるが、なんといってもラジオでの成功が顕著であり、膨大な数の機器を製造した。また、テープ・レコーダーの開発でも、オーディオ界に多大な貢献をした。

このユニットは数発を並べたフルレンジ、あるいは10個以上を並べて小型のホーン・ツィータと組み合わせた2ウェイとして、主にPA用途で使われた。一部はモニター用として使われたものもあり、幅広く用いられた割には数が多くないように思う。濃いブルーに塗装されたバスケットは、ジーメンスの10インチユニットのような薄いアルミではなく、肉厚でガッチリとしている。この塗装色から「ブルー・フレーム」などと呼ばれるようになった。最も美しいラッパの一つである。


青いフレームと赤いダンパーのフランジ
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この記事では青いテレフンケン、あるいは単にテレフンケンと呼ぶことにする。コーン紙はエクスポーネンシャル形状で、中央の赤色いキャップが乳首のような形状であることから「レッド・ニップル」とも呼ばれる。このユニットのフルレンジ再生は、オイロダインと切り替え比較をしても十分に聴きごたえがあるほどで、音質もドイツ製スピーカーの典型である。このユニットの試聴はアルニコのオイロダイン(KL-L439)と比較しながら、平らなマグネットのもの2個で行なった。


赤く乳首のようなセンター・キャップ
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■ ディスク1「マーラー/子供の不思議な角笛」
最初の「死んだ鼓手」では、冒頭の大太鼓がオイロダインよりも量感があることに驚いた。逆にいえば、小さな仮設バッフルに取り付けられたオイロダインの量感が不足しているのだが、さらにちっぽけな箱に入れらたテレフンケンが勝るのだから、やはり低音は優れていると判断できる。皮肉っぽい歌詞を歌う表情豊かなフィッシャー・ディースカウの声は自然に再生され、やや誇張のあるオイロダインよりも好感がもてる音であった。オーケストラはホーン型のオイロダインほど鮮やかではないが、すべての楽器のパートが十分に楽しめた。4曲めの「ラインの伝説」ではシュヴァルツコップのソプラノが少し艶の無い声に感じられた。

■ ディスク2「モーツァルト/女声歌曲集」
オーディオ愛好家というものは、名曲の名演奏にこだわるあまり、一部の楽曲ばかりを聴くという傾向がある。自分も同じであったが、最近は無知を反省してブリリアントの全曲集を多量に聴いている。このディスクも同レーベルのモーツァルト全集170枚組のなかの1枚である。ブリリアントのプロデューサーは歴代の演奏に造詣が深いらしく、最近もショパンの全曲集に驚かされた。なんと、1903年に録音されたプーニョの演奏が含まれているのである。同レーベルは安価な全曲集専門で、全般にコストのかかるメジャーな演奏家の新しい録音は無いが、マイナーな録音や古い録音から意味のある選択をしている。この女声歌曲集はとてもシンプルな録音で、古楽器のフォルテピアノは良い音だが、ソプラノがフォルテで少し歪んでハスキーに聴こえる傾向がある。この歪むような声の変化が、ラッパによって様々に聞こえるのが興味深い。演奏にはシュヴァルツコップとギーゼキングのような豊かな表現を望むべくもないが、典雅な雰囲気があって悪くない。


モーツァルトのボックス・セットと試聴用のCD


「モーツァルト/女声歌曲集」からは10曲目の「Abendempfindung」(夕べの想い)」をいつも聴くことにしている。ソプラノはフルレンジでは物足りないことが多いが、このユニットはまずまずで、10インチのフルレンジとしては優れている。ソプラノの声の歪みはオイロダインほど強調されず、平均的であった。ただし、テレフンケンでは本来エレガントであるはずのソプラノが、少しだけたくましく感じられてしまった。空気感や古楽器のフォルテピアノの美しい響きは、明らかにオイロダインの方が優れていたが、テレフンケンでもそれなりに味わえた。

■ ディスク3「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」
ヴァイオリンでは、ホーンによる音作りに秀でたオイロダインとかなり差がついたが、それでも10インチのフルレンジとしては上々の表現力であった。ヌブーよりもハシッドが良く、厚みのある音で充実していた。

■ ディスク4「ショパン/ノクターン全集」
フルレンジ・ユニットにとってヴァイオリンの再生が難しいのに対し、ピアノは全般に得意なジャンルのようで、このテレフンケンもピアノは優れていた。右手の響きが華やかなオイロダインも良かったが、少しカンカンした金属的なところがあって、むしろテレフンケンのほうが好ましく感じられた。テレフンケンのピアノには 42006 のような愁いはなく、ショパンのノクターンにはやや健康的すぎる音ではあるが、バランスのとれた、それなりに華のある響きを聴かせてくれた。デジタル録音とアナログ録音の差もはっきりと聞き取れた。

■ ディスク5「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」
冒頭の拍手はフルレンジ・ユニットには厳しいものだが、会場にひろがって行く雰囲気がまずまず自然に聴けた。フィナーレのキエフの大門でも、分厚い低音に支えられたオーケストラのピラミッドが崩れることは無く、余裕さえ感じられたのはさすがであった。繊細感には乏しいが団子にはならず、ブラスの輝きはそれなりにあり、トライアングルもきちんと再生された。

■ ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」
やはりフルレンジ・ユニットには厳しいスネアドラムだが、このテレフンケンはかろうじて合格点で、いちおうそれらしく聞こえた。ピアノはドイツのユニットとしては明るく健康的な音色がマッチして、ショパンよりも良かった。ウッドベースは量感と弾力感がすばらしく、10インチとしては最高の部類であった。

■ ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」
この録音では、テレフンケンはほとんどのパートでオイロダインよりも好ましい音を出した。とくに、サラ・ボーンのボーカルは出色で、全体的な音の雰囲気も演奏にマッチしていたので、これなら、755A をはじめとする米国系のラッパを気にして横目でにらむ必要は無いだろう。


■■ まとめ ■■
みるからによい音がしそうなユニットだが、やはり優れた再生能力をもっていた。テレフンケンはエクスポーネンシャル形状のコーンの発明など、黎明期のスピーカー開発をリードしたメーカーであり、当然ながらスピーカーの製造では最高の技術をもっていた。「そのテレフンケンでもっとも実用的なラッパではないか?」というのが、試聴を終えた自分の感想である。同様な10インチのSIEMENSに比べると力強く元気な音で、男性的に感じられるかもしれない。

下の周波数分布を見ればわかるように、高域はの伸びはドイツのフルレンジとしては標準的より上だが、さらに8kHz前後を持ち上げて聴感上の満足を得るという、典型的な音作りもしてある。また、周波数分布は少しデコボコしていて、それによる癖が力強さにつながっているようだ。能率は非常に高く、音に多少の荒さはあるものの、驚くべき実力を持つラッパだ。なお、2ウェイにすることで荒さは解消できるだろう。


小さなうねりはあるがワイドレンジな周波数分布
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■■ スペック ■■

2.2 kg : Weight : 重量
247 mm : Diameter : 外径
213 mm : Edge diameter : エッジの外径
188 mm : Cone diameter : コーンの外径
138 mm / 128 mm : Depth : 奥行き
78 mm : Depth of basket : バスケットの奥行き
30 mm : Voice coil diameter : ボイスコイルの直径

2 ohm : Voice coil DC resistance : ボイスコイルの直流抵抗
60 - 15 kHz : Frequency range : 実用周波数帯域
59 Hz : Resonance frequency : f0
Very high : Efficiency : 能率

■■ 評価 ■■
3 : Amount of bottom frequency : 重低音の量
5 : Amount of low frequency : 低音の量
6 : Amount of high frequency : 高音の量
4 : Amount of top frequency : 最高音の量

5 : Quality of lower frequency : 低音の質
5 : Quality of middle frequency : 中音の質
4 : Quality of higher frequency : 高音の質
7 : Frequency balance : 各音域のバランス

4 : Softness : 音のやわらかさ
7 : Brightness : 音の明るさ
3 : Clearness : 音の透明さ
5 : Reality : 演奏のリアル感
7 : Sound source image : 音像の明瞭さ

4 : Soprano : ソプラノ
6 : Baritone : バリトン
5 : Violin : ヴァイオリン
5 : Piano : ピアノ

5 : Orchestra : オーケストラ
5 : Brass : 金管楽器
5 : Big drum : 大太鼓の重低音
5 : Triangle : トライアングル
5 : Perspective of applause : 拍手の臨場感

4 : Snare drum : スネアドラム
6 : Jazz base : ジャズ・ベース
8 : Jazz vocal : ジャズ・ボーカル

4 : Aptitude for Classic : クラッシックへの適性
8 : Aptitude for Jazz : ジャズへの適性
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▲△▽▼


乱聴録【其ノ三】クラングフィルム KL42006 KLANGFILM, TELEFUNKEN Ela L45
(2007年10月28日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10224

初期の台座が付いた 42006
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クラングフィルムでは、1920年代後半のライス&ケロッグ型に次いで古い、この1930年代前半の形状をとどめるセンター・スパイダー型のラッパが、戦後になってアルニコの時代に移り変わるまでの長い間、フルレンジ・スピーカーの王座を守りぬいた。42006 はそれだけ完成度が高く、決定版であったということである。さらに、磁気回路が巨大で外観が立派なこともあって、42006 は現在でも最高のフルレンジとされているのだから、ラッパは1930年代前半から進歩していないと、この一面ではいえることになってしまう。この古風な姿をしたラッパが現在でも入手可能で、そのうえ、すばらしい音を出してくれるということは、ヴィンテージ・オーディオにおける最高の喜びのひとつである。

俗に ZETTON と呼ばれているようだが、KLANGFILM ZETTON システムのメイン・スピーカーは、別の12インチモデルである。型番は42002〜42004あたりの可能性が高い。(その後の調査によって、ZETTONについの記述が誤りだったことが判明したので、訂正させていただいた) 42006 はトランク・ケースに組み込んで、ポータブル映写システムに多用されたため、製造数が多く、現在でもクラングフィルムのフィールド型としては、最も数が多いラッパである。したがって、入手は比較的容易だが、すでにかなり高額になってしまっているだけでなく、さらに高騰しそうな勢いである。

シリアルが4万台の初期ユニットは、ガスケットのフェルトが美しい紺色をしている。そのなかには、上の写真のような台座が付いているユニットがある。42006 は磁気回路が非常に大きくて重い割りにフレームが薄い鉄板なので、少しの衝撃で変形してしまう恐れがあるから、この台座が省略されてしまったのは残念である(その後、7万台で台座付きのものを目にした)。6万台になるとフェルトは灰色になるが、代わりにレモン・イエローの半透明塗料が磁気回路の防さび用として塗布されている。下の写真の左側のユニットがそれで、タグには1938年と記されている。旧ドイツによるチェコスロバキア併合が始まった年であり、大戦前夜の優れた品質の製品が生み出された時代でもある。


シリアルが6万台(左)と11万台(右)の 42006
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右側はシリアルが11万台で、第二次大戦中の製造と思われるが、品質は意外に高く、物資不足による粗悪な製品のイメージとはほど遠いものである。1945年のオイロダインと同様に、クラングフィルムの七不思議だ。その後、クラングフィルムのモデル・ナンバーが大戦中までの5桁から、1945年ごろの4桁を経て3桁になるのにしたがい、KL-L305 と改められたが、ラッパにこれといった変化は無かった。

42006 の初期には TELEFUNKEN ブランドの Ela L45 という同型のラッパがあった。黒いチジミ塗装、緑色のフェルト、センター・スパイダーのすき間に輝く銅メッキのポールピース。そういったパーツでいっそう魅力的に見えるラッパだが、最大のちがいはコーン紙にある。これまでに入手した2本は、どちらもコーン紙が少し茶色がかっていて質感がちがい、音も少しだけ柔かい印象であった。また、ボイスコイルの直流抵抗も14オーム程度と多少高かった。とはいえ、42006と異なる評価を与えるほどの差は無いので、いっしょにまとめてしまった。試聴は11万台のラッパを中心に、他も少しだけ聴きながら行った。


テレフンケンの Ela L45
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■ ディスク1「マーラー/子供の不思議な角笛」
死んだ鼓手の大太鼓は青いテレフンケンと同じくらいの量感であるが、口径が大きいためか余裕を感じる。フィッシャー・ディースカウのバリトンはオイロダイン以上にリアルで凝縮感があり、ゾクゾクするほどであった。トライアングルやピッコロなど、細かい音も一とおり聞き取れた。ソプラノは軟らかく聞きやすいが、ほんの少し物足りなかった。それでも、シュバルツコップらしい声には聞こえた。途中のバイオリンソロは艶が控え目だが良い感じであった。古色蒼然たる見かけよりもずっと Hi-Fi 的だったのは確かである。

■ ディスク2「モーツァルト/女声歌曲集」
ホールトーンなど、古楽らしい空間の雰囲気は弱かったが、ニュアンスはそれなりに聞き取れた。ソプラノも地味で、ソプラノがフォルテで声が割れるような録音が歪むようなところは、濁ってしまってニュアンスがはっきりと聞き取れなかった。とはいえ、声がソフトで聞きやすかったこともあり、聴いていて悪い気分ではなかった。

■ ディスク3「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」
ヌブーとハシッドはあふれる才能をもつバイオリニストであったこと、そして、若くして命を失ったことで共通している。大二次大戦の初期に行われたブルムラインの装置による録音は、SP時代の頂点ともいえる出来であり、赤レーベルに金泥が輝くヌブーのHMV盤は、ヴァイオリン・ディスク史上の宝石である。ハシッドのほうはエビ茶色のレーベルで、同じ HMV盤でも趣が異なるのだが、念のためにSP盤を取り出して確認したところ、やはりブルムラインの装置を示す□の刻印があった。ウエスタンエレクトリックの装置なら△の刻印である。17才でハシッドが録音したタイスの瞑想曲を HMV の 203型蓄音機で聴くと、「クライスラーが200年に一度の逸材と絶賛した彼のビロードのごとき手で奏でれば、このありきたりに聴こえがちな曲がなんという深い美しさをたたえるのであろうか」と、思わずにはいられない。それほどの美音は望まないにせよ、この録音のバイオリンをフルレンジ・ユニットで満足に再生するのは意外に難しく、試聴にはもってこいである。


ヴァイオリニストに多い早逝の天才である二人


一聴からしてヌブーはいまひとつであった。高域に蓄音機的な華やかさが無く、電蓄的(当り前だが)であった。ちなみに電蓄とは電気蓄音機のことで、シャキッとした機械式の蓄音機の音に対し、ブーミーな音とされている。ハシッドはまずまずであったが、どうも古いヴァイオリンとは相性が悪いのかもしれない。試しにローラン・コルシアを聴いてみたところ、なかなか良い雰囲気であった。どうもヴァイオリンに関しては新しい録音のほうがマッチするようである。

■ ディスク4「ショパン/ノクターン全集」
録音年代の差はオイロダインほどではないが、はっきりと聞き取れた。音にはかげりがあって、ショパンのノクターンらしい雰囲気を味わうことができた。オイロダインは、20番で音が明るすぎて違和感があった。42006 も全体に少し誇張された感じはしたが、19番では音が少し不安定でいっそうアナログ的に聞こえる効果が生じて、この CD にはマッチしていた。高音は音程によって音色が異なるばあいがあり、調律師だったら気になるであろう。いかにも敏感なフルレンジらしい魅力的なピアノで、ソプラノが地味なのと対象的であった。

■ ディスク5「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」
一応フル・オーケストラもちゃんと聞けたし、チューブベルや大太鼓も悪くなかった。トライアングルなど細かい音も聞き取れた。しかし、音場はダンゴ気味になってあまり広がらなかった。もっと大きなバッフルなら良かったのかもしれない。やはり、「フル・オーケストラではツィーターが欲しくなるな」という印象をもった。量感はけっこうあって、ズシンと来た。拍手はダクトを耳に当てて聴いたような、遠くのジェット機の騒音にも似た、変調された感じの音であった。

■ ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」
田舎に行くとコイン精米機というのがあって、玄米から精米し立ての米を食べるために利用されている。コイン精米機の動作中は「ザーザー」とも「ジャージャー」ともつかない音が響くのだが、42006 のスネアドラムは、まるでこの音のようであった。ハイハットはまずまずで、ピアノはリアルだが誇張された感じであった。ベースはオイロダインのような弾ける感じではなく、普通という印象を受けた。

■ ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」
クリフォード・ブラウンのミュートを付けたトランペットは、なんともいえない哀愁を帯びた響きであった。少しマイルドに過ぎるきらいはあるが、けっしてあいまいではなく、音のくま取りははっきりとしていた。ボーカルは声が浮き出て良かった。

■■ まとめ ■■
この量産ユニットとしては最も古い形状のフルレンジは、はたして Hi-Fi に使えるのであろうか? その答えは YES でもあり NO でもある。意外にレンジは広く、音の透明感もそれなりにある。往年の名録音ならオーケストラも含めておおむね良好だが、大編成の新しい録音はおもしろくない。フルレンジで高域を補うために良くある 8 kHz 付近のピークは比較的弱く、素直な特性である。したがって、自然で大人しい音である。

Hi-Fi 用ではなく、能率重視の古い設計だが、センタースパイダでショートボイスコイルという、軽い音原らしい敏感な音で、俗にいうハイスピードの典型だろう。いっぽうで巨大なフィールドらしい中音域の凝縮感もあった。低域はやや甘くて使いやすく、オイロダインよりも容易に低音の量感を出すことができる。男性ボーカル専用にモノで使えば最高か? ツィーター無しで満足できるかどうかは、聴く人の感性やポリシーによるが、平均的な米国系の12インチ・ユニットよりもはるかにワイドレンジなことは確かである。娘が借りてきたヒラリー・ダフの DVD を、なんの違和感も無く再生出来たことを付け加えておく。さすがに映画用のラッパだ。

初期の台座が付いたラッパは f0 が 70 Hz と少し高く、後期のものよりも低音が軽く感じられた。テレフンケンは少しだけ柔かい音で、42006 にもかすかにある、SIEMENS 系のフルレンジに特徴的な音の硬さが目立たなかった。さて、だいぶ長くなったが、42006 についてはあまりに書くべきことが多いので、続きは稿を改めて別の書き物にまとめることにする。


11万台のユニットの周波数分布
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10224_805.jpg


■■ スペック(42006)■■

6.8 kg : Weight : 重量
296 mm : Diameter : 外径
263 mm : Edge diameter : エッジの外径
236 mm : Cone diameter : コーンの外径
193 mm : Depth : 奥行き
88 mm : Depth of basket : バスケットの奥行き
38 mm : Voice coil diameter : ボイスコイルの直径

10 ohm : Voice coil DC resistance : ボイスコイルの直流抵抗
2.7 k ohm : Field coil DC resistance : フィールドコイルの直流抵抗
50 - 12 kHz : Frequency range : 実用周波数帯域
67 Hz : Resonance frequency : f0
Very high : Efficiency : 能率

■■ 評価 ■■
4 : Amount of bottom frequency : 重低音の量
5 : Amount of low frequency : 低音の量
5 : Amount of high frequency : 高音の量
2 : Amount of top frequency : 最高音の量

6 : Quality of lower frequency : 低音の質
7 : Quality of middle frequency : 中音の質
5 : Quality of higher frequency : 高音の質
7 : Frequency balance : 各音域のバランス

6 : Softness : 音のやわらかさ
4 : Brightness : 音の明るさ
4 : Clearness : 音の透明さ
4 : Reality : 演奏のリアル感
7 : Sound source image : 音像の明瞭さ

4 : Soprano : ソプラノ
8 : Baritone : バリトン
4 : Violin : ヴァイオリン
8 : Piano : ピアノ

4 : Orchestra : オーケストラ
4 : Brass : 金管楽器
6 : Big drum : 大太鼓の重低音
3 : Triangle : トライアングル
2 : Perspective of applause : 拍手の臨場感

2 : Snare drum : スネアドラム
6 : Jazz base : ジャズ・ベース
8 : Jazz vocal : ジャズ・ボーカル

5 : Aptitude for Classic : クラッシックへの適性
6 : Aptitude for Jazz : ジャズへの適性
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10224



▲△▽▼



乱聴録【其ノ四】シュルツ KSP215 SCHULZ
(2008年3月20日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10225

左がフェライト、右がアルニコの KSP215
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シュルツ(W. Schulz Elektroakustik/Mechanik)は東ベルリンで第二次大戦後の数十年間にわたり、レコーディング・スタジオや放送局のモニター用スピーカーなどを製造していたオーディオ機器メーカーである。プロ用のみであったためにどの機種も製造数が少なく、市場でも見かけることが少ない。エテルナ・レーベルなどで有名なシャルプラッテンも、モニター・スピーカーとしてシュルツを用いていたので、エテルナの優れた音質にシュルツのスピーカーが深くかかわっていたにちがいない。シュルツは独特な構造の大型コアキシャル O18(TH315)で有名だが、KSP 215 も小さいながら風変わりなラッパである。

まず、エッジが発泡ネオプレンゴムである。このようなスポンジ状のエッジは、英ローサー製 PM6 のエッジがボロボロになって痛い目にあった身としては不安であるが、指で押してみると軟らかく、まったく劣化していないように見えるから不思議だ。つぎに、ダブルコーンの中心のボイスコイル・ボビンのところに樹脂性のキャップが接着されていて、ちょうどソフトドーム・ツィーターのようになっている。それらに深緑色の塗装も加わることで、特異な外観になっている。

KSP215 にはアルニコとフェライトのもの(KSP215K)があって、磁石以外の構造や音も若干異なる。アルニコにはコルゲーションが1本あるほか、ドームとなるキャップがボイスコイル・ボビンに接するように接着されている。フェライトにはコルゲーションが無く、キャップは大きめでボイスコイル・ボビンから少し離れたコーン紙に接着されている。フェライトのほうが KSP215 の個性をより強く持っているので、試聴はフェライトで行い、少しだけアルニコと比較してみることにした。


上がフェライト、下の二つがアルニコの KSP215
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■ ディスク1「マーラー/子供の不思議な角笛」
フィッシャー・ディースカウはかなりマイルドで明るい声に聴こえた。最近のナチュラル派をうたうスピーカーで聴く彼の声にもこのような傾向があるが、彼の生演奏を聴いたことがある耳にとっては、テレフンケンのほうがずっと真実に近い声に感じられた。明らかにシュルツのほうが歪みが少ないのだが、歪みが少ないほど原音に近く聞こえるという比例関係は、多くのばあいに成立しない。この解離によって、原音追求が冬の旅になるのである。

ソプラノもじつにきれいだが薄味で、円熟期のシュヴァルツコップの声がずいぶんと可愛らしく聴こえてしまってもの足りなかった。もっと無垢なソプラノなら、チャーミングに聞こえるシュルツの音が似合うことだろう。

いっぽう、伴奏は全般に優れていた。大太鼓はテレフンケンほど量感はないものの、オイロダインのように倍音成分が勝ってトンッと軽くはならず、低くとどろく感じがある程度出ていた。8インチとしては最高の部類だろう。オーケストラの分離は、さすがといえるほどであった。シングルコーンならステレオの定位や分離が必ず良い、というのは誤りである。コーンは複雑な分割振動をしており、定位に大きウエイトを占める中高音ではとくに、音源の位置が複雑になる。10 kHz の波長 3.4 cm に対してコーンは大きく、位相を乱すのに十分だ。シュルツはセンターのドームが有効に機能している印象である。ストリングも見通しが良くてとてもなめらかであったが、ウエットに感じた。

■ ディスク2「モーツァルト/女声歌曲集」
このディスクはシュルツで好ましく聴くことができた。ソプラノの歪はそのままストレートに聴こえたが、清らかさがあって不快ではなかった。箱庭的で狭い印象ではあったが、録音された場所の空間を感じることができた。

■ ディスク3「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」
シュルツはこの古いヴァイオリンの録音には向かないようである。最新の高級なラッパで聴いたときのような、つまらない音であった。

■ ディスク4「ショパン/ノクターン全集」
なにかで「アシュケナージが来日した際にパハマンのSPレコードを探し求めた」というような文章を読んだのだが、出典を忘れてしまって思い出せない。それはあやふやな記憶だが、このノクターン全集を聴くとパハマンの幽幻な演奏とのつながりを感じるのは、二人のファースト・ネームがともにウラジミールだからというわけではないだろう。このディスクの録音は1975年と1985年に行なわれており、その間にはアナログからデジタルへの録音方式の変遷があった。このため、このディスクではアナログ録音とデジタル録音が混在しており、デジタル・リマスターによって音質の差を無くそうと努力してはいるものの、明らかにちがう音に聴き取れる。この音質の差がどのように感じられるか、というところが、このディスクによる試聴の妙味である。


アシュケナージのノクターン全集(SPレコードはパハマンのノクターン)


ほかのドイツのフルレンジのように、ピアノが特に良く聞こえるラッパではなかった。デジタル録音は冴えた高音が広がることでアナログ録音との差をはっきりと感じた。

■ ディスク5「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」
冒頭の拍手はとても自然で、さざ波のように広がる様子が見事に再現された。周波数レンジが広く、すべてのパートをきちんと聞き取れたが、迫力には欠けていた。ステレオ感は最高で、特筆すべき再現性であった。

■ ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」
スネアドラムはフルレンジとしては最高で、「これ以上きちんと再生できるユニットは存在しないのでは?」と思うほど優れていた。ベースもきちんと再生されたが、少しお上品な印象であった。ピアノの音もきれいであったが、もともと人工的に録音されている音像が、定位が明確なせいで不自然さが増してしまったようである。

■ ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」
全体に過不足なく再生し、優等生的だったが、すべてがきれい事になってしまう傾向があった。


KSP215K(フェライト)のラベル
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■■ まとめ ■■
はじめの一音から、普通のラッパとは明らかに異なる印象を受けた。ドイツのフルレンジとは思えない異端児で、その音はスペンドールやセレッションなど、英国のブックシェルフを連想させた。能率は低めで、こちらから聴きに行けばすばらしい音が出ているが、受身では弱い印象の音であった。ヘッドホン的に、近距離で音像に頭を突っ込むようにして聴けば、ものすごい音像定位を味わえた。非常に優れた特性のラッパで、減点法なら最高得点となるのだが、魅力に欠ける面があることも否めない。やはり、まごうかたなきモニター・スピーカーである。

アルニコの音はフェライトを7割、RFT のフルレンジを3割でブレンドした、というような印象であった。f0 が高いこともあって、普通のラッパに近い鳴りっぷりなので、アルニコのほうが使いやすいだろうが、個人的にはより個性的なフェライトを手元に置いておきたいと思う。

もし、目の前で歌うフォークや歌謡曲などの女声ボーカルを、くちびるのウエットささえ感じらるほどに聴くことが目的なら、このラッパを至近距離で使うのが最高の選択かもしれない。おそらく、歌手の声は普通よりも可愛らしく聞こえるであろう。シュルツはまったく同じ作りで5インチ口径の、テープレコーダー内蔵用のモニターも製造したので、聴いてみたいところである。


KSP215K(フェライト)の音圧の周波数分布
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10225_805.jpg


■■ スペック ■■

Ferrite, AlNiCo
1.35 kg, 1.15 kg : Weight : 重量
215 mm, 213 mm : Diameter : 外径
195 mm, 195 mm : Edge diameter : エッジの外径
170 mm, 165 mm : Cone diameter : コーンの外径
93 mm, 110 mm : Depth : 奥行き
56 mm, 68 mm : Depth of basket : バスケットの奥行き
32 mm, 32 mm : Voice coil diameter : ボイスコイルの直径

4.7 ohm, 4.1 ohm : Voice coil DC resistance : ボイスコイルの直流抵抗
40 - 20 kHz (Ferrite) : Frequency range : 実用周波数帯域
48 Hz, 62 Hz : Resonance frequency : f0
Middle low : Efficiency : 能率

■■ 評価 ■■
3 : Amount of bottom frequency : 重低音の量
4 : Amount of low frequency : 低音の量
6 : Amount of high frequency : 高音の量
5 : Amount of top frequency : 最高音の量

5 : Quality of lower frequency : 低音の質
5 : Quality of middle frequency : 中音の質
5 : Quality of higher frequency : 高音の質
6 : Frequency balance : 各音域のバランス

8 : Softness : 音のやわらかさ
5 : Brightness : 音の明るさ
7 : Clearness : 音の透明さ
3 : Reality : 演奏のリアル感
9 : Sound source image : 音像の明瞭さ

4 : Soprano : ソプラノ
3 : Baritone : バリトン
5 : Violin : ヴァイオリン
5 : Piano : ピアノ

5 : Orchestra : オーケストラ
4 : Brass : 金管楽器
5 : Big drum : 大太鼓の重低音
6 : Triangle : トライアングル
7 : Perspective of applause : 拍手の臨場感

6 : Snare drum : スネアドラム
2 : Jazz base : ジャズ・ベース
3 : Jazz vocal : ジャズ・ボーカル

6 : Aptitude for Classic : クラッシックへの適性
2 : Aptitude for Jazz : ジャズへの適性
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10225



▲△▽▼



乱聴録【其ノ五】ジーメンス革エッジ12インチ・フィールド SIEMENS
(2008年4月19日)
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10226

皮エッジの12インチ・フィールド型。緑のフェルトはオリジナルではない
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 日本では公式に「シーメンス」とされている SIEMENS だが、オーディオ愛好家にとっては、最高のオーディオ機器を製造していたころの1966年までの名前であるジーメンス&ハルスケ(SIEMENS & HALSKE)が記憶すべき名称だ。Halske とともに同社を創業した Ernst Werner von Siemens は、電気機関車などの発明で有名だが、マイクロフォンやスピーカーの動作原理となっているムービング・コイルの発明者でもあることを忘れてはいけない。そういったわけで、オーディオの話題ではジーメンスと表記することをご容赦いただきたい。


磁気回路は小さく、42006 と比べると貧弱に見える
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 ジーメンスは同社と AEG で共同設立したテレフンケンと密接に関連してスピーカーの開発、製造を行ったので、両社のラッパはどちらのブランドなのか判然としないところがある。この皮エッジの12インチも同様だ。フィックスド・エッジの12インチは、1930年代後半のテレフンケン製高級ラジオに内蔵されていたことからテレフンケン製とされているが、下の写真に示すドイツのスタジオ・モニターの原器ともいえるラッパは、革エッジのユニットを用いて、SIEMENS のエンブレムが付いている。この系統のユニットをジーメンスのラッパとするのか、あるいはテレフンケンとするのかは難しいが、おおむね初期のものがテレフンケンで、1930年代末ごろからの中期以降のものがジーメンスといったところだ。


つい立型をした SIEMENS のスタジオ・モニター
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 この皮エッジの12インチはフィックスド・エッジより数年後の1940年ごろにごく少数が製造され、主にスタジオ・モニターとして用いられたと思われるが、入手したラッパには映画スクリーンの飛まつと思われる白点があるので、劇場でも使われたのだろう。ひょっとすると試聴したペアはテレフンケン・バージョンで、元から L45 のような緑色のフェルトであったのかもしれない。

 終戦前後には皮エッジのままアルニコ化され、さらにアルミ・コーンのツィーターを加えた同軸ユニットも製造された。いずれのラッパも、現存している数は非常に少ない。下の写真は上のスタジオ・モニターのユニットで、こちらの灰色のフェルトはオリジナルである。ただし、このユニットは皮エッジが縮んで変形しており、大手術が必要なために試聴できなかった。


修理中のスタジオ・モニターのユニット
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 エッジの皮は幅が広く、明らかにフィックスド・エッジを手作業で切断して製造したものである。同じ12インチの 42006 が能率最優先のショート・ボイスコイルで大振幅時の歪みを容認した設計であるのに対し、このラッパはロング・ボイスコイルで能率が低く、高忠実度再生をねらった設計である。下の写真はボイスコイルがかなり飛び出して見えるが、これでもボイスコイルの位置はほぼ中央で、正しく調整された状態である。磁気回路のギャップの深さが 5 mm しかないのに、なんと、ボイスコイルの幅は 11 mm と2倍以上もあるのだ。この時代にコーンの振幅をそんなに広く想定していたとは思えないので、かなりの無駄があり、なぜこのような設計をしたのかは謎だ。


不必要と思われるほど長いボイスコイルで能率は低い
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■ ディスク1「マーラー/子供の不思議な角笛」
 冒頭の大太鼓の一発で衝撃を受けた。これはただならぬラッパだ。フィールドの小さい貧相な外見からは想像できない、床を揺るがすような重低音に、オーディオ的な快感を禁じえなかった。オイロダインはまったくかなわない。大太鼓以外のパートも大口径フルレンジとしては不思議なくらい団子にならず、さわやかさがあって魅力的であった。少しメローで聴きやすい声の音質ながら、ディースカウはディースカウらしく、シュヴァルツコップはシュバルツコップらしく聴こえた。

■ ディスク2「モーツァルト/女声歌曲集」
 独特の艶とまろやかさのあるソプラノで、夕べの想いはロマンティックな雰囲気に浸れた。やはりフルレンジなので、ホーンのような華やかさやリアリティには欠けるが、これはこれで、うっとりできる。この録音の独特な癖は少し潜められるが、区別ははっきりしていた。やはり、メローでありながら分解能のある不思議な音で、荒々しさのあるテレフンケンとは対照的であった。

■ ディスク3「ヌブー&ハシッドのヴァイオリン」
 同じ高価なフィールドの12インチということで、どうしても比較してしまうが、42006 よりもずっと良かった。ヌブーのこの録音は理屈抜きで美しく、耽美的に聴けた。それでそのまま、なにも考えずに最後まで聴き続けてしまった。このラッパが持つ高域の甘さが、ヴァイオリンの SP 復刻ではすべて良い方向に作用していた。

■ ディスク4「ショパン/ノクターン全集」
 このディスクのみ、愁いのある 42006 の音に軍配があがった。十分に雰囲気はあったのだが、ピアノはもう少し辛口のフィックスドエッジのほうが「らしく」聴こえる、ということなのだろう。分解能は申し分なく、アナログとデジタルの差もはっきりとわかる。巻線の低音はすばらしく、テレフンケンが軽々しく聞こえてしまうほどであった。

■ ディスク5「ムソルグスキー、ラベル/展覧会の絵、ボレロ」
 録音嫌いで有名であったチェリビダッケは、個性派ぞろいの指揮者のなかでも、極め付けの一人といえるだろう。録音の人為的な編集を不正なものとした指揮者の意志の表れか、このディスクもあまり加工臭のしない好感のもてる音作りだ。人工調味料をふんだんに入れた惣菜のような録音に麻痺してしまった耳には、ゆっくりとしたテンポの展覧会の絵がスローフードのように心地よいだろう。もちろん、1990年代の新しい録音なので十分に Hi-Fi であるし、管弦楽の編成も大きいので、一般的なオーディオの試聴にも適したディスクであると思う。演奏前後の拍手も自然な雰囲気で録音されいる。


チェリビダッケの展覧会の絵とボレロ


 拍手の不思議な音場に驚いた。スピーカーの上方にふんわりと広がるプレゼンスに、思わず高いところにある別のスピーカーが鳴っているのか?と腰を浮かせてしまった。それが、信号をモノラルにミックスすると、ぴたりと真ん中に置いてあるテレフンケンから音が出てくるように聞こえるから見事だ。シュルツの KSP215 ほうがより正確にステレオの音場を再現していたはずだが、こちらのほうがずっと広がりがあって魅力的だ。これも皮エッジの効果だろうか?

 拍手ばかりでなく、オーケストラもすばらしい音で、この一連の試聴で初めて全曲を聴いてしまった。能率がやや低めなので、それなりにパワーが必要だが、EL34 シングルの8ワットでも不足しなかった。キエフの大門も伸びやかで破綻がなかったが、少しこじんまりとした感じであった。

■ ディスク6「ワルツ・フォー・デビー」
 42006 では厳しかったハイハットだが、このラッパではまずますの出来であった。ピアノは角の取れた音でリラックスして聴くことができた。ベースはオイロダインやテレフンケンのようには弾けなかったが、誇張の無い表現が自然で好ましいものに感じられた。全体にマイルドであったが、このように角の取れたジャズもまた、すばらしいと思った。

■ ディスク7「サラ・ボーン&クリフォード・ブラウン」
 クラッシックとジャズで女性ボーカルの評価が反対になるフルレンジが多いなかで、このユニットはどちらも良いという例外であった。独特の甘さはジャズでも同じだが、声からいろいろな表情がきちんと聞き取れたので、ずっと聴いていたいと感じた。

■■ 乱聴後記 ■■
 まったく驚くべきラッパである。何回も「不思議」という言葉を使ったが、けっして誇張ではなく、古ぼけて立派でもない外観からは想像できないほどの豊潤な音に驚いたためである。下のホワイトノイズ再生時の音圧の周波数分布では、実質 1.1 m 角ほどの小さなバッフルなのに 1 kHz 以下がフラットで低音がとても豊かなことと、4 kHz とやや低い周波数にピークがあることがわかる。全体を覆う甘さはこのピークと皮エッジの相乗効果なのかもしれない。つまりは、癖もそれなりに強い、ということであるし、周波数レンジもけっして広くはないので、完璧なラッパとはいえない。ではあるが、音楽再生のための最良の道具とは、このようなものではないか、と考える。無歪みであることのために、つまらない思いをすることはないのである。

 とくに印象的だった重低音に寄与しているのが皮のエッジだが、効果は f0 の低さだけではない。大学院で興味本意に受講した音響理論は、コーン・スピーカーのエッジで発生する振動の反射による混変調歪みに関する教授の論文の計算をやり直す、というものであった。その論文によると、エッジでの反射によって発生する混変調歪みが、スピーカーの歪みの大きな要因ということであった。

 たとえば、ロープの一端を木などに固定して反対から波を送ると、波は固定端で反射して戻って来る。これはフィックスドエッジの状態である。いっぽう、一端を柔らかな皮のようにほどよく伸びる材質で結んでおくと、反射はほとんど起こらない。つまり、フィックスド・エッジでは多量に発生するエッジでの反射が、皮のエッジではあまり発生せず、歪みが少ない、ということになる。このように優れた皮エッジだが、大量生産に不適なのは明らかで、スポンジなどに取って代わられ、廃れてしまったのは残念なことである。

 今回試聴したユニットは見た目はいまひとつなものの、2本が非常に良くそろっていて、皮エッジはとても柔らかく、特別に音の良いサンプルであった。したがって、同じユニットを入手しても、これほど優れた音はしない可能性が高いだろう。まさかとは思うが、オイロダインの低音に悩むオーナー諸氏は、この記事を読んでウーハーのエッジをハサミで切断したくなってしまうのではないかと、少々心配である。


周波数分布。バッフルなのに 1 kHz 以下がフラットなのが印象的だ
https://www.klang.jp/s/file/0000/000/000/102/10226_807.jpg


■■ スペック ■■

3.4 kg : Weight : 重量
295 mm : Diameter : 外径
265 mm : Edge diameter : エッジの外径
220 mm : Cone diameter : コーンの外径
175 mm : Depth : 奥行き
90 mm : Depth of basket : バスケットの奥行き
38 mm : Voice coil diameter : ボイスコイルの直径

15 ohm : Voice coil DC resistance : ボイスコイルの直流抵抗
35 - 15 kHz : Frequency range : 実用周波数帯域
39 Hz : Resonance frequency : f0
Middle : Efficiency : 能率

■■ 評価 ■■
5 : Amount of bottom frequency : 重低音の量
6 : Amount of low frequency : 低音の量
6 : Amount of high frequency : 高音の量
3 : Amount of top frequency : 最高音の量

8 : Quality of lower frequency : 低音の質
7 : Quality of middle frequency : 中音の質
5 : Quality of higher frequency : 高音の質
7 : Frequency balance : 各音域のバランス

8 : Softness : 音のやわらかさ
6 : Brightness : 音の明るさ
5 : Clearness : 音の透明さ
5 : Reality : 演奏のリアル感
7 : Sound source image : 音像の明瞭さ

8 : Soprano : ソプラノ
7 : Baritone : バリトン
6 : Violin : ヴァイオリン
7 : Piano : ピアノ

6 : Orchestra : オーケストラ
6 : Brass : 金管楽器
8 : Big drum : 大太鼓の重低音
5 : Triangle : トライアングル
6 : Perspective of applause : 拍手の臨場感

4 : Snare drum : スネアドラム
7 : Jazz base : ジャズ・ベース
8 : Jazz vocal : ジャズ・ボーカル

9 : Aptitude for Classic : クラッシックへの適性
6 : Aptitude for Jazz : ジャズへの適性
https://www.klang.jp/index.php?f=&ci=10213&i=10226

35. 中川隆[-9416] koaQ7Jey 2019年6月21日 08:53:58 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3068] 報告
TK邸訪問(その1):驚きの連続・・・(^^; [2011/08/0207:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1144.html


酒仙坊邸のオフ会でお会いした、酒仙坊さんご愛用のStream Playerと言う再生アプリの作者でもあるFさんから、きっと惹かれるものがあるんじゃないかと、ご紹介いただいたTKさんのお宅へ伺ったお話を・・・

ただ、若輩者のσ(^^)私には、機器の名前さえ聞いたこともない珍しい・・・多分、お好きな方には、お宝の山なんでしょうが・・・珍しい機器ゆえ、そのいわれも何も分かっていないと言う、もったいない状況でして・・・

ま、とにかく、のっけから驚きっぱなしの、衝撃的な体験でした・・・

まず、お部屋に置かれた機材・・・広さは、12〜13畳だと思うんですが・・・巨大な機材が、所狭しと置かれていました・・・

更に、その周りは、入り口以外の3面が、別の部屋に隣接していまして、そこに膨大なライブラリが・・・SPやLPなどレコードとテープも・・・そのコレクションの数は、千の単位を遥かに超える膨大な量だそうで・・・(@@;

一方で、インフラノイズの機器を使ったPCオーディオもされているそうですが、残念ながら、今回は時間の関係で聞けませんでした・・・

さて、その膨大なレコードを聞かれるメインの送り出しは・・・


【EMTのターンテーブル】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110801020807305.jpg


送出しは、EMTのターンテーブルで、奥がモノラル用、左がステレオ用、手前は自作?のアームのようでした・・・カートリッジは・・・ステレオ用はオルトフォンのSPU・・・スミマセン良く分かってませんm(_ _)m

で、最も興味深く、驚きだったのが・・・その設置方法・・・中が丸見えですが、これも音のために外側のパネルを外しておられるのだそうで(これはσ(^^)私の勘違いのようで、もともとこれをコンソールに入れて使うんですね)・・・それより、一番下のボードからミルフィーユのように何層にもなっているのは、米松の合板を重ねて接着したボードの間に、カーペット使い古しのウール毛布あるいは綿毛布を数枚挟んで、浮揚?されておられるようで・・・この組み合わせで、音の調整をされているのだそうで、長年の試行錯誤の積み重ねで、そのノウハウを、文字通り積み重ねられてのセッティングだとか・・・(@@

で、こちらは、更に分かりませんが・・・昇圧トランス・・・

【積層浮揚セッティングの昇圧トランス】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108010208073bd.jpg


こちらも、積層浮揚セッティングされた昇圧トランスで・・・一番奥一番手前のもので聞かせていただいたようです・・・

それから、プリアンプは、マランツの#1で・・・

【プリはマランツの#1】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110801020806b91.jpg


これは、左右チャンネルに2台をいれているのだったと思いますモノラルを左右チャンネルに各1台を使われてました・・・(汗

でもって・・・パワーアンプは・・・


【巨大な管球式パワーアンプ】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108010208062ac.jpg

Audio Researchの巨大な管球式のパワーアンプで・・・6550が何十本も使われていて、片チャンネル250WをBTL接続?されて、500WのモノラルアンプAcoustat#6が#3を上下2台連結していて、入力端子が2台分あるので、これにそれぞれ接続して使われているそうです・・・

で、この巨大な超度級管球式アンプ2台で、左右のそれぞれのSPを駆動されていると・・・

でもって、このアンプが支えているのが・・・AcoustatのコンデンサーSPのサウンド・・・

【超巨大モニュメントのようなSP】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/2011080102080606d.jpg


それにしても・・・なんて巨大なSPなのでしょう!・・・2.5m位あるんじゃないでしょうか?・・・もう天井スレスレです!(@@

と言うことで・・・これが、冒頭、聞かせていただいたシステムで・・・

っと、残念ながら、今日はここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1144.html

36. 中川隆[-9415] koaQ7Jey 2019年6月21日 09:04:30 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3069] 報告
【1092】110703 TK邸訪問(その2):これ、コンデンサーSP?・・・(^^; [2011/08/0307:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1145.html


さて、いよいよ、TK邸で初めて見る機器達・・・その背景にあるものを、全く知らないと言うもったいない訪問だったのですが・・・何より、まず目が行ったのが、その設置方法・・・

丁度、ゲル浮揚実験で、機器を浮かせて聞ける音の不思議に夢中でしたから・・・ウール毛布や綿毛布と米松合板の積層浮揚という設置方法には、興味津々!(^^;

果たして、どんなサウンドを聞かせてくれるんだろう?・・・

巨大なモニュメントのようなSPは、後の壁からは1mほど離れたフリースタンディング・・・

リスニングポジションは、部屋の中央を中心とする1辺2m強の三角形の頂点・・・

SPとの距離は、拙宅と似たようなものですが・・・さすがにこの大きさの板状の物体があると、圧巻ですね・・・まるで、その部分には、壁か柱が立っているような感じです(^^;

で、最初におかけいただいたのは・・・ソニーロリンズのサキソフォンコロッサスから、2曲目のYou don't know what love is.

うわっ!!(@@;・・・冒頭から、めっちゃぶっといサックスに、思わず体がビクッと浮いた!

まるで、ラッパの口に耳を近付け、直接、リードの振動板の振動する音も逃さず聞こうって感じ・・・

リードの音の直接音と、そこからラッパの開口部までの金属パイプを息が通り抜けて広がる音・・・

そのぶっといサックスの後方に、暖かく包み込むようにベースとドラムのリズム・・・

ブラシで叩くシンバルの音も生々しく、優しくそっとサポートするピアノの音も軽やかに・・・

なんとも鮮烈なサックスの音を、正にかぶりつきで浴びるように聞かせていただきました・・・

何とエネルギッシュで、鮮烈な音なんだろう!

この巨大なモニュメントのような平面から・・・中身は極々薄いフイルムなのに・・・

何とも不思議な鳴り方!・・・座って聞いても、正面に中央に・・・立って聞いても正面中央に・・・

音像の出来方も何とも不思議・・・

コンデンサーSPも、こんな、鮮烈でエネルギッシュに鳴るものなんだ・・・(@@

単身赴任中・・・2年半ほど前に、千葉の通称クオードを聴く会で、初めて体験した、コンデンサーSPのエネルギッシュな鳴り方・・・


【186】090124 クォードを聴く会 Part3(DECCAのSPを聞く@) [2009/01/28]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-206.html


以降6話・・・

この1話目の中のリンク先にある通り、ESL-63ProやESL-57をフリースタンディングで、少し離れた位置から、聞かせていただいて、膜のSPが、非常にパンチ力のあるサウンドが出るんだ・・・って事を体験したことがあったんですが・・・

今回お聞かせいただいたのは、振動板の面積が、2倍以上ある上、ほぼかぶりつきのニアフィールドだからと言うのもあるのでしょうが・・・

また、全く違った鳴り方の印象・・・ホント、ビックリでした!(@@

っと、面食らって、しばし感心していると・・・

次にかけていただいたのは・・・ブラックコーヒーを・・・

どひぇ〜!・・・めっちゃ近い!(^^;

最前列のテーブルで、マイクなしに直接、歌を聞いているようなかぶりつき状態・・・ミュートトランペットも時折、耳の近くまでやってくる・・・

熱く妖艶なボーカルに見つめられながら・・・目の前で聞いている・・・そんな感じ・・・

っと、ここで一旦お茶タイム・・・

ここで、ご一緒させていただいた大さんが、以前のプレゼントのお返しで・・・っと、ヴァンゲルダーがカッティングまでしたレコードをプレゼント・・・入手して、クリーニングもしていないと・・・

じゃあ早速・・・っと、残念、今日は、ここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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37. 中川隆[-9414] koaQ7Jey 2019年6月21日 09:26:48 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3070] 報告

TK邸訪問(その3):一体何を聴いているの?・・・(^^; [2011/08/0407:00]
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1146.html


さて、のっけから、コンデンサーSPって、こんな鳴り方するの?と、驚くばかりのエネルギッシュで鮮烈なサウンドを聞かせていただき・・・

演奏の熱気・・・歌の思い・・・何か、この曲の一番熱いところはここなんだよ!・・・って感じで、ストレートに迫ってくる・・・そんなサウンドに、ああ、音楽ってこんな風に感じれないと面白くないんだなと、ハッと気づかせていただいた気がします・・・

っと、冒頭の興奮状態をクールダウンするかのように、お茶タイムに入り・・・

ご一緒した大さんが、持参された・・・ヴァンゲルダーがカッティングまでしたレコードのお話から・・・ジャケットのない特殊なレコードで・・・ノーマングランツが起こしたクレフやノーグランの音源に近いものとのこと・・・

っと、先程の再生系のお話があって・・・SPUのGシェルから、384を通ってマランツ#1のフォノイコを使っての再生とのことでした・・・

それから、ウェスタンのプレーヤーとフェアチャイルドのプレーヤーのお話になりまして・・・じゃ、ちょっとかけましょうかと・・・


【フェアチャイルドのプレーヤー】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110804052523f80.jpg


フェアチャイルドのプレーヤーで、エラフィッツジェラルドをモノラルで・・・

う〜ん・・・声の存在感が凄い・・・バックの演奏を聞くと、古さを感じさせる録音って感じなんですが・・・歌の生々しさと言うか存在感は、全く古さを感じさせない・・・

【カートリッジは225A?】   
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 【ユニークな駆動方式】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108040525229e9.jpg

回転速度を、上部のレバーで切り替えると、下のモーターのところのコックドベルトを切り替える仕組みになっているのだそうです・・・

それはそうと、σ(^^)私には・・・ステレオでも、モノラルでも、立っても、座っても・・・目の前あたりに声の主がいるようななり方が、不思議で・・・

アクースタットのコンデンサーSPの鳴り方に、何か、パネルの位相を変えているとか、仕組みがあるのか?と伺ってみたんですが・・・上下3枚ずつのパネルを、フルレンジとして、同一位相で鳴らしているのだそうで・・・なお更、不思議な鳴り方だなあと・・・トーンゾイレのSPみたいなものかなあ?

っと、今度は、先程の大さんが持参されたレコードをかけてみましょう・・・後で、クリーニングもやってみましょうと・・・

送り出しを再びEMTに戻して、かけられたレコードは・・・オスカーピーターソン?

ここまで聞かせていただいたレコードは、ほとんどスクラッチノイズがしなかったんですが・・・こちらは、結構スクラッチノイズが聞こえます・・・

古い録音らしい、中域中心の暖かなサウンドで、柔らかなピアノの演奏に、とっても心地良く響くクラリネット・・・ブラシもベースも控えめにリズムを刻んでいる・・・とても軽快に楽しい演奏・・・

っと、それじゃあ、ちょっとクリーニングをやってみましょうと・・・

【クリーニングを】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108040525221dd.jpg

まずは、TKさんオリジナルの洗浄剤にオリジナルのブラシを使って、粗洗いで、溝の汚れを浮かして・・・別の液で別のブラシで表面の汚れを濯ぐ・・・で、洗った液をバキュームで吸い取る・・・

ざっと、片面のクリーニングを見せていただいて・・・この間、ほんの5分程度・・・

まだ、充分乾いていませんが、ちょっと再生をと、再び再生・・・

おおお!・・・凄い!全く別のレコードを聴いているみたい!(@@

スクラッチノイズは、少し残っていますが、冒頭のピアノの音が・・・クリーニング前は、音が丸く、酷く曇った感じだったのが明らかに・・・ホントに、同じ曲か?と疑うほどに抜けのよい軽やかなサウンドに、大変身!・・・ピアノの打鍵の瞬間の音が非常にクッキリ・・・クラリネットも数倍、演奏に力と抑揚がついてクリアに抜けのよい感じに・・・

いやいや・・・これほどまでに変わるもんですか!(@@

っと、次にかけられたのは・・・西田佐知子の女の意地・・・

は〜!・・・冒頭のサックスがドッと飛んでくる・・・っと、ボーカルの何と存在感のある歌声!

「ことば」が「詩」として、はっきりと迫ってくる!・・・

間奏のギターも、音にもの凄いエネルギー感が・・・ああ、でも、やっぱりサックスの存在感が強烈に印象に残ります・・・(^^;

こんどは、クラシックをと言うことで、ジネットヌヴーでショパンノクターンを・・・

【ジネットヌヴーでショパンノクターンを】


ああ、なんて物悲しく切ない演奏!・・・セピア色の雰囲気ではあるんですが・・・なんと言うか・・・あっという間にバイオリンの調べに、気持ちが引き込まれ、思わず胸が熱くなる・・・気がつくと、手のひらをギュッと握り締めていた・・・

う〜ん・・・じわっと来るショック・・・自分は普段、何を聴いているの?・・・

音じゃなく、音楽って、こう言う事・・・っと、今日は、ここで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~



コメント

やっぱり出ましたか。

西田佐知子がやっぱり出ましたか。TKさんのお宅は以前に訪問させていただきました。システムは若干違っていますが、「オーディオの極道」いや「オーディオ道の極み」といった印象でした。通常のオーディオが安物のTVドラマか、映画とすれば、TKさんのオーディオは、歌舞伎か京劇といった印象で伝統の重み、文化の香りがします。この道にはまりかけているのが、年は若いが大さんでしょう。
[2011/08/04 11:47]


酒仙坊さん、コメントありがとうございますm(_ _)m
現代オーディオとは一線を画す、全く別の音楽再生という感じで・・・
この曲、この演奏の、ここを聴かずして・・・と言った感じで、σ(^^)私の感覚では、究極のクローズアップサウンドの方向ってことになる気がします・・・このサウンドに嵌ったら、もう他は・・・(^^;
ただ、ふと思ったのは、このオーディオ再生を堪能するには、この音に合うソースも充分持っていればこそなのかなと・・・

[2011/08/04 12:32]


忘れてはならないのは
ものの価値です。
オイロッパ系のシステムは
現代のハイエンドスピーカーと
比較して特性で劣るものは
ありません。かかっているコストは
とんでもないものです。
国の威信をかけたものですから
オーディオメーカーが営利目的
で開発するものとは
かかるコストも桁が違います。

凝縮した音のものだと片付けるのは
せっかくの経験がもったいない。
レンジの不足感があるならツイータを
加える方法がありますが、
音楽の本質に気づくべきです。
[2011/08/06 02:36]


スタジオマンさん、コメントありがとうございます。
レスが遅くなってスミマセンm(_ _)m
このSPの素性を全く知らないもので、特性やその実力については、分かりませんが、聞かせていただいた音楽に、強く引き寄せられたのは確かです。
仰る通り、現代録音のソースを再生すれば、その実力を知ることが出来たのかも知れませんね。
ソースや駆動系も近い世代のもので聞かせていただいたわけですが、その中に時折聞き取れる微細で繊細な音と澄んだ音色が、その片鱗だったのかもと思っています。
それとは別に、気持ちが強く惹きつけられたのは、演奏そのもののパワーが大きいとは思うのですが、それをキチンと伝えられるシステムだったからだと思うのですが、それが、一体どういう部分なんだろうと言う興味が強く湧いてきます。
そういう部分をしっかり受け取れる感性と、キチンと再生できるオーディオ的ノウハウを身に付けたいなと思います・・・道のりは長く、険しそうですが・・・(^^;
[2011/08/07 09:51]


極道

一言で極道だと思います。
料理でも、お酒でも
極めていくとそうなっていくと
思います。知れば知るほど、
いい物を見れば見るほど
深みにはまっていく。
結局はその人の情念にかかわる
こと。

Mt.T2さんがいったい自分は
なにを求めているのかに
早く気づかれて、枝葉の部分を
調整するのでなく、自分自身を
見つけられることを期待します。
高額なヴィンテージを使わなくて
ご使用中の機器で、ヴィンテージが
持つ本質を出すことは可能です。
ただし物理的な差を縮めることは
必要です。いくら数百万する現代の
ハイエンドスピーカーでも
オイロダインのドライバーの
振動板のエネルギーには負けます。
物量というのはやはり必要です。
でも他の方法である程度は
カバーできるのです。

インシュレーターや、ケーブルなどで
後からつじつまを合わせるより
つじつまを合わせる必要のない方法を
探してください。
[2011/08/08 10:54]


スタジオマンさん、コメントありがとうございます。

> Mt.T2さんがいったい自分は
> なにを求めているのかに
> 早く気づかれて、枝葉の部分を
> 調整するのでなく、自分自身を
> 見つけられることを期待します。

訪問時のおさらいを、最後までわりましたが、まだσ(^^)私には・・・
中域の重要性とモノラルのエネルギーなんて辺りを、今後、自分のシステムにどのように反映させるのかを考えていこうかとは思っておりますが・・・

ちょっと、道を極めると言うところを目指すつもりはなくて(^^;
最後に振り返った時に、自分なりにやり切った充実感が得られれば嬉しいですね・・・

> 高額なヴィンテージを使わなくて
> ご使用中の機器で、ヴィンテージが
> 持つ本質を出すことは可能です。

これには興味津々です!・・・が、その前に、本質を知ることが先ですが(^^;

> ただし物理的な差を縮めることは
> 必要です。いくら数百万する現代の
> ハイエンドスピーカーでも
> オイロダインのドライバーの
> 振動板のエネルギーには負けます。
> 物量というのはやはり必要です。
> でも他の方法である程度は
> カバーできるのです。

この辺りが、ノウハウとして身に付けられればと、憧れます!(^^;

> インシュレーターや、ケーブルなどで
> 後からつじつまを合わせるより
> つじつまを合わせる必要のない方法を
> 探してください。

う〜ん、経験として、今のσ(^^)私には、これも必要なんだと思っているのですが・・・
やっぱり、道のりは長そうですね・・・
[2011/08/09 17:57]

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38. 中川隆[-9413] koaQ7Jey 2019年6月21日 09:36:21 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3071] 報告
【1094】110703 TK邸訪問(その4):これがオイロッパジュニア?・・・(^^; [2011/08/0507:00]
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さてさて、じわじわ感じ始めた焦り・・・自分は今まで、何を聴いてきたのか・・・って、過去、何度かこのパターンになったことがあるんですよね・・・(^^;

良い音って何?・・・

元々は、映画や音楽を鑑賞して、ハッとしたり、グッと来て感動したくて、そんな体験が、少しでも多く出来ないか?ってのが始まりだったような気がするものの・・・

それが、いつの間にか、機器やアクセサリーを変えた時の音の変化に一喜一憂して・・・結局、何がなんだか分からないまま・・・

でも、そんな事とは、全く関係無しに、聞かせていただいた曲は・・・こんなにエネルギッシュに、ストレートに、その歌や演奏の思いや熱気をぶつけてくる・・・音楽って、こんなに楽しく、凄いものなんだよって・・・

そんな思いが、徐々に体中に染み込んできた頃・・・TKさんから、Mt.T2さんはどんな曲が?とリクエストを求められたんですが・・・このジワジワ来るショックのため、半ば放心状態の頭には、全く何も思い浮かばない・・・慌てて、何でも聞きますのでと答えるのが精一杯・・・(汗

と、それじゃあ今度はポピュラーを・・・そうだ、オーディオ的にポピュラーなこれを、さわりの部分だけと・・・かけられた曲は・・・ドナルドフェイゲンのナイトフライ・・・

【ドナルドフェイゲンのザ・ナイトフライから】
1094-01ドナルドフェイゲンのナイトフライ.jpg

あっ!・・・こう言うことなんだ・・・・

レンジも広く、抜けがよく、非常にタイトに、極めて歯切れの良い、シャープにリズミカルにカッコいいサウンド!・・・フュージョンらしいサウンド・・・そう、これはそのまま、そういう風に鳴るわけなんですよね・・・

膜のSPなので、微細な音は得意で、アタックの時の立ち上がりが早く、シャープで、ドラムの制動も素早くドスッと・・・量感、重量感と引き換えに、素晴らしいトランジェント・・・なんて感想が、直ぐに頭に浮かんでくるわけです・・・

こうじゃないんですよね・・・ここまでに聞かせていただいた曲は、何か、頭に、気持ちに、ガツンって来るんですよね・・・

何てσ(^^)私の思いはともかく・・・この時、話題は、先のクリーニング前後の音の変化を聞くと・・・ひょっとすると、レコードを掃除すれば、勿論全部とは行かないものの、半分位は、このサウンドに近付けるんじゃないかって、思ってしまう・・・なんて話題で大ウケ!大盛り上がり・・・(^^;

更に、Gシェルで、こんなにトランジェントが良いのは凄いってコメントがあり・・・実は、ここにもTKさんならではのチューニングが施されているとのことで・・・一同、感心して納得・・・(^^;

さてさて・・・次は、更なる驚きの体験へ・・・

TKさんは、片チャンネルのアンプの調子が悪いので・・・それに、最近鳴らしていないので、寝起きの音しかでませんからちょっと・・・って感じだったんですが・・・

是非にと、お願いして聞かせていただきました・・・(^^;

まず、送出しは・・・ウエスタンのプレーヤー・・・あれれ?ここではまだ使われてなかったかな?・・・この後のもう一つの再生系の時に使われたのかも?・・・もう記憶になくって・・・m(_ _)m
⇒やはり、このプレーヤーは、SP専用で、この後のもう一つの再生系の時に聞かせていただいととのこでしたm(_ _)m

【ウエスタンのプレーヤー】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110805062338d98.jpg

これは、演奏前なので、ターンテーブルの上にカバーが乗ってますが、演奏時には、このかバーがどけられ、綺麗なターンテーブルシートが姿を現しました・・・

おそらく、ご存知の方々には、珍しいものなのだろうと思うのですが・・・無知ゆえ、こんな、コメントしかかけないんです・・・スミマセンm(_ _)m

でもって・・・今度の主役はこちら・・・

【オイロッパジュニア】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/201108050623370fc.jpg

えっと、こちらも、全く、知識がなくて・・・オイロダインという名前を聞いたことがあるだけで・・・その小型バージョンなのだろうとは思うのですが・・・オイロッパジュニアというSPだそうです・・・ これは、全く逆で、クラングフィルムオイローパジュニアはクラングフィルムオイロダインより前のモデル(オイローパジュニアの小型版がオイロダイン)だとのことでしたm(_ _)m

励磁型のSPだそうで・・・要は、今のSPユニットの後のマグネットの部分が、電磁石になっているってことですよね?(^^;

なので、このユニット・・・通常は上のホーンのドライバと下のウーファーの2つ、左右では計4つの励磁電源が要るのだそうで・・・本来はそれぞれ別々に電源を当てておられるそうですが・・・この時は、1組が貸し出し中とのことで、左右、各1台の電源で・・・

で、このSPを駆動するアンプは?・・・多分、ウエスタンのプレーヤーの右にあった黒い大きな2つの箱がそうなんでしょうが・・・画像撮るのを忘れました・・・多分、ウエスタンのアンプだったような・・・スミマセンm(_ _)m このパワーアンプは、同じくクラングフィルム製のKL401dと言うアンプだとのことでしたm(_ _)m

ってわけで、不調ながらに、無理を行って聞かせていただいた・・・っと、ここで時間切れm(_ _)m

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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39. 中川隆[-9405] koaQ7Jey 2019年6月21日 11:20:28 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3079] 報告
TK邸訪問(その5):驚きのオイロッパジュニアのサウンド・・・(^^; [2011/08/06 07:00]
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えっと・・・月末月初の輻輳状態のために、帰宅が遅くって・・・おさらいの進みが悪い上、今回聞かせていただいた機器について、全くと言って良いほど知識がないということもあって、記憶が乏しくて・・・どの機器が、どの系統の時に使われてたのかがさっぱり・・・(^^;

そんなわけで、昨日のお話しで、ウエスターンのプレーヤーをご紹介しましたが・・・あれは、まだ、この後の再生系で登場したということが判明し増した・・・(^^;

で、多分、この時の送り出しは、EMTだったと思われます・・・m(_ _)m

ま、それはともかく・・・この珍しい、励磁型のSP、オイロッパジュニアのお話に・・・

っと言うのも、送り出しがどうこうと言う事はどうでも良くなる、驚きの体験だったからです・・・


【オイロッパジュニアを】
https://mtt2.blog.fc2.com/blog-entry-1148.html

片チャンネルのアンプの調子が悪く、最近ならされていなかったとのことで、寝起きの音しかしないのでと、乗り気でないTKさんに、是非にとお願いしたわけですが・・・

その準備に少しかかって・・・やはり、片チャンネルからは、プチ、ジリジリ、ギャーと、時折ノイズが出ますが、一応、両チャンネルとも鳴ることが確認でき・・・

いよいよ、このオイロッパジュニアを聞かせていただいたわけで・・・


【ベートーベンの第九】


おかけいただいたのは・・・フルトヴェングラー:バイロイト第九第4楽章の前半を・・・

おお、おおお!・・・ガ〜ン!!・・・やっぱり来ました!(@@;

レコードに針を下ろされた瞬間は、溝をトレースする音も盛大に、ゴ〜ッと・・・冒頭、太鼓や管、弦の音からは、古い録音なりのナローなサウンドが・・・

ところが、すぐさま太鼓のパンッと飛んでくる音に、緊張と熱気の塊のような管と弦・・・深々と地面ごと救い上げて押し寄せてくるようなコントラバスの低い音色・・・

そのダイナミックなコントラストに、ノイズやレンジのことなど、一瞬にしてどこかへ・・・グングン、ドラマチックな演奏の波に飲み込まれ、溺れて行く・・・息継ぎをどこでして良いのかさえ分からなくなるほどに・・・

っと、演奏の隙間に聞こえた、会場の咳払い・・・鳥肌!!!

