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12歳の精神鑑定決定 長崎家裁第1回審判 長崎新聞
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 7 月 24 日 18:01:24:

(回答先: 真相閉ざす少年法の「壁」 長崎家裁第1回審判 長崎新聞 投稿者 エンセン 日時 2003 年 7 月 24 日 17:58:17)

 長崎市の種元駿ちゃん誘拐殺害事件で、長崎家裁は二十三日、中学一年の男子生徒(12)の第一回審判を収容先の長崎少年鑑別所で開いた。少年の付添人弁護団から申請があった精神鑑定について、伊東浩子裁判長は鑑定を決定し、鑑定人を指定した。刑事責任を問われない十四歳未満の触法少年の精神鑑定は極めて異例。

 審判は非公開であり、裁判官三人と少年をはじめ、書記官や付添人の弁護士らが出廷、約二時間半に及んだ。少年の両親は欠席した。審判終了後、会見した家裁訟廷管理官らは、非行事実の認否については「審判は非公開で明らかにできない」としたが、少年はこれまでの県警の調査や付添人弁護団に対し、事実関係を認めている。

 少年は、殺害時の心境を付添人に「自分が分からなくなった」と話していた。付添人は二十二日、非行の原因究明と再犯防止の観点から精神鑑定を家裁に申請した。

 精神鑑定は通常、被告や容疑者に精神障害などの疑いがある場合、刑事責任能力を判断するため、専門家が精神・心身状態を診断する。今回の少年の場合、処遇を決める前提として、児童福祉的な対応以外に医療上の治療が必要かどうかを判断するