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(回答先: Re:食卓の向こう側・第4部 輸入・加工知らない世界<8>マジック 「本物」との思い込み【西日本新聞社】 投稿者 天地 日時 2004 年 11 月 08 日 14:36:12)
食卓の向こう側・第4部 輸入・加工知らない世界<7>外材和食 自給率を下げる食事
2004/10/27付 朝刊掲載
http://www.nishinippon.co.jp/news/2004/shoku/shoku5/07.html
車窓の風景を眺めながら駅弁をほおばる女性。その瞳に田で働く人の営みは映っているだろうか
仕事帰りに居酒屋へ。おしぼりで顔をふいて、「とりあえず、ビール」
「つまみは?」
「そうねえ。和食が体にいいっていうから、冷ややっこに、焼きナス、焼きサバ…。今日は随分、自給率向上に貢献したなあ」
そんな会話が実際にあるかはともかく、「和食を食べれば日本の食料自給率アップにつながる」と思い込んでいるあなた、ちょっと待ってください。「和食を食べるほど自給率は下がる」。そう指摘する学者がいるんです。
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その人は、熊本大学文学部教授の徳野貞雄(54)。徳野の言い分を農水省総合食料局のホームページ「自給率早見ソフト」でチェックした。
まず、ビールの自給率は5%。冷ややっこは29%で、その上にかけるしょうゆは、何とゼロ。ちなみに、朝食の定番メニュー、納豆は13%。みそは30%だ。麦(13%)、大豆(5%)など原料の海外依存が反映している。
焼きナスは96%と優等生だが、居酒屋で使われることも多いのはアルバイトが電子レンジで“調理”し、ゴマ(0%)を振りかけた「冷凍焼きナス」。ベトナムからの輸入だけでも年間千トンを超える。
焼きサバ(53%)に添える大根おろしも99%と高率だが、「いちいちすりおろしていたら間尺に合わない。パック入りの輸入冷凍大根おろしがよく売れる」(福岡市内の食材店)という。
こうしてみると、和食といっても中身は外国産の“外材和食”。「むしろ洋食のカレーライスの方が、ジャガイモ(67%)、タマネギ(84%)、ニンジン(82%)を使う分、自給率は高い」。徳野は、外材和食の実態を指摘する。
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食料自給率40%という日本の現実。かろうじて、主食のコメは100%だが、「いつまで守れるか」。東京税関の分析官として三十四年のキャリアを持つ農民運動全国連合会食品分析センター所長、石黒昌孝(74)は不安に思う。
日本が輸入制限措置を取っているコメには、一般的に輸入の際に一キロ当たり三百四十一円の関税がかかる。だが、それでは安い外国産米を輸入するメリットはない。そこで業者が考えたのは、肉や魚などと混ぜて「調製品」として輸入する方法。こうすると「コメ」扱いされず、高い関税を免れることができる。
二〇〇一年、JR東日本グループが首都圏の駅で販売を始めた、有機食材を使った輸入冷凍弁当「O―bento」(オーベントー)もそのひとつ。鶏肉がおかずの弁当の場合、鶏肉が二割を占めれば、あとはすべてコメでも「鶏肉調製品」になる。税率6%での輸入が可能だ。
「もち米が高騰したときには、米粉に砂糖を混ぜて調整品で輸入。あとで、もち米を分けていた業者もいた」(石黒)。そんな“裏技”さえ使われている。
条件さえクリアすれば、商品取引上は何の問題もなく、消費者も安く食べられる。だが、徳野は「『食』に安さを求めるあまり、それを支える『農』の役割を忘れてしまえば、回り回って消費者につけがくる」と警告する。例えば、消費者の八割が「食べたくない」と答えている遺伝子組み換え作物。世界最大の大豆輸出国・米国では、その作付けの85%が、除草剤利用を前提にした遺伝子組み換えになった。消費者が拒んでも自給率は5%。選択の余地はまず、ない。
食べ物の選択すら不自由な国に、「国家の独立」という言葉はどう響くのか。ありふれた日々の食生活は、そんな大きな問題を投げかけている。 (敬称略)
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▼自給率を上げた英国 2002年の英国の自給率は74%。この30年で25ポイントも上がった。その理由は、(1)2度の世界大戦で深刻な食料不足に陥り、食料は自国で賄うという認識が国民に醸成され、それに基づく農政が実施された(2)日本のような食生活の大きな変化がなかった(3)小麦や飼料作物の自給率が100%を上回る水準に達した―ことなどとされている。