その咳払いの周辺の音の澄み方に、驚きの感覚!・・・ノイズ交じりの音の向こうに、澄んだ巨大なホールの空間が広がったような気がして・・・

と、その巨大なホールの空間・・・地の底を思わせる低く太い弦の音色が、お馴染みのメロディーに・・・相変わらず、目の前の世界では、プチパチとノイズが聞こえているんですが・・・オイロッパの向こうに見える巨大なホールの空間には・・・バイオリンが優しく澄んだ空間にたなびいていく・・・次第に金管も交えた壮大な演奏に・・・

っと、スリル満点のジェットコースターの頂上に止まったかと思った瞬間・・・男声の歌が正面から搾り出されるように飛び出してくる・・・なだらかなうねりから、コーラスが入って、再び静かに盛り上がり始め・・・女声が伴ってグングン高みへ・・・コーラスと共にずっと登り詰める・・・

プチパチのノイズだけの空間に戻って・・・思わず、口から出たのは・・・う〜ん、素晴らしい!

アンプ不調のノイズや寝起きの音?・・・レンジが狭くナローな音・・・そんなの全く関係ない!・・・意識は、あっという間に、向こうの空間に入り込んだかのように、演奏を全身で感じ、受け止めようと集中し、手前の空間が消え去っていた・・・

ふと気がつくと手前の世界に戻りって・・・いやいや、凄い!いや〜参りました!・・・って状態に

正に、現代オーディオとは、全く異なる次元の音世界・・・

素晴らしい演奏のソースがあって、大切な部分だけは確実に伝える力のあるシステムがあればこその、とびっきりの感覚を体験させていただきました!・・・

っと、次にかけられたのは・・・園マリで夢は夜開く・・・

どっひぇ〜!(^^;・・・ギターの伴奏にベースが下支え・・・録音が新しいからか、中高域が先程とはガラッと雰囲気が違う・・・ああ、中高域の見通し?透明感?・・・ボーカルが、熱く目の前で歌いだした・・・ことばを大切に語るように歌う・・・詩の重みがずっしりと・・・

何とも実体感のある演奏・・・音の密度が桁違いに高い気がする・・・でも、何より、曲のイメージの伝わり方が違う気が・・・

耳から脳へ、なんて無粋なイメージでなくて・・・直接、胸が熱くなるような・・・

それこそ、胸ぐら掴まれ、これが分からんのか!って、凄まれているみたいな・・・(^^;

っと、お次は、再びクラシックで・・・ありゃ、残念、夜が開ける・・・今日はこれで時間切れ・・・

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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40. 中川隆[-9404] koaQ7Jey 2019年6月21日 11:51:08 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[3080] 報告
TK邸訪問(その6):オイロッパジュニアで次々と・・・(^^; [2011/08/07 07:00]
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突然、胸元をグッとつかまれたように、驚きつつも、身動きできなくなるような、迫ってくるサウンドを聞かせてくれたオイロッパジュニア・・・アンプの不調から、最近、聞かれていなかったので、寝起きの音だからと・・・いやあ、とてもそんな風には・・・いきなり気持ちを鷲掴み状態ですから(^^;

で、お次は、モノラル盤で、奥行きが良く出るんですと・・・


【こちらがモノラル用のアーム】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/20110807064721f10.jpg

バーンスタイン:ウエストサイドストーリーをかけていただいた・・・

ほー!今度は、随分レンジが広がった感じが・・・録音が新しいんでしょうか?・・・

クラリネットやドラムやホーンセクションが・・・指パッチンが綺麗に響く・・・それぞれの楽器が個々に自分のパートをキチンと聞かせ、とってもカッコいいサウンド・・・だったんですが、ちょっと高域がキツイので、そこそこで中断・・・

こっちをかけましょうと、シュタルケルのコダーイ無伴奏チェロソナタ第1楽章を・・・

【シュタルケルのコダーイ】


チェロの中高域あたりが、ちょっと切ない感じに聞こえて・・・中低域の深い表現と交互に・・・それにしても何て滑らかで澄んだ響なんでしょう!

深い悲しみのシーンから心が入り乱れ葛藤するようなシーンへと・・・怒り?はたまたやるせない悲しみに?・・・という感じに、次から次へと思い浮かぶ情景が変わって行く・・・

しかし、その澄んだ深い響と悲しく切ない中域の綺麗な響、やるせない悲しみのように澄んだ中高域の響と・・・目まぐるしく変わるイメージを簡単に思い浮かべられるような熱く鬼気迫る演奏・・・

いやあ、良かったです!素晴らしく引き込まれる演奏ですね・・・

お次は、フルトヴェングラー:ワーグナータンホイザー序曲を・・・

【フルトヴェングラー:ワーグナータンホイザー序曲】


豊かなホルンの調べから、静かにドラマチックな弦の盛り上がり・・・ホーンと太鼓が加わって壮大な雰囲気に・・・バイオリンが不安で悲しげな雰囲気に・・・また穏やかなホーンの調べ・・・バイオリンの明るい音色でシーンが変わり目くるめく世界に・・・やがて再び勇壮なシーンへ・・・って感じに

この曲も疎くて、どんな曲なのか良く分かりませんが、映画を見ているように、情景が次第に変わっていく感じで、ついつい引き込まれていきました・・・

次は、フルトヴェングラー指揮ミュンヒメニューイン(Vn)でベートーベンのバイオリンコンチェルト・・・

【メニューインのバイオリンコンチェルト】


穏やかな弦の調べから繊細で綺麗な音色のバイオリンがクラリネットと交互に・・・バイオリンの繊細に澄んで滑らかに伸びる中高域が何とも心地良いく・・・何か、このどことなく儚いようなバイオリンの音色に、気持ちが吸い寄せられるような感じが・・・

う〜ん、なんなんでしょう?・・・何を聴いても、直ぐに引き込まれてしまいますね・・・

っと、ここまででオイロッパジュニアでの演奏は終了・・・

で、再びお茶タイムに・・・同時に、TKさんは次の準備を・・・

【ロンドンウェスターンSP(2080A+2090A)】
https://blog-imgs-32-origin.fc2.com/m/t/t/mtt2/2011080706471980d.jpg


お次はこちらのスピーカー・・・ロンドンウェスターンのSP(2080A+2090A)だそうです・・・

さて、一体どんな演奏を聞かせてくれるのか?・・・

おっと、外が明るくなってきた・・・なので、今日はここで時間切れ・・・

毎度、こま切れですみませんm(_ _)m・・・なかなかおさらいが進まないもので・・・(^^;

ってわけで、つづきは明日・・・いつものごとく、余り期待せずに、お楽しみに!

デハ ^^)/~

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41. 中川隆[-14916] koaQ7Jey 2019年11月14日 22:15:59 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2008] 報告


2019年08月25日
松本オーディオの会、ドイツオーディオ事情、新先生、サウンドパーツ
https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1972742603


サウンドパーツの水谷代表主催で長年続けておられる松本オーディオの会にお誘いいただけて参加させていただきました。

いろいろと収穫が多かったので、順番に紹介いたします。

内容はこのようです。

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全体的に、水谷代表が予め発表を選別なさっているためか、LEVELの高い作品ばかりで、どれも販売も出来そうな音質でした。

今回使われたスピーカーはサウンドパーツがフランスからユニットを輸入されて、アッセンブルされている励磁型のスープラボックスという現代スピーカーです。

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歯切れのよい、ダイナミックないい音がしますので一度聴いてみてください。
個人的にはこの2ウェイで十二分で、これも京都の寺院に納められるそうです。

当地でKLANGの会を主催されて、管球王国にドイツ・クラングフィルムの歴史を連載されている当地の小林さんが20日かけてドイツ、フランスのオーディオマニア宅を訪問したり、クラングフィルムなどのスピーカーを仕入れてこられたそうです。

そこで出会ったドイツオーディオマニア邸の一部の写真です。

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クラングフィルムのオイロパ・クラルトンをステレオでお使いのお宅です。

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この写真だけでも驚きますが、実はこれはシステムのごく一部。
左右にそれぞれこのホーンが帯域を替えてさらに2本づつ、計6本の威容です。


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これだけでも立派ですけど、これは大型ホーンスピーカーの裏側にまわって2段のドライバーウーハーを写した写真にも驚くばかりです。


ドイツではアインシュタインも、オクターブも、アバンギャルドもぜんぜん流行っていないそうです。アジア向けではないかと言われていました。
むしろアキュフェーズからTRIO時代までの日本トランジスターアンプが人気とはうれしいやらなにやら。

真空管も過去の性能の悪い製品との見方で、スピーカーはこのような戦前のものでも、アンプは日本のトランジスターアンプが多いそうです。
国民性からは理屈的に高性能であることが認識出来ないと使わないのだとか。


管球王国 新先生のステレオ誌マークオーディオユニットを使った自作スピーカー。

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スピーカーはいなばの「猫カツオ」という餌の箱です。

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これに送り出しはDAP、アンプはAmazonで7千円程度の中国デジタルアンプで十二分だそうです。

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先生は最近はWestern Electricや真空管に固執することなく、柔軟に楽しまれているそうです。
このスピーカーがまたいい音で、SP盤の電気復刻をDSDレコーディングしたものから、現代音源まで違和感なく聴かせてくれました。
吸音材はコピー用紙がいいそうです。


これらは今回の自作品。

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自作DACもこんな念の入りようでした。

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14時から開催の松本オーディオの会は懇親会を挟んで23時過ぎまで盛り上がりました。

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翌日は松本市のロイヤルオーディオに寄って、こんなスピーカーユニットそのものを自作する催しを見たり

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サウンドパーツの水谷代表邸に寄って、音質に納得出来ない平蔵の自作300Bプッシュプル真空管アンプを手直しいただいてとてもよい音質になりました。

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前段のWE310の動作ポイントの定数にミスがあって、電圧が足りなかったことと、コンデンサーを国産からヴィシェイにして抜けのよい、力感溢れる、ダイナミックな音になりました。

水谷代表からも、「これなら松本オーディオの会に出してもおかしくない音質!」と太鼓判をいただけました。

最近思うのですが、餅屋は餅屋。
アンプはその道のプロに。ルームチューンはそのチューングッズ材を開発されている方に実際に部屋に来ていただいて聴いてチューニングいただくなど、専門専門の知識、経験をお借りした方が早く、確実だということを学びました。
https://open.mixi.jp/user/8290003/diary/1972742603

42. 中川隆[-15255] koaQ7Jey 2019年11月27日 09:20:39 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2334] 報告
SIEMENS EURODYN 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12549108416.html

Marantz Model 7 Western electric 124 Siemens Eurodyn - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2m0QcikoZG8&feature=emb_title
https://www.youtube.com/watch?v=1UK4sw1HwII&feature=emb_title
https://www.youtube.com/watch?v=vZoeMVlHuh4&feature=emb_title

43. 中川隆[-15056] koaQ7Jey 2019年12月22日 14:28:40 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2095] 報告
テレフンケン RB46スピーカー 2019年12月22日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/ae571945bb0b000b4b1a2bd3be4156b5


テレフンケンのスピーカーは、「古いヨーロッパサウンド」の確認をしたくて購入して使って見ました。ALTECに似た乾いたサウンドで、ヴォイス(声)が非常に良かったのを覚えています。SPサイズ的にはW:200 D:200 H:700 重量:10Kg以下ぐらいで非常に扱いやすいサイズと重量です。低域の下の方が不足するので、ヤマハの廉価版の「低域専用ウーハー」を組み合わせて使っていました。高域もそんなに伸びていません。

本来は「直出しSPケーブル」が付いています。そのままだと「古いラジオの音」が出てきます。私は内部配線を交換し、SP端子を取り付けて一般のケーブルが使える様にして使っていました。ちょっと手を加えてやらないと現在のシステムのサウンドとかけ離れた「古臭い音」になってしまいます。

内部ユニットは楕円形のコーン型ウーハーとコーン型の中音・高音用のユニットが付いています。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/ae571945bb0b000b4b1a2bd3be4156b5

44. 中川隆[-15030] koaQ7Jey 2019年12月23日 15:31:04 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2065] 報告
Siemens Eurodyn | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12549108416.html

Klangfilm Eurodyn | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12552760944.html

45. 中川隆[-15028] koaQ7Jey 2019年12月23日 15:38:00 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2063] 報告
兵庫県 N 様邸訪問記 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12551794816.html


オーナー様はELTUS、TELEFUNKEN、Wharfedale、Klangfilm Eurodyn の四種類のシステムをお持ちです。


46. 中川隆[-15021] koaQ7Jey 2019年12月24日 13:01:39 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2055] 報告
TELEFUNKEN Hi-Fi Klangbox RB70 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12558550343.html
47. 中川隆[-15008] koaQ7Jey 2019年12月27日 09:34:44 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-2037] 報告

真空管アンプと喜多さんの音響道中膝栗毛 伊藤喜多男 Western electric 禁断のKRELL
シーメンスのオイロダインとロンドン・ウエスターンの5010型システム
https://ameblo.jp/507576/entry-12562178616.html
48. 中川隆[-14962] koaQ7Jey 2020年1月02日 10:50:14 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1976] 報告
TELEFUNKEN Hi-Fi Klangbox RB45 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12563851449.html
49. 中川隆[-14595] koaQ7Jey 2020年1月13日 22:32:14 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-1522] 報告
オイロダイン完成 | 真空管アンプ「カトレア」
http://www.cattlea.jp/news/info.php?id=154


オイロダインを作りました。シーメンスのドライバーにホーンを付け、ウーハーは25cmのクラムフィルムユニット片チャンネル2本使用しステレオで計4本とかなり質感違います。ぜひに聞いて下さい。

クラムフィルム 6ruf-lsp-15g KL,L307

戦中に作られたクラムフィルムの25cmベークダンパー15g KL,L307を贅沢にダブルに使用して充実した量感が出ました。
シーメンスのドライバーKL-303

シーメンスのドライバーKL-303にLZ304ホーンを使用しました
ネットワークのこだわり

オイルコンデンサーにオリエントカットコアに銅箔でコイルを作り、トランスタップ式アッテネーターを使用しました。味付けでマイカコンデンサー足しました。
後面開放のボックス

ポプラの合板オイル仕上げで後面開放で麻の布を貼り後面の壁等の影響を排除しました。

50. 中川隆[-13735] koaQ7Jey 2020年2月17日 10:11:52 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[-317] 報告
エアーモーション トランスデューサー ヘッドフォンの私的インプレッション:ドイツから来た男
# by pansakuu | 2020-02-09 23:51 | オーディオ機器
https://pansaku.exblog.jp/28839243/

Was nicht ist, kann noch werden.
ないものも、あるようにできる。
(ドイツの諺)


Introduction:

ずっと前から聞きたかったヘッドホンを、またひとつ聞けたので簡単に書き残しておこうと思う。

ADAMというモニタースピーカーのメーカーがドイツにあるのをご存知だろうか。
20年ほど前にベルリンで設立されたプロ用のモニタースピーカーを作る会社である。

ARTと呼ばれる広帯域をカバーし、レスポンスに優れたツィーターを自社で開発、これを搭載したモニタースピーカーを販売している。

メーカーのキーテクノロジーであるARTとはAccelerating Ribbon Technologyの略であり、加速するリボンツィータ技術とでも訳すのだろうか。

これはオスカー ハイルというドイツ人が1960年代に発明したAir Motion Transformerという動作原理を基にしたテクノロジーで、前後にピストン運動するダイアフラムによって音を出すのではなく、プリーツ状に折りたたまれたダイアフラムがアコーディオンのように収縮を繰り返して発音する仕組みである。

従来のピストン運動するスピーカーの動作と比べて4倍の速さで空気を動かすことが可能だという。

実際にADAM製のモニタースピーカーを聴くと、カバーする帯域の広さはもちろん、過渡特性の良さ、定位の良さ、音全体のバランスの良さや実在感の強さに感心する。

次にその価格を見て、コストパフォーマンスの良さにも少し驚く。
リボンツィーターというのはPIEGAなどを見ても分かるように、ハイエンドオーディオ界では一般に安くないのだが、ADAMのスピーカーはそれほど高価ではない。

今回取り上げるヘッドホンを製造するHEDDという会社は、このADAM社を創業したエンジニアが新たに立ち上げた会社と聞いており、やはりスタジオモニタースピーカーを主力製品としている。

そして事情はよく分からないが、このメーカーもADAMで使っているものとよく似たツィーターを、エアーモーショントランスフォーマーと称してスピーカーに使っている。

ここまでだとADAMの後追いというか分家(実はこちらが本家?)というイメージしかない。だが、HEDDはこのツィーター用のエアーモーショントランスフォーマーを元に、10Hz〜40KHzにわたるフルレンジをカバーする新たなドライバーを新規に開発、全く新たなヘッドホンを作り出した。

つまり本家ADAMの造らなかったものを作ったことになる。私は幸か不幸か、分家のHEDDのモニタースピーカーの音を聞いたことはない。ADAMでいいじゃないかと思っている。だがヘッドホンとなると話は別である。


実はHEDDphoneについては、二年くらい前から噂では聞いていた。
当初の噂はADAMがヘッドホンを作るらしいという話であったが、
だんだん、内容が変わってADAMから派生した会社が3Dプリンターを駆使してプロトタイプを製作して、プロオーディオのショウに出しているらしいという話になっていった。こうして噂は進んでゆくのだが、日本で私が製品を聞ける機会はなかなか巡ってこなかった。

Exterior:

実物と対峙すると、これは随分と武骨な男の道具である。

まず重たいヘッドホンなのだ。700gくらいある。ここ一年ほど、ジムで首の筋肉を鍛えているのだが、それでもこの重量では一時間くらいが連続的なリスニングの限界だろう。こいつは強靭な男性向けのヘッドホンという意味で既に武骨である。
そしてマットブラック仕上げ、叩くとカンカン鳴る金属製のハウジングは正方形に近い四角いもので、まるで黒いサイコロのようである。さらに分厚いイヤーパッド、これまた分厚くて弾力のあるヘッドバンドもますます男らしく見えてくる。確かにこのざっくりと作られたようなハウジングは、ともすると盛大に鳴きそうに見えるので、なにが音は良くないのではないかと聞く前に勘繰ってみたが、いざ聞いてみると、それはまるで杞憂であった。やはりオーディオは難しい。定石は通用しない場合もある。
さらに、ハウジングのパンチングメタルの奥に見える黄色いリボンツィーター、それはADAMのシンボルであるリボンツィーターをただちに想起させる。だが、これはHEDD製のフルレンジドライバーであり、ADAMのものとは似て非なるものなのだろう。

ヘッドホンケーブルの末端はミニXLRで始末されていて、Audezeなどのものと同一らしい。なおハウジングとヘッドホンケーブルの端子の接続部はシンプルだが頑丈にできているように見えて好ましい。Audezeの製品などではハウジングが木で出来ているため、この接続部の周囲が割れてきたこともあったが、ここではそういう脆弱性は感じられない。ただ、造りがしっかりし過ぎのせいで、逆に道具としての美しさは感じにくい。特別なドライバーを搭載するという意味では類似したEmpyreanと並べると、デザインのコンセプトが全く異なるのが一目瞭然である。またMysphereのような計測器じみた精密さもない。あれほどのつくりの良さのあるヘッドホンは、この先もなかなかない出てこないだろうと思うほどだが、HEDDは作りや仕上げの良さに殊更に注意を払うつもりはなさそうだ。HEDDphoneについては技術力のほぼ全てがドライバーに集中しているという感じである。とにかく、これはオーディオマニアのリスニング用のハイエンドヘッドホンではなく、あくまでサウンドエンジニア用のモニターヘッドホンなのである。
機材の壊れにくさや音の正確さが重要なのであって、見た目や造りの精巧さなどは二の次だと言わんばかりである。なんだか男らしい。ドイツの男とはこんな感じなのだろうか。


この重たいヘッドホンを実際に頭に装着すると、重さ以外にも困難があることに気づく。ヘッドバンドのスライダーを目いっぱい伸ばしても長さが足りない場合がありそうなのだ。つまり、スライダーをMAXまで伸ばしたうえで、かなりヘッドホンを深くかぶらないと耳を覆う位置までドライバーが下りてこない。日本人の耳は、貴方が考えるよりもっと下についているのだと、HEDDの中の人に教えてあげたい。
私の場合はかろうじて、耳介をイヤパッドの中に収めることができたが、頭頂部はややきつい。その分しっかりと頭に食いついているので、頭を多少振ってもヘッドホンがずれることはなさそうなのは良いが・・・・。確かにヘッドホンの自重がかなりあるから、こうでもしないとすぐずり落ちてしまうのか。でもこれでいいのか?
この問題は外国でも指摘されているらしく、そのうちメーカー側で改良するという話もあるが、果たしていつのことになるやら。
また、イヤーパッドについては耳の周囲をピッタリと密閉するようにして覆い、接触面積が広い。ここから音は漏れないが、完全な開放型なので、ハウジングの片面を覆うパンチングメタルからの音漏れは盛大である。

なお、HEDDphoneを実際に開梱すると箱の中には本体以外には簡単なマニュアルとシングルエンドの6.35mmの標準フォーンプラグのついた2mほどの長さのヘッドホンケーブルが一本ついているだけである。純正のバランスケーブルや専用トランク、スペアのイヤーパッドなどはついていない。パッケージの中身としてはかなりシンプルであり、リケーブルなどは自前で用意しなくてはならない。

今回の試聴はSPLのPhoniter2をヘッドホンアンプとして使った。
SPLのアンプの音はど真ん中のモニターサウンドであり、定位がすこぶる良いが音がやや硬く、音場よりも音像をしっかりと描く傾向にある。ここではあらかじめアンプの音調も踏まえたうえでHEDDphoneのサウンドについて述べていこうと思う。


The Sound:

HEDDphoneの外観や装着感などは、総合的にはまずまずというか、
私にしてみれば可もなく不可もないというレベルであり、殊更にほめるべきところはない。だが、このヘッドホンのサウンドに関してだけはかなり素晴らしく感じられた。今まで得られなかった新しいヘッドホンサウンドでありながら、音の各要素のバランスが良く、全体を通じて破綻がほとんどないのである。新しいのにオーソドックスで安心感のある音なのだ。
私はSR1aやMysphreなど、オーソドックスなヘッドホンとは趣きを異にする、特殊な技術的側面を強くもつ革新系の製品を続けざまに使ってきた。そこで多かれ少なかれ感じる、微妙だが明らかに特殊な音の出方、微かだがはっきりとした違和感のようなものがない。私は最初の試聴、20分ほど経過した時点で購入を宣言していた。こんな衝動買いはFinal D8000を聴いて以来のことだった。

では、他のヘッドホンの出音と比べてどこが違うのか。
まず一つは音像の強さである。この芯のある音の実体感は今までなかったレベルにまで高められている。音像に躊躇なき迫真性があり、そこが他のヘッドホンの出音とは一味違うのだ。あらゆる音に確固たる実在感が宿り、そこから来る浸透力の高さは半端ないものがある。また音場よりは音像の描写を中心とするヘッドホンやスピーカーにありがちな音の痩せがないのもポイントが高い。HEDDの音像は常に豊かで複雑なニュアンスを伴う。聞きなれた音楽を聴いても、音がいつもより鮮度を高めて、こちらに強くせり出してくる。ここでは音像の彫りの深い立体感、エネルギッシュな押し出しの良さ、そしてなにより音のテンションの高さが印象的である。さらに音像の大小や定位もよく分かるし、細かな音の質感も音像の張り出しに比べて控え目ではあるが、ひしひしと伝わってくる。


ヘッドホンアンプの音の傾向を差し引いても、これはモニター的な傾向の強い音だ。このような音像の描写はHD650やHD600などの従来のプロフェッショナルモニターヘッドホンでも聞かれる特徴だが、それらよりももっと主張しているように聞こえるし、キレもいい。これほどしっかりとした辛口の音を最新のヘッドホンから聞けるとは思わなんだ。

音色の濃さもかなりはっきりと感じられる。巨匠が入念に仕上げた一枚の油絵を眺めるような濃厚ではっきりとした色あいが脳裏に浮かび、スムーズに変化してゆく。次々に展開するビビッドな音の色彩の移り変わりはあまりにも美しく、私は心の眼を閉じることはできなかった。このような音像や音色の見事さは音楽の主題を背景から見事に際立たせ、演奏される楽器の主役と脇役の主従関係がはっきりとしてくるのが面白い。また、これほど克明な音でありながら、トランジェントの良さは特筆できる。音の立ち上がりや立下りが非常に早く、濃いばかりではなくスッキリとして透明感がある音のニュアンスも十分に伝える。


音の温度感としてはややホットであり、若干乾いたトーンだろうか。
まとわりつくような深い情けを感じるようなウェットなサウンドでないことは確かであり、クールでよそよそしい傍観者の態度を取ることもなく、静かで正確さを失わないが、常に思いを熱く語る男のようなサウンドである。これもドイツの男の在り方なのだろうか。

音場の広がりについては音像に気を取られていると多少の控え目に感じられるかもしれないが、集中して聞けば、その描写は的確であることもすぐに感得できる。HD800のような左右、そして奥行きのある音の遠近法こそ持たないものの、音楽に与えられた音場の広がりを過不足なく表現してくれる。HEDDphoneは密閉型ヘッドホンのような音の濃さに開放型の音の解放感や広がりを併せ持つ稀有なるものだ。
このヘッドホンの低域は重心はヘッドホンとしてはかなり低く、程よい量感も伴うにも関わらずスピードがある。高域の自然な伸び、中域の厚みと解像度の高さの両立とども褒めちぎりたいポイントである。

そして、なによりこれらの音の各要素がバランスよく配合されて一つの音として収束しているのが素晴らしく、心底安心できるのだ。こういう先進的な試みは常にピーキーな挙動の不確かさと隣り合わせであり、音楽のジャンルや再生される音楽の音作りによって、合う合わないが出て来るケースもあるのだが、このヘッドホンに関しては、音のバランスがオーソドックスなので得手不得手は少ないのではないかと思う。

昨今は強力なヘッドホンが出そろっており、その一角に加わって競争するのは容易ではない。優秀な機材がこの界隈にはすでに多く存在しているのである。だがHEDDの音は現代を代表するハイエンドヘッドホンたち、例えばD8000、HD800s, Empyrean、Utopia、Stellia、MDR-Z1R、ADX5000、SUSVARA、GS300E、TH900、それらどれとも異なる。
このヘッドホンにはおそらくライバルはいない。普通の音と言って、言えなくはないのだが、ブラインドでもはっきりと他と区別できるほどの音でもある。これはやはり音像の描写の確かさがこのヘッドホンの存在を決定づけているのだと思う。こんなにしっかりした強い音が出せるヘッドホンは昨今はほぼない。

このような傾向はモノに関するドイツ的な実直さの表れとも取れる。
例えばドイツ製の時計だ。
ランゲやNomos、GOやドンブリュートやヘンチェル、ダマスコなどのドイツの時計を見ていると、まずは今何時かがはっきりと読めることを前提とした文字盤や針のデザインが多い。
(私はヘンチェルを普段使いにしているが、実際に日々そう感じる。)
一番大事なことはなんなのか、常に強く意識しているのがドイツ人であるように思う。音についても、その一番大切な部分と思われる音像をまずはリスナーに示すのだ。HEDDphoneを聴いていると、子音を鮮明に聞かせるあたりからして、既にジャーマンサウンドらしい香りもあるのだが、もっと深い態度のようなところでも「ドイツらしさ」が明快に出ているヘッドホンだと思う。

HEDDphoneには音響空間に漂う、憶測でしか至ることのできないような微かなニュアンスを丁寧に拾い上げるような繊細な態度は備わっていない。こいつのサウンドは、まずは核心をズバリと突いてくる音である。幽玄な音をあえて先にとらえるような繊細さがここにはない。まず眼前に明白な主題を提示して音楽の骨格・あらすじをしっかりと伝える。細部や音場はその次にじっくりと表現してゆく。それがこの男の流儀だ。
思えば昔のヘッドホンの音楽の表現の仕方がこうだったのかもしれない。
しかし単純なリバイバルでは到底片付けられない、豊かで機動力のあるサウンドがここにはある。この装着感の煮え切らなさや重さは問題であるが、そこを差し引いても自分の部屋で、自分の機材でじっくりと使ってみたいと思わせるものがある。


Summary:

まあ、そんなこんなで、これは買うことになった。

このヘッドホンはMysphereと同じく一度は自分のものとして使ってみなくてはならないだろう。音以外では、このヘッドホンのデザインが黒を基調としていることも私にはうれしいポイントである。自分の機材はなるべく黒で統一したいからだ。Model406もBartokも黒である。ChordのCodaも黒を選んでいる。黒という色は引き締まっていて機材を男っぽく精悍に見せてくれることに気づいて最近好きになった色だ。


HEDDphoneをつらつらと聞いていると、音だけで他と勝負しようという気概を強烈に感じる。
このAMTドライバーにエンジニアがゾッコンと惚れ込んでいるのが目に見えるようだ。確かにヘッドホンで一番大事なところはそこだろう。そこは動かしがたい事実である。しかし、現代のヘッドホンの世界を見回しても、優れたドライバーの新開発は困難を極めているように見える。ことにAMTドライバのような新たな動作原理を用いたドライバーとなると、スピーカーと同じくほとんど世に出てきていない。
ハイエンドオーディオ界の停滞の原因のひとつがここにあると私は思うのだが、HEDDphoneの登場でヘッドホンの世界については、また一つ新たな多様性が加わったことになる。


また見逃せないのは、この手の革新的なヘッドホンにありがちな高価格性がないことである。少量生産が見込まれる特殊な機材は高くなりやすい。最近のハイエンドヘッドホンにおいて新型機は30万円オーバーは珍しくない。しかしHEDDphoneはほぼ20万円で売られている。ADAMのモニタースピーカー同様にコストパフォーマンスに優れると言えよう。
ただ、日本の正規代理店のようなものができた場合にHEDDphoneがいくらになるかは私には分からない。
だから正規のアナウンスが出る前に買っておこうという魂胆である。

なにしろ、こうやって次々に新しいモノを、比較的気楽に買って楽しめるところがハイエンドヘッドホンのよいところである。ハイエンドスピーカーではこうはいかない。
財力も手間も時間も、スピーカーでは数倍いや数十倍かかり、負担が大きすぎて楽しめない。良い音で音楽を聴きたいだけでは終わらないのがオーディオではないか。
まずは色々と試して、実際に使ってみてオーディオの多様性を愉しみたいのである。


それにしてもこれほどの多様性がヘッドホンの世界に生まれることを10年前に誰が予測しえたであろうか。
試行錯誤を重ね、紆余曲折を経て、栄枯盛衰はありながら、まだハイエンドヘッドホンは前進していると、ドイツの英知が創り出した男っぽいヘッドホンを聴きつつ、私は確信したのである。
https://pansaku.exblog.jp/28839243/

51. 中川隆[-11715] koaQ7Jey 2020年8月24日 16:59:50 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[32] 報告
Mr.トレイルのオーディオ回り道
テレフンケンモニターSP RB46 のサウンド 2007年11月03日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/5ba5a3df4a35018454df51a78c2bdc7e


Rb461

テレフンケンのモニターSP RB46がやってきました。横幅・奥行き26cm、高さ82cmの小振りで細長いSPです。3ウェイになっていてセンターに楕円ウーハー、ツィーターが底面側に来ます。

早速サウンドを聴いてみます。このSPには専用ケーブルが5m程付いていますのでそのまま繋いで音出ししました。

非常にまともなサウンドです。レンジはそう広くはないけど(ユニRb462 ットサイズから当たり前)非常に中域の密度が有ります。音色も悪く有りませんがチョッと古いサウンドを思い出します。空間再現性は非常に良いです。オーケストラの配置がSP間に広がり、楽器の位置がわかります。弦楽器群のトレモロも上手く再現しています。

タンノイのVLZと比較しても遜色ないと思います。イギリスのSPと似たようなところも有りますがドイツの合理性を感じさせるシステムです。

Rb463整然としていてそれでいて無味無臭ではなく、ドイツのオーケストラを上品に小さな音量で楽しむには充分なSPだと思います。

自宅のBC-U(Trail仕様)と比較するとスケール感が小さい、明瞭度や音数が足りませんしサウンドパワーも足りませんが、これはこれでしばらくは楽しめそうです。

一ヶ月ほどこのまま楽しんでサウンドを焼き付けてから不満な所を解消していきたいと考えています。

Rb466ユニットの可能性はBC-U以上だと感じています。BC-Uの場合ははじめはひどい音でした。まともに聴く気がしないけど音色に惹かれました。今度のテレフンケンはオリジナルで充分楽しめるポテンシャルを持っていますので、相当高いグレードまで性能を引き出せるのではないかと思います。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/5ba5a3df4a35018454df51a78c2bdc7e

B46のサウンド2 2007年11月05日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/8d905c60f81987204d85f593dac78418


テレフンケンモニターSP RB46 を聴き込んで行くと、やはり音数がまったく足りない、音色が昔のラジオの感じ、低域の反応が遅い・・・・と不満点が出てきます。

Rb4611このままでは安心して音楽が楽しめません。多分ネックとなっているのは直出し配線の「ヒョロ線」と思われるので交換したい気分になってしまいます。

ドイツのSPですが何でもこなしてくれそうです。オーケストラからJAZZまで問題なく鳴らしてくれそうですが、前述の一時代前のサウンドでは楽しめません。

その後ズーッと聴いていますが、音が痩せていて聴くのが辛くなって来ました。基音が出た後の余韻が出ないんですね。中域の解像度は本当にすごいと思うけれど、高域も足りません。これはユニットが悪いのか使ってある配線が悪いのか?どちらも悪いのか今の所判断できませんが、何らかの対策が出来ないと私には使えないSP(ダメSP)になります。

手を加えようにも各ターミナルが弱いのでなかなか手出しできません。エンクロージャーを開けて中の作りを確認しましたが、作りが軟弱でほとんど木ネジで止めて有ります。それも強度が足りない為ゆるんでいます。バランスが崩れていますね。ユニットは良さそうなんだけどエンクロは今一、配線も悲惨!!結局BC-Uより古い分完成度が大幅に下がります。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/8d905c60f81987204d85f593dac78418


テレフンケンモニターSP RB46 のサウンドその3 2007年11月06日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/8b99f2584d6089cb48582bf9e4298151


しかし、このSPはすごいサウンドがするもんだ。このサイズからは信じられないサウンドがする。(W:26cm D:26cm H:82cm)

色々と不満点もあるが良い所も多いので何とか使えるようにしていきたい。とりあえず、オリジナルのSPケーブルを外して、SCS-34(ルシファー)が使えるようにしました。ルシファー以外では「音がかすれて」聴けないのです。オリジナルSPケーブルの時に感じた「ラジオの音」は消えました。ヴァイオリンもかなり滑らかになりました。

オリンパスシステムの横に並べて、サトリの5W×5Wのアンプ、スチューダーA730の組合せで寄せ集めの廉価なケーブルで繋いでいます。自家製のライントランスをかませています。SPケーブルのみが豪華なシステムです。繋いで1時間もしないうちにかなり滑らかな質感に変わってきました。

しばらくは鳴らしこんでいきます。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/8b99f2584d6089cb48582bf9e4298151

テレフンケンRB46のサウンドその4 2007年11月07日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/e668d67c6e7cec8cab90690159946836


今日は一日中RB46を鳴らしていました。時々メインのオリンパスシステムとバランスの比較をしましたが、バランスは殆ど一緒ですね。何回も切り替えていたらどっちがどっちか一瞬間違いそうになりました。

質感は完全に違います。オリンパスシステムからは「粗さ」は感じませんが、RB46は現状では太刀打ちできません。内部配線が完全に信号を阻害しています。

朝からモーツァルト「魔笛」全曲、35、30番シンフォニー、ベートーベン1、2、3シンフォニーを聴きましたが、このサイズのSPとは信じられない音数とスケール感で、ユニットの可能性を相当に感じます。

JAZZもMJQやカレリ・ボエリ・トリオを聴きましたが、曲の表情を難なく出してきます。

サブとして使うにも「粗さ」を取らないと聴き疲れしますので、内部配線の線材を如何しようかと思案していましたが、意外と簡単に出来そうなケーブルが浮かびました。来週にも入れ替えをして「自分用」にしてしまおうかと考えています。

このSPは音質改善する為の素材としては素晴らしい能力を持っています。こんなのが30年前店頭に並んでいたらみんなオーディオマニアにならずに済んだのかも知れない。

庶民的な価格で良いサウンドが取り出せればオーディオ業界そのものがないのかもしれない。馬鹿でかいアンプもその他機器も大げさにしたくなくなります。
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テレフンケン スタジオモニターSP RB46 システム 2007年11月22日
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「ドイツ製のSPもなかなか良いよ!!」と昨年当社の常連さんが持ってきたイソフォンの10cmクラスの楕円SPシングルシステム。

聴かせて頂いてビックリしたのは「中域の厚み」と「音楽性」。元々はラジオに使ってあったSPを2個集めて綺麗でしっかりした箱に入れてありました。(写真を撮って置けばよかったと後悔)10cmクラスのSPのサウンドではなかったと言うのが私の感想です。

Rb463その後STEREO誌の村井先生の記事「オーディオ巡礼」でテレフンケンのモニターSP RB60 を使っていらっしゃる水田さんの記事が載り、何とか自分も1組手に入れたいと考えていましたら、ロスアンジェルスの方でスタジオモニターとして使ってあったというRB46を入手しました。

このRB46のオリジナルサウンドの評価はこのブログで先にご紹介しましたが、そろそろ1ヶ月経つので、自分仕様(Trail仕様)にしてしまいました。

オリジナルの状態では自分にはまったく使えないグレードですが、ユニットの潜在能力の高さは充分に感じていました。自分が使うことを前提に手を加えてみました。何回もBOXを開けたり締めたりを繰り返せない箱の強度なのでいきなり最高グレードの内容にしています。(BC-Uと同じ内容)

Rb461このシステムから出てくる音(音楽)はJBL#4343も真っ青なサウンドがします。たった5リットルのエンクロージャーからは信じられないサウンドがします。現在A730を市販の5mのRCAケーブルでサトリのミニプリアンプ+ラックスKMQ8(Trail仕様)のラインナップで他のケーブルはSCR-15,SCS-34のラインで聴いています。

クラシックも良い再現をします。「魔弾の射手」を聴きますとベストマッチですね。オーケストラもソプラノも合唱も味のある再現です。

これなら歌謡曲も活けるのではないかと「石川さゆりベスト」を鳴らしながらタイピングしています。中域が非常にしっかりしているので素晴らしい再現です。

しばらくはこのサウンドにはまりそうです。

但し、メインのオリンパスとは比べてはいけません。

他にフォノプリアンプのアキュフェーズC-220+テクニクスSP-10MKUシステム+SPU-GE でアナログを楽しめるように組み合わせています。

Trail仕様はSPもアンプもオリジナルとは比べ物にならないほどハイグレードな「音質」ですので既成概念は通用しません。小さくてもサウンドは巨人です。
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52. 2020年8月24日 17:01:55 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[34] 報告
テレフンケン RB46スピーカー 2019年12月22日
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テレフンケンのスピーカーは、「古いヨーロッパサウンド」の確認をしたくて購入して使って見ました。ALTECに似た乾いたサウンドで、ヴォイス(声)が非常に良かったのを覚えています。SPサイズ的にはW:200 D:200 H:700 重量:10Kg以下ぐらいで非常に扱いやすいサイズと重量です。低域の下の方が不足するので、ヤマハの廉価版の「低域専用ウーハー」を組み合わせて使っていました。高域もそんなに伸びていません。

本来は「直出しSPケーブル」が付いています。そのままだと「古いラジオの音」が出てきます。私は内部配線を交換し、SP端子を取り付けて一般のケーブルが使える様にして使っていました。ちょっと手を加えてやらないと現在のシステムのサウンドとかけ離れた「古臭い音」になってしまいます。
内部ユニットは楕円形のコーン型ウーハーとコーン型の中音・高音用のユニットが付いています。
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53. 中川隆[-11710] koaQ7Jey 2020年8月24日 17:38:10 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[38] 報告
Mr.トレイルのオーディオ回り道
次はテレフンケンRB46システムの改善 2011年04月18日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/97e687a5bd7eea0e8ae2722cc7896a53


RCA箱システムのマルチアンプ化は音質対策として大変効果の高い成果でした。アンプの中身等細かい問題点は有りますが「次元の違う」再生音に嬉しくなります。

Rb46system1_2

次は自宅のテレフンケンRB46システムのグレードアップです。このSPの問題点は「低域と高域の不足感」と思っています。周波数レンジが狭いのでどうしてもこじんまりしたサウンドになります。

Yst45w1

この対策の第1弾として「スーパーウーハーの追加」を予定しています。500Hz以下の帯域で全体の音の70%近くを出して来ますので、この帯域の強化がまず必要と考えました。ヤマハのYST-SW45を贅沢にも2セット(片側に各1台)手配しています。

Yst45w2

このYST-SW45は手ごろな価格でしかも上段の写真に有る手製トレールの内部に奇麗に収まるサイズなのです。YSTは以前SW1000を使った事が有ります。コントロール性が良いです。

明日と明後日には入荷すると思いますので配線関係を準備しています。ついでに電源タップも準備しないといけません。
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YST-SW45の入荷 2011年04月19日
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自宅のテレフンケン用に手配したYST-SW45×2台は入荷しました。1台は昨日入荷したので早速事務所のRB46と組み合わせて鳴らして見ました。足りなかった低域が充足して高域まで伸びています。

Ystsw45

気を良くして、2台揃いましたのでALTEC#612Aシステムにも組み合わせて音出しをして見ました。低域の伸びと厚みが増してなかなか好印象です。やはり使った方が音楽表現力が上がりますね。

Ystsw45_2

実験はこれくらいにして、今夜自宅のシステムに組み込んで見ます。当初予定ではRB46システムに2台とも使う予定でいましたが、実験の結果1台で十分と判断しましたので、1台はメインのSP-707Jシステムに使って低域を補強しようと考えています。サイズが小さいのでTVの裏に置けば隠れてしまいそうです。
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自宅RB46システムへYST-SW45を導入 2011年04月20日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/68244344b2360bcbc50f6b1a8ad42d69


自宅RB46システムへYST-SW45を導入しました。まず予定通りに片chに1台づつ使って見ました。

Ystsw45_2_2

こちらはLchです。

Ystsw45_3

こちらがRchです。うまい具合に小型SP専用トレールの下に収まっています。重量がありますのでトレールの重心が下がって良い収まりです。

Ystsw45_4

早速試聴を開始です。クロスが50Hz〜150Hzまで10Hz単位の目盛りが付いていますので、任意のクロスに出来ます。色々試して見ましたが100Hzくらいが良いようです。ボリュームも中間点で良さそうです。あまり下の方のクロスにしたり、ボリュームも上げますとスーパーウーハーが自己主張してしまいます。さりげなく低域を延ばしてやるぐらいで十分な効果が出ます。

Ystsw45_3_2

アンプとCDP(DVD)です。非常にシンプルなプリメインで、おまけに小型ですので場所をとりません。でも音質は内部に手を入れたおかげで、本格的なプリ+パワーアンプと伍しても引けは取らないと思います。非常に音数が多いのです。

今回YST-SW45を組み合わせたシステムでTVを楽しみますと、今まで聴こえなかったTVのBGMは実は凄いサウンドが入っている事が判りました。一般のTVの音声では「音数」や上下のレンジの音が聞こえませんが、このシステムではオーディオCD並みに聴こえます。

現在TVを消してCDを確認していますが、今までRB46は古臭いレンジのSPだと思っていたのですが、見事に現代のSPに生まれ変わり、そして音の質感が格段に上がっています。しばらくはこのシステムで音楽を楽しむことになりそうです。

YST-SW45をせっかく買ったのですから他のシステムでも試して遊んで見ようと考えています。その為の配線関係も作成済みですのでいつでも遊べそうです。
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自宅RB46システムのサウンド 2011年04月21日
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昨日YST-SW45スーパーウーハーを2台導入して、クロスポイントやボリュームレベルの調整を続けていますがほぼ安定してきました。

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クロスは70Hz、ボリュームは2時の方向で止めています。この状態でRB46単体で使うよりはるかにスケール感が増し、滑らかな音色になってきています。

ユーミンの「春よ来い」をNHK総合でやってたので聴いて見ましたが、低域の音が豊かに再生でき、それでいてヴォイスの帯域にうまく繋がっています。現在、庄司紗矢香さんのヴァイオリンで「クロイツェル ソナタ」をHDD録画で聴いていますが、なかなかの再生音をしています。ヴァイオリンは元々テレフンケンのSPの得意とするところですので、豊かな低域の支えが有ってピーキーさが無くなって非常に生々しく聴き易くなっています。もうBGMでは有りませんね。

それでもメインシステムに取って代わる事は無理です。しかし、室内楽程度ならわざわざメインを使わなくても十分なサウンドになっています。透明感が高く、音数が多く、こする音の質感が実に良いです。音の線もRB46単体時より太く、シンプルでエコなシステムですのでいつでも安心して使えます。非常にシンプルなシステムで高音質なシステムが出来上がりました。
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自宅のテレフンケンRB46システムの出来は最高 2011年04月24日
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先週完成したテレフンケンRB46のシステムを聴き続けています。そのサウンドに自己満足しています。メインのSP-707Jシステムの存在を脅かし取って代わろうとしています。

Ystsw45_2

全帯域がカチッと締まった質感で、音数もメインに負けないほど多く、周波数的にも30Hzくらいから18000Hzくらいは出ています。スーパーツィーターにリボン型を予定していましたが、その必要も無いと感じています。余韻も多く一人静かに音楽を楽しむのに何の不足も感じません。今夜はキースのパリコンサートを楽しみましたが、彼の「うなり」も鮮明に聴き取れますし、ピアノの低音域のサウンドにもホールの響き具合にも不満は感じません。

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ドライブするCDP+プリメインアンプは上の写真に有る通りなのですが、サトリのミニアンプの内部に手を入れてから質感と音数が大幅に良くなりました。この改善が聴いていると思います。まるで別物のアンプに変化しました。アンプの音質改善のネックポイントをようやく見つけたようだと思っています。その部分の改善で劇的に音質グレードが上がりました。

SPの方はこちらも内部配線やSP端子を交換しています。それに今回低域の補強でスーパーウーハーを入れた事が「表現力の大幅アップ」に繋がっていると思います。

とにかくこの簡素なシステムでメインに迫る「質感」はインパクトが有ります。このシステムからメインに戻るには「マルチアンプ」にしないと帰れないと感じています。
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自宅からRB46を追い出せない・・・ 2011年04月30日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/9ab8edd545316e58610c04d7bfe6c8b1

4月14日のブログに書きましたが、サトリのアンプへの内部配線の交換はその後も続けていました。ようやく私の基準で「合格」を出せる所まで来ました。

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その合格したサトリのアンプを使ったシステムが「自宅RB46システム」と「BC-Uシステム」です。そのサウンドが非常に気に入っているのです。

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4月26日に「2セットのシステムは厳しい」と自宅のシステムの事を書きました。そこでメインのSP-707JシステムとRB46システムを交互に聴き比べて、RB46に「宣告」をしようと何度も試みているのですが、それがなかなか健闘していて外せないのです。

音数的には絶対値はメインシステムが多いのですが、音楽(CD)やTV、DVDを見る時は何ら遜色を感じないのです。またその質感もメインシステムに肉薄しています。逆にメインシステムを追い出そうか?と云うサウンドなのです。

大きさやかけた金額はメインシステムには遠く及ばないのですが、これだけシンプルなシステムで音質的に互角に伍していくとは予想もしませんでした。何事も決断が早く直ぐに行動に移す自分ですが、今回はゆっくりと「嫌になるまで」使い続けて行こうと考えなおしています。

同じ様にBC-Uシステムも音質が上がり、メインのオリンパスがなくても楽しめるグレードに上がっています。
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2セット目のRB46 SWシステム 2011年05月02日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/59df3ea180408e7a454277472ae35a69


先週4個目のスパーウーハーYST-SW45が入荷していました。今日はこのSWを使って2セット目のRB46システムを製作しました。

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午後から島根のK様がお見えになり、RCA箱マルチアンプシステムを聴いていただき「音数が増えて別物になりましたね」と感想をいただいています。その後オリンパスシステムも聴いていただきました。前回お見えになられたのが昨年の12月であったと記憶していますので、クラッセのCA-2200を導入後は初めての試聴になると思います。

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RB46のSWシステムを興味深く覗いていらっしゃいました。

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RB46とYST-SW45の接続はSPケーブルでやっています。この接続ケーブルが本日出来上がりましたので、K様と一緒に初試聴です。聴いたのはビートルズの「ABBEY ROAD」。オリンパスで聴いた直ぐ後であったので、初めは音が少なくなった様に感じましたが、聴いて行くに従い気持ち良くなって寝てしまいました。一般家庭で使うには十分な音質だと思います。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/59df3ea180408e7a454277472ae35a69


自宅からRB46システムを撤去 2011年05月14日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/817705d4f2d60f7f5440a5d6fe79ac3b

自宅にRB46システムを作って約1週間、コーン型SPとしてはかなり良い状態で鳴らせたと思っていました。しかし、20cmクラスの「コーン型」SPには限界が有ります。以前SP-LE8TもSTM-22トレールに載せて「深々とした低音」の出るようにして、コーン型のSPではベストと言えるくらい仕上げて楽しんだ時も有ります。

Ystsw45_2

でも38cmクラスのウーハーとコンプレッションドライバーを組み合わせた2ウェイや3ウェイの機器と比べれはどうしても「質感」が及びません。今回もやはりこの壁は越えられません。

「どうせ同じ時間を使って聴くなら音質の良いシステムで聴いた方が良い」と言うのが今回の結論です。SP-707Jシステムは真夜中にも対応できるシステムですのでサイズはハンディになりません。1つの部屋に2セットのSPを並べるには限界が有りました。(TVを並べなければならない為)

Rb46 (撤去したRB46 2セット)

変わりにAMPEX#515をTVの裏において楽しむことにしました。これならスペース的にメインSPに影響が出ません。先日購入した「お遊びアンプ」を使って鳴らしています。
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/817705d4f2d60f7f5440a5d6fe79ac3b

54. 中川隆[-11707] koaQ7Jey 2020年8月24日 18:36:41 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[41] 報告
Telefunken RB - YouTube動画
https://www.youtube.com/results?search_query=TELEFUNKEN+RB


TELEFUNKEN スピーカーシステム一覧 テレフンケン
https://audio-heritage.jp/TELEFUNKEN/speaker/index.html

ヤフオク! -「telefunken RB」(スピーカー) (オーディオ機器)の落札相場・落札価格
https://auctions.yahoo.co.jp/closedsearch/closedsearch?auccat=23812&tab_ex=commerce&ei=utf-8&aq=-1&oq=&sc_i=&exflg=&p=telefunken+RB&x=0&y=0


TELEFUNKEN Hi-Fi Klangbox RB45 | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12563851449.html

▲△▽▼


TELEFUNKEN RB46 Hi-Fi Loud Speaker
http://lajazz.jp/products-page/speaker_end/telefunken-rb46-2


ドイツ老舗メーカー、真空管の「テレフンケン」が誇るスピーカー!

