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本を読む人、読まない人
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投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2004 年 5 月 28 日 07:05:33:d/vusjnSYDx0.
 

20余年の会社員生活を含め、今までの人生で数多くの人々に遭遇したが、これは傾聴に値するなと感じられるような意見を吐く人は例外なく読書家であった。多忙な中でもどうにか読書のための時間を捻出して、週に1冊でも必ず自分の関心のある分野(こういう人に限ってこれが沢山ある)の本に親しんでいるような人ばかりだった。

たかだか数十年の人生において自分自身で直接に見聞できることは、質量ともにごく限られたものだが、読書を通じることよってはじめて人は時間・空間の枠を超越して他人の経験を再体験することができる。これによってその人の精神の地平は幾何級数,否指数関数的に拡大してゆく。逆に本を読まない人の精神は、時の経過と共に進む肉体的衰弱の一環としての脳の退化にもろに影響されることになる。人間の脳の活動水準、即ち思考力の大きさは入力される情報量(知的刺激)に比例するものであって、直接自分の目と耳を通して得た刺激のみに頼って、他人の経験の再体験という知的刺激がない場合、その人の情報入力は異様に少ないものとなってしまうことは容易に想像がつくことである。

「俺たちぁ忙しくて本なんか読んでる暇はないよ。お前も理屈をこねてないで現場に出なきゃあ駄目だ。現場だ現場だ!」なんていう上司に限って会議などの場では、戦略性のかけらも見られない貧困な「事業戦略」をぶって上からも下からも嘲笑され、もちろん実績も全く上げられないような人が多かった。こういう人は全く同じ概念を十年一日のように繰り返して話していることが多い。思考がループにはまって全く進歩しない状態に陥っているのである。新たな知的刺激の入力がない悲劇である。

歴史の本に親しむ習慣のない人々が例えばバブル経済の渦中に置かれた場合、状況に対する歴史的評価ができないため、いいように翻弄され大損することになりかねない。戦争についても同じことがいえるだろう。本を読む習慣がないことによって人は非常に多くのものを見逃すことになるのである。

読書を軽んじる態度を見ると私は、「インテリをみんな炭坑に閉じこめて爆破したらどんなに胸がスッとするだろう」といって焚書をやったナチスの幹部を思い出す。

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