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レコードプレイヤー EMT 930st
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1155.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 07 日 06:29:20: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: EMT927st の世界 投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 05 日 12:20:34)

レコードプレイヤー EMT 930st
https://audio-heritage.jp/BARCO/player/930st.html

EMT 930st ※1979年発売
¥1,399,000(1987年頃)


イコライザー付きのマニュアルプレイヤーシステム。

ターンテーブル部にはアイドラードライブ方式を採用しています。

930-900専用サスペンションが付属します。
サスペンション部にはロック機構を備えています。

別売りオプションとしてダストカバーがありました。



機種の定格

型式 レコードプレイヤー

<フォノモーター部>
駆動方式 アイドラードライブ
回転数 33 1/3、45、78rpm
ターンテーブル 33cmアルミダイキャスト製メイン+プレキシグラス製サブ
ワウフラッター ±0.075%
<トーンアーム部>
型式 ダイナミックバランス型
実効長 230mm
オーバーハング 15mm
針圧範囲 0〜5g
付属 アームリフター
インサイドフォースキャンセラー

<イコライザーアンプ部>
イコライゼーション特性 DIN45536/37、NAB
RIAA 75/318/3180μs Mono&Stereo
DIN45533 50/318/3180μs Mono
BBC 25/318/3180μs Mono
FLAT 0/318/3180μs Mono
入力感度/インピーダンス 1mV
入力インピーダンス 140〜200Ω(30Hz〜16kHz)
カートリッジインピーダンス 最大40Ω
入力マージン 12dB(1mV、1kHz)
出力ゲイン 75dB(T-typeカートリッジ)
55dB(OF-typeカートリッジ)
出力レベル 1.55V(+6dB)/200Ω負荷
3.1V(+12dB)/600Ω負荷
4.4V(+15dB)/600Ω負荷
出力レベル可変幅 -60dB〜+17.5dB
高調波歪率 0.2%以下(200Hz〜12kHz)
0.3%以下(60Hz)
0.4%以下(40Hz)
混変調歪率 1.0%以下
S/N比 70dB(peak、wtd)
クロストーク 50dB以上(40Hz〜16kHz、4.4V出力時)
フィルター スクラッチフィルター:2kHz〜20kHz 可変、10dB/oct
モニター出力 mono:不平衡
Headphone:300Ω〜400Ω

<総合>
電源 100V/200V/220V/240V、50Hz/60Hz
消費電力 30W
外形寸法 本体:幅490x高さ270x奥行390mm
サスペンション:幅540x高さ250x奥行440mm
重量 本体:23.4kg
サスペンション:26.0kg
別売 ダストカバー 930PC(¥70,000)

https://audio-heritage.jp/BARCO/player/930st.html


BARCO/EMT プレイヤー機器一覧 バーコ/バルコ
https://audio-heritage.jp/BARCO/player/index.html

BARCO/EMT カートリッジ/トーンアーム機器一覧 バーコ/バルコ
https://audio-heritage.jp/BARCO/etc/index.html  

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コメント
1. 2021年4月07日 06:31:36 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[1] 報告
EMT 930stを使い続けて
清滝練一郎/久和亮平/吉田秋生
http://www.audiosharing.com/people/nakahara/emt.htm


10年以上ひとつの機種を使い続ける……、簡単そうでいて、なかなか難しい。もちろん、だらだらとつきあってきてはなんの意味もないが、真剣にとりくんできた10年は、ずっしりとした重みがある。その機械の長所だけでなく、欠点も見えてくる。ときには欠点だけがやたら目につく時期すらある。そんなときを乗り越える、するといままで以上に密なつながりができるはず。 この企画では、タイトルどおりに、ひとつの機種にこだわり続けて10年以上つきあってきた方々に、その思いのたけを語っていただいた。座談会は、お互いの装置を紹介したあとではじまった……。

久和 吉田さんのラインナップを見ていると、瀬川冬樹氏のことを思い出すのですが。
吉田 やっぱりそうですか。実は930stを選んだのも、マークレビンソンのアンプや4343を選んだのも、私なりの瀬川イズムの追及からなんです。
久和 なぜ瀬川氏なのですか。
吉田 氏の書かれたものだけが、私に音を想像させた、ということにつきます。志向する音の方向が似ているのかもしれません。
久和 吉田さんが930stをお買いになったころには、マイクロのRX5000が出ていたはずですが、なぜマイクロを選ばれなかったんですか。
吉田 瀬川氏は、ふたつのスピーカーで再生する現在のオーディオの限界を十分知ったうえで、その範囲内でその可能性を、レコードならではの音の美しさを追及されていたように思うんです。例えば、かつて評論家の瀬川氏はピラミッドのT1(注1)の優秀さを認めながらも、JBLの2405の切り絵的な魅力に騙されていたい、というようなことを言われましたが、私がマイクロではなく、930stを選んだ理由も、そこです。
 音を物理的な側面から判断すると、マイクロのプレーヤー、特に現在のSX8000IIのほうが上でしょう。そのことは素直に認めますし、興味もあります。
 でも、私の場合、その凄さに感心はしても感動はしなかった。音楽を聴いた感動という点で、930stだったわけです。久和さんはどういう理由からですか。
久和 一言でいえば、レコードでぼくの望む「美しい音」を出してくれるプレーヤーは、EMTしかなかった。ここで説明しておきたいのはぼくにとっての「美しい音」についてです。
吉田 久和さんのラインナップ、特にアンプのクワドエイトとスモの組合せからすると、音楽のアクティブな面を重視されているような気がしますけど。
久和 おっしゃるとおりで、ぼくは演奏家の動き、音楽の表情の変化といったものを、すごく重視するんです。それには音楽のエネルギー、演奏家の持つエネルギーが、ストレートに勢いを失うことなく、こちらに伝わってほしいし、それがない音には、どんなに姿形が整っていても、傷ひとつない繊細な音でも、ぼくは美しいと感じない。つまり生きた音でなければだめなんです。
 もうすこし具体的にいえば、ヴァイオリニストのシゲティ(注2)ですね。彼は、新即物主義(ノイエ・ザッハリヒカイト)と紹介されることが多かったためか、きたない音を出すように言われていますが、ほんとうにそうなのか、そんなことを言っている人たちは、シゲティをきちんと聴いているのか、と言いたくなるんです。シゲティの音は、なんといったらいいかな、目的のある音、意志が感じられる音、芯のある音ですか。そんな気がしますし、ぼくはシゲティの音をひときわ美しいと感じています。
清滝 久和さんのおっしゃりたいことは、よくわかります。シゲティは、自己に厳しい誠実な演奏家で、実にいい音を出しますからね。
吉田 いま誠実という言葉が出てきましたけど、同じことを930stにも感じられませんか。
久和 感じます。
吉田 930stはプロ用機器だから、つくり手のへんな思い入れのある音は、絶対に出さない。押しつけがましい音を出さない。そこに私は、EMTの誠実さを感じます。
久和 同感です。それでいて、表情がヴィヴィッドで美しい。そして求心力がある。だから音楽を聴いて、気持ちがいい。たまらないですね。
清滝 930stの音には930stならではの味があるように感じますし、930stの愛用家でもあった五味康祐氏が書かれておられるように、同じレコードをEMTでかけると、コーラスやオーケストラの人数が増して聴こえるのも、930stならではのレコード音楽の魅力だと思うんです(注3)。これらがEMTを選んだ大きな理由ですが、もうひとつ、絶対的な信頼性、安心感がほしかったんです。
 私が若い時代の機械は、いまと違って安定していなかった。あれこれ調整していい状態まで追い込んでも、翌日には不安定になっていたりする。そういう経験がありますから、いつ聴いても安定しているものが無性に欲しくなったんです。
吉田 それは私にもあります。さきほどの話に戻りますけど、マイクロを選ばなかった理由のひとつはそこなんです。
 私だってオーディオマニアですから、いい音を出すために調整するのは好きです。けれども一度調整したら、後は大丈夫というのでなければ生理的にだめなんです。マイクロのプレーヤーは、たびたび調整を要求するような、そんな感じを受けたもので、930stにしたんです。
清滝 歳をとっていくと、強くそれを感じるようになります。だから、私の使っているものは、シーメンスのスピーカー(注4)にしても、エッグミラーのアッテネーター(注5)にしても、定期的なメンテナンスさえすれば、安定した性能を維持できる。それはスポーツカーのような飛び抜けた性能の高さではないけれども、メルセデス・ベンツのミディアムクラスの4ドア・セダン的なよさ、快適さがある。プロ用の機械の堅実さ、ドイツ製品の生真面目さがある。この歳になると、そのことがほんとうにありがたい。
久和 シーメンスのオイロフォンは知っていますが、エッグミラーって、なんですか。
清滝 昔のノイマン社のミキシングコンソールについていたスライド式のアッテネーターです。私の知っている範囲で申しますと、バランス対応のモノーラル型で、マイナス85dBまで絞れます。インピーダンスは、ドイツの古い製品ですから、一般的な600Ωではなく200Ωです。またEMTのプレーヤーのクイックスタート・ストップを連動させる端子もついています。パーマロイのシールドカバーで保護されている中身は、ひじょうに緻密なつくりです。故障したら、製作者のエッグミラー氏以外は直せないんじゃないかと思わせるほどで、ある時代のドイツの凄さが充分伝わってきます。
久和 EMTのプレーヤーのために存在しているようなアッテネーターですね。もういまは手に入らないんでしょう。
清滝 いまでもときどきパーツ店に出ているようです。
久和 ちなみにおいくらでしたか。
清滝 私は数年前に知人を通じて手に入れましたが、もちろん中古ですけど、2つで7万円ほどですね。
久和 いまだとどのくらいするんでしょうね。
清滝 お店の良心次第でしょう。
久和 ところでそういうアッテネーターをお使いだということは、当然インピーダンス・マッチングをとられているわけでしょう。
清滝 エッグミラーを見つけてきてもらったのもそうですけど、機械の接続も信頼できる専門家の知り合いにまかせているんです。彼自身、プロ用機器をうまく使いこなしている人ですから、そへんのことも熟知している。彼に言わせると、一時期はやりましたプリアンプのかわりにフェーダーを使うのと似てはいるけれども、インピーダンス・マッチングの概念があるかないかで、根本的に違うそうです(注6)。
久和 ぼくがクワドエイトを選んだのもそこなんです。930stに限らず、プロ用機器のアウトは600Ωのバランスゆえに、それを守らなければならないということは、時折耳にしますから(注7)。クワドエイトだと、これもプロ用ですから、入力も出力も600Ωのバランス、二芯シールドのケーブルでつなぐだけでいいというのがありがたいんです。もちろん音も気に入っています。
吉田 私は155st(930st内蔵のイコライザーアンプ)を使っていないんです。理由は、いまおふたりが話されていることなんです。155stのほんとうの音は、600Ωでターミネイトしないと聴けないと、ある人から言われたんです。私は機械をいじるのは得意としませんから、600オームにあわせるなんてとんでもないことなんです。電気に強い人は、抵抗を取り付けるだけだからそんなの簡単だよ、といいますけども。それに抵抗の種類によって音も変わるわけでしょう。どのパーツを選んだらいいのかもわからないし、たとえ抵抗一本でもアンプをいじるのは、心情的にやりたくない。
 とにかく私は、これでいいんだろうか、間違って使っているんじゃないか、もっといい使い方があるんじゃないか、という精神的な不安定さを感じながら、音楽を聴くのもオーディオ機器を使うのも嫌なんです。やや消極的なオーディオとの接し方かもしれませんが、心底安心して聴きたい、自分の理解の範囲内で装置を使いこなしたいという理由から、155stを使うのはやめたんです。
 でも時折、を通して聴きますけど、私の好みでは、LNP2Lのイコライザーアンプの音をとります。久和さんはどうなんですか、当然LM6200のイコライザーと155stの音を比べたうえで、いまの状態にされているわけでしょう。
久和 ぼくが持っているクワドエイトにはイコライザーアンプはついていないんです。イコライザーアンプがついているのはLM6200Rなんです。RのついているLM6200(注8)は、それほど日本に輸入されなかったようで、中古もほとんど出ないらしいんです。ぼくもいろいろ探しましたけど、見つけ出せなかった。それでRなしのほうにしたんです。こちらのほうはプロのミキサーがけっこう使っているようで、その方面にコネがあると手に入るんです。
吉田 インピーダンス・マッチングの話がでましたけど、プロ用機器にとって、それは当たり前のことでしょう。ところがコンシュマー機器は、ほとんど無頓着。ときどきこれでいいのかなと思うんですけど。
久和 理論的な根拠はありませんけど、ぼくの感覚論からいえば、コンシュマー機器のローインピーダンス送り、ハイインピーダンス受けは信号の波形伝送にはいいかもしれないけど、エネルギー伝送には向いていないような気がする。やはりエネルギーを送るなら、600Ω送りの600Ω受けにするしかないんじゃないかと思うんです。だからぼくは、プロ用機器中心の組合せになったんです(注9)。
吉田 たしかに同じ1Vの信号を送るにしても、600Ωのほうが電流が多くケーブルを通る。つまり電力として大きくなる。
久和 もっとも最近ではケーブルにあまり電流を流さないほうが、接点やケーブルのもつ抵抗成分の影響を受けにくいという意見もありますから、ぼくが言う600Ω優位論は、さっきもいいましたように、あくまでも感覚論ですけど……。
清滝 でも、その感覚論というのが、オーディオには必要なのではありませんか。それにいい悪いは別として、600Ωのほうが、ケーブルによる音の違いが少ないでしょう。
吉田 そうかもしれませんね。先日、チェロのアンコール1MΩを聴く機会があったんですが、とにかくCDプレーヤーとアンコール間のケーブルを変えると、ものすごく敏感に音が変化する。そのときは、アンコールは、なんて敏感なアンプなんだと思いましたが、いまの話を聞いていると、それだけではないようですね。1MΩという高い値で受けているわけですから、ケーブルに流れる電流は極端に少ない。だからケーブルの差がはっきりと出る、そうは言えないでしょうか。
久和 たぶんそうでしょう。だからといってぼくは1MΩ受けを否定はしないし、ケーブルの差がよく出るほうがいいという人も大勢いるはず。でも、ぼくはケーブルによって、がらがら音が変わるのは、できれば敬遠したい。
清滝 それに600Ωにしますと――私の場合200Ωですけど――私の装置のように、EMTのプレーヤーとシーメンスのスピーカーの間にアッテネーターを入れるだけという、簡単至極な仕掛けで音がきちんと聴けるわけですから、インピーダンス整合という面倒くささはあるものの、それに見合うメリットは十分あると思います。
吉田 お話を聞いていて驚くのは、おふたりとも、かなり以前からバランス伝送をやられているんですね。バランス伝送が話題になりはじめたのは、5、6年前くらいからでしょう。特に久和さんは、パワーアンプの出力までバランスでしょう。これはちょっとした驚きです。
久和 言われてみるとそうですけど、ぼくとしては自分の使っている機械を、きちんと使いこなそうとしたら、自然とバランス伝送になったわけですから。
清滝 私もそうですね。好きな機械を集めて、専門家の彼にきちんと接続・調整してもらったらバランスになっただけですから。
久和 ところで清滝さん、もしかして930stのイコライザーは(管球式の)139stなのでは?
清滝 いいえ、155stです。いわゆる古物を使っているから、イコライザーも139st(注10)だと思われたのでしょうけど。
久和 そうですけど。
清滝 私には球でなければという考えはないんです。オイロフォンのアンプもトランジスター式ですし。
久和 それにしても清滝さんの趣味は、渋いですね。どういう音がするのか、すごく興味があります。
清滝 ハイファイ装置というよりも電気蓄音機という印象の音ですよ。
吉田 ドイツ製蓄音機ですね。
清滝 渋いといえば聞こえはいいですけど、いまの若い人が聴かれると、古くさい、と感じられるかも。なにしろ、どれもこれも博物館行きの製品ばかりですから。
吉田 博物館行きといえば、販売店の人から聞いた話ですけど、アメリカのオーディオ関係者が、930stのことを、ミュージアム・プレーヤーと言ったらしいんです。博物館行きという意味でしょう。
久和 確かに、アメリカのハイエンドのオーディオファイルの技術志向からすると、そういわれても仕方ないかもしれないけど、製品としての完成度から言えば、比較にならない。逆に930stを見習えと、ぼくは言いたい。それに技術的にも930stのほうが本質的なところがあるということも、強く言いたい。
 具体的にいえばサスペンション(注11)。世の中のほとんどのプレーヤーのインシュレーターやサスペンションのコンプライアンスは、縦方向だけでしょう。ところが930stの専用サスペンションは横方向がメインでしょう。
清滝 ステレオレコードの縦方向(逆相成分)と横方向(同相成分)のどちらの信号を重視するかの違いですね。私はまず横方向を重視すべきだと思いますけど。
久和 ぼくもそう思います。実際サスペンションをロックしたときの音の劣化は大きいですから(注12)。
吉田 センターに定位する音像の実体感が、かなり違ってきますね。ロックすると、センター定位の音像がまわりの音にとけこんでしまう。
久和 世の中のプレーヤーは横方向の振動に対して、もっと気を配るべきではないですか。それからプレーヤーとしての使いやすさ、つまみの大きさ、配置、アームリフターの自然さ、誤操作をふせぐ配慮、そして長期間に渡って安心して使えるということ、まだまだ930stから現代の製品が学ぶことはいろいろあると思うんです。
清滝 確かに930stは、大きさといい、使いやすさといい、ほんとうによく出来た機械ですね。完成度という点では、927Dst(注13)よりも上でしょう。
久和 927Dstの名前が出たところでおふたりにお聞きしたいんですが、927Dstに対するコンプレックスはありませんか。 清滝 ないですね。927そのものを見たことがありませんから。
吉田 瀬川氏が930stから927Dstに買い換えられていますから気にはなりましたけど、価格と大きさで諦めました。一度は聴いてみたいと気持ちはもっていますけど、聴いてしまうと、後が怖いな、という気持ちもありますし、幸か不幸か、いままで聴く機会もありませんでしたので、私もコンプレックスはありません。
久和 そうですか。ぼくは、「Dstコンプレックス」と勝手に名付けていますけど、かなり強くある。 吉田 音を聴かれたからでしょう。 久和 聴き比べの機会があったんです。もう、完全に「白旗」ですよ。ある程度の格の違いは想像していましたけど、あれほど違うとは。
吉田 そんなに違うんですか。瀬川氏もかなり違うと書かれていましたけど。
久和 なにもかも927Dstが上手なんです。フォルティシモの瞬発力とエネルギーが違う、ピアニシモも凄味のある底力を感じさせるし、すごいリアリティで楽器ひとつひとつが提示され、耳が惹きつけられてしまう……。大人と子供ですね、927Dstと930stは。
清滝 927Dstの凄さは、写真を見ただけでも伝わってきますが、その「凄さ」というのは、家庭内でレコードを楽しむには過剰なまでの凄さのように私には思えますけど、久和さんはどう思われましたか。
久和 過剰だと思います。でもそれは理性の部分での判断でしかないんです。それに927Dstはレコードを楽しむためのプレーヤーではないんです、れコードをしゃぶりつくすためのプレーヤーだと思います。とにかく927Dstの音を聴くと、理性なんか吹っ飛んでしまう。茫然自失になる。しばらくして気を取り戻して、自分に言い聞かせるんです、927Dstは大きすぎる、930stのほうが製品としては完成度が高い、専用サスペンションがないから苦労するぞ、それにいま程度のいいのが少ない、もしあっても数百万円するぞ……。むなしくなりますね……。
吉田 それだけの音の違いは、どこからきていると思われますか。
久和 いろいろあるでしょう。例えばメインターンテーブルの大きさが違う、サブターンテーブルがDstだと高精度のガラス製、それにスピンドルが芯のエラスティックスピンドルで、トーンアームもロングの997でしょう。それからモーターの大きさも違う。930stのモーターもいまどきのプレーヤーからすると、圧倒的に大きい。けれどもDstは、さらに大きい。
吉田 あれだけのモーターは、いまどき洗濯機にもついてないんじゃないかと思わせるほどですからね。
久和 最後はやはりメインベースの材質の差でしょう。930stの樹脂製にたいしてアルミダイキャストですからね。これらの違いが積み重なって、あれだけの音の違いとなって表れるんだと思うんです。
 だからぼくは、すこしでもDstに近づけないかと、数年前に出た930st用のガラスターンテーブルシートと927Dst用のスタビライザーを買ったんです。
吉田 神田オーディオで出していたものでしょう。私も気になっていたんですけど、疑わしいかなと思って、手を出すには到らなかった。
久和 噂は聞いています。あれはドイツ製ではないとかね。でも実物はよくできていますよ。ガラスの裏表に貼られているゴムシートは、927Dstのそれとそっくりですし、加工精度もなかなかいい。これだったら、喜んで騙されますね、音もぼく好みになりましたから。ただしクイックスタート・ストップの機能は使えなくなりますけど。
清滝 さしずめ930「D」stといったところですか。
久和 お恥ずかしい。こっそうそう呼んでいるんです(笑)。
吉田 久和さんは、言動一致ですね。クワドエイトやザ・パワーをだてに使われているわけじゃない。
 ところで、TSD15はSFLタイプ(注14)でしょう。
久和 一応丸針も持っていますけど、ほとんどSFLですね。丸針が気が向いたときに、ときどき聴くぐらいです。清滝さんはどうですか。
清滝 丸針のほうが主ですね。オイロフォンにそのほうがあっていますし、馴染みのある音がしますから、安心して聴けます。
久和 ぼくは反対で丸針だとどう調整しても、トレースが困難なレコードがあって、完全にまかせきれない。どんなレコードにも対応できるという点で、SFLタイプが安心できるし、信頼しているんです。
吉田 私もトレースに関しても音色的にもSFLですね。一時期、SFLが出る前にトーレンスのMCH(注15)を使っていたんです。新しさを持っているけれども、私の印象では、やはり「トーレンス」なんです。EMTがプロ用に対して、トーレンスはコンシュマー用(注16)、その違いが音の芯の部分というか、核のところで違うような気がするんです。音楽の訴求力でEMTをとったんです。それでも丸針だとトーレンスも捨て切れずにいたところにSFLの登場でしょう。音のプロの音、つまりEMTの音が聴ける、それからはSFLだけです。
 でも不思議ですね、MCHとSFLは、針先の違いくらいでしょう。それなのに、あれだけ音が違う。思うに、トーレンスは一貫してベルトドライブ、一方EMTはトーレンスの製品をベースにした928(注17)は例外として、930stも927Dstもアイドラードライブ。この方式の違いと、MCHとSFLの音の違いは、性質的に同じような気がしますけど、どう思われますか。
久和 われわれはアマチュアで製品開発をしているわけじゃないので、実際に市販されている製品を聴いただけの印象からの判断になりますけど、力強い音を求めるならば、アイドラードライブだと思います。なにかベルトドライブには頼りなさを覚える。特にフォルティシモの最後の一押しが、アイドラードライブにはあっても、ベルトドライブには感じられない。反対にピアニシモはベルトドライブのほうがいい、きれい。これも感覚論で、なんの根拠もありませんけど。
吉田 EMTのアイドラードライブとSFL、トーレンスのベルトドライブとMCH、彼らは、それぞれの方式のもつ本質的なものを見抜いている、そんな感じですね。これがヨーロッパの音づくりの巧みさなんでしょうか。
清滝 そうかもしれませんね。
 実は私もSFL針は持っているんです。新しい演奏家の録音を聴くときには、SFL針の助けが必要となることが多いものですから。
 私の装置のありかたと年令から、故人となった演奏家の古いレコードばかり聴くように思われるでしょうが、新しい人たちのものも積極的に聴いているつもりです。指揮者ですと、アバドやカルロス・クライバー、ジュリーニ、ブリュッヘンですが、とくにそのなかでも最近のジュリーニの素晴らしさには正直驚いています。それからピアニストですと、アルゲリッチ、ブレンデル、内田光子、弦だとマイスキーやクレーメル、そういった人たちのレコード、当然デジタル録音になるわけですが、丸針というか、装置そのものが古いかな、と少々気になるところが出てくるんです。そんなときのとりあえずの手段としてSFL針に登場願うわけですが、それでも苦しいのは認めざるを得ないですね。たとえばベルクの『ヴォツェック』、ベームのものだと丸針でもいいんです、けれどもアバドになると、SFL針を使っても、十全ではないような気がする。
久和 意外です、清滝さんのラインナップからして、古い演奏家ばかりで、それもアナログ録音のみを好まれるものと、勝手に想像していましたから。
清滝 それで最近CDを試してみようかなと思っているんです。なにしろ新しいレコードは、輸入盤でもLPを手に入れるのが大変になってきましたから。音も大事ですけど、やはりなんといっても聴きたい音楽を聴きたいときに聴けるということのほうが大切ですから。すでにいくつかのCDプレーヤーは試しています。
吉田 久和さんは?
久和 使っています。スチューダーのA730(注18)です。
吉田 やっぱり。久和さんにはA730しかないでしょう。音の点からいっても、600Ωバランスの送り出しの点からいっても。
久和 吉田さんはどうなんですか。
吉田 いま3台目で、ワディアの組合せです。WT3200のトランスポートと D/AコンバーターはX32ですの組合せです。
久和 CDとLP、聴く割合はどのくらいですか。
吉田 半々くらいか、時にはCDのほうが多くなりますね。なぜかというと、CDでしか聴けないソフトがずいぶんあるでしょう。新しい演奏家もそうですけど、特に昔の演奏家のものですね。
 確かにLPもあるんでしょうけど、ほとんど市場に出てこないし、出てもとてつもなく高かったりするし、LPでも復刻されていないものがCDで出ているでしょう。それから地味な存在だけど忘れがたい演奏を残している人、例えば私にとっては瀬川氏がお好きだったエリカ・ケート(注19)、それからヨッフムのレクイエム(注20)などです。エリカ・ケートはオイロディスクとEMIから追悼盤が出ていますし、ヨッフムのレクイエムも一昨年の12月にCD復刻されています。いままでずっと聴きたいと思っていたものが、やっと聴けるようになる、この喜びをCDは与えてくれるわけでしょう。LPにこだわりすぎていては味わえない喜びです。
 だから、LPに執着しすぎるのは、どうかと思うんです、私個人の考えとしては。
 もっとも昔からオーディオをやってきて、どんなSPもLPも所有されていて、新しい演奏家は聴かないというのならば別ですけどね。
久和 ぼくも同じですね。デジタルを目の敵にしたり、LPのみにこだわって音楽の幅を狭くするのは本末転倒でしょう。
 CDの音はいかがですか。
吉田 思い切ってワディアにしたのも、2台目のCDプレーヤーでかなり満足のいく音が出たからで、さらに大きな可能性を目指してなんです。ですからかなり満足していますし、デジタルのもつ可能性の大きさが、ようやく見えてきたような気がします。そうなると、巷のアナログ信者がいっていることに対して、疑問を持つようになりました。
久和 具体的には?
吉田 ヴァイオリンについてです。よくヴァイオリンはアナログに限る、デジタル録音を含めてCDはまったくだめみたいなことが言われていますけど、ほんとうかなという気持ちです。
 私もヴァイオリンは人に負けないほど好きですし、うるさいほうだと思っていますが、CDのヴァイオリンは悪くないどころか、そうとうなレベルだと思います。
久和 ヴァイオリンに関しては、録音サイドと再生サイドで、かなりギャップがあるみたいです。録音サイドでは、ヴァイオリンは位相差成分が豊富だからデジタル録音でなければならないという意見がある一方で(注21)、再生サイドではヴァイオリンのソロはモノーラルで十分どころか、モノーラルのほうがいいという人までいる。
吉田 私は録音サイドの意見に賛成です。モノーラルのヴァイオリンの音は、いい悪いは別として、独特の世界だと思っていますから。
久和 その独特の世界を、ぼくはみとめないわけではないし嫌いでもない。しかし、その独特な音が染みついて、それが基準となってしまうから、デジタル録音のヴァイオリンはひどい、つまらないということになると思うんです。それにデジタル録音が高域をカットするのはヴァイオリンが高音楽器ということが一緒くたになって、勝手にイメージができあがった、とぼくは見ています。
吉田 初期のデジタル録音の中にはひどいものもありますけど、デジタル録音が、ハードと録音テクニックの進歩で、シンプルなマイク・セッティング、それも無指向性のマイクが主流になるにつれて、自然な質感のヴァイオリンを聴くことができるようになった。そして、そういう録音はLPで聴くよりも優れたCDプレーヤーで聴いたほうが、録音のよさがそのまま出てくるように思いますが、清滝さんはどうですか。
清滝 難しいところですね。
 ただ五味康祐氏も、『西方の音』で、昔のレコード、いわゆるモノーラルではヴァイオリンの高音はラッパかピッコロに聴こえる、と書かれています。だから悪いとおっしゃるのでなく、逆にモノーラルのそんな弦の音でないと、氏のお好きなベートーヴェンの弦楽四重奏のアダージョがきこえてこない、と。実はきっとこの話題が出ると思って、『西方の音』をもってきているんです。これは大事なことですので、多少長くなりますけど、正確な引用文をのせていただきます(注22)。
 久和さんや吉田さんのおっしゃりたいことは理解できますけど、難しいとしか言えないですね。
吉田 いろいろなことを考えさせられる文章ですね。
久和 同感です。古くならないどころか、いまの時代こそ、みんなに読んでほしい本ですね。
清滝 久和さんにお聞きしたいのは、私の印象としては、LPがエネルギー伝送のイメージをもつのに対して、CDこそ信号は形伝達の最たるものだと思うんです。エネルギー伝送を重視される久和さんとしては、いかがお考えですか。
久和 おっしゃるとおりです。
 LPはカッティングの段階から、ものすごいエネルギーを必要としますから。
吉田 その凄いエネルギーを完全に取りだそうとすると、久和さんにとっては927Dst しかないんでしょう。
久和 また927Dstですか(苦笑い)。
吉田 清滝さんや私と違って、927Dstにこだわっておられるのは、久和さんの再生スタイルの理想の具現化だからでしょう。清滝さんが言われたように、エネルギー伝送のイメージが薄いCDと久和さんがどうつきあわれるか、それから930stから927Dstに買い換えられるのか、ひじょうに興味ありますね。
久和 ぼくのこれからはいいとして(笑)、おふたりは、これからも930stでいかれるのですか。
清滝 レコードを楽しむプレーヤーとして930stには満足していますから、買い換えるつもりは毛頭ありません。これからの興味は自分の好みにあうCDプレーヤーを見つけること、そして、いまの装置とうまく馴染ませることですね。
吉田 清滝さんも第一候補はA730ですか。
清滝 そうなりますね。ワディアやゴールドムンドもいいと思いますが、いかんせん、私の装置と音の上でうまくいったとしても、全体の雰囲気がくずれてしまいますから、やはりスチューダーですね。
吉田 実は、930stとは別にマイクロのSX8000IIが欲しかった時期があったんです。でも、ワディアが930stでは聴けない音を出す、ワディアで出ない音を930st聴かせる、といういまの状況になって、より930stの魅力がわかるようになりましたから、これからも使い続けていくつもりです。一方CDプレーヤーは、これからもクォリティアップしていくつもりですが、いまのワディアにかなり満足していますから、どちらかといえばスピーカーの交換が先ですね。
久和 エッジが傷んでいるんでしょう(注23)。
吉田 ウレタンエッジですから、傷みに関してはどうしようもないですね。それで思うんですけど、もし瀬川氏が生きておられたら、どのスピーカーを使われているかな、と。
久和 それでしたらダリのスカイライン2000をお聴きになるのをお薦めします。実はぼくも620Aでは、最近のぼくの要求に十全に応えていないな、と感じていて、交換の予定なんです。スカイライン2000は、その候補のひとつなんです。
吉田 久和さんは、その前にやはり927Dstでしょう。いま思い出したんですけど、神田オーディオから927Dst用のサスペンションが以前発売されていたでしょう。つまり、927Dstにはサスペンションがないから苦労する、という言いわけは通用しなくなる。
久和 確かにおっしゃるとおりです(苦笑い)。
 で、スピーカーに戻ると、スカイライン2000はリボン・トゥイーターで、しかも後面開放型という、見方によってはややゲテモノ的なところも持ち合わせてますけど、とにかく音が伸びやかで、いきいきとしている。瀬川氏が、このスピーカーを使われるかどうかわかりませんが、きっと高い評価をされるんじゃないかと思えるほど、みずみずしくて楽しい音を聴かせてくれる。
吉田 そういうことを聞くと、すごく興味をそそられますね。それにヴァイオリン好きとしては、リボン・トゥイーターというのは、やはり大きな魅力ですから。
久和 最後にお訪ねしたいことがあるんです。サスペンションの930−900の後ろ側からリード線が出ているでしょう。これはどこにつなげばいいんですか。
清滝 あれはアース用ですから、プレーヤー本体の出力ピンを固定しているネジ、それもアースをとっているほうにつなぐんです。
久和 そうなんですか。輸入代理店や販売店に聞いたんですけど、わからなくて……。
清滝 もっとも私がわかってやったわけではなく、専門家の彼のおかげなんです。彼からの受け売りですが、ヨーロッパの機械では黄色と緑色のまだらの線はアース線だそうです。きちんとサスペンションのアースをとると、音も変わります。ピアニシモがより静かになり、ひっそりとした表情がはっきりと出てくるようです(注24)。
吉田 私もそれがわからなくて、いろいろな雑誌や取扱説明書を調べてみたんですけど、すくなくとも私が見た範囲では、どれもふれていなかった。その他にもノウハウ的なことがあったら、教えていただけませんか。
清滝 あとは電源コードにシールド付きのものを使うことですか。これも音が静かになって、その分、表情が豊かになる。サスペンションのアースにしても、シールドの必要性を最近とみに感じるようになってきました。
久和 これからもますますシールドのテクニックが要求されるようになるんじゃないですか。その点、TSD15はふつうのカートリッジと違ってリード線がむきだしになっていない。金属製のシェルでシールドされている(注25)。こういう細かい部分も見逃せなくなると思いますけど。
 吉田さんならではの使いこなしはありますか。
吉田 私はトライガードのシート(注26)と厚手のフェルトを、本体の下に敷くことですね。細かいディテールにまとわりついていたもやがなくなりますし、音場感がすーっと広がります。それに、ぱっと見、なにかをやっているなと思わせないところが、結構自分では気に入っているんです。
 久和さんはいかがですか。
久和 オイルです。
吉田 もしかして例のスクアランですか。
久和 トライガードを使われているんですから、ご存じですよね。ぼくはスクアランオイル(注27)に全面的に交換しています、シャフトのオイル、モーター、アイドラーのセンター、スピード調整用のパッドまで、すべて。
 最初は恐る恐るでしたけど、音を聴くと、そんな心配はなくなりましたね。とかにくターンテーブルの起動は速くなるし、ストップ後の惰性回転の時間も長くなる。それに音の変化も大きいんです。特に低音楽器の鳴り方。音程の変化がはっきりしてきたし、よりリズミックになって、レコードを聴くのが、ほんとうに楽しくなりました。
吉田 そういう話を聞くと、私も、と思うんですけど、肝心の信頼性はどうですか。
久和 すくなくとも4年ほど使っていますが、なんのトラブルもないですし、スクアラン自体、ぽっと出の新製品のオイルではなくて、第二次大戦中には、すでに軍で使われていたそうです。深海鮫の肝油からつくるらしいですけど。
清滝 そのせいですか、おかげで戦時中はアンモニア臭い鮫の肉の配給があって、よく食べさせられました(笑)。子供心に、なぜ鮫の肉だけあるんだろうと思いましたけど、やっと謎がとけました。