本品は1960年代に発表された Telefunken社製(テレフンケン)Hi-Fi Loud Speaker RB46 のペアです。

戦前ドイツの時代に立ち上げられた老舗ブランド。
現在でも最高峰のマイクや真空管などを現行製造しています。

米国や英国のHi-Fiスピーカーとは一味違った粘り強い音が特徴です。
音量音圧に加え、その外観からも高級感を味わえるスピーカーです。

特にヴォーカル音源の再現の精度の高さには脱帽です。
聴く人によってはJBLやアルテックよりも音の粒立ちがきれいに聞こえると評価する方も居るのも頷けます。
クラシックやジャズのみならず、幅広い音源に対応するコンシューマーモデルとして最高のシステムです。

エンクロージャーはオーク・フィニッシュ仕様が施されております。
前面にはシンプルかつオリジナリティーに富んだ高級感溢れるデザイン。
同社の洗礼された気遣いが感じられます。
http://lajazz.jp/products-page/speaker_end/telefunken-rb46-2



55. 中川隆[-11704] koaQ7Jey 2020年8月24日 19:15:54 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[44] 報告
TELEFUNKEN Hi-Fi Klangbox RB70 | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12558550343.html

TELEFUNKEN Hi-Fi Klangbox RB45 | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12563851449.html?frm=theme

Klangfilm Eurodyn | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12552760944.html

Siemens Eurodyn | 禁断のKRELL
https://ameblo.jp/507576/entry-12549108416.html

56. 2020年8月24日 19:17:37 : RyOSypPQPV : NHo0VFdSS2Q4Qlk=[46] 報告
兵庫県 N 様邸訪問記 禁断のKRELL
オーナー様はELTUS、TELEFUNKEN、Wharfedale、Klangfilm Eurodyn の四種類のシステムをお持ちです。
https://ameblo.jp/507576/entry-12551794816.html
57. 2020年8月28日 13:04:51 : y0GopNjkkY : WHBHR0FhdjMuak0=[7] 報告
オイロダイン完成 | 真空管アンプ「カトレア」
http://www.cattlea.jp/news/info.php?id=154


オイロダインを作りました。シーメンスのドライバーにホーンを付け、ウーハーは25cmのクラムフィルムユニット片チャンネル2本使用しステレオで計4本とかなり質感違います。ぜひに聞いて下さい。

ーは25cmのクラムフィルムユニット片チャンネル2本使用しステレオで計4本とかなり質感違います。ぜひに聞いて下さい。


クラムフィルム 6ruf-lsp-15g KL,L307


戦中に作られたクラムフィルムの25cmベークダンパー15g KL,L307を贅沢にダブルに使用して充実した量感が出ました。

シーメンスのドライバーKL-303


シーメンスのドライバーKL-303にLZ304ホーンを使用しました

ネットワークのこだわり


オイルコンデンサーにオリエントカットコアに銅箔でコイルを作り、トランスタップ式アッテネーターを使用しました。味付けでマイカコンデンサー足しました。

後面開放のボックス


ポプラの合板オイル仕上げで後面開放で麻の布を貼り後面の壁等の影響を排除しました。


http://www.cattlea.jp/news/info.php?id=154

58. 中川隆[-11612] koaQ7Jey 2020年8月28日 15:49:38 : y0GopNjkkY : WHBHR0FhdjMuak0=[19] 報告
テレフンケンRV-258完成 | 真空管アンプ「カトレア」
http://www.cattlea.jp/news/info.php?id=156

ドイツの劇場用のアンプに使用した球で、ドイツの直熱三極管でこんなに大きい球は珍しいです。この球を最新の交流点火で動かしています。


RV-258

アンプのシャーシーはブラックオゥールナットをオイル仕上げて、とっても重厚な姿です。

この大型特注電源トランスを使用した。

高圧回路は全て1200V耐圧のコンデンサーくりました、かなりロングライフで楽しめます。

ビックリです素箱入りですよ


ドイツから取り寄せた素箱入りのRV-258です。あの戦争の中で素箱入りの球が見つかるとは、すごい事ですね。良く見て下さい二重になっています、中の箱はスプリング浮いた構造で耐震の構造ですね。ドイツは球の構造もすごいですが保存方法もすごいです。
http://www.cattlea.jp/news/info.php?id=156

59. 2020年9月01日 13:18:43 : WyT5nCL4pQ : YzlncmJkNllTTWc=[19] 報告
晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その1.)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_3.html


 私のオイロダイン前史・Part1.
画像
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/144454342541899189180.jpg.html

 (この度ベンプレ亭書斎に導入したクラングフィルム・オイロダイン、KL-L439です)

 我が家のメインスピーカーはダブルキャストです。書斎の西面に鎮座し、「西方の音」を奏でているのが、ビジュアル用にも使用するイギリスのThe Voice of a Queen、VITABOX BASS BIN(バイタボックス・バスビン)を中心とした5way。東面に鎮座するのはアメリカのThe Voice of the Theater、ALTEC(アルテック)A4を中心とした5wayです。
 どちらも映画館・劇場での使用を目的に第二次大戦前後に開発、改良されて行ったスピーカーで、ウェスタン・エレクトリック社の流れを汲むものですが、シアタースピーカーには忘れてはならないもう一人の巨人がいます。

 ドイツのklangfirm(クラングフィルム)社です。
 同社は世界初のトーキー映画「ジャズ・シンガー」が封切られた翌年、1928年に映画音響システムの提供を目的に発足した、SIEMENS(ジーメンス)とAEGの合弁会社です。

 私は30年ほど前、クラングフィルムの衣鉢を継ぐジーメンスのWIDE ANGLE(ワイドアングル)C70233-B5016-A11を導入し、2年前まで使用していました。これは22cm(25cm)コアキシャル2wayを片チャンネル3発使用したスピーカーで、ガッチリ、クッキリした隈取の濃い見事な音でした。現在も6発のユニットは大切に取ってあります(いずれドルビーアトモスの天井スピーカーに使用するつもり)。

 クラングフィルムのシアタースピーカーは御存じの様に1930年から米国のW.E.とカルテルを結び、世界の映画産業を二分していました(日本は辺境の地だからでしょう、カルテル除外地域)。当然ナチス・ドイツ御用達のPAスピーカーであり、ヒットラーがドイツ国民を熱狂させた大演説も、ベルリン・オリンピックの競技場の音声もクラングフィルムを通じて届けられました。

 クラングフィルムのスピーカーは実はW.E.より更に大掛かりで、戦前は家ほどもあるスピーカーまであったようです。1928年発表のEurope(オイロッパ)、Europe Klarton(オイロッパ・クラルトン)などウーファーのサイズが70cmもあります。雑誌等ではさらに大きい、ヤマタノオロチの頭の様な巨大ホーンを付けたモデル、高さ4mに達するEuronor(オイロノール)も見る事ができます。

 これらの恐竜時代の遺産の中で、日本に現物があるのはオイロッパだけと思われます。オイロッパは戦前、服部時計店経由で海軍に1台、他に西日本の映画館に1台輸入されているそうで、後者は某マニア氏のオーディオルームで今も鳴っているそうです。この方は雑誌取材には応じておられず、ブログやホームページも作っておられないようで、これ以上の情報がないのが残念です。
 
 映画館は判りますが、海軍というのは何かストーリーがありそうで面白いですね。元帥の誰かが数寄者で、資材調達の課長辺りを抱き込んで輸入、海軍省の大会議室に拡声用だと言い張って設置し、深夜こっそりワインガルトナーでも聴いていたのかも。
 それとも、海軍さんはモダンだったと聞きますので、将校向けのレストランかダンスホールがあって、ウィンナーワルツなぞ鳴らしていたのかもしれません。

 このオイロッパが現存していれば、映画館の物とペアにしてステレオで聴けたのに、残念ですね。空襲で焼けたのかな?まさか戦艦大和に積んであって、一緒に沈んだのではないですよね。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_3.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その2.)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_4.html

 私のオイロダイン前史・Part2.
画像
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/144454363341857109180.jpg.html

 (側面から見たオイロダインです。ウーハー、ドライバー共にバッフル面に固定するだけではなく、L型の鉄骨フレームを使用してマグネット部もガッチリ保持されています。これは音質にも好影響があると思われます)

 クラングフィルムの劇場用スピーカーのうち、かろうじて家庭に入る規模の物は、大型から順にEurope Junior(オイロッパ・ユニア)、Europe Junior Klarton(オイロッパ・ユニア・クラルトン)、オイロダイン、Biodyne(ビオダイン)でしょうか。

 従ってオイロダインはクラングフィルムのスピーカーの中ではむしろ小型のモデルなのですが、これ一本で800席の劇場の音響を賄う事が出来るよう設計されており、家庭用としてはもう十分すぎると言うか、オーバーパワーのスピーカーです。
 アルテックならA5、バイタボックスならBitone Major(バイトン・メジャー)クラスのシアタースピーカーと考えれば間違いなさそうです。ただしドイツ物の常として、価格はこれら英米の物より高価でしたが。

 雑誌、ネットによると、先に上げたクラングフィルムのスピーカーのうち、戦前のモデルであるオイロッパ・ユニア・クラルトンは3ペア、オイロッパ・ユニアはモノラル1本が国内のマニア氏の手元で鳴っている事が確認できます。  
 これらのスピーカーは戦前日本に輸入されたとの情報もなく、全て戦後、好事家がドイツから入手したものだと思われ、国内には合計数セットしかないのでは。

 戦後のモデルであるオイロダインは、国内で稼働しているのは20セット程度と言われています(私はもう少しあると思います)。バイタボックス・バスビンより少し多いかもしれませんが、オーナーも次々と鬼籍に入っており、生産完了から32年を経て補修パーツも払底している様です。
 
多くのモデルがあったクラングフィルムの劇場用スピーカーのうち最後まで残ったオイロダインですが、クラングフィルムのブランドで生産されたのは1965年まで、その後はジーメンス・ブランドに引き継がれました。

 なおビオダインはオイロダインの高域ドライバーをコーン型スピーカーとしたものだそうですが、本国ドイツでも殆ど生産されておらず、日本には1台もないと思われます。
 小劇場で使用されたワイドアングルは、その型番、C70233-B5016-A11から判る様にジーメンス製で、クラングフィルム・ブランドの物はありません。

 1972年、日本初のジーメンス・スピーカー正式輸入代理店が現れました。その会社「上弦」を運営していたのが、戦後しばらく東洋ウェストレックス日本支社の技術部長であった、故・伊藤喜多男氏です。
 氏はジーメンスのスピーカーに惚れ込み、代理店になるべくジーメンス日本支社に掛け合います。

 「このような高価なスピーカーは日本では売れない。貴殿の力だけでは無理である、何故ならば当社の社員が努力しても註文が全くない」という日本支社の詞を受けて「必ず売って見せる。貴殿等がいかに努力しても売れる代物に非ず。余以外にこのスピーカーの真価を知るものなし、即金にて支払う故、早急に二個輸入し、その結果を期して待つべし(もみくちゃ人生より)」と輸入を始め、新潟の関本特殊無線や徳島のシュミット、岡山のオーディオ・マエストロなどで一定量を販売したようです(私はマエストロからワイドアングルを入手)。

P.S.
 アルテックA4、バイタボックス・バスビンに相当するクラングフィルムのスピーカーは1954年発表のKL-L433、Bionor(ビオノール)でしょうか。二発の36cmアルニコ型ウーハーKL-L405に木製フロントロードホーンと大型のバッフルで低域部分が構成されており、高域はオイロダインと同じKL-L302ドライバー、KL-LZ30T100ホーンが使用されています。
 もちろん聴いたことは無いのですが、KL-L405ウーハーはオイロダインのKL-L406に比べてマグネットがかなり小さく、ダブルウーハーである事も加え、オイロダインよりもややファットな低域ではないかと想像しています。木製低音ホーンと広大なバッフルの何れにも補強桟らしい補強桟が入っていませんしね。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_4.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その3)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_5.html

 私のオイロダイン前史・Part3. 私のオイロダイン前史・Part3.
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https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/144454388843635676180.jpg.html

 (ホーンとドライバーを上から見たところ。ホーンは分厚いアルミ鋳物製、スフェリカル・カーブという形状で、開口が180度まで広がっているのが特徴です。
 スフェリカルはエクスポネンシャル・ホーンより理論的に優れているとの意見もあり、最近巷でウワサのオールホーン型スピーカー、アバンギャルドにも採用されています(そういえばアバンギャルドもドイツ製ですね。
 ドライバーはALTEC288やJBL375よりも更に巨大な怪物です)

 オイロダインは程なくディスコンとなり、コアキシャルも生産が終了、1983年にジーメンスはついに音響機器から撤退しました。上弦もシュミットも今はありません。関本特殊無線もFor music companyと名前を変え普通のオーディオショップに様変わりしたようです。
  しかしアルテックがそうであったように、日本では劇場用システムが家庭に持ち込まれたため、世界で一番最後までジーメンスのスピーカーが売られていたようです。
 1983年以降は補修用パーツを使ったのでしょうか、日本ではオイロダインは1987年まで、コアキシャルは1991年までカタログに載っていたそうです。

 実は私がワイドアングルを入手したのは1986年ですので、本国では生産が完了していた時期ですね(日本に生まれてよかった)。
 ウワサですが、末期のオイロダインはウーハーがイソフォン製の物、コアキシャルにはツィーターがイソフォン製の物が有るらしいです。もっとも、イソフォンは以前よりジーメンスのOEMをしていた様で、モノは同一なのかもしれません。

 さて、私が最初にオイロダインを知ったのは別冊FMファンに載った若き日の三上剛志先生のオーディオルームの写真。もう40年も前の事です。三上先生は今も「趣味の獄道」としてご活躍中ですね。最近の写真(ステレオサウンドVol.135)を見ると、オイロダインはジーメンス製からフィールド型のクラングフィルム製に変更されたようですが、現在もメインスピーカーの様です。

 真空管アンプメーカーを主宰され、オーディオ評論家でもあった故・上杉佳郎氏もオイロダインの愛用者でした。1970年頃、ラックスマン社が当時輸入を検討しており、オーディオフェア用に持ち込んだオイロダインを強奪するかのように買い取り、長く使用されていました。氏はエレクトロボイス30W・片チャンネル二発をサブウーハー、テクニクスのホーンツィーターEAS-9HH42をスーパーツィーターとして、4Wayに組んでいました。

 30年ほど前、徳島・シュミットで行われた伊藤喜多男氏の講演会を聴きに行ったとき、シュミットにはオイロダインが鎮座していたと思います。しかし講演会はお話だけで音出しは無く、気の弱い私は音を聴かせて下さいとも言えず、徳島を後にしました。
 私はワイドアングルの音は今でも素晴らしいと思っており、上級機種のオイロダインをいつか聴きたいものだと思っていました。

 伊藤氏の講演会と前後し、季刊ステレオサウンドに2度オイロダインを使用するマニアの方が取り上げられています。一度目は五味康祐氏の連載、単行本にもなっている「オーディオ巡礼」に「鎌倉のパルシファル」の題で(Vol.50)、もう一度はやはり連載の「ザ・スーパーマニア」でした(Vol.54)。前者はマランツ#7、#9で、後者は伊藤喜多男氏のアンプで鳴らされていましたが、どちらの方も大変高度なマニアでした。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_5.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その4)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_6.html

 私のオイロダイン前史・Part4.
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 (裸の状態で周波数特性を測定しているところです)

 オイロダイン使いとしてもう一人、記憶に新しいのは昨年亡くなられた勝見洋一氏です。氏は映画マニア、ビジュアルマニアで、主な執筆先はHIVIでしたが、セリフ用のセンタースピーカーに一本だけオイロダインを使用されていました。アンプは確か新忠篤氏の手になる巨大な送信管アンプ、W.E.212シングルでした。
 勝見氏の文章は教養豊かで、私の知らない美術の世界、美食の世界や、もっと砕けた大人の事情を教えてくれました。もちろん面識はありませんが、「こんな兄貴分がいたら楽しいだろうな」といつも思っていました。

 氏は「オイロダインの音は素晴らしいが、左右のチャンネルまでオイロダインにしたら香りが濃すぎる。いくら良い香水でも、洗面器に香水を入れて顔を突っ込むわけにも・・・」といった事を書かれていたと思います。
 
 伊藤喜多男氏が惚れこみ、勝見洋一氏が愛用したオイロダイン、あこがれていました。しかし如何にもタマが出ない。時々出てもペアで状態の良い物なら数百万円の値が付いています。
 コリャー一生無理だなぁ・・・と思っていたのですが、ナント、ヤフオクに一本だけで出品されました。開始価格が699,000円、即決価格が700,000万円と格安です。
 なんでもドライバーの振動板がかなり使い込まれていて、一部薄くなっており、アルミ箔で補修してあるため安く出ている様です。しかしこの機会を逃したら二度と手に入らない。思案する事30秒、即決価格でポチってしまいました。

 ポチッた後、ヤフオクのページを再度見直しましたが、このオイロダインは出品されて3日目。入札は入っていませんでしたが、「出品者への質問」欄では質問した人、つまり興味を持った人もいました。よくまあ、私が落とすまで誰も入札しなかったものだと不思議に思います。
 やはりステレオペアでなければ売り難いのでしょうか。モノラル再生も良い物ですし、ビジュアルをやるならセンタースピーカーに持って来いだと思うのですが。

 こういったブツは御縁ですから、私と縁があったのでしょうねぇ・・・

P.S.
 オイロダインといえば重要人物を忘れていました。ピンキーガレージのピンキーさん、オーディオショップのオーナーです。
私はかつてセンタースピーカーに国産箱のバイタボックス・バスビンを使っていました。しかし左右のステレオ(こちらは英国純正のバスビン)の音に悪影響があるため、小型で剛性の高い密閉箱に仕込んだタンノイHPD385A、2台スタックに変更したことがあります。
そのためバイタボックスCN123ホーン・ペアが不要となり「無線と実験」の「売ります買いますコーナー」に出したところ、コレを引き取りに来てくれたのがピンキーさんです。

 ピンキーさんはアナログオンリーでメカニズム(エレクトロニクスではなく、という意味)に強いこだわりとウデを持つ方ですが、彼の常用スピーカーがオイロダインです。
 もちろんピンキー流に改造してありますが、ユニットの優秀さに惚れこまれている様です。
 氏はビンテージを有難がったり、伝説に惑わされるタイプではないので、オイロダインの素材としての優秀さは間違いないと思います。

P.S.のP.S.
 このご縁で、ピンキーさんに私のHPD385Aのコーン紙をモニターゴールドのコーン紙に張り替えてもらいました。今はもうゴールドのコーン紙は手に入らない様です。
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その5)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_7.html

 落札したオイロダインの薀蓄・Part1.
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 (落札したオイロダインの裏面にネジ止めしてあるエンブレムです。Typ.KL-L439、Fab.Nr.240210と刻印してあります。従って、このモデルは10種類ある歴代モデルの中でも、結構値打ち物の8代目モデルだと思います)

 私のオイロダインに関する知識といえば、当初フィールド磁石でスタートし、その後アルニコ磁石になった事、最後期モデルはフェライト磁石のウーファー3発のモデルになった事くらいでしたので、落札してから改めてオイロダインを調べてみました。

 管球王国のバックナンバー(特にVol.64からの小林正信氏の連載、「クラングフィルムの歴史とドイツの名機たち」は極めて詳しい資料です。私は外国語がダメなので確かな事は言えませんが、クラングフィルムに関しては世界一の資料集じゃないかと思います。○代目オイロダインとこの後何度も出てきますが、この分類も小林氏の分類を引用しています)など数冊の成書とネット情報を元にすると以下の様ですね。

 クラングフィルムのスピーカーは裏面にエンブレムがネジ止めしてあるので型番は容易に判るのですが、外観、型式からも分類できます。
 まずマグネットでどの時代のオイロダインなのか、粗く分類できます。

 1945年に発表されたオイロダインは初代から6代目まではフィールド磁石(電磁石)、1953年発表の7代目はウーハーがアルニコ磁石、ドライバーはフィールド磁石の混成モデル、1954年の8代目と1965年の9代目がウーハー、ドライバー共にアルニコ、1977年のオイロダイン最終モデルである10代目はドライバーがアルニコ、ウーハーがフェライト磁石の混成モデルです。
 なお、一連のモデル、名称は全てオイロダインですが、クラングフィルムのブランドで販売されていたのは8代目まで、9代目からはジーメンス・ブランドになりました。

 オール・アルニコモデルの最初のタイプであり、クラングフィルム・ブランドの最終モデルが8代目、KL-L439(1954年〜1964年)です。ウーファーはKL-L406、ドライバーは巨大なマグネットを持つKL-L302、ホーンはアルミ鋳物製のKL-LZ30T100で構成されています。

 アルニコ後期モデル、ジーメンス・ブランドとなった第9代目(1965年〜1976年)はウーファーこそ8代目モデルと同じKL-L406ですが、ドライバーはKL-L303となり、振動板は同じであるもののマグネットはかなり小型化されました。ホーンも合成樹脂製のC70233-B501-A1に変更されています。
 1970年、9代目後期型になるとドライバーの型番がC70246-B560-A1に変更されています。しかしこのユニットの内容変更に関する情報はありませんので、型番だけジーメンス風に変えたのかもしれません。

 また、ユニットを支えるフレームも8代目と9代目は異なります。8代目は初代〜7代目と同じ直方体、9代目のみ後方が絞ってある台形のフレームになりました。
 「オイロダインを何台か放射状に並べて使うため台形にした」と書いたものを見ましたが、オイロダインはバッフルが無ければ成立しませんので、この見解はどうでしょうか。

 なお10代目(1977年〜1983年)はフレームが簡略化されました。ウーハーが22cmフェライト3発に変更、軽量化されたので、そのマグネット部を保持する必要が無くなった為でしょう。
 ドライバーはバッフル面から吊り金具にて引っ張って保持されていますが、9代目までと比べると、視覚的な安定感はイマイチですね。

 さて、私の手に入れたオイロダインはウーハー、ドライバー共にアルニコマグネット、大型ドライバー、アルミ鋳物ホーンで直方体型フレーム。ですからエンブレムの表示通り、KL-L439(第8代目)で間違いないと思います。

 8代目も厳密にいうと3モデルあるそうです。ホーンスロートにくびれがあり、音響レンズの無いものが1954〜56年のモデル。くびれがあり音響レンズのあるものが1957年〜59年のモデル。くびれが無く音響レンズのあるものが60年〜64年のモデルらしいです。
 落札品のホーンスロートの形にはくびれが有り、音響レンズが付属していないので1954〜56年のモデルと推測されます。

 フレーム裏のエンブレムに表記してあるFab.Nr.は240210です。最初から二ケタ目の数字は製造年月日を表すそうなので、このオイロダインは1954年制、8代目オイロダイン初期モデルの中でも初年度に生産されたものだと思われます。
 私は1958年生まれなので、このオイロダインは私より少しお姉さん(スピーカーはドイツ語では女性名詞だそうです)ですね。いろいろ教えてもらっちゃいましょうw
https://91683924.at.webry.info/201510/article_7.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その6)
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 落札したオイロダインの薀蓄・Part2.
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 (ウーハーの後部です。私の機材はマグネットに直接KL-L406とプリントしてありますがKlangfilm KL-L406のステッカーが貼付してあるモデルもあるようです。それにしても、何とまあ太いボルト・ナットでウーハーを固定してあるのでしょう。)

 古い物ほど有難がるのがヴィンテージ・オーディオマニアの悪い癖ですが、この悪癖に沿うと、私が手に入れたオイロダインはアルニコ型では最もクラシックなモデルですから、ナカナカの物ではないかとw
 日本で一番多く残っているのは1965年から1976年まで生産されたジーメンス時代の第9代モデル、小型ドライバーに樹脂製ホーンのオイロダインだと思いますので、大型ドライバーでアルミ鋳物ホーンの8代目モデル初期型は、少しは幅が聴くかもしれませんね。

 なお最後期、10代目となった1977年モデルのオイロダインは、ウーハーにコアキシャル・ユニット(C72233-A10-A7)のウーハー部分(C71233-A4-A3)を流用し、これを1台当たり3発用いた3ウーファー、1ドライバーのタイプになります。
 ウーハーが38cm一発から22cm(25cm)三発に変更され、そのマグネットもアルニコからフェライトになった為でしょうか、昔も今もあまり人気がありません。ワイドアングルを長く聴いてきた私としては、音は良さそうな気がするのですが。

 やはりオイロダインのウーハーは、樹脂を含浸させた紙の蝶型ダンパー、ストレートコーン、フィックスドエッジの14or15インチ、マグネットはせめてアルニコでなければ「らしくない」からでしょうね。  
 でも繰り返しになりますが、音は良いと思うけど、10代目。ワイドアングルの低域は男らしいゴツイ音で見事なものでしたよ。ハードバップ・ジャズを聴いても、ワーグナーの楽劇を鳴らしても、そりゃあ凄かったです。
 ベンプレ親父はオーディオ・マエストロで、2m×2mの平面バッフルに取り付けたワイドアングルの鳴らすウェーバー「魔弾の射手」の「狼谷」の部分を聴いて、そのドラマチックな響きに仰天し、即買いしましたから。

 ところで、肝心の私の8代目オイロダインKL-L439、どこからやって来たのでしょう。
私の前のオーナーは都内在住のマニア氏と聞きますが、日本の輸入代理店経由のものは9代目からですので、元はドイツ、若しくはクラングフィルムのテリトリーの国で使われていた物でしょう。
 日本以外では家庭に導入された形跡はありませんので、映画館、劇場、公会堂などで使用されていたブツの筈です。1本だけ単独で流通してきたものですから、映画館で使われていた物だと私は予想しています。

 モノラル音響時代の映画館は、スクリーンバックに1本だけスピーカーを置いてあったそうです。立体音響時代になるとその左右に2本のスピーカーを置き、3本で再生していました。
 従って、映画館から放出されるスピーカーは1本または3本(大きな映画館では5本)、奇数となります。
 そのため映画館からの放出物はステレオペアを組んだ後も1本だけスピーカーが残るのです。

 映画音響は1940年のディズニー映画「ファンタジア」から立体音響がスタートしたそうですが、音響を重視しない作品はその後も長くモノラル音声で製作されており、名画座、成人映画専門館(うーむ、どちらも死語になりつつある)は最後までモノラル音響でした。
 ドイツの古い名画座のスクリーンバックに1本だけ鎮座していた物だったら嬉しいですね、私のオイロダイン。「会議は踊る」や「嘆きの天使」の音響を再生していたのかもしれません。

 まてよ、成人映画専門館のものだったら、それはそれで嬉しいかもw

P.S.1.
 私が中学生の頃大ヒットした成人映画、「女子学生マル秘レポート」は西ドイツの洋ピン(ありゃ、これも死語だ)でした。あのころは町の電柱におっぱい丸出しの成人映画ポスターが普通に立て掛けてありましたね。なんだか社会全体が緩くて、管理されてなかった。
 あの頃が懐かしいですね。

P.S.2.
 コレ書いた後、深夜特有のノリで、「女子学生マル秘レポート」の3枚組DVD、ポチってしまいました。1971年(9代目オイロダインの時代)の封切りですが、届いたDVDは予想通りモノラル録音。
 早速私のオイロダインで再生、ドイツの成人映画専門館の暗がりに潜り込んだ気分で楽しかったです。

 でも解説によりますと、この映画、ドキュメンタリーの触れ込みながら、女子学生は出演していないそうです。女優さんは16歳から19歳のデパートの店員さんを安いギャラでかき集めて女子学生に仕立て上げ、テキトーに脱がせてるとか。ダマシですね。
 まあ、セリフや演技はほとんど意味がない映画だから、これで良いのかも。デパガはデパガで、なんだか別な感興をそそるというか、別な商品価値がありますよね。
 また脱線しちゃいました。暴言多謝w
https://91683924.at.webry.info/201510/article_8.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その7)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_9.html

 オイロダイン・マグネットの謎
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 (ホーンドライバー、KL-L302の巨大なマグネットカバーです。クラングフィルムのエンブレムがカッコイイですね。このエンブレムの製造番号も二ケタ目が4ですから、やはり1954年製造のドライバーだと思います。
 本体のフレームに張り付けてあるエンブレムも1954年製を示唆してありますので、ドライバーの交換はなされていない筈です)

 オイロダイン8代目と9代目は同じKL-L406ウーハーですのでドライバーに要求される能率は同一だとおもいます。マグネットの材質も同じアルニコ、加えてドライバーの振動板も同じものです。なのに何故8代目ドライバーのマグネットは、9代目より随分と大きいのでしょうか。

 当初、本来は能率の高い8代目ドライバーの音量を、抵抗で大幅に落としてあるのではと考えました。
 オイロダインのネットワークにはアッテネーターが無く、8代目は巻線抵抗で、9代目は酸化金属皮膜抵抗(見た目での推測)で出力を減衰させてあり、システムの能率を104db/w・mにしています。ですから8代目ネットワークの抵抗値は、9代目の抵抗値より大きいのではないかと。

 しかし、少なくとも8代目は抵抗で落としてある音量はわずかの様です。
 それというのも、後日マルチアンプで実験してみたのですが、KL-L302ドライバーへの入力レベルは、ウーハーのKL-L406と同じでバランスしましたから。

 そうすると8代目のマグネットは9代目の物より大きさ当たりの磁力が弱く、性能が劣るという事でしょう。

 付け加えますと私のKL-L302、アッテネーターの無いオリジナル・ネットワークのままでウーハーのKL-L406と能率が合っていますので、減磁してはいません。
 管球王国の記事には「オイロダインの減磁している物は見た事が無い」とありましたが、マグネットの保磁力が優秀だというよりも、ユニットが鋼鉄のフレームで覆われているため、マグネットに機械的衝撃が与えられないためではないかと私は思っています。

 それにしても、8代目が発表された1954年といえば、アメリカではアルテック288(1941年発表)、JBL375(1954年発表)、イギリスでもバイタボックスS2(1940年代後半?)などの能率110db/w・m以上の高性能ドライバーが普通に出回っており、アルニコマグネットの性能は既にプラトーに達していた時期です。
 能率104db/w・mのオイロダイン8代目モデルがこれほど大きなマグネットを必要としたのも、そのマグネットが1965年まで変更されずに使用されたのも不思議です。

 8代目オイロダインのドライバーはアルテック288、JBL 375より一回り、バイタボックスS2より二回りも大きく、38cmウーファーであるKL-L406のマグネット部分ほどもある異形のモデルで、「YL音響かっ!」と突っ込みたくなるほど巨大なのですが、ボイスコイルの直径は65mmに過ぎず、71mmの288、76mmのS2、102mmの375よりも実は小さいのです。この程度の振動板ならアルテック802ドライバー(ボイスコイル径44mm)のマグネットより少し大きなマグネットで充分性能が出せると思うのですが。

 世界に冠たる工業国、ドイツのマグネットが1965年まで性能が低かったとは、どうも腑に落ちません。
もっともドライバーの能率はマグネットの磁力だけではなく、振動板の重量やギャップの広さでも変わりますから、マグネットに全責任を負わせるわけにはいきません。
 アルテックやJBLのドライバーのボイスコイルがアルミなのに対し、クラングフィルムのドライバーは銅線なので振動板がやや重いのかもしれませんね。

 実はオイロダインのマグネットに関しては他にも不思議なところがあります。8代目が発表される1954年まで、即ち1945年〜1953年までは古色蒼然たるフィールド型だったという事です。
1 928年発表のオイロッパ、1935年発表のオイロッパ・ユニア・クラルトンなら当然ですが、戦後のモデルであるオイロダインが長い間フィールド型であったのは、どうも解せません。

 ドイツは敗戦国なので、終戦直後はレアメタル(アルニコマグネットにはコバルトが必要)を手に入れ難かったのでしょうか。それでフィールド型を採用し、良い結果が出たので1954年まで使い続けたのかもしれませんね。 
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その8)
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 オイロダイン・ドライバー振動板のスペアをGet !!
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 (ビンテージ・ショップから入手したオイロダイン・ドライバーのスペア振動板2枚組です)

 私が落札したオイロダイン、ワケアリ品にて安く出ていた物ですが、先に書いたようにワケとはドライバーの振動板が一部劣化しており(薄くなって穴が開きかけている)アルミ箔で補修してある事です。

 オークション出品者・川崎のマニア氏の話では、聴いた限り問題はなさそうとの事でしたが、振動板が割れたらさすがにオシャカです。何とかならないかなぁとネットサーフィンをしていましたら、ビンテージ・ショップでオイロダイン振動板のスペア2枚組なるブツを見つけました。

 ショップに電話すると、「いつの時代のオイロダインのドライバーに合うのかわからない」とエラク心細いと言うか、正直な対応でした。しかし管球王国65号の小林氏の連載によりますと、オイロダインのドライバー振動板はフィールドコイル時代からアルニコ後期まで同じものらしいです。

 値段は安くはありませんでしたが、コレを逃したらもう手に入らないかもしれません。しかしながらオイロダインを落札した時点で貯金ゼロ。矢も楯もたまらずベンプレ妻を拝み倒して購入させてもらいました。

 写真は手に入れた振動板です。型番を見ますとC70246-A56-36となっており、第9代目か10代目、ジーメンス・オイロダイン時代のパーツだと思います。しかし先の様に、オイロダイン振動板は全モデル同一なのでこれでOKです。
 念のためこの振動板のボイスコイル径を実測してみましたが直径65mm、確かに8代目までのドライバーと同じサイズでした。

 当然、補修パーツは9代目、10代目が生産されていた1965〜1982年のどこかの時点で製作されたものでしょう。私の8代目・初期型オイロダインは1954年の生産と思われますが、万一この振動板が破損したら、今回手に入れた振動板に入れ替えですね。

 この振動板はバージンパーツ、加えて高齢バージン(33歳〜50歳、おそらく40歳代)なので、ブレイク・インには手間ヒマかかりそうですが、彼女が良い声で鳴きはじめる(泣きはじめる?)まで調教するのも、ジジイとしては乙な気もしますなw

 まてよ、敵娼は800人の聴衆を前に朗々とアリアを歌いあげる猛女、きっとビルギット・ニルソンみたいな感じかな?
 これじゃ調教が進む前に、カヨワイ私が息切れして死んじまうでしょうなw

この記事へのコメント
ナカ
2016年04月06日 16:51
こんにちは、初めましてオイロダインのドライバー手にいれたのですね、こちらのは穴があきながらそのまま使用してます穴径1.5mm位、ウファーも蝶ダンパー切れて小林さんに接着していただきましたが音に影響がでて悩んでます
ベンプレ親父
2016年04月06日 20:20
ナカ様、コメント有難う御座います。

当方のオイロダイン振動板はひとまず修理してあり、音も当面、大丈夫な様です。
スペア振動板、2枚ありますが、1枚確保してあれば私の寿命が尽きるまで持つと思いますので1枚ならお譲りしても良いです。
シーメンスのオイロダインの保守部品なので、シーメンスにはまずOKと思いますが、クラングフィルムのオイロダインにシッカリ合うかどうかは確認できていません。

もし必要ならkojoh@pearl.ocn.ne.jpまでメール下さい。
ナカ
2016年04月20日 15:46
コメント気づかなく、遅れました

ダイアフラムの型番型番C70246-A56-36はKLL303に合うタイプのようですが、当方KLL302
型なので合わないようです残念です。

なにしろ古いSPなのでメンテが大変ですが
キレの良さは抜群かと思ってます。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_10.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その9)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_11.html

 オイロダインKL-L439、ベンプレ亭書斎にて第一声を
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 (38cmウーハー、KL-L406です。残念ながらオリジナルの布カバーは付いていませんでした。
クラングフィルムのウーハーはセンターキャップが無いため、磁気回路にゴミが入らない様にユニット全体を布で覆っていたそうです。しかしオイロダインのバッフルはウーハー開口部に細かい金網が取り付けられていますので、家庭で使用するならそこまで神経質にならなくても大丈夫では。もっとも裏側からも鉄粉が入る場合もあるそうですが・・・

 音のために布どころか金網まで取り払って使用されている方もおられますし、ゴミに関しては数年おきに分解掃除すれば良いとの話もありますので、音に変化を感じない限りこのまま行きます。
 私が生きていて、耳がまだしっかりしていれば、5年後、2020年にでも分解掃除を頼みましょう。

 それにしてもカッコイイですなぁ、KL-L406)

 2015年8月29日(土)、遠路はるばる兵庫県赤穂市から神奈川県川崎市まで小雨そぼ降る中、オイロダインを車で引き取りに行きました。
 私は27日、28日と東京で仕事でしたので新幹線で移動しておき、人を頼んでエルグランドを川崎まで乗って来てもらい、オイロダインを積み込んで一緒に帰るという算段です。

 余談ですが、車をもって来てくれた30年来のトレーニング仲間ですが、ナント彼女も車に乗せて来ましたよ。彼女はピクニックの様にお菓子や飲み物を車にイッパイ持ち込んで。まあ、遅い夏休みの旅行でしょうかw
でもこんな事に付き合わせるとは、彼女さんも気の毒ですね。

 AM10:00、オイロダインを譲っていただけるマニア氏亭に到着。早速オイロダインと対面しました。間違いなくKL-L439、写真で見た以上にユニット、ネットワーク、フレーム、バッフルともにキレイです。
 マニア氏は親切な人で、オイロダインで2曲ほど聴かせてくれました。
 一曲は小編成のクラシック、もう一曲はポップスのボーカルです。

 かつて聴いていたワイドアングルを更に強靭に、辛口にした音で、実に張りのある明快な音です。バッフルは無いのですが、この二曲を聴く限りでは曲趣を味わうのに何の問題もありませんでした。
 アンプは6AR6のP.P.を使用されていました。「やはり真空管が合う」との事でした。

 このオイロダインは都内にお住いの方が手放したもので、マニア氏はオークションの代理出品を依頼されていたそうです。手放す前に御殿場のベテランマニア氏のオーディオルームに運び込んで、一夜限りの「サヨナラ演奏会」をお仲間でやったとか。
 「大事に使います」とお約束し、マニア氏亭を早々に辞し、東名高速道路に乗り入れました。赤穂までは約8時間の行程です。

 PM7:30にベンプレ亭書斎に搬入完了、アンプは普段バイタボックス・バスビンのツィーターをドライブしている是枝アンプ、EL84・P.P.をひとまず繋ぎました。

 第一声はモノラルLP、ミルト・ジャクソンの「バグスグルーブ」から。いきなり力感みなぎる、切れ味抜群のモダンジャズが部屋中に鳴り響きました。
 我が家のオーディオ評論家、ベンプレ妻の感想は、
「あら良い音じゃない。こんなに最初から良い音がするなんて初めてじゃないの?」
 「後ろのゴリラ(アルテックA4のこと。先日までは巨人の棺おけでしたが・・・)が優しい音に聴こえるわね。」

 お褒めの言葉を頂くと同時に、オイロダインは音がキツ目との御示唆も頂きました。
ワイドアングルもそうなのですが、クラングフィルム、ジーメンスのシアタースピーカーにはアッテネーターが無いので、ゴマカシが効きません。今後バッフルを装着したら、その辺りはある程度解決するのではないかと思うのですが。
 頑張ります。

 ベンプレ妻が退室した後、マリア・カラスのモノラルSACD、「トゥーランドット」を鳴らしてみました。この盤は元々たいした録音ではないのですが、曲が好きなので良く聴きます。
 腰の強い、締まった良い音だと思います。これに膨らみやスケール感を付加するのはこれからの使いこなしでしょう。楽しみですね。

P.S.
 深夜オイロダインを眺めながら聴いていますと、凄く不思議な感じがします。この歴史的名機が私の様な者の傍にいて、私の好む音楽を従順に奏でていてくれるなんて。

 これから長い時間をかけ可愛がって、可愛がって、お互いの気が合う様になった頃、オイロダインも私の物になるのでしょう。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_11.html


晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その10)
https://91683924.at.webry.info/201510/article_12.html

 オイロダインはなぜ人気がある?
画像
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 (オイロダインの前面です。バッフル面はL型鉄骨フレームに板材が貼ってあります。この板材、当然合板だと思っていたのですが、実は無垢材でした。
 ホーンの左右に1枚ずつの無垢材、ウーハー部分は流石に巾45cmの大木は使えませんので縦に3分割してあります。合計6枚(ウーハー部分は左右1/3ずつで2枚、中央部は上下が分かれますので板が2枚、計4枚になります)の無垢材でバッフルは構成されています。

 無垢材が貼り合わせてあるので、バッフルをランバーコアと表記する人がいますが、ベンプレ親父は「無垢材」と言い張ります。
 だって、ランバーコアとはもっと幅の狭い木材の小片を継いだものでしょう?
 「幅15cmの無垢材3枚を継いでバッフルとしている」を決定稿としますw

 木の材質は何でしょうか。黒く塗装してあるのでよく判りませんが、松、ラワン、樺(フィンランド・バーチ)ではなさそうです。ドイツで良く使用されるポプラではないかと思うのですが。
 実は、ワイドアングルを使用していた時、家具屋さんが作ってくれた平面バッフルがポプラの合板でしたが、表面の感じが似ています。
 バッフル面が無垢材のスピーカーは珍しいと思います。案外オイロダインの音にはコレが効いているのかもしれませんね)

 さてクラングフィルム、ジーメンスのシアタースピーカーのなかでオイロダインは一番人気だと思います。では人気の秘密は何でしょうか。私なりに以下の4つがポイントではないかと考えます。

@適度なプレミアム感
 オイロッパやオイロッパ・ユニア、ユニア・クラルトン、ビオノールなどはまず入手不可能です。
かといって、ワイドアングルは使用ユニット(22cmコアキシャル)が鉄板フレーム、フェライトマグネット。ユニット単独ではアルテック755Eの様に、壁や天井に埋めて設備のスピーカーに使われる事も有り、少しナンダカナア感が。
 それに対しオイロダインは劇場や映画館以外で使われることはありません。マグネットはフィールド型、またはアルニコで、フレームも鋳物で高級感があります。
 タマは少ないですが、全く出ないわけでもないところも良い感じです。

Aバッフル、エンクロージャーのサイズが案外自由な事。
 本来は2m×2mの平面バッフルに取り付けて使うスピーカーですが、実はオイロダイン、さらに小さいバッフルでも、後面解放箱でもソコソコ鳴らせる様です。家庭で使う場合はバッフルが大き過ぎない方が音が良いという人もいます。
 自宅のオーディオルームに合わせたサイズのバッフル、エンクロージャーを工夫できますので部屋内のおさまりが良い。これは実用上、大切な要素では。

Bメカメカしくリジッドな事
 個人的にはコレが一番ではないかと。古今東西、シアター用、スタジオ用、家庭用にいくつもの「名器」が登場しました。ちょっと指を折るだけでも、ウェスタン・エレクトリック15Aホーン、アルテックVOTTシリーズ、RCAウバンギ、エレボイ・パトリシアン、JBLハーツフィールド、タンノイ・オートグラフ、バイタボックス・バスビン、ジェンセン・インペリアル、クリプシュKBWO、三菱2S-305、etc,etc
 これらのスピーカーにはそれぞれ魅力がありますが、メカメカしくリジッドな事に関してはオイロダインが一番では。
 L型鉄骨のガッチリしたフレーム、巨大なマグネット、そのマグネットをフレームに固定する鉄のアングル、アルミ鋳物の何の飾りもないホーン、クラングフィルムの黒と銀のエンブレム、そして漆黒の塗装。
 まるで兵器の様です。男の子ならだれでもグッと来ちゃいますよね。

Cイメージ通りの音
 この兵器然としたスピーカーから出てくる音が、また強靭で明快で、切れ味抜群。見た目通りの音が出てきます。
 このスピーカーから甘やかな、水も滴るような美音が出てきたら、却ってヘンですね。この剛直さ、凄みはone&only、代替不可能な音です。
 これは惚れちゃいます。
 物理特性もキッチリ抑えてあり、標準バッフルに装着すれば50Hz〜15KHzがフラットに再生され、音楽再生には不足のない事も評価できますね。この数値は当時のアルテックVOTT、バイタボックス・バスビンよりも実は優秀なのです。
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その11)
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 よせばいいのに、またマルチアンプw
画像

 (オイロダインのネットワーク、KL-LZ433(A)です。高域の減衰には巻線抵抗を使ってあり、ウーハー部には15Ω→7.5Ωのマッチングトランスが咬ませてあります。

 このネットワークはビンテージ・ショップで点検済だそうで、コンデンサーの抜けもなく良品だそうです。クロスオーバー周波数は500Hz、12db/octです。ウーハー部のトランスがクセモノですが、それを除けばオーソドックスなネットワークです)

 オイロダインのネットワークは強靭な音、浸透力の強い音を形作る、重要なパーツらしいですが、マルチアンプにしたらどうなるのか。
 まだ裸で鳴らしている段階なので気が早すぎると自分でも思うのですが、思い立つと直ぐにイジリたくなっちゃうのが悪い癖です。

 チャンネルディバイダーは手持ちのエレクトロボイスXEQ-2がそのまま使えます。オイロダインの500Hzクロスは、ウーハーの上の帯域にもドライバーの下の帯域にもキツイとの風評がありますので、減衰スロープが24db/octとネットワークより急峻なXEQ-2は好都合かもしれません。
 パワーアンプはやはり手持ちの是枝アンプ、6550P.P.モノラル2台がそのまま使えます。
 という事で、オソルオソル実験しちゃいました。

 マルチアンプは言うまでもなくユニットとパワーアンプが直結ですので、アンプが暴走したらユニットを一瞬で壊してしまう事もある代物です。ビンテージ物でヤルのは怖いのですが、私は壊れたら寿命、壊れたら運命と思う事にして、バスビンもA4もマルチアンプで鳴らしています。
 アンプは真空管式でトランス出力ですからOTLのトランジスタアンプを用いたマルチアンプシステムよりは多少安全ではありますが、まあ、賢い人はやりませんね。その点、私はアホに加えて老い先短いのでやりますよw。

 KL-L406ウーハー、KL-L302ドライバーは共にユニットにターミナルが無く、細い線が直接引き出してあります。 線の先には小さな圧着端子が付いていますので、オイロダインのフレームに手持ちの端子台を建築用両面テープ(強力です!)と結束バンドで取り付け、これを中継端子として配線しました。端子数は4個で足りるのですが、手持ちの物は8個も端子が有り、チョイ大げさでしたね。

 オイロダインの時代性を考えるとスピーカーコードも太い物は不自然ですが、手持ちのケーブルは案外太い物ばかり。妥協してベルデン8477(12GA、メッキ線)を繋いでおきました。ドイツのスピーカーにアメリカ製のベルデンはナニでしょうが、どちらも業務用ですのでコレで良い事にしました。

 マルチアンプはパワーアンプの入力感度をユニットに合わせて絞らなければS/N比が悪くなるのですが、幸いプリアンプも含め、是枝アンプはS/N比が十分取れているので入力ボリューム無しの6550P.P.が問題なく使用できました。

 E.V. XEQ-2は500Hzクロスオーバー、減衰スロープは24db/oct、正相接続、高域レベルは全開、高域のタイムディレイは1msでバランスが取れました。

 さて、音はどうか。オイロダインの「強靭な音、浸透力の強い音はネットワークの関与が大きい」との通説は・・・ウソです。
 マルチアンプにしたら益々音が鮮明になり、より「強靭、浸透力の強い」音になっちゃいました。

 マルチアンプにしたら大抵は音のエッジが立ってきますので、予想通りと言えば予想通りですが、それにしてもエッジが立ち過ぎかもしれません。昔、ステレオサウンドで故・長島達夫氏が、生涯愛したジェンセンG610Bの自宅での第一声を「怪鳥の叫び」、「耳から血が出る」と評されましたが、ややその様な傾向が出てきてしまいました。

 最近の愛聴盤、イザベル・ファウストの「バッハ無伴奏パルティータ第二番」なんか、音量を絞らないと聴くのがつらいです。
 しかし、フッシャー・ディースカウの「冬の旅」となると、急にサエが出て来て実に素晴らしい。これぞドイツ・リートと聴き惚れてしまいます。
 ジャズも良いです。最近エソテリックから出たSACD、キャノンボール・アダレイの「枯葉」のホーンセクションの切れ味は特筆ものです。

 バッフルを付けたら低域が伸び、少し聴き易くなる気もしますので、マルチで当分押してみます。というか、もう絶対マルチだね。

P.S.
 マルチアンプにして最初に観た映画はディアナ・タービンの「オーケストラの少女(1937)」。
アメリカ映画ですが、リストの「ハンガリー狂詩曲第二番」、ワーグナーの「ローエングリーン第三幕への前奏曲」なぞがガンガン流れる映画で、オイロダインに似合いそうと思いましたので。もちろんモノラル録音なので、全ての音はオイロダインから発せられます。
 
 ウーム、見事なものですね。これぞドイツのトーキーですなw
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その12)
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 平面バッフルの制作 Part1.
画像
   (一番上の写真が裸のオイロダインのF特、二番目が1.8m×1.8mの平面バッフルに取り付けたオイロダインのF特です。再生周波数60Hz〜15000Hzといったところでしょう。
 裸では150Hz辺りから音圧が低下しますので、オーケストラなどは無理ですが、1.8m四方のバッフルに付ければ60Hzまではフラットに出ます。これならパイプオルガン以外は何でも聴けます。バッフル効果によるのでしょうか、副次的に中域のアバレも抑えられる様です。
標準仕様の2m×2mのバッフルにしたら、50Hz近くまでフラットに出るのでしょう。
 
一番下はBOSE・AWCS-1なるサブウーハーをスタックで付加した物。ワイドレンジシステムの一丁上がりですね)

せっかく手に入れたオイロダイン、いつまでも裸で鳴らしておくわけにはいきません。オイロダインは密閉箱やバスレフで使われる例は無く、平面バッフルが標準仕様、次いで後面解放箱です。クラングフィルムの標準仕様は2m×2mの平面バッフル、上弦が輸入したオイロダインは国産の後面解放箱に入った物が多かったと思います。どちらが良いでしょうか。
 
 使用されている例を見ると、ベテランほど、マニア度の高い人ほど平面バッフルが多い様に思います。かつてオイロダインを後面解放箱で使っておられた三上剛志先生も、平面バッフルに変更されています。作り易さも考慮し、平面バッフルで行く事にしました。

 サイズはどうするか。家庭で使用する場合は、バッフルを大きくし過ぎない方が良いとの説があります。たしかに、部屋に比して大きすぎると設置の自由度が無くなり、音の調整が困難になると思います。
 また、大きなバッフルは共鳴し易く、補強を十分に入れないと付帯音が付くのかもしれません。
 
昔話になりますが、バイタボックス・バスビンを日本で一番多く売った京都の八木音響の八木社長の話では、「バスビンを壁に埋め込んだ人がいたが、壁全体がフカフカ鳴りだして、上手くいかなかった」と言われていました。バッフルは大きければよいだろうと安易に作ると、強度が取れずに苦労する様です。
 
 私のオイロダインを世話してくれた方は、30~40cmのウィングで家庭では十分と言われていました。するとバッフルの幅は120cm前後となります。
画像

 再掲ですが、写真は裸で鳴らしたオイロダインの周波数特性です。150Hzからダラ下がりになっています。音楽を聴く上では、少しトーンコントロールで低域を持ち上げてやれば、十分聴けるレベルですが、ホントに幅120cmの平面バッフルで大丈夫でしょうか。
 映画用センタースピーカーとしてセリフの再生に使うだけなら問題ないですが、モノラル音源のLP、SACDなどもオイロダインで聴きたいと思っていますので、やはり50Hz近い低域再生能力は確保したいところです。
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その13)
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 平面バッフルの制作Part2.
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 (オイロダインを仮設置した塗装前の平面バッフル裏側です。補強桟はお約束通りランダムに。補強桟は4.5cm×6cmの米松ですが、オイロダインが乗る所だけアルテックA4ウィングを作った時の端材の4.5cm×10.5cm米松を使用しました)

 KL-L406ウーハーは50Hzまで再生できるそうですが、50Hzの1/4波長の長さは1.7mです。従って50Hzを再生するにはバッフルサイズは理論上3.4m×3.4m必要です。
 
 最もこれは理論値で、私が以前使用していたワイドアングルは1.8m×1.3mの後面解放したが、実は50Hzまでフラットに再生できていました。やはり一時期使ったハートレイ224HSも1.4m×1m×50cmの後面解放箱で使い、20Hzまでフラットに再生していました。 
 ですから理論値どおりのバッフルサイズは必要ないのでしょうが、やはり此処は2m×2mのバッフルになるべく近付けようと考えました。

 ベンプレ亭書斎ではビジュアル再生時に、西面に置かれた2台のバイタボックス・バスビンの前に184インチのサウンドスクリーンが降りて来ます。そのためセンタースピーカーとしても使用予定のオイロダインの設置場所は、2台のバスビンの間しかありません。
 ここに入るバッフルの最大サイズはどうなるでしょう。二台のバスビンの間隔は約2.4m、従って2m×2mのバッフルが入らないこともありません。しかし、こうすると西面がほぼ全面スピーカーバッフルになってしまい、スピーカーの裏に入り込むことが出来なくなります。

 さらに、バスビンの裏にはサブウーハーのBOSE・AWCS-1が二本設置してありますので、このサブウーハーの音を遮ってしまわないかと気になります。
 スピーカーの裏側に回れるように、またサブウーハーの音の通り道を確保するためにもバッフルの幅は1.8mに決定しました。

 高さはどうしましょう。平面バッフルの低音再生限界はウーハーのセンターから最も近い辺までの距離で決まりますので、1.8mより高くしてもあまり意味がないと思います。
 オリジナルも正方形のバッフルですから、私のバッフルも正方形とし、高さ1.8mで行く事にしました。

 次はスピーカーの取り付け位置です。平面バッフルの場合、ウーハーの中心と、4辺までの距離がすべて違う方が音のディップが分散してよいと言われます。事実、自作品はそうなっている物が多いのですが、今回は上下の辺とウーハー中心までの距離は変えるとして、左右は等距離にしました。伊藤喜多男氏の手になる平面バッフルも、左右の中央にユニットを取り付けていましたし、この方が見た目はバランスが良いです。

 板材はバスビンと同じフィンランド・バーチ18mm厚、補強材はアルテックA4のウィングを作った時に使用し、好結果だった米松角材を主に使いました。
A4のウィングは4.5cm×10.5cmの太い米松角材を補強に使用しましたが、今回は少し控えめに4.5cm×6cmを用いました。

 正直、補強材はもっと細くても良いと思うのですが、昔読んだ池田圭先生のスタジオ(先生は自身のオーディオルームをスタジオと称されていました)の取材記事には、氏が作られた平面バッフルは補強材が太く、裏面を文庫本の本棚にしていると書いてありました。そうなると4.5cm×6cmの補強材でも太いとは言えませんね。

 仕上げ前のバーチ合板は初めて手にしましたが、ラワン合板よりずっと美しく、積層の中の「ス」もなく、極めて上質でした。
 バーチ材は「米屋材木店」から切り出してもらったものを購入しましたが、極めて精度が良くて感心しました。搬送も養生に気を使ってあり、カドの痛みも全くありませんでした。
 スピーカーやラックを作られる方にはお薦めのお店です。
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その14)
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 平面バッフルの制作Part3.
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 (自作した平面バッフル、塗装前の仮組の状態です。写真ではわかり難いですが、上の桟にマルカンを二つ取り付けました。後日壁にアンカーを打ってもらい、マルカンと鎖で結んで地震時の転倒防止を図る算段です)

 バッフルは当初3分割、オイロダインが付く中央のバッフルを90cm×180cmとし、その左右に45cm×180cmのウィング(バッフルの延長)を取り付ける事にしました。
 使用したバーチ合板はヨンパチなので中央バッフルの幅は120cmまで可能でしたが、完成時はウィングとの継ぎ目が判るでしょうから、その継ぎ目の位置が不自然にならない様に、幅は90cmに留めました。
 ウィングと中央バッフルはボルト・ナットで締めるだけでなく接着剤も使用し、180cm×180cmの一枚物の平面バッフルにしました。
 この方がバッフル板は多少ともリジッドになりますし、一度組み上げたバッフルはバラす事は無いと思いますので。

 バッフルへのオイロダインの取り付け位置ですが、映画再生時にスクリーンのフレームがスピーカーユニットに掛からない様に、ある程度バスビンの中高域、高域の音源位置にオイロダインのドライバーの高さが近付く様に、そして見た目のバランスが取れる様に、底辺から44cm〜126cmの位置にオイロダインを取り付けるようにしました。

 鉄骨フレームに取り付けられたオイロダインは40kg以上の重量があります。従って、バッフルにオイロダインを取り付けただけでは、バッフルがオイロダインの重さに耐えきれず強度が足りません。
 そのため、まずオイロダインを乗せる丈夫な台を中央のバッフル板と一体に作り、中央バッフルに左右のウィングを固定しました。

 オイロダインを乗せる台に4個、左右に張り出したウィングには2個ずつ、合計8個の家具スベールを取り付け、移動が楽になるよう工夫しました。

 塗装前の写真を見てお分かりの様に、やはり素人大工、中央バッフルとウィングには多少歪がありますが、まあこれも「味」という事でw

 塗装は黒しか考えられませんが、塗料は一般的な水性塗料ではなく、18L売りの墨汁を使用、ローラーと刷毛で塗りました。
 墨汁を選んだのには理由があります。30年ほど前に導入したバスビンも同じく黒い塗装なのですが、10年ほど経つと表面に薄っすらと白いシミの様な物が浮いてきました。塗装の劣化か、カビのような物だったかもしれません。その時、濡れ雑巾でシミを丁寧に拭き取り、防虫・防カビ効果を期待して墨汁を塗ってみました。
 色合いも美しく、仕上がりも文句なし。さらに以来20年、全く塗装面の劣化を認めません。その後は、ちょっとした木製の小物に塗装をするときは墨汁を使っています。

 墨汁の黒は、よく見るとツヤがあるのですがテカリがなく、品の良い黒だと思います。屋外で使うには問題があるでしょうが、屋内使用なら私はコレが一番だと思います。
 ただし墨汁はビスの頭には塗れませんので、手間ですが金属部分はツヤ消しのアクリル塗料でタッチアップしました。

 オイロダインのバッフルにはジーメンス、またはジーメンス・ウンド・ハルスケのエンブレムが貼られているのを見かけます。これらのエンブレムは、ヤフオクでアラートをかけておくとたまに出てきます。
 以前使っていたワイドアングルにはヤフオクでgetしたジーメンス・ウンド・ハルスケのエンブレムを貼り付けていました。

 しかし今回はジーメンスではなくクラングフィルムです。さすがにクラングフィルムのエンブレムはオークションに出てこないでしょう。ジーメンスのエンブレムを貼ると9代目オイロダインと間違われ、値打ちが下がる気がします。

 こうなったら毒食わば皿まで、ネットで拾ったクラングフィルムのロゴをアルミ板にシルクスクリーン焼き付け塗装してもらい、エンブレムを作ってしまいました。
 もう解散した会社ですから、®の事は目を瞑って下さいねw
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晴耕雨聴 2015年10月11日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)導入記(その15)
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 ついに完成です
画像
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 オーディオブログの長いヤツを書いてしまいましたのでご容赦w

 (完成し、バスビンの間に収まったオイロダイン+平面バッフルです。中央バッフルの外側下部に鉄製のハンドルを取り付け、移動時の手掛かりにすると同時に、万一前側に転倒した場合のスピーカー保護部材としました。
下の写真はデッチ上げたクラングフィルムのエンブレム、オイロダインの上方中央に貼ってみました)

 昨年作ったアルテックA4のウィング製作が大変でしたので、今回も覚悟していましたが意外に簡単でした。土日1回で工作は完成、次の土曜に塗装、作業期間は3日で済みました。
 アルテック製作時はベンプレ息子にかなり手伝ってもらいましたが、今回はオイロダインを台座の上に設置するとき手を貸してもらったくらいで、殆ど一人で作業終了となりました。

 アルテックA4のウィングは213cm×61cm×1.8cmに2本の腕木を付けたものを4枚でしたが、今回は180cm×180cm×1.8cmのバッフル1枚。板材の総面積は60%位ですし、補強桟も4.5cm×10.5cmから4.5cm×6cmと細径化しましたので、一つ一つの部材が小さくて軽いのが助かりました。
 また、同じものを何枚も作るのは素人には精神的にキツイのですが、今回は一品製作なので飽きませんでした。

 塗装完了後、オイロダインをバッフルに取り付けましたが、オイロダインのバッフル取り付け穴の四隅に少し隙間が出来るので、巾4cm、厚さ1mmの鉛テープを裏から貼り付け塞ぎました。
 また高域ホーンとオイロダイン本体に組み込まれている無垢材バッフルの間に、わずかに隙間が有る事が判りましたので、ここも同様に鉛テープで塞ぎました。

で は試聴記を。ソースはSACD、プレーヤーはラックス Du08、プリは是枝ラボ、チャンデバはエレボイのXEQ2、パワーは是枝ラボ6550P.P.です。

1.バッハ・ゴールドベルク変奏曲(G.グールド、ステレオサウンド社・ガラスCD)
 言わずと知れた名演奏です。クールな音のグールドのピアノがそのままクールに表現され、聴き応えがあります。透明感には特に優れると思いました。

2.リヒャルト・シュトラウス 歌曲ROTE ROSEN(Camilla Tilling、BIS・SACD)
 甘くふくよかな声のカミラの声が少し硬質に聴こえます。ハイを切って、良質なツィーターを繋ぐ方法もあるでしょうが、そうすると隈取の濃いオイロダインらしさが消えるような気がします。

3.ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」(ショルティ、ウィーンフィル、DECCA、エソテリック&ステレオサウンドのSACD)
 明瞭でエッジの効いたオケと声楽です。正直、張った声の部分ではキツさも感じますが、それも快感です。これはもう一本オイロダインを入れてステレオで聴きたくなりますね。

4.クールストラッティン(ソニー・クラーク ブルーノート&エソテリック・SACD)
 予想通り出だしのホーンからバッチリ決まりました。ドイツはジャズも盛んだそうですが、オイロダインの硬質な音が嵌まります。素晴らしいです。

次にビジュアルのセンタースピーカーとしての音を確認しました。Blu-rayプレーヤーはパイオニアのBDP-LX88、AVプリはマッキンのMSD4です。

1.レッドオクトーバーを追え(パラマウント・Blue-ray)
 冒頭のロシア語の男声合唱に、ショーン・コネリー等のセリフが重なる所が聴き物です。大変厚みのあるロシアの合唱らしい声です。ドイツの男声合唱も聴きたくなりました。「バルジ大作戦」のパンツァー・カイルなんかどうでしょう。

2.アトランティス(パイオニアLDC・DVD)
 これも冒頭の男性ナレーションに都会の騒音が重なるところを使用。作り込んだ声ですが迫力十分。これも聴かせますね。音声は英語ですが、いかにもトーキーサウンド。映画館のイメージが湧きます。

 以上、オイロダインは当初(ノーバッフル時)の印象通り構成の確かな骨太の音です。滑舌が良く、力感みなぎる音です。しかし甘さ、ニュアンスではあと一歩かもしれません。
 音を遠くに飛ばし、大観衆に明瞭に情報を伝え、映画に満足して帰ってもらうために、クラングフィルムはこの音を選択したのでしょう。
 正直、「ハイファイ」という点では一歩譲る音ですが、如何にも聴き応えがある、所謂トーキーサウンドです。伊藤喜多男先生の言われる「木戸銭の取れる音」だと思います。

 但し、このゴツイ音の印象はスピーカーが一本だけの場合で、ステレオ再生では多少違ってくるかもしれません。同一信号を複数のスピーカーで再生すると、柔らかく聴こえます。バイオリンのユニゾンも、AKB48の歌も、それぞれバイオリン一丁や独唱より膨らみが出てきますよね。

 今後パワーアンプをヨーロッパ系の出力管を使ったアンプに変えたいと思います。金欠病の時にテレフンケンV69b(F2a11のP.P.)を売り払ったのが悔やまれますね。

 これで英バイタボックス、米アルテック、独クラングフィルムのシアタースピーカーが揃い踏みしました。まだまだ遊べそうですから、もう少し生きていようかなと思いますw

 もしこの長文、駄文におつきあいして下さった方がおられましたら、深謝いたします。

この記事へのコメント
mambo
2015年10月11日 21:50
ベンプレ親父さま

こんばんは

いつかないつかな? と楽しみにしておりましたら、
な、なんと怒涛の15コマ
一気に読ませていただきました。
どこかの雑誌の投稿記事でも行けるんじゃあないでしょうか?

