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「八百長恐慌!」鬼塚英昭/成甲書房‘08年を一読した。この作家の『天皇のロザリオ』や『日本の一番醜い日』を読んで、確かな手ごたえを感じていたので、本書も予断をもって読んでいる可能性を認識しつつ、やはりズシリとしたものを感じざるを得ない。
一言で言えば、サブプライムという国際ねずみ講を仕掛けたのは、国際金融マフィアであり、断片的に漏れてくる各種情報から推理して、その震源地は英国の三つのメガバンクだという「説」(本人言う)にたどり着いた、ということになる。
筆者(私)もサブプライムには影の仕掛け人・演出者がいるのではないか、という思いがあったので、この「説」は十分に吟味していく価値があると受け止める。理論経済学が発達したアメリカで、アメリカ発のサブプライム破綻などというのが自然発生的に起こることは考えにくい。いくつかの偶然性が重なったとしても、その過程でいろいろと打つ手はあったはずだ。たとえ偶発的であったとしてもそれをわざと放置してきたとしか考えられない。
すくなくとも副島隆彦の”足の踏み場のないような議論”に比べると、はるかにインパクトがある。鬼塚氏の論証過程には多くの欠陥があることは考えられるが(本人も証拠はない、としている)、秘密裏に実行されている事柄を学術論文のように論証することは不可能だろう。今後も断片的に漏れてくる情報などから、長い年月をかけて多くの論者が検証を重ねていく共同課題になるのではないだろうか。
いくつかのキーフレーズを列挙してみる。
「私はこの「サブプライム」から発した世界恐慌の兆しを“演出”した神々たちがいると思っている。シティー・グループもその中の一神である。シティのCEOがその代表であるとはかぎらない。シティを本当に支配する者が一神にちがいない。特に、イギリスとスイスに住んでいる神々たちがサブプライム惨事を演出したにちがいないと思っている。」p31
「サブプライムを仕掛けた真犯人は、ゴールドマン・サックスの真の経営者にちがいない。国際金融寡頭勢力が、多くの銀行家、投資会社のトップをどこかにある時集めてストーリーを語ったにちがいない。証拠はあるのか(と問われれば)、そんな証拠は一片もない。だからこそ、悪徳の神々を捜し出す努力をしないといけないのだ。奴らの正体を暴き出す以外に人類の未来は暗いのだ。」p39
「ロバート・キャンベル『グリーンスパンの正体』の文中に、「アメリカの不動産市場は事実上、ねずみ講のような状態になった」とある。私はブッシュ大統領、チェイニー副大統領、ポールソン財務長官、そして誰よりも当時のFRB議長グリーンスパンらがねずみ講の仕掛け人であるとの見解のもとにこの本を書いている。」p70
「中小の銀行から住宅証券を買い上げる中心的役割を演じたのがベア・スターンズであった(ベア・スターンズの消滅は計画どおりだった/p55)。ねずみ講はいつか滅びる運命にある。ブッシュもチェイニーもポールソンも、そして誰よりグリーンスパンが、滅びることを百も承知で、この国家的プロジェクトに全面協力したのである。物事は下から見ているだけでは分からない。」p76
「誰が見ても「価値なし」と思われる企業の株式が、ゴールドマン・サックスやシティの“推奨株”となって株式市場に出た。彼らは特定の顧客に新規公開株を授与した。 サブプライムはこのやり方を国家戦略体制の基にしたのである。サブプライムの原形はゴールドマン・サックスとシティー・グループが作ったものである。」p88
「ねずみ講を作った連中は、最初から、世界不況を実現するために、見事な芝居を打ったのだ。偶然なんてこの世にないのだ。強欲資本主義が行き着く先は、この世の地獄だ。」p100
「ねずみ講を創り出し、世界中に不良債権を売りまくった悪党たちは、当初から、不良債権の回収、すなわち、投資家たちに元本を保証する気などまるでなかったのである。私が八百長であるとする最大の根拠がここにある。」p202
「239pの表は、2008年末現在の世界の銀行の総資産ランキングである。アメリカの銀行はシティー・グループが6位、バンク・オブ・アメリカが9位、JPモルガン・チェースが12位に入っている。驚くべき躍進をしたのはイギリスの三大メガバンクである。上位5社中、3社をイギリスが占めている(他に独1社、仏1社)。」
「八百長資本主義が演出したサブプライムという国際ねずみ講の結果、富が世界中から流れ出し、その大部分は富裕層の手の中に落ちたのである。」p261
「バークレイズがリーマン・ブラザーズの投資部門を買収した。このリーマン・ブラザーズの倒産とメリルリンチの(バンク・オブ・アメリカによる)救済買収は、あらかじめ予定されていたのでは、と思えてきたのである。それは08.3月に倒産したベア・スタアーンズとともに、リーマン・ブラザーズもメリルリンチも住宅供給公社から住宅ローン債券を買い付ける役割を演じてきたからである。その債券を主にヨーロッパのLCFIに売っていた。この過程でこの両社は負債金額を増大させた。私は、最初から、ねずみ講を創り出す過程で、ベア・スターンズ。メリリリンチ、リーマン・ブラザーズの三社は、損な役割を与えられていたのではないか、と思っている。」p268-9
・『「八百長恐慌!」副題「サブプライム=国際ネズミ講」を仕掛けたのは誰だ:鬼塚英昭』を読んであきれ返る!
http://www.asyura2.com/09/hasan61/msg/479.html
投稿者 Ddog 日時 2009 年 2 月 08 日 23:47:24: ZR5JcjFY1l.PQ
・足の踏み場もないような議論−副島隆彦『恐慌前夜』
http://www.asyura2.com/08/dispute28/msg/578.html
投稿者 仁王像 日時 2008 年 12 月 24 日 20:40:14: jdZgmZ21Prm8E