(1992年秋 掲載誌・サウンドステージ)
http://www.audiosharing.com/people/nakahara/emt.htm

2. 2021年4月07日 06:33:31 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[2] 報告
EMT 930st+900の簡単な設定
ハイファイ堂メールマガジン 大須本店 越濱 靖人
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/110429/index.html

お客様の修理完了品で最終テストした際に忘れがちなチェックポイントを綴ってみたいと思います。構成は以下のとおりです。
EMT 930stレコードプレーヤー
EMT 930-900サスペンション
EMT TSD-15カートリッジ
なお、今回は930-900サスペンション(マツシタハイファイ製レプリカ)を新規発注しました。価格は294,000円(税込み)です。オリジナルを忠実に再現した素晴らしい出来映えです。もしお持ちでない方は発注可能ですのでご連絡下さい。

意外と知られていない、右側に付いている不思議な棒。実はサスペンション・ロック解除用六角レンチなのです。ゴムブッシュからぐっと引き抜くと出ます。
フロントに付いている穴に差し込み回します。180度でロック、更に180度で解除となります。
下記にサスペンション・ロック状況を写真に撮ってみました。

ロックした状態。コマが回転して輸送ロックバーを押し上げます。周りに付いているゴムを保護すると共に4つの支柱に付いている平バネに負荷をかけないようになっています。

ロック解除した状態。更にコマを回す事でロックバーが下がり、本来のサスペンションとしての機能を果たします。

私が知る限りでは、意外な事にロックされたまま使っていらっしゃる方が半分くらいいました。その中でも機構について知らない方も多かったです。
今日ロックした音と解除した音質を聴き比べました。やはり解除してある方が繊細で深みがぐっと出る様です。しかもハウリング性能に強く、少しの振動では全く再生に影響ありませんでした。

フォノイコライザーに付いているボリュームツマミ。写真の通りにできれば15時方向での使用をおすすめします。全開で使うとプラス方向に調整出来ない為、調整が利きません。それもあり前後に回せる所で使用して下さい。

アームの高さ調整
これもあまり触る場所ではありませんが、確認のため一度真横から水平になっているか確認して下さい。写真でみると少しお尻が高い様です。早速先程少し下げました。同時にアームリフターの高さ調整も行いました(これはやや厄介です)

高さ調整はベースに付いている2点のイモネジを回して固定します。ちなみにこの六角イモネジはインチサイズで通常のミリタイプの六角では操作出来ません。
なお、インサイドフォースキャンセラーのウェイトが垂直に落ちる様、インサイドフォースガイドリングを回し、固定します。たまにズレていてインサイドフォースがうまくかかってない場合があります。確認下さい。

ターンテーブル内部
新品のアイドラーをセットしてあります。最近はこれが純正の様です。黒いタイプをお使いの方は一度交換する事をオススメします。ターンテーブルのトルクが全然違います。

モーター固定用プレート
修理完了後はモーターの軸に付いている固定プレート(赤いネジが付いているプレート)でしっかり固定されています。マイナスネジをゆるめプレートを写真のようにスライドしてもう一度固定します。ゆるめないとモーターが回転しませんので完了後は電気を入れる前に一度確認が必要です。

軸受けに入れるEMT専用スピンドルオイルです。一緒に入っているオイルガイドを差し、静かに注入します。ガイドの出っ張りまでオイルが入ったら完了です。

軸受け真上に付いているフェルト製ブレーキパッドです。これはたまに交換が必要です。今回は新品交換しています。もう既に黒ずんできていますがコレで正常です。下に付いている調整用ツマミをくるくる回しパッドを上の方に押し上げる事でブレーキをかけます。
※EMTは通常少し早く回転する設計になっています。上記のブレーキパッドが圧力をかけ遅らせて正常回転にしています。つまりずっと擦って定速回転を実現しています。故に度々の調整が必要です。

回転調整ツマミは930stの真ん中・右奥にあります。前から手を突っ込んでツマミに触れたら上部のストロボを確認してブレーキをかけます。スタート時とモーターがあったまった時の回転が若干違いますので、できれば少し回転させた後に調整するのが良いと思います。

などなどポイントがいくつかありますのでお持ちの方は今一度調整されてみてはいかがでしょうか。なお、今回のオーバーホールは約30万円程かかりました。サスペンションを入れるとおおよそ60万円です。

930stオーバーホール・・・250,000円ほど(アイドラ等の消耗パーツ交換、進相コンデンサーの交換、フォノイコライザーの劣化パーツ交換)
TSD-15メンテナンス・・・50,000円ほど(針先のダイヤ交換、ダンパーゴムの交換、ブリュエル・ケアー特性測定)
930-900サスペンション発注・・・294,000円

フルメンテナンスのご要望をお受けします。修理は東京で行います。支店近くの方は直接ハイファイ堂の車で引取、自社便で東京へ運搬します。完了後は徹底的にランニングテストしお返し致します。詳しくはハイファイ堂 大須本店 越濱(こしはま)までご連絡下さい。
https://www.hifido.co.jp/merumaga/osu/110429/index.html

3. 2021年4月07日 06:39:33 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[3] 報告
EMT930st
https://community.phileweb.com/mypage/entry/3224/20150806/48373/


2015年08月06日
久しぶりにファイルウェブを眺めると、ずいぶん難しいテーマが花盛り。
ただし
ファイルウェブは音楽の素晴らしさや、オーディオ機器の楽しい話題を皆で共有する場。
そう言った話題が少ないなぁ。
データ形式や権利や法律の話ではツマラナイ!。
だってその人の部屋でどのように音楽が奏でられているのか全く見えないもの。

じゃぁ
卒業生でちょっと恥ずかしいけれど久しぶりに私の現状を「akahanamizuki エピローグ編」と題し書いちゃおう!と思いました。ファイルの皆様、この図々しさをどうぞ寛大な心で許してください。


私はBeolab9000やLindemann820でCDやSACDディスク再生を、その後ファイルウェブ入会少し前にKlimaxDSを導入しファイル再生をしていました。自分なりに一所懸命やったつもりでしたが・・・・・。昨年秋ころから、立て続けに「再生音楽を奏でるオーディオ機器の前で」自分が真っ白な灰になることを経験しました。自分の今までの乏しい経験や知識なんてぜーんぶ燃やして灰どころか真空になってしまわないとコリャ人生の損だ。こざかしい文学なんて全部捨て去ってしまえ。

真空になると、不思議なもので
今まで全く縁のないものと思っていた機器と出会うことができました。

我が家に迎え入れた順に紹介します。
1)パワーアンプ  Zeiss Ikon Dominal L


真空管モノラルアンプです。
整流管EZ12の後EF-40x2段で電圧の昇圧と劇場毎のフィッティングを行うトリミング、ピーキングの補正回路が入ります。その後EF-40のインバータへ渡され、出力管はEL-12のPP。
真空管は当時の新品デッドストックを2廻り分確保しました。


結構いっぱいになりましたがなんかいい感じ。来年の正月には全部新品にして一日だけ聴いてみようかな(笑)。


2)SimensStudioMonitor(Tannoy製MonitorRed15inch)


オーストリアのレコーディング・スタジオから某販売店に輸入納入されてから、約30年。前店主が「コレクション」として売るつもりなく大事にされていたのを現店主に代替わりしたこともあって・・というモノで、OEM提供されているMonitorRed15inchは一度もエンクロージャーから出たことがない「箱入り娘」。クロスオーバーネットワークを含め新品のようでした。


私にとってとても幸運だったのはSignature Diamondとほぼ等価交換であったこと。通常の相場からはどう考えても安い。安すぎます。
30年前の仕入れ値は今考えるより遥かに安価だったこと、長年お付き合いしている販売店であったこと、タンノイの英国箱ではなく通常の形?をしていないこと。それに(小声になりますが)現代アンプやSPケーブルの組み合わせには難しい側面のあるSPであること、(さらに小声になりますが)付属していたアンプ(もともとはアクティブSPなんです)が部品の劣化により本来の性能を発揮していなかったこと、などなどが私にとって良い方向に働いてくれました。
付属アンプはオーバーホールで蘇り、リシュブルク邸でつなぎ役を終えたのち、現在さらに細かな調整を行っていただいています。

Zeiss、1960年代に使われていたSPケーブルのデッドストック新品と出会って
本来の性能を見せ始めていると感じます。


3)Klangfilmモノラルラインアンプ


CDやDSを初段とした場合のラインアンプとして、「Kl-V004」2台とオリジナル電源を組み込んでもらい作成していただいたもの。古い録音を聞くためにSTEREO↔MONOの切変えもつけてもらいました。もともとが2台なので左右独立に音量調節が可能であり、ステレオの最後の微調整には非常に重宝します。EF40の1球仕様。ZeissでもEF40は使われているので真空管を新たに買う必要がないところも私には幸運でした。

ストラさんや、KYLYNさんはCD→3)→ZeissのT-Padアッテネータ→1)→2)で聴いていただきました。
最新録音にもかかわらずグレース・マーヤさんはなかなかの演奏でした。
ぱっと60年くらい遡って、ナット・キング・コールさんは流石の演奏でした。
が・・・・・
KlimaxDS/Kは既にありませんでした(即席CDシステムで失礼しました。でも在りし日にKlimaxDS/Kのルンダールトランス出力での再生と、BeoSound9000+Klangfilmラインアンプでの再生を比較して私は呆然としてしまいました。)


4)EMT930st(155st + 930-900 + TSD15SFL + EMT929 , 1983年3月EMTから出荷EMT-FRANZ製)


KlimaxDS/K、NAS、HUB、アナログ電源、そして手持ちのSACDのほぼすべてを売り払った結果、しばらく「音無し生活」を経験した後、幸運なことに出会うことができました。
余談ながら
EsotericのSACDのオークション価格は非常に高価で、初期のものはほとんどオリジナルLPと同じ値段で取引されています。中国の方が多く買われるようです。中国では手に入らないからでしょうか・・・。音楽的価値とは無関係な相場と感じています。

モーターから全バラシ、155stも部品単位からチェックされ諸特性調整されました。
トルク豊かなアイドラードライブですが、KlimaxDS/Kより静かかと思うほど静粛で・抜群の安定感があります。


アームリフターがレバーと「リニア」に反応し、針をLPにおろす瞬間は繊細に調整でき、まるで指先と針が一体化するようです。ヴォリュームを絞ったりする必要なく、針に対しても優しいと思います。iPadでDSを操作するより快感です(笑)。
155stはモノラルにも対応しています。OFD25もご厚意で出会いがあり手に入りましたので時々つけてモノラルオリジナル盤を楽しみたいと思います。でもモノラルオリジナル盤そのものをそんなに持っていませんし、なによりTSD15SFLからOFD25への変更は針圧もカートリッジの重さも違うのでそのたびにアームの調整が必要です。調整のたびアームを酷使することにもなりかねませんし悩ましい。結局もう一台モノラル専用に買いなさい・・・などとささやく人がいて大変困っています(笑)。今は無理。
復刻された6μ溝のモノラルLPであればTSD15SFLを使用し155stをモノラルとすれば問題なく聞けますし、15μグルーブ時代のLPを聴くのであれば(TSD15SFLでも聴けますが)TSD15丸針を使用します。SFLと丸針は針圧もカートリッジの重さも同じなので、OFDの時と違って付け替えれば良いだけなのがうれしいところです。現在丸針はありませんが幸運を待っているところです。

