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(回答先: 食卓の向こう側・第４部 輸入・加工知らない世界＜１３＞選食力 意識高め産業育てる【西日本新聞社】 投稿者 天地 日時 2004 年 11 月 08 日 14:05:39)
食卓の向こう側・第４部 輸入・加工知らない世界＜１２＞糖分 表示で気付きますか
2004/11/03付 朝刊掲載
http://www.nishinippon.co.jp/news/2004/shoku/shoku5/12.html
朝、布団から起き上がろうとしてふらついた。ネクタイは締めたが、いすから立ち上がれずに一時間が過ぎた。「何だろう、この疲れは」。体はまったく動かなかった。
今年八月、福岡市の男性会社員（５２）は、今までにない倦怠（けんたい）感に襲われた。病院で検査すると、血糖値が日ごろの一・四倍に跳ね上がっていた。かねて、健康診断で「糖尿病予備軍」とされてはいたが、何の前触れもなく悪化。「脳梗塞（こうそく）の検査も必要」という医師の言葉にぞっとした。
実は約一週間前、「夏バテだ」と、安売りの栄養ドリンクを購入。「疲れた」と思うたびに手を伸ばし、三日で十本飲み干した。このドリンクの１５％は糖分。瓶に小さくあった「一日一本」のただし書きは見落としていた。「疲れたら飲めばいい」と、テレビのコマーシャルに踊らされていた自分が情けなかった。
ＣＭで人気スポーツ選手が飲むスポーツ飲料の糖分も約５％。あるＪリーグ選手（２７）は「甘くてのどが渇くから、水で薄めて飲んでいる」。実業団マラソンの監督は「濃い糖分の消化のために血液が胃に集まる。筋肉に酸素が十分運ばれず、足がだるくなる」と、三倍に薄めさせている。ＣＭイメージとは裏腹に、糖分に気を付ける選手がいる。
× ×
「これじゃあ、体に悪いはずだ」。福岡県久留米市の久留米大病院で、若い糖尿病患者が驚きの声を上げた。
同大医学部主任教授の山田研太郎（５３）が差し出したのは、手のひらほどの皿に山盛りの砂糖。一般的に甘い清涼飲料水一・五リットルの約１０％は糖分という。角砂糖（三グラム）なら五十個分。これだけで、厚生労働省が定める一日のエネルギー所要量（二十歳男性）の二割超という分量だ。
この患者は、中高生から三十代の若者に多いペットボトル症候群。肥満で軽度の糖尿病患者が、多尿や口渇など自覚症状に気付かないまま、自販機などのジュース類に手を伸ばし続けた結果、血糖値が異常に上昇。意識もうろうとなり、病院に担ぎ込まれて初めて分かることが多い。最悪の場合、死に至るという。
一九九〇年以降、患者の増加とともに注目されだした同症候群。それまで一般的だった瓶入りの約二・八倍入るペットボトル（五百ミリリットル入り）が出回りだし、持ち運びやすさもあって流行。自販機、コンビニの増加も手伝い、一度に飲む量が増えたことが背景にある。山田らが福岡県内の同症候群患者約二十人を調べたところ、平均して日に二・二リットルも飲んでいた。
× ×
清涼飲料水ボトルの表示から糖分の量は判断できるのか。「原材料」「栄養成分」と表示区分が二種類あるため、分かりにくいのが現状だ。
栄養成分の表示基準は、糖尿病など生活習慣病の増加を背景に、厚生労働省が一九九六年に導入。炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素などで表示するよう指導されている。原材料欄に「糖分」とあっても、栄養成分欄には「炭水化物」と表記されることが多い。実は炭水化物の量がほぼ、糖分量なのだが知識がないと気付かない。
ペットボトル症候群予防に、栄養成分表示を改定しないのか、厚労省に聞いた。同省食品安全部の回答は「そんな意見は聞いたことがない」。表示は義務付けられているわけではなく、細かな表示は「メーカー次第」という。
糖分は体に必要な物質だが、限度を超えるとペットボトル症候群のような病気を招く恐れがある。消費者自らが、ライフスタイルの変化に即応した知識を身につけるとともに、「いまの不親切な表示を改善し、分かりやすくすることが必要だ」（山田）。 （敬称略）
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▼糖尿病 血糖値を下げるインスリンの欠乏や作用阻害による代謝疾患。疲れ、口渇などを感じ、動脈硬化を誘発しやすい。インスリン投与が必要な「インスリン依存型」と、投薬や食生活の改善で対応できる「インスリン非依存型」があり、日本人は９割以上が「非依存型」。肥満ぎみの非依存型患者が甘い清涼飲料水を飲み過ぎてかかるのが清涼飲料水ケトーシス、いわゆるペットボトル症候群だ。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。