現在地 HOME > 掲示板 > 地域8 > 411.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 諫干差し止め 原告、開門調査を再要請 地裁の判断焦点に(西日本新聞) ― 亀井農相「中・長期開門調査をするつもりはない」 投稿者 シジミ 日時 2004 年 8 月 27 日 05:09:49)
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/shasetsu/
佐賀地裁が26日、国営諫早湾干拓事業(長崎県)の工事差し止めを求めていた有明海沿岸4県漁民の仮処分申し立てを認める決定を下した。事業と漁業被害の因果関係を認めたからだが、根底には、公共事業の抜本的な見直しを怠ってきた行政に対する、司法のいら立ちがある。
日本の公共事業に問題が多いことが早くから指摘されていた。内容のみならず、利権構造も含めてだ。財政に余裕がある時期には、こうした無駄も容認されてきた。しかし、財政が危機的状況に陥るとともに、放置できなくなった。では、財政再建に資する公共事業改革は行われているのだろうか。
残念ながら、「ノー」である。
従来型の公共事業に問題が多いことは実施官庁自身も認めざるをえない状況にある。計画立案から長期間経過しているにもかかわらず、着工や完成に至っていない事業を中止、休止することは、国、地方を通して行われている。諫早湾干拓でも農地造成面積は当初計画の約半分に減らされている。
しかし、大規模事業の中止や休止はほとんど行われていない。例外は、中海干拓の中止である。昨年、農水省が敗訴した川辺川(熊本県)の土地改良事業も、04年度予算で調査費が計上されている。
その結果として、国の予算で公共事業費の削減幅は04年度も3%にとどまっている。政府はこれだけ減らすのでも大変な努力が必要だというが、その程度で、改革というのもおこがましい。小手先の見直しでは事態は改善しない。従来の公共事業の構造枠はいったん、解体する必要があるのだ。20世紀型の公共事業に決別するためにも、あらゆる事業を俎上(そじょう)に載せた見直しが求められている。
計画段階で客観的な費用・便益分析や環境影響評価を実施し、住民ニーズも把握した上、実施されたとしても、経済社会情勢の変化に合わせた事業の見直しは欠かせない。諫早湾干拓のみならず、住民が見直しや中止を求めてきた事業では、見直しの機会は度々あった。それをやってこなかったのは行政の怠慢である。その点で、この日の佐賀地裁の仮処分決定で、環境悪化などに対して、保全の観点から事業全体の再検討、修正を施すことが肝要との判断を示したことは注目される。
これまで、公共事業の計画策定は行政の専管事項だった。関係する住民や農漁民はせいぜい、意見を聴取される程度だった。ましてや、非政府組織(NGO)や非営利組織(NPO)は関与の機会がなかった。
しかし、抜本的に公共事業を改革していくとなれば、住民、市民の参加のもとで計画作りをしていかなければならない。淀川水系委員会にその先例がある。まず、それを多くの事業に広げていくことが望まれる。
諫早湾干拓の工事差し止め決定の意味は重い。国、地方は公共事業をやめる勇気を持たなければならない。そのためにも、大規模事業に重点を置きつつ、公共事業の総点検に取り掛かるべきである。
毎日新聞 2004年8月27日 0時27分