ストラさんやKYLYNさんが来られた時にはEMT930st →155 → Zeiss・T-Padアッテネータ→ZeissIkonDominal L → SimensStudioMonitor(MonitorRed15)は間に合わずお聞かせできませんでした。

私は
音楽を演奏者の気概、時代の空気ごと楽しめれば、どんなにいいことだろう・・・
と思ってオーディオに取り組んできた気がします。
CD・SACDを経験し
リッピングやダウンロードしたファイルミュージックを経験し
そして
LPを経験することになりました。

上記全てを聴いてきた
「ズスケ4重奏団演奏、ラズモフスキー第3番、Eterna」
「クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団演奏、大地の歌、英EMI」
「カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー演奏、ラ・ボエーム 英Decca」
などを
改めてオリジナルLPを手に入れて聴いてみると、まだまだ発展途上の私のシステムであってもその素晴らしさといったら・・・


ズスケ4重奏団 ラズモフスキー3番第4楽章、ベートーベンの宇宙に自らを捧げつつ一体となって疾走する弦4組。その木質感、ザクサク感。
大地の歌。終楽章の告別。クレンペラー教授の描く底知れぬ慟哭。ルードウィッヒの歌唱。
ボエーム。若い二人の愛の始まり、華やかなクリスマスのドラマの同時進行、いてつく雪の日別れを悟って歌う二人、そしてヒロインの絶唱。
何と素晴らしいんだろう。

ハイレゾ、DSD、24/192PCM、HDD、SSD、LAN、PC、DS・・・・・・。「現代になったからこそいい音で聴くことができるようになった」と言う表現には気をつけなくてはいけません。私がまさにそうでした。


さて、他にも

ストラ「シトロエンの飛ばし屋」シリーズとして
1)SigDにいちゃもんをつけようと、意気揚々と乗り込んできたが、肩透かしをくってぽかんとしたあげく、やっぱり意気揚々と帰っていた事件。
2)重いトランスを北陸新幹線宅急便として一生懸命運んでもらった事件
3)「真空管に色がついているのは何故か」講釈事件。

とか

KYLYNさんシリーズとして
1)八代亜樹初版CDR絶品!事件
2)日本酒「能鷹」グイッといったあと「鮎正宗」さらにグイッといき、北陸新幹線乗り過ごしそうだった事件

とか

リシュブルグ・シリーズとして
1)噂の隠れレストラン「リシュブルグ亭」の絶品肉料理とは
2)そこで思わずakahanamizukiが今は亡きアマティにつぶやいた失礼なツブヤキとは(ああ余りに申し訳ない)

とか(ここまで登場の皆さん。失礼の段、平に御容赦を)


akahanamizukiシリーズ(鬼教官による特訓シリーズ。akahanamizukiの眼に涙)として
1)ZeissのEL12バイアス調整特訓
2)EMT930STオイル調整特訓
3)EMT930プラッター取り付け&回転数調整特訓
4)EMT930配線特訓
5)EMT930アームおよび針交換およびインサイドフォースキャンセラー取り付け特訓
6)EMT930針圧調整特訓
7)LP手磨き特訓(レコクロスの折りたたみ方、アトマイザー使用し霧吹き・素早く展開・制限時間2分でくまなく吸引・最後に女子の肌を拭くがごとき仕上げ磨き)
など。(しかしながらあれだけ叩き込んでもらったのに覚え悪く・すぐに忘れるだめな私。ああ涙)

とか

業者シリーズとして

1)レッド・モニターを販売店が最初現代アンプで鳴らした時、「キングギドラの咆哮」のような低音の乏しい金切声。
オーケストラなんて160pの高さ。店員さん「予想通りの音だったでしょうか・・・」
私:「なんじゃーこれはーこんなの買ってられんッ!!!」ではなく
「うーん怪鳥の叫び声だねェ。キングギドラだ。腰高だし。でもこんなもんでしょ」
(・・・・だって30年間鳴らされてないフィックスド・エッジ。)

2)アース工事(私の使用機器がたまたまアースを前提に設計されていたので行ったに過ぎません)
第一種接地工事の契約。勇躍電気工事店挑戦。0.8Ω。(笑)「自己新です」とうれしそう。


なんかの間違いじゃないのか?と何回測り直しても0.8Ω。


工事費はiPadAir2 64Gくらい・・・。
音は変わりますが、だからどうした・・・・でしょうか。
LPオリジナル盤の違いに比べたら微々たるモンでしょう。

などなど、いろいろ楽しいことがありましたが、いつか詳しく書くかもしれないかな?

そして

音楽を聴く時間はかえって短くなりました。
毎日聴くのです。聴きたくて聴きたくて聴きたくてしょうがない。
音量はリスニングポジションでせいぜい85〜86dBといったところ。
でも
聴き応えがあるのです。
DSのときは、ながら聞きやBGM的な聴き方だった・・・と妻からも指摘されました。鋭いなぁ。
音楽がかかると耳と脳がひきつけられて
自分の調子がよいと頭の中に音楽が展開する。
まんじりともせずに一面が終わる。否応無しに集中してしまいます。
そんなに長時間聴かなくても満足します。

やっぱり
オーディオは素晴らしい音楽を聴くためにあるのだと思います。


Today’s LP


グラナドス・スペイン舞曲集 / アリシア・デ・ラローチャ
「これから世界に羽ばたいていく」時期の演奏は、再生装置がなければ遡って聴くことはできません。
アリシア・デ・ラローチャが豊かな才能を振りまいていたスペイン時代の演奏。
私はこのLP演奏を初めて聴いたとき、涙が止まりませんでした。
「これを買わないで一体何を買うんだ」
血眼になって探しても、オリジナル盤1964年盤のHispavox HH 10-68は見つかりません(涙)。
レアなんですね。相当難しいよう・・・。おそらくほとんど絶望的か。スペインプレスだし。
やっと見つけたHISPAVOXの 1971年・再発盤。スペインプレスです。
2曲目。オリエンタールの美しさといったら、たとえようがありません。


レス一覧

akahanamizukiさん、お久しぶりです。

再生環境が随分と変わられましたが、最後はやはり聴いている人間の能力ですね。
あえて偏見に満ちた物言いをいたしますが、「自らの能力以上の情報を聴きとることはできない」のです。

今の音と機器に辿りつかれたのはakahanamizukiさんがそうあるべく思われたからな訳ですし、これからも新たな演奏や機器との出会いがあると思います。

私としては音楽を演奏する側の「最前線」にも新たな出会いがあることを期待しておりますけれども。


なにはともあれ、これからも今後の行動記録を書き込んでいただければとても嬉しいです。
byfuku at2015-08-06 01:05

akahanamizukiさん、お早うございます。
お久しぶりです!

ストラさんからの風の便りで、少しは情報を得ては居たのですが、
これはまた、怒濤の遍歴ですね。まさに人生の転機のようです。

新しい機器との格闘の数々や、伝説の方々のエピソードなど、
是非拝見させていただきたいネタが満載です(笑)

これからもまた、色々とご披露いただけることを期待しています。
by矢切亭主人 at2015-08-06 05:01

akahanamizukiさん 

>ファイルウェブは音楽の素晴らしさや、オーディオ機器の楽しい話題を皆で共有する場。そう言った話題が少ないなぁ。データ形式や権利や法律の話ではツマラナイ!。だってその人の部屋でどのように音楽が奏でられているのか全く見えないもの。

全く同感ですね。不毛な記事が多すぎます。音楽と全く関係ない話で、この暑さのなか、我慢の限界を超えていました。

そこへ、清涼剤のような、楽しいお話。隅から隅まで同感です。長野の師匠のお宅も含めて、ぜひお伺いしなければ!
byGRF at2015-08-06 06:15

akahanamizukiさん

お久しぶり。というか、おかえりなさいでしょうか。全く別物になった新システム、楽しそうですね。

某氏の「ファイルウェブなんて時間の無駄、人生の無駄」という言葉が胸に突き上げてくるような虚しさで、オレも「卒業」しちまおうかなぁと思った刹那の絶妙のタイミングでの再光臨でしたね。

これからも楽しい投稿(こういう内容なら長文でも構いませんよ-爆)を期待しています。
byベルウッド at2015-08-06 10:09

お久しぶりでございます

こういうタイムトラベル理論でしたらワクワクしますね!
しかし舵取り急転回をしてからの突き抜け方がまた凄いです・・。
モノラル専用機、良い出物があるといいですね!^_^
byにら at2015-08-06 16:19

おおお!!!
お帰り〜〜〜(^^)/*****

やっぱり、こういうお話は「長文」でも楽しいね!

全て色々と繋がって、絡み合って、紡ぎ合って、出来上がった一枚の羽衣ですね。
一部ヤバい方々がコンガラガって面白そうですが(爆!

オーディオは最後はSPから振動が伝わって来る音楽に心まで震える世界と思います。
そこには新しいとか古いとか関係ない。
あるのは伝えたい気持と、受け止めるしなやかな心でしょうね。

人それぞれでしょう。
オーディオの世界は、それぞれの主観でしか表現出来ない、それぞれの音楽世界の万華鏡なのだと思います。

また、面白い展開が有ったら、お気楽に、ゲロッパ!!!

では、では
byバズケロ at2015-08-06 21:57

akahanamizukiさん こんばんは

EMT930stとは時代を逆上りましたね!

私も930とは28年つきあいましたので親近感が湧きます。

最初はステレオ用に一台しかしMono針を手に入れてからステレオ用とMono用にわけて愛用していました。

写真を見たところ指掛けも外して使用されているようなのでいい感じに使いこなしておられるのはお見事です! 鬼教官が居て良かったですね。

イコライザーの出力ゲイン調整やアームとリフターの調整等もされていいると思いますが、それを完璧におこなえばレコードを聴くことに専念できるでしょう。

EMT930stほどレコードをかける操作が楽なプレーヤーは無いとあえて言いきります。
byトラウトマン大佐 at2015-08-06 22:07

fukuさん。お久しぶりです。

そうですね・・・。聴き取る力はとても大事。
しかし
私の場合
聴き取る力よりもっと重要だったのは
良い物を我執なく受け入れる態度だったように思います。

私の今聴きたい音楽は
オリジナル盤をアナログプレイヤーで再生するのと
KlimaxDS/Kでファイル再生したのでは
どんな文学で補おうとしても違いが大きい。
違わないのでは・・・とがんばっていた私ですが
がんばっていたと言うよりは囚われていたのだと思います。
まっさらな気持ちで音楽を聴けば誰もが感じるのに
そうならないのは自分の頭の問題です。

音楽の最前線が何処にあるのかは難しいですが
ジャズやクラシック音楽の演奏、録音とも最盛期はとっくに過ぎていることから眼を背けると「最新はいつも最高」の隘路に嵌る。オーディオも似ている側面があると思います。


今後もよろしくお願いいたします。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:30

矢切亭主人さん お久しぶりです。

ファイルウェブに参加した時には全く思っても見なかった方向に舵をキルことになりました。
自分の聴きたい音楽がなんとなく定まったことが第一です。
私は空気中に放たれた音が溶け合いハーモニーを形成する瞬間をパッケージした録音作品を好むようです。
そのためにはどうすればよいのかを考えるようになりました。

ファイルウェブをきっかけとして知己を得た伝説の方々(笑)のエピソードは書けないことの方がもっと楽しく可笑しいんですょ。顔もあわせることもなくネットの虚構の世界で張り合い反目しあうことは空しいことです。ファイルウェブはリアルへのよいキッカケにしてこそ生きる場ではないでしょうか。

アナログは遥かに先輩である矢切亭主人さんの工夫もネタとしてご披露していただければありがたいなぁ!

今後もよろしくお願いいたします。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:31

GRFさん。お久しぶりです。

今年
東京国立博物館を見学する機会が有りました。
本館の展示で既にノックアウトされていました。
横山大観らの合作旅人日記も良かったけれど、日本刀に釘付けになりました。
長船の名品や、石田正宗など
ショウケース越しに見ているこちらの周辺の空気までヒンヤリと変化させるかの如くの存在感でした。
しかし
最後に行った法隆寺館が驚きでした。1600年の時を超えて残っている仏像、器、そして楽器。そこに何も文学で紹介記事がなくても、圧倒的な本物の雰囲気は誰にでもわかります。
(紹介文を見ると並んでいる仏像ほぼ全部が重要文化財以上)
動けなくなっていました。

美辞麗句で宣伝しているDSDや、PCMはいつまで残るのでしょうか。
サンプリングレートやビット数を少しづつ上げて何の意味があるのでしょうか。
毎月発売される高価な機器は10年後残るのでしょうか

少なくとも自分より長生きであろうソフト、機器を選ぶ。
機器を選ぶ時
認識能力・審美眼を求められているのはユーザー。
ソフトも機器も選ぶことしかできない。選ぶときが勝負。
自分の実力以上の音は決して出ないな・・・と改めて思いました。

GRFさんは英コロンビア、英EMI、英DECCAのオリジナル盤を多数お持ちです。
以前お伺いしたときは聞かせていただく時間が残念ながら有りませんでした。
いつかぜひに聞かせてください。

今後もよろしくお願いいたします。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:32


ベルウッドさん お久しぶりです。

ファイルウェブ全部が人生のムダ・・・とは思いません。
感謝しています。
ファイルウェブのおかげでいろいろな出会いがあり
私はこうなったわけですから。

しかし
虚構の世界で、自分の中に何もなくなっても発言し続けることのないようにと自戒しています。よく考え吟味しないと言葉が軽くなってしまい取り返しが尽きません。文章のようで真実がなく、すらすらペラペラと書いているだけになってしまいます。私が卒業宣言した理由のひとつです。

自分の中で「貯金が出来たら」また書くかもしれませんが・・・
未来は未定です。

では。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:33


「ワインディングロードの爆走シトロエン」ストラさん どーもッ。

タイミングはともかく、ストラさんたちシリーズが長いので長文になったんですョ。私のせいじゃありません(笑)。何回も直接会って楽しく遠慮なくやり合っていますので書けないエピソードの方が遥かに多いし面白いけれど。いつも失礼ばかりしてスイマセン(笑)。

だからですが
活字だけでは見えない典型的な音の世界・・・と言うけれど、ストラさんがこう言ったってことはこうか、ん、とするとこの人はそれをこういっているからコウカ・・・と遠くにいてもなんとなーくうかがい知ることが出来ます。ストラさんの評価と同じにはなりません。ストライコライザーをアカハナイコライザーで変換する必要があります。行動範囲の広いストラさんと一緒に「なんとなく旅」(笑)。

今度はリシュブルグさんを「暴走シトロエン」に乗っけて来るのですか?安全運転ですよ。峠道にフラッと入るのは禁止。
残念ながら今度は肩透かしのネタがない。つまんないなぁ。うーん、そうだなぁ、オリジナル盤1枚を春日山の通行料にします。お願いしますね(笑)。
では。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:34