私が聴いたことがあるのは長野の方がお持ちのオイロパで、強靭さを感じる音量まで出ていなかったのかも知れませんんね。

是非お聴かせいただきたいです。
お疲れ様でした。
ベンプレ親父
2015年10月12日 13:16
mambo様、コメント有難う御座います。

オイロッパは長野にあるのですか。一度聴いてみたいです。
ウチのオイロダインはお聴かせする程のものではないと思いますが、いつでもご連絡ください。
良い音か否かは判りませんが、特徴ある音なのは確かそうですw
https://91683924.at.webry.info/201510/article_17.html


晴耕雨聴 2015年10月14日
Klangfilm Eurodyn(クラングフィルム・オイロダイン)続報
https://91683924.at.webry.info/201510/article_19.html

画像
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/144504579920080554179.jpg.html

 オイロダインの続報です。上の写真の様に壁にアンカーボルトを打ってもらい、オイロダイン・バッフルに取り付けた丸環と鎖で結びました。これで地震時の転倒対策はバッチリだとおもいます。平面バッフルや後面解放箱は前方に倒れやすいですからね。

 正直、鎖はあまり格好の良いものではありませんが、なんだか昔のプロレスを思い出しました。
 グレート・アントニオという密林から現れた巨漢の怪物というギミックで、暴れださない様に鎖を体に巻き付けて、マネージャーに曳かれてリングに現れるレスラーが居ましたよ。

 まあ、オイロダインはそんな野蛮なスピーカーじゃありませんが、フツーじゃないのもまた事実ですから、これも一種のギミックとして楽しみましょうw

 次にベンプレ妻の提案で、オイロダインをバッフルに固定するトラス・ビスをクロムメッキのビスから黒色メッキのビスに取り換えました。
 銀色ビスもアクセントになるかなと思って選びましたが、完成すると少しくどいですね。黒色メッキに変更して正解でした。

 さてオイロダイン、先週末から今日までヒマがあるとずっと鳴らしっぱです。するとドンドン細かい音が出るようになり、当初のキツさが和らいできました。
 今日なんか、ちょっとエレガントに聴こえますよw

 60年前のスピーカーですが、暫く聴かれておらず、セカンド・バージン状態だったのでしょう。新品程ブレイク・インの時間はかかりませんが、それなりの鳴らし運転は必要だった様です。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_19.html


画像
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/007/144506808190439200177.jpg.html

写真はオイロダインの裏面です。オイロダインをバッフルに取り付けますと四隅にわずかに隙間が出来ますので厚さ1mm、幅4cmの鉛テープで塞ぎました。
 ホーンと無垢材バッフルも左右に細いスリット状の隙間が有る事が判りましたので同様に鉛テープで塞いであります。

 どちらもフレームの鳴き止め、ホーンの鳴き止めにも有効かと思います。
 もっとも、ホーンは鳴き止めし過ぎると音の躍動感が無くなる場合もあるとか。

 まあ、今回は特に問題はなさそうですね。
https://91683924.at.webry.info/201510/article_20.html


晴耕雨聴 2020年03月29日
よせば良いのに、オイロダインにもハートレイ224HSを追加しました
https://91683924.at.webry.info/202003/article_28.html

オーディオ
1.遠景.JPG
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/000/158548157208438588887-thumbnail2.jpg.html

1.アップ.JPG
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/000/158548159047638819446-thumbnail2.jpg.html

 (オイロダインのバッフルと、BOSE AWCS-Tの間に押し込んだハートレイ224HSアルニコ・後面開放箱です。
 サウンドスクリーンの裏に使うので、白いコーン紙が見えては具合が悪いので、こげ茶色のサランネットを付けています。
 遠景では判り難いのでアップも載せました。隙間から顔を出しているのが224HSアルニコです)

 ドルビーアトモスのリアスピーカー、ロンドンWEシステムの低域をハートレイ224HSネオジム2本で補強、ドルビーアトモス天井スピーカー、シーメンス・コアキシャル4本の低域もBOSE AWCS-U2本で補強しました。
 ドルビーアトモス・フロントスピーカーのバスビンは以前よりBOSE AWCS-Tを2本、サブウーハーとしています。

 残るはセンタースピーカーのクラングフィルム・オイロダインです。
 このスピーカーの低域は60Hz位まで伸びており、ダイアローグ中心のセンターチャンネルに、これ以上の低域は無くても良いのですが、毒食わば皿までと此処にもハートレイ224HSアルニコをブチ込んでみる実験をしました。
 こんなバカな事をすると音が悪くなる可能性大ですが、私はバカなのでw

 現在オイロダインはエレクトロボイスXEQ-2を用いて500Hzクロスオーバー、24db/oct減衰カーブで2wayにしてあり、高域、低域ともにアンバランス端子から信号を出し、是枝Lab.のEL60p.p.でドライブしています。
 今回はXEQ-2の低域信号のバランス端子からdbx223xsに信号を入れ、60Hzハイカット、24db/oct減衰の信号を作ってみました。

 ですから低域信号はバランス端子からdbx223xsへ、アンバランス端子からは直接オイロダインの低域用パワーアンプへ入っています。
 dbx223xsはサブウーハへの出力だけが通っており、オイロダインのウーハーに行く信号は通していません。

 一つのchを二分割するだけでも問題があるそうですし、二分割の片方がバランス、もう片方がアンバラではノイズが増えたり、音が歪んだりするかもしれません。
 ダメなら別な方法を考えるという事で、実験を続けました。

 真空管式パワーアンプはもう手持ちが尽きたので、以前天井用スピーカーに使用していた4chパワーアンプ、BOSE 1200Wを使いましょう。
 コレ、結構音が良いです。暖かい音質のアンプです。
 このアンプは25w×4ですが、BTL接続にすると50w×2になります。224HSは許容入力60wですから、BTLの1ch分、50wでOKでしょう。
1.合成.PNG
1.224.PNG
1.オイロ.PNG
 Audio Toolsで測定してみました。
 一番上がオイロダインと224HSを合わせたF特、中央が224HSのみ、一番下がオイロダインのみです。
 極性は逆相で良さそうです。

 この辺でモノラルのCD、デル・モナコの「道化師」の旧盤を聴いてみました。
 オイロダインだけでも堂々たる歌唱で凄いのですが、224HSを組み合わせると空気感が出て臨場感が増します。
 224HSのレベルを上げ過ぎると不自然になりますが、少し付加してやると大変塩梅が宜しい。
 心配していたXEQ-2の低域信号を二つの端子から出力する悪影響も無さそうです。

 どうやらオイロダインにも224HSがサブウーハーとして納まりましたね。
 これでドルビーアトモス9ch全てがサブウーハー付きというドアホウなシステムが出来上がりました。
 まあその、224HS三本、AWCS-U二本が全部無駄にならず良かったです
(^−^)/

 実は現在、バスビンのチャンデバのミッドハイRchに故障があり修理中で、映像ソフトは見られません。
 チャンデバが復帰したら「ゴジラ 怪獣惑星」や「フューリー」でも観てみようかな。
 いや、「アトランティス」の冒頭や「レッドオクトーバーを追え」の冒頭なんかも良いかも。

 ナニ、映像系は「準備万端なれど視聴極小」のベンプレ亭書斎ですが、子供のころカブ・スカウトで「備えよ常に」と習いましたから、これで良いんですよw

 チャンデバはdbx223xsでイケると思いますが、パワーアンプは先で真空管式にしたいですね。何か適当な回路図を拾ってきて、組んじゃいましょう。
 KT88p.p.とか、ごく普通のヤツで良いと思います。

 そうだな、ゴールデンウィークあたりにやっつけられる様に、ボツボツパーツを集めましょうかね。
 確かPT、OPT、CHは40年以上前に組んで、今は使っていないEL34p.p.のヤツがあるはず。これを外して使いましょう、タムラの高級品でしたぞ。
https://91683924.at.webry.info/202003/article_28.html


晴耕雨聴 2020年03月31日
センタースピーカーにもサブウーファーは必要でした
https://91683924.at.webry.info/202003/article_29.html

 先日オイロダインのサブウーハーにハートレイ224HSアルニコを使用開始したことを書きました。
 当初オイロダインの平面バッフルの後ろとバスビン用のBOSE AWCS-Tの間に押し込んでいたのですが、そうするとオイロダインを従来より20p程前に出さないといけません。

 このセッティングではオイロダインのバッフルとバスビンのウイングの間が30p足らずとなり、224HSだけでなくAWCS-Tの音の通り道がやや遮られます。
 それならと、下の写真の様に224HSをオイロダインの前に持ってきました。

IMG_0937.JPG
https://91683924.at.webry.info/upload/detail/013/416/33/N000/000/000/158561612792076283641-thumbnail2.jpg.html

 これなら224HS、AWCS-Tともに音が遮られませんね。
 224HSはオイロダインのバッフルとバスビンのウイングにてバッフル効果が向上して低域の伸びが良くなるかもしれないと期待しましたが…

 224HSの低域は以前のセッティングと大差なく、より伸びるとは行きませんでした。しかし悪くは無いですね。
 位相も逆相で良さそうです。

 バスビン用のチャンデバも修理が出来ましたので、こちらのシステムも鳴らしてみました。特に224HSを設置する前と変化なしですね。224HSは今回の位置でOKですな。

 さてドルビーアトモス天井スピーカーの時にも実験しましたが、センタースピーカーにどのくらい低域信号が入っているのか調べてみました。ソースは今回も「ゴジラ 怪獣惑星」chap.25です。
 1.224HS.PNG
1.オイロ.PNG
 グラフの上が224HSあり、下が無しです。比較するのは青い横棒です。
 グラフの中の赤い棒グラフは部屋の暗騒音で、青い横線がそのchap.で記録された周波数ごとの最大音圧です。
 やはり224HSが無ければ再生できない周波数がソースに沢山入っていますね。センタースピーカーにも専用サブウーハーは意味がある様です。

 ドルビーサラウンド、ドルビーアトモスは鑑賞者が四方八方から音に包まれる臨場感を出すシカケだと思います。
 超低音は方向感が判り難くなるので、センター、リア、天井などは超低音をカットしてフロント2chに回し、フロント2ch以外のスピーカーは小型のもので賄うのだと思っていました。

 しかし実験してみると、家庭用のドルビーアトモスと云えども、フロント2ch以外のchにも躊躇せず超低音を盛り込んでありますね。
 この結果を見ると、家庭でのドルビーアトモス再生のみならず、映画館でもサラウンドスピーカーのF特は不足しているのではないでしょうか。
 過去にサラウンドchやセンターchに低域がどこまで記録されているかのレポートは、雑誌等でも私は気が付きませんでした(HIVIしか読んでないけど)。
 もしかすると民間発信としては本邦第一報かもしれませんな(^−^)/  

 何れにせよ、224HSはAWCS-Tより低域のレンジは広いので、ちょっとモッタイナイくらいの良いサブウーハーですぞw
https://91683924.at.webry.info/202003/article_29.html

晴耕雨聴 2020年04月02日
ハートレー224HSアルニコのパワーアンプを真空管式に変更しました(その1.)
https://91683924.at.webry.info/202004/article_1.html

1.EL34外観.JPG
 (36年前に作ったEL34p.p.三結無帰還アンプを復帰させました)
 
 昨日から新年度、経営者のお正月のようなものですが、入社式もないし経営指針書発表会もないし、全くそんな気がしませんね。
 埼玉の積仁会・旭ヶ丘病院では昨日から電子カルテの稼働が始まりました。
 うーむ、明るい話題はそれくらいですな。

 さて、先日よりクラングフィルム・オイロダインのサブウーハーにハートレイ224HSアルニコを導入しました。
 駆動アンプにはBOSE 1200Wという4chアンプ(25w×4)をブリッジ接続で2ch(50W×2)とし、そのRchを使用しています。

 この古いアンプは、喫茶店やブティックでBOSEの101MMを鳴らすために売られていた半業務用のアンプです(101用のイコライザーが付いています)。
 4chが重宝すると、ドルビーアトモス天井スピーカー4本用にオクで手に入れ、使用していました。
 特に期待していなかったのですが、このアンプ、トランジスタなのにナカナカ暖かな良い音のするアンプです。

 さて、オイロダインのSW、ここだけTr.アンプもナニですし、イメージが合いませんよね。ここは何か適当な真空管アンプを使いたいところです。
 当初、KT88か6550のp.p.で50〜60wくらいのアンプを作って、これに充てるつもりでした。部品集めを始めるにあたって、大昔に作って、今は使っていない真空管アンプのトランス類が使えないかなと、物置から古いヤツを引っ張り出してきました。

 EL34のp.p.です。ステレオサウンドの64号(1982年秋号)、65号(1983年冬号)に上杉佳郎先生が掲載された回路で、20wのオルソン型無帰還アンプです。

 現在、ドルーアトモス天井spの後ろ側の二本が、やはり上杉先生の6CA7オルソン型無帰還アンプ16wです。
 また同じ設計者、同じ出力管、同じ様な無帰還回路じゃつまらないと思っていましたが、実機を見るとナカナカ格好良く作ってますね(自分の事やがなw)。

 中を開けて見ると、配線もキレイです。当時はメッキ単線にエンパイヤチューブで作ってましたから、枝振りが宜しい。線のハーネスも結束バンドで横着せず、ビニールの撚り紐で丁寧にやってあります。

 パーツ類も凝ってます。トランスやチョークは今では手に入らないタムラの高級品。小物もアーレンブラッドレーの抵抗、スプラグの電解コン、カップリングコンなんてビタミンQですぞ。
 真空管も一流品、テレフンケン(ECC82、GZ34)、RCA(5692)、ムラード(EL34)です !!

 配線で気になる所はヒーター線が縒っていないところぐらい。これもメッキ線仕様ならこんな物でしょう。
 塗装は少し劣化していますが、これはこれで貫禄が出てますな。
 コレ使ってみましょう。

 ステサンの64,65号の発売日から類推すると、私がコレを作ったのは恐らく医学部の最終学年、1983年の春以降でしょう。
 医師国家試験の1年前だろ、勉強せーよ、コラ。
https://91683924.at.webry.info/202004/article_1.html

60. 中川隆[-11555] koaQ7Jey 2020年9月01日 17:23:56 : WyT5nCL4pQ : YzlncmJkNllTTWc=[34] 報告
伊藤喜多男といえばWesternの伝道師であり、自作アンプの大家として知られるのだが、


「カートリッジやアンプに凝る前に、まずスピーカーに情熱を叩きつけること、
それからが音に戯れる道が拓けるのである」

「デジタルであろうが、CDであろうがスピーカーが無ければ音にならないという
単純明快な事実を忘れてはならない。アンプはスピーカーを動作させるための
付属品であると思う位スピーカーを吟味する事だ」


と説いている。


「然らば如何なるメーカーのスピーカーが良品か問われても
製品によって異なるので回答することが出来ない」


としながらも、
「シーメンスのオイロダインとロンドン・ウエスターンの5010型システム(低域2080と高域2090)」
この二機種に格別な感情があると汲み取れた。


「狭い部屋で聴くには制限があり、ワイドレンジを求めるならコアキシアルで、
さもなければフルレンジがよい。劇場用のスピーカーは指定された箱に入れなければ
その性能を発揮しないに決まっている」としている。
Siemens Eurodynについて

「想像した以上の逸品である。それまでのスピーカーの音に対するイメージが
まるで狂ってしまう異質な音である。好きになれるものは狂い、
嫌いなものは外方をむく音である。本物の音を出せる音になんて出会わない。
つまり全部が虚構の音であり本物に紛うべく努力しているにすぎない」

「朝は五時半に起きて、正午には終わってしまう寸刻を争う仕事が好きである。
午後からは仕事がなく、好きな事をやれる勝手気儘な商売。遊ぶために働ける
稼業に魅力があった。遊びの方が本意という怪しからぬ魂胆であるのはいまも変わらない。
遊びたいために一所懸命で働くのである」

「ウエスターン・エレクトリックに入ってしまった事を顧みると、
わたしの廻りには専門家でもなく定職を持ってない人達がいかに
多かったことか 〜 専門的な教育を全然受けていない、
遊びに耽る事に邁進する人たちが、この世界を支えていた時代だったのである」

「音に凝り耳が冴え感覚が鋭敏になるほど、追究に励んで正常者と
異常者の分別が付かない人間になる。再生される音ばかりを
聞いていると再生音の比較に没頭して原音を忘却して聴覚が異常になる。
過ぎたるは及ばざるが如し、かもしれないが、限界がどの程度か、
正常と異常の差異ほどいい加減な物はない」

「各人は私がそうであるように自分だけは間違っていないと喚いて暮らしている。
精神異常者が正常者を評価できないのと同様、正常者が異常者を完全に評価できない。
正常者と思っている人間が異常者にされている人の数より多いということに
依存しているだけである」

「死ぬまで生きなければならない辛さ、人の為になっていると思ったら大間違い、

を受けた以上は知らぬ間に他人に迷惑をかけ通している。一人で暮らすのが一番楽しい。

孤独を味わうなどという雅なことではない。気兼をしない生活、人の顔色を覗わないで

済む日常生活は巨万の富より、美妓に囲まれる宴より私にとっては天国である。

そして美食(高価な料理ではない)だけは一生続けたい。それは独りで行える行動で

友を必要としないからである。よい装置で音楽を聴くのも友を必要としないし、

孤独で聴くのが最高の鑑賞法であるからこそ私の生き甲斐なのである。

大正十四年ラジオ放送開始以来自作に憂き身をやつして来たが未だに飽きない。

ペンチを持ったまま大往生を遂げたい」

Westrex London Acoustilens 20/80
これが究極のヴィンテージスピーカーであるらしい。2016年04月13日

61. 中川隆[-10642] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:48:49 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[34] 報告

超お買い得パワーアンプ : チューブ オーディオ ラボ 6FD7 シングルアンプ 1.8W×2
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/688.html


チューブ・オーディオ・ラボ ドイツ球『RES964』
オーダーアンプ作成『RES964』     ・・・2020/7/27〜【8/21 更新〜終了】
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2020/10/2020_RES964.html


 アンプのオーダーを頂きました。例により作成経過の報告スタイルです。
8/21無事完成の運びとなりました。
1・シャーシ図面
シャーシ図面

2020/07/27
◆ シャーシ図面
 オーダーアンプのシャーシ図面が出来上がりましたので、シャーシ製作を依頼中です。
2・シャーシ
シャーシ

2020/08/08
◆ シャーシ
 シャーシが出来上がって来ました。
トップパネルは1.6mm厚の鋼板で・・・重いモノを載せても大丈夫です。
若干の手直し後は塗装に出せるように・・・と

3・アモルファス
アモルファス


2020/08/14
◆ アモルファス
 思いのほか塗装が早めに出来上がって来ました。
 何時もの黒色・・・では無く暗緑灰色?
 新しい塗装色です、何か・・・新鮮ですネ

 此のアンプの要・・・アモルファスコアのOUTです。
 TSMプロダクツの特注手巻きトランス・・・良いから使うのです。

4・部品取付
部品取付


2020/08/14
◆ 部品取付
 大体の部品が取付終りです。
 トップパネル式は部品が取付け易くて作業性がとても良いです。

5・配線途中
配線途中


2020/08/16
◆ 配線途中
 シャーシの設計段階で周到な部品配置などやりませんので・・・配線をしながら 何処に付ければ邪魔に為らないか等など・・・と考えながらやっています。
後一歩でワイヤー配線が終りです。

6・思案どころ
思案どころ


2020/08/17
◆ 思案どころ
 出力管のバイパスコンデンサーが重なって・・・此で良いと言い聞かせていましたが、 気になってしまい・・・変更します。

7・やり直し
やり直し


2020/08/17
◆ やり直し
 同じキーストン社の1L2P端子が出てきました・・・此で当らずに取り付けられます。
 ヤッパリ・・・スッキリしましたネ

8・調整
調整


2020/08/18
◆ 調整
 何とか調整までこぎ着けました。
 フィラメント電圧を適正値にする作業が思いのほか手こずります。
 抵抗を何種類か用意して・・・其れでも合いませんので、サーミスタと抵抗を組み合わせて・・・ 何とか4Vの電圧が出ました。

9・配線終了
配線終了

2020/08/19
◆ 配線終了
 残暑厳しき中・・・エアコンフル稼働で・・・
 配線が終わりました。
 適正電圧に為るように調整用の抵抗を決めて・・・終了
 ハムバランスを調整・・・高能率のSPでも無音状態です。
 テレフンケンのRES964を使う限りAC点火でも十分なハムレベルに押さえられると思います、 DC点火回路を省略出来ますので、随分回路が簡単になり作りやすく為ると思います。

試聴へと続く・・・

10・DUG
DUG


2020/08/20
◆ エージング
 真空管アンプのエージングには不向きな一番暑い日でした。
 新宿DUGでのライブ録音・・・随分前に伺いましたが、今の状況はコロナで厳しいでしょうね
 暑い日に真空管アンプのエージングは辛いモノが有ります、時間と共に音が締まって来るのが判ります。
 三本吊りフィラメントの964を聴いていると・・・此で十分、高額なRE604は要らないか・・・ナ
11・試聴U
試聴U


2020/08/21
◆ 試聴U
 引き続き仕上げの試聴を繰り返しています。  コンデンサー、トランス等のエージングを兼ねて試聴をしています。
 手持ちの真空管を差し替えて・・・964も色々有るのですが、暑い中探すのも億劫ですので 手近に有ったモノを挿して、整流管は色々出てきましたので動作確認がてら差し替えての試聴です。

12・RES964
RES964


2020/08/21
◆ RES964
 2年前の真空管オーディオフェア撤収の時に、お客様の足も途絶えましたので964アンプと ローサーの組み合わせでガンガン鳴らしました・・・凄い音でしたヨ 整流管もサイドコンタクトのAZ1は、お値段も安いですしメッシュプレートも有りますので、 RES964と共にお勧めです、割と安価にドイツ球の実力を楽しめます。

http://shinkuukan2.web.fc2.com/2020/10/2020_RES964.html

62. 中川隆[-10641] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:50:25 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[35] 報告
チューブ・オーディオ・ラボ
オーダーアンプ作成『ヨーロッパ管RE604』     ・・・2019/12/24〜【完成 2020/5/14】
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2019/17/2019_17.html
アンプのオーダーを頂きました。例により作成経過の報告スタイルです。

 ヨーロッパ管はフィラメント電圧4Vなのですが、6Vの出力管も有るので・・・其れも使える様に・・・ 4V管も電流値が色々ですので、DC点火では電圧調整をレオスタットで・・・厄介ですよね。
4VはAC点火で、6VはDC定電圧で行くことにしました。
1・部品集め
部品集め

2019/12/24
● 部品集め
 今年真空管の大量仕入が有りまして・・・
 資金が枯渇状態で思うように進みませんが、金額の大きい物はそこそこ揃えられて来ました。
トランスとシャーシは共に特注品です・・・今後の展開は順調に推移する事を願って・・・
2・シャーシ
シャーシ

2020/2/12
● シャーシ
 相変わらずの黒色のブツブツ塗装です。
 文字を入れて・・・部品の取付に入りました・・・
塗装の厚さを考慮して穴は大きめに開けています、
前はヤスリがけでしたが・・・知恵が付きました。
3・部品取付
部品取付


2020/3/1
● 部品取付
何しろ切替えSWが多いのです・・・
人間欲張ると碌な事が無い、あの球此の球と色々使いたい・・・
気持は私も同じですが、其の分工作が厄介で時間も掛かります。
4・プレートチョーク
完成


2020/3/3
● プレートチョーク
 前段球のプレート負荷に TSMプロダクトのチョークを使います。
 2個で良いのですが・・・今回は2台分の製作ですので、2倍の時間を費やしています。
 フロント部分のパーツが付きました、ロゴマークを入れる場所が無いので・・・ 切替えSWの下にさりげなく・・・

5・OPT
OPT


2020/3/5
◆ OPT
 出力トランスは20Wアモルファスカットコアです。
 7Kと3.5Kを二次側で切替えますので、8Ω 16Ω 32Ωで巻いて貰いました。
 何かと融通を効かせて貰っていますTSMプロダクトさんに感謝。
 引出線はWEの20ゲージで配線です。

6・部品取付完了
部品取付完了


2020/3/7
◆ 部品取付完了
 重たいトランスの取付が終わりました。
 電源部分が半分を占めます・・・贅沢なWチョーク回路です。
 後は・・・6V回路をもう一工夫オープンコアですので、ボンネットが付きます。

7・配線準備
配線準備


2020/3/27
◆ 配線準備
 手前に有りますのが6Vフィラメント用のACアダプターを固定する金具です。
 最初は結束バンドで縛ろうと思ってましたが・・・
プロの仕事では無いと・・・板金で金具を製作して貰いました。
 配線がゴチャゴチャしてます・・・上手く纏まるでしょうか・・・

8・インピーダンス切替え
インピーダンス切替え


2020/4/8
◆ インピーダンス切替え
 頭の中がゴチャゴチャして・・・配線図だけでは間違いそうなので、 実体図を書いて其れを見ながら配線して・・・と、OUTの3.5Kと7Kの切替えです、 SPの8Ωと16Ωに対応しています。

9・6V管用ACアダプター
6V管用ACアダプター


2020/4/14
◆ 6V管用ACアダプター
 ヨーロッパ6V管用のACアダプターです。
 小型ですので便利です、ダイオード整流では此のスペースに収まらないでしょう・・・
突入電流防止にサーミスタを入れます、厄介な工作が終ったので配線に移ります。

10・
フィラメント電圧切替え


2020/4/19
◆ フィラメント電圧切替え
フィラメントの切替え配線を終えて・・・ホッと一息
 ご覧のように整流管の二個使い、半波の整流管も使える様に・・・ 電源トランスは、3.8V5Aの巻線を出して貰いました、クライアントの要望が複雑さに輪を掛けます。

11・配線途中
配線途中


2020/4/21
◆ 配線途中
 B電源の配線が終わりました。
チョークコイルの上にバイアス抵抗の取付板が付きますので、此処の配線を先に済ませます。
12・配線途中其の2
配線途中其の2


2020/4/25
◆ 配線途中其の2
 バイアス抵抗切替えの配線を残し・・・ほぼワイヤー配線を終えました。
 スッキリ感は無いですが・・・ コンパチアンプで有ることを考えれば致し方ないかな・・・

13・バイアス切替
バイアス切替


2020/4/29
◆ バイアス切替
 いよいよ此のアンプの要・・・バイアス切替えの配線へと移って行きます。
 何しろステレオですので、2回路分の配線が入り組んでいます。
 間違いの無いように行き先に番号を記入して・・・

14・調整
調整


2020/5/6
◆ 調整
 配線が入り組んでますので間違いが無いか・・・ 最初に電源を入れるときは未だにハラハラドキドキです。
 電圧を測定して抵抗値を決めます、何度かやっている内に面倒になりまして・・・ 電流計を入れました・・・RES964で30mAチョット流れています。
 良い感じに仕上がりました。

15・終了
終了


2020/5/9
◆ 終了
 大分手間取りましたが、電圧配分も上手く行きまして終了の運びになりました。
 部品も収まるところに収まった感じです・・・と言ってしまえば簡単ですが、 左下ホーロー抵抗の手持ちが無くて、片道60Kmを高速道路を使って・・・ 何だかんだで結構思い入れの強いアンプと成りました。

16・試聴
試聴


2020/05/09
◆ 試聴
 先ずはRES964から・・・未だエージングが進んでませんので、下の方が膨らみ気味ですが・・・ TSMプロダクトのアモルファスOUTのお陰でしょうか、静かな休日の午後にローサーが歌います・・・
 甘い香りのモカと音楽と・・・至福のひととき
試聴(エージング)もお仕事です。

試聴パートUへ続く

17・試聴パートU
RS289


2020/05/14
17◆ RS289
 此の球は、カソードが赤くなるまで結構時間が掛かりますので・・・ 最初はヒーター断線かと思う位です。
 RS289の音は慣れると此の球で無ければ・・・
弦楽器の音は素晴らしいの一言です。

18・試聴パートU
RE604


2020/05/14
18◆ RE604
 バリューム昇華フィラメントの604です・・・
 流石に銘球! 何を聴いても破綻が有りません。

19・試聴パートU
PX650


2020/05/14
19◆ PX650
 手持ち唯一の6V管です。
かなり古い年代の球ですが・・・とても元気です。
 まだまだエージング不足ですが、角の取れた音で女性ボーカルでの再生では・・・思わずニッコリ

20・試聴パートU
L491D


2020/05/14
20◆ L491D
 私は敬意を込めて魚焼きと呼んでいます。
 此の球ほど見て良し聴いてよしは他に無いのでは・・・と思うくらいです。
 スピード感の有るスッキリとした音は、ブルージーなケニーバレルのギターに合いそう・・・

21・試聴パートU
RGN564


2020/05/14
21◆ RGN564
 半坡整流管ですので2本使いです。
 メッシュプレートですので、フィラメントが透けて見えます。
 良いですね・・・此だから真空管は止められません。

22・試聴パートU
後ろ姿


2020/05/14
22◆ 後ろ姿
 シャーシ内部や裏側など・・・普段見えない所に凝って作っています。
 滅多に見れない裏側です・・・如何でしょうか

23・試聴パートU
全体


2020/05/14
23◆ 全体
 全部ドイツのナス管で揃えて見ました。
 質実剛健の機械と言う感じのアンプが好きなのです・・・
此ばかりは変えられません。

24・試聴パートU
ヒラリー・ハーン


2020/05/14
24◆ ヒラリー・ハーン
 若干17歳のヒラリー・・・カワイイ
今までバッハの無伴奏は色々聴いてきましたが・・・
 参りました。
 ソナタ3番のラルゴ・・・
優しく包み込まれるような音色は絶品です。

 さて、長い間のお付き合いありがとうございました。
 今回のコンパチアンプは複雑な作りこみ・・・
 その分丁寧な仕事を心掛け時間をかけてまいりましたが、ようやく完成の運びとなりました。

 時間を掛けた分、エージングと言う名の試聴に未だ聴きたい真空管は有るのですが・・・
クライアントを何時までも待たせる訳にも行きませんので、此で終了いたします。
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2019/17/2019_17.html

63. 中川隆[-10640] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:51:01 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[36] 報告
チューブ・オーディオ・ラボ
オーダーアンプ作成 その2『ヨーロッパ管コンパチアンプ』   ・・・2020/05/21〜【6/14完成】
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2020/06/2020_06.html
さて、 先日(2020/5/14)完成しましたコンパチアンプ

『ヨーロッパ管RE604』  
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2019/17/2019_17.html


をもう一台作ることになりました。
同一仕様で2台目と言うことになります。

従って、今回の仕上がりは仕様が分かっている分早めの完成となる…予定です。
では、完成までまたお付き合いお願いします。

 ※仕様:ヨーロッパ管フィラメント電圧:4V管=AC点火:6V=DC定電圧
1・配線始め
配線始め

2020/05/21
● 配線始め
 前回と同じコンパチアンプの2台目です。
 前回で試行錯誤を繰り返しましたので、スムースに運びそうです。

2・配線途中
シャーシ

2020/6/3
● 配線途中
 前回と同じアンプですので、割とスムースに進んでいます。
 でも・・・複雑さは変わり有りません・・・

3・配線途中その2
配線途中U


2020/6/9
● 配線途中U
 さて、上の写真と間違い探し!?・・・か…
 CRの取付が終り後は、バイアス抵抗の配線を残すのみと為りました。
4・配線終了
配線終了


2020/6/13
●配線終了  前回のコンパチアンプに変更が有りましたので、配線の様子もチョット変わった箇所が有ります。
 此で配線が終わりました、前回分で電圧配分が上手く行っていますので・・・
後は試聴へと進みます。

5・試聴
試聴


2020/6/14
◆ 試聴  前作のアンプで色々な球を試しましたので、 今回は銘球RE604のバリュームでじっくりと・・・
整流管はRGN2504のブラックメッシュを選びました。
 ローサーが歌うジュリーロンドンのハスキーボイスをツマミに・・・
良い時間が流れています。


 と言うことで、無事に2台目のコンパチアンプが完成致しました。
 同じ仕様で2台目となると、やはり予定より早く進みましたね。
 この調子で、次は新作アンプか・・・

http://shinkuukan2.web.fc2.com/2020/06/2020_06.html

64. 中川隆[-10639] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:52:09 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[37] 報告
オーディオフェア2019に向けて・・・
去年の真空管オーディオフェアで、 RS289プッシュプルアンプを出展致しましたが、
ご購入頂きましたので・・・今回はお値段を抑えて、シングルアンプの製作です。

RS289シングルアンプ     8/21 【更新】
http://shinkuukan2.web.fc2.com/2019/14/RS289_14.html


使用部品

●8/11 使用部品
 アンプの要・・・出力トランスはTSMプロダクト、20Wアモルファスコア。
 ドライバートランスも同じくアモルファスコアで・・・
 RS289との組み合わせで最強のシングルアンプに仕上げたいと思います。

部品取付
●8/13 部品取付
 部品の取付が終わりました。
 オクタルソケットが見当たらず、出てくるまで結構時間が掛かりましたが・・・
穴の修正無しで収まりました。

配線開始
●8/13 配線開始
 ドライバートランスを内蔵する関係で、ある程度の配線を
進めて置かないと後からでは配線が出来ませんので、
今考えるとシャーシ寸法を大きくして、シャーシ上に
取り付けた方がやりやすかったなー・・・

配線途中
●8/17 配線途中
 AC周りの配線が終わりました。
 此処まで進めば・・・半分終わったも同然・・・と上手く行くでしょうか。
 後は、ドライバートランスの組込みへと・・・問題が生じなければ良いのですが。

ドライバートランス
●8/18 ドライバートランス
 ドライバートランスの組込みが終わりました。
 アースポイントがトランスの下側になっていまして・・・
チョット厄介でしたが、何とか無事に収まりました。
 トランスは、10K:40KのDC10mAで巻いて貰いました。
配線終了
●8/19 配線終了
 配線が終わりました。
 何か・・・ギュウーと詰まった感じですね・・・ 本当はスッキリ作りたかったのですが、今後の課題です。

球の実装
●8/19 球の実装
 では球を挿して・・・内部と違ってスッキリしています。
 整流管はムラードでイギリス製を・・・チョット拘ってヨーロッパ球の採用です。

ボンネット
●8/19 ボンネット
 トランスがオープンコアですので、ボンネットが付きます。
 裏返しにしても真空管が当りませんので・・・便利です。
 此処で電圧のチェックと調整を・・・無事に終了です。

エージング
●8/21 エージング
 此のRS289はヒーターの立ち上がりが遅くて電源を入れても球が切れているのでは?・・・と思うほどです。
 暫く・・・ヒーターのエージングです。
上から
●8/21 上から
 ボンネットの上側を空けていますが、其れほど熱くならないので・・・
塞いでも大丈夫みたいです、此の次は後ろ側だけパンチングで仕上げます。

試聴
●8/21 試聴
 久しぶりのRS289・・・2日目位から実力を出してきました。
 スピードが速くて音抜けが良いし・・・上から下まで十分伸びているし・・・
アモルファスOUTのお陰でしょうか、ローサー大喜びです。

 
 エージングも順調、後は10月の真空管オーディオフェア で、実機のご確認いただきご試聴下さい。

http://shinkuukan2.web.fc2.com/2019/14/RS289_14.html

65. 中川隆[-10638] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:53:25 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[38] 報告
チューブオーディオラボ 6AR6 の感想ブログ

Audio miniature garden 2020
http://my-vintage.music.coocan.jp/2020.html

昨年の令和元年はアナログオーディオ中心にこだわりが加速して、3台のプレーヤーに使用するアームが6本にまで増殖することとなった。

使用するカートリッジはこれまでMC型一辺倒だったが、年末に購入したMM型SHURE M44Gのキレのある音色が気に入り、新たな常用カートリッジとして加わった。

またフォノイコにも純正のSHURE M64を組み合わせることでロックなどの曲種で満足感が高まっている。

最も音色に影響のあるスピーカーには、クラシックからロックまで英国Goodmans2機種のSPシステムを使い分けている。

これらの美しい響きを持ったスピーカーに高い駆動力を持った300Bシングルと音楽性の高いUESUGI OLSON TYPEのアンプを組み合わせることで、幅広い曲種を十分満足感の得られる状態で楽しんでいる。

今年もアナログを中心に熟成を進め、心地良い音楽をのんびり楽しむ時間を増やしてゆきたいと考えている。

〈6系統のアナログ入力〉


Nottingham GRACE G-565F + Ortofon MC-30s


Nottingham INTERSPACE-ARM + LYRA Clavis.D.C


Nottingham audio-technica AT-1503II + SHURE M44G


Garrard401 audio-technica AT-1503III + Ortofon Classic-GE


Garrard401 audio-technica AT-1501II + Ortofon MEISTER-GE


Thorens TD126mkIII SME3010RB + Thorens MCH-II

★〈2020年1月現在の我が家のシステム構成〉

Analog

AMP

SPEAKER


player

tone-arm

cartridge

MC-trans

PHONO-EQ

PRI

POWER


Thorens

TD-126 MK III Centennial

SME

3010R/B

Thorens

MCH-II

Ortofon

T-30

Marantz7

SUN

VALLEY

SV-91B

300B

Single

GOODMANS

2WAY

▼▼▼▼

AXIOM 22 MK II

+

TREBAX

Garrard
401

audio-technica

AT-1501 II

Ortofon

SPU

MEISTER GE

Western

Electric

KS-9450

Nottingham

Interspace.Jr

Grace G-565

Ortofon

MC-30

SERIES

EAR 834P

Garrard
401

audio-technica

AT-1503 III

Ortofon

SPU

Classic-GE

J's

No.6600

Chriskit

MARKY

Custom

UESUGI

TAP-31

OLSON

TYPE

NON-NFB

EL34PP

GOODMANS

3WAY

▼▼▼▼

AXIOM 150 MK II

+

MIDAX

+

TREBAX

Nottingham

Interspace.Jr

Interspace arm

LYRA

Clavis D.C

Langevin

408A

Nottingham

Interspace.Jr

audio-technica

AT-1503 II

SHURE

M44G

SHURE

M64

このような構成で幅広く音楽を楽しんでいる。

少し苦手なジャズはディアゴスティーニ/LPコレクションの定期購読を続けていたが、徐々にピンとくるアルバムも少なくなって来たのでNo.59を最後に止めてしまった。

クラシックについてはGoodmans AXIOM22MkIIの2WAYと300Bシングルアンプの組み合わせにより、ほぼ不満のない音色を得られるようになった。

POPS&ROCKはメインアンプをUESUGI EL34PPに入れ替えた後、MM型カートリッジの素晴らしさに目覚めさせられたSHURE M44Gとそれに対応する石のフォノイコライザーを導入することにより、こちらもあとわずかで終着点を迎えようとしている。

昨年はオーディオを通じての交流も活発化し、我が家の愛機を試聴していただくだけでなく、巡礼に足を運んで貴重な体験をさせていただいた。

今年も更に有意義な交流を続け、新たな刺激として楽しんで行きたいと考えている。          1/1


■ EMPIRE598のレストア

 


年末からのんびりと、使用しなくなって埃をかぶったEMPIRE598のレストアを手掛けている。

まずターンテーブルのプラッターをサブシャーシから引き抜き、アームやモーター、スイッチなど外せるものは全て取り外す。

ウッドケースは紙やすりで磨いてワトコオイルを塗り重ね、からぶきしてからTANNOYのウッドワックスで仕上げることにする。

発売当時は結構高額なPLだったが、内部のフローティング構造は実にシンプルでチャチなものである。

シャーシと外周ターンテーブルは紙やすりで磨いた後、メッキ調のシルバー塗装を施してクリア塗装でガードすることにした。

オリジナルの990アームは改造に失敗して使用不能となったため別に購入した980アームを搭載しているが、このアームは通常のSMEタイプのヘッドシェルを使用できるように改造されており、内部配線材も新しいものに交換している。

何度もシャーシの塗装に失敗するが、ようやく完成した。

SHURE M44Gを組み合わせてオシャレにジャズでも楽しもうかと考えたが、フォノイコ経由のアースが不完全なためか盛大にノイズが出る。

まあ、焦らずのんびりまいりましょう。                          1/6


   


    


昨日に引き続きEMPIRE598の調整を行う。

特に出力するフォノケーブルについてはアームの980が配線材直出しなので、背面にターミナルを設置してRCAケーブルで出力できるようにした。

昨日の仮配線ではSHUREのフォノイコ経由でアンプに繋いだところ、アースが浮いた状態のためか盛大にノイズが出ていた。

今日はプリのフォノに直接繋いでアースも直接取ったところ、バッチリ音出しに成功。

スイッチを入れてターンテーブルを回転させると、僅かにドイツ製大型モーターから「ゴーッ」と回転音が聞こえるが、ボリュームを上げてもゴロもなくSN比も問題ないレベル。音質もSHURE M44Gとの相性がぴったりで、キレの良いジャズが壁面いっぱいに響き渡っている。なかなか良い状態に仕上がったものだと自己満足している。 

  1/7

■ オーディオ巡礼 「オートグラフを愛するクラシック愛好家編」


今年初のオーディオ巡礼として、昨年の夏から2回ほどご来訪いただいた東京都杉並区のsigetaさん宅へお邪魔する機会を得た。

sigetaさんはご自宅でレコードを楽しむだけでなく、多い時には月間に5回もコンサートに通われているという熱烈なクラシック愛好家である。


 


お住まいになっているのは阿佐ヶ谷と高円寺の中程に位置する閑静な住宅地である。

お邪魔して2F和室10畳オーディオルームに案内されると、一部床がフローリングとなった部分に設置された巨大なTANNOYオートグラフにまず目を引き付けられる。

購入されたのは50年ほど前にTEACが代理店となった頃で、購入時の使用ユニットはHPD385だったが、後になってM-Goldに入れ替えたとのことだ。

また部屋の入り口にはこちらも巨大なEMT-927Dstが設置されているが、一般家庭のオーディオルームにこれら世界最高峰の機器が収まるだけで、その存在感に圧倒されてしまう。

使用されているアンプ群はWEアンプの修理依頼でアメリカまで出張されるという技術者の方の手によるもので、以前はWE-91Bレプリカを使用されていたらしい。

下の左画像奥がプリアンプで手前がレイセオンの送信管?を使用したパワーアンプとのことだ。

下右の画像はそのパワーアンプの別整流アンプとのことで、これが左右2台構成となっていて凄まじい熱量を発している。


 


今回特に音質バランス改善のため導入されたというルームチューニングでは、オーディオリプラスのハーモニックディフューザーを壁面のコーナーに設置し、オートグラフの弱点である長大なバックロードホーンがもたらす低域のこもり感を解消させているとのことだ。

sigetaさんのシステムは一般家庭のユーザーが望みうる世界最高峰の機器を組み合わせられているが、この他手掛けられているこだわりとして各種WEケーブルやルームチューニングアイテム、電圧関係のダウントランスなど多岐にわたっている。

また、使用されているアンプやこの純鉄コアMCトランスのように、高い技術力を持ったエンジニアのサポートにより、市販品のレベルを超えた組み合わせを実現されている。

EMT-927Dstに搭載されているアームはオルトフォンRF-297でカートリッジにはSPU-MEISTERを組み合わせられているが、昇圧トランスを貴重なWE-618やJ's赤ドット付初期型No.41、No.6600などからこちらの大型トランスに変えることで、描き出される音の世界が違ってくるとおっしゃっていた。

早速、取り揃えられた超弩級機器の説明もそこそこに、貴重なクラシック・オリジナルプレスの数々を試聴させていただく。

オートグラフを聴くのは何年ぶりだろうか? 

1960年代から80年代までの名演を交響曲、ワーグナー、バイオリンソナタ、声楽など次から次へと、また持参した2019年新譜の「ニュー・イヤー・コンサート」を含めあっという間の充実したひと時を過ごさせて頂いた。

今回聴かせて頂いたsigetaさん宅の音は、TANNOYを初めて聴いた当時の感動が、年月を重ねるにごとにさらに美化されてゆくといった音の記憶を上廻る、これまで経験したことのないまさしくTANNOYトーンと呼べるものではないだろうか。

最初に比較的新しいプレス盤を聴いた時、オートグラフ独自の長大なバックロード・ホーンを通して放出される低域のややこもった音色に違和感を感じたが、徐々にこちらの耳が慣れてくると素晴らしいホールトーンを堪能できるようになる。

sigetaさんのお話によると、以前は過剰な低域バランスに苦労したが、ルームチューニングを施すことによりかなりバランスを改善することができたとのことであった。

特に素晴らしかったのはオートグラフが生産されていた同時期の古い英国SAXやEMIのオリジナルプレスで、適度なホールトーンを伴った低域の抜けの良さと高域の繊細な響きのバランスに感動させられた。

神経質な金切り声に成りがちなルートビッヒが、豊満で慈悲深い、笑みを称えた歌声で歌っている・・・・・。

低域の量感を抑えるのに苦労されているという反面、調整が不十分な小型エンクロージャーのIIILZなどで感じる、高域の刺激的な響きは嘘のように影を潜めているようだ。

ヴァイオリンソナタでも高域が上ずるようなことは全くなかった。

しかし日本のような少し面積の狭い和室を使って、EMTや膨大な熱量を発する大型送信管を用いたアンプなどの強力な駆動系でオートグラフを手懐けるには、相当な努力が必要だとsigetaさんのお話から伺うことができた。

最高級の機材を組み合わせているのだから、良い音が出て当たり前と思うのが普通だが、そうはいかないのがオーディオの奥深いところでもある。

要は限られた空間でバランス良く聴こえるように、それぞれの機器をどのように組み合わせ調整して行くかが、オーディオの難しさであり醍醐味なのかもしれない。


  

またオートグラフを使う上での重要な調整ポイントとして、長年の使用に伴って緩みが出た15インチユニットを固定するネジを、均等なトルクで締め付けることが重要だとおっしゃっていた。

オートグラフのホールトーンにどっぷり浸かった後、帰宅して我が家のグッドマンで同じアルバムを聴くとその低域の質の違いに驚かされる。

そんな中でも耳に慣れた響きが心地よく感じられ、sigetaさんの機器に比べると大人と子供ほどの違いはあるが、これはこれでバランスが取れているとひとりごちた自分がいるのである。

sigetaさん、素晴らしいひと時をありがとうございました。                                        1/10


■ Shure M44E

レストアしたEMPIRE598がなかなか好ましい音色なので、組み合わせるShureのカートリッジを別途購入する。

今度は楕円針だ。

ボディは1978年から83年までの間に生産されたカモメマークで、付いていた新品の交換針N44EはスイスのPfanstiehlのものらしい。

同じ楕円針でも昨年購入したKYOWAブランドの上位機種の旧型N55Eとはかなり出力や音質傾向が異なり、クラシックなども無難にこなす大人しく繊細な音のするカートリッジである。

昨年試したN55Eと同様、全体的にキレが薄れてエッジが甘くなるのが楕円針の音色傾向となっているようだ。

このカートリッジ一つで色々なジャンルの音楽を楽しむのであれば、この楕円針が最も適しているのかもしれない。

しかし我が家のように複数のカートリッジで音楽を楽しむ場合は、高域の繊細感と低域の豊かな響きに限ればMCタイプカートリッジに優位性があるので、こちらのMM型ではタイトな切れ味を追求することにしたい。

そんな訳で、昨年Nottinghamで試して高域の強調された音色のため上手く生かせなかった丸針のN44-7を試したところ、ちょうど良いバランスにおさまったのでEMPIRE598にはこの丸針を常用とすることにした。                               1/11


■ 箱庭式ルームチューニング


先日お邪魔した杉並区sigetaさん宅のルームチューニングに触発され、我が家でも試してみることにした。

しかしsigetaさんが使われているような市販のチューニングアイテムは高価なためとても手が届かないので、我が家に見合ったグッズを活用して挑戦してみることにする。

その使用したグッズというのは「必殺 卵トレー!」である。

お値段の方はネットで20枚3,000円ほどで手に入り、壁に取り付けるカラー画鋲と合わせても4,000円でお釣りが来るという圧倒的なコストパフォーマンスだ。

こんな子供騙しのアイテムで音質が改善されるようであれば全く儲け物ではないか。

画像の通り、SPを設置している壁面の上部角と中央天井部分にこのグッズを設置して試聴したところ、「あ〜ら不思議」横と奥に部屋が広くなったような音場効果と音源の分離度が高まってプレゼンスの改善がはっきりと認められた。物は試しでやってみるもんだな〜。

特に我が家のような少し狭い部屋を使用している場合には、さらに効果が発揮されるのかもしれません。

嫁殿は見るなり「何かの巣があるみたいね」と言っている。

あまり見た目を物々しくしたくはなかったが、音質が良くなるんだから我慢しましょう。

sigetaさん曰く「団子状になって耳に飛び込んでくる音の塊がほぐれて、いろいろな楽器の音が聞こえるようになったのは驚きだった」とのことだったが全く同感で、こんなチープなグッズで同じような効果が得られるとはまさしく目から鱗である。

sigetaさんありがとうございました。                    1/12

ルームチューニングアイテムを設置して試聴を続けている。

ハイビジョンTVでは画面が細かいところまで鮮明に見えるようになるのと同じで、音の分離度が改善されてクッキリ感が強まり、弦楽器群などの高域が強調されて聴こえるように感じる。

壁面左右に設置しているトレーは左右の音場の広がりに影響し、中央上部のトレーは音場の奥行き感とコントラストに影響を与えているようだ。

最終的にそのコントラストを若干緩和するため、左右スピーカー中央の壁面と天井に装着しているトレーの天井部分だけ外し、加えて2WAYスピーカーの高域アッテネーターを少し絞ることでバランスを取ることにしている。

余韻も深まって低域の量感も増加し、スケールが大きくなったように聴こえるのは2WAY、3WAYとも同じ傾向である。

これまでは映画館やコンサートホールの中程で聴いている感覚だったのが、今回のルームチューニングを実施する事で前の方に座ってかぶりつきで鑑賞しているイメージに変わって来ている。

少し音のメリハリが強まる事で聴き疲れに繋がらなければ、この状態で楽しもうと考えている。今回使用したトレーには壁面色に併せて水性スプレーで塗装を施しているが、音を拡散するだけで吸音効果がないのが影響しているのかもしれない。                                 1/13


■ 続・箱庭式ルームチューニング


その後色々な曲種を聴いているが、やはりコントラストが強くなり過ぎてクラシックの弦楽器群が煩く感じるようになって来た。

トレーは当初壁面左角に7枚と右角はエアコンがあるので6枚、中央上部に4枚使用していた。

この状態だとフォーカスが合って定位がハッキリするのは良いが、高域がキツくエッジが立ちすぎる。

アッテネーターでツイーターのレベルを絞ると緩和するが、今度は高域の繊細感が死んでしまう。

そんな訳で使用する枚数を少しずつ減らしてみる事にした。

最初は左角が5枚と右角に4枚に減らしたところ、ピントがややソフトフォーカスになって高域のキツさは治るが、今度は低域の膨らんだ不自然な音色となってしまった。

続いて中央上部を2枚に減らしたところ、低域の自然な響きが戻り高域の柔らかさが戻って来たように聴こえる。

ツイーターのアッテネーターを元のレベルに戻してもうるさく感じなくなって、繊細感のある本来の響きに戻ったようだ。

この状態だと中央最前列のかぶり付きで聴いているのが、少し席を後ろに移動して全体を見渡せる感じで聴こえるようになった。

更に左角3枚と右角2枚、中央上部2枚と天井部分1枚にまで枚数を減らしてリスナー側背面の壁にも同様に設置したところ、響きが自然のまま奥行き感が出て来た。

音源の定位の方もトレーを使用する前に比べてハッキリしているので、バランス上この状態が一番良いのではと考えている。

それぞれのご家庭で音楽を楽しまれているオーディオルームは、当然のことながらカーテンや敷物、家具などの設置状態によって音の反響条件が違ってくる。

このような方法でトレーの枚数を増減させて試聴してみるのが一番確かだ。

幸いトレー自体はとても軽く、画鋲で数カ所壁面に刺すだけで簡単に設置できるのでそれほど苦にならない。

スピーカーの間に何も置かず空間となっている場合は、この壁面にトレーを並べても効果があるそうだ。

我が家での効果はかなりあると実感したので、是非一度お試しいただくことをお勧めする。                                    1/15

最終的にSHURE M44の交換針は、オリジナルでカンチレバーがヨレヨレになったN44Gを使用している。

使用し始めたEMPIRE598が快調なこともあり、最近はロックをもっぱらこの1970年代のプレーヤーを使って聴いている。

トランジスターを使用した業務用純正フォノイコとの組み合わせで低域の締りもバッチリだ。

楕円針のN44E/N55Eは切れ味の面で不満が残り、未使用のまま終わってしまった。

N44-7も相性が良いかと思ったが、少し高域が煩く低域の締りも甘い感じがするので出番が無くなった。

不思議なのは同じM44Gでも先に購入したカモメマークなしのボディにJICOの交換針を装着したものと、このカモメマークにオリジナルの針を装着したものでは音色がかなり違ってくることだ。

SMEシェルを使用して古いカモメマークM44Eのボディにメキシコ製オリジナル針を装着したこちらの個体の方が、Ortofon木製シェルを使用しウッドハウジングでボディ剛性強化したものより左右の音の広がりが自然で聴きやすい音色となる。

EMPIRE598を使用するようになってNottinghamの外付けアームが余ったので、出番の無くなっていたDENON DL-103シリーズの再使用を目論んでいる。

組み合わせるフォノイコが足りないので、現在安価でコンパクトな現行品を選別中である。                                1/21


■ フォノイコライザー


マエストロ・ガレージさんに注文しておいた現行品のフォノイコがユキムより届けられた。

店主の谷口さんにも相談して決めたのが、こちらのMoFi Electronics Studio Phono2という2019年の中頃に発売された機種である。

この米MoFiはモービル・フィデリティというレコード・CDの復刻を手掛けている会社らしいが、決め手となったのはこの製品の監修をEARのパラヴィッチーニが行っているという点だった。


さて、ノッティンガムに増設したショートアームを使いSHUREのフォノイコとM44の組み合わせを楽しんでいたが、アメリカ物はアメリカものでということで、久しぶりにEMPIRE598を引っ張り出してきて使い始めたのがコトの起こりである。

しかしノッティンガムのショートアームで別のカートリッジが使えるようになったまでは良かったが、今度はフォノイコが足りないので活用できないままでいた。

昨年からのアームの増殖により使用する機器も増え、狭いオーディオルーム環境ではフトコロ状態以前にこれ以上大袈裟な機器を置くスペースもない。

そんな訳で置き場所を取らない、可能な限りの低価格での選出となった訳である。

組み合わせるカートリッジは長らく出番の無くなっていたDENON DL-103/103C1が真っ先に頭に浮かぶが、VL型のDECCAやMI型EMPIRE辺りでも良いかと考えていた。


現物はご覧の通り手のひら大のコンパクトなサイズで、この価格帯だと電源部がチープなのは致し方ないが、音質を考慮して電源スイッチは省略されている。

こちらのフォノイコを使用するにはプリのChriskitはライン入力が既に一杯なので、Marantz7に接続してGoodmans2WAYで楽しむことになる。

底面のディップスイッチで負荷インピーダンスを47KΩ(MM)に設定し、簡単な接続を済ませて早速試聴開始。

まず最初はトランス無しでDECCA MarkV-EEから音質を確認する。

EARなどと違ってシンプルな機種なので当初はあまり期待しないつもりだったが、聴き始めはいつもハラハラ、ドキドキするものだ。

しかし出てきた音は一聴して低域の厚みの無い高域の繊細感だけが際立った価格通りの音色だったが、この音はこれまでに聴いた経験のある組み合わせバランスを欠いた時の中性的なデッカの音質だった。

やはりこんなモノかと半分諦めかけたが、気を取り直して本命のDENON DL-103にチェンジして試してみることにする。

組み合わせるMCトランスは相性の良いALTEC/Peerless4722だ。

そうしたところ寝起きのボケた音質が目を覚ました如く、やっとのことで低域に重量感のある耳に馴染んだまさしくDENONの音が再現され始めた。

年末より使い始めた古いSHURE製フォノイコに比べ、ワイドレンジかつノイズレスなクリアな音質が展開され、音の滲みを感じられないのが特長となっている。

低域が若干軟調となる傾向にあるが、DENON特有の息の詰まるような重苦しさが影を潜め、身軽な抜けの良さが加わったような気がする。

使用開始して数時間後には更に広がりのある音場とキレの良さが見え始めたので、真空管デバイスの機器と同じく寝起きが悪いのかもしれない。

まずは目出度く期待以上の音質を得られることとなったので、これから色々な曲種を楽しもうと考えている。                      1/23

※谷口さんにこのような電源SWが無い機種の使用方法をお伺いしたところ、すぐにメーカーに確認いただき常時電源を入れた状態で問題はなく、音質面でも極力繋いだままで使って欲しいとの回答を頂戴した。

また半導体アンプでも数十時間のエージングは必要とのことで、やはりDECCAでの聴き始めはまだまだ寝起きの悪い状態だったようだ。

そんな訳でお値段の方は大変安価ながら、RCAプラグが少し緩い点を除くと作りもしっかりしていて質感も高いように感じた。

音質面でも真空管アンプでは味わうことのできなかったクリアで見通しの良い音場が新鮮で、昭和の名機DENONの新しい面を引き出せたように感じている。

エージングが進むと更に音質の改善がありそうなので、今後の楽しみが増えたと喜んでいる。

谷口さん、ありがとうございました。

■ 続・フォノイコライザー


新しいフォノイコをプリアンプに接続している時、これまで聴いたことのない原因不明の異音が発生した。

使用しているプリアンプMarantz7に接続している機器は下記の通りとなっている。

フォノイコ入力→PHONO1(Ortofon T-30+Thorens MCH-II)/PHONO2(WE KS-9450+Ortofon SPU MEISTER GE)

ライン入力→TV(Studio Phono2+Peerless4722+DENON DL-103)/AUXILIARY(EAR845P+Ortofon MC30s)

新しいフォノイコ(一番右)にケーブルを配線する時は、一端セレクターをAUXILIARYに切り替えて音が出ないよう作業を実施していた。

PHONO1/PHONO2のアースはプレーヤー→MCトランス→プリアンプまで伸びているが、ライン入力に接続しているフォノイコからプリアンプにはアースは接続されていない。(アースはプレーヤー→MCトランス→フォノイコまで)

この状態で新しいフォノイコのINPUTにケーブルを接続すると、プリのセレクターを別接続に切り替えているにも関わらずSPから「ブロロロ〜」とバイクのエンジンがアイドリングしているような異音が発生するのである。

ケーブルを動かして微妙に接続状態を変えるとノイズが出なくなるツボがあるが、フォノイコの接続を外すと当然その異音は出なくなる。

現在はいろいろケーブルを動かして異音のしない状態で音出ししているが、SPボックスの上に置いているために使用しているユニットの強力なアルニコ磁石が影響しているのか原因は不明である。

その後、2日ほど通電状態が続いており、試聴時間も10時間を超えているのでエージングはかなり進んだ状態にあると思われる。

当初感じた高域のキツさを和らげようとDL-103のリード線をオーグラインからDUCCに変え、MCトランスからフォノイコに伸びるケーブルもOrtofon7NからSMEケーブルに変更している。

同じ半導体を使用したSHURE製フォノイコと比較しても、ワイドレンジかつ精細度の高い音質傾向がリスナーに緊張感を感じさせているものとなっている。

組み合わせるカートリッジの音質にも影響されるのは当然だが、ジャズなどの曲種に向いているのではないだろうか。

同じ曲をEARに切り替えて聴いてみると、価格の違いが大きいので当然と言えば当然だが、「音の雰囲気」や「ゆとり」が全く異なって聴こえる。

そりゃそうでしょう。まだまだいろいろ試してみることがありそうですね。                               1/25

※追伸 

AUXILIARYからのアイドリング・ノイズは、やはり置き場所を変えても接続時に必ず発生する。

スピーカーは無関係で依然として原因不明だが、なぜか本体トップパネルのサブソニックフイルター・スイッチをONにすると止まる。

そして再びサブソニックフィルターをOFFにすると異音は消えたままとなるので、そのやり方で使用している。

パーツの不具合でなければ良いのだが、今度谷口さんに聞いてみましょう。

※発振ノイズ

谷口さんに問い合わせたところ、「入力インピーダンスとフォノイコの出力インピーダンスとの間で整合が取れないなどの原因で、発振(ハウリング)を誘発している可能性がある」とのことだった。

併せて電源の取り方など何項目か対応策をご教授いただくが問題の発振は解消しなかった。

使用するプリとの相性の可能性もあるとのことでChriskit Mark Y Customのプリを使用した3WAYのシステムで試したところ、なるほどおっしゃる通りこちらでは全く発振しない。

やはりMarantz7のようなオジーちゃんには孫のような今時の半導体フォノイコは馴染まないのかもしれません。こんなこともあるんだな〜。

オジーちゃんと相性が悪いというのも困った話だが、しょうがないので別のオジーちゃんのシステムで使用することにしましょう。

まあ、音質的にはジャズなどの曲種に向いていることもあるので、POPS&ROCK用の3WAYシステムで使用する方がベターかもしれません。 

それにしても今回のようにオーディオ専門店で購入すると、後々困ったときに適切な助言をいただけるのもありがたい。

谷口さん、いろいろとありがとうございました。                                     1/27


■ EMPIRE 598N

新たなフォノイコMoFi Electronics Studio Phono2はEMPIRE598の純正組み合わせで使用することにした。

昇圧トランスを使用してMC型のDENON DL-103と組み合わせて聴いていたが、中域の上の方に妙な出っ張りというかつっかえる部分があってヴォーカルなどがキツく響く傾向がある。

ケーブルやリード線を替えMCトランスを別のものに組み合わせたりしたがこの傾向は解消せず、カートリッジをDENON DL-103C1にしてもダメだった。

やはり高音質レコードを制作する会社のフォノイコだけありHi-Fiに特化した切れ味の良い音作りがされているようで、我が家の古いヴィンテージ機器と組み合わせるにはやはり相性的に無理があるのかもしれない。

なんとかこの異端児を使いこなせないものかとコントラストの淡いMI型EMPIRE1000ZE/Xと組み合わせてみたところ、低域に少し軟調な傾向はあるが量感、広がりとも十分で中高域の刺激的な響きも出ないことが分かった。

そんな訳でレストアしたEMPIRE598との純正組み合わせが実現することになった。                               1/31

■ あるところにはあるもんだシリーズ 第二弾

昨年の年末に手に入れた新品のGoodmans MIDAX650に続いて、またもや新品未使用のクロスオーバーネットワークをヤフオクにて調達した。

出品された方の話では半世紀ほど前に購入後、いつか使用するつもりで保管してきたものらしいが、未だに未使用品とはあるところにはあるもんですね〜。

このGoodmans XO-950/5000は3WAY用のネットワークで、既にAXIOM150MkIIのSTAGE3スピーカーシステムで使用している。

今回予備用に購入したが、使用時には内部コンデンサー(1.5μF/8μF)の交換が必要となる。

現在使用しているネットワークは、専門業者に依頼してWESTCAPとDEARBORNのハーメチックタイプのオイルペーパーに交換済だ。

WESTCAPの1.5μFはAXIOM22MkIIのSTAGE2スピーカーシステムのネットワークXO/5000でも使用しているが、容量の大きい8μFはアメリカでも入手困難となっているため、現行品のフィルムコンを使おうかと思案中である。

耐圧の方も指定のものより大きければ良いというものでもないらしく、なかなか悩みどころでもある。                                     2/1


■ オーディオ定例会


   

本日はsigetaさんに都合3回目となる来訪をいただき、前回から変更となった機器やルームチューニングの効果などをご確認いただいた。

併せて愛用されているWE純鉄コアのMCトランスをお持ちいただいたので、我が家のWEトランスとの比較試聴を実施した。

この超ヘビー級のMCトランスは、使用する際には磁気テープをそれぞれのトランスに巻いて内部の磁気が外に漏れないようにされているとのことで、このテープを巻く巻かないで音が違うとおっしゃっていた。

SPU-MEISTERに組み合わせてクラシック音源を試聴したが、音質の方は我が家のWEトランスを上廻る中域に濃密な味を持つ「コッテリ系」である。

特にバイオリンの甘い響きとコーラスの分離度の高さは秀逸で、通常のWEトランスの音色を濃厚さで凌駕しているようだ。

主にGoodmans2WAYを使用して試聴をするが、薄くなりがちな中域の密度が上手くマスキングされ、充実した円やかな音質バランスとなっている。

我が家でクラシック系常用となっているMCH-II+Ortofon T-30の組み合わせで比較試聴してみると、剛と柔ほどの違いがあり興味深かった。

続けてsigetaさんに、昨年秋に導入したUESUGI OLSON TYPE NON NFBアンプをEMPIRE598+2000ZEXの純正組み合わせを使って試聴いただくが、音の広がりや金管の力強い響きなどに満足いただきMM/MI型の音色の美しさを再認識したとのことだった。

システムを設置している壁面とリスナー側壁面に設置した箱庭的ルームチューニングについても、比較試聴した訳ではないのではっきりした事は言えないが、音場に奥行きが出たような気がするとの事だった。     

前回sigetaさん宅にお邪魔した際にお借りした、この「巨匠たちの音、巨匠たちの姿」は大変参考になる書物だった。

小生のようなコンサートに出る機会が少なく家庭で聴覚に頼るばかりのレコード愛好家にとって、視覚を補う想像力をもたらしてくれる知識の広がりは、音楽を聴く楽しみを倍増させてくれるものである。良い書物に出会ったと喜んでいる。

sigetaさん、本日もありがとうございました。                      2/6


■ 新規アンプ導入計画(1) 「企画立案編」


 


名古屋の先輩に勧められ、今年度最大のアンプ製作BIGプロジェクトが始動開始!

