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(回答先: 諫早干拓差し止め 公共事業総点検が必要だ(毎日新聞・社説) 投稿者 シジミ 日時 2004 年 8 月 27 日 05:14:00)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
「止まらない公共事業の典型」と言われた諫早湾干拓事業に、司法のブレーキがかかった。漁業権の侵害を理由に沿岸漁民が工事差し止めを求めた仮処分申請に対し、佐賀地裁がこれを認める決定をした。
漁業被害と干拓事業との間には一応の因果関係が認められる。被害を避けるためには事業全体を再検討する必要があり、その間、工事を凍結するのはやむをえない。それが裁判所の判断である。
漁民の反対を押し切り、専門家の意見を無視して工事を進めてきた農水省は、決定を重く受け止めなければならない。
農水省は熊本県の川辺川ダム利水訴訟でも、農家からの同意取り付けのずさんさにつまずいて敗訴した。どちらも目的のためには手続きを軽んじる強引さが目立つ。
有明海のノリ凶作をめぐって、専門家たちの第三者委員会が01年12月、調査のために潮受け堤防の水門を中・長期にわたって開放すべきだと提言した。ところが、農水省は官僚OBだけの検討会議をつくり、今年5月、開門調査をしないことを決めた。
それだけではない。工事が始まって二枚貝のタイラギが取れなくなり、漁民たちは93年に原因調査を求めた。9年間も待たせた揚げ句に出した結論は「原因はわからない」というものだった。
干拓事業を86年に決定する際、農水省は57年の諫早大水害を引き合いに出して、市民を水害から守るかのような宣伝をした。実際には市街地は守れないことが99年の水害で立証された。
度重なる不誠実な対応が、根強い不信感を漁民に植えつけた。
干拓事業は06年度の完成をめざし、94%までできあがっている。あとは干拓地を囲む内部堤防の一部を残すだけだ。
内部堤防が完成してしまえば、その内側は完全に陸地化し、元の干潟に戻すことはできなくなる。だからこそ裁判所は工事の差し止めが必要だと認めた。
今回の決定に対し、農水省は異議申し立てを考えている。決定が覆る可能性もある。それに本裁判は、やはり佐賀地裁で審理が続いている。今回はあくまでも一時的な差し止めにすぎない。
それでも今回の決定が持つ意味は大きい。裁判所は行政の裁量権を広く認めがちだ。その裁判官の目から見ても、農水省のやり方は理不尽と映ったのだろう。
私たちは、第三者委員会の提言に沿って、水門を開けて海水を入れ、調査する必要性を主張してきた。
潮の干満によって干潟の生態系が回復するかどうか。有明海の潮流や水質がどう変わるか。調査の結果、干拓事業がノリ凶作や魚介類の激減と関係ないことが明らかになれば、農水省は堂々と干拓事業を完成させればいい。
農水省は今こそ漁民の声に素直に耳を傾け、開門調査を行うべきだ。これまで三つも四つも掛け違ってきたボタンを掛け直す好機でもある。