にらさん お久しぶりです。


自分の頭が変わるかどうかが一番重要でした。

新しく何を導入したのかはもちろん大事。
しかし
何を残さないで捨てたかも重要だと思います。

整理し吟味し捨て続けないと
モノが増えるばかりで価値のナイモノアルモノがごちゃごちゃ。

SACD400枚もっている
CD3000枚持っている
HDDの中に5Tのデータが入っている
なーんて言っている奴は自分の聴きたい音楽がわかっていない恥ずかしい奴です。選ばないからこそそんなにあるんです。
何を隠そう自分でした。


SACDはほぼ全て売却、CDも選別中で1/10以下にします。HDDはもはや無用の長物。決断できたのは「音楽の力」のおかげです。

今後もよろしくお願いいたします。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:37


EVAさん お久しぶりです。

EMT927stはLoge邸で930stと共に聴かせていただいていますが、本当に素晴らしいプレイヤーです。
しかしながら、それこそ手に入れようとしても条件のよいモノを見つけるのは大変で、値段も高い。今は憧れとしておきます。
EMT930stも素晴らしいプレイヤー。
初めて使うアナログプレイヤーがEMT930stなんて・・・
私が使えるようになるとは夢にも思いませんでした。
縁を大事に使いたいと思います。

では。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:38


バズケロさん お久しぶりです。

そうですね。
「シリーズ登場人物」の方々とは
絡み合ってはいますが
いがみ合っているわけではないので楽しいんです。

オーディオは人それぞれです。
でもそれは
「どのソフトを選ぶのかは、人それぞれ」だから違うのだと思います。
オーディオの音を一番変えるのはソフトです。ソフトが決まって初めて次に機器がきまります。

また
自分好みに鳴らす・・・なんてできるのだろうかとも考えるようになりました。
オーディオ機器は私の心を推測して私好みに鳴らすことは出来ないはずで、ただソフトに入っている情報を出しているだけ。
自分に出来ることは
良いソフトと能力のある機器を必死に選ぶことしかありません。

買ってから、手を入れなくてはいけない機器を買うのはどこか間違っていると思います。手を入れる必要がない機器を買うのが本道です。
何を買うのかわからない、その能力がないユーザーが
いろいろな情報に惑わされて漂流することになる。
ソフトもハードもオーディオは何を選び買うかこそが最重要である
使いこなしの話は本質を隠す危険がある。痛感しています。

何を隠そう私がそうでした。授業料をダイブ払いました。


今後もよろしくお願いいたします。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:39


トラウトマン大佐さん お久しぶりです。

155stの出力ゲインはその後のZeissTPadアッテネーターでベストの位置で音量調整できるように調整しています。左右差の微調整にも活躍しています。

リフターはバーが頂点に来たときに針がLPに設置するように調整してもらいました。指かけは必要なく、使い勝手がとてもよく、レコードがとてもかけやすいです。

OFD25でモノラルの例えばバイオリンやピアノを聴くと、用意にステレオに戻れなくなってしまいますので悩ましい・・・。
頻回に針交換を行うのは手間や万が一の針損傷、アームの損傷がおこりうるので悩ましいところです。
もう1台930を用意してモノ・システムを分けるのが一番良い方法ですねぇ。とはいえ今は我慢です。EQはいつまでも155stでいいの?という意見もあるでしょう。
byakahanamizuki at2015-08-07 04:41


おはようございます。
完全に出遅れました。

シトロエンの飛ばし屋シリーズの、
2)重いトランス…
は、今となっては、良い思い出にしてらっしゃるハズ?(すみません、ストラさん)
今度、クレンペラーの大地の歌とズスケのラズモフスキー聴かせて下さい。
多分、シトロエンシリーズに追加になるはずです(笑)。

しかし、こうやって、シリーズ化されてるのを見ると、縁って不思議なものですね。
皆さんに感謝です。

私も早く、
ラローチャ聴きたい!
大地の歌を聴きたい!(これは無いですが)
ボエームも聴きたい!(これも無いですが)
◯ラードが買わなきゃ…
でも、来月にはきませんよ(笑)。
おじいちゃんの通年席は、またのお楽しみに?
byRICHEBOURG at2015-08-07 08:02


akahanamizukiさん、お帰りなさい。

はなちゃんこの暑さでへばってないでしょうか?
心配です。

清々しく、羨ましく、良い感じで音楽に委ねられている様で何よりです。
色んな意味で現状のアタシではそこに辿り着けませんが、ぼちぼちやっております。
アルミの箱買って穴あけとか・・・(笑)
来年あたりお江戸経由(ナゼ?w)で爆走シトロエンに便乗して伺えればイイなぁと勝手に妄想しております。
破壊王様達&その連れ達が暴れ回るので、ながら聴きしかできないデーンちゃんでしたm(_ _)m
byデーンちゃん at2015-08-07 08:07

akahanamizukiさん、おはようございます。

ガラリと変わってしまわれましたね。複数のお宅に伺わせていただきましたが、全く毛色の異なるシステムです(◎o◎)オオー
ここまでさせてしまった魅力はなんなのか?
もしまたチャンスがあれば、お伺いさせていただければ幸いです(レコードは一枚も持ってないので通行料が払えない!?)。
by2Hくん at2015-08-07 08:11

RICHEBOURGさん どうも。

ラローチャは譲り?ましたが、大地の歌はかっさらいました。
早いもん勝ちさ。はっはっは。いいだろー。

RICHBOURGシリーズが一番地球ドラマチックかもしれませんね。
例えば・・・

1)ディスクユニオンでSACD100枚以上一気に叩き売ってレジの人に「買い取り金額は・・・・・です」と呼び出され、その額により店中の注目を集めたこと。男だねェ。かっこよすぎ。
2)ヴァイタボックスの夢が泡になった翌日にアビーロード・モニターレッドが出てきたこと。そんなことってあっていいのか羨ましすぎ。
3)あてにしていたakahanaタクシー。当日まさかのドタキャン。おいおいどーすんだ。大変失礼しました。
4)アマティが去ってアビーロード・モニターレッドがくるまで数週間音無し。その間「頭の中でクレンペラー教授の告別とラローチャのバッハを脳内再生しています」エアギターならぬエアSPだ!!!うーカッコイイゼ。。アカハナもまねしたけど現れてくれなかった。がっくし。
5)まぁでも一番ドラマチックだったのは「悩める1時間」事件でしょう。
アビーロード・モニターよりビックリしました。

まじかこの組み合わせ・・・でした。
頭を変えるとこうまで「機器がむこうから寄ってくる」のか。
何かを持っているとしか思えん。
人生には迷っている暇がない時がある。と私も勉強しました。

私は頭の中を変えるのに2年以上かかっています。ところがRICHEBOURGさんは数か月しかかかっていない。そのとらわれない柔軟性がマブシイ!若いっていいなぁ。
横目でその炎にあぶられて、私も白い灰はおろか真空になってしまいました。

9月には音もなく何かがまわっているんでしょうね。んんん?。当然デッカ付きで。
よろしゅうです(笑)。
byakahanamizuki at2015-08-07 13:19

デーンちゃんさん お久しぶりです。

「はな」
食欲旺盛。KYLYNさんに2分間は激しく興味を示しましたがその後は腹出して寝ていました。
家の中で一番涼しいところを常に探り当て移動し元気いっぱいです。

お江戸経由のシトロエンは、春日山がどんなに止めても二日酔いのKYLYNさんなど全く関係なく当然のように峠を攻めていきました。ある意味北陸新幹線より楽しいかもしれません。
機会があればぜひシトロエンに乗りお越しください。

では。
byakahanamizuki at2015-08-07 13:21

akahanamizukiさん、こんにちわ
RIRAです

EMT 930stはイーですね〜
私も先日お店で聴かせてもらいましたが、
芯の音を厚く出すような良いプレーヤーだと思いました

特にスタジオ想定なので、
拡大鏡や証明など目にも優しいですね〜

私は店員と商談中にも関わらず、
顔はEMT の奏でる音楽の方を向いていました(笑)


整理するのは重要と私も思い、
せっせと物の整理をしてます。
しっかり検討して判断することで、
地肉にもなり忘れることができる・・・
心にも、売ればお財布的にも良いと思います

こうやって人は洗練させていくのでしょうか?
byRIRA_ at2015-08-07 16:34


akahanamizukiさん、どうもです。

今年は暑いですね・・・でもakahanamizuki邸の機器群はもっと熱いことになっていますね(笑)

EMT930stは聴いてよし、眺めてよしですね。精悍なアンプ群ともよく合っています。
LPも選別しながらイイモノを収集されているようで、これも楽しみです。

聴き応えがあるので、長時間でなくても満足できる・・・自宅で素晴らしい音楽を楽しめるのは大きな喜びですよね。

また、はなちゃんに会いにお邪魔させてもらいますね!
byKYLYN(キリン) at2015-08-08 11:24

2Hさん お久しぶりです。
マジコの調子はいかがでしょうか。

>ガラリと変わってしまわれましたね。複数のお宅に伺わせていただきましたが、全く毛色の異なるシステムで・・・

その通りでしょう。私自身がこうなるなどとは1年前には全く予想していませんでした。ファイルウェブに参加していなければ
決してこのようにはならなかったと思います。
何が原動力かと言えば、本文中にも書いていますが「音楽」です。
素晴らしいクオリティを持った録音作品とその再生に出会って
自分の狭小な経験にこだわっていられなくなりました。

以前は都合がつかず失礼いたしました。
もし越後方面に来られることがあったら連絡してみてください。
楽しみにしております。

では。
byakahanamizuki at2015-08-08 14:53

RIRAさん お久しぶりです。

我が家で他のアナログプレイヤーを聴いた事がありませんので
音質は語れないのですが
SP、アンプとも同時代のドイツ製プロ用機器ですので、ガラードやフィリップスではなく
EMT930stが良いであろうと考えました。
スイッチの確実な操作感、アームリフターの操作感、安定性・静粛性・・・
アナログ初心者の私にとって、扱いやすいプレイヤーでとても気に入っています。

他の人はどうかわからないのですが
私の3000枚あったCDのどれをかけても良い音で鳴っていたのか・・・といえば、全然そんなことなかったと思います。
何を残すか・・・と共に
何を残さないか・・・を常に考える。
厳選した100枚あればきっと幸せになれるのでしょうが
それまでには相当数の残さないものがあるはずです。
そうでないとキチンとしたオーディオにはならないなとやっとわかりました。

気付くまで時間がかかりすぎましたが(笑)。

では。
byakahanamizuki at2015-08-08 14:55

KYLYNさん 日記では(笑)お久しぶりです。

ホントに暑いですね。

ただ幸いにKlimaxDS/KやNAS、HUB、アキュフェースのアンプが稼動していた去年の夏より、遥かに電気料金は下がりました。
NAS、DSは常時オンでしたし、SP(SigD)の能率が低かったのでアンプはしんどかったでしょう。
真夏でも電気代を気にせずオーディオが楽しめるのはありがたいです。

KYLYNさんにCDで聴いていただいたカイルベルト指揮の運命交響曲もオリジナルLPで聴くとコントラバス、チェロといった低弦群のキザミが素晴らしいです。

ずっとわかっていなかった、そして認識してからも見て見ぬふりをしてきたこと。

DS時代の聴き方は音楽に対して真摯ではなかった。
ながら聴き、寝転がり聴き、なんとなく流しているだけ、ということも多かった。その程度の音質だったし、その程度の「脳力」だったし、その程度の「ソフトの選び方」だった。
しかし
心の深いところで響き渡った音楽との出会いがあって、
オーディオを聴いて「音楽が自分の中に入ってくる感覚」をようやく認識しました。

名盤・名演奏を聴く為にオーディオがある。
聴く力を磨かなければ音楽は入ってこない。クオリティのあるソース、機器を選ぶ。
自分・ソフト・機器は三位一体。
名盤を聴いたことで導いてもらった。
BGMでは満足できるわけないし、DSではどうやっても・・・。
デジタル化・ファイル化しているときにあまりに多くの情報が失われ過ぎている。
SACDに続き、DSを断ち切る事になるとは1年前には想像もしませんでしたが
人生は短く一回きりですから、思い立ったが吉日。
上記を全て売り払ったお金でなんとかEMT930stとなりました。

KYLYNさんが来たときには間に合わず大変失礼しました。
また暇を見つけておいでください。
(最初の2分間だけは、はなの大歓迎に耐えてくださいね。)
byakahanamizuki at2015-08-08 14:58

https://community.phileweb.com/mypage/entry/3224/20150806/48373/

4. 中川隆[-5947] koaQ7Jey 2021年4月07日 06:41:59 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[4] 報告
Decca Decolaがお嫁入り
EMT930st について 2017-08-23
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c24ab096249ef19f607a08f3e8f9dc49

 EMT930は1956年に発表された。EMT(Elektro-Mess-Technik)はそれ以前にも1950年にドイツ放送技術研究所との共同開発で「R35」、1951年に独自開発で「R80」(50台製造)、同年にEMT927を発表している。EMT930はEMT927のスケールダウンしたものでプラッターの直径は33cm、重量は約半分の23kg。初期の製品にはオルトフォン製RMA229アームが、1971年頃からトーレンス設計のEMT929アームが装着された。搭載されるフォノイコライザーはEMT930のシリアルNo,3588まではEMT139(真空管モノラル)、No,3589〜10949は名称もEMT930stとなりEMT139st(真空管ステレオ)、No,10950以降はEMT155もしくはEMT155stとなる。しかし市場のEMT139stの僅少さから実際には注文によって色々なバリエーションがあったのだと思う。何れにしてもシリアルNo,10750以降の製品には真空管イコライザーは搭載できない。

 搭載されるフォノイコライザーはEMT133を除いて全て同じ寸法、接続となっている。(もしEMT139対応機にEMT155を接続したら壊れるのだろうか?と思って回路図と接続図を確認したら大丈夫なよう)EMT155の標準カートリッジはOFS25とOFS65でカタログではプレーヤーシステムにはカートリッジが2個とも付属されて販売している。「st機」にはTSD15が1個付属していた。(面白いと思ったのは付属の2個はサファイア針ということでこれはコストダウンを図ったのか?このカタログの記述には明らかなマチガイも見受けられるのでミスプリントかもしれないし天下のEMTがそんな事するか?などと思ってしまう)EMT155とEMT155stの違いはモノラルとステレオだけでなく入力レベルが10mv、1mVと感度差が10倍あった。これはOFシリーズの出力はTシリーズの10倍程度あったためでOFカートリッジをEMT155stに接続すると大振幅再生では歪んでしまう。(初めてOFD25をEMT930stに繋いだ時に歪んでしまって慌てたことを思い出します)2台のプレーヤーを納めるコンソールもカタログにあり、1.55Vのライン出力に至る全てのパーツがシステムとして提供されていた。まさに「The 業務機」でユーザーは提供されたものをただ正確に使用するだけ、保守点検の契約も当然あったと思います。
 EMTのモノラルカートリッジは別項にあるようにオルトフォンのOEMのOFD25、OFD65と自社製造のTMD25、TND65。TMDとTNDの出力はTSDと同じでこれはモノラルレコード再生時にフォノイコライザーを交換せずに対応する事が可能で特に78s SPレコード再生には(専用カートリッジは不可欠だったから)過渡期には重宝されたと思われる。しかしOFシリーズとTシリーズは機構の違いから(当然ですが)音質が全く異なる。オーディオファイルはモノラル再生では圧倒的にOFシリーズを支持するのではないだろうか(ジジイの思い込み)。

 このEMT930stは自分にとって3台目。先の2台はお嫁に行きました。
 
 プレクシグラスのサブテーブルの下には円盤状の金属板があるのだがこの個体には欠品している。 

  
 クイックスタートのスイッチは3段階の切り替えで卓のフェーダーと連動するリモートコントロールの場合は黒いプラスチック部を上に持ち上げてから後方へ倒すとロックされる。 