もちろん自分一人の力でなんとかなるものではないので、現在とある工房に製作をお願いしたところである。

構想=半月(My Vintage Audio)  製作=TAラボ(新潟)  製作費=ウン十万円(断捨離推進委員会)  協賛=Y下企画(名古屋)  後援=Sigeta出版(東京)

果たして見どころ満載のこの企画、完成試聴会は今年の夏頃となりそうだ。乞うご期待。                       2/16

    

■ 新規アンプ導入計画(2) 「直熱三極管編」


 


そもそもこの企画、Y下先輩の「英国のVintage-SPには同じ英国の直熱三極管が最も適している」から始まった。

GECで開発された古典ビーム管KT66は長年QUADIIで愛用してきたTUBEだが、直熱三極管のPX25/PX4も同じく英国生まれの真空管だった。

古いナス管は価格が高騰していて手が出ないが、ちょうどタイミング良く新型ST管のPX4がヤフオクに出品されているのを発見したので落札した。

ブランドシールはKT66でも使用したことのあるMarconiロゴだが、OSRAMと同じ英国MOV(Marconi-Osram Valve Co.Ltd.)で作られていたものだ。

アンプ製作を依頼している工房の方のお話では、ST管タイプはフィラメントが切れやすくハムレベルが下がらない個体が多いとのことだった。

続く・・・・・・・・                                   2/17


    

■ 新規アンプ導入計画(3) 「搭載真空管選別編」 

          


  


話は前後するが、まだ年金支給年齢に至っていない現状を鑑みると、我が家の大蔵省の厳しい追及を逃れるため極力コストをカットする工夫が必要となってくる。

新型コロナウイルスの全世界的な蔓延に伴うGDPのマイナス成長が続くこの時期に、表立った突発的な支出を要求するには社会的背景が悪すぎる。

もちろん断捨離委員会の活動を活発化させるのも財源を確保する主要な有効策の一つである。

そんなこともあり、製作していただく工房とも相談して使用する真空管はこちらで用意することにさせていただくことになった。

前述のとおり、本命の直熱三極管はすでに調達済みである。

残る初段や整流管なども製作工房と相談しながら、手持ちの英国製TUBEをチョイスして活用することにした。

初段管は6SL7系の在庫が手持ちにないためMullard ECC82/12AU7でお願いすることにして、整流管には出力管と同じ形状のCOSSOR 53KUをチョイス。

初段管も無骨な古典球に拘りたかったが、まあ脇役にはあまり個性を期待せずにこの辺りで我慢することにしましょう。

続く・・・・・・・・・                                               2/18


    


■ 新規アンプ導入計画(4) 「初段管変更編」 


計画当初は初段管に手持ちのECC82を使用する予定でいたが、よくよく考えてみるとミニチュア管では見た目のバランスが貧相なことに気がついた。

そこでアンプ工房でもお勧めいただいた6SL7系のTUBEを調達することにする。

幸いなことに以前所有していた300Bシングルアンプの初段で使用していた6SN7系より市場相場はそれほど高くないようだ。

今回調達したTUBEは英コードKB/FE(STC)CV1985/ECC35と米RAYTHEON5691、同じくRCA6SL7GTスモークガラスの3種類である。

そのうち流通量の少ない(STC/Oldway)CV1985と6SL7の最高峰となる高信頼管RAYTHEON5691については流石に値段の方も少し高かった。

RAYTHEONのVintage管は品質の高さで評判だが、よくよく調べてみるとこのRAYTHEONの赤ベースはRCAのOEM品のようである。

英STCvs米RAYTHEON、この2本が本命と対抗馬になりそうだ。

とりあえずこの3種類ぐらいあれば何とかなるでしょう。

続く・・・・・・・・・                                               2/28

    


■ 最近のアナログ事情

明日から早くも弥生3月を迎える。

2月22日に昨年より15日も早く春一番が吹き、梅も満開となって待ち侘びていた本格的な春の到来に水をさしたのが新型コロナウィルスの蔓延だ。

当初は3月の初旬から京都の実家へ両親の見舞いと並行して中国〜九州縦断旅行を計画していたが、さすがに延期とせねばならなかった。


オーディオの方は依然として不満のない音色を味わっている。

クラシックはもっぱらEMPIRE598にMI型の1000ZE/Xを使用して、壁面いっぱいに広がる独特のゆったりとした音色を楽しんでいる。

組みわせたMoFiのフォノイコもMC型のDENONを使用すると中域に違和感を感じたが、若干淡いEMPIREの色彩感にクッキリとしたスパイスを効かせているようだ。

この美しいMI型の音色に味を占め、後発で最上位機種のEMPIRE4000D/IIIに付け替えてみると、どうしたことかゆとりのないこじんまりとした音色となってしまう。

このEMPIRE1000ZE/Xはいつもリード線でお世話になっている旭川のkeisさんの手によって山本音響工芸製ヘッドシェルに組み合わされたカートリッジだが、リード線は直付けとなっているらしく微妙なチューニングが音質の向上に影響しているのかもしれない。


こちらはOrtofon SPU-GEをA-CRAFTのアダプターを介してアルミブロック削り出しのヘッドシェルに装着し、リード線には古いWE線材を使用した吟醸リードを組み合わせたカートリッジである。

MCトランスにはJ's No.6600を組み合わせているが、オリジナルのGシェルで使用した時よりにじみ感のない歯切れの良いタイトな音色が得られ、ロックなどのパルシブな音源にはちょうど良い感じに仕上がっている。                                  2/29

    


■ Garrard401 キャビネットの再塗装


3月に入っても新型コロナウイルスの蔓延がさらに規模拡大しているのが恐ろしい。

デマが広がって石油危機の時同様に、トイレットペーパーの買い占めが起こっているのは日本独自の現象だろうか?

このGarrard401は2007年に導入後、我が家の主力アナログ・プレーヤーとなっている半世紀前に製造された名機301の後継機種である。

アームはaudio-technicaの局用タイプを2本装備しており、主にSPUなどロー・コンプライアンスのOrtofonカートリッジを組み合わせて使用している。

同時期の1960年代後半に発売されたEMPIRE598Nがレストアにより美しく蘇ったので、こちらの1970年代前半に製造された後期型Garrard401についても、あちらこちらに傷が目立ったキャビネットのレストアを実施することにした。

ターンテーブル本体には針を落とす時に手が掛かるあたりに塗装の変色が見られるが、稼働10年以上で音色は当然のこと機能的にも問題はない。

最近フェルト製のパッドが磨耗してブレーキが掛かりにくくなったので、ブレーキパッドの取り替えパーツを注文しているところである。

モーターの分解清掃には手を付けたことはないが、軸受けだけは定期的に分解清掃してOILを入れ替えている。

軸受けのスラストプレートはカーボン製に交換し、アイドラーとスラストパッドは共に一回新品交換している。

ボディの部分的な変色については、色々なクリーナーを試してみたが黒ずみは取れなかった。

積層キャビネットはサンドペーパーで研磨してワトコオイルを重ね塗りしたのち、TANNOYウッドワックスを塗り込んで磨きをかけている。

なんとかエンパイヤ同様美しく蘇ったので、今後も我が家のアナログ・オーディオの主力として頑張って回り続けてくれることを期待している。

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注文していたGarrardフェルト製ブレーキパッドと化学合成OILが届いた。

これまではEMTのOILを使用していたが、こちらの純正OILに交換したところ、粘度が低いのか若干回転数が速くなったように感じた。

起動後半回転ほどで定速に達するし、回転も滑らかなのでアイドラーはまだまだ大丈夫な様子。ブレーキもパッドの交換でしっかり効くようになった。

OIL注入のため軸受けを分解清掃したところ、スラストパッドの摩耗が進んでいるようなので様子を見て注文することにしよう。

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■ Garrard401用パーツのあれこれ

ストックを漁っていたら使用ずみアイドラーが2個出てきたので、記憶を辿ると2回交換しているのを思い出した。

それほど状態も悪くなかったので表面を研磨して試してみたところ、どちらとも半回転ほどで定速になるのでまだまだ使用できそうだ。

復元のやり方は、硬化して少し湾曲していた表面を電動ドリルに挟み、800番程度のサンドペーパーで直線が出るよう研磨する方法である。

捨てないで取っておいたのが正解だった。なんとかなるもんだな〜。

スラストパッドの方は現在2mm程度の直径で当たりが出ているが、どの程度が寿命なのかわからない。

こちらはすでに交換したスラストパッド。

中央部分にスピンドルとの接触によって3mm弱ほどの面積が摩耗している。

この直径が大きくなることによってスピンドルとの接触面が増加するわけだから、抵抗が増えるということだろうか?

また摩耗することにより音質にはどのような影響があるのだろうか?

今回、試しに中央のスピンドルと接触する部分にボールベアリングを使用した、UPGRADE SPINDLE THRUST PADなるものをイギリスから調達することにした。

お値段の方も純正パーツを国内で購入するより、国際送料込みでも安価となっている。

たまたま見つけたこの改良型スラストパッドの英文記事によると、「使用しているソフトリン青銅ボールベアリングはスピンドルより材質が柔らかく、ボールベアリングのみが摩耗する場合、スピンドルの表面接触が最小限に抑えられるため摩擦が減少し、音質が向上する。」とのことであった。

はてさて、海を渡って届けられるまでは2ヶ月ほどかと思われるが、到着するのが楽しみである。                           3/9


    

■ Mullard ECC83


  


ECC83/12AX7はプリアンプやフォノイコなどで使用する機会の多いTUBEである。

Marantz7ではカップリング・コンデンサーやセレン整流器などオリジナル仕様のパーツに変更後の試聴にて、やはりオリジナル通りのTelefunken◇マークが最も相性の良い真空管だと確認している。

この独製◇マークに肩を並べるTUBEとして英Mullard製のものがあるが、そのムラードの中でも製造時期やタイプによって音質が違ってくる。

我が家には高信頼管となる軍用CV4004や後期に製造されたECC83/12AX7(CV492)ショート・プレートについてはまだ使用可能なストックが多く残っているが、1950年代の後半まで製造されていた、音質の良いと言われるロング・プレートの在庫が少なくなっていた。

最近はヤフオクでもこのロング・プレートの出品は少なくなってきており、たまたまアムトランスさんに入荷したのを見つけたので即購入した。


我が家にある17mmロング・プレートはMullardの旧ロゴ(中央:B9I)とFisherロゴ(左:B8F)の2種類で、全てゲッターがシングルサポートのラウンドタイプである。

今回調達したのは1957年製造の角形Dゲッター(右:B7A)で、e-Bayなどには出品されているが日本では最近滅多にお目にかかれないTUBEだった。

2本しかないので使用するのが勿体無いが、また試聴する機会があればChriskitのプリアンプにでも試してみようかと考えている。          3/10


    

■ 6AR6シングルアンプが到着


「新規アンプ導入計画」で製作を依頼している新潟のチューブ オーディオ ラボさんから、アンプが完成するまでの間に試聴用アンプをお借りすることになった。

この6AR6シングルアンプ2号機は昨年の真空管オーディオフェアに出品されたアンプで、1号機はすでに別のオーディオ愛好家の元へ嫁いで行った。

6AR6は米WEが開発した小型の5極管で、現在でも比較的安価に手に入るようだ。(このアンプでは3極管接続で使用されております。)

開発当初はWEでも製造されていたが、その後はTung-Solなどの他メーカーでの製造が大半となったTUBEである。

管球王国の「歴代の5極管/ビーム管 50種の音質比較テスト」でも、5極管接続ながら高い評価を受けている。

真空管博士のブログでの説明にあるとおり、3極管接続時にはPX4系PP3/250にそっくりな特性を示しているTUBEである。

(球球コレクション プアマンズPP3/250)


(製作記についてはTAラボさんのHPに公開されおります。)


さて、英国SPをこよなく愛したオーディオ評論家の故上杉氏が製作監修した UESUGI TAP-31に一旦席を譲っていただき、AXIOM150MkIIを使用したグッドマン3WAYにはSV-91Bをカップリングして、クラシック用に使用しているAXIOM22MkII2WAYをこのアンプと組み合わせることにした。


  


使用されている真空管は、初段に6SL7を1本、出力管はTung-Solの6AR6と整流管にGZ34といったコンパクトで可愛らしいアンプである。

内部の配線は流石に美しくまとめられており、配線材にはWEを使用されている。

また、出力段のカップリングに使われているのは音質の良いWEST CAPと思われ、随所に高質なパーツを使用されていて完成度は高い。

音質の良し悪しは当然のことながら、この「見た目が美しい」ということが所有する喜びを増加させるポイントではないかと考えている。

たまにオーディオ雑誌などでお世辞にも美しいと言えない、乱雑な配線で作り上げた自作アンプ記事を見ることがある。

自作ならまだこの乱雑さが努力の証として我慢もできるだろうが、完成品を購入する場合は音の良さに加えて美しさが選択の重要なポイントとなって来る。

音が良ければ良いというものでもないだろう。

音質の決め手となるトランスには、ラボさんお勧めのTSM  Productsの手巻きトランスが使われている。

当方で製作を依頼しているアンプにもこの手巻きトランスでとお願いしているが、少し高価なアモルファス・コア製を希望している。

ユーザーにとって重要なポイントとなる価格の方も、このような質の高いパーツを採用している割にはとてもリーズナブル価格設定となっているので驚いた。


試聴結果は追々記入させていただくが、来週のオーディオ定例会でSigetaさんにご来訪いただくので、その時までに本調子となるよう聴き込む予定である。

3/13


    

■ 6AR6シングルアンプの試聴@


これまでAXIOM22MkIIの2WAYを駆動していたSV-91B(右)と比較するとかなりコンパクトにできていることが分かる。

出だしは軽いPOPS系の音源から試してみる。

まず最初に感じるのはSV-91Bが捻じ伏せるような力強さが特徴なのに対し、こちらは低域の量感も程々ですっきりとした瑞々しさが持ち味となっている点である。

価格が倍以上違うSV-91Bと比較するのも可哀想な話だが、クラシックの良さを楽しませてくれると言った部分ではそれほど遜色もない。

両者の最も大きな違いは低域の量感とその構築力にあり、SV-91Bが重戦車のようなガッシリした押し出しの強さを持っているのに対し、6AR6シングルは質の良いリッチな響きと余韻が特徴となっているようだ。

さて、本命のクラシック音源の試聴に入る。

POPSなどではこじんまりとして少し淡白に感じた音質が、クラシックではこってりとした織物のような彩でオケを描き分ける能力には驚くことになる。

声楽を聴くと中域の上の方に少し引っかかったトゲのような部分を感じるが、これはTAラボのKさんがおっしゃっていた整流管GZ34に起因しているのだろうか。

馬力が乏しい分少し音場が狭まったようにも感じるが、しかし弦楽器群の合奏にもコクがあるし金管楽器の緊張感のある響きも素晴らしい。

特に良いのが音の色付けがはっきりしている点で、色々な楽器の音の強弱が色彩感を伴って息遣いのような生命力を感じさせてくれるアンプである。


このシングルアンプにはプリアンプのMarantz7を組み合わせている。

使用上のポイントとして、シングルアンプの出力が低いため出力ボリュームをMaxに上げており、さらにミニマムで使っていたプリのOUTPUTレベルを中程まで上げることができるようになったことも音質の向上に影響しているのかもしれない。

圧倒的な馬力はないが必要十分な力感があり、なんといっても色彩豊かな彩が素晴らしくて、なるほど評価が高いのも肯けるものと感じた。


機器を変えた当初は変わった部分が良くなったように感じることが多い。

このアンプもまず最初のつかみはOKだが、一週間ほど試聴を続ければ短所も見えてくるかもしれない。じっくりと参りましょう。          3/13  PartII


    

■ 6AR6シングルアンプの試聴A


6ARシングルアンプの試聴を、じっくりといろいろな曲種で続けている。

このような試聴では、その日の機器の状態やこちらの体調によって感じ方が違って来ることもあるので、その辺りはご了承いただきたい。

2日目にはウォーミング・アップにより冷めた体が温まって動きが軽くなるように、伸びやかでダイナミックな音色に変化してきた。

POPSやJAZZでも初日はどちらかというと大人しく理性的だった音質が、低域の量感が増してよく弾み、ダイナミックな迫力が加わるようになった。

個々の質感をはっきりと描き分け、説得力のある音を聴かせてくれるという点は、初日に感じた印象と変わっていない。

見た目はコンパクトなアンプだが、結構馬力と細やかな表現力を兼ね備えているのは手巻きの出力トランスが影響しているのだろうか?

逆にクラシックでは押し出しの強い中高域に、弦楽器ではそれほどでもないが少し粗い響きを金管や声楽で感じるようになる。

この辺りは使用している初段管(RCA/6SL7)と整流管(Zaerix/GZ34)を差し替えることによってかなりニュアンスが違って来るかもしれない。

工房のKさんに承諾いただいたので、明日はこの辺りを手持ちの真空管で「球転がし」を仕掛けてみようかと考えている。

小出力のため音場が少し中央に集まる傾向はあるが、それでも音が団子になることもなく質感の異なる音色で描き分ける点には感心させられる。

今日はPOPS系で迫力ある音楽を楽しませてもらった。明日の「球転がし」での音質の改善が楽しみである。                    3/14


    


■ 6AR6シングルアンプの試聴B


昨日の試聴ではようやく本領を発揮し始めたようで、躍動感が出て迫力ある音色に変化してきた。

POPSやJAZZなどは特に不満を感じなかったので、本日はクラシックでの中高域の粗さを「球転がし」によって改善ができるものか試すことにする。

前述したが少し不満に思っている点が、声楽テノールやオケ金管楽器の乾いたような粗い響きである。

逆にこの高域の粗さについてはJAZZなどの曲種においてはプラスとして作用することが多く、なんとも痛し痒しである。

この刺激的な響きが真空管を取り換えることによって若干でも改善できるとすると、オールマイティーに使用できるアンプとなるはずだ。

さて、交換してみるTUBEは前段の6SL7と整流管である。

オリジナルの6SL7GT/VT-229は米RCAのブラック・プレート/ボトムゲッターで、整流管は英ZaerixのTUBEだがエッチングコードもないので日本製かもしれない。

特に工房のKさんからは、この整流管の交換により高域の質感が改善できるとアドバイスを受けている。

クラシックでのこれらの問題点を解消するためには、やはり英国製の真空管を使うべきだろう。

6SL7は互換球のSTC/ECC35、整流管には同じくSTC/CV717/5R4GYかCOSSOR53KU/CV378などをチョイスすることにした。

最初に初段管をSTCに交換して試聴する。

残響が増してホールトーンが豊かに聴こえるようになり、弦楽器群に繊細感が加わって細やかに美しく響く。

声楽のテノールの声質にも温かみが出始め、初段の変更だけでもかなり改善されたように感じる。

さらに初段管をそのままに整流管をSTCに付け替えると、弦楽器の繊細な響きに滑らかさと柔らかさが出てきて、テノールの声質も血が通うと言うのか芯の強さがある割にキツい響きとならなくなった。

全体的な響きに柔軟性が出ることによって、持ち前の息遣いのような音色の強弱がさらに美しく表現されるようになる。

整流管をCOSSOR53KUに替えると同質な音色傾向ながら、さらに重心が下がって奥行き感が加味される。

この状態だと全く不満のない堂々とした音色を味合わせてくれるようになった。


コンパクトなサイズが嘘のように、フロアタイプの大型SPを楽々と鳴り響かせる力を持った音楽性の高い真空管アンプと感じている。                 3/15


    

■ SV-91B 300Bシングルアンプ


  

GOODMANS AXIOM22MkIIのSTAGE2/2WAYには音楽性豊かな6AR6シングルを組み合わせたので、こちらのSV-91BはAXIOM150MkIIのSTAGE3/3WAYで使用することにした。

このアンプは名古屋のアンプビルダーY下さんの手によりSUNVALLEY SV-91Bを大幅に改良されたもので、外観も高級感溢れるものとなっている。

Y下先輩の説明によると、310A-310Aのみ交流点火で300Bは直流点火に改造してあり、カップリングCにSPRAGUE/バンブルビー、抵抗はA&B、カソードコンデンサには銀タンタルを使用しているとのことだった。

これまでは基本通り、3WAYにシングルアンプは荷が重いと考えてプッシュプルで駆動し、こちらのアンプは2WAYで使用していた。

また、昨年までは真空管をオールウエスタンで使用していたが、秋頃より出力管を日本製TAKATSUKI TA-300Bに交換して楽しんでいる。

今回初めてこのアンプを3WAYに組み合わせてみたが、驚いたことにUESUGIのプッシュプルより厚みと馬力のある低域を聴かせてくれている。


以前、整流管の聴き比べを実施した時に最も馬力と勢いを感じたSYLVANIA VT-244を、WE-274B刻印から取り替えてPOPS&ROCKを中心に楽しむつもりでいる。

少し甘い香りが漂うAXIOM22MkIIを隅々にまで血を通わせてくれるような高い駆動力を持ったこのアンプ。

硬質でリッチな響きのAXIOM150MkIIからは、どのような音色を引き出してくれるのだろうか?   楽しみである。                         3/16

    

■ オーディオ定例会


本日はSigetaさんをお招きして、恒例となりつつある定例会を開催する。

今回のメニューは新潟のTAラボさんにお借りしている6AR6シングルアンプの試聴と、お持ちいただいたルーム・チューニング・グッズの効果検証である。

我が家で試聴を続けているそのアンプは現在、クラシックに最も適している組み合わせ(初段STC/ECC35整流管COSSOR53KU)に差し替えて使用している。

Sigetaさんにはまずオリジナルの真空管に戻して試聴していただき、その後「球転がし」を行って音色の変化を二人の"耳"で実施することにした。

最初に初段から交換するが、我が家の英STC/ECC35、米RAYTHEON5691、RCA6SL7GTスモークガラスとSigetaさんにお持ちいただいたKen-Rad VT-229、RCA5691赤ベースに加え、オリジナルのRCA 6SL7GT/VT229の6種類。

整流管の方は英STC/COSSOR、米RCA JAN CRC 5R4GY、WE-274B刻印に加え、こちらもお持ちいただいたRCA80などが試聴ラインナップである。

ソースはクラシックアナログ盤を使用し、カートリッジにはSigetaさんも愛用されているOrtofon SPU MEISTERを組み合わせた。

(Garrard401+SPU→Marantz7→6AR6シングル→Goodmans Axiom22MKII/STAGE2)


   


初段RCA+出力管米Tung-Sol+日ZaerixのオリジナルTUBEに戻して、試聴を実施されたSigetaさんのご感想は、

低域から高域までストレスなく質の高い音色を聴かせてくれる、クラシックには丁度良いバランス感を持ったアンプではないか。

以前のSV-91Bよりこちらの組み合わせの方が、クラシックでの試聴では相性が良いように感じるとの初見であった。

さて初段管から「球転がし」終えた後のSigetaさんのご感想は、少し渋い傾向の英国管より高域がよく伸びて音色の明るい米国管に好感を持ったとのことである。

Sigetaさんが選ぶ初段管のベスト3は、RCAとRAYTHEON/5691赤ベース、オリジナルのRCA VT-229ボトムゲッターだった。

また整流管の方ではWE-274B刻印がダントツのNo.1で、COSSORの柔らかい音色も好ましかったとの評価である。

最終的なアンプの感想としてSigetaさんからは、「山椒は小粒でもピリリと辛い」ではないが小振りな容姿にも関わらず、相当熟成された好ましい音色と感じた。

併せて出力の低いアンプの場合には駆動力に問題が出ることがあるが、SPが能率の高いGoodmansでは軽々とドライブする力強さを感じたとのことだった。

当方は初段や整流管ともやや渋めの英国系の音色に好ましさを感じたが、アンプ自体の評価は概ね同じようなものである。

次にご自宅で2セット愛用されているオーディオ・リプラスのルームチューニンググッズの効果検証を実験する。

まず画像の通り、お持ちいただいた1セット(2個)をそれぞれのSPの天板の上に設置して聴いてみる。

これだけでも音質に顕著な変化が表れるが、明らかに高域がヒステリックに響きすぎてこの配置ではいま一歩の評価となる。

次に外側のSPの壁面に立て掛けて配置してみると、音場が自然な広がりを見せて聴きやすいバランスとなることを発見する。

Sigetaさんからは我が家で設置しているチープな「必殺チューニング・グッズ」の効果により、増設しなくても自然な音場が再現されているのではとのことであった。

最後に、新たな組み合わせとなったSV-91BとGoodmans AXIOM150MKII/3WAYの音色や、Ortofon SPUシリーズ(GE/Classic GE)の聴き比べを実施して本日の定例会を終了する。

Sigetaさん、本日もありがとうございました。                                      3/19

※追伸   Sigetaさんから本日の試聴感想を、掲示板の方にご投稿いただきました。

             興味のある方はそちらもご覧ください。    ↓

     https://zawazawa.jp/bcjd0i1lnr55w007/topic/1

    

■ Garrarad401 アップグレード・スピンドル・スラストパッド

依然として世界的なパンデミックは終息への光明が見えてこない。

そんな中でも四季は普段通りの移り変わりを見せ、3月中旬よりいよいよ気温も上昇して埼玉でも桜の開花が進んでいる。

イギリスからGarrard401用のUPGRADE SPINDLE THRUST PADが届いた。

3/9に注文したから到着するまで2週間弱と意外に早かった。

画像下ボールベアリングが付いたパッドとその左に交換用ベアリングが2個、白っぽいガスケット2枚と商品内容の印刷物が送られてきたパーツの全てである。

当初考えていた価格には国際配送料が含まれておらず、到着時に着払いで送料分3600円払ったので購入金額は合計9000円となり、国内で純正パーツを購入するより少し割高となってしまった。

現在は円高が進んでいるので、日本での購入価格が値下がりしているようだ。

交換用のボールベアリングが2個付属しているので、こちらのパッドの音質に問題がなければ当分は交換品の購入は必要ないと思われる。

このボールベアリングの素材がミソのようで、国内にもかなり出回っているKokomo kitはセラミック製なの対し、こちらはスピンドルの素材より柔らかい青銅製となっているようだ。

早速スピンドルの底を磨いて清掃し、新たなパッドを装着してプラッターを回転させてみた。

少し摩耗の進んだオリジナルのスラストパッドと回転数はほぼ同等で、音質の方も今のところは大きく変わったところがある訳でもなかった。

馴染んでくるまでもう少し様子を見てみることにいたしましょう。                                        3/21

    

■ TELEFUNKEN ECC83について


愛用しているMarantz7Rの真空管は現在、オリジナル通りのTELEFUNKEN ECC83◇を使用している。

このアンプを2002年に中古購入した時にはレプリカ専用の曙光電子製ECC-83とともに、TELEFUNKEN ECC83◇リブ・プレート58年製同ロット6本が付属していた。

購入後しばらくは真空管のみTELEFUNKENに替え使用していたが、2012年にカップリング・コンデンサを後期オリジナルでも使用されているSPRAGUE BLACK BEAUTYに取り替えたところ、音質が激変したので整流方法もオリジナル通りのセレン整流器を使ったものに変更している。

カップリングCを替えるまでは神経質で薄っぺらい音質に不満があり、よく「球転がし」を仕掛けて少しでも満足の行く音質にならないか足掻いていたが、交換後は全く不満もなくなってTELEFUNKEN ECC83◇の組み合わせが定着しその後の変更はなくなった。

購入して18年近くが経過しているわけだから、ここ数年で購入当初から使用している58年製リブ・プレートにも劣化が見え始めた。

そんな訳で現在は、フォノ段V1〜V2とライン段V4〜V5はエミ減により新品の◇マークに交換しているが、V3/V6のバッファはまだ使用可能である。

早晩寿命が来ることは確かなので、今回このTELEFUNKEN ECC83◇のストックを新たに調達することにした。

画像の4本は共にダイヤ・マーク付きの本物で、左側2本がリブ・プレートと右側2本はスムース・プレート品である。

今回のテーマはプレート横に開いている穴の有無で、スムース・タイプには横穴が2(〜4)箇所上下に開けられているが、リブにはそれが無かった。


TELEFUNKEN ECC83◇マーク/リブ・プレート
TELEFUNKEN ECC83◇マーク/リブ・プレート(横穴なし)

TELEFUNKEN ECC83◇マーク/スムース・プレート
TELEFUNKEN ECC83◇マーク/スムース・プレート(横穴2箇所)

色々調べてみたところ、プレートの長さはMullardなどとは違って全て17mmのロングタイプしかなく、プレート表面がリブとスムースの2種類あることはわかっていたが、プレート横の穴の有無についてははっきりと理解していなかった。

そんな訳で真贋を確かめる時にボトムに◇刻印は必須ながらプレート横に穴がないのは本物ではないとの噂もあるが、リブ・プレートにはそもそも横穴が無いようだ。

さらにスムース・プレートの横穴も画像のTUBEは上下2箇所だが、3〜4箇所空いているTUBEもあるようなので、この辺りもご注意いただいた方が良いだろう。
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■ TUBE TESTER (真空管試験機)

計測器マニアには(真空管だけに)タマらないTUBE TESTERのお話。
最近不必要となった真空管の断捨離を推進しているが、それでも諸々100本以上のストックがある。

それらの真空管の良否やペア組みの選定をするため、エミッション型とGM測定型の2種類のTUBE TESTERを使用している。

※共にアメリカ製機器ですから117Vにステップアップして使用しております。


エミッション型はHEATHKIT/IT-17という機種で、ヤフオクで調達したものである。

若干計測数値が怪しかったので、自力で劣化の可能性のあるオイル・コンデンサーをフィルムコンに、またセレン整流器をダイオードに交換している。

更に頑固親父さんに依頼して測定値に影響する不良抵抗などの良品交換を実施してもらっている。

○IT-17での合否判定方法

@電源を入れる。右中段のSET LINEダイヤルをOFFの位置から時計回りにメーターの針がLINE TEST中央の50を示すまで上げて行く。

A画像にはCalibration Tubeの6L6メタル管が先に挿してあるが、中央の窓表示から左右のダイヤルを回して6L6を選び出す。


B判定する6L6 TYPE→3/FILAMENT→6.3/PLATE→27/TOP(T)→CDE/BOTTOM(B)→GHの計測条件表示を確認する。

C右下段のTYPEダイヤル→3/左中段のFILAMENTダイヤル→6.3/左下段PLATEダイヤル→27に合わせる。

D下段横一列(A〜N)のレバーC・D・E→T(TOP)上に上げる、G・H→B(BOTTOM)下に倒す。

E右上のSHORT ADJ. LINEノブを下に押し下げて合否判定(BAD/?/GOOD)する。

判定結果はGOOD(58〜100)の88を示しているので非常に良好という判定になる。(BADは42以下)


GM測定型は軍用TV7でお馴染みのHICKOKが1950年代に生産したModel 533を、セカイモン経由でアメリカより調達したものである。

購入当初は計測時にメーターの揺れ(フラつき)症状が出ていたので、頑固親父さんに依頼してメンテナンスをお願いしている。

修理内容は、回路図上はメーター端子にコンデンサーが配置されていたが欠落していたので加え、計測スイッチのクリーニングを行なっている。

○Model 533での測定方法

測定精度を判断するため、アメリカより画像のModel533で使用可能なCalibration tubeを調達している。

RCA製メタル管で5628μmhoの正確な計測値が示されている。

このTUBEを使用して計測の手順を説明する。

@左中段のPOWERスイッチをON。(右中段パイロットランプ点灯)

A下段表示窓に右側のダイヤルを廻して6L6を選び出す。

B測定するTUBE TYPE 6L6→右側PILOTランプ左のFILAMENTダイヤル→6.3/中段横一列SELECTORS(7つのノブ) →左からJ・R・5・3・4・7・2/

中段左BIASダイヤル→23/中段右ENGLISHダイヤル→88にそれぞれ合わせる。

PRESS(測定ボタン)P4/MUT.COND(基準値)5000

C合否判定する時は右下MICROMHOSレバーを左ENGLISHに合わせる。

D計測前に下段横一列ボタン右端のLINE.ADJを押して、メーターの針をボタン左のLINE ADJUSTノブを回して中央のLINE TESTに正確に合わせる。

EP4ボタンを押してスケール上の針の位置で判定する。GOOD(緑)範囲内を指せば合格、REPLACE(赤)なら交換、?は早めの交換必要。

FGM計測時には、右下MICROMHOSレバーを計測するTUBEの値から3000/6000/15000スケールの中から選択。6L6→6000スケール

GP4ボタンを押してスケールの値を直読する。


  

GM計測値は5600を超えた付近を示しているので、Calibration tubeの実測値(5628)とほぼ合致している。

※ENGLISHでの合否判定を行なっていないが、GM測定で基準値5000を超えているのでそれだけでも元気な状態と判断できる。


更にこのModel 533にはLIFE TESTという便利な機能(右下スイッチ)がある。

通常の合否判定やGM測定時には上NORMALで計測する。

真空管の寿命を判断する時、下LIFE TESTでのGM計測値がNORMALの計測値の75%以下なら寿命、といった仕組みである。

6L6ではGM基準値だけで廃棄値が分からなかったが、廃棄値がわかるTUBEではこの値を下回ると既に寿命と判定できる。

GM測定値が廃棄値〜基準値の間であれば使用可能、基準値を上回れば元気な状態と判断している。

新品でもGM基準値を下回るTUBEもあるが、合否判定などと組み合わせて状態を管理している。

この試験機は大変重たくて、計測するたびに肩が悲鳴を上げている。                               3/28

    

■ 桜の開花状況

あと数日で新年度を迎える。

毎年この時期になると、近隣の荒川沿い遊歩道に咲き乱れる桜並木を撮影することにしている。

今年は3月20日(金)「春分の日」の花見となったが、東京に比べるとこちらはやや開花が遅れているようだ。

樹によっては満開に近いものもあるが、その隣が蕾だったりするので、並木全体が一斉に満開となるような感じではない。

3月下旬になって、新型コロナウイルスの世界的な蔓延拡大を受け、各国で厳しい外出制限や渡航禁止処置が取られている。

そのため生活必需品への需要が集中して、スーパーのトイレット・ペーパーの棚などは依然として品不足が続いている。

経済活動の長期間停止を余儀なくされた中小企業の倒産増加が予測される中で、なんとあのTOYOTAがパンデミック長期化に備えて1兆円もの融資枠を銀行団に要請したのは驚きだった。

定年して外出機会が減少し引き篭もりに近い生活を送っている我が家では、幸いなことに感染などのリスクは少ないが、週3〜4日通っている地元スポーツクラブの施設利用が禁止となって、喜んで良いのかますますオーディオに接する機会が増えている。                              3/30

    

■ 無題・・・・・

月末に実家より急報があり、深夜高速にて京都へ車を走らせる。

新年度初日から数日を掛けて一通りのお弔いを終え、一旦関東に舞い戻る。

新型コロナの急激な感染拡大により身動きが取れなくなるのを恐れ、初七日を待たずして早めに帰路につくことにしたのである。

西に位置する鴨川の桜並木は8分咲きだが高野川の方は満開に近く、火葬場に赴く車列に最後の彩りを添えていた。 4/4

    


■ Chriskit MARKY Custom

今年度最大のプロジェクト「新規アンプ導入計画」の進捗状況は、真空管をチョイスしたCの後、工房の製作開始待ちが続いている。

老境に差し掛かると、この「待ち侘びる」=『その時や事態が来ることを非常に期待して時を過ごす』というのも楽しいものだ。

その工房から借り受けた6AR6シングルアンプは、その後もクラシック向きの美音を楽しませてくれている。

さて、Chriskit MarkYのプリアンプと組み合わせ、ROCK&POPS用GOODMANS AXIOM150MkII/3WAYで使用するようになったSV-91Bは、

理想的で素晴らしいマッチングを見せている。

Chriskitプリアンプは昨年、カップリング・コンデンサをWEST CAPに交換して電解コンデンサーも一部銀タンタルに換装している。

UESUGI TAP-31とコンビを組んでいた時、使用する真空管については試聴して決め込んだがそのままとなっていた。

新たなSV-91Bとの組み合わせでは馬力のある重低音に満足感も高く、搭載フォノイコを使用したOrtofon SPU-GEのタイトな音質は全く素晴らしいものだ。

そんな中、Mofiのフォノイコをライン段に繋いだEMPIREの音質にも特に不満はないが、Shureフォノイコ経由のShure M44-Gの音質に高域のトゲがあるのが唯一不満となっていた。

そんな訳でこの辺りの問題を解決できないかいつも通りの「球転がし」を仕掛け、音質の変化を試してみることにした。

これまではフォノ段V1〜V2にLUXの選別管MATSUSHITA12AX7G/バッファV3にはMullard ECC83Long・Plate/ライン段V4〜V5のECC82にはMullard CV4003(8136)/V6バッファにはTELEFUNKEN ECC83◇という組み合わせだった。

これをV1〜V2にMullard ECC83Long・P/バッファV3にTELEFUNKEN◇/V4〜V5のECC82にはMullard 4003(8136)/V6バッファにはMullard ECC83Long・Pを組み合わせて、Marantz7Rなどの過去の経験を生かした最強の組み合わせでチャレンジしてみることにした。

特に不満がある訳でも無かったフォノ段についても、MullardとTELEFUNKENの組み合わせに替えて試聴を開始する。

低域の量感と高域の解像度をあわせもったMullard/Long・Pに◇マークの組み合わせは、キレ味の増加が聞き辛さにつながるのではとも思う。

そんなことを考えながら試聴したところ、やはり圧倒的な押し出し感のあった低域の勢いが弱まり、迫力の落ちた上品な音に変わってしまった。

そこでバッファには元通りMullard/Long・Pを使い、V1〜V2には米RAYTHEON12AX7A/Black・Plateを持ってきたりもしたがこれも今一歩。

最終的にはV1〜V2をがむしゃらな勢いで闊達な音色のMITSUBISHIとして、バッファにもMullard/Long・Pという元通りの組み合わせに戻った。

次に少し違和感のあった問題のライン段である。

ボックスプレートのCV4003(8136)をそのまま残して、バッファのTELEFUNKEN◇マークをMullard/Long Pにチェンジする。

そうすることで切れ味抜群の◇マークから、高域をやや大人しく色付けさせる狙いがある。

その結果、違和感のあったShure M44-Gで思い通りの改善効果を得られ、EMPIREでもグルーブ感のある音色のまま高域の抜けが良くなった。

今回もこのような試行錯誤の結果、なんとか理想に近い音色で楽しめるようになったと感じている。      

もちろんケーブルの変更などでも音質は大きく変わる。

しかしアンプに内蔵されている真空管の「球転がし」の方が、微妙な音質の変更が可能で交換作業に手間取らないのが良い。

好みの音に色付けを変えられる真空管アンプは素晴らしいと今更ながら感じている。                            4/5

    

■ 緊急オーディオ活動宣言

遅ればせな感じが否めないが、緊急事態宣言が発令されることとなった。

細かな対応は各自治体の判断に委ねられる模様だが、不要不急の外出自粛要請が強まりそうだ。

子供たちは体力を発散する場を失われストレスが溜まる心配が深まるが、オーディオを趣味とする年配のおじさんたちは引きこもりが全く苦にならない。

そんな訳で趣味の音楽鑑賞やオーディオ実験室の取り組みを細々強化することにしましょう。

本日のテーマは「ターンテーブルシート(マット)」である。

主にクラシックを楽しんでいるGoodmans AXIOM22MarkII/2WAYは、TAラボよりお借りしている6AR6シングルアンプを使って駆動している。

アナログ・システムにThorens TD126+MCH-IIを使う場合、これまでと違って低域方向へのバランスが少し希薄なため、高域がヒステリックに感じることがある。

このトーレンスのプレーヤーには付属していたマットは厚過ぎてカートリッジの高さ調整が難しく、ブチルゴム系シートOYAIDE/BR-12を組み合わせている。

このタングステン配合シートは明るく押し出しの強い音質特性が、どちらかといえばROCKやJAZZ向きではないかと考え、今回新しいシートを試してみることにした。

昨今、アクセサリー類にも高単価の波が押し寄せていて、1万を超えるような商品も多数販売されているが我が家ではそんなグッズに用はない。

選んだのは比較的安価なAETのシート(HPDM-2913M)で、「アナログリスナーに捧げる新世代ターンテーブルマット」の謳い文句が明記されている。

重みのあるゴム系のオヤイデと比較すると軍需用途に開発された新素材らしく、Nottinghamの純正マットと同じような非常に軽いマットだ。

Garrard401には5mm厚の純毛フェルトシートを使用しており、NottinghamにはパイオニアのJP-501ブチルゴムシートを使用している。

どちらかというとゴム系のシートは低域方向の量感が豊かになり重心が下がるが、フェルト系は抜けが良くなって濁り感がなくなる傾向がある。

その抜けの良さが効果的に働いて、高域に独自の繊細感を持っているMCH-IIの音色が柔らかくなれば有り難い訳だ。

さて、クラシック系ソースを使用して、早速比較試聴を実施することにしよう。

一聴して新たに購入したAET機能素材シートは、音場に立体感は出るが高域のサーフェスノイズが耳につく、やや密度の薄い音色で即NGとなってしまった。

やはり軽めの素材は無理かと早々に諦めて、ゴム系の手持ちのシートを片っ端から試してみることにした。

  

この中で比較的バランス良く聴こえたのが、厚めのThorens 純正マットと東京防音の安価なハネナイト素材のマットである。

そんな訳でThorens純正マットは厚過ぎてアームの高さが足りなくなるので、これまで使用する機会のなかった東京防音のマットを選ぶことにした。

OYAIDEのマットと比較して、優しく大人しいバランスの音色となる点が良かった。

軽量の機能素材のシートは、余程低域の量感があるシステムでないと音色バランスが取れないのではないだろうか。                      4/7

    


■ 久しぶりにMCカートリッジの話題

引きこもりオーディオ活動継続中。

こちらはNottingham INTERSPACE-ARMに装着しているLYRA Clavis.D.C(ダ・カーポ)である。

発売はSPU MEISTERと同時期の1995年。

STEREO SOUND「コンポーネント・オブ・ザ・イヤー'94〜'95」のカートリッジ部門で、SPU MEISTER と1位を分け合っている。

高精度インタースペース・アームを生かせるカートリッジとして中古で購入したが、購入後十分に活用しないまま不注意にもカンチレバーを根本から折ってしまった。


  


そのまま廃棄するのも忍びないので、たびたびお世話になっている富山の修理業者にお願いして外径接合により根本からカンチレバーを付け替えた。

オリジナルはセラロイカンチレバー+針先3×30μダイヤモンド無垢針のところ、アルミパイプカンチレバー+ダイヤモンド接合楕円針で修復している。

左画像のオリジナルと右画像の修復後を比べていただくと、カンチレバーが倍以上の太さになっているのがお分かりいただけると思う。

心臓部の強力なネオジウム磁石は同じで音質がどれほど変わったかはよく分からないでいるが、安価な修理代を考えれば文句は言えない。

さて、久しぶりにパワーアンプをSV-91Bに入れ替えたGoodmansSTAGE3/3WAYを使って愛聴盤に針を落としてみた。

MCトランスにはLangevin408Aを組み合わせている。


Pink Floyd 『P・U・L・S・E』


こちらは1995年にリリースされた新生ピンク・フロイドのライブ・アルバムである。

その後の『LIVE IN GDANSK』や『LIVE AT POMPEII』などライブの原型となるが、『狂気』の再現を含んだこちらのアルバムが最も完成度が高いと感じている。

巨大なドーム型ステージに降り注ぐライティング・シャワーが生み出す幻想的なイメージを、このカートリッジは立体的な構築力で余すことなく表現してくれる。

ワイドレンジで緻密な表現力が持ち味のカートリッジだが、それが決してきつさや煩さに繋がっていないところに好感を持っている。           4/10

    

■ 真空管のソケット

引きこもりオーディオ活動継続中。


SV-91Bアンプの音質には満足しているが、以前一度交換した整流管用GTソケットの具合が今一歩しっくりこない。

しっくりこないと言うのは音質的な問題ではなく、真空管を挿入してもグラ付きが激しくてなんとなく頼りなく感じている点にあった。

前回交換したのはオリジナルと同様の中国製オクタルセラミックタイプだが、今回はもう少し品質の高いUSA製を選ぶことにする。

同時に300BのUX4ピンの方も、セラミック中国製からUSA製に交換したかったが、こちらは取り付けサイズが合わず断念した。

左上はAMERICAN PHENORIC(アンフェノール)UX4ピン、右上は40年ほど前にウエスタン狂のオーディオ仲間からもらった米NATIONALセラミック4ピンソケットだが、ともにサイズやピン配置の問題で取り付け不可となった。

GTソケットはいつもお世話になっているバンテックさんより調達した、信頼性の高い米EBY製のMIL規格オクタルソケットだ。

  


しかし、UX4ピンソケットについてはe-bayを含めネットを通じてかなり探してみたが、良質なものはほとんど枯渇しているようだ。

現在生産されている中国製はいつも通り財布に優しいのはありがたいが、工作精度が低い上にバラツキも多く、接触不良を起こすものがあるようだ。


GTソケットを良質なものに取り替えたところ、期待通りピンの食い付きも良くなって精神衛生上すこぶるよろしい。 

今回、真空管アンプの重要なパーツであるソケットを従来の中国製から質の良い国産かUSA製に改良したかったが、またしても持ち越しとなった。

相変わらずハンダの技術に上達が認められず、配線材の被覆を焦がすなど全く汚い仕上がりで悲しい限りである。                              4/13

    

■ AXIOM22MkII+UESUGI TAP-31


いつまで続くのか、引きこもりオーディオ活動継続中。


久しぶりにEL-34TRIODE/NON-NFBプッシュプルアンプUESUGI TAP-31を持ち出し、GOODMANS AXIOM22MkII STAGE2に組み合わせて聴いてみる。

考えてみると昨年このアンプが我が家に来てから、組み合わせるのは初めてだ。

ここ数ヶ月に渡って6AR6シングルアンプで楽しんできたが、やはりプッシュプルのアンプで駆動すると音質傾向がかなり違ってくるのがすぐ分かる。

音場の見通しが良くなり、それぞれの音のエッジがハッキリして解像力と描写力がともに高まって聴こえる。

シングルでは詳細に描写するのではなく全体をシルキータッチで包み込む音質傾向が、コントラストのハッキリした分だけきめが荒くなったように聴こえてくる。

よく伸びた低域にも十分なパワーを感じさせる力強さがあり、この低域が土台となり全帯域に渡って説得力のある音質傾向を特徴付けている。

プッシュプルの中では比較的繊細で柔らかい美音系アンプに感じたが、シングルアンプと比較すると男性的に感じるほど音質傾向が異なっていた。

やはりクラシックオンリーで楽しむなら、シングルアンプの滑らかさを好ましく感じた。                               4/14

    

■ 接点クリーニング

至って真面目に、引きこもりオーディオ活動継続中。

本日のテーマは真空管アンプ愛好家なら必ず経験のある「ガサ、ゴソ」ノイズの解消にチャレンジである。

一時緩和したと思ったが、最近またChriskit MarkYプリアンプの発するこのノイズが気になり始めた。

これらのノイズはもっぱら真空管のピン(足)とソケットピンの酸化が引き起こす接触不良が原因となっている。

真空管のピンはクリーニングや磨きをかければ何とかなるが、劣化したソケットの方はこれまで新品に交換するしかないと考えていた。

Marantz7では同じ問題で悩まされた時にいつもの専門店に修理をお願いしたところ、真空管ソケットがカシメ留めされているために簡単に交換することができず、ピンを1本ごとに交換するしかなく苦労したとの話を伺った。

こちらのプリアンプは1970年代中頃の製品で、真空管はプリント基板に取り付けられた基板用のMT9ピンソケットを使用するタイプである。

これをシンチなどに取り替えれば問題は解決するはずだが、ソケット取り替え時にボケをかまして基板のパターン切れなどを起こすのが心配である。

ソケットの寿命は承知だが、何とか接触不良を解消できないものかとクリーニングを徹底してみることにした。

いつもは基本の綿棒と歯間ブラシに無水エタノールを使って処理しているが、今回は和光テクニカルのオイルとクリーナーを試してみることにする。

ゲイグなどの接点復活材は避けた方が良いとの話もあるが、こちらのアイテムはアルコールを主成分としているので悪影響はないかと思われる。


  


手順としては、真空管のピンやソケットピンをメタルクリーナーMC13を使って汚れを落とし、チタンオーディオオイルTi-102で保護する。

ソケットのクリーニングには歯間ブラシを使用していたが、今回使用した先の尖った工業用綿棒もなかなか優れものである。

今回この方法でクリーニングした結果、直近でクリーニングしたばかりだった真空管とソケットの両方とも、使用した綿棒には黒ずみが出ている。

クリーニング後の結果については、「ガサ、ゴソ」ノイズはかなり改善され気にならなくなったが、耳を澄ませば継続的なホワイトノイズも出ている。

たぶんこれはこのアンプ固有のもので、少し雑音が大きめなのは全体的なハンダの劣化などが影響しているものと考えられる。

今度症状が悪化した時は、やはりソケットの交換が必要なのかもしれない。

その時には頑張って、基板用ソケットの交換にチャレンジすることにしましょう。                                        4/15

    

■ EMPIRE4000DIII

  


依然として引きこもりオーディオ活動を継続中。

今回は1970年代に生産され、その後半世紀近く経過した令和の時代に至っても愛用者の多い、EMPIREのMI型フラッグシップ機がテーマとなる。

現在アナログプレーヤーのEMPIRE598Nには、EMPIRE1000ZE/Xの純正組み合わせでポップスなどを中心に楽しませてもらっている。

この1970年代初頭の米国製プレーヤーには、内部配線をオーグラインと102SSCに換装したEMPIRE980アームを搭載しており、音質の方もオリジナルの古臭いナローレンジなものからリフレッシュされている。

以前その1000ZE/Xと音質を比較し、全く精彩を欠いていた4000DIII。

その後、そんなはずでは無いとテクニカのスタイラスクリーナーでクリーニングを行なっていたところ、針先が取れて無くなってしまった。

高倍率のルーペで針先を確認したところ、円柱形の金属台座は確認できるがスタイラスチップだけ綺麗に取れており、これは明らかに安価な接合針の構造だ。

このカートリッジは90年代に調達したもので、カタログには「4面でカットされたダイヤのムク針」とあるし高価な価格設定からダイヤモンド無垢針が妥当だが、そもそも販売価格が6〜7割引と2春価格に近いものだったことを思えば実際のところはハッキリしない。

とにかく今更オリジナルは諦めて、今回は右画像のJICO製の交換針(シバタ針)を調達することにした。

組み合わせるヘッドシェルは1000ZE/Xが山本音響工芸製HS-1A(アフリカ黒檀)で、4000DIIIの方はHS-3(ツゲ材)を使用している。

音質の好ましい1000ZE/Xにはドライカーボンのスペーサーがシェルの上に挟んであるが、4000DIIIの方は新たに調達したカーボンシートのサイズが少し大き過ぎるので、シャルとカートリッジの間に取り付けた。


  

さて、新しい交換針に付け替えてカーボンシートを使用した4000DIIIは、先日試聴したものとは全く別物の響きを見せている。

やはり針先が既に寿命だったようで、これまで嫌と言うほど聞かされてきた評価のとおり、フレッシュでワイドレンジなとても心地の良い音だ。

1000ZE/Xと比較しても帯域が上方に伸びた影響で重心がやや持ち上がり、低域のにじみが消えて情報量の多いクリアな音質となっている。

LPを2〜3枚と聴き進むに連れて下ろし立ての針先が馴染んできたのか、低域の量感が増して中高域にキレが出てきた。


「そうだ、そうだ、この音質だよ」と納得してポップスの愛聴盤に次々と針を落とし、ニンマリと悦に浸っている。                              4/21

    

■ SHELTER


引きこもりオーディオ活動を継続中。

SHELTERは旧FRの技術者が1986年に立ち上げたアナログオーディオ専門メーカー。

今回導入したMODEL501Classicはアルミカンチレバーに丸針を装着したオーソドックスな構造のカートリッジで、販売開始は2007年頃のようだが現在でも品揃えに名を連ねているベーシック機種である。

丸針の名器として人気のあるDENON DL-103と比較されることが多いらしいが、現代版日本製カートリッジの音質を試してみたくなり購入することにした。

我が家にもDL-103/DL-103C1の2機種があるが、どうしても高域の潤い感や艶かしさを乏しく感じて、もっぱらOrtofonの楕円針を愛用している。

そのような音質傾向が針先の形状に影響されているとすれば、また同じ結果になるのかもしれない。

さて、組み合わせには今年度調達した現行Mofiのフォノイコに、昇圧トランスはDENONの時と同じくPeerless4722を使用することにした。

POPS&ROCKの愛聴盤を使用して慎重に針を落とすと、一聴して音数の多いワイドレンジな音質が感じ取れる。

音域的には中低域に重心を落としたバランスで、高域の質感がソフトなためか耳障りな音の一切しない心地良い音色が持ち味だ。

かといって高域が伸びていない訳ではなく、繊細感もありそれなりの情報量を持っている。

音場の左右の広がりと奥行きともに自然で、伸び伸びとした響きや余韻の美しさを感じることができ、DL-103とはかなり異質な音質に感じた。

製作に当たった技術者は鉛筆に例えると「2B」と喩えていたが、決して太いばかりの音質ではない好ましい響きを持っている。                           4/23

※追記・・・・・・・何気なく90年代のSTEREO SOUNDを眺めていたら、1995年/No.116にこのカートリッジに関する記事があった。

501TypeIIの試聴記で、「本機の姉妹機としてモデル501の針先を0.65milの丸針としたモデル501クラシックがある」との説明があった。

    

■ SHELTER MODEL501 Classic


引きこもりオーディオ活動を継続中。


昨日から試聴開始した新しいMCカートリッジ。

誇張された意図的な色付けを全く感じさせない、自然な音色がとても気持ちが良い。

ライブ録音を聴いていても、その会場の中に溶け込んでいるような感覚を味合わせてくれるカートリッジだ。

低域の押し出しに迫力があるとか高域にキレや艶があるという感じはしないが、なぜかほのぼのとした心地よさを感じさせてくれる。

清流のような滑らかさを持ったカートリッジで、オーディオ機器の存在を忘れさせるような味わいを持っている。

このナチュラルな感覚はとても貴重で、常用のカートリッジとなって使用する頻度が多くなりそうだ。                                      4/24

    

■ オーディオ工作室  「増設アームベース編」  

引きこもりオーディオ活動を継続中。

本日は、Nottinghamのプレーヤーに増設している「自作アームベースの改良に取り組む」の巻。

左がSHELTERを使用しているGRACE G-565ロングアーム、右は現在お休み中のaudio-technica AT-1503IIである。

これまではベースの底4カ所に振動吸収ゴムを貼り付けていたが、自重がそれほどでも無いためグラ付きがあり頼りなかった。

オーディオ用スパイクに交換するのが最も効果的かと思われるが、オーディオ用と銘打っただけで値段が大きく跳ね上がる。

そこで身の回りの金具で利用できるものはないかと考えたところ、棚板を固定するスクリュー式ダボを思いついた。

これなら高さの調整も可能だし強度も十分で、なんといってもコストが大幅に安くて済む。


早速、いつもお世話になっている近所のホームセンターで購入したのが、ダボのオス、メスとそれを埋め込むときに使うダボ錐ドリルである。

真鍮タナダボ メス(10個) \150
真鍮タナダボ オス(10個) \150
六角軸ダボ錐(10mm) \848
   
小計 \1,148
外税 \114
合計 \1,262


お値段の方は上記の通り、圧倒的なコストパフォーマンスで、2台分(8個)使用しても2個余ります。

オーディオスパイクなら1台分(4個)でも5,000円以上するのは間違いありません。

さて、作成手順は@ゴム製クッションを取り除き Aドリルで穴を開け Bダボ(メス)を埋め込む 、で小一時間ほどで完成した。

少しネジの遊びが大きいので高さを調整するのにコツがいるが、グラ付くこともなく十分使用可能なレベルではないだろうか。

固形のグリスなどを流布すればちょうど良い塩梅になるのかもしれない。

如何なものでしょうか?