 
 60Hz仕様もあるようだが(以前韓国からモーターだけ輸入したことがあったがそれが60Hz仕様だった)基本的に50Hzの軸が付いている。説明書には進相コンデンサーが各々の周波数で指示されている。モーター軸の交換はできない構造なので周波数の変更はモーターの交換もしくは周波数変換機を使うことになる。EMT930のモーターは30Wなので(EMT927は35W)それに見合った規格のもので良いわけだが故障などで今までに数回交換している。100W程度の変換機ではEMT930は賄えるのだがEMT927ではダウンした。扇風機や200Vの大きな冷却ファンを騒音対策のために100Vでゆっくり回して冷却するなど色々と工夫してみたが現在は200W程度のものを使っていてやはり動力の駆動電源の連続運転は結構無理がかかるものらしい。ヨーロッパ製品を西日本地区で使用するにはそれなりの苦労が要ります。この電源の質は回転の質にダイレクトに影響するのは容易に想像できる。それに加えてターンテーブルの回転数の微調整は軸の中心部にあるフェルトリングをプラッターに押し当ててのフリクションでコントロールしているわけでそれを嫌って40Hz台の可変周波数でこの部分をキャンセルすることでS/Nを上げるという製品も存在する。
 この形式のモーターは「適当な負荷をかけることで回転が安定する」という解説を読んだことがあるのでこの方法が最良かどうかはわからない。また周波数変換機は低周波発振器とアンプとトランスがあればできるらしいので以前適当なトランジスタステレオアンプで実験したことがあったが見事に両chとも壊れてしまった。(ちなみにこのアンプは状態を説明して売却したが落札した方は出力段全てのトランジスターを交換して復活されてたらしく大いに感心した)「真空管式の周波数変換機を製作する」と仰っていた方がおられるので発表されたらぜひ追試してみようと思っています。

 EMT930のメンテナンスガイドを見ると「アイドラーは1年で交換」とあって純正部品も提供されていたが最近はどうなっているのだろうか?流石にアマチュアではマニュアルどおり1年毎に交換している人は少ないと思うが、いよいよ寿命が来て購入した純正部品は円筒形の透明プラスチックのケースに本体と共に交換時にはめる手袋まで入っていて(ゴム部に素手で触らないように)感動した。本来黒色のゴムだったがある時から純正で提供されていた飴色ゴムのアイドラーが短命で(硬化が早い)新品でストックしていたモノも使用不能に陥っていてがっかりした事がある。ダメになってしまった多くの在庫を抱えていた販売店さんも知っています。そのうち純正部品はとても高価だったので秋葉原にあった今はなき「K無線」にお願いしてゴム交換だけやってもらっていた。ある時いつものように電話してお願いしようとしたらご主人の娘さんという方がでて「店主はもう高齢なのでお店を閉めることになった。ゴム交換を外注していたF工場を紹介するので直接交渉してください」と親切にも連絡先を教えてくれた。それからはその町工場(だと思う)に度々アイドラー再生をお願いしていた。ところが次第に注文が多くなって本業の合間に行っていた事に本腰を入れる事になったらしくある時から作業料金が3倍!になっててこれには驚いた。今ではあちこちでこの作業を行ってくれる業者がいるし最重要部品なので品質の差が音にも顕著に現れるとは思うが比較できるほど発注していない。一度だけ初期のゴム再生アイドラーを純正のと比較試聴した事がある。居合わせたある方はやはり純正が優っていると言っていたが私は違いはよくわからなかった。EMTのようなメジャーなアイドラー以外でも敬遠していたマイナーなレコードプレーヤーのゴム部品も軸周りがダメになっていなければ再生できることがわかって選択の幅が広がったのは良かったと思う。

 その他の消耗部品として回転調整用のフェルトリング、これは常に押し付けられながら回転するので当たり前に擦り減る。交換は周辺の金属部品一式だがフェルトをドーナッツ状に切って張り替えている。ストロボは今まで幸いにも切れたことはない。プラッター軸底部にあるボールベアリングもEMT930では交換したことはない。EMT927ではあるのだが、、それについてはまたの機会に。アイドラーの上下にはベークライトのようなワッシャーが入るのだがこの交換も実はした事がない。モーターの進相コンデンサーはMPコンで経時的に容量が抜ける傾向らしくそうなると振動が増える。EMTからも補正用の小容量コンデンサーの詰め合わせセットが供給されていた。かつてEMT製品の代理店をしていた「河村電気研究所」の解説では50Hzの進相コンデンサーの公称値は1.75μFだが実際のベストの値は1.75〜1.9μFの間に存在する(パンフレットより)らしい。ちなみに同パンフレットに付属していた価格表を見ると1975年5月1日の段階でEMT930は950,000円 EMT927は1,200,000万円から値上がりして1,500,000円 TSD15が55,000円 OFD25が30,000円となっていてEMT930の価格が高い事に少し驚きます。EMT927との価格差も現在を考えれば少ない。


 さてプラッター軸とモーター、アイドラー軸への注油だがEMTからはミシン油のような専用オイルが供給されていて定期的な交換、注油は必須。割とご近所の方のEMT930がオイル切れでプラッター軸が錆びてたという話も聞いています。純正以外でもスクワランオイルや他の高性能オイルの使用記を目にする。純正オイルの供給はされているのかもよくわからないが(どこに訊いたらいいのか)無いよりはマシだろうとテキトウなマシンオイル(ミシン油)を使っていた。今回ちょっと反省して純正以外でどんなオイルが入手できるか調べてみてその中の一つを注文してみた。厳密には色々と並べて比較試聴すべきだろうが、ちょっと人間のパワーが足りない。


3 コメント

2019-08-15 14:48:59
EMT 930に関心があります。

モーターの冷却に関して。木製キャビネットを自作し、入れてお使いのご様子。強制的な冷却はしていないのでしょうか?

神奈川県で930stを使用している方、「LP一枚であっちっちになり、心配している」との記述があります。その方は、裸のシャシーのまま使用しています。

このような業務機で、異常な加熱は考えられません。以下の類推をしていますが、どうお考えですか?


1 異常な加熱は異常。故障している。
2 推定使用室温が低い。(涼しいところで使え)
3 裸のシャシーで使うのが間違っている。キャビネットやコンソールに設置し、吸気(排気)ファンを使うのが当たり前。
迷っています (小泉 久直)


2019-11-30 18:59:48
写真で見たヤフオクのEMT930stを買うか買うまいか迷っています。今まで、ガラード401を使っています。来夏、京都に越しますので、ヤフオクの商品は、60Hzのものです。
 もし、取説がありましたら、お代は払いますので、分けていただけないでしょうか。
 また、操作については、難しいことはないでしょうか?


Re. (koban)
2019-11-30 22:23:05
 こんにちは 
 私はヨーロッパ製品は周波数変換機と昇圧トランスで対応することが多いです。米国製品は60Hzなので当地でも便利なことはあります。
 取説はwebで閲覧できますので検索してみてください。
 操作についてですが特に他のプレーヤーと変わりないと思います。速度調節がちょっと変わってますが問題なく行えます。

 EMT930との出会いの驚きは今でもよく覚えています。時間を忘れて次々にレコードを聴き漁りました。幸せな時間でした。
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/c24ab096249ef19f607a08f3e8f9dc49

EMT930st について(2)
2017-08-27
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/90e2ffd7cd616ebfaf993ac9a04ec247?fm=entry_awc


 Amazonに注文していたオイルが届きました。
 
 30mlで3,832円とかなり高価です。EMTオイルに比べると粘度はかなり低い。ターンテーブル軸受、モーター軸受用のAudio oilでチタン入り。チタン皮膜を形成して摩擦を65%程度減らすとのこと(基準はなんだろう?)古いオイルはしっかりと取り除いた方が良いとのこと。30mlだとターンテーブル軸受けやモーター、アイドラー軸全てに足りる。


 モーター軸周囲にあるフェルトはプラスチックの板で押さえられている。通常は隙間からのオイル補給でいいのだが、今回は全面的に交換なのでこのプラスチック板を外してフェルトも外して給油するつもりだった。しかしプラスチックは脆くなっていて外す時に2つに割れてしまった。。しかし周囲の金属の溝にはまり込むので安定するため支障なしと判断してこのままとします。軸周囲のフェルトは一塊で外せそうもなかったので(板も割れて腰が引けた)古いオイルを拭き取ってからチタンオイルを染み込ませてから板を戻した。

 アイドラー軸はよく掃除して、またアイドラー上部のフェルトもオイルをよく拭き取って再使用する。アイドラーの上下にはベークライト様のワッシャーが入ります。

 一応新品はあるのだが今回は再使用する。戻したフェルトに十分に給油して。

 プラッター軸受はネジ3本で固定されている。ペイントロックされているので多分今まで一度も外されていない様子。オイル交換は軸受のボトムを外してもいいのだがオイル漏れが心配なので軸受ごと外して中を拭き取って交換する。


 フリクションブレーキを外して331/3の定速からアイドラーを解放してどの程度回転が続くかを見るとオイル交換前は6 1/4回転した。(ただしほとんどオイルが入っていない状態だったので参考程度)新たなチタンオイルは溢れるまで入れる。ブレーキなしで同じ様に回してみると17 3/4回転した。止まりそうな低速でもなかなか停止しないのが印象的。チタン皮膜の形成には10時間程度はかかるとのことで楽しみです。

 一連の作業後はアイドラーやターンテーブル内側、モーター軸をよく無水アルコールで拭き取ります。オイルはミスト状となって沈着するので度々この作業は必要。これで試聴してみると、、困ったことが起きました。アイドラーがモーター軸に対して滑るのです。クイックスタートをスタンバイするとプラッターの回転が止まってしまう。プラッター軸の位置は少々遊びがあって調整代があるがオイルの付着で滑っていること以外原因は考えられない。早速無水アルコールで拭き取ってみるもやはり立ち上がりは鈍い。今までこんなトラブルは起こったことがない。やはり高性能オイルの扱いは慎重にする必要があると感じた。拭き取りを繰り返してみます。

 肝心の音は、、アイドラーが滑っている状態では正確な判断はできないわけだが不思議なことに「そういった傾向の音」ではなくとても好ましい。アイドラードライブ業務機の特徴であるゴリゴリ感や溜めがある感じが薄れて素直に滑らかに発音するしモーターの振動の減少や全体の静寂感を感じる。この変化は予想以上だがひょっとするとアイドラーに付着してしまったオイルが一番の要素なのかもしれない。しばらく稼働させてたら(LP5枚くらい)アイドラーのオイル皮膜が切れてきたのかクイックスタートスタンバイ時でも回転は止まらなくなった。静寂感は変わらないので良い方向へ変化したと考えることにします。


 隣町のパーツ屋さんに行ってブラ見していたら店員さんが「お客さん、おもろいもんがありまっせ!」と言って(嘘です)説明してくれたのがこれです。

 名前も説明書も無い袋入り。調べてみるとどうやら話題の製品のようで名前は「LCR-T4」で中華製。抵抗・コンデンサ・インダクタ・ダイオード・トランジスタ・FET等が測定可能というマルチ測定器。
 ICソケットはいっぱい穴が見えるが基本的に1,2,3の3端子しかなく適当にパーツを差し込んで黄色のボタンを押すと測定できるという超アバウトなもの。店頭で見本の周りに散らかっていたパーツをかたっぱしから試してみてから購入した。価格は2000余円だったがネットで調べると送料込みで1000円以下で購入できるらしい。
 ちゃんと使えそうだったので一緒にメタルのケースも買って組み込んでみた。

 懐かしのゲームボーイみたいです。。
   
 トランジスターの選別や私のようなカラーコードの苦手なヒトにはぴったり。表示は自動で消える。マルチメーターは珍しくも無いがこれが数百円(現地では3$らしい)で売られるというのは、、、ちょっと複雑な気分です。安く買えなかった事が気にならないくらい感動的な製品です。

 ところで今回のパーツ屋さん訪店の目的はEMT155stを通さずにカートリッジの出力をダイレクトに取り出すアダプターを作る事。方法は2つあってアームの出力にある7pinソケットから取り出す方法とEMT155stの代わりにコネクターにつなぐ方法。7pin方法だとプレーヤーの裏の作業になるので交換はちょっとやりにくいのとMT7pinプラグは持ち合わせて無いのでもう一方の方法で行きます。EMT930stにEMT155stを装着する時はガイドに沿って滑らすとプラグインするようになっている。同寸法幅のケースは入手できなかったが奥側の壁に沿って押し込めばコネクター接続されるように採寸して組み立てた。肝心のコネクターは以前購入したレプリカ物。
 
 今回はシールド線引き出しとしました。これ以上接点を増やしたく無いため。線材はホントはEMT2121を使いたいところだしピンプラグもEMTロゴが入っていればカッコよろしいのだが何の変哲も無い国産マイクコード。4線コードなのでホット、コールド共にパラにして使う。コールド側はそれに網線が加わるのでなかなか大変。でもずっとこのコード使ってます。

 以前書いたようにEMT155stにOFD25など高出力モノカートリッジを繋ぐと大振幅で歪んでしまいます。EMT155などのモノラルフォノイコライザーが手元のない場合は直接信号を引っ張り出して他の方法で昇圧、イコライズする必要がある。問題なく聴けている場合もあるかと思いますが。。手持ちの昇圧トランスを聞き比べてみた。EMT930stでは初めての試み。

 このEMT930stの程度は普通だと思いますが、ハンマートーンの剥がれが目立つ。アマチュアの憧れ「ハンマートーン」だが手軽なスプレーはほとんど見られなかった(と思います)今回「染めQ」から出ているのをAmazonで購入。

 ハンマートーンでも各色揃っている。まだスプレー塗装していないがまずEMT930stのお化粧直しをしてみた。こんな感じで剥がれてます。デッキは樹脂製。

 小筆でタッチアップして

 結構目立たなくなった。剥がれ部分は塗膜分凹んでいるので肉盛りしつつ行う。

 ターンテーブルの周囲に33 1/3,45,78のマークと謎の凹みがある。
 
 放送で欠かせないレコードの頭出しをする場合に、回転を止めて頭出ししたらレコードの種類に応じた回転数のマークまで針を下ろしたまま手動で戻してクイックスタートのスタンバイをする。ほんのわずかだが定速に達するまでの時間が必要なためで隣の写真の窪みは信号を遮断していたリレーがONとなる位置で回転再開からONになるまでの遅延回路が組み込まれている。クイックスタートは卓のフェーダーとも連動できこれらの機能でストレスなくスムーズに送り出しができる(遅延回路を意識することはなくこの窪みも調整時のマークかと思う)。Thorens TD124では同じくサブターンテーブルを用いるが上方向に持ち上げて回転をストップさせている。Garrard 301でもBBC仕様では何と軸ごとプラッターを上下させて巨大なサブテーブル(ストロボを兼ねる)との接続をコントロールしている。EMT950になるとターンテーブルの逆回転も電気的になりスイッチで行う。頭を決めたらデジタルカウンターをリセットしてから逆回転させるとカウンターはマイナス表示となり、そこからスタートさせると「0000」で回路が繋がる、、というもの。これらは家庭の音楽鑑賞には何の意味もないわけだし各所に負担がかかると言われているが酷使に耐える機構が業務機としての条件だと思うし単純にとても興味深い。
https://blog.goo.ne.jp/kobmina/e/90e2ffd7cd616ebfaf993ac9a04ec247?fm=entry_awc

5. 2021年4月07日 06:44:20 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[5] 報告
audio identity (designing)宮ア勝己
Date: 5月 20th, 2009
930stとLNP2(その1)
http://audiosharing.com/blog/?p=629

中野区白鷺のマンションに住まわれていたとき、
瀬川先生は、EMTの930StとマークレビンソンのLNP2を使われていた。
説明は不要だろうが、どちらにもフォノイコライザーアンプがある。
瀬川先生は、どちらのフォノイコライザーアンプを使われていたのか。

ステレオサウンド 43号では、
「ずいぶん誤解されているらしいので愛用者のひとりとしてぜひとも弁護したいが、
だいたいTSD15というのは、EMYのスタジオプレーヤー930または928stのパーツの一部、みたいな存在で、
本当は、プレーヤー内蔵のヘッドアンプを通したライン送りの音になったものを評価すべきものなのだ。」、
「TSDでさえ、勝手なアダプターを作って適当なアームやトランスと組み合わせて
かえって誤解をまき散らしているというのに、SMEと互換性を持たせたXSDなど作るものだから、
心ない人の非難をいっそう浴びる結果になってしまった。EMTに惚れ込んだ一人として、
こうした見当外れの誤解はとても残念だ。」と、
TSD15、XSD15のコメントに、それぞれ書かれている。

55号でのプレーヤーの試聴記でも、内蔵イコライザーアンプの155stを通さない使い方を、
「異例の使い方」「特殊な試聴」とも書かれている。

これらの記事を読むと、おそらく930stの内蔵イコライザーアンプを使われているんだろうと思える。
その一方で、LNP2のイコライザーアンプを使わないというのも、なんとももったいない、と思う。

それに155stの設計は古い。1970年代においてすら、最新のアンプとはいえない。
LNP2のほうが新しい。そう考えると、どっちだったのかと迷う。


1 Comment

pippin
5月 22nd, 2009
REPLY))
930stとLNP-2Lのフォノイコライザー、どちらを使うかは悩むところですね。
私はどちらも929側のフォノケーブルの差し替えで、その時の気分によって使い分けるようにしています。
1本は930stの155stからXLRケーブル(3番ホット)を経てLNP-2Lのライン入力へ。
もう1本は929アームからTH-7559を経てLNP-2Lのフォノ入力へ・・という感じです。
TSD15のみでモノラル盤もステレオ盤も聴きたい場合などは、930stの内蔵フォノイコライザー155stが便利ですね

http://audiosharing.com/blog/?p=629

6. 2021年4月07日 06:45:43 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[6] 報告
Date: 5月 21st, 2009
930stとLNP2(その2)
http://audiosharing.com/blog/?p=630

やはり930stを愛用されていた五味先生は、どちらだったのか。
930stの内蔵アンプなのか、それともマッキントッシュのC22のフォノイコライザーアンプなのか。

「オーディオ愛好家の五条件」で真空管を愛すること、とあげられている。
「倍音の美しさや余韻というものががSG520──というよりトランジスター・アンプそのものに、ない。」とある。
しかし、別項で引用したように、930stの、すべて込みの音を高く評価されている。
ステレオサウンドにいたときに確認したところ、やはり内蔵の155stを通した音を日ごろ聴かれていたそうだ。

五味先生の930stは、オルトフォン製のトーンアーム、RMA229が搭載されている。
ちなみにモノーラル時代の930のそれはRF229である。
930が登場したのが、1956年。モノーラル時代であり、内蔵イコライザーアンプは、管球式の139である。
シリアルナンバーでいえば3589番からステレオ仕様の930stになる。
これにはステレオ仕様の管球式の139stが搭載されている。

そしてシリアルナンバー10750番から、トランジスター式の155stとなり、
14725番電源回路が変更になり、17822番からトーンアームがEMT製929に変更となる。
ただ155stが登場したのが、いつなのかは正確には、まだ知らない。

ただ929が登場したのが1969年で、
155stの兄弟機153stとほぼ同じ回路構成のフォノイコライザーアンプを搭載した928(ベルトドライブ)は、
1968年に登場していることから、おそらく60年代なかばには930stに搭載されていただろう。

155stは、片チャンネルあたりトランジスター8石を使ったディスクリート構成で、入出力にトランスを備えている。
153stは、LM1303M、μA741C、μA748Cと3種のオペアンプを使い、
出力のみトランジスター4石からなるバッファーをもつ。
もちろん入出力にトランスをもつが、155stと同じかというとそうでもない。

出力トランスは1次側に巻き線を2つもち、そのうちの1つがNFB用に使われている。
電源も155stは+側のみだが、153stは正負2電源という違いもある。

回路図を見る限り、155stと153stの開発年代の隔たりは、2、3年とは思えない。
となると155stは、60年代前半のアンプなのかもしれない。
LNP2よりも、10年か、それ以上前のアンプということになる。

http://audiosharing.com/blog/?p=630

7. 2021年4月07日 06:46:50 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[7] 報告
Date: 5月 21st, 2009
930stとLNP2(その3)
http://audiosharing.com/blog/?p=631


「幻のEMT管球式イコライザーアンプを現代につくる」、
この長いタイトルを考えたのも記事の担当者も私で、
初回のカラーページで紹介したEMT純正の139、139stはどちらも完動品で、
155stとの比較試聴もやっている。

使ったプレーヤーは私が直前に購入したトーレンスの101 Limitedで、155stは内蔵した状態で、
139と139stは外付けで外部電源と接続し、いわゆる単体イコライザーアンプとして使った。
モノーラルの139は2台用意していたので、試聴はもちろんステレオで行なっている。

電源の違いも考慮にいれなくてはならないし、もう25年ほど前のことだから、かなり曖昧だが、
意外と管球式の2機種は古さを感じさせなかった。
むしろトランジスター式の155stに、どちらもいえば古さを感じた。
とはいえまとまりのよさは見事で、いわばアクの強いTSD15をうまく補正し活かしている感じは、
155stに分があったように記憶している。

瀬川先生は、ステレオサウンド別冊の「コンポーネントステレオの世界」の80年度版か81年版だったかで、
928を組合せで使われたときに、内蔵イコライザーアンプについて、
928内蔵のモノの方が設計が新しいので、155stよりも現代的な音になっている、といったことを発言されている。

ということは、アンプ単体として見てたときは、瀬川先生も、155stには、やや古さを感じられていたのだろう。
それでも自宅では、155stを通して使われていたはずだ。
http://audiosharing.com/blog/?p=631

8. 2021年4月07日 06:47:41 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[8] 報告
930stとLNP2(その4)
http://audiosharing.com/blog/?p=632

昨日、偶然にも入手出来た「コンポーネントステレオの世界 ’78」で、瀬川先生は、
4343に惚れ込まれた読者のために、最高に鳴らすための組合せとして、
EMT 930stとマークレビンソンLNP2Lを使われている。

組合せのラインナップの次のとおり。

スピーカーシステム:JBL 4343(¥680,000×2)
コントロールアンプ:マークレビンソン LNP2L(¥1,180,000)
パワーアンプ:SAE Mark 2600(¥755,000)
プレーヤーシステム:EMT 930st(¥1,150,000)
インシュレーター:EMT 930-900(¥280,000)
組合せ合計:¥4,725,000

4341と4343の違い、Mark 2500とMark 2600の違いはあるが、
瀬川先生が、当時常用されていたシステムそのままといえる組合せである。

4343について「JBLというメーカーは、時代感覚をひじょうに敏感に受け取って、
その時代時代の半歩前ぐらいの音を見事に製品化した」もので、
「ベストに鳴らすためには、プレーヤーからアンプまで、
やはり現代の最先端にある製品をもってくる必要がある」と言いながら、930st、である。
http://audiosharing.com/blog/?p=632

9. 2021年4月07日 06:48:25 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[9] 報告

930stとLNP2(その5)
http://audiosharing.com/blog/?p=633

前年までと違い、「コンポーネントステレオの世界 ’78」では、それぞれ2組の組合せをつくられている。
瀬川先生の4343の、もうひとつの組合せは次のとおり。

スピーカーシステム:JBL 4343(¥680,000×2)
コントロールアンプ:DBシステムズ DB1 + DB2(電源部)(¥212,500)
パワーアンプ:ラックス 5M21(¥240,000)
トーンコントロールユニット:ラックス 5F70(¥86,000)
プリメインアンプ:トリオ KA7300D(¥78,000)
フォノモーター:ガラード 401(¥49,000)
トーンアーム:オルトフォン RMG309(¥43,000)
       フィデリティ・リサーチ FR64(¥50,000)
プレーヤーキャビネット:レッドコンソール LAB-II(¥67,000)
カートリッジ:オルトフォン SPU-G/E(¥34,000)
       エレクトロ・アクースティック STS455E(¥29,900)
昇圧トランス:オルトフォン STA384(¥27,000)
組合せ合計:¥2,226,400(DBシステムズ + ラックスの場合)
      ¥1,765,900(トリオの場合)

ここでもプレーヤーには、930stと同じアイドラードライブの401を使われている。
アンプには新しいモノを使われているにも関わらず、である。

ちなみにエレクトロ・アクースティックとはエラック(ELAC)のこと。
これは瀬川先生からきいた話によると、エラックの輸入元(もしくは輸入しようとしていた会社)が、
なぜかエラックを自分の商標として登録してしまったばかりか、
エラックの輸入元が他の会社になってもそのままで、
さらに商標登録の期間がきれたら更新して、という嫌がらせとしか思えないことを続けていたため、
やむなくエレクトロ・アクースティックを使っていたとのこと。

「こんなことは許されないことだ」と、怒りのこもった口調だった。

http://audiosharing.com/blog/?p=633

10. 2021年4月07日 06:49:08 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[10] 報告

930stとLNP2(その6)
http://audiosharing.com/blog/?p=634

DBシステムズのアンプは、マッキントッシュの製品と比較すると、およそ製品とは呼べない面をもつ、
ある種、尖鋭的なところが、音にもつくりにも感じられる。

コントロールアンプのDB1は、ガラスエポキシのプリント基板に入出力のRCA端子、
電源端子を取りつけたものを、そのままリアパネルとしている。
いちおう絶縁のためラッカーで覆ってあるものの、いわば剥き出しに近い状態である。

マッキントッシュでは絶対にやらないことを、デビュー作で堂々とやっている。
フロントパネルもそっけない仕上げで、ツマミもおそらく市販されているものをそのまま流用している感じ。
とにかく、設計者が余計と判断したところには、まったくお金や手間をかけない。
設計者の信じるところの、実質本位なつくりを徹底している。

回路構成も、1970年代のアンプとは思えないもので、
差動回路も上下対称のコンプリメンタリー回路も使っていない。
他がやっているから、といったことはまったく気にしていない。

そんなアンプなのだが、とにかく切れ込みの鋭い、繊細で尖った音を聴かせてくれた。
とっつきにくい音と受けとめられる人も少ないないかもしれないが、
それでも存在価値(いい意味でも悪い意味でも)充分なところを気にいる人も、また少なからずいたであろう。

朝沼予史宏さんが、一時期、使われていた。
まだステレオサウンドに書き始められる前、朝沼という名前を使われる前、
フリーのライターとして編集に携わられていたころだから、
私には、朝沼さんではなく、本名の「沼田さん」だった。

沼田さんがまだ独身で、西新宿のマンション住まいだったころ、
スピーカーはQUADのESLにそっくりのダルキストのDQ1とB&Oのスピーカーを使われていた時期、
アンプはDBシステムズだった。

沼田さんがいちばん尖っていたころの話だ。

DB1の尖りぐあいは、ある種のエネルギッシュな印象にもなっていた。
そんなアンプを、瀬川先生は選びながら、プレーヤーはガラードの401を選ばれたのは、
930stと同じ理由から、である。
http://audiosharing.com/blog/?p=634

11. 2021年4月07日 06:49:58 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[11] 報告

瀬川冬樹氏のこと(番外)
http://audiosharing.com/blog/?p=635

「コンポーネントステレオの世界 ’78」に、芳津翻人(よしづ はると)氏という方が、
「やぶにらみ組み合わせ論(IV)」を書かれている。
IVとあるくらいだから、ステレオサウンド 4号(67年秋号)からはじまり、
13号(70年冬号)、17号(71年冬号)に亘って書いている、と前書きにある。

私が読んだ4回目の記事は、小型スピーカーの組合せの記事。
スピーカー選びから始まって、ロジャースのLS3/5A、スペンドールSA1、
JR(ジム・ロジャース)JR149の組合せを、他の筆者とは違う視点からあれこれ悩みながらつくられていて、
「素人の勝手なたわごと」とことわっておられるが、どうして、なかなかおもしろい。
文章も書き慣れているという印象を受ける。

だから5回目を期待していたのだが、結局、(IV)でおしまい。
ステレオサウンドにはいってから、先輩のIさんにたずねた。
「どうして、芳津翻人さんを使わないんですか」と。

まったく想像してなかった答えだった。
「芳津翻人さんは、瀬川先生のペンネームだから」。
さらに「芳津翻人を違う読み方をしてごらん。ハーツフィールドと読めるでしょ」。

JBLのハーツフィールドは、瀬川先生にとって憧れのスピーカーだったことは、どこかに書いておられる。
ただ山中先生のところで聴かれたとき、憧れのスピーカーではあっても、
自分の求める世界を出してくれるスピーカーではないことを悟った、ということも。

それでも憧れのスピーカーは、いつまでも憧れであり、芳津翻人という名前をつくられたのだろうか。

瀬川先生だということをわかった上で読みなおすと、たしかに「瀬川氏」とよく出てくるし、
音の評価も、瀬川先生とよく似ている。

オーラトーンのスピーカーは好みと違うとあるし、ドイツのヴィソニックの評価はなかなか高い。
このへんは、まさに瀬川先生とそっくりだ。

瀬川先生がいなくなり、芳津翻人さんもいなくなった。

http://audiosharing.com/blog/?p=635

12. 2021年4月07日 06:50:36 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[12] 報告

930stとLNP2(その7)
http://audiosharing.com/blog/?p=636


1977年には、国産のプレーヤーシステムは、ほぼすべてダイレクトドライブになっていた。
ワウ・フラッターは、930st、401よりも一桁以上少ない優秀さで、
401のように、ある程度の重量のあるそしてがっしりしたキャビネットに、取付け方法も工夫しないと、
ゴロが出るようなモノは皆無だった。

使いやすく性能も優れているにも関わらず、大事な音を再現してくれる良さから、瀬川先生は、
あえて旧式の930stや401を選択されるとともに、
「このところ少しDD(ダイレクトドライブ)不信」みたいなところに陥っているとも発言されている。

401を中心としたプレーヤーは、EMTではなくオルトフォンとエラックのカートリッジの組合せで構成されている。
これは、EMTのTSD15を単体で使ってほしくないという、気持の現われからだろう。

さらに「コンポーネントステレオの世界 ’78」では次のように語られている。
「このプレーヤー(930st)にはイコライザーアンプが内蔵されていますから、LNP2Lというコントロールアンプをなぜ使うのかと、疑問をもたれるかもしれません。事実その点について、他の場所でもいろいろな方から訊ねられます。念のためにいえば、930stのいわゆるライン出力をアッテネーターを通してパワーアンプに入れれば、スピーカーから音が出てくるわけですね。それなのになぜ、コントロールアンプを使うのか。
 これは自分の装置で長時間かけて確かめたことですが、プレーヤーのライン出力をアッテネーターだけを通して直接パワーアンプにいれるよりも、このマークレビンソンのコントロールアンプで、しかもイコライザーを使わないで、AUXからプリアウトまでの回路を通した音のほうが、いいんです。つまりLNP2Lの半分しか使わないことになるんだけれど、そうやってスピーカーを鳴らしたほうが、音楽の表権力や空間的なひろがりや音楽のニュアンスなどが、ひときわ鮮やかに出てくるんですね。このことは、技術的にいえばおかしいのかもしれません。しかし現実問題としては、私の耳にはそういう形にした場合のほうが音がよく聴こえるわけです。」

http://audiosharing.com/blog/?p=636

13. 2021年4月07日 06:51:13 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[13] 報告