場所さえあればアームの増設はそれほど難しくはありません。

Ortofon/SME/FRなど人気のアームは高価なので、格安で高性能なアームを吟味して使用しております。                     4/25

※追記

高さ調整のためタボを緩めた時に発生するネジの遊びについては、万能グリースを塗り込んでほとんど気にならなくなった。

さらにTAOCのボード上にアームベースを設置すると簡単に横滑りするので、手持のオヤイデのスパイクベース(4個/約1,600円)をダボの下に置いたところ、ベースがその分高くなるがコストパフォーマンス最高の理想的なアームベースが完成した。


  


メデタシ メデタシ。                                                                     4/26


    


■ 不思議なSHELTER


 


引きこもりオーディオ活動。

継続してSHELTERのカートリッジで楽しんでいる。

昨年試聴したKOETSU BLACKに似てハーモニーがとても自然で美しく表現されるが、こちらの方がワイドレンジでさらに滑らかさがある。

この辺はボロンカンチレバー+ラインコンタクト針とアルミカンチレバー+丸針の違いによるものなのだろうか。

また、光悦の時には感じなかったが、なぜかこのカートリッジで音楽を楽しみたいと思わせる不思議な魅力を持ったカートリッジだ。

POPS&ROCKなどではよく弾む低域の量感も十分だし、クラシックでは弦楽器のナチュラルな繊細感がとても心地よく感じられる。

それほど高価でもなくネット上にも愛用者からの投稿はあまり見かけない機種だが、十数種あるカートリッジのなかで特にお気に入りのものとなった。

4/28


    

■ GRACEのトーンアーム

引きこもりオーディオ活動。

GRACE(品川無線)はオーディオ関連の開発企業で、1980年代のCDの登場によりオーディオからは撤退するが、現在も会社自体は存続している。

特にNHK放送技術研究所と共同開発したMM型カートリッジのF-8シリーズや、工作精度の高いトーンアームは1970年代からオーディオマニアの憧れの的だった。

我が家でもこのGRACEとaudio-technicaのアームを愛用しているが、製造後半世紀近く経っても高い品質と音質の良さを維持しているのは驚きである。

それらのアームは21世紀に入ってから中古購入したものだが、選んだ理由がOrtfonやSME、FRなどの人気商品と比べ手頃な調達価格にあるのは間違いない。

さて、画像はG-545(F)ショートアームとG-565(F)ロングアームである。

後発のモデル番号末尾にFがついている商品は、4チャンネルレコード再生向け低容量シールドケーブルが採用されている。

ジンバル・サポート方式を軸受に採用した美しいフォルムも、音質だけでなく所有したいと思わせる大きな要因となっている。

工作精度の高さはこのウエイトのネジ一つからも窺える。


ピッチが昔のインチネジのようで簡単に換えが効かないのが困り物だが、ネジ先の白いストッパーは単純に接着してあるわけでなく埋め込まれる構造となっている。

こちらは2種類の純正フォノケーブル。

左が通常のケーブルで、右がモデル番号末尾にFがついている商品に付属している低容量シールドケーブルだ。

低容量シールドケーブルの方にはPC-4の型番がある。

この「低容量」というものがよく理解できなくて色々調べたところ、1970年に開発された4chステレオ(CD-4)の音楽ソフトに対応した、高い周波数帯域を減衰させないフォノケーブルのことだった。

さらに当時のようなMMカートリッジの全盛時には、カートリッジごとの負荷容量に環境を整えないと、高域が強くなったりすることがあったとのことだ。

MCカートリッジでは特に気にする必要はないらしいが、最近使用する機会の増えたSHUREやEMPIREなどの使用時には注意が必要だということになる。

SHELTERのカートリッジ購入後は、MM/MI/VL型などの機種はEMPIRE598で使用するようになった。

GRACEのアームではもっぱら軽針圧MCカートリッジを使用しているので低容量シールドケーブルの必要性はないはずだが、一度音質の比較をしてみることにした。

カートリッジには最近お気に入りのSHELTERを使用することにする。

まず、純正2種類のケーブル比較では、やはり後発の低容量シールドケーブルの方が若干レンジが広く、ワンランク上の印象を持つが基本的には同傾向の音色だ。

どちらも半世紀前の古い製品でどのような線材を使用しているのかは明らかではないが、OFC(無酸素銅)などの導体はすでに採用されていたのだろうか?

そんな訳で今回、オヤイデフォノケーブル自作セットにカルダスのM-DINプラグを使用して、新しいケーブルへの交換を思いついた。

(GRACEのフォノプラグの差し込みプラグは画像の通り、現在主流のメスではなくオスタイプなので、自作するしか新しくする方法はない。)

このオヤイデのセットで使用しているケーブルは102SSCの1芯シールド線で、この導体はEMPIRE980の内部配線材としても使用している。

流石に半世紀の間にオーディオ用として使用される導体も、進化を遂げているのは間違いないことが交換してすぐに感じ取れる。

不純物だらけの古いWE銅線をいまだにオーディオマニアが好んで使用している例はあるが、音楽性はともかく明らかに音数が増えクリアで力強い音質に変わった。

エンジンの馬力がアップしてスピードが時速から音速に変わり、シワだらけだったヨボヨボの老人がはち切れんばかりの肉体を持った若者に変身したイメージだ。

値段は安価なのでもう一本作り、Ortofon MC30シリーズを使用しているお隣のGRACE G-565Fも新しいケーブルに付け替えることを考えている。                         4/30


    

■ オーディオ工作室 「フォノケーブル編」


引きこもりオーディオ活動延長戦。

今日のテーマはMC型以外のカートリッジで使用することにした、EMPIRE598用フォノケーブルの作成である。

以前に何度か投稿させていただいているが、この1970年代のアメリカ製プレーヤーはアームをEMPIRE980に交換しており、アームの内部配線をプレーヤーキャビネットの後部ターミナルまで伸ばしてそこからRCAケーブルで配線できるように改造している。

これまではプレーヤーからSHURE M64フォノイコまでの配線はFUJIKURA RG-174/U(線間容量101pF/m)を使い、そこからプリアンプへはBELDEN8412(線間容量108.3pF/m)を使用していた。

MM型などのカートリッジではそれぞれの負荷容量に環境を整えないと高域が強調されるとのことだったので、フォノケーブルを線間容量の異なるCANARE2芯シールドケーブル(線間容量73pF/m)に交換してみることにした。

負荷容量に適応させるといっても、その範囲がカートリッジからフォノイコまでの全ての配線(リード線〜アーム内部配線〜フォノケーブル)と、フォノイコまで含まれるというから話がややこしい。

一般的なMM型カートリッジの推奨負荷容量は100〜200pFを指定しているらしいが、このカナレのケーブルは長さを考慮しても100pFほどである。

ちなみに先日製作したGRACEのフォノケーブル(102SSC 3398-SY)は、線間容量280pF/mである。

これがリード線やフォノイコまで含まれると一体どれぐらいの負荷容量になるのかは想像もつかないが、結局合わせてみるしかないとの結論に至った。

そんな訳で秋葉原の千石電商から部品を配送で取り寄せ製作を開始する。

今回選んだケーブルはThorensにも使用しているカナレの2芯ケーブルで、プラグは前回のGRACEと同様にスイッチクラフトの金メッキプラグを使用する。


    


左はプレーヤーとフォノイコを接続しているFUJIKURAの(MIL規格同軸)RCAケーブルで、右が今回製作したCANARE RCAケーブルである。

方向性は皮膜にプリントされている文字に合わせている。

一時間ほどで完成しEMPIRE1000ZE/X(静電容量100pF)で試聴すると、 ベルデンとは線間容量にもそれほど大きな差がないためか音質も大きな違いはないように聴こえるが、交換後の方が低域のにじみが消え見通しが良くなった。

しばらく聴いていると、ベルデン特有の滲み(よく言えば厚み)が消えた分、音場がすっきりしてそれぞれの楽器の分離が良くなったように感じている。

負荷容量の高いSHURE M44(450pF)ではまだ試していないが、問題が無ければこのまま使って行こうと考えている。                         5/10


    

■ 6AR6シングルアンプの試聴C

引きこもりオーディオ活動延長戦

依然としてクラシックを聴くときは、チューブ オーディオ ラボ さんからお借りしているシングルアンプを使っている。

整流管には英STC/CV717/5R4GYを使用していたが、最近になって高域の質感が滑らかで音色に温もりのあるGZ32/CV593に変更している。

一昨年トランスの寿命によりQUADIIの使用を諦めたときに整流管のMULLARD GZ32/CV593の大半を処分したが、エッチングコードが無く出所が分からない2本が手元に残っており、その内の1本を試してみたところなかなかの音色だった。

ブラウンベースにG.P.O.(General Post Office)の印字があり、構造からMULLARDブラックバーン工場製と思われるが、管壁のコードが消えてしまっている。

STC/CV717/5R4GYでは高域が少し平面的な音色となっていたが、ゆったりとした奥行きを感じさせてくれる鳴り方はまさしくMULLARDの響きそのものだ。

最近は老化のため聴力の衰えもどんどん進んでいるようで、日によってはカートリッジを変えてもあまり音質の差を感じなくなってきた。

若い頃には高域の鋭い響きによって頭が痛くなることがしばしばあったが、幸か不幸か最近はかなり長時間聴き続けないとこの違和感を感じなくなっている。

外出自主規制と同時に体育館の使用ができなくなり、4月初旬よりスポーツで体を酷使する機会がめっきり少なくなっている。

還暦後に再開したスポーツでの肉体疲労はかなり改善されたが、腕を振った時のボキボキ音と肩の痛みだけは整骨院に通ってもなかなか抜けなかった。

最近になって肩甲下筋のマッサージ動画がYouTubeに投稿されているのを発見し、試してみたところ長期間苦しんでいた肩の痛みがやっと引いてきた。

ランニングやウォーキングだけは適度に実施しているが、6月からは体育館通いを再開できないものかと考えている。                                 5/13


    

■ 新たに調達した真空管

ホームタウンの埼玉県は依然として外出自粛が解除されないので、引きこもりオーディオ活動延長戦が続いている。

真空管アンプとアナログレコードで音楽を楽しんでいるオーディオ愛好家は、真空管やカートリッジを替えることにより色々な音色を楽しむことができる。

そんな訳で真空管全盛期に各国で生産された音質の優れたTUBEを探し出し、その音色を楽しむことが真空管愛好家の楽しみとなっている。

今回調達したBRIMAR(STC)6060/CV4024(12AT7WA)は、1950年代後半から60年代初頭にかけて製造された黄色Tデカールの貼られた希少球だ。

昨年にUESUGI TAP-31を導入するまではECC81/12AT7の使用経験はなく、純正のPHILIPS ECGに加えてTELEFUNKEN ECC81◇を購入してあった。

そのTELEFUNKEN ECC81◇1本にノイズが混じるようになったので手頃なTUBEがないか物色していたが、同じダイヤマークの出物もあまり見かけないので、こちらのBRIMAR「Yellow T」に狙いを定めヤフオクにて落札した。

BRIMARは通常の1970年代に製造されたECC83を複数個所有しているが、特にこれと言ったクセのないナチュラルな響きが持ち味のTUBEだと感じていた。

それらと比較するとこの古い「Yellow T」は英国パートリッジのトランスが聴かせてくれた高域の美しい硬質感と、グッと締まった迫力ある低域を楽しませてくれる。

Telefunken801Sなどと並び称されると言うのも納得させられる音質ではないだろうか。

Chriskitプリアンプのライン段に使用しているMullard M8136/CV4003を少し増幅率の高いこちらのTUBEに変えると、低域がタイトに締まり高域の美しい輝きが俄然生きてくる。

想像以上にBRIMARの「Yellow T」は良いTUBEだ。


お次は手持ちの在庫が意外と少ない独SIEMENSブランドのE82CC/12AU7Aである。

SIEMENSは僅かにTriple-Mica E83CCをフォノイコEAR-834Pの初段で使用しているのみで、我が家では英Mullardの影に隠れたBRIMAR同様、♢マークの後塵を拝するブランド扱いとなっている。

この他に我が家のストックを見てみると、1980年代に調達した珍しいE82CCのシングルフランジのTUBEしかなかった。

Chriskitプリアンプで音質を確認してみたが、Mullard M8136/CV4003と相通ずる、ゆったり感のある滑らかで肌触りの優しい音質だった。

Chriskit MarkY CustomはパワーアンプSV-91Bと組み合わせ、GOODMANS 3WAYを使用して主にPOPS&ROCKを楽しんでいる。

今回の試聴でゆとりある優しい音質のMullard/SIEMENSより、エッジがはっきりしてゴリゴリ感のあるBRIMAR「Yellow T」を組み合わせることにした。    

5/20


    

■ 新たに調達した真空管 Part2

他県への移動自粛が徐々に緩和される中、新型コロナ感染患者が再び増加し始めている北九州市などの状況が心配だ。

さて、6月最初の投稿はまたしても真空管の話題。

これまでECC81(12AT7)系TUBEの使用経験はなかったが、昨年導入したUESUGI TAP-31に使われているので徐々にストックを増やしている。

プリアンプChriskit MarkYのライン段に使用されているTUBEをECC82からBRIMAR ECC81に変更すると、響きに実在感が出てきたのでこちらもECC81系に変更。

UESUGI TAP-31に付属しているオリジナル12AT7WCはPHILIPS ECG(シルバニア製)だったが、まず最初に最高峰のTELEFUNKEN ◇マークを調達した。

しかしこのTUBEの1本にノイズが出始めたので、新たにBRIMARの「Yellow T」を調達してこれをプリアンプに転用したところ好結果を得たというわけだ。

今回調達したのはBRIMAR/CV4024で、BRIMARの「Yellow T」より後に製造されたもののようだが、程度も良さそうだったので購入することにした。

購入後、早速HICKOK真空管試験機にて良否判定とGM測定を行い、さらに実機に装着してノイズなどの音質確認を実施している。                    6/2


    

■ MM型カートリッジのその後


先日、MM型カートリッジに合わせて線間容量の低いシールド線を使い、EMPIRE598用に新たなフォノケーブルを自作した。

その後、MI型EMPIREやVL型DECCA、MM型SHURE M44の各種カートリッジで試聴を続けている。

BELDEN8412を使用していた時にはEMPIREのカートリッジが最もバランス良く聴こえたが、交換後に聴くとなぜか腰高のバランスとなってしまった。

それとは逆にSHURE M44シリーズの音質が最もバランス良く響くようになった。

現在我が家にはSHURE M44のボディは3種類、前期カモメマークのM44GとM44E、後期型番のみボディのM44Gがある。

針は6種類、後期ガード付きのオリジナルN44GとN44-7、JICO製N44-7とN44G、KYOWA製N55E、スイスPfanstiehl製N44Eがある。

色々組み合わせてみて最も音質の良かったのが、画像のカモメマークM44Gに後期ガード付きオリジナルN44Gを組み合わせたものだった。

N44E/N55Eの楕円針ではキレが乏しく音質傾向が一挙に大人しくなり、逆にN44-7では少し乾いた荒っぽい暴れ気味の音質となる。

カモメマークM44Gに後期ガード付きオリジナルN44Gの組み合わせでは、このカートリッジの持ち味であるキレやパンチに響きの良さが加わって、これまで聴いた中ではMM型として最高の音質を楽しむことができた。

特にROCK系の曲種には相性がバッチリで、十倍以上の価格のMC型をも凌ぐ音質を味わうことができる。

今後このEMPIRE598ではこの組み合わせがリファレンスとなりそうだ。                                                           6/2 Part2


    

■ 塗装の不思議

MM専用で使用しているEMPIRE598(980アーム搭載型)プレーヤー。

SHURE M44の音質が気に入って、最近使用する機会がめっきり増えている。

今年の冬に徹底的にレストアして、再塗装を行った件はすでに投稿させていただいている。

その時に投稿した画像とアウタープラッターの色が変わっているのをお気付きいただけるであろうか?

実はシャーシやアウタープラッター用に選んだ塗料はオリジナルと同色のシャンパン・ゴールド塗料が見つからなかったので、アサヒペン「メッキ調スプレー/シルバー」を使用して、さらに保護の意味もありクリア塗装で上塗りしている。

最近、何気なしにゴムシートを取り外してみたところ、アウタープラッターの塗料が溶けてネバネバとシートに貼り付いてしまっていた。

塗装の乾燥が十分でないまま使ったのが原因かとも考え、今頃になって使用した塗料の説明書きを注意深く読んだところ、

※金属表面に金属粉を浮かして金属光沢を出すようにしていますので、乾燥後も手や衣服などが触れると金属粉が付着し金造光沢が損なわれます。

※外観が変わったりハガレを生じたりするので、クリアなど他の塗料を上塗りしないでください。

と記入されているが、色だけを考えていてこの注意書きなどは全く気にしていなかった。

アウタープラッターは手に触れると説明の通りシルバーの粉が手に付着するが、シャーシ本体は触れても全然問題もなく表面はクリア塗装でしっかりガードされている。


  


しかしこのプレーヤーに付属する上質なゴムマットは、製造後半世紀が経過しているにも関わらず未だに柔らかく光沢もあり、レコードを載せても吸い付くようである。

今度は念を入れてプライマーで下地処理を行い、プラモデル用タミヤ/ゴールドスプレーで塗装することにした。

さらにタミヤ/クリアカラーで表面保護したが、今回もしばらくすると一部塗料が溶けたようにベトついて、左画像のように所々ゴムマットに塗装が剥がれてしまっている。

しっかり乾燥させたつもりだがまだ十分に乾いていないのか、またこのゴムマットを載せると塗料との相性が悪くて溶け出してしまうのか全くわからない。

仕方なく薄い紙をゴムマットと同じ大きさに切って、右画像のようにゴムマットの下に挟んで使うことにした。

こうすればゴムマットが塗装面に接触することもなく、溶けることもないと考えたがいかがなもんでしょうか?                                    6/4


    

■ 続・塗装の不思議


なぜ本体シャーシの塗装は問題ないのにプラッターの塗装は溶けるのだろう?

この不思議な問題を解決するため、塗装についてあれこれ調べてみた。

そうしたところ、ターンテーブルマットの柔軟性を保つためにゴムに添加されている可塑剤が影響しているのではということが分かった。

この可塑剤が塗装面に付くと塗料が溶ける性質があるとのことで、だからシャーシ本体の塗装には問題なかったとの結論に達した。

そんな訳でこの可塑剤の影響を受けないクリアスプレーはないかとあれこれ探してみたところ、車用のCRCシャーシーコートクリアが使えそう。

早速、この水性コート材を表面に流布して使うことにした。

再び可塑剤の影響を受けると最初から塗装をやり直さなくなるので、プラッターとマットの間には紙を挟むことにした。                       6/7


    


■ 2台のGoodmans

有難いことにこの稚拙なHPの愛読者が少なからずいらっしゃることを、最近いろいろな場面で知るようになった。

掲示板やオークションを通じてなどで、記入した本人が忘れているのに以前の投稿にありましたとお申し出いただくと、苦労して作成した甲斐があるというものだ。


現在愛用しているGoodmansのスピーカー2台体制となってから早くも1年が経過したが、それぞれ全く不満を感じさせない音質を楽しませてくれている。

このAXIOM22MARKII(2WAY)とAXIOM150MARKII(3WAY)2機種を曲種別に使うようになってから、聴覚の衰えの影響もあるかもしれないがあまり音質に際立った違和感を覚えなくなった。

カートリッジや真空管の組み合わせによって音質の一部に不満を感じることはあるが、昔のように聴いているのが苦痛ということがほとんどない。

昔所有していたTANNOYのコーネッタ Monitor-Red IIILZは、エンクロージャーがもう少し大型で横幅が30cmほど広かった。

その当時のことを振り返ってみると気難しいユニットを手懐けるのに苦労して、単純に音楽に浸れたのはわずかな時間だったような気がする。

せっかく2台で楽しむならもっと音質の異なる、違ったメーカーのスピーカーを使い分けた方がいろいろな曲種を楽しめるのではと当然思う。

特にロックやポップスならアメリカ系の歯切れの良い音質を持つJBL/ALTECなどが楽しめるような気もしたが、実際に試してみると頭が痛くなってくるのだ。

たぶん音楽を聴く感性の根本的な部分でGoodmansが醸し出すこの英国の音質が肌に合っているらしく、低域が出る出ないや高域に繊細感があるやキレがあるなど曲種によって音色に若干の味付けを加えて使用している。

同じメーカーの2機種のSPにどれほどの音質差があるかというと、基本的な音質の色目や風合いは同質だがAXIOM22の2WAYでは高域が瑞々しくかつ甘く響く。

AXIOM150MARKIIと比較して低域のゆとりと高域の艶やかさが両立しているユニットだから、2WAYでの使用でその長所を最大限味わえると考えている。

一方、AXIOM150MARKIIの3WAYではスコーカーが加わることにより、クッキリとした持ち味に音の厚みが増し、奥行きやスケール感をメリットとして感じられる。

ツイーターはともに純正TREBAXを使用しているが、異なる真空管やカートリッジを組み合わせることにより、高域に繊細感を持った響きの2WAYと低域に馬力と高域にキレのある3WAYと言った具合に音色に変化を付けている。

主に2WAYではクラシックやヴォーカルものを、3WAYではPOPSやROCKなどの曲種を楽しんでいる。

しばらくはこの体制が続くものと考えている。                                                                                          6/10


    


■ オーディオ工作室 「MCトランス・ケーシング編」

本日は、WE-9450インプット・トランスのリケーシングを実施する。

これまでは某オーディオ専門店が製作したものをそのまま使用していたが、ベースの真鍮プレートがすぐ酸化して黒ずむのが難点だった。

MCトランスのケーシングはすでに5台目となり、今回もいつもの通りタカチのアルミケースを利用して製作することにする。

画像はすでにケースにドリルで穴を開け、プライマーで下地処理を施した状態。

内部配線材にはWE単線を使用して、悩みどころのRCAジャックはアムトランスさんから調達することにした。

当初はオヤイデさんの少し値段の高いロジウムメッキ仕上げを使用するつもりでいたが、どうしてもプラグの食いつきが甘いため方針変更する。

スイッチクラフトのジャックが一番安心して使えるが、別途絶縁ワッシャーを使用すると長さが足りなくなる恨みがある。


  


さて、ケースに直接塗装しても問題はないが、EMPIREの塗装で使用したプライマーがあるので念のために下地処理を施して塗装に入る。

今回もサビたまんまで塗れるカラースプレーを使い、仕上げにクリアスプレーでガッチリ塗装をガードすることにしよう。

内部配線についてもこれまで気に留めていなかったワイアリングの美しくさを考慮して、直線的な配線を心掛けている。


  


こんな感じに仕上がりましたが、いかがなもんでしょうか?

流石に工作室も回を重ねるごとにレベルが上がってきたようで、塗装やハンダなどの見栄えもよく我ながらなかなかの出来と満足している。

未使用のウエスタン22GA単線(錫メッキ・ゴム・紙巻)を使用したためか、音質が少しタイト気味になったような気がする。

こんな短い内部配線材についてもエージングが必要と言うことか?

前回製作したJs No6600との揃い踏みで、奥にはLangevin 408Aが収まっております。                                  6/17


    


■ 丸針の考察

ふっと考えてみると、最近になって丸針を使用する頻度がめっきり増えてきている。

以前はOrtofonやMCH-IIなどのラインコンタクト(楕円)針ばかり使用していたが、最近気に入っているSHELTERやSHUREは共に丸針だ。

昔からカートリッジの名機といえばOrtofon SPUとDENON DL-103がお決まりだったが、 小生の好みはDENONの丸針ではなくSPUの楕円針だった。

本日は平成のSHELTERと昭和のDENON DL-103丸針の音質の違いについて、試聴しながら比較してみることにする。

ステップアップトランスとフォノイコは共通でALTEC/Peerless 4722、MoFi Electronics Studio Phono2を使用する。

これまでDL-103については、90年代に購入した103C1や最近やっと購入したオリジナルタイプとも、あまり常用とする機会がなかった。

オルトフォンと比較すると全体的にタイトな印象で、響きが少ないところに大きな違いがあると感じていた。

低域の質感がオルトフォンでは「ボン、ボン」と鳴るところ、DENONでは「ガン、ガン」と響きの乏しい硬めの音色となり、高域の方もオルトフォンでは艶感や余韻を感じられるが、DENONでは直線的でやや押し出しの強いメタリックなものとなっているところが特徴だ。

派生モデルのC1の方は、上下とも帯域が拡大して音質にナチュラル感が出てややソフトな印象を持つが基本的な音質は同色である。

そんな持ち味がJazzなどの曲種では功を奏して愛好家を増やしているものと想像するが、クラシック愛好家にはこの直線的な高域は味気なく感じるだろう。

丸針についてそんな風に感じていたが、最近購入したSHELTER MODEL501Classicの響きがあまりにもナチュラルですっかり気に入ったのである。

再度そのSHELTERと同じアルミカンチレバー+丸針を採用したDENONを比べてみると、かなり音質傾向が異なるのを感じる。

DENONはこれまでの記憶とあまり異なった響きもなく、相変わらず硬い低域と直線的な高域が持ち味と感じられた。

SHELTERの方は響きの豊かさが美点となっており、さらに音の重なり具合「ハーモニー」がとても美しく表現されるカートリッジだ。

低域の質感も少しくぐもった乾いた感じはあるものの、「ボン、ボン」と楕円針に近い響き方をしている。

マグネットはSHELTERがネオジウムを使用しており、DENONはアルニコマグネットとのことなのだがこの辺りに違いがあるのだろうか?

そんな訳で、DENON DL-103の出番はこれまで通りあまり期待できない結果となってしまった。

DENON DL-103の丸針について色々調べていたところ、NHKと協同で放送用ステレオ・ピックアップの開発を実施するにあたり、その設計方針と構造の概略の中に  「ステレオ・レコードやモノーラル・レコードを共通のカートリッジで再生できること」との項目が含まれており、この内容を満たすために「針先球面半径を0.65ミルとした」との記事があった。

そんな訳で同じ針先構造を持つSHELTERについても同様の扱いが可能だろうから、モノラル盤にはこれらの丸針を使えば良いと考えている。    6/19


    

■ 新規アンプ導入計画(5) 「製作開始編」 


「待てば海路の日和あり」 「果報は寝て待て」 「石の上にも三年」 「急いては事を仕損じる」 「急がば回れ」 これぐらいでどうでしょう ?

企画立案後4ヶ月強を経て、遂にラボのK村さんから「手巻きトランスが納品されたので製作を開始します」との連絡が入った。

思い起こせばこの4ヶ月の間に、新型コロナウィルスの世界的な蔓延や実父の死去など、未曾有な出来事が起こっている。

さて、いよいよ待ちに待った新規アンプの塗装色や出力インピーダンスなど、電話にて諸々打ち合わせを行って希望内容を伝えた。

出力は8〜9Wになるとのことだったが、GOODMANSには十分な出力である。

お借りしている6AR6シングルアンプは、相変わらずなかなかの美音をたのしませてくれているが、このアンプを上廻る音質を期待するのは贅沢だろうか?

今後のために具体的な回路内容など、しっかりお伺いしておく必要がありそうだ。

完成を待ち詫びる日々も、いよいよあと僅かとなる。                                                                      6/26


    


■ 新規フォノイコライザー

いよいよ新規アンプの製作は回路構成もほぼ決定し、図面作成が終わってCAD外注にまで進んでいる模様である。

アンプ工房のK村さんや真空管博士のMさんなどのご尽力により、当初の構想では英国直熱三極管PX4を使用したシングルアンプ企画だったものが、独テレフンケンの球も楽しめるコンパチアンプにパワーアップしている。

いよいよもって、完成が待ち遠しい。

さて、本日は新規に調達した古いSHELTERのフォノイコがテーマ。

使用するプレーヤーにアームを増設したことによりフォノイコが足りなくなり、今年初めにパラヴィッチーニが監修した安価な現行フォノイコを購入して使用していた。

その後、新たに導入した丸針カートリッジSHELTER MODEL501Classicの音質が気に入り、組み合わせるフォノイコも純正タイプに組み合わせを変更することにした。

このSHELTER MODEL216 CR型フォノイコは、1995年〜2005年ごろまでロングランで販売されていた人気機種である。

キングオブアナログのパラヴィ翁が監修したMoFi Electronics Studio Phono2は、古いMarantz7真空管プリアンプに組み合わせると原因不明の発振が起こるなど組み合わせに無理があったようだが、こちらのフォノイコはそのような古いヴィンテージ機種にも寛容で相性も悪くなさそうである。

音場に厚みがあり豊かな響きが持ち味で、真空管機種と組み合わせても全く違和感のないものである。

フォノイコの入れ替えとともに、最近めっきり出番の少なかったNottingham INTERSPACE-ARMのLYRA Clavis.D.Cを、Ortofon MC-30Sに入れ替えてみた。

Clavis.D.Cは流石に情報量も多く切れ味鋭い音質が魅力となっているが、音がストレート過ぎて情感が乏しく感じてしまう。

以前このアームにOrtofon MC-30SUPERIIを組み合わせたときは、痩せた彩の少ない音質で今一歩納得できないものだったが、後継機種のMC-30Sではゆったりとした奥行きと高域の切れ味がうまい具合に調和していて、なかなか良い塩梅で音楽を楽しませてくれそうだ。        

やはりカートリッジはオルトフォンから抜け出せないでいる。                                         7/6


※追記・・・・・古いSTEREO SOUND(1995年/No.116)にこのSHELTER 216とカートリッジ501TypeIIの試聴記についての掲載があり、その姉妹機としてモデル501Classicの紹介についても記入されていたので、同時期に販売されていた組み合わせであることが分かった。


    


■ 組み合わせあれこれ

またまた東京のコロナ感染者数が右肩上がりに増加しており、隣接する埼玉や千葉の感染者数も同様の傾向にある。

3密(ソーシャルディスタンス)で感染を防ぐのにも限界があり、早くワクチンの開発が着地しないと経済が立ち行かなくなるのではと心配している。

さて、こちらはロングランを続けているEAR-834Pフォノイコライザー。

発売当初はECC83の3本構成だったが、最近では中国製コピー商品に対抗して、あまり聞き馴染みの無い13D16双三極管へ仕様変更となっている。

基盤上には依然としてECC83のプリントがあるので、我が家では3本ともECC83ヴィンテージ管に変更して使用している。

これまではOrtofon MC30シリーズと組み合わせ、パラヴィッチーニがデザインした内蔵トロイダルトランス経由でクリスキットのプリに繋いでいた。

先日、Nottingham INTERSPACE-ARMをMC30シリーズに組み替え、LYRA Clavis.D.CをEARのフォノイコ経由に入れ替えた。

響きが乏しくタイトに締まったClavis.D.Cの音質を少し滑らかにしようと、このフォノイコのTUBEを交換して試してみる事にしたのである。

これまではV2〜V3にMullard Short-Plateを、初段のみSIEMENS Triple-Maicaを使用していたが、これらをコクの出るMullard CV4004に変更してみる。

さらにクリスキットのライン段はBRIMAR「Yellow T」ECC81を組み合わせていたが、少しケバが立ち過ぎるのでバッファーをあまり出番の無かったナチュラルなBRIMAR ECC83に変更することにした。

これらの真空管変更により、なんとか意図する音色方向に改善された模様。

SHELTERのフォノイコとカートリッジの組み合わせはMarantz#7に繋いでいるが、製作者の意図する低音の太さが顕著となってまさしく「2B的音色」となっている。

太い音質が特徴となているだけではなく、結構細かい情報を拾ってくるのがこのカートリッジの持ち味だ。                                                  7/17


    

■ ORTOFON Erik Rohmann Signature

我が家では昔からOrtofonのSPUを愛用している。

その中で最も気に入っているのが1992年に1000個限定生産で発売されたSPU MEISTER GEで、磁気回路にはネオジウム・マグネットが採用されている。

その他にもオリジナルSPU-GEや復刻されたClassic GE、コイルに銀線を使用したリファインモデルのGOLD GEやネオジウム・マグネットのSYNERGYなどを使用して来たが、GOLDとSYNERGYは音色が気に入らずに放逐してしまった。

クラシックにはThorens MCH-IIの存在が見逃せないが、 MEISTERはあらゆる楽曲をオールマイティーに楽しませてくれる唯一のカートリッジだ。

またOrtofonのMC30シリーズを2機種(MC30SUPERII/MC30s)所有しているが、こちらは残念ながらヴォーカルなど限られた曲種での使用が常である。

さて、今回ご紹介するMC-ERはMEISTERと同時期の1991年に発売された500個限定生産モデルで、ネオジウムマグネットと発電コイルに7N銅線を使用し、ベリリウム製カンチレバーにファイン・ラインスタイラスの振動系が採用されている。


ボディーはMCシリーズと共有されていて磁気回路も1993年発売のMC30sと同等だが、音質の方はどちらかと言うと繊細な切れ味が持ち味のMCシリーズと違って、SPUのような低い重心と安定感を感じさせる音質バランスに仕上がっている。

MC30シリーズではどうしても腰の座った低域を求めるのは難しく、女性的で少し浮ついた音質が表現力の欠落につながっているように感じている。

その点こちらのMC-ERはSPU譲りの中低域の密度の濃さを持ち合わせており、POPS&ROCKを幅広く楽しませてくれるカートリッジだ。

MCトランスにはLangevin408Aを組み合わせているが、SPUと同じく絶妙の相性を見せている。

1998年発売で新技術を盛り込んだJubilieやその磁気回路と振動系を継承しているKontrapunktなども使ってみたかったが、2005年に発売された新世代のSYNERGYが期待外れだったので原点回帰する構図となった訳である。

これでMC30シリーズの方もお役御免となるかもしれないなあ。 7/28


    

■ 新規アンプ導入計画(6) 「シャーシ完成編」 


例年より長かった梅雨も明け、今度は打って変わって記録的な猛暑の夏を迎えている。

連日発表される新型コロナウイルスの感染者数は下降線を辿る気配もなく、東京や大阪などの大都市だけでなく地方都市での拡大傾向が恐ろしい。

さて、待ちに待ったアンプ製作の方も佳境を迎えている。         http://shinkuukan2.web.fc2.com/2020/11/2020_PX4.html

一度に3台ものアンプ製作に入り、ラボのK村さんもバテ気味なのではないだろうか。

塗装されていないので全体的な雰囲気が掴めないが、ケース左奥にはTSM Productsの手巻きアウトプット・トランスが配置され、左側縦に配置された初段管と中央の出力管の間にあるのが、真空管博士の説明にあった手巻き大型チョーク・トランスではないだろうか?

シャーシのほぼ中心にはバイアス切り替えスイッチがあり、これでRE604系のTUBEも使える事になった構図である。

ラボのK村さんから、「Rチャンネルのボリューム位置がトランスケースに近いので操作がしにくいです。アンプのボリュームは左右のレベル合わせに使って頂き、プリアンプで音量調整を行うようにして下さい。」とのご説明があったが、見たところでは特に問題はなさそうだ。


回路をご検討いただいた真空管博士の説明によると、このアンプの回路はクラングフィルムの回路も参考にしながら、無色に近く、ほんのりと薄化粧をしたような音質を目指したとのことだった。

美音系のPX4とスピード系のRS289に加えてRE604系の古典球が揃えられれば、Goodmansのシステムは1系統で済むかもしれません。

続く・・・・・・・                  8/10


    

■ 新規アンプ導入計画(7) 「出力管の点火方式」


経験のない遠い昔の戦争を彷彿とさせるような未曾有のコロナ禍で、連日発表される感染者や死亡者の夥しい人数に感覚が麻痺して来ている。

アメリカを中心とした中共制裁の行方とともに、一般報道では伝えられない中共内部の権力闘争にも注意が必要だ。

そんな世界情勢に目を奪われがちだが、猛暑に伴う熱中症死亡者数にも驚きが隠せない日々が続いている。

さて、ソーシャルディスタンスの影響により(笑)長らく待ち焦がれていたアンプ製作の順番が訪れ、益々ラボの新着・更新報告が楽しみとなっている。

昨日、ラボのK村さんからご連絡があった時に、素人ながら回路についていくつか質問させていただいた。

シャーシにハムバランサーが装備されているのを発見して出力管の点火方式をお伺いしたところ、直流点火方式を採用しているとのことだった。

この音質に深く関わるフィラメントの点火方式については諸説あるらしく、我が家で愛用しているSV-91BについてもY下先輩によって、ウエスタンアンプと同様の交流点火方式への改造が試みられているが、結局のところ前段のみ交流点火に収まり出力管についてはハムノイズの少ない直流点火に戻されている。

ラボのK村さんによると、確かに大規模映画館用のスピーカーを駆動するようなウエスタンの300Bアンプは全て交流点火方式を採用されており、SPと観客との距離が広ければ問題はないが、SPと近距離で対面する家庭用オーディオではどうしてもハムノイズの影響を受ける弊害があるとのことだった。

交流点火方式を採用した300Bアンプの音質は聴いた経験はないが、現在愛用しているこのSV-91Bアンプの音質には満足している。

点火方式により一番影響を受けると思われる高域には、美音とまでは行かないまでも適度なキレと繊細感があり、実在感のある中域とダンピングの効いた低域が大変好ましいバランスに仕上がっている。

新規アンプについては、真空管博士に考案いただいたプレートチョーク結合回路と、量販品では得られないK村さんの製作ノウハウによって、長らく続けて来たオーディオ道楽の最後のアンプになることを期待している。

特にこれまで経験のないコンパチアンプということで、数々の名だたる出力管が使えることは大きなメリットとなるだろう。

アンプ完成時には自前で準備したMarconi PX4のST管と、ラボさんから供給いただくTelefunken RS289の音質を楽しみながら、できればPX4系ナス管とROE604系のTUBEもコレクションに加えたいと考えている。                                           8/24

    

■ 新規アンプ導入計画(8) 「塗装完了編」


塗装が完了したことで、全体の雰囲気が見えて来た。

今回の塗装はグリーン系のハンマートーンで実施されており、高級感のある好ましい色だと感じている。

要となるアウトプット/プレートチョーク・トランスはアモルファス・コアの特注サイズのものを使用しているとのこと。

続く・・・・・・・。                                        8/25

    

■ 新規アンプ導入計画(9) 「パーツ取り付け編」


  


外装部品の取り付けが完了して全容が見えてきた。

入力端子などそれぞれパーツの質感も高く、堂々たる雰囲気を醸し出しているが、右後部電源トランス関連のブラック色が上手くアクセントになれば良いが・・・・・。

続く・・・・・・。                                          8/27


    


■ 新規アンプ導入計画(10) 「配線開始編」

中央2個のバランサー右側に出力管の直流点火回路を設置。

ゼネラルの電源トランス、出力管ソケットの上部にDALEのメタルクラッド抵抗が見える。

続く・・・・・・。                                                                  8/30


    

■ 激動の令和2年


未曾有の危機に直面している2020年(令和2年)も残すところ4ヶ月となるが、8月中旬頃からようやくコロナ新規感染者の減少が明らかなものとなってきた。

しかしウィズコロナの時代に入って人々の生活様式が一変し、ワクチン開発後のアフターコロナの時代には、肌をつき合わせた人と人との直接的な関わりからネットワークを通じた間接的な関わりへ大きく移行していくのではないだろうか。

20年ほど前から始めたこのホームページもコロナ渦のひきこもり影響を受けてか、3月頃から急激な訪問者数の伸びが顕著となって、7月にピークを迎えている。

特に直近の2〜3ヶ月はウクライナやロシアの複数の外部ページからのリンクが増加しており、原因が特定できずに不思議に思っている。

さて、今年2020年のオーディオの目玉は、なんといっても「新規アンプ導入計画」である。

2月の企画立案編から約7ヶ月が経過し、ようやく今月9月に着地完成の見通しである。

このコンパチアンプが導入されることにより、我が家のオーディオがどのように変わっていくのかが楽しみだ。                 9/1


    

■ 新規アンプ導入計画(11) 「配線途中編」

各トランスや基本パーツなどの配線が完了。

SPRAGUEの電解コンデンサーが取り付けられている。

RE604系使用時のバイアス切り替えスイッチ配線へと続く・・・・・・。                                                                  9/3

    


■ 新規アンプ導入計画(12) 「バイアス切り替え配線編」

出力管バイアス切り替え配線完了。

カップリングにWEST CAP、バイパスコンデンサーにはROEが採用されている。

完成まであと少し。

続く・・・・・・。                                                                  9/5


    
■ 新規アンプ導入計画(13) 「熱暴走トラブル編」

Telefunken RS289にてエージング中、直流点火回路のDCコンバータが熱を持つとのことで、出力管の点火方式が交流点火に変更となったようだ。

直流点火基盤を取り外して交流点火に切り替えるが、フィラメントハムも問題なく収まり完成に近づく。                    9/6


    
■ 新規アンプ導入計画(14) 「完成編」


点火回路の熱暴走トラブル修復後、出力管を入れ替えながら順調にエージングを進めている。

明日には我が家に到着予定。                                         9/7

    

■ PX4/RS289/RE604 コンパチブル・シングルアンプ


TUBE AUDIO LABO 6AR6シングル(手前)とPX4コンパチアンプ(奥)
PX4/ RS289/RE604コンパチブルアンプ

チューブ・オーディオ・ラボに制作をお願いしていたアンプを、わざわざK村さんが炎天下のなか新潟よりお持ち下さった。

当初は英Marconi PX4シングルアンプで依頼したが、ラボのK村さんや回路をご検討いただいた真空管博士の助言もあり、独Telefunken RS289(RV210)やRE604系の各種古典球も使用できるコンパチタイプに仕上げていただいた。

準備しておいたPX4に加えてラボさんからRS289を購入し、貴重なRE604は一旦ラボさんのストックをお借りして音質を確認後、真空管博士より調達予定である。

更にTelefunken RV210も試聴用にお借りしている。

Telefunken RE604

Telefunken RV210

Telefunlen RS289はプレートキャップの不具合により、再送していただくこととなった。


 


シャーシの塗装色にも高級感があり、全体的なサイズバランスも良好に感じている。

特にRE604ナス管を使用した時のグラマラスなボリューム感が非常に好ましい。

コンデンサーや手巻きトランスのエージングに2ヶ月ほどかかる予定なので、それぞれの出力管の試聴感想は追々アップさせていただくことにする。

本日短時間だったが、K村さんと動作確認がてらそれぞれのTUBEを試聴してみる。

どのTUBEを聴いても好ましく感じさせる音色の中で、特にウエスタン300Bを凌駕するというRE604のリアルな音質は素晴らしかった。


当初、電源トランスの上部に設置されていた出力管の直流点火回路が取り外されている。

交流点火方式での動作に変更した結果、電源投入時に「ブ〜ン」とハム音がするが、しばらく経つと全く気にならないレベルに収まっている。

K村さんのワイアリングはいつもながら美しく、仕上がりも上質で文句のないものだ。

K村さん、本日はありがとうございました。                                    9/8

   

■ コンパチブル・シングルアンプの音質/PX4編


まず最初は本命のMarconi PX4から試聴を開始している。

旧型ナス管(OSRAM)や同型管のPP3/250(MAZDA)の方が良かったのだが、高額となるため新型のドーム管ではなく音の良いST管を選択した。

当初予定通り、初段管にSTC CV1985/ECC35、整流管はCossor 53KUと英国勢で脇を固めて聴き始める。

数々の愛聴盤に針を落とし、一番最初に感じたのが音場から溢れんばかりのダイナミックな低域の響きである。

オケを聴いてるとキャンバスの隅々まで濃厚な下地を描いたように各楽器群が豪放磊落に響き渡り、半端のないゴージャス感を感じさせる。

音数の多さだけでなく響きにはコクがあり、ピアニッシモでの繊細感、音の重なりなどのデリケートな表現も申し分ない。

これまで使用してきたアンプとの一番大きな違いは、それぞれの楽器がクローズアップしてマクロ的に響かせる点である。

各楽器のパートが音場にはっきりと浮かび上がり、オペラでの歌声もこれまでの記憶より、舞台上で太く大きく堂々とした歌声を聴かせてくれる。

高域には刺々しさを感じさせず、英国機器の持ち味となっている硬質感のある明晰さが美しく、エージングが進めば更に柔らかさが加味されるだろう。

レコード中心に20時間ほど試聴を進めたところで、組み合わせる初段管や整流管を交換してみた。

前段はSTCで違和感なく落ち着いたが、整流管の方はCossorで感じられる弦楽器のコクのある飴色の響きが好ましいが、やや暴れ気味の音質となるため、落ち着きのある響きのRaytheon5U4Gを組み合わせている。

英国勢で固めたかったが、期待していたMullard GZ32では高域がヒリ付き気味で、低域方向の厚みも薄くなるなど現状では今一歩の結果だった。

エージングが進んで全体的に角が取れたところでCossorに戻そうと考えている。
現状では剛が優っている印象だが、アンプ全体にくまなく血が通い、柔よく剛を制するバランスに行き着いた時が短しみである。 9/10

   

■ 続・Marconi PX4

新作のアンプは完成した後、ラボさんの方でエージングを兼ね8時間ほどの試聴を済ませているとのことだった。

そのアンプが我が家に来て4日目、25時間ほど試聴を進めているが、愛聴盤に針を落とす度に驚きの連続が続いている。

PX4で試聴を開始して三日目ほどのところで、微妙な音質の変化が現れ始めた。

どうやらダイナミックな音場を形成していた原因は滲み気味な音質が影響していたようで、全体的に音像が締まり始めるとともに、少し重苦しく厚化粧気味だった音場に軽快感が出始め見通しが良くなって来た。

同時に太く大きく膨らみ気味だったそれぞれの音源が、ピントが合ったように小振りに聴こえるように変化している。

ここで再度、整流管をCossorに戻して音源に色彩感を加味するが、現在のところPX4にはこの組み合わせがベストのようだ。

新たなアンプを導入したシステムでは、Goodmans AXIOM22MkIIを使って、主にクラシックをアナログで楽しむことにしている。

カートリッジはThorens MCH-IIとOrtofon MEISTERを使用しているが、ともに長年愛用して来たMC型の名器だ。

MCH-IIでプッチーニのオペラを聴くと、昭和30年代生まれの方ならお分かりになると想うが、総天然色で映画を観たような趣で音楽が奏でられる。

MEISTERでは解像度が高いためか、そのような誇張した色彩感は薄らいで爽やかな自然な音場が形成されるのが特徴だ。(トランスはWEを使用)

オーケストラなど大編成の曲種では、各楽器の低音が床に反射してホールトーンが下方向に伸びるという、豪華絢爛な音質を聴かせてくれている。

特に中央左右に配置された弦楽器群が、厚みを持った帯状の合奏となってとても心地よく響く。

しかし、ソロ器楽曲の中でピアノなどは組み合わせるプレーヤー自体の音質影響を受け、これらのカートリッジも明暗を分けている。

フローティングタイプのThorens純正組み合わせは、重厚感あるグランドピアノの響きを聴かせるのに対し、リジットなGarrardシステムを使用したMEISTERでは、高域の煌めきが強すぎて若干腰高な印象を持った。

さて、明日からは次の出力管、ラボさんからお借りしているTelefunken RV210の試聴に入ることにしよう。                         9/12

   
■ コンパチブル・シングルアンプの音質/RV210編


ラボさんよりお借りしたTelefunken RV210はオーディオ用の傍熱三極管である。

真空管博士の説明を借りると、「RV210はPX25並みの出力が得られる球ですが、今回のアンプでは軽い動作での使用となります。あまり高価な球ではないので面白い存在と思います。」とのことだった。

細身のTUBEはステムから上部がスモークガラスで覆われているため、内部構造を見ることができなくなっている。

この真空管に差し替えてアンプの電源を入れても、PX4の時のような「ブ〜ン」「グオ〜ン」という立ち上がりのハムノイズは一切しない。

出力の方はPX4とほとんど変わらないようだ。

PX4とその音質を比べると、このアンプの持ち味となっている「コクの深い音」には変わりはないが、少し色彩感が薄いような気がする。

もちろん耳で聴く“音”には目で識別する色は分からない筈だが、醸し出される音色が色をイメージさせるのである。

その反面、高域の繊細さと締まった低域に特長を持っており、なんとなくECC83ダイヤマークを連想させる音作りだ。

この出力管でドビッシーの「海」を聴いていると、ダイナミックな波のうねりの高さや大きさを如実に感じさせてくれるが、葛飾北斎の「富嶽三十六景」で描かれた景観が、鉛筆で描いた精密なデッサン画のような風情で聴こえてきた。

RV210のどこまでも冴え渡ったダイナミックな音質は、濃厚な色目の油絵を見るようなPX4の音質とは性格が全く異なっている。

弦楽器独奏では冷徹なまでに強い浸透力を見せるが、大編成モノになると少し粗めで調和を欠く傾向は、音の締まり具合の強さが影響しているのだろうか?

声楽のバリトンを聴いていても少し上擦った、腰高で神経質な歌声に聴こえる傾向があるようだ。

反面、ヴァイオリンやチェロソナタなどでは演奏者の技巧が花火のような煌めきでリスナーに訴えかけられ、素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

ドラマティックな曲目でもRV210の良さが明快となるので、ひょっとするとPOPS&ROCKなどの曲種にも向いているのではと感じた。

しかしこのTUBEの個性的で素晴らしい音質は、次に控えている同じテレフンケンRS289の期待度をさらに高めるものとなった。                        9/14

※追伸

真空管博士よりRV210の補足説明があった。

「RV210はプレート損失25Wの傍熱型三極管です。内部抵抗はとても低くWE300BやDA30と同じくらいです。WE300BやDA30より少し増幅率が高いので直線性は良好です。プレート形状を工夫して電極間の静電容量を低減しているので純三極管の中ではハイスピードな方です。音声信号を扱う様々な用途に使用されていたようです。(業務用アンプ・送信機のモジュレーター・有線ラジオ設備・電話通信設備)  

フルオペレーションですと7W近く出ますが、今回のコンパチアンプでは軽い動作で3W程度と思います。

RV210には弟分とも言うべきAD101という球があります。コンパチアンプではRV210同様PX4の設定で使用可能です。出力はRE604と同じくらいですのでRE604の傍熱バージョンと言えるかもしれません。

テレフンケン製の安価な球でRENS1374dという五極管があります。ST型の初期の球はメッシュプレートの外側にワイヤーリングによるシールドを施すという他に類を見ない構造をしています。出力は1W弱と小さいですが音質は良好です。PX4の設定で使用可能でお値段も@8000円程度です。」

ということだが、やはり真空管の神様である。

   

■ コンパチブル・シングルアンプの音質/RS289編


いよいよ期待の送信用五極管Telefunken RS289の試聴に入る。

形状はRV210とほぼ同じだが、こちらはフィラメントの灯りや内部構造がはっきり確認できる。

真空管博士曰く、「RS289はテレフンケンが開発した送信管です。アメリカ型の増進管は高域に偏った音の球が多いのですがRS289は違います。三極管接続にすると極めて内部抵抗が低く素晴らしい低音を聞かせてくれます。物理特性はAD1やEdと非常に近くオーディオ専用管に全く引けを取りません。送信管特有の高域の抜けの良さを兼ね備えていますからとてもワイドレンジな球です。電極容量はとても小さく前段管の6SL7に優しい球でもあります。値段が安いのでスペアチューブの心配もありません。」と良いとこ尽くめな球のようである。

出力の方は僅かにRV210より小さいようで、電源投入時のハム音も一切無かった。

先に試聴したテレフンケンのオーディオ用傍熱三極管RV210は、個性的な正しくスペシャルTUBEだ。

低域の締まり具合や解像度の高さが際立っていて、切れ味の鋭い日本刀を思わせる音質が持ち味だった。

その反面、ゆったりとした響きや余韻を拭い去ったような音色が、大編成の楽曲になると温度感の低さとハーモニーの欠落を招いてた。

さて、今回のRS289の音質は、キレの良い高域はRV210の長所をそのままに、低域方向の量感を増した余韻も豊かなバランスとなっている。

大編成のオーケストラを聴いてもふくらみを持ったホールトーンを感じることができて、RV210ほど硬質な高域もそれほど苦にならなかった。

しかし一旦、豊かなホールトーンとブリリアントな響きを持ったPX4で大編成のオーケストラを聴いてしまうと、流石にこちらは少し物足りなく感じてしまう。

テレフンケンの2本を音質比較すると、個性的な音質はRV210に一歩譲るとして、トータルのバランスはRS289の方が優っているように感じる。

これらのTUBEを使用した時の音色がJAZZやROCKなどの曲種で問題が無ければ、もう1系統のシステムは役目が無くなってしまうのでは・・・・・・。

※真空管博士のRS289の補足説明。

「ある方はRS289で聞くとストラディバリとガルネリの違いが明瞭に分かると仰いました。これはRS289の解像度の高さのなせる業でしょう。

RS289は送信管ですから受信管より真空度が高いのです。更にはグリッドのプラス領域まで入力を加えますから動作時のピーク電流は相当なものになります。球自体は大きくはありませんがヒーターパワーはPX25やDA30同等であり豊富なエミッションを実現しています。

それからコンパクトな電極構造も見逃せません。送信管は電極間の静電容量をできるだけ小さくするためにプレートは小さい方が良いのです。電極間の静電容量が小さければ抜けの良いハイスピードな音が期待できます。これらのことを踏まえると低周波増幅使用時のRS289は非常に楽な動作をしているといえます。RS289の解像度が高いのは、高い真空度、豊富なエミッション、コンパクトな電極構造が寄与していると考えています。」   

9/17

   

■ 続・Telefunken RS289

新作アンプが我が家に到着して約10日、聴き始めてから35時間ほど経過している。

真空管博士の詳細な説明を伺って、ますますTelefunken RS289の完成度の高さを感じることとなった。

しかしクラシック系の小編成や弦楽器の再生に最適なTUBEだが、オケなどの大編成になると解像度の高さが災いしてか、臨場感の乏しい音質と感じていた。

そんな中、本日はPOPS&ROCKを中心に試聴を行なってみたが、予想通りこのテレフンケンのTUBEは、これらのタイトでパルシブな曲種にも適している。

特にエージングがまだ足りないのか少しマットな響きが気になるが、ドラムのタイトな響きやベースのボディに喰いこむリズム感は申し分ない。

別系統でPOPS&ROCKを聴く時に使用している、SV-91B→Goodmans AXIOM150MkII 3WAYより、よく締まった響きは心地よく感じられるようだ。

3WAYは低音の厚みや奥行き感はあるが鈍重傾向で、2WAYが持つ軽快感とよく前に出る音質傾向が影響しているのかもしれない。

前段や整流管を入れ替えて、このTUBEで大編成モノを聴けるようになるのなら、我が家のシステムは1系統で十分かもしれません。

しかし、異なる機器を使用して変わった雰囲気で音楽を聴いたり、真空管やカートリッジを色々変えて愛器に触れるのもオーディオの楽しみなので、無理せずにこのままのスタイルで参りましょう。

再びクラシックに戻って交響曲に針を落とす。

TUBE自体のエージングが進んだのか低域の量感も増してきたようで、少しボリュームを上げると澄み切った迫力のある表現力がなかなか良い塩梅だ。

しばらく聴いていると、ストレートで音質が厳しすぎる傾向はあるものの、オーケストラのフレッシュでドラマティックな表現も悪くないと思うようになってきた。

さて、いよいよ次は博士の説明で300Bを凌駕するというTelefunken RE604の出番となる。

ひょっとするとこのTUBEがRS289の音質の幅をさらに広げてくれるのかもしれません。 9/19

   


■ コンパチブル・シングルアンプの音質/RE604編

いよいよ待ちに待ったTelefunken RE604の出番を迎えた。

このアンプを製作依頼するまでは、ウエスタン300A/OLD300Bなどの噂は良く聞いていたが、こちらの独製古典球については存在すら知らなかった。

真空管博士によると

「RE604は1933年〜1941年にかけて製造されたバリウム昇華型フィラメントの球が最高です。このタイプは酸化被膜フィラメントの最高性能を誇る300B以上の性能です。出力こそWE300Bに及びませんが動作における直線性においてはWE300Bを全く寄せ付けません。」

とのことだった。

試聴に使ったRE604はチューブ・オーディオ・ラボさんからお借りしている同タイプのTUBEだが、現在博士に調達を依頼しており、まもなくバリウム昇華型フィラメントの中期型と後期型の極上品が到着予定となっている。


 

このTUBEを使用する時は、出力管ソケット上部にあるトグルスイッチをRE604側に倒して使用することになる。

まずグリュミオーのヴァイオリンソナタから試聴を開始する。

聴き始めてすぐに硬質な美音を隈取るように立ち昇る鮮やかな色香を感じることになる。

解像度はこれまで試聴した2種類のテレフンケンTUBEよりさらに高まり、弦を抑える指がネック上で動く時に出る僅かな擦れ音も聴こえてくる。

先に試聴したテレフンケンTUBEの解像度の高さと硬質感は確かに素晴らしかったが、それが音質を冷たく感じさせる要因ともなっていた。

しかしこのRE604は高い解像力を持ちながら、その音質に暖かさや気品が感じられるのは期待以上の驚きである。

最初に試聴したPX4の音色はすでに忘れかけているが、先のテレフンケンTUBEとは格の違いを見せているのは確かだろう。

真空管博士やK村さんからその音色の素晴らしさを散散伺っていたが、この芳しい色気を持った音はこれまで聴いたことのないものだ。

ほっと胸を撫で下ろしてシュタルケルのバッハに針を落とす・・・・・・・。

さて、続けて聴いた交響曲のレコードは、セルがコンセルトヘボウを指揮した蘭フィリップス盤だ。

このレコードを数日前にPX4で聴いた時は、これまでコンセルトヘボウで聴いたことのない弦楽器群の左右の厚みに驚かされたが、こちらのRE604では各楽器の微動だにしない定位感とクローズアップしたようなリアルな音場再現が、想像以上の美音となって音楽を楽しませてくれている。

弦楽器のユニゾンや金管楽器の咆哮にすら刺激的な趣は全く感じさせず、申し分ない中低域の厚みは上質なホールトーンを体験させてくれる。

嬉しい誤算だが、今まで全く知らなかったドイツのTUBEが、英国の名球と呼ばれたPX4をも音質に於いて上廻っているのではと思わせるものだ。

これまで昭和の中学生時代からオーディオを続けてきて半世紀近くが経過している。

高校入学祝いで初めて手にしたのはパイオニアのトランジスタアンプだった。

その後真空管の音質の良さに目覚め、米DYNACO/Marantz、英QUAD、伊UNISON RESERCH、日LUX/ELEKIT/SUNVALLEY/Chriskit/UESUGIなど数々のメーカー製アンプを使用してきた。

プロ製作者によるオリジナルアンプでTANNOYオートグラフを駆動されているsigetaさんも、いかに優秀なメーカー製アンプより技術的な信頼を置けるアンプビルダーが、部品や回路に拘りを持たせて製作したオリジナルアンプの方が音質は優れているとおっしゃっていた。

当然のことながらメーカー製アンプは商品化して購入者に複数台販売されるが、使用されるパーツなどは特性にバラツキの少ない安全性を考慮した現行部品を採用する場合がほとんどで、完成後の品質確認についても人間の耳によるヒアリングではなく、機械を使用して標準化、平準化された特性を確認するのが大半だろう。

その点オリジナルアンプは、生産終了品や現行品に関わりなく音質の良いパーツを自由に選択し、ノウハウを持った技術者により確実な手作業で製作されている。

さらに複数台の商品化ではないから、完成後に同じ品質(音質)を求められる訳でもないので、1台1台の高音質化が計れるという構図だろう。

Y下先輩が大改造した半オリジナル91B型アンプの音質も素晴らしいが、我が家も結局このオリジナルアンプが終着点となりそうだ。

う〜ん、まさしく至福の時が続いている。                       9/20

   


■ 続・Telefunken RE604


Telefunken RE604を使用して二日目。

昨日の感動は本物かと未だに興奮気味の頭を冷やし、極力冷静な気持ちに立ち返って試聴を始める。

これまでの経験の中で、機器や部品を交換した当初はその音質の変化が「音が良くなった」と思い込み、後日聴いてみると前のほうが良かったということも度々ある。

電源を投入すると、PX4ほどではないが「ブ〜ン」とハム音がして、その後稼働時のフィラメントハムも気にならない程度に発生している。

前段のTUBEはSTCから変わりはないが、整流管をMullard GZ32から再びCossorに戻している。

この黒ベースのMullardは、エッチングコードが見当たらないためどこの工場で製造されていたものか分からないが、高域が上ずって低域も厚みが薄い。

今のところCossorが一番バランス感が良いように感じているが、今度茶ベースのSTCを試してみようか。

カートリッジは低域の量感が芳醇なフローティングのThorens純正組み合わせを使用していたが、交響曲などではOrtofon MEISTERの柔らかい響きも好ましい。

聴き始めの昨日は、ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器や、交響曲、オペラなどでその音質の良さに触れ、感激した記憶が脳裏に残っている。

早速その試聴結果を真空管博士にメールで報告したところ、次のような返信をいただいた。

「RE604気に入って頂けたようで安心いたしました。RE604は銘球と言われながらベストコンディションで鳴らしている人は少ないと思います。回路は私が基本設計を行いましたが配線材や半田を含めた使用パーツの絶妙な選定はK村さんの経験のなせる技でしょう。さらには私たちの無理な注文を快く引き受けてくださるTSM Productsさん手巻きのプレートチョークコイルとOPTの威力も絶大です。自画自賛になりますがこれまでのアンプの中でコストパフォーマンスは最高ではないかと思っています。私がアンプのコンパチ化をお勧めしたことを喜んでいただけているようなので安心いたしました。」

チューブ オーディオ ラボのK村さんからも久方ぶりにご連絡を頂いたが、RE604のバリウム昇華型フィラメントが音質の肝となっているのではとのことだった。

また、PX4にも初期型で音質の良いバリウム昇華型フィラメントのTUBEがあるとのことだったが、滅多に出てこないとのことなので聞かなかったことにしよう。

そういえば真空管博士も、PX4系出力管の頂点はバリウム昇華型フィラメントのナス型管で、その次はPP3/250最初期のニッケルプレートですとおっしゃっていた。

二日目に入り、この音色に耳が馴染んできたのか昨日聴いた新鮮な驚きは減ってきたが、初めて針を落とした愛聴盤の旋律でハッとさせられる驚きが続いている。

PX4では厚みとコクのあるゴージャスなホールトーンに驚かされたが、このRE604には高解像度に支えられた明確な定位があり、さらに響きも柔らかい。

半年以上待った甲斐もあり、このアンプの音色は素晴らしいとホッと胸を撫で下ろし満足感に満たされている。

今週は最近アンプを新調したとおっしゃっているsigetaさんが来訪されるので、この新しいアンプの評価が楽しみである。                          9/21

   

■ バリウム昇華型フィラメント RE604

青森の真空管博士より、待望のTelefunken RE604の他、お願いしていた数種類のTUBEが届いた。

チューブ オーディオ ラボからお借りしていたRE604は初期型と中期型だったが、こちらのチューブは中期型(1934/8)と後期型(1941/4)の組み合わせである。

スイスから取り寄せられた極上品とのことだが、博士の方でベースピンのハンダの入れ替えクリーニングを実施していただいている。

以前、SV-91Bで使用していた整流管(WE-274B刻印)が接触不良を起こし、ベースピンにハンダを流し込んで復活した経験があるが、古典球ではありがちなこのようなトラブルが起きないよう博士の対応も流石に万全である。


 


さらに博士お勧めの比較的安価な五極管Telefunken-RENS1374dと整流管のBRIMAR-5Z4G、その他今回のアンプに使用するわけではないが米GE12AX7 Long-Plateが手に入ったとのことだったので、こちらも2本ほど頂戴することにした。

我が家のストックにはGE12AX7/ECC83のShort-Plateは軍用を含め数種類あるが、淡白で少しボヤけた音質のためこれまで出番が全くなかった。

独テレフンケンにはLong-Plate(17mm)タイプしかないが、英ムラードでも後発のShort-Plate(14mm)より、1959年頃まで製造された初期型Long-Plate(17mm)の方が音質は良いので、米GEのLong-Plate(17mm)を一度試してみたかった。

RE604には長年灯が入っていないだろうから現在エージング中だが、博士のお話だと長期間未通電だった球には、直熱管で24時間以上が必要とのことだ。

エージング中の球がどのような経過を辿っているのかについて、以下のような博士独自の考察をご教授いただいた。

1.管壁や電極等からガス成分がイオン化して真空度が低下し始めガスによりIpは増加し始める。

この時点では音のフォーカスが甘く感じることが多いように思います。

2.球全体が十分に温まりゲッタが活性化すると管内ガスの吸着が始まり真空度が上昇し始めIpは減少傾向に転じます。

この時点のIpの減少はフィラメントやヒーターの性能が落ちているのではなく真空度の上昇によってガス電流が減少するためです。

3.管内ガスの吸着が完了すると再びIpは微増傾向となり、Ipの増加が止まればエージング完了です。

  この時点になると解像度が増し低音の締まり具合も良好となります。

球の状態にもよりますが、直熱管で24時間以上、傍熱管で36時間以上はかかります。

お付き合いいただいてまだ日は浅いが、真空管博士の知識には脱帽する思いである。

それぞれの音質評価についてはまた後日・・・・・・。                                              9/24

   

■ オーディオ定例会

本日はsigetaさんをお招きして、新作アンプの試聴会を実施した。

前回お越しいただいたのは、コロナウィルスによる緊急事態宣言が発令される前の3月だったから丁度半年ぶりとなる。

その間にsigetaさんのシステムもプリアンプをリフレッシュされたようで、プロ用機器のグレードがさらに改善された模様である。

上の画像は、昨日真空管博士から届いたTelefunken RENS1374dと整流管BRIMAR 5Z4Gを用いた組み合わせである。

このメッシュプレートの傍熱五極管はTelefunken RS289のようなトップのプレートグリッド接続ではなく、ベースのピンにスクリーングリッドを接続する構造となっている。

真空管博士からの使用上注意点として、「SP端子の接続を既存の16Ωから8Ωに替えて使用することで、さらに締まった低域を聴くことができます」というものだった。

さて、新作アンプのプレートチョークの音質がどのようなものか、興味津々だったとおっしゃるsigetaさんのご感想は・・・・・・。

まず聴き始めの冒頭に一言、「変わりましたね〜。」

「古典球ということで何というかもう少し古臭い音をイメージしておりましたが、そんな感じは全くしません。」

「すごい世界に足を踏み入れたものですね。」

そんな驚きの言葉だった。

出力管はMarconi PX4から始まり、Telefunken RS289→Telefunken RENS1374d→Telefunken RE604の順に試聴を行う。

前段のSTC CV1985/ECC35→RCA5691に続いて、整流管のCossor→BRIMAR 5Z4G→KEN-RAD VT244→WE-274B刻印→STC5R4GYを次々に付け替えて試聴を続けるが、予想通りそれぞれのTUBEで大きな音質の変化を感じ取ることになる。

出力管ではPX4とRE604が大編成で音数の多さを発揮するゴージャス系、RS289とRENZ1374dがソロ系で強みを発揮するTUBEと意見が一致した。

あくまでも我が家の機器組み合わせでの場合だが、PX4よりわずかにRE604に音の深みが上廻るのではとの評価だった。

意外と音質の良さが確認できたのは、当方も昨日到着後ほとんど試聴を行なっていないRENS1374dだった。

テレフンケン特有の低域の締まりの良さに加え、柔らかな余韻もあって大編成のオケを聴いても無理のない自然な響きを感じとることができた。

前段ではやはりSTCの良さが光り、整流管ではCossorとSTCが双璧ではないか・・・・・・・。

アンプ自体の音質については、交流点火の音なのかプレートチョークが影響しているのか判断できないが、太い豪快な音がするように感じるとのこと。

出力管から前段や整流管まであれこれ入れ替えて音色を確認し、別系統のシステムで新たに調達したOrtofon MC-ERの音質も確認していただいた。

盛り沢山のメニューで、無駄話もなくあっという間に時間が過ぎる定例会となった。

アンプの基本性能が高いためか、TUBEを入れ替えるたびに比較的好ましい評価を頂戴したが、概ね当方が感じたものに近いものだった。

一方、オーディオで音楽を楽しむには問題ないが、原音再生視点で考えると実際の演奏会ではここまで豊潤な低音は聴こえて来ないとおっしゃっていた。

改めてsigetaさんご本人から試聴感想を掲示板にご投稿いただくことになっているので、本音についてはそちらを待つことにしよう。                   9/25


※追伸   sigetaさんから本日の試聴感想を、掲示板の方にご投稿いただきました。

             興味のある方はそちらもご覧ください。    ↓

     https://zawazawa.jp/bcjd0i1lnr55w007/topic/1


   


■ 2020年9月現在のシステム構成

ANALOG

AMP

SPEAKER
PLAYER
TONE-ARM
CARTRIDGE
MC-TRANS
PHONO-EQ
PRI
POWER
THORENS
TD-126MKIII
Centennial
SME
3010R/B
Thorens
MCH-II
ORTOFON
T-30

Marantz7
TUBE
AUDIO
LABO

PX4/RE604
Compatible
Single
Marconi
Telefunken

GOODMANS
2WAY
▼▼▼▼
AXIOM22MKII
+
TREBAX

GARRARD
401
audio-technica
AT-1501 II
ORTOFON
SPU
MEISTER-GE
Western
Electoric
KS-9450

Notthingham
Interspace-Jr

GRACE G-565/1
LYRA
Clavis D.C.
EAR 834P
GARRARD
401
audio-technica
AT-1503 III ORTOFON
SPU-GE
J's
No.6600

Chriskit
MARKY
Custom

SUN
VALLEY
SV-91B

300B
Single
TAKATSUKI


GOODMANS
3WAY
▼▼▼▼
AXIOM150MKII
+
MIDAX
+
TREBAX


Notthingham
Interspace-Jr

Interspace-arm
ORTOFON
MC-ER
Langevin
408A

Notthingham
Interspace-Jr

GRACE G-565/II SHELTER
MODEL501
Classic
PEERLESS
4722
SHELTER
MODEL
216
EMPIRE 598N
EMPIRE
980
SHURE
M44G

SHURE
M64

↑ ↑


9月に入り待望の新作アンプが到着したので、我が家のシステム構成はリニューアルすることとなった。

4台のアナログプレーヤーを使用して、MC型からMM型まで数多くのカートリッジで音楽を楽しませて貰っている。

最近はアナログレコードが復活して古い名盤がリカッティングされて発売されることも多く、傷のない新品で購入できるようになったのは嬉しい限りである。

もう少し広いオーディオルームで音楽を聴くことができないか常々考えていたが、大きな部屋でオーディオを楽しむのはそれはそれで大変らしく、12インチのSPを使用するならば、音響面で我が家の約8畳の広さはちょうど良いのかもしれない。

今年中はこの構図で古典球を各種楽しんでゆくつもりである。                                          9/27

   

■ 2つのTelefunken

Telefunken RS289

Telefunken RENS1374d


我が家で試聴するソースは約50%がPOPS&ROCKで、クラシックが40%、その他10%程度の割合となっている。

新作アンプは出力管を挿し替えることで、これらの曲種をほとんど無理なく楽しむことができる優れものだ。

クラシックは主にMarconi PX4とTelefunken RE604を使用し、POPS&ROCKやソロ楽器はTelefunkenの2種類のTUBEを使用している。

新作アンプの音質を料理に例えるとアクセントの効いた関東風の味付けで、優秀なアウトプットトランスの影響かシングルアンプに関わらず重心が低い。

特にこれまで使用してきた各種アンプと2WAYの組み合わせでは、音場密度がやや希薄で柔かな浮遊感を感じさせるのは良いが、音質自体が軽い印象があった。

その点今回の新作アンプでは、重心が落ちてどっしりとした安定感があり、さらにコクと豊かな響きを併せ持った音質が最大の長所となっている。

特にPX4を使用した時は濃厚さが増して豚骨ラーメンのようなコクの深さが出てくるが、RE604はさしずめ風味豊かな味噌ラーメンといった趣である。

それに比べるとテレフンケンのRS289/RENS1374dは、すっきりした爽やかな喉越しを生かした塩ラーメン的な音質である。

同じ塩ラーメンのカテゴリーではあるが、RS289は細麺のストレートタイプでRENS1374dの方は縮れた太麺の図太さを感じさせる違いがある。

このRENS1374dは先日の定例会に於いてもsigetaさんから高評価をいただいたTUBEで、暖かくなるまでは実力を発揮しない寝起きの悪さはあるが、持ち味のパンチの効いたダイナミックな音色はROCKなどのパルシブな曲種にも抜群の相性を見せている。

何となく音のニュアンスをお分かりいただけたのではと勝手な解釈をしているが、ラーメンは嫌いであまり食べてことがなく、味がよく分からないとおっしゃるオーディオ愛好家の方にはお許し願いたい。

そんな訳でコンパチアンプの利点を味わい始めているが、このアンプと軽量コーン紙を使用した12インチGoodmans2WAYを組み合わせることで、オールジャンルの曲種を楽しめるシステムとなりそうだ。                                   9/29

   

■ レイアウト変更


コロナ禍という未曾有の危機に直面した2020年も、残すところあと3ヶ月となった。

海外では感染者の増加に歯止めが掛からない国もあり、早急なワクチン開発が待たれるところである。

さて、我が家のオーディオは先月末の2日間を利用してレイアウト移動を敢行し、思い切ってシステムを一系統に集約してみた。

これでしばらくSV-91BとGOODMANS 3WAYの組み合わせは、別室で待機してもらうことになる。

気分を変えて違うカートリッジの音質を楽しむのも良いが、アナログが7系統あっても結局いつも使用するカートリッジは決まってくる。

そんな訳でアナログの方も、Marantz7で3台のフォノイコとともに使用できるカートリッジを5系統に絞り込んだ。

音質の肝となるAXIOM22MKIIのエンクロージャーは音質が良いと言われている進工舎製を使用しており、ツイーターは純正のTREBAXを組み合わせている。

ある意味セオリー通りで以前と同じSP配置に戻した構図だが、SPの中心から中心までの間隔は220cmとレイアウト変更前より若干広くなった。

嫁殿と老夫婦二人で一系統のシステムを別部屋に運び出し、新たなレイアウトに配置が完了するだけで丸一日がかりの作業となった。

おまけに久しぶりの肉体労働がたたって夫婦共々腰痛に悩まされ、近所の極楽湯に湯治に行く羽目となってしまった。

(特にSV-91Bは送信管用の大型アウトプットトランスを採用していることもあり、24kgもあるヘビー級アンプだ。)

<2020年10月からの新たなシステム構成>

ANALOG
AMP

SPEAKER

CARTRIDGE
TONE-ARM

CARTRIDGE

MC-TRANS

PHONO-EQ

PRI

POWER

THORENS

TD126MKIII

Centennial

SME

3010R/B

Thorens

MCH-II

Ortofon

T-30

Marantz7

TUBE

AUDIO

LABO

PX4/RE604

Compatible

Single

Marconi

Telefunken

GOODMANS

2WAY

🔻🔻🔻

AXIOM22MKII

TREBAX

GARRARD

401

audio-technica

AT-1501/II

Ortofon

SPU

MEISTER-GE

WESTERN

ELECTRIC

KS-9450

audio-technica

AT-1503/III

SHURE

M44G

SHURE

M64

Notthingham

Interspace-Jr

Interspace-arm

Ortofon

MC-ER

EAR845P

GRACE

G-565F

SHELTER

MODEL501

Classic

Peerless

4722

SHELTER
MODEL216

さて、やっと機器の移動や配線も完了して試聴に入る。

アンプ完成から半月以上が経過してその音質にも徐々に慣れ、TUBEごとの特徴もおぼろげながら掴めるようになってきた。

これまでと使用している機器に変更はないが、SPケーブルWE16GAが少し寸足らずなため、先日sigetaさんから頂戴したヴィンテージWE線をSP側に加えている。


SP間に物が無くなって空間に広がりが出たためか、響きに窮屈さが無くなり壁一面に広がる音場がとても心地よいものとなった。

さらに音場に漂う微妙な雰囲気も感じられるようになるなど、見通しが良く透明度の高い音質に改善された模様である。

その影響か若干高域の切れ味が増したように聴こえ、弦楽器の柔らかい響きがやや薄らいだようにも感じる。

ツイーターのレベルを調整するなどして、今後は愛機たちにもこの新しい環境に馴染んでもらうことにしましょう。                10/1

   

■ ルームチューニング

レイアウトを変更しただけなのに、結構出てくる音のニュアンスが違って来ている。

今回のレイアウトは3m×3.6mの長方形短辺にSPを配置しており、これまで長辺に2セット置いていた状態と比較して内側AXIOM22MKIIのSP間隔は広がっている。

低域の響きが増したのは良かったが、高域の質感が硬くシャープなものとなっている。

組み合わせている機器にほとんど変更はないが、置き方を変えることで部屋自体の響きが違ってくるのだろうか?

それとも部屋の音響特性を改善するために使用している「卵トレー」を、今回の変更に合わせSP間の天井部分に追加したのが良くなかったのかもしれない。

このトレーを最初に試した時も、枚数が多すぎるとコントラストが強くなりすぎて聴き疲れする傾向があったのを思い出した。

そんな訳で追加したSP間天井部分のトレーと、左右側面カーテン上部に設置していたトレーの天井部分も撤去することにした。

その結果、直線的な音質に柔らかさが出始めて、なんとかバランス上の問題が改善されたように感じている。

チューブ オーディオ ラボのK村さんから、古いWEトランスで使用されていた線材とnassauのハンダを分けていただいた。

このハンダはプラグのホットに馴染ませるだけで結構音質が改善されるとのことで、我が家のWE昇圧トランスにこの線材とハンダを使用して内部配線をやり直した。

いつも使っているKESTERに比べて綺麗にハンダを乗せるのが難しく、当方のような下手くそな初心者が使用するのはなかなか難しい物だった。

うまく乗らずに何回か接触不良を起こしてやっとのことで音出し完了するが、ヘボなハンダ付けでは逆に音質が悪化するのではと心配になる。

そんなこんなで当分の間は調整の日々を過ごすことになりそうだ。

そろそろ新作アンプのエージングも終了して落ち着いてくる頃合いではないだろうか。                                   10/2

   

■ 多国籍混成アンプ

新たなレイアウトで連日試聴を続けている。

本日は出力管に独Telefunken RENS1374dを使い、前段に旧ソビエト軍用MELZ/6N9S、整流管には米軍用SYILVANIA/VT-244といった強力な布陣の組み合わせ。

いろいろ試聴した結果、ロックに限っていうとこのテレフンケンの五極管がベストと感じている。

これまで使用して来たプッシュプルアンプと比較しても、締まったドラムや太いベースが2〜3割パワーアップして轟くところが素晴らしい。

一緒に聴いていたメタル好きの嫁殿も、若かりし1980年代昭和の愛聴盤を聴いて、これまで気が付かなかった音が聴こえるようになったと喜んでいる。

RS289の解像度の高いゾリゾリ感のある高域も素晴らしかったが、こちらのTUBEは低域の量感と太さで優っている。

この出力管の音の太さや締まり、広帯域なバランス感は安定していて、前段や整流管を米・英など他のTUBEに入れ替えても大きな影響を感じさせない。

整流管のSYILVANIA/VT-244は相変わらず蛇口全開のじゃじゃ馬で、MELZ/6N9SはRCA/5691赤ベース同様、音質がクリアな反面やや硬さがある。

鬼門のクラシックは、バランスの良かったPX4の高域に少し違和感を感じているので、もう少し前段や整流管の選別にも時間が掛かりそうだ。

チューブ オーディオ ラボのブログでは、新たにフォノイコライザーの試作情報が掲載されている。

なぜか同じタイミングで使用しているSHELTERのフォノイコに片chの音が出ない接触不良が発生し、直るか分からないがとりあえず修理に出している。

なんかタイミングが良すぎるな〜(笑)                                   10/3

   

■ POPSに最適な組み合わせ

お次はPOPSやボーカルなど、少し大人しい曲を聴くときの真空管の組み合わせについて・・・・・。

やはり出力管については、最もスタンダードなMarconi PX4の出番となる。

今回こちらのTUBEに入れ替えて試聴してみると、レイアウト移動後初めて音質を確認した時に感じた違和感は嘘のように消えている。

レイアウト移動による音質の変化に耳の方が当初違和感を憶えたのか、それとも試聴を続けるうちに徐々に機器が新しい環境に馴染んできたのかどちらだろう?

ROCKに最適なTelefunken RENS1374dに比べ、こちらは温度感がグッと上がって響きの優しい安定感のある音質となるが、打楽器のドラムではチューニングキーを緩め気味でベースも少し太めの音質に変わるなど、それぞれの楽器の音質にも変化が現れている。

ROCKに最適なTelefunken RENS1374dの特筆すべき音質特徴は、音の締まりと解像度の高さにある。

その一例として、この出力管で80年代にヒットしたデュエットのバラード曲を聴いた時、これまではSP間中央部分からそれぞれシンガーの歌声がぼんやり聴こえていたが、初めて左右に並んだ状態(女性左側、男性右側)で定位し眼前に浮かび上がった。

一方、Marconi PX4の全体的な特徴は、低域から高域までのバランス感の良さに加え、奥行きを伴った臨場感のある優しい響きではないだろうか。

音の固さが薄れて柔軟性が出る分、肌触りの良い上質な響きが加味されるように感じられる。

そしてこの出力管には前段のSTC CV1985/ECC35に加え、整流管にはBRIMAR/5Z4Gといった純英国勢のサポートがふさわしい。

この組み合わせは最もノーマルかつ全方位的な音質バランスを兼ね備えており、全てのジャンルに於いて音楽を破綻なく楽しませてくれるものだ。

さて、ここまではほぼ順調にそれぞれの曲種で満足感を得られる音質を味わうことができた。

いよいよ最後に残ったのはクラシックである・・・・・・。                                                   10/6

   


■ クラシックに最適な組み合わせは?

Marconi PX4

Telefunken RE604


いよいよ最終関門のクラシックを検証する・・・・・。

これまでの試聴で、長年使用して来たプッシュプルやシングルアンプを凌駕する音質をこの新作アンプはもたらしてくれている。

ROCKやJAZZなどの曲種には音の締まりとキレが要求されるし、POPSやボーカルなどでは心地よい音の温もりと響きの美しさが必要だ。

しかしクラシックになると少し話はややこしく、コクのある弦楽器の胴鳴りや湿り気のある肉声の響き、ホールトーンを感じさせる残響など要求が多岐に渡る。

まず最初にオールマイティーなPX4を試してみると、前段や整流管などPOPSと同じ組み合わせでは音が少し鈍重傾向となり、抜けや見通しが今一歩に聴こえる。

整流管をCOSSOR/53KUに換えると粗かった高域に細やかさが加わって低域の響きに軽快さと躍動感が出始め、持ち味のブリリアントで硬質な輝きが生きてくる。

オペラやコンチェルトなどでは歌手の肉声やソロ楽器が音場にクローズアップされ、オケとの融合がとても気持ちの良い相乗効果を醸し出している。

この組み合わせで1950年代に録音されたオペラの英EMI/ASD録音盤などを聴くと、最高の気分を味わうことができそうだ。

一方、80年近く前に製造されたバリウム昇華フィラメントのTelefunken RE604はどうだろう。

このTUBEは古典球を愛してやまない真空管博士やアンプビルダーのK村さんから最高の評価を得ており、レイアウト変更前に実施した定例会でもshigetaさんからPX4を超えるのではとの感想を伺っている。

2本とも同じ昇華型フィラメント構造だが、全体形状は画像左の後期型が僅かに背が高くなっている。

高域の繊細感に優れ、抜けの良さが持ち味の整流管COSSOR/53KUを組み合わせたPX4では、豪華絢爛に響く高域がやや派手な音質を見せていたものが、このTUBEに換えると重心が下がって雄大ないぶし銀の音質バランスに表情が変わってくる。

同じテレフンケンのRS289/RENS1374dはやや温度感が低いが引き締まったストレートな音質が持ち味となっていたが、こちらのTUBEでは光の当て方によって色目が変わって見える肌触りの柔らかいビロード地を想わせるような奥深い音色が味わえる。

さらに整流管を前段と同じブラウンベース英STC CV1985/ECC35に交換すると、繊細感が増して重厚感がやや薄らぎ、音質に見通しの良さと軽快な躍動感が出て来るなど全く甲乙付け難い選択となる。

どちらにしてもPX4ほど絢爛豪華に響くリッチな趣きはないが、回転数を落としたような重厚で渋い音色傾向を持っており、オケの弦楽器群のユニゾンが心地よくほぐれて特に鳴り終わった後の余韻がとても美しく聴こえる。

やや帯域は狭いが、高域の豊かな余韻や中域の濃厚なコクともに申し分なく、予想通りクラシックにはRE604が最適なTUBEと確認できた。

新作アンプが我が家に到着してからほぼ1ヶ月が経過している。

いろいろな曲種を試聴したが、このコンパチアンプは各種古典球を使用することで、幅広いジャンルの曲種を満足ゆくレベルで楽しめるものだ。

真空管博士によるとRS289/RENS1374dのように、あまり市場には出ていないが音質の良い古典球がまだまだ存在するとのことなので、今後はそれらのTUBEの音質を楽しんで行きたいと考えている。                                             10/8

  

■ 5系統に絞り込んだアナログの楽しみ方


この半月の間どっぷりと試聴を続けた結果、コンパチアンプを使った音楽ジャンルごとの楽しみ方も理解できるようになってきた。

現在主力ソースのアナログはSPシステムを縮小した結果、5系統が使用可能となっている。

Marantz7に装備されたフォノイコ入力を使用しているのは、WE-KS9450でステップアップするOrtofon/MEISTERとJ'sトランスを内臓したOrtofon/T-30で昇圧するThorens/MCH-IIのMC型カートリッジ2機種である。

カートリッジの中で最も使用する機会が多いのがOrtofon/MEISTERで、クラシックをメインにほぼオールジャンルで活躍している。

幅広いジャンルに対応するMEISTERに比べ、MCH-IIはクラシック専用のカートリッジとなっている。


Ortofon SPU MEISTER GE

Thorens MCH-II


最も使用頻度の高いMEISTERの音質にとても似ているのが、発売年代の近いOrtofon/MC-ERだ。

こちらのカートリッジは現在EAR/834Pのフォノイコを組み合わせており、ステップアップもパラヴィッチーニ翁ご自慢の内蔵トランスを使用している。

MEISTERと同様に、馬力のあるブリリアントでリッチな響きが楽しめるため、主にPOPSで使用することが多い。

Ortofon MC-ER

SHELTER MODEL216/EAR 834P

ROCK専用に使用しているのが、フォノイコSHELTER/MODEL216+SHELTER/MODEL501ClassicとSHURE/M64+SHURE/M44Gの純正組み合わせだ。

最もガツンとパンチが効いて弾ける音を聴かせるのがMM型SHURE/M44Gで、SHELTER/MODEL501Classicはこれに重低音の豊かな響きが加わる。


SHURE M44G

SHELTER MODEL501 Classic

どの組み合わせを聴いていても、これまで気が付かなかった音にハッとさせられるのは、アンプの基本性能が優れている証ではないだろうか。

レコードに針を落とすたびに、自然とニンマリとした笑顔になってくるのが分かる。                             10/10

■ Telefunken RS vs RENS

現在のところROCK&POPSを中心として、最も出番の多いのがTelefunken RENS1374dだ。

RS289と同じ五極管だがRENSの方は低域の量感が増えて、やや中高域に持ち上がった軽めの音質バランスが改善されているように聴こえる。

このRENSを使用する時は真空管博士から使用上の注意として伺った通り、SPインピーダンスを16Ωから8Ωに接続変更して使用している。

先日博士と電話で情報交換していた折に、低域の音質の違いはSP端子の変更に影響されているのではとの話になって、同じ条件で再検証することにした。

そんな訳でRS289を使用するのは久しぶりとなるが、SP端子をRENSと同じ条件の8Ωに接続して試聴を開始する。

以前試聴した記憶と違って中高域が乾いたマットな音質となり、持ち味の切れもやや薄らいだようで、低域の量感や広がりも期待したほど感じない。

結論としてこのRS289を8Ω端子で使用すると、最大の利点だった高域の解像度も低下してあまり魅力のない音質となってしまうようだ。

再びRENSに戻すと、高域のゾリっとした切れ味と低域の押し出し、ダンピングの効いた躍動感とも申し分なく、やはり我が家のコンパチアンプにはこの豆タンクのようなフォルムをしたRENS1374dの方が相性が良いことを再確認できた。

RS289

RENS1374d


いよいよエージングも終盤に近づいて、ますます本領を発揮して来た模様。                             10/12


■ Telefunken RENSの可能性

整流管各種
6SL7系初段管各種


コンパチアンプに古典球を使って試聴を繰り返した結果、ROCK&POPSなどのジャンルではRENS1374dが最も相性の良いTUBEと感じている。

流石にクラシックではPX4やRE604など銘球の音質が優っているが、先日ROCK盤を楽しんでいたそのままの流れでクラシック盤に針を落としてみたところ、エージング効果も出て来たのか当初不満だった低域の広がりや量感をそれほど問題なく感じるようになった。

その反面高域の潤いや艶感に物足りなさがあり、細部に渡る描写力は十分に感じられるものの、やや乾燥した音質が影響しているのかもしれない。

そんな訳で基本的な音質には問題ない訳だから、初段管や整流管の変更により細かな表現力が改善できないか試してみることにした。

音質に影響力がより大きいのは整流管の方だが、高域の質感となると初段管での改善も見込めるのではないか。

初段管では音の輪郭や表層的な部分に違いが現れるが、整流管になると根本的な音質バランスが使用する真空管によって変わるようだ。

現在初段管6SL7系のストックは、英STC ECC35の他、米RCA5691/ RCA6SL7GT(スモーク)、 米RAYTHEON5691、旧ソビエト MELZ/6N9Sがある。

整流管は英Cossor53KU/Mullard GZ32(CV593)/STC5R4GY、米KENRAD VT-244/SYLVANIA VT-244/RAYTHEON 5U4Gなどである。

これらを各種組み合わせて試聴を行い、音質改善が計れないものか試してみることにした。


その結果、前段にRCA5691(赤ベース)と整流管にCossor53KUを使用する組み合わせに落ち着いた。

じっくり腰を据えてクラシックを楽しむ時はPX4やRE604を使用するが、気軽に音楽を聴く時はこの組み合わせでオールジャンルが楽しめそうだ。

しばらく聴いていると、オーケストラの立体的な音場がとても好ましく、弦楽器の繊細な響きもなかなかのものでこれはこれで魅力のある音色である。

10/16

■ 新たな整流管

ZENITH/Super Silvertone 5Y3G(Raytheon) / DARIO GZ32

Silvertone(Ribbed Plate)/ZENITH(Smooth Plate) 5Y3G


青森の真空管博士からまた魅力的な整流管が送られて来た。

博士のお宅には3000本近いTUBEストックがあるとのことで、真空管マニアには応えられない桃源郷のような場所と勝手にイメージしている。

以前送っていただいたBRIMAR-5Z4Gは残念ながら、先日電源を投入した際に管内にポンポンと花火のような火花が散って昇天してしまった。

RENS1374dのような小振りのST管と組み合わせるには、Cossorや5U4G系の整流管はサイズが大き過ぎるのでこれぐらいがちょうど良い大きさである。

黒ベースにZENITHとSuper Silvertoneの商社名が刻印されているのは5Y3GというRaytheonで製造されたTUBEで、ともに音質の良いフックフィラメント構造を持っているがスムースとリブでプレートタイプが異なっている。

もう一種類は仏DARIO GZ32で、我が家で使用していたDARIO GZ32がエミ減となっていたのでちょうど良いタイミングだった。

こちらのDARIOも製造時期が古いようで、これまで使用していたのは通常のスクエアゲッタだったが、こちらはトレーを逆さまにしたようなRENS1374dと同じ形状のゲッタとなっている。

DARIO GZ32 OLD

DARIO GZ32 NEW


5Y3Gの音質は、若干帯域が狭まって音場が中央に集まるような傾向はあるものの、音色バランスは滑らかで温かみのあるものだ。

GZ32の方は音場に広がりが出て余韻も豊かになり、テレフンケンの几帳面な音色を和らげるような大らかさを持っている。


全体的なバランスを見ても、出力管とほぼ同じくらいのサイズで収まりがよろしい。

どちらにしても製造時期が近いTUBEを組み合わせると、相性の問題で音質もそれなりに良くなるのかもしれません。                             10/20

■ Telefunken RENS1374d ナス管

東北地方に実在する桃源郷から新たなTUBEが届いた。

現在最も使用頻度の高いRENS1374dのナス管で、滅多にお目にかかれない初期型である。

これらの古典球は同じ種類のものでも製造メーカーごとに型番が異なっており、共通化がなされていない。

このTUBEもRENS1374d(Telefunken)=L4150D(Valvo)=E453(Philips)=APP4100(Tungsram)=P440N(Triotron)=RS4353・RS4553(Vissuaex)=TE53(Dario)として、ヨーロッパの数多くのメーカーで1932年頃から製造されていた。


今回送られて来たものには管頂に独Telefunkenの同じロゴ印字があるが、博士の説明によるとTelefunkenはValvoと相互にOEM供給しており、背の高い方はValvoで製造されたTUBEとのことで、内部構造もグリッドやメッシュサイズなど若干異なっている。

最初はやはり少し寝ぼけた音質で、何十年も寝かしてあったTUBEだとすると、はっきり目覚めるまでにかなりの時間が必要かと思われる。

現在使用しているST管と違って基本的にはふくよかな余韻を感じさせ、エッジの角が丸まってカチッとした硬質感が抑えられた大人しい音質だ。

どちらかというとスケールを落とした小振りなRE604のような音色に感じるが、ガラスの形状が影響しているのだろうか?

現在のところは今一歩はっきりとしない音質だが、エージングと共にキレが加味されてくるかどうかは今後一週間ほど試聴してみないと分からないようだ。

ST管で聴くことができる素晴らしいキレと、RE604のような奥の深い大らかさが合わさった音質になれば文句なしになるのではと期待している。

10/22

■ 古典球の長所と短所


Telefunken RENS1374d ナス管のエージングを続けているが、使用して二日目には劇的に音の締まりと伸びやかさが出始めた。

その辺りのところを真空管博士にお伺いしてみた。

アマチュア愛好家(私):「先に使用していたST管の方はそれほど最初から寝ぼけた音がしなかったんですが、ナス管はなぜこんなに寝起きが悪いんでしょうか?」

真空管博士:「ナス管とST管の使いはじめの音質差は管内の真空度の違いから来ています。ST管が製造される頃には真空ポンプの性能が大きく改善して、製造直後から真空度が高いことが要因となっています。ナス管製造時にはまだ真空度が低く、エージングによるゲッタの活性化により管内の真空度がじわじわと高まって、低域の締まりや解像度の増加が顕著となって現れます。」

なるほどそういうことだったのだ。

以前、真空管のエージングについてお話を伺っていたのを思い出したが、その時は傍熱管では36時間ほどのエージングが必要だとの話だった。

そんな訳でこれまで寝ぼけて弟分のST管とは全く別人の出来の悪い兄貴だったTUBEが、にわかに優秀で模範的な実力を示しはじめた。

そんなこんなで良いことばかりかと思えばさもあらず・・・・・・・。

古典球の弱みは製造後1世紀近い年月が過ぎているため、その分だけ品質の低下をリスクとして考慮しておかないといけないという面にある。

真空管博士のようにその品質を徹底的に吟味して全世界からTUBEを調達し、その後には真空管試験機にて良否を判定してピンの劣化したハンダを入れ替えるなど徹底したリファインを実施したとしても、実際にアンプに装着して長時間音出しをすると不具合が出るパターンがあるのだ。

今回博士からお譲りいただいた貴重なTUBEについても、最初に届いたRENS1374dのペアは片方のノイズが収まらないので品質の高い良品に入れ替えてもらっているし、今回のナス管についてもValvo製の片方からノイズが出るのでTelefunnken製に交換してもらい完璧なフォロー対応を受けている。

「どうしても試験機などでは判別できないリスクがあるので、できれば複数を調達するよう心がけています。」とは博士の弁であるが、これを独自でe-bayにて海外から調達し、実機に装着して問題が起きた時を考えると誠にゾッとする話である。

この辺りも博士が古典球の良さを日本のオーディオ愛好家に広めたいという、真空管への愛情が垣間見えるところである。

そんな訳で1930年代の人間が100年近い時を経て現代にタイムスリップし、その昔の素晴らしさを融合させていくという側面も伺える物語のような話でもある。

当時はラジオ程度にしか使用されていなかった真空管を、現代の高品質パーツに融合させて音楽を楽しむという、新たな発見がそこにはあるのかもしれない。

10/24


http://my-vintage.music.coocan.jp/2020.html

28. 中川隆[-10652] koaQ7Jey 2020年10月24日 10:29:52 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[24] 報告
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「音楽&オーディオ」の小部屋
「地震情報」が取り持った新しい真空管アンプ 2019年05月21日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/43b58b64fb161c8ef7ffab7309a31641

あれは2週間ほど前のことだったろうか。

「東北地方に地震」とのテロップがテレビに流れたのでさっそく「北国の真空管博士」に電話して安否をご確認。

「御無事でしたか?」「ハイ、それほど揺れた感じはありませんでしたよ」

「貴重な真空管は大丈夫でしたかね?」「アハハ、被害はありませんでした」

笑われたところをみると、ホンネがバレたかな(笑)。

博士の所蔵される古典管は極めて珍しい希少管ばかりだし程度のいいものが”わんさ”とあるので地震と聞くと気になって仕方がない。

ものはついでと「何か目新しい情報はありませんか」とお訊ねすると、

「はい、このところ古典管が品薄になって高騰しているので、比較的手に入りやすい球で代用できるものがないか、もっぱらチェックしています。

アッ、そうそう、チューブ・オーディオ・ラボさんが新しいアンプを作られたそうですよ。出力管は6AR6です。

〇〇さんにはなじみの薄い球でしょうが、3極管接続にすると「PP3/250=PX4」そっくりの特性になります。あなたが大好きなブリティッシュサウンドに変身しますよ。」

「ほう、それはぜひ試聴してみたいですね!」「それなら連絡をとってみましょう」

そして、すぐに博士から出力管「6AR6」についてメールが届いた。

「6AR6は1945年にベル研究所(WE)によってWE350Bの後継管として開発されたようです。 当時WE350Bはその信頼性の高さからレーダーの掃引用として使われていました。

しかしWE350Bは大型のため機器の小型化には問題が有りバルブを小型化した特殊なWE350B互換球を使用していたようです。

そこでレーダーに最適なコンパクトかつ信頼性の高い球として6AR6が開発されたわけです。 6AR6は極初期にWEが少量生産したのみでその後はTungsolに引き継がれました。

数社が製造したようですが圧倒的にTungsol製が多いです。 ビーム管として極めて優秀な6AR6ですが、私が検証したところ三極管接続にすると英国を代表する古典管の銘管PP3/250とほぼ同じ動作をするのです。

今回のチューブ・オーディオ・ラボさんによる6AR6シングルアンプは6FD7アンプ同様極力シンプルな構成として6AR6の素顔を存分に堪能できる内容となっています。

良質なインターステージトランスを使用して古典に倣った回路構成とすれば米系出力管でありながらブリティッシュ・サウンドが聴けるかもしれませんので今後の発展が楽しみです。」

とのことだった。

文中の「PP3/250」(英国マツダ)だが、めったにオークションに出てくることも無く古典管マニア垂涎の球としてつとに知られている希少管である。

我が家では英国系の出力管として「PX25=PP5/400」を愛用しているが、人によっては「PP3/250=PX4」の方が好きという方もいるほどで実力伯仲といったところだろう。

古典管の泰山北斗「博士」折り紙付きの「6AR6」アンプなので期待に胸を膨らませていたところ、昨日(20日)になって新アンプが我が家に到着した。

   

構成は初段管が「6SL7」、出力管が「6AR6」、整流管が「6BY5GA」。出力トランスは今どき珍しい「手巻き」で知られる「TSM Products」製。

さっそくスピーカーをJBLの「D123+075」で聴いてみたところ、ウ〜ン、これは素晴らしい!(笑)

パワー感、情報量、透明感、分解能など何ら不足を感じない。欠点のないアンプとはこういうアンプを指すのだろうか。

取り分け「PP3/250」と同じ動作をするという「6AR6」の中高音域の艶は流石で、アメリカ球なのにイギリス系のほのかな色香を感じさせるのが不思議。

これまで「PP3/250」アンプを聴いたことがないが、おそらく同等か、いやもしかしてそれ以上ではなかろうかと思わず夢が膨らんだ。

次にスピーカーを「AXIOM80」にして聴いてみた。

すると中高音域の情報量が多いせいかやや暴れ気味の感じがしたので取り付けている「AXIOM80」(復刻版)から「最初期版」への変更の必要性を感じたが、念のためにと前段管(6SL7)を「シルヴァニア」から手持ちの「STC」の「CV569=ECC35=6SL7」に代えてみたところ見事に暴れが収まって心地よい響きになったのには驚いた。

   

左がシルヴァニア(アメリカ)、右がSTC(英国)。

いずれにしても、JBLシステムもAXIOM80も気が遠くなるほどうまく鳴ってくれる!(我が家の試聴環境ではという条件付きです)

さあ、あとは購入するかどうか大いに心が揺れ動くが決め手は「懐」次第といったところですね。とりあえず「予約1号」として登録しておくことにしよう(笑)。

最後に、出来るだけ多くの方に聴いていただきたい(製作者)とのことなので、貸出しOKのようですよ。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/43b58b64fb161c8ef7ffab7309a31641

29. 中川隆[-10651] koaQ7Jey 2020年10月24日 10:30:55 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[25] 報告
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「音楽&オーディオ」の小部屋
凄いアンプ! 2018年08月17日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/1d3bebb26d2c711e725b08136e58ec71

連綿と続いた「SPユニット遊び」もようやく一段落し、今度は我が家の6台の真空管アンプとの相性テストに移ろうとした矢先に朗報が飛び込んできた。

「今年の秋の真空管オーディオフェア(東京)に出品予定の真空管アンプがようやく完成しました。まだプロトタイプですが一度試聴してみませんか。」

新潟県の老舗の真空管アンプ工房「チューブオーディオラボ」のK村さんからだった。

「いやあ、それはまたとない機会ですね。ぜひ試聴させてください。」と、一つ返事。

それから3日ほどして我が家に到着したものの、あまりの容れ物の大きさに仰天した(笑)。

        

すぐにK村さんと交流のあるKさん(福岡)に連絡して、「かねがね話題に上っていたアンプが到着しましたよ。よろしかったら明日一緒に試聴してもらえませんか?」

「エッ、急な話ですね。多分うかがえると思いますが・・。」と、当然のごとく歯切れが悪い。

「どうも無理を言ってすみません。」

翌日の午後、予定通りお見えになったKさんともども新型アンプの試聴に入った。

アンプの概要を紹介しておこう。

プッシュプル方式で出力管は「RS289」(テレフンケン:1942年製)×4本、整流管は「83」(水銀蒸気入り:刻印)、アンプの要である出力トランスとドライバートランスは「TSMProducts」特注品というなかなか凝ったツクリ。

「RS289」は5極管(傍熱管)だが、それを3極管接続にしてあり、第二次世界大戦中のドイツ地上(戦車)部隊の通信用に製造された球である。兵士の生命ひいては国家の存亡にかかわる真空管だからツクリの精度は民生用の比ではない。

70年以上も前の希少な球だし、さぞやあの独特のドイツ語の発音にも適応した優れた球なのだろう。戦後になってロシアから大量に出てきたりするそうで、おそらく戦利品として持ち帰ったと推測される。いまだに戦争の爪痕が色濃く反映された球として実に興味深い。

かっては、血まなぐさい戦いの中で使用されていた真空管が見事に現代に蘇り芸術鑑賞用として優雅な音で我々の耳を愉しませてくれるなんて、天と地ほどのあまりの境遇の違いに「これこそ本来の使命だ!」と、真空管もきっと喜んでいるに違いない(笑)。

これらの珍しい真空管の採用は「北国の真空管博士」のアドバイスを参考にされており、独自の「裏技回路」なども組み込まれているとのこと。

アンプのスイッチは2段階に分かれており、まず、整流管の「ヒートアップ・スイッチ」をオン、3分ほどしてアンプのパワースイッチをオン、傍熱管なので本格的なサウンドを出すまでには30分ほどかかるという代物である。気忙(ぜわ)しい人にはまず向かないアンプ(笑)。

テストに使ったスピーカーはワーフェデールの2ウェイ、CDシステムはdCS(イギリス)のトラポとDAC、プリアンプは12AX7を6本使った真空管式。

記念すべき最初の試聴盤はKさんともども愛好してやまない「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K364」(モーツァルト)。

          

「五嶋みどり」と「今井信子」のコンビだが、ヴァイオリンとヴィオラの押したり引いたりの「阿吽の呼吸」が神業としか言いようがないほどの素晴らしい演奏。モーツァルト一筋に40年以上に亘ってひたすら聴き込んできた自分が言うのだからどうか信じてほしい(笑)。

ほかにもパールマン盤やグリュミオー盤も持っているが「みどり・信子」コンビの方が断然上回っているので同胞としてまことにうれしくなる。

第一楽章から耳を澄まして聴いてみたが、Kさんともども「可聴帯域の周波数レンジをすべて網羅している印象です。これまで聞こえてこなかった音が聴こえてきますねえ。」と感嘆しきりだった。

プッシュプル方式だから中低音域の厚みとスケール感はほぼ予想した通りだったが、中高音域の透明感もシングルアンプと比べてそん色がないことに驚いた。

二人で驚嘆しながら次から次にCD盤を取り換えて鑑賞に耽った。マルサリスの「バロック デュオ」も素晴らしかった。ホーンタイプのユニットを使っていないのに、唾が飛んでくるほどのトランペットの迫力と勢いに圧倒された。サキコロ(ソニー・ロリンズ)のシンバルもバッチリ!

「とても我が家でこんな音を出すのは無理です。」とKさんが白旗を掲げられるほど(笑)。

さらにこのアンプはスピーカーを完全に牛耳っているところが頼もしい。両者の関係はケースバイケースで様々だが、あるべき姿はやはりアンプがスピーカーをコントロール下におく主従関係に尽きる。

それに、いかなるオーディオ機器もじっくり聴き込むと何かしら欠点が見えてくるものだが、このアンプに限ってはそういうことが感じられそうにない印象を受けた。

実を言うと我が家の6台の真空管アンプも相当なレベルに到達していると自負していたのだが、中低音域の分解能と分厚い響きには正直言ってとうてい敵いそうにない。

Kさんが辞去された後、K村さんに連絡した。

「このアンプはだいたいどのくらいのお値段を考えられているんですか。」と単刀直入に切り込んだ。

「う〜ん、そうですねえ・・・・。〇〇万円ぐらいですかねえ。」と、まだ具体的なお値段までは想定されていなかったご様子。

実を言うと、このところ知人に委託して不要になったオーディオ機器をオークションに出品してもらったところ、その代金がかなり溜まっている。

いわば軍資金だが、たとえば3ペア持っていた「AXIOM80」のうち1ペアを処分したところ「278千円」と予想以上の価格だったし、真空管のWE300Bオールドは「300千円」近いお値段だったし、ほかにもいろいろあって「懐」はかなり潤っている状況だ。

それに、真空管「RS289」のストックにも限界があり「早い者勝ち」になることは目に見えている。

まさに「猫に鰹節」のような危険な(?)状況だが、はてさて、どうしようか・・・(笑)。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/1d3bebb26d2c711e725b08136e58ec71

66. 中川隆[-10637] koaQ7Jey 2020年10月24日 11:54:43 : 95N7eT9Y4k : bTBGb0RiUDcwNnM=[39] 報告
詳細は

超お買い得パワーアンプ : チューブ オーディオ ラボ 6FD7 シングルアンプ 1.8W×2
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/688.html



▲△▽▼

理想のオーディオ研究所
https://www.arisan58.com/

理想のオーディオ研究所(板橋商会)は、音楽再生において
虚飾を排した一生涯にわたり世界に誇れる製品を販売します。

取り扱い品目

・チューブオーディオラボ 真空管アンプ
・テクトロントランス ・TSM トランス
・カスタム高能率スピーカー
・Lowther ユニット エッジ交換 ダンパー修理
チューブオーディオラボ 45 パラシングルステレオ
チューブオーディオラボ RS289PP ステレオ

商品リスト

■チューブオーディオラボ 真空管アンプ

全ては音楽を楽しむ為に製作されたアンプです。
雄大ながらも繊細な音色を実現する為、回路設計で特許を持っている真空管を知り尽くした製作者は、アンプに
妥協のない緻密なデザインをします。
また、アンプを形にする技術も随一です。そのワイヤリングを見て頂ければ納得して頂けるでしょう。
工程は設計から製作までを全て一人で責任もって行う徹底ぶりです。
使用パーツの選定にも勿論妥協がありません。真空管、トランス、コンデンサ、抵抗、シャーシ、線材、ハンダ
の選定にも一切の手抜き無しです。というか手抜き出来ないそうです。
是非フェアでは、そのありのままの音をお聴きください。


poweramp

・テレフンケン RS289PP ステレオパワーアンプ
TSM オリエント EI コア仕様 球付き
・テレフンケン RS289 シンングルステレオパワーアンプ
TSM アモルファスカットコア仕様 球付き
・6AR6 シングルステレオパワーアンプ
TSM オリエント EI コア仕様 球別
・50 シングルステレオパワーアンプ(F704 用ソケット販売可)
テクトロンカットコア仕様 球別
・45PP ステレオパワーアンプ
テクトロンカットコア仕様 球別
・テレフンケン RES664D シングルモノブロック
パワーアンプ(2 台)
テクトロンカットコア仕様 球付き
・テレフンケン RE604 系コンパチプル
シングルモノブロックパワーアンプ(2 台)
テクトロンカットコア仕様 球別
※テレフンケン RES664D 使用可でお作り出来ます。その他、使用球はご相談下さい。
・13FD7 シングルステレオパワーアンプ 球付き
TSM オリエント EI コア仕様
・71A シングルステレオパワーアンプ 球付き
パートリッジトランス仕様


priamp

・c3o ステレオプリアンプ EQ 付き 球付き
・6RA9 ステレオプリアンプ EQ 付き 球付き
・6RA9 ステレオプリアンプ 球付き
・12AU7 ステレオプリアンプ EQ 付き 球付き
・12AU7 ステレオプリアンプ 球付き


上記は現在までチューブオーディオラボで製作してきた一例にすぎません。非常に好評で何台も売れたものや、
一点もので大好評だったものを記載しました。その他、特注も賜りますのでお問い合わせください。

アモルファスカットコアにバージョンアップしたものも製作出来ます(ファインメットも可能。)。
TSM 製またはテクトロン製のもの、それぞれ製作可能です。
ただし、シャーシ構成が変わった場合、ステレオ構成からモノブロックへ変更等の可能性があります。

価格はその都度お見積りをお出ししますのでご相談下さい。


■テクトロントランス

値段も確かですがこれ以上の音を奏でるトランスはあるのだろうかと思います。設計・部材が非常にしっかりし
ており、大型なコアを磨き上げ、そこに太い線を巻きつけます。その為重量も非常に重くなりますが、音楽信号
の損失のない性能を誇ります。その設計思想の為、小型のものは製作出来ませんので、ご了承ください。チュー
ブオーディオラボ製のアンプの特に超重量級アンプに使用されています。製造会社のツゲ電気は唯一ピアレスの
OEM の権利を持っているという一面をみても、普通ではないトランスということが分かるでしょう。最高のも
のを求める方は是非お使い下さい。


・電源トランス
・出力トランス
・ドライバートランス
・チョークトランス
・その他特注トランス等
※コア材オリエントからファインメット等ご用意出来ます。
・ファインメット MC ステップアップステレオトランス
(レコードファンの方は是非ご使用ください。究極のトランスです。)


■TSM トランス
チューブオーディオラボ製のアンプに使用されています。非常に安価ながらも電源トランス以外の高品質トラン
スを特注で制作しています。その音は一言でいうと、鮮烈! 音楽のエッセンスを上から下までダイレクトに伝
えてくれます。このトランスで制作されたアンプでモニターシルバーをお使いの方が、「このアンプ最高ですよ!」
と興奮してお電話頂いたことは記憶に新しい事です(RS289PP ステレオパワーアンプ)。TSM は他社にも技術
提供、指導するような、確かな技術を持っている会社です。自作の方も是非お使い下さい。

・15w オリエント出力トランス
・25w オリエント出力トランス
・50w オリエント出力トランス
・インターステージトランス CS10
・インターステージトランス CS20
・アッティネータートランス オリエント
・アッティネータートランス アモルファス
・アッティネータートランス ファインメット
※シールドケースは付きません。
電源トランス以外の特注品ご相談承ります。
コア材種類についてもお問い合わせ下さい。


■高能率カスタムスピーカー

板橋商会のメインスピーカーです。高能率なので真空管アンプに最適です。スタジオモニタリング用スピーカー
ですが、非常に音楽性があります。色々使用しましたが、結局このスピーカーに落ち着きます。ユニットはビン
テージではなくアメリカ製の現行品です。

・RCS38
高能率 38cm 同軸 2way 35Hz〜20kHz(±5dB)
98dB/w/m H740×W530×D450mm
ケーブル付き 2 台
・RCS30
高能率 30cm 同軸 2way 45Hz〜20kHz(±5dB)
96dB/w/m H600×W400×D350mm
ケーブル付き 2 台
・RCS25
高能率 25cm 同軸 2way 45Hz〜20kHz(±5dB)
95dB/w/m H520×W360×D300mm
ケーブル付き 2 台
・RCS20
高能率 20cm 同軸 2way 60Hz〜20kHz(±5dB)
95dB/w/m H450×W320×D280mm
ケーブル付き 2 台
※ご必要でしたらサランネットお造りいたします(別途料金。)。
5


■Lowther ユニット補修
・エッジ交換(キョン革エッジに張替ユニット 1 個につき)
・ダンパー修理(キョン革ダンパー交換ユニット 1 個に付き)


■真空管

■ビンテージハンダ


For overseas customers, please contact us by e-mail.

販売代理店:板橋商会ホームページ
http://www.arisan58.com(理想のオーディオ研究所)

板橋商会メールアドレス itabashi.trading0358@gmail.com
板橋商会代表 村上 武(takeshi murakami)
板橋商会住所:板橋区本町 31-3 703

https://www.arisan58.com/

67. 中川隆[-10344] koaQ7Jey 2020年11月01日 07:26:51 : isjVvzRBMk : ZzBKTnRsbE8xMFk=[5] 報告
ドイツの軽量高能率スピーカーに合うアンプは 出力 2, 3W の三極管シングルアンプでしょう:

チューブ オーディオ ラボ の格安真空管アンプ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/487.html

ペンションすももの木 _ 「カトレア」の交流点火の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/488.html

英国の気品 PX4 シングルアンプ 
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/443.html

一番音が良いパワーアンプは VT-52 シングルアンプ?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/440.html

今 大人気の WE101D _ 出力0.6Wのシングル・アンプで鳴らせるスピーカーは?
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/445.html


それ以外では

欧米製300Bアンプ : Audio Nirvana 300B トランス結合、真空管整流 シングルアンプ (アメリカ)
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/120.html

ウェスタン・エレクトリックの出力管 300B を使ったパワーアンプ
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/118.html

EAR の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/947.html

3万円のドイツ製プロ用パワーアンプ thomann S-75mk2 と数百万円のハイエンドアンプとでは電源ケーブルを変えた位の差しか出ない
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/983.html

68. 中川隆[-10342] koaQ7Jey 2020年11月01日 07:29:39 : isjVvzRBMk : ZzBKTnRsbE8xMFk=[7] 報告
ドイツの軽量高能率スピーカーにはドライブ力が強い最新のトランジスタアンプは合わない


1666 O.M.さん(アマチュアコントラバス奏者) Thu Apr 7 04:07:48 JST 2016

▪ 古典的なユニットは、WRアンプとは合わない

WRアンプと組み合わせるスピーカーについて当方が経験したことを投稿いたします。

当方は後述のように川西先生がリファレンスにしておられる B&W 805 MATRIX を導入し、JBL D130、LE175を処分することを決断しました。

当方はオーケストラ等でコントラバスを弾いいておりまして、JBL D130、LE175は「コントラバスの音を再現するのに此れに勝るユニットはない」というオーディオとコントラバスの大先輩の主張を受け入れて揃えたものでありました。

導入直後は確かに、分厚い中低音に、ホーンの厚い中高音にしびれました。

しかしすぐにどうしても「耳につく不快な音」に気がつき悩むことになります。

またヴィオラやピアノの左手がどうも落ち込んでいます。

サイン波を入れても音圧がガタガタで特に 1,000Hz〜2,000Hzに凹みがあります。

結果的にこれは過制動による歪んだ音だとわかりましたが、それがわかるまでに数カ月かかりました。

過制動だと判明するまでの道のりが本当に長く苦しかったです。

ネットワークが悪いかと思って高価な素子を買い求めたり、ホーンドライバを買い換えようか、高域用のツイータを導入しようかと悩んだりと落ち着かない日々でした。

川西先生に相談しようにも何が不満なのかうまく表現できません。

とうとう当方のイライラが爆発してWRアンプが悪い!と川西先生に怒りをぶち撒けました。

しかし、このことで結果的に正しい解決の道が開けました。


川西先生より3台のアンプを送って頂きまして解決策を探っていきました。

比較試聴していきますと、JBL は高出力になるにつれて解像度が上がるのですが歪みは決して消えません。

その後一般的な管球アンプを入手してみると、あんなに悩んでいた歪みはすっと消え去り素直な鳴り方です。

しかし音の粒が大雑把です。

なんというか「古い音」とでもいうのでしょうか、
これがスタンダードなJBLの音なんだと納得いたしました。

これらのいわゆる古典的なユニットは管球アンプの特性に合わせた設計である、
という結論に達しました。

録音されたものを適切に再生させようと思うならば現代的な設計のスピーカーを用いて WRアンプで鳴らすのが最善であると分かりました。


▪805matrixと WRアンプはやはり最高であった!

そうなるとしても、当方はしっかりした低音が欲しい。
大型のスピーカーが必要ではないかと考えました。

川西先生がリファレンスとされているスピーカーはブックシェルフ型です。

いくらこのスピーカーで低音も十分出ていると言われてもにわかには信じられません。

しかし B&W の MATRIX で 805 より大型の 802、801 という選択肢も難しい。

802 は川西先生もおっしゃるように中途半端な感がします。

801 は巨大過ぎて躊躇します。
丁度良品が市場に出ていたので思い切って 805 MATRIX を導入することといたしました。

80 5MATRIX 導入当初はウーハーが熟れていないのか低音がすかすかでこれは大失敗だったかと思ったものの、急速に音が変わっていきました。

数日鳴らし込んだ 805MATRIX の音は、当方が今まで聴いてきたブックシェルフ型スピーカーのイメージを覆します。

和音の響きという縦のラインと、音と音の繋がり、進行感という横のラインがこれまで聞いたことがないくらいに自然です。

フルオーケストラの5弦コントラバスの響きさえも十分再現されています。
この低音の再現性の高さは正に川西先生が掲示板で何度も書いておられることです、やはり川西先生は正しかったのです!