930stとLNP2(その8)
http://audiosharing.com/blog/?p=637

LNP2Lは、フォノ入力から出力まで計3つのモジュールを、信号は通っていく。
だから、フォノアンプを使わないでも、3分の2は使っていることになるし、
瀬川先生のLNP2Lはバッファー搭載だったはずだから、4分の3の使用となる。

とはいえ瀬川先生はまったくLNP2Lのフォノアンプを使われなかったかというと、そうでもないだろう。
ステレオサウンド 38号の瀬川先生のリスニングルームには、
930stの他にラックスのPD121にオーディオクラフトのAC300MCの組合せがあり、
写真をよく見ると、EMTのXSD15が取りつけてある。930stにはTSD15の旧型がついている。

「コンポーネントステレオの世界 ’78」でも、
「自分自身では、そういいながら、トランスと組合せて単体でよく使いますけど、
これはEMTの癖を十分に知っているんでやっていることで、ふつうの方にはあまりおすすめできません」と。

これはLNP2Lのフォノアンプに接がっていたのだろう。

ところでLNP2にはなかった入力端子が、JC2にはついていた。
REMOTE PHONOという端子で、これはAUXと同じライン入力。
つまり、イコライザーアンプ内蔵のプレーヤーを接続するための端子なのだろう。

JC2が登場した1974年、イコライザーアンプ内蔵のプレーヤーシステムは、EMT以外に何があったのだろうか。
私が知る限り、少なくとも日本に輸入されていたモノには、ない。

マーク・レヴィンソンは、自宅ではLNP2よりもJC2を常用している、とインタビューで答えている。
ということは、レヴィンソンはEMTのプレーヤーを、この時期、使っていたのだろうか。
http://audiosharing.com/blog/?p=637

14. 2021年4月07日 06:51:51 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[14] 報告

930stとLNP2(その9)
http://audiosharing.com/blog/?p=638

「インドに行き古典音楽についての勉強をアリ・アクバール・カーンの示した道に沿ってすすめたい」と考え、
1972年に旅券と飛行機の切符まで手にしていたマーク・レヴィンソンは、
録音器材を入手するために、わざわざスイスに立ち寄っている。
なにもスイスまで行かなくてもアメリカでも手に入るものだろうと思うのだが、
レヴィンソンはステラヴォックスを訪ねている。

ここでステラヴォックスの社主のジョルジュ・クエレに相談にのってもらい、演奏家の道を断念し、
オーディオ・エレクトロニクスへ向かう道を選択している。

クエレとの対話の中で、エレクトロニクスの道に進みながらでも、
「音楽に対するひとつの精神的な基盤を維持することは可能なのだという確信」を得たからである。

その基盤とは「沢山の人々がレコードをきくことに対して抱いている欲求、それを満たすために、
テクノロジーを音楽および音楽家に奉仕するものとして使うことの必然性をはっきりと認識すること」と、
ステレオサウンド 45号に掲載されている特別インタビューで語っている。

70年代当時、アメリカでEMTがどういう位置づけにあったのか、輸入されていたのかは、はっきりしない。
ステラヴォックスを買いに、わざわざスイスまで行くということは、意外にも輸入されていなかったのかもしれない。
そうだとしたらEMTも輸入されていたどうかは微妙なところだろう。
それとも輸入されてはいたけれど、旅費を使ってでもスイスで買ったほうが安かったのかもしれない。
まだ会社を興す前の話である。

スイスには、トーレンスがある。
http://audiosharing.com/blog/?p=638

15. 2021年4月07日 06:52:26 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[15] 報告

930stとLNP2(その10)
http://audiosharing.com/blog/?p=639

レヴィンソンがスイスに渡ったときに、
トーレンスのベルトドライブ機をベースにしたEMTの928の存在を知ったのか、
それ以前に知っていたのか、どうかは判断しようがないが、
ほとんどなんの根拠もない推測(妄想にちかい)だが、928を使っていたのではないかと思えてくる。

927Dst、930stのイメージと若き日のレヴィンソン自身のイメージがうまく結びつかないのと、
928ならば、なんとなくレヴィンソンが使っていても不思議ではないという気がするというだけなのだが……。

もしそうだとしたら、JC2のREMOTE PHONOの説明がつく。
電源がPLS150への変更による強化、入出力端子がRCA端子からCAMAC規格のLEMO端子になったときに、
シリアルナンバー2148番からのJC2(日本での型番はJC2L)にはREMOTE PHONO端子はない。
かわりにPHONO入力が2系統に増えている。

さらに内部も変更が加えられ、フォノカードに、A3、D5、D6の3種類が用意されるようになった。
A3が、いわゆる通常のフォノ入力で、MM型カートリッジもしくは昇圧トランス、ヘッドアンプ用。
D5、D6はMC型カートリッジ用で、D5カードの説明には、
System D5 offers 54 and 60dB gain positions. 54dB is recommended as the optimum for the EMT cartridge. The gain setting will yield an incredible signal to noise ratio without overloading for EMT.
と記されている。

D5カードがゲインを54、60dBに切り換えられるように、A3カードも、30、40dBと切換え可能だ。
こちらの説明は次のとおり。
Certain high output moving coil cartridges such as the EMT, the Supex 901, the Satin, and the Ultimo, may be used in more efficient systems with the 40dB gain implemented.

少なくともEMTのカートリッジは使っていたのだろう。

http://audiosharing.com/blog/?p=639

16. 2021年4月07日 06:53:08 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[16] 報告

930stとLNP2(その11)
http://audiosharing.com/blog/?p=640


LNP2のモジュールの数は通常で、VU駆動用のものを含めて8つ、オプションのパッファーを加えると10。
JC2とはいうと、フォノアンプ、ラインアンプのモジュールがそれぞれ2つずつ、
それにフォノアンプ・モジュール用の専用の電源モジュールの計5つ。
オプションとして、ヘッドアンプのJC1のモジュールタイプ(JC1SM)を、
フォノアンプ・モジュールの間に組み込めるようになっている。

フォノアンプ・モジュールはフロントパネル寄りにあり、モジュールとリアパネルのあいだに、
RIAAイコライザー用のカードが挿さっている。
コンデンサー、抵抗から構成されている。このカードが、フォノアンプのNFB素子となる。
このカードを交換することで、JC2のフォノアンプは、A3、D5、D6システムへとなる。
シリアルナンバー2148以前のJC2はどうなっていたかというと、ABCDEFの6つのシステムが用意されていた。
JC2のINSTRUCTION MANUAL には、こうある。

A System
Two UP-1A cards are normally supplied with the JC-2 unless otherwise specified. This system accepts Input impedance: 47kOhms.
B System
The UP-1B system offers lower sensitivity but increased headroom for the highest output magnetic phono cartridges.
C System
This set provides exact equalization for the Brüel & Kjaer series of cartridge measurement records. Information on request.
D System
This system includes two UP-1D cards and a JC-1SM module. It offers DIRECT moving coil cartridge input.
E System
Provides equalization and DC current source for certain gauge cartridges. Information on request.
F System
Flat response amplification. Specify application and requirements.

http://audiosharing.com/blog/?p=640

17. 2021年4月07日 06:53:46 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[17] 報告

930stとLNP2(その12)
http://audiosharing.com/blog/?p=641

LNP2のフォノアンプには、このようなキメ細かい対応は用意されていない。
両機種のブロックダイアグラムやこれらのこと、
さらにLNP2は信号系のモジュールはすべて共通だが、
JC2はフォノアンプとラインアンプのモジュールは回路構成からして異ることなどを比較してはっきりしてくるのは、
JC2はアナログディスク再生に、LNP2はライン入力に主眼がおかれていることだ。

JC2の、この構成は、のちにディネッセンのJC80を生むことにつながっていく。
そしてJC2のもつ可能性が本領発揮となるには、ML6までの時間を必要とした。
JC2は未完の大器的色あいが濃い。

このことは別項「Mark Levinsonというブランドの特異性」で書く予定だが、
もう少し先、というかかなり先になりそう。

実は、この項は2回で終るつもりだったのが書いているうちに(その12)になってしまった。
ML6のことも書き始めると、かなり長くなりそうな気がする……。
http://audiosharing.com/blog/?p=641

18. 2021年4月07日 06:54:25 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[18] 報告

930stとLNP2(余談)
http://audiosharing.com/blog/?p=642


瀬川先生は、ステレオサウンド 55号でも、専用インシュレーター930-900なくしては、
「930stの音の良さは全く生かされない」と断言されている。
「コンポーネントステレオの世界 ’78」の組合せで、当然使われている。

930-900をお使いの方ならば、後ろ側に短いリード線が出ているのに気づかれているだろう。
意外と、このリード線をどこにも接がず、そのままにされている方も少なくないようだ。

930-900についてくる、たった1枚の説明書(ともいえいない内容)には、
どこに接続しろ、とは書いてなかったと記憶している。
不親切だともいえるのだが、930stはプロ用機器であり、
これを使うのは本来プロの現場に携わっている人たちだから、
そんなことは書かなくてもわかっているだろう、とEMTの人たちは考えていたのだろうか。

たしかにそうなのだが、それでもインシュレーターだけで約30万円もするのだから、
輸入元が独自に説明書をつけてもよかっただろうに、とは思う。

ではどこに接続するのか。

930-900から出ているリード線をよく見てほしい。
黄色と緑のまだら線だ。基本的にこれはアース用の配線を示している。
次に930stの出力端子の周辺をじっくり見てほしい。
このコネクターを固定しているネジのところに、同じ模様のリード線が接続されているはず。

私は101 Limitedを使っていたとき、ここに接続していた。
これ以外に接続はできない。ちょうどよい長さになっていることにも気がつく。

もっとも接がなかったからといってハムが出たり不具合が生じるわけではない。
ただ、いまのように高周波ノイズが飛び交っている状況では、
原則としてデッドメタル(どこにも接続されていない金属)は極力なくしたい。

デッドメタルをなくすことで、ほんのわずかSN比が向上するかもしれないし、
場合によっては、音が悪くなることもないわけではない。

ここは先入観をもたずに音を聴いて、どうするかは判断してほしい。

http://audiosharing.com/blog/?p=642

19. 2021年4月07日 06:55:03 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[19] 報告

930stとLNP2(補足)
http://audiosharing.com/blog/?p=643


EMTとプロ用機器のメーカー、トーレンスはコンシューマー用機器のメーカー、
トーレンスのプレーヤー(TD125)をプロ用機器として仕上げたのがEMTの928であり、
トーレンス同様、コイルスプリングによるサスペンション機構を備えているし、
三相シンクロナスモーターを使用していところは、930stも928も同じだが、
928は発振器とアンプによる駆動方式を採用することで、電源周波数の50Hz、60Hzに関係なく使用できる。

ただストロボスコープに関しては、切替スイッチがついている。

930stと928は、アイドラーかベルトかという違い以上に、
細部を見ればみるほどコンセプトそのものの違いがわかってきておもしろい。

930stとトーレンスの101 Limitedにも、ちいさな違いがある。
すべてのロットがそうなっていたのかまでは不明だが、少なくとも私が使っていた、ごく初期のモノは、
出力端子の裏側に抵抗がハンダ付けしてある。
930stの回路図には、この抵抗は存在しない。

101 Limited (930st) の出力端子は、1a、1bが右チャンネルの+と−、4a、4bが左チャンネルの+と−で、
この抵抗は1aと1b、4aと4bを結ぶように取りつけられている。
出力に対し並列に入っているわけで、インピーダンス整合のためのものであることは、はっきりしている。

930stはプロ用機器でプロが使うモノとして、この抵抗は取りつけられていない。
930stが使われる現場では、必要のないものだし、使う人もインピーダンス整合のことは理解しているからだ。

その930stをコンシューマー機器として出すにあたっての、これは、トーレンスの配慮であろう。

101 Limitedが使われるであろう、一般家庭にあるコントロールアンプで
600Ω(もしくは200Ω)の入力をもつモノは、まず存在しないからだ。

トーレンス101 Limitedは、930stの色を塗り替えただけのモノではない。
たった抵抗2本のことにすぎないが、ここにメーカーの良心を感じる。

http://audiosharing.com/blog/?p=643

20. 2021年4月07日 06:55:47 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[20] 報告
瀬川冬樹氏のこと(その58)
http://audiosharing.com/blog/?p=645

知りたかったことが、もうひとつ「コンポーネントステレオの世界 ’78」にあった。
瀬川先生がヨーロッパのコンサートホールでの低音について、どう感じておられたか、があった。
     ※
パワーアンプにSAEのMARK2600をもってきたことの理由の一つは、LNP2Lを通すと音がやや細い、シャープな感じになるんですが、このパワーアンプは音を少しふくらまして出すという性格をもっているからです。
それを嫌う方がいらっしゃることは知っています。しかし私の貧しい経験でいえば、欧米のコンサートホールでクラシック音楽を聴いて、日本でいわれてきた、また信じてきたクラシック音楽の音のバランスよりも、低域がもっと豊かで、柔らかくて、厚みがある音がするということに気がつきました。そこでこのMARK2600というパワーアンプの音は、一般にいわれるような、低域がゆるんでいるとかふくらみすぎているのではなく、少なくともこれくらい豊かに低域が鳴るべきなんだと思うんですね。
     ※
やっぱりと思い、うれしかった。
この発言から30年が経っているいまも、日本では、低音を出すことに、臆病のままではないだろうか。

http://audiosharing.com/blog/?p=645

21. 2021年4月07日 06:56:22 : o2ntGCbK6k : MlcvUlhYVUlPOUU=[21] 報告

930stとLNP2(その5・補足)
http://audiosharing.com/blog/?p=646

(その5)に書いた4343の組合せのトーンアームに、フィデリティ・リサーチのFR64がある。
これはFR64Sのほうではなく、アルミニウム製のFR64を選ばれている。
こちらを瀬川先生は高く評価されていた。

一般に評価の高いステンレス製のFR64Sについては、「私の試聴したものは多少カン高い傾向の音だった。
その後改良されて音のニュアンスが変っているという話を聞いたが、現時点(1977年)では64のほうを推す次第。」
とステレオサウンド 43号に書かれている。

もう1本のほう、オルトフォンのRMG309については、こう書かれている。
「SPU(GおよびA)タイプのカートリッジを、最もオルトフォンらしく鳴らしたければ、
やはりRMG309を第一に奨めたい。個人的には不必要に長いアームは嫌いなのだが、
プレーヤーボードをできるだけ堅固に、共振をおさえて組み上げれば、しっかりと根を張ったようなに安定な、
重量感と厚みのある渋い音質が満喫できる。こういう充実感のある音を、
国産のアームで聴くことができないのは何ともすしぎなことだ。」

この時期、オルトフォンのRMG212が再発売されている。
かなり以前に製造中止になっていたのだが、
瀬川先生が、1975年に来日したオルトフォンの担当者に要請したのが、再生産のきっかけである。

こうやって読んでいくと、瀬川先生がアナログプレーヤーに求められていたものが、
すこしずつはっきりしてくるような気がする。

http://audiosharing.com/blog/?p=646

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