クラシック、ジャズ、タンゴ、ロック、ポップス等々全てにおいてコントラバス、
エレキベースの音がくっきり聞こえ全く問題を感じません。

ピアノの低い音の金属巻きの弦を叩いたズンとした響きもあります。
グランドハープも所有しておりますが、その生音と比べても遜色ありません。
目の前で吉野直子さんが演奏している感じです。

ホーンじゃないと分厚い中高音は得られないと思っていましたが全くホーン以上です。
歪みなく繊細でしっかりとした音圧です。
バイアンプで駆動しツイータの音量を相対的に大きくするとJBL のホーンで頑張って出そうともがいていた音が出てきました。奏者の息遣い、細やかな指の動きがはっきり見えます。

定位感もびっくりします。スピーカーがすっかり消えています。

実際のところ JBL も B&W も音の方向性は違いがありません。

世の中では前者は音が前に出る、ジャズ向きだ、後者は音が後ろに広がる、クラシック向きだなどと言われたりしており当方もそう思い込んでいました。

実際に使ってみると当方が JBL のユニットを使って鳴らした音の延長上に B&W の音がありました。JBL も B&W も当時の技術の制約の中で生の音を再現するために
ユニットを開発していたわけで、JBL も真空管アンプを使えば B&W と音のベクトルは全く同一です。


またタンノイのスターリング(TW)も試しましたが、スピーカーの癖のようなものは感じますが、特にクラシック向きという印象はありませんでした。

ただ WR アンプでは 805 程には上手く鳴っている感じは致しません。

JBL のように何か鳴らしにくい要素があるのかもしれません。


805 MATRIX ですと、出力の違う WRアンプで聞いても音は全く同じです(もちろん個体差による極僅かな音の違いはあるような気がしますが誤差の範囲内でしょう)。

5W でも 100W でも再生された音のクオリティは同じく高いです。

JBL の古典ユニットのように W数で解像度が変化するということはありません。

最も安価な E-5H でも何ら問題ないわけです。

どんなジャンルの音楽を聴こうとも、アンプもスピーカーも正しい方向に向かって適切に作られたものを選べば良いだけであって、その一つの方向が WRアンプであり、B&W MATRIX シリーズであるということでしょう。

ジャズ向きだとか、オーケストラ向き、室内楽向きなどというスピーカーはなく、またスピーカーのグレードアップなどというのもなく、WR アンプを基軸におけば、あとはつないだスピーカーの音が生と比べて適切かどうかを基準にすれば良いのではないでしょうか。

川西先生は出力の違うアンプを貸し出してくださいます。

もし比較試聴して音が違った場合はスピーカーに問題があるのかもしれません。

805MATRIX にサイン波を入れてみて驚きました。なんと50Hzまでも音圧が落ちずに
出ているではないですか! サイン波で性能が図れる訳ではありませんがこの数値だけでも805MATRIX は少なくともコントラバスの再生には問題がないように思われます。

そもそもコントラバスは低音楽器というよりは倍音楽器と認識したほうが
しっくりくるかもしれません。弦の振動で震えた駒が表板を叩くことで発生する
豊かな倍音が重要です。基音の周波数を基準に考える必要はないかもしれません。

この小さな805MATRIX でここまで再現されるのであれば、ウーハーの追加された801、802 もどれだけの再現性があるのか興味があるところです。

しかし、これらはユニット数が増えるのでどうしてもチェロが下に、ヴァイオリンが上にくるような定位における違和感が生じるだろうと想像出来てしまいます。

店頭で聞いた最新の B&W の大型スピーカーをそこにあるメーカーのアンプで鳴らしたのを聞いた時にはそういう違和感が大きかったのです。

805 は 805 なりに大変バランスのよい完成されたスピーカーだと思います。

805 MATRIX と WRアンプを組み合わせて音楽を楽しんでいると、スピーカーの B&W の開発者とアンプの川西先生の、生の音を再現したいという熱い思い、熱い執念が出会って見事に実を結んでいるのだと深く実感いたします。

オーディオで求めるものは人それぞれですが、もし生を基準にした再生音を求めるならば、第一候補は川西先生がリファレンスに用いている 805 MATRIX が最良の選択であり、さもなくば現代において素直に設計されたスピーカーを使用するのが良いだろうと思われます。

オーディオ装置などは単なる道具ですので、当方の経験したように懐古的なものや
根拠がはっきりしないのに高額なものなどに惑わされないようにして正しい方向のものを選べば良いでしょう。WRアンプは間違いなくそういうものです。


____


1669川西 哲夫さん(WRアンプ開発・設計者) Thu Apr 14 2016

O.M.さん、詳細で単刀直入なご投稿ありがとうございます。

 O.M.さんが使用されていたスピーカーは、ずっと B&W の CDM1 だとばかり思っていました。そして暫く音信が途絶えておりました。

 去年の文化の日の頃でしたか、久し振りにお便りがありました。それは、お持ちの ΕC-1 と Ε-10 のアップグレードのお話でした。2年ほど前にΕ-10 のプロトタイプをお貸し出しし、WR アンプを気に入って頂きご購入頂いたのを思い出しました。

 しかしよくお話を伺うとどうもチャンデバを使ってマルチ駆動をされているようで、ローチャンに Ε-10、ハイチャンにはもっと以前にご購入頂いた WRP-α9/A をお使いになっている事が分かり、結局、WRP-α9/A の安定化電源化も含めてアップグレードをして頂く事になったのでした。

 ところが「どうせアップグレードするならΕC-1 に EQ 基板を載せて LP も聴けるようにしたい」とご希望が脹らみ、結果的に大手術となりました。そのご報告はWR掲示板の 163 6と 1642 に詳述されていますので、改めてお読み頂ければ幸いです。

この時に「WRアンプの音は革命的だ!」と言う名誉あるご感想を頂いたのです。


 実はこの頃に既にヘッドアンプのご注文も賜っており、それは年末ギリギリに納入させて頂いたのでした。この絡みで純粋MCカートリッジが見直されています。また、MMの再生音にも劣るCDの音を改善すべく、プレーヤーも32bitDACを積んだものに買い換えられています。

 このように短期間で O.M.さんは急速な坂道を登られたのです。それが何処かに歪となって皺寄せが来るとは夢にも思っていませんでした。詰まり音が良くなったら、又それだけ粗が目立って来る事になり易いのだと思います。今まで隠れていた欠点が表に出てくる可能性があるのです。

 11月の末頃には、ローチャンとハイチャンの繋がりが悪い、と言うようなお話をチラホラされています。この時に初めて私は O.M.さんが D130+LE175+D91 をお使いになっていると認識したのです。

12月に入ってからこの問題が大きくクローズアップされて来ています。

既に、チャンデバは止めて LE175 の方をコンデンサーでカットする方法に変わっていましたが、そのコンデンサーの質で音がコロコロ変ると仰っています。そこで、私が ASC を推奨して


> ツイータのハイパスのコンデンサーですが、川西先生ご推奨の ASC がやっと届きまして、
> この違和感がすっきりと解決できました!

と一度は満足されています。

 この後、ヘッドアンプ導入によるMCカートリッジの音について色々感想を寄せて頂いたのですが鉄心入り MCカートリッジの音が

> ジャズベースが鉄芯だと一旦PAを通した音に聞こえてきました。

と仰っていたので、最初は誇張かと思っていたのですが、今思えばスピーカーの問題が顔を出していたのかも知れません。

確かに、鉄心入りMCは純粋 MC に比べてそう言う傾向が多少はあるのですが、その時「PAを通した音」と言う表現に多少違和感はありました。

 2月に入ってハイパスのコンデンサーで随分悩まれたようです。エージングの問題、耐圧の問題等で音がかなり変ると言うのがご不満のようでした。今思えばそう言う事で音に大きな変化がある場合は、別に本質的な問題が隠されている事が多いのです。

 中高域に違和感があるとカットオフ周波数を下げたくなるものです。その為にはコンデンサーの容量を増やさなくてなりませんが、そうそう思い通りの容量のコンデンサーが手に入る訳ではありません。勢い、コンデンサーの並列接続になります。

 コンデンサーはそれぞれ直列にインダクタンス分を持っていますので、不用意に並列接続すると高周波領域に共振峰ができ、システムに何らかの問題があると、それが音質に微妙に影響してくるのです。WR アンプのパスコンにも昔から1Ωの抵抗を直列に入れています。

 O.M.さんもこれで暫く悩まれたようですが、並列にされた2つのコンデンサーそれぞれに直列に0.5Ωから2Ω位を入れるようにアドバイスさせて頂いたのです。その結果、

> この音を聞けば、昨日までの音は奇妙奇天烈であったのは一目瞭然です。
> バイオリンのパワーに負けず、ビオラやチェロの粘っこい音が難なく聞き取れます。
> 当然ピアノの左手もしっかりしており、低音の太い金属弦の粘っこい感じ、
> 高音はキンキンせずにカンカンなる感じが出ています!
> これはすごい。正にこの方向の音が欲しくて右往左往しておったのです。

と言うレポートを頂き私は一安心したのです。それから3月の半ば頃までは便りがなく満足されているのかなと思っていたのですが、また問題が発覚したようでした。

それはウーハーとツイターを別々のアンプで鳴らすと、本来はもっと良くなるはずなのに耳に着く違和感があって改悪になると言う問題でした。

音楽がちぐはぐに聴こえると言う事でした。

 ウーハーを鳴らしている Ε-10H の音と、ツイターを鳴らしている WRP-α9/A (Ε-5H 相当)の音がかなり違うと言うご不満でした。

WRP-α9/A の方が膜が掛かったようになると言う事でした。

私は5W以下で鳴らすなら、Ε-5H とΕ-50H の音はそんなに変わらないと常々申し上げていますし、今回のアップグレードの時もそれを確認して発送していますから、これは何かあるなと薄々思い始めていました。しかし、未だスピーカーのダンピングの問題だとは気付いていませんでした。


 それ以降、こちらのΕ-10Hプロト、WRP-ΔZERO(Ε-50H相当)、100W機(Ε-100H相当)を次から次とお貸し出しし様子を見させて頂きました。

それに依ると、Ε-10HよりΔZERO、ΔZEROより 100機とドンドン分解能が上がると言う事でした。

この時に、音の表現を形容詞などで表現すると誤解の元になると痛感し、なるべく具体的に表現するように努めるべきであると悟ったのです。こちらで鳴っている音と余りに違うレポートを頂くと、何を頼りにそれを判断すれば良いか分からなくなるのです。

 この頃に頂いたご感想の一片を記しますと


> 届いたアンプでは、音の次元が違います。これはすごい。
> 当方のアンプもつなぐスピーカーが805matrix だとこのような素晴らしい音で鳴るのでしょうか。
> まったく信じられません!


と言うように、ハイパワーアンプなら結構良く鳴るものの、ご所有の α9/A やΕ-10H では、とても上手く鳴らせないと言う内容です。

この頃は他に何かあると思いつつも、まだネットワークの問題も気になっていて、スピーカーのインピーダンス上昇の問題も考慮し、打ち消しの為の直列素子を入れるように進言したりしましたが、少し効果はあったものの本質的な解決には至りませんでした。

 この頃になると O.M.さんもアンプの問題もさる事ながら、真空管時代に開発された JBL の問題点に気付き始めて居られたのでしょう。

真空管アンプと高帰還アンプ、又大きな箱に入れないと低音が出ない昔のスピーカーと小型エンクロージャーに入れてハイパワーで鳴らす現代のスピーカーの違い等々について、色々調査されたようです。

 D130+LE175 を聴いて衝撃を受けた時、鳴らしていたのは真空管アンプだった事も思い出されたのでしょう。

一度は真空管アンプで鳴らす必要性と、既に JBL を諦めて 805 MATRIX を探す気にもなられていたのだと思います。それから5日程音信が途絶えていました。

 真空管アンプを入手し、805 MATRIX も注文したと言うメールが突然ありました。

真空管アンプは3結シングルのミニパワーアンプでしたが、次のようなレポートが添えられていました。


> JBL とWRアンプでは高出力に比例して解像度は上がります。100Wの解像度はαZEROをはるかに
> 凌ぎます。しかし、しぶとく残り続ける「うまく鳴っていない感じ」があります。

 しかし、3結で鳴らすと

> これが管球アンプだとこの鳴らない感じがすっと消えているのです。
> 解像度は一気に落ちているのに、耳触りはとても自然です。

と言う風に仰っています。

真空管アンプだとずっと付き纏っていた違和感がスッと消えるようです。

どうも、WRアンプだと無理に JBL の穴を叩いているようです。しかし、次のようにも仰っています。

> 管球アンプの解像度はMMとMCのような違いがあります。いや、もっとあるかもしれません。
> WRアンプの解像度を聞いてしまうと全く笑ってしまう大雑把さなんです。
> しかし管球アンプですとユニットの発音の様子が全く異なり、総体的にこれが
> 当時のスタンダードな再生音であると納得できるような質感です。

 生の音を求めて近代的なスピーカーを高帰還アンプで鳴らすのと、昔ながらのゆったりした音を楽しむのと両極端を経験された事になります。

この音の違いの要因はアンプの出力インピーダンスの違いだと思います。

昔ながらのスピーカーはやはり当時想定された目的で使うべきなのでしょう。

無理に定電圧駆動するとコーン紙の振動が制動され過ぎてしまう為に、一部に耳障りな音が残ると考えられます。

D130 がアルニコを使っているのも裏目に出た感じです。

察するに昔の真空管アンプでも、それなりにダンピングが効いた音が出るように図られていたのだと思います。

 振動学的には、臨界粘性減衰係数に、系の粘性減衰係数が近付くと減衰振動は振動的でなくなり、単調減衰になってしまいますが、このような系は反応が鈍くなりますので、切れのある軽い音にはならないのです。

電気振動でも言えて、方形波特性を余り鈍らせるとアンプの音は硬直して来ます。
制動不足でリンキング状態になると音は荒れますが、少しアンダー気味で低い山が1つ見える程度が良いとされています。

 しかし、805 MATRIX が到着すると、

> 805MATRIX 届きまして、衝撃です!
> JBL と合わせて、もう必要のないものとなりました。

O.M.さんは生楽器の音を再現する為のオーディオを目指して居られますので、当然の結果となったのです。どのように衝撃だったかは次に示す文章から見て取れます。

> E-10H で駆動していますが、805 を慣らしきってやろうという先生の熱い思いがビシビシと
> 伝わってきます!第一印象だと低音が薄いかな?と思いやはり失敗だったかなあと思ったものの、
> しばらく聞いていると音がこなれてきたのか、バランスがよく感じてきました。

 ハイパワーアンプに比べてご自分のものは大きく見劣りがするとお感じになっていたはずですが、805 MATRIX ならものの見事に鳴ったようです。

音のバランスが聴くうちに良くなったのは、やはり長い間眠っていたスピーカーのエージングが進んだ為ですが、耳が小型スピーカーに慣れたこともあると思います。さらに、

> この小さな筐体SPでピアノがこんなに満遍なく聞こえるのは奇跡ですね!
> 掲示板や先生のメールに書いてある左手の最低音が聞こえるという記述はさすがに
> 言い過ぎだろう、聞こえていても蚊の泣くような微かな響きでしょうと思っていたのですが、
> まさかまさかこんなに聞こえるとは!


と仰っていて、私が Feastrex で体感した時と似たような衝撃を受けられたようです。この音が認識できると本当に幸せな気分になるから不思議です。

そして、やっとO.M.さんは納得の行く音を手に入れられたのです。

> 全体の音楽性は明らかに805 です。時間軸に沿って響きが繋がっていく感じに破綻がありません。
> 定位感もすごいです。よそ様のところでのJBL で相当大音量で試聴距離も離れて聞いた時にSPが
> 消えている感覚がありましたが、自宅では近接で歪みが多く耳につくのかいまいちです。
> それに比べればこの805はとても素晴らしい!スピーカーを意識することが全くない!
> やっと色々な呪縛から解放されました。

 この成功は B&W805 MATRIX でなければ得られないのではありません。

又 B&W805 MATRIX に WR アンプを無理に合わせている訳でもありません。

その証拠にサトウさんの追試でもっと小型で安価な DENON の USC-M3E を繋いでも「これだけでも十分立派な鳴りです。」と仰っています。

D130では過制動になり違和感が残りましたがその理由ははっきりしています。

現代のスピーカー、特にヨーロッパ系のものなら全く問題はないと思います。
どうぞ安心して、WRアンプをお求めになって下さい。
http://west.wramp.jp/datawr35.html

69. 中川隆[-10340] koaQ7Jey 2020年11月01日 07:31:41 : isjVvzRBMk : ZzBKTnRsbE8xMFk=[9] 報告
ドイツの軽量高能率スピーカーユニットには EAR の出力が大きいアンプは合わない?

EAR の真空管アンプ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/947.html


「音楽&オーディオ」の小部屋
オーディオに完璧という言葉は無いのですが・・ 2020年10月27日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/d5b694c77e8b55fe495cef62b451b2a5


とても程度のいい「AXIOM80」がオークションに出品されていたのはご承知のとおり。

実は、この件に関して関西在住のある読者からご相談を受けていた。仮に「H」さんとしておこう。

「〇〇美術館で学芸員をしている「H」と申します。

5年程前よりこのブログ毎日興味深く拝見させていただいてます。

真空管とAXIOM80に大変興味があったもので直ぐにここにたどり着いてしまいました。私はどちらも素人です。

50年前のFMラジオから始まったオーディオ人生も、直ぐにパイオニアのPE-16、岩崎千明氏の影響でD130の平面バッフルに移行したのですが、折からのオーディオブーム(?)に飲まれ、真空管はダイナコ以外は使わずに40年程経ちました。

それでも、オーディオ少年の夢で、マランツ7、パラゴン、AXIOM80を未だに追っかけています。

私も九大のOBでして、中高時代は北九州無線に入り浸っていたのですが、如何せん、当時はどれも現役で試聴することが出来ませんでした。

高校の修学旅行で吉祥寺にパラゴンを聴きにいったり、京都のやまとやにヴァイタボックスCN191と頑張っていたのですが、東京の西武美術館、その後現在の美術館に就職し、仕事が忙しく、ほどほどの努力で終わっていました。

10年程前に小さな小さな家を建て(私は美術館専門の建築家でもあります)た時から、昔の夢が再燃し始めました。相模原のジュピターオーディオに通ってマランツ7以下いろいろなヴィンテージの音を知りました。後はAXIOM80だけです。

その後、音楽&オーディオの小部屋さんのブログで真空管アンプの世界を知りました。

私は大メーカーの既製品しか知らなかったのでその魅力に驚きの連続でした。小部屋さんの日々の奮闘、本当に楽しく見せていただき、大変参考にさせていただいています。

私の部屋は6畳で、天井にはロフトの入り口のドアがあり、兎に角狭いのが残念です。

仕事の関係で、TVも映像も見続けていますが、オーディオでは主にレコードを聴きます。クラシックは少ないですが購入品だけでも6千枚はあると思います。

90年代末、大型ごみで未使用を含めたレコードが沢山捨てられていたので、コレクションが膨れ上がりました。

現在のメイン機器は、アンプがEAR912とEAR861、スピーカーがJBLのL75メヌエットとSABAのPermadyn19-200の20pフルレンジ後面開放型です。他も全部フルレンジです。

最終的に入手予定のSPはAXIOM80です。確かに程度の良いものを聴いたことがありませんが、小部屋さんのブログや他の方のブログから推し量っても私の行きつく先はこのSPだと思っています。間違っているかもしれませんが。

本当は、最後の買い物(?)なので急ぐつもりはなかったのですが、じっくりキャビネットを設計したり(音響ホールの設計が専門なので 建築学科を途中で変更しましたが)、最低でもBOXを購入してユニットを入手するつもりだったのですが、ヤフオクに魅力的なユニット出ていたんで、メールさせていただきました。

小部屋さんの80に関するブログは何度も読ませていただいています。

ずっと付き合うにはいいものかと思ったのです。感想を聞かせていただければ幸いです。」

すぐに返信した。

「AXIOM80」の話です。現在オークションに出品中の物は、外見で見る限り、ハイレベルだと思います。(オークションでは)めったに見かけないほど程度いいです。

問題はお値段です。私の場合は「36万円」(初期版)で手に入れました。このユニットはこの額以内であればお買い得でしょう。おそらく上回ると思います。


ただ、問題は鳴らし方です。このくらい難しいユニットはないです。まず箱をどうするのか、それからどういうアンプを使うかです。いい箱に巡り会う、あるいは作るにはかなりの時間を覚悟しておいた方がいいでしょう。

それに、どんなにうまく鳴らしたとしても「オーケストラ」の本格的なスケール感は無理なので、結局「セカンドシステム」として位置付けておく方が無難です。

まあ、実際に鳴らしてみないと得心が行かないとは思いますが・・。

結局、いくら「AXIOM80」といえども「過大な期待」は禁物だと言いたいです。まあ、オーディオに完璧という言葉は無いのですが・・。

ただ、このユニットじゃないと出せない音があることもたしかです。むしろ、いろんなお宅の「AXIOM80」を実際に聴いて、気に入ればそっくり箱からアンプまで真似するのが一番無難ですかね。」

以下、続く。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/d5b694c77e8b55fe495cef62b451b2a5


ノーベル賞をもらったオークション理論 2020年10月29日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/87775fc22921cee3535e2219bb21f0e0

さて、関西在住の「H」さんとメールのやり取りが続いている。そして、次のようなメールが届いた。

「急なメールに早速返答いただき恐れ入ります。具体的な内容で本当にありがとうございます。

〇〇さんの記事などを参考にさせていただいても、このユニットの状態は良いのだと思っておりました。

金額も参考にさせていただきます。税込み40万円までは思っておりましたが、きっと全然違う金額になるのではと予想しています。正直、AXIOMの初心者です、これから苦労していくつもりなので、今回が絶対とは思っておりません。

私は歌謡曲とフォーク等のコレクターです。太田裕美、ちあきなおみ、美空ひばりが色っぽく歌い、ジャズトリオが魅力的ならそれで全く満足です。オールマイティなものは期待していません。

40年前はD130に比べてLE8Tの音を嫌っていたのですが、今は毎日が楽しくてしかたがありません。〇〇さんの音には遠く及びませんが、似た傾向の音が好きなのではと勝手に思っています。アンプ以外は機材似ていますので。EAR861は16Ω仕様で、AXIOM80に合う音なのではと選びました。イメージから入るタイプです。

大分県立美術館の〇〇氏は私の同級生だったのですが、今は大学に戻っています。よく大分に遊びに行ってました。

今回は、あまりにも良さそうなので落札は期待薄ですが、何時かは必ずお仲間入りすると思いますので、良き指導宜しくお願いします。実家は若松(北九州)ですので、きっと伺う機会もあると思っております。

なお、画像を添付します。

写真のうち衣装と小物は全部本物です。衣装に合わせ1体ずつマネキンを製作します。700カ所の採寸、原型から型取りを繰り返し、彩色まで約半年掛かります。私の人件費を除いても200万円以上は掛かります。

デパートや店のマネキンを1点ものなら1000万円は掛かります。量産品でも50万円以上です。結構高いものです。

モーツアルト時代の衣装は数十点所蔵しています(マネキンも同数)250年以上前の衣装を毎日触る仕事です。

2018年は佐渡豊さんに頼まれて、フィガロの結婚の衣装解説を芸術劇場のパンプに書かせていただきました。

ご褒美に初日の一番いい席で見せていただきました。楽しい一日でした。
もう1点はスーラ―の「グランドジャット島の日曜日の午後を本物で再現したものです。」

エッ、「マネキン」ってとても緻密な作業が要るし、それに随分高価なんですね〜。驚きました!

そして、すぐに返信した。

「指導なんてとんでもないです。私も「AXIOM80」の正解が見出せない「迷える子羊」の一人です。一緒に考えながら前進していければと考えてます。

今回の出品物が40万円以下だといいですね・・。もし手に入ったら、アンプは今のままでいいでしょうから箱をどうするかですね。箱に容れないで裸で鳴らすとこのユニットは確実に壊れます。

私もこれまで4〜5回修繕に出してます。
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi/e/87775fc22921cee3535e2219bb21f0e0


メラメラと燃え上がる怒りの炎! 2020年10月31日
https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi

メールを開けてみたところ「落札できませんでした」のタイトルが目に踊った。

「〇〇美術館のHです。非常に 残念ですが予想通り落札出来ませんでした。いろいろお訊きしたのに申し訳ないです。

50万円近くまで粘ってみたのですが、このまま続けても、相手が強力で、どんどん上がるだけだと思ったので止めました。

一度自分の耳で納得するまで聴き、その後に入手しても遅くないと思っています。今回は縁が無かったですが、これがスタートだと思っています。

今後ともよろしくお願いします。確かに状態は最高であった気がしますが、私には過ぎたレベルだと今は思っています。」

すぐに返信メールを打った。

「おはようございます。早寝早起きなのでこのメールが真っ先に目に入りました(笑)。

結論から言いますと「見送って正解」です。いくら何でも50万円近い金額は無茶です。

落札者はおそらくお金に糸目をつけない〇〇系の業者じゃないでしょうか。

別の機会がきっと訪れますし、「果報は寝て待て」の心境もいいものです。

それに使い込まれた中古品でも十分です。万一故障したときの修理のうまい業者も知ってますよ」。

それから、おいおい状況がはっきりしてきた。落札者は累計で3000件以上にも及ぶ専門業者でやっぱり投機筋の〇〇系のようだし、具体的な落札金額は税込み価格で「48万円」だった。もし最後まで競争をしかけていれば確実に50万円を超えるどころか果てしない金額に上ったことだろう。


すると、Hさんから再びメールが届いた。

「この2日間、AXIOM80を入手すれば封印されるはずだったSABApermadyn19-200とJBLL75(LE8Tユニット)を真剣に試聴することにしました。

〇〇さんが以前のブログで書かれていた美空ひばりオンステージと井筒香奈江ダイレクトカッテイング、荒井由実ミスリム、上田正樹アフターミッドナイト、ビル・エヴァンスのレコードと、唯一のデジタルSACDで中森明菜ベストコレクションという偏った選曲にしました。

2日間で約10時間、SABAが7時間、L75が3時間ほどです。今終わったばかりです。平日は家族が全員仕事に行っているので、私にはこの時しかないのですが。

SABAはオーディオもてぎさんに行って茂木さんとお話ししているうちに大好きになったSPです。

2,3年探していたのですが、何故かヤフオクに引き取り限定で大型エンクロージャー入りの極上ユニットがほぼタダ同然に出ました。(私は拾うことが大好きなので)ほぼタクシー代だけで入手できました。

(車とバイクの趣味は完全封印しています)それでも2カ月ほど改造し、後面開放エンクロージャーに作り替えました。いい音だとは思っていたのですが、TVやCDの音が痩せ細るので、常用していませんでした。仕舞っていました。

私が知る限りEAR912と861は音を美化するトップクラスのアンプです。初めはMCを聴いていたのですが、結局今はシュアーのULTRA500 に戻ってしまいました。この条件で聴くと、レコードは8:2でSABAが勝ちました。物凄く吃驚しました。せめて同点位と思っていたので。

しかしながら、TV、動画サイト、SACD、CD、ハイレゾというデジタルソフトは100:0でL75がいいです。

同じ20pアルニコマグネットのフルレンジ、設計は数年違いますが。全然違う音質というわけでなく、どちらもバランス良く人の声が自然に聞えます。

L75が少しウェットではありますが。SABAで聴くデジタルは何とも痩せてか細いのです。一番の違いはコーンの重さ、ユニットの重さだと思います。

レコードあれほどまったりしていて、血が通っていた声がミニコンポみたいになるのです。電気を最高速で音に変える軽い軽いコーン紙が何か悪さしているのでしょうか?

もともとラジオ用のユニットですからシーメンスとは反対側にいるものです、JBLともAXIOM80とも逆なのだと思います。

何が言いたいかというと、束縛の無いコーン紙≒SABA、重いダイキャストフレーム≒LE8T 〇〇さん宅のデジタルなら問題ないのでしょうが、AXIOM80とは、どんな方向性の音がするのだろうかと、更に興味が沸いたという話でした。

聴かなくては分からないと承知しながら、音を想像する愉しみは何事にも勝ります。ただ、SABAの悪い分以下でないことは望んでいますが(いや寧ろ、反対側が凄ければそれでもいいですね)

L75ならレコードと違うSACDの良さが分かるのですが、SABAは何故なんでしょうかね。周波数特性もSABA50Hzから十分でしたし、上は12000Hzまでしか聴こえませんし、L75も同じ位の周波数特性でした。

SABAもこのまま残して、AXIOM80の箱は別に作ろうかと思った次第です。SABAより軽い(?)コーン紙の音。楽しみです。」

折り返し、返信した。

「とても興味深い話です。たしかに仰る通り、デジタル系の音とアナログ系の音にあったユニットの相性がありますね。

コーン紙が軽いユニットはアナログ系の響きの豊かな音に合うような気がしています。

AXIOM80の初期版のコーン紙の軽さは有名ですが、やはりアナログ系に合っていそうです。我が家ではレコードは無いのですべてDACを通していますが、アナログならさぞかしと思います。

それかといって、デジタルでもあまり不足は感じていませんが、時折り感じる「響き」の少なさがアナログでは解消するかもしれませんね。

私はデジタルで低音域を豊かに鳴らすことに固執しているので、まやかしですが「AXIOM80」の同一バッフルに「リチャードアレン」(口径20センチ)のサブウーファーを取り付けて2台の真空管アンプで楽しんでます。

今のところ私の駄耳では満足してます。要は工夫次第ということですか。

いや、けっして自画自賛ではないですよ(笑)。

サバとLE8Tは両者ともボーカルを楽しむにはとても合っていると思います。

あえて口径20センチのフルレンジを選択される趣味の良さも大いに感じますし、アンプもあの「パラヴィッツーニ」設計の優れものなので、この組み合わせで十分だと思います。わざわざ「AXIOM80」を求めることもないでしょう。

もちろんそれなりの良さもあるとは思いますが、おそらく「フ〜ン、AXIOM80といってもお値段ほどのことはないな」がオチだと思います。

そういえば「聴かぬが花」という言葉を思い出しましたよ(笑)。」

https://blog.goo.ne.jp/jbltakashi

70. 中川隆[-7376] koaQ7Jey 2021年2月14日 16:16:31 : QZhdQO5a5A : ZWFSbURxdVc4aUU=[20] 報告
別冊ステレオサウンド『歴代・名スピーカーユニット[増補版]』
2021年2月18日発売!! - Stereo Sound ONLINE
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17430408

オーディオの原点は “スピーカーユニット” にあり!スピーカーユニットに徹底してこだわり、その魅力を余すところなく紹介する!!

WE555が誕生してから、今年ですでに95年。この間にはオーディオファイルの情熱をかき立て、あるいは永年憧れ続けた魅力的なスピーカーユニットが数多く登場しました。中には、いままで見たことがない、あるいは知らなかった、型名だけは知っていたが……。そうした未知のユニットもあり、それを「発見」することも、オーディオのひとつの愉しみかもしれません。

本誌では、そうした歴代の傑作スピーカーユニットをジャンル別に厳選し、豊富な写真とともに丁寧に詳しく解説しました。本誌はきっと、オーディオファイルの貴方にとって、折に触れてもう一度読み返したくなる、「座右の書」となるはずです。

本誌は、2007年に発売した『歴代・名スピーカーユニット』の増補版です。2007年版では、フルレンジユニット篇/同軸型(コアキシャル)ユニット篇/ウーファーユニット篇/ドライバーユニット篇、の4部門に分け、計109モデルのスピーカーユニットを詳解しました。

今回の[増補版]では、新たに「ドイツ製の名スピーカーユニット」35モデルに加え、フォステクス・6モデル、GIPラボラトリー・6モデル、ウェスタン・エレクトリック・1モデル、計48モデルを追加しました。

以下は、その詳細です。


●「まずスピーカーユニットありき」
 オーディオの原点 スピーカーユニットの魅力
 高津 修

●ここに注目! 歴代・名スピーカーユニット徹底研究

・フルレンジユニット篇
 Altec Lansing 603(A), 603B, 755A, 755C, 755E
 Diatone P610MB
 Electro-Voice SP15
 Fostex F120A, FE103A(新), FE168SS-HP(新)
 G.I.P. Laboratory GIP4165(新)
 Goodmans AXIOM 80
 JBL LE8, LE8T, LE8T-H, D123, D130
 Lansing D101
 Lowther PM6A Hi-Ferric
 RCA MI4410
 Western Electric 595A, 728B, 750A, 754A, 755A, KS7747, TA4154, TA4165, TA4172, TA4189, D173491(新)

・同軸型(コアキシァル)ユニット篇
 Altec Lansing 409B, CD408-8A, 601, 602A, 602B, 602D, 604(A), 604B, 604C, 604D, 604E, 604-8G, 605B
 Electro-Voice 15TRXB
 Great Plains Audio 604-8H-II
 Jensen G610B, Type H
 RCA LC1, LC1A
 Scott Type H
 Stephens/Tru-Sonic 206AXA
 Tannoy 15” Monitor Black, Monitor Silver, Monitor Red, Monitor Gold


・ウーファーユニット篇
 Altec Lansing 416A, 416-8A/B, 515(A), 515B, 515-8G, 803, 803A, 803B
 Ampex 150-4
 Fostex W400A-HR, W160A-HR(新)
 G.I.P. Laboratory TA4181A model 1, model 2, model 3, W4601
 JBL 130A/B, 150-4C, 1500AL
 Lansing 415, 815U, D130A
 TAD TL1601a, TL1601b, TL1801
 Western Electric TA4151, TA4181A
 Westrex T510A


・ドライバーユニット篇
 Altec Lansing 288(A), 288B, 288C, 288-8G/16G, 802B, 802C, 802D, 802-8G/16G
 Fostex T500A MkIII(新), T90A-SE(新), T250A(新)
 G.I.P. Laboratory 594A model 1, model 2, model 3, GIP555W(新), GIP801(新), GIP-D5016A(新), GIP597A(新)
 I.P.C. LU1000
 JBL 75, 175, 175DLH, LE175DLH, 2410, 375, 2440, 2441, 435Be
 Jensen Model Q
 Lansing 284, 287, 801, 901, D175H
 London Western Electric 30150B
 RCA 555 Type
 TAD TD4003
 Western Electric 555, 555W, 594A, 713C, A555
 Westrex T530A

●ドイツ製の名スピーカーシステム/ユニット篇(新企画)
 解説=小林正信

・黎明期のジャーマン・ヴィンテージスピーカー
 ジーメンス Riffel ELL13/AEG Rice & Kellogg type Loudspeaker

・画期的なシアタースピーカー「オイロパ」
 クラングフィルム 44008/クラングフィルム 43010

・オイロダイン・オーナーが憧れる「オイロパ・ユニア」
 クラングフィルム 44006/クラングフィルム 43011

・ドイツ製フルレンジスピーカーの最高峰と「ビオダイン」
 クラングフィルム 42006/クラングフィルム 44025

・プロパガンダの申し子「オイロパ・クラルトン」
 クラングフィルム 44008/クラングフィルム 43010

・類稀な音の「オイロパ・ユニア・クラルトン」
 クラングフィルム 44022/クラングフィルム 44021/クラングフィルム 43012

・シアタースピーカーの頂点「オイロノア」
 クラングフィルム 46000

・戦後のドイツ製大型スピーカーの雄「ビオノア」
 クラングフィルム KL-L501/クラングフィルム KL-L405/クラングフィルム KL-L302

・フィールド型オイロダイン「KL-L430/KL-L431」
 クラングフィルム KL-L401/クラングフィルム KL-L402/クラングフィルム KL-L301

・アルニコ型オイロダイン「KL-L439/C71233-A6-A1」
 クラングフィルム KL-L406/クラングフィルム KL-L303

・最良のドイツ製フルレンジスピーカー
 ジーメンス 12インチ径フルレンジ(革エッジ)/ジーメンス 12インチ径同軸2ウェイ/シーメンス C72233-A10-A1/シーメンス C72233-A10-A7

・ツァイスのシアター用スピーカー
 ハルトマン&キルバッハ 19インチ径フルレンジ/イコフォックス 12インチ径フルレンジ+ショートホーン/イコフォックス 8セル・マルチセラーホーン付きドライバー/イコフォックス 19インチ径ウーファー

・謎に包まれた「コンスキ&クリューガー」
 コンスキ&クリューガー KL51用ウーファー+ドライバー・ホーン/コンスキ&クリューガー HL57

・孤高のモニター用同軸スピーカー
 エックミラー O15c/シュルツ O16/シュルツ O16改

●ブランド別・歴代スピーカーユニット主要規格一覧

 
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17430408

71. 中川隆[-16254] koaQ7Jey 2021年9月20日 17:56:56 : 6C6SEMfD1k : YnZQeFh4aHV2cS4=[22] 報告
audio identity (designing)宮ア勝己
Date: 8月 6th, 2015
最後の晩餐に選ぶモノの意味(その1)
http://audiosharing.com/blog/?p=17740


死ぬ日がはっきりと決っていて、しかもそれがいつなのか本人が知っている。
それがどういう状況での死になるのかはここでは書かない。

とにかくいつ死ぬのかがわかっている。
そして最後の晩餐として、何を求めるか、ときかれたとしよう。

私はオーディオマニアだから、ここでの最後の晩餐とは食事ではなく、
最後に聴きたい音(組合せ)をかなえてくれるとしたら、どういうシステムを選ぶだろうか。

部屋も用意してくれる。
オーディオ機器も、どんなに古いモノであっても、最高のコンディションのモノを探して出して用意してくれる。
わがままな要望をすべてかなえてくれる、いわば音の最後の晩餐に何を望むのか。

現実にはこんなことは、ほぼありえない。
だからこそ考えていると楽しい。

最後に何を聴きたいのかは、どのレコードを聴きたいのかによって、ほぼすべてが決る。

私はシーメンスのオイロダインを聴きたい、と思う。
そう思うのは、最後に聴きたいのはフルトヴェングラーなのか。

グレン・グールドのどれかを最後に聴きたいのであれば、オイロダインとは思わない。
別のスピーカーを思い浮べ、それを鳴らすにふさわしいと思えるアンプを選択する。
カスリーン・フェリアーの歌であれば、また別のスピーカー(というよりもデッカ・デコラ)にする。

オイロダインということは、グールドでもフェリアーでもないということだ。
オイロダインを選ぶということは、少なくとも今の私は最後に聴きたいと思っているのは、
フルトヴェングラーのなにかということになる……。

そんな急拵えのシステムで聴くよりも、
それまでつきあってきた自分のシステムで好きなレコードを聴ければ、それで充分だし、
だいたいこんなことを考えることに何の意味があるのか、と思う人も少なくないだろう。
私だって、そんな気持を持っている。
それでもこんなことを考えてみるのも、まるっきり無意味とは決して思えない。

少なくともいまの私はフルトヴェングラーのなにかを聴きたいのだ、ということを意識できたからだ。
http://audiosharing.com/blog/?p=17740

最後の晩餐に選ぶモノの意味(その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=17744


フルトヴェングラーのなにかを聴きたい、ということにつながっていくスピーカーとして、
私にとってはタンノイのオートグラフもそうである。

何度も書いているように五味先生の文章にみちびかれてオーディオの世界に入ってしまった私には、
五味康祐といえばベートーヴェンが思い浮ぶし、
そのベートーヴェンとはフルトヴェングラーの演奏によるものであり、
フルトヴェングラーのベートーヴェンを五味先生はオートグラフで聴かれていたからである。

私にとって、シーメンスのオイロダインとタンノイのオートグラフが、
フルトヴェングラーのなにかを聴きたい、というスピーカーということになる。

けれどオイロダインで聴きたいフルトヴェングラーのなにかと、
オートグラフで聴きたいフルトヴェングラーのなにかは同じではないことを感じている。

私がオイロダインで聴こうとしているフルトヴェングラーのなにかとは、第二次大戦中のライヴ録音であり、
オートグラフで聴こうとしているフルトヴェングラーのなにかとは、戦後の録音である。
そのことに気づいた。
http://audiosharing.com/blog/?p=17744


最後の晩餐に選ぶモノの意味(その3)
http://audiosharing.com/blog/?p=17762


黒田先生の著書「音楽への礼状」からの引用だ。
     *
 かつて、クラシック音楽は、天空を突き刺してそそりたつアルプスの山々のように、クラシック音楽ならではの尊厳を誇り、その人間愛にみちたメッセージでききてを感動させていました。まだ幼かったぼくは、あなたが、一九五二年に録音された「英雄」交響曲をきいて、クラシック音楽の、そのような尊厳に、はじめて気づきました。コンパクトディスクにおさまった、その演奏に耳を傾けているうちに、ぼくは、高校時代に味わった、あの胸が熱くなるような思いを味わい、クラシック音楽をききつづけてきた自分のしあわせを考えないではいられませんでした。
 なにごとにつけ、軽薄短小がよしとされるこの時代の嗜好と真向から対立するのが、あなたのきかせて下さる重くて大きい音楽です。音楽もまた、すぐれた音楽にかぎってのことではありますが、時代を批評する鏡として機能するようです。
 今ではもう誰も、「英雄」交響曲の冒頭の変ホ長調の主和音を、あなたのように堂々と威厳をもってひびかせるようなことはしなくなりました。クラシック音楽は、あなたがご存命の頃と較べると、よくもわるくも、スマートになりました。だからといって、あなたの演奏が、押し入れの奥からでてきた祖父の背広のような古さを感じさせるか、というと、そうではありません。あなたの残された演奏をきくひとはすべて、単に過ぎた時代をふりかえるだけではなく、時代の忘れ物に気づき、同時に、この頃ではあまり目にすることも耳にすることもなくなった、尊厳とか、あるいは志とかいったことを考えます。
     *
黒田先生が書かれている「あなた」とは、フルトヴェングラーのことである。
黒田先生は書かれている、
フルトヴェングラーが残した音楽を、
《きくひとはすべて、単に過ぎだ時代をふりかえるだけではなく、時代の忘れ物に気づき、同時に、この頃ではあまり目にすることも耳にすることもなくなった、尊厳とか、あるいは志とかいったことを考えます》と。

フルトヴェングラー以降、多くの指揮者が誕生し、多くの録音がなされてきたし、
これからももっと多くの録音がなされていく。

フルトヴェングラーが亡くなって50年以上が過ぎている。
その間に出たレコードの枚数(オーケストラものにかぎっても)、いったいどれだけなのだろうか。
フルトヴェングラーが残したものは、その中に埋没することがなく、
いまも輝きを保っている、というよりも、輝きをましているところもある。

それは黒田先生が書かれているように、
フルトヴェングラーの演奏をきくことで、時代の忘れ物に気づき、
尊厳とか志といったことを考えるからであるからだ。

そして黒田先生は、すぐれた音楽は《時代を批評する鏡として機能するようです》とも書かれている。
フルトヴェングラーの演奏は、すぐれた演奏である。
つまり《時代を批評する鏡として機能》している。

そういう音楽だから、フルトヴェングラーの演奏をきく、といっても、
それが第二次大戦中の演奏なのか、第二次大戦後の演奏なのかは、
同じフルトヴェングラーの音楽であることに違いはないけれども、
同じには聴けないところがあるのをどこかで感じている。

だから第二次大戦中のフルトヴェングラーはシーメンスのオイロダインで、
第二次大戦後のフルトヴェングラーはタンノイのオートグラフで、ということに、
私の場合になっていく。
http://audiosharing.com/blog/?p=17762


最後の晩餐に選ぶモノの意味(その4)
http://audiosharing.com/blog/?p=18061

続きを書くにあたって、迷っていた。
確認しておきたいことがあったけれど、
それが何に、いつごろ載っていたのかうろおぼえで、どうやってその本をさがしたらいいのか。
しかも、それは購入していた本ではない。
どこかで目にしたことのある本だった。

国会図書館に行き、じっくり腰を据えてさがしていけばいつかはみつかるだろうが、
それでは時間がどのくらいかかるのかわからない。

うろおぼえの記憶に頼って書くしかない……、と思っていたところに、
その本そのものではないが、
私が確認しておきたかった(読みたかった)記事が再掲されたムックが出ていた。

河出書房新社の「フルトヴェングラー 最大最高の指揮者」に載っていた。
7月に出たこの本の最後のほうに、「対談 フルトヴェングラーを再評価する」がある。
音楽評論家の宇野功芳氏と指揮者の福永陽一郎氏による、1975年の対談である。

この対談の福永氏の発言を、どうしても引用しておきたかったのだ。
     *
福永 ぼくがこのごろ思っていることは、フルトヴェングラーはいわゆる過去の大家ではないということです。つまりほかの大家、大指揮者というのは、みんな自分たちの大きな仕事を終わって、レコードにも録音して死んじゃったんですけれども、フルトヴェングラーというのは、そうではなくて、いまレコードで演奏している。つまり生物的には存在しない人間なんだけれども、いまなお、そのレコードを通して演奏している演奏家で、だから新しいレコードが発見されれば、ちょうどいま生きている演奏家の新しい演奏会を聴きに行くように聴きたくなる。そういう意味で、つまり死んでいないという考え方なんです。
 過去の演奏会ではない、いまだに生き続けている。あのレコードによって毎日、毎日鳴り続けている指揮者であると、そういう指揮者はほかにいないというふうに、ぼくは考えるわけです。だから、ほかの指揮者は過去の業績であり、あの人は立派だった、こういうのを残したという形で評価されているけれども、フルトヴェングラーの場合は、レコードが鳴るたびに、もう一ぺんそこで生きて鳴っているという、そういうものがあの人の演奏の中にあると思うんです。それがいまの若い人でも初めて聴いたときにびっくりさせる。
 つまり、過去の大家の名演奏だと教えられて、はあそんなものかなと聴くんじゃなくて、直接自分のこころに何か訴えてくるものがあって、自分の心がそれで動いちゃうということが起こって、それでびっくりしちゃって、これは並みのレコードとは違うというふうに感じるんじゃないか。そうするともう一枚聴きたくなるという現象が起きるんじゃないかという気がするわけですね。
     *
福永氏が語られていることをいま読み返していると、
フルトヴェングラーは、演奏家側のレコード演奏家だということをつよく感じる。
http://audiosharing.com/blog/?p=18061


最後の晩餐に選ぶモノの意味(その5)
http://audiosharing.com/blog/?p=20415


フルトヴェングラーのモーツァルトのレクィエムは、
死ぬまでに聴きたい、と思う。
けれど、いまのところLPでもCDでも出ていない(はずだ)。

五味先生が書かれていた。
     *
 フルトヴェングラーが、ウィーンで『レクィエム』を指揮した古い写真がある。『レクィエム』とは、こうして聴くものか、そう沁々思って見入らずにおられぬいい写真だ。フルトヴェングラーがいいからこの写真も一そうよく見えるにきまっているが、しかしワルターでもトスカニーニでもこの写真の雰囲気は出ないように思う。私はこんなレコードがほしい。(「死と音楽」より)
     *
これを読んでいるから、どうしても聴きたい、と思う。
録音が残っていないのか。

調べるとフルトヴェングラーがレクィエムを指揮したのは、1941年が最後である。
第二次大戦後は一度もレクィエムを指揮していない。

その理由はわからない。
http://audiosharing.com/blog/?p=20415

最後の晩餐に選ぶモノの意味(その6)
http://audiosharing.com/blog/?p=20419


モーツァルトのレクィエムとは逆に、
フルトヴェングラーによるマーラーは、第二次大戦後になる。

ナチス時代のドイツでユダヤ人作曲家のマーラーの作品の演奏は不可能だったし、
いかなフルトヴェングラーでも、それを覆すことも不可能だったのだろう。

フルトヴェングラーのマーラーは「さすらう若人の歌」が残されている。
フィッシャー=ディスカウとの演奏・録音である。

ここでのフィッシャー=ディスカウの歌唱は、
人生で一度きりのものといえる──、というのは、これまでに何人もの方が書いている。
その通りの歌唱である。

フィッシャー=ディスカウは何度も、その後「さすらう若人の歌」を録音している。
すべてを聴いてはいないが、フルトヴェングラーとの演奏を超えている、とは言い難い。
歌い手として成熟・円熟していくことが、すべての曲においてよい方向へと作用するわけではないことを、
フィッシャー=ディスカウが27歳のときの歌唱は証明しているように感じられる。

マーラーがユダヤ人でなかったとしたら、
ナチス時代にマーラーの演奏が可能だったとして、
さらにそのときに27歳のフィッシャー=ディスカウがいたとして、
いまわれわれが聴くことができる「さすらう若人の歌」が聴けただろうか……、
となるとそうとはいえないような気がする。

ナチス時代の終焉という戦後になされた「さすらう若人の歌」、
第二次大戦後、一度も演奏されることのなかったモーツァルトのレクィエム。
おそらくレクィエムを聴くことはできないであろう。
ならば想像するしかない。
http://audiosharing.com/blog/?p=20419

Date: 10月 20th, 2020
最後の晩餐に選ぶモノの意味(その7)
http://audiosharing.com/blog/?p=33381


来年、五味先生の享年と同じになるのだが、
特に病気を患っているわけでもないし、健康状態はいい。
あとどれだけ生きられるのかはわからないけれど、まだまだ生きていられそうである。

二十年くらいは生きてそうだな、と思っている。
あと二十年として、その時77になっている。

身体は、そのころには、けっこうぼろぼろになっていよう。
ぼろぼろになっているから、くたばってしまうのだろう。

ここで書いているシーメンスのオイロダインも、そのころにはぼろぼろになっていることだろう。
劇場用スピーカーとして製造されたモノであっても、もとがかなり古いモノだけに、
二十年後に、よい状態のオイロダインは、世の中に一本も存在していないように思う。

そんなことがわかっているのに、音の最後の晩餐に、何を求めるのだろうか──、
そんなことを書いているのは、無意味でしかない、といえば、反論はしない。

非生産的なことに時間を費やす。
愚かなことであろう。

悔いがない人生を送ってきた──、とそのときになっていえる人生とはまったく思っていない。
最後の晩餐を前にして、悔いが押し寄せてくるのかもしれない、というより、
きっとそうなる。

最後の晩餐に食べたいものは、私にはないのかもしれない。
あったとしても、それを食べることよりも、一曲でいいから、
聴きたい(鳴らしたい)音で、それを聴ければいい。

でも、そこでも悔いることになる。
私がくたばるころには、まともなオイロダインはなくなっているのだから。
おそらく、これが最後の悔いになるだろう。

それまでのすべての悔いが吹き飛ぶくらいの悔いになるかもしれない。

フルトヴェングラーの音楽は、そのころも健在のはずだ。
オイロダインなんて、古くさいスピーカー(音)ではなくて、
そのころには、その時代を反映した音のスピーカーが登場してきているはずだ。

それで聴けばいいじゃないか、と思えるのであれば、こんなことを書いてはいない。
ただただオイロダインで、フルトヴェングラーを最後の晩餐として聴きたいだけなのだ。
http://audiosharing.com/blog/?p=33381

Date: 5月 13th, 2021
最後の晩餐に選ぶモノの意味(その8)
http://audiosharing.com/blog/?p=34737


この項のタイトルは「最後の晩餐に選ぶモノの意味」であって、
「最後の晩餐に選ぶ曲の意味」ではない。

最後の晩餐に聴きたいスピーカー(というよりも、その音)がある。
その音で聴きたい音楽がある。
そのことを書いているだけである。

本末転倒なことを書いているのはわかっている。
聴きたい曲が先にあって、
最後の晩餐として、その音楽を聴くのであれば、
どういう音(システム)で聴きたいかが、本筋のところである。

それでも私の場合、最後の晩餐から連想したのは、
まずシーメンスのオイロダインというスピーカーだった、というわけだ。

だから「最後の晩餐に選ぶモノの意味」というタイトルした。
(その1)を書いたのは六年前。52歳のときだ。

いまもまだシーメンスのオイロダインを、最後の晩餐として聴きたい、というおもいがある。
それはまだ私が50代だから、なのかもしれない、とつい最近おもうようになってきた。

十年後、70が近くなってくると、オイロダインではなく、
ほかのスピーカーで聴きたい、と変ってきているかもしれない。
その時になってみないと、なんともいえない。

書いている本人も、変っていくのか、変らないのか、よくわかっていないのだ。
最近では、ヴァイタヴォックスもいいなぁ、とおもっているぐらいだ。

それでも、今風のハイエンドのスピーカーで聴きたい、とは思わないはずだ。
http://audiosharing.com/blog/?p=34737

Date: 9月 19th, 2021
最後の晩餐に選ぶモノの意味(その9)
http://audiosharing.com/blog/?p=35627


シーメンスのオイロダインで聴く、ということは、
私にとっては、ドイツの響きを聴きたいからである。

ドイツの響き。
わかりやすいようでいて、決してそうではない。

ドイツの響きときいて、何を連想するかは、みな同じなわけではないはずだ。
ドイツの作曲家を思い出すのか、
ドイツの指揮者なのか、ドイツのピアニストなのか、ドイツのオーケストラなのか、
ドイツのスピーカーなのか、それすら人によって違うだろうし、
ドイツの作曲家と絞っても、誰を思い出すのかは、また人それぞれだろう。

ドイツの響きとは、シーメンスのオイロダインの音。
オイロダインの音こそ、ドイツの響き、
──そう書いたところで、オイロダインの印象も人によって違っているのはわかっている。
オイロダインを聴いたことがない、という人がいまではとても多いことも知っている。

何も伝わらない、といえばそうなのだが、
私にとってドイツの響きといえば、二人の指揮者である。

フルトヴェングラーとエーリヒ・クライバーである。
http://audiosharing.com/blog/?p=35627

72. 中川隆[-14792] koaQ7Jey 2021年12月07日 04:46:36 : 2zSsj4hxA6 : M1FvMG5mVWxiOGc=[33] 報告
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http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/153.html

My Audio Life (趣味のオーディオ) 45 シングルアンプの製作
http://www.asyura2.com/18/revival4/msg/154.html


▲△▽▼

45シングルで鳴らされた Goodmans Axiom80 が理想の音

良く知られているように故瀬川冬樹氏は45シングルで鳴らされた Goodmans Axiom80を生涯理想の音とされておられたようです。このスピーカの設計者がその後作ったスピーカは多々ありますがそのどれもが一聴して柔らかな音を出しますから本来の方向はリアル派とは異なるのでしょう。低域共振点は20ヘルツ台で大変に低く、エッジ、ダンパのコンプライアンスが高い割には最大振幅に制限があるためにアナログ時代は極めて使いにくいユニットでした。ピックアップ系の共振が問題にならないデジタル時代の環境では大変使いやすくなっています。
https://www.audio-maestro.com/about.html

フルレンジ好きの人ならば、一度は憧れたであろう「GOODMANS AXIOM80」という英国製の特異なスピーカーが手元にございます。愛好者には古くは 故瀬川冬樹氏や是枝重治氏などが有名でしょう。私も数年前より80年代に発売された復刻版を数セット取り扱いました。旧タイプとは、コーン紙の形状や厚さが大きく異なっています。

旧タイプのコーン紙は、薄くて張りがあり、外周部分に折り返しを付けてコーン紙全体の強度を上げる構造でした。それに対して復刻版はポテッと厚めで、その外周部分は切りっ放しでありました。

カンチレバーも、旧タイプでは薄くしなやかなモノでしたが、厚めのものに変わっていました。旧タイプより耐入力が増している事から想像するとそれらと関係があるのかも知れません。復刻版は現在手元にはありませんが、オークションなどで手に入れることが出来る様です。価格は上がっていますが・・。

旧タイプも稀に目にしますが入手は絶望的かもしれません。


AXIOM80は、コーン紙が「フラフラ」して扱い難いと云う定説が昔からありました。アナログ時代には確かにレコードの反りなどの理由によりコーン紙が揺さぶられ、ボイスコイルが底打ちする可能性があり、狭帯域のシングルエンドの真空管アンプが有利でした。故瀬川冬樹氏は無帰還でトランス結合の「UX-45シングル」で鳴らしていたようです。能率が高く、2W程度の出力でも充分に楽しめました。

メーカー製の専用箱は私の知る限りは昔から存在せず、付属の図面を元に家具屋へ注文するか自作でした。通称「ヤマハ箱(ヤマハで製作されたもの)」も見たことが有ります。何れにしろ「専用 ARU」との組み合わせが一般的でした。

現在 AXIOM80 を駆動するアンプは「6BM8/ECL82 超3極菅接続」を私は使用しています。小型の出力トランスを持つエレキット製品の改造品です。見た目は非力なのですが、音の広がりや奥行き感などに優れ、安価で簡単に改造出来て、とても満足しています。
http://rmuk.exblog.jp/

瀬川冬樹は創刊まもない頃のSS誌で、ゴッホ美術館で手持ちの複製画の本物を見た時その本物は所蔵の複製画の複製に見えた、という小林秀雄の有名な一文を引いてオーディオ論を展開していました。今日眺めても極めて優れたオーディオ論で、瀬川畢生の名論文だとおもいます。

瀬川冬樹氏の名論文は1960年頃のラジオ技術誌の「私のリスニングルーム」、しばらくあとの「M夫人のクレオさん」(クレデンザのこと、M夫人は福岡で御健在)、1960年代半ばのラ技連載の一連の「これからのステレオ装置」などであり、個人的には1970年代の瀬川さんは抜け殻としか思えないのです。

それは瀬川さんも分かっていたようです。
お亡くなりになる直前のことですが倉敷在住のIさんに、

ぼくはもうだめなんだ、体もだめだしオーデイオも堕落してしまったんだ、

今一度昔に帰りたい、45とアキシオム80に戻りたい、

そのために80は8本用意しているんだが、、

と述懐されたそうです。

瀬川さんのピークは JBL の蜂の巣ホーンをお使いになられたマルチアンプ時代の頃まででしょう。

Iさんからその話を伺った時、なぜか太宰治を想いました。氏が癌に侵されていることはそのころは既に衆知のことでした。
しばらくしてお亡くなりになったのですが大村一郎としてはS字状結腸にできた腫瘍で亡くなったとしても瀬川冬樹としてはそうではないと思ったものです。
http://www.audio-maestro.com/luochi_sui_shii.html

73. 中川隆[-14245] koaQ7Jey 2022年1月12日 18:22:52 : XfqJ2Ny5s6 : UGwwMDh5Wi9OQ0U=[36] 報告
Mr.トレイルのオーディオ回り道
テレフンケン RB46 スピーカーの思い出
2022年01月12日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/113073c59508a8de814402e069dadc5a


英国製のスペンドールBC-UやハーベスモニターHL-MKV等を使って来て、「ヨーロピアンsound」に興味を持ちまして、ドイツ製のテレフンケンのSPも購入して聴いて見ました。当該仕様は米国ロスアンジェルスのスタジオでモニターとして使われていたものです。

非常に軽く、サイズも扱いやすいモノでした。出て来るサウンドも乾いた軽く弾むサウンドでした。内部のコーン紙は楕円形のユニットで2ウェイです。気楽に音楽を流すのには好適なサウンドで、嫌な音がしないサウンドです。但し、オリジナルの直出しSPケーブルは余りにも設計が古く、「ラジオの音」でしたので、SP端子を取り付けて、内部配線を当方指定のモノに交換して使っていました。

https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/113073c59508a8de814402e069dadc5a

74. 2022年1月13日 09:57:43 : 46PFDOQUKI : SS55N2NlU0xZMGc=[11] 報告
Date: 12月 30th, 2021
簡潔だから完結するのか(その6)
http://audiosharing.com/blog/?p=36320

私が熱心に読んでいたころのステレオサウンドには、
若いころ、オーディオのいろんなことに挑戦してきた人が、
ある年齢に達してからは、高能率のスピーカー(ラッパ)と直熱三極管のシングルアンプの組合せ。

これが一つのオーディオの「あがり」のように、
音楽を楽しまれているオーディオマニアの方が登場していた。

私がまっさきに思い出すのは、(その4)で触れている長谷川氏である。
ステレオサウンド 54号の「スーパーマニア」に登場されている。

長谷川氏のリスニングルームの写真を、十年ほど前に、
別のオーディオ雑誌でみたことがある。
JBLのパラゴンを鳴らされていたころの写真だ。

長谷川氏は「スーパーマニア」の本文を読んでもらえばわかるように、
まさしくスーパーマニアと呼べる人である。

ハイエンドオーディオ機器を一式揃えて鳴らしているから、といって、
その人をスーパーマニアと呼べるとは限らない。

その長谷川氏が、「あがり」として、
シーメンスのオイロダイン、伊藤先生製作のアンプ、EMTの927Dstである。

このスタイルが、すべての人にとっての「あがり」となるわけではない。
長谷川氏にとっての「あがり」であり、
長谷川氏にとっての「あがり」とは、耳に近い音の実現ではなく、
心に近い音を鳴らすことだった──、
今年になって、そうおもうようになった。

http://audiosharing.com/blog/?p=36320

75. 2022年1月13日 10:16:12 : 46PFDOQUKI : SS55N2NlU0xZMGc=[12] 報告
テレフンケンRB-46の正規品
2022年01月13日
https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/fef237a53afd2ef9e13ce9e668478ab8


テレフンケンRB-46は2セット所有していました。正規品は上の写真では左側の2台になります。

横縞模様のサランネットになります。

こちらはロスのスタジオの特注仕様のサランネットになります。内部の作りは全く同じものです。オーナーのオーダーでサランネットが昔から変わっていました。

https://blog.goo.ne.jp/nishikido2840/e/fef237a53afd2ef9e13ce9e668478ab8

76. 中川隆[-10952] koaQ7Jey 2024年4月11日 19:39:06 : VplZEXoBSA : QjdzRFljdGNhVTI=[4] 報告
<▽41行くらい>
Date: 4月 10th, 2024
野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会(その11)
http://audiosharing.com/blog/?p=40775

昨年の5月28日に開催された野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会、
その二回目の詳細が発表になり、申し込みが始まっている。

一回目同様、 Peatixでチケットを申し込める。

今回のレコード当番(選曲者)は三名。
音楽評論家の湯浅 学氏、整体指導者の野口晴胤氏、それに私である。

詳細はPeatixのページをご覧いただきたいが、
湯浅氏が1960年代から70ねんだいのブラックミュージック、
野口氏がオールジャンル、
私はクラシック、それもドイツ音楽のみに絞ってみようと考えている。

今回鳴らすのは、
野口晴哉氏のリスニングルームの壁に組み込まれているシーメンスのオイロダイン。
オイロダインは、つねに私にとって特別なスピーカーである。

終のスピーカーのひとつとして、手元で鳴らしたいスピーカーでもある。
とはいっても、オイロダインを平面バッフルに取りつけて鳴らせるだけの十分な空間を、
オイロダインのために用意できないのであれば──、というおもいもある。

それでもいいのかもしれない、とも思い始めている。
こうやってオイロダインを鳴らすことができる日が、もうじきやってくるのだから。

三年前に、こんなことを書いている。

シーメンスのオイロダインで聴く、ということは、
私にとっては、ドイツの響きを聴きたいからである。

ドイツの響き。
わかりやすいようでいて、決してそうではない。

ドイツの響きときいて、何を連想するかは、みな同じなわけではないはずだ。
ドイツの作曲家を思い出すのか、
ドイツの指揮者なのか、ドイツのピアニストなのか、ドイツのオーケストラなのか、
ドイツのスピーカーなのか、それすら人によって違うだろうし、
ドイツの作曲家と絞っても、誰を思い出すのかは、また人それぞれだろう。

ドイツの響きとは、シーメンスのオイロダインの音。
オイロダインの音こそ、ドイツの響き、
──そう書いたところで、オイロダインの印象も人によって違っているのはわかっている。
オイロダインを聴いたことがない、という人がいまではとても多いことも知っている。

何も伝わらない、といえばそうなのだが、
私にとってドイツの響きといえば、二人の指揮者である。

フルトヴェングラーとエーリヒ・クライバーである。

これを書いた時点では、今回のことが訪れようとはまったく想像できなかった。
とにかく、ドイツの音、ドイツの響き(私の裡にある偏ったものであることは承知している)を、
聴いていただければ、とおもっている。
http://audiosharing.com/blog/?p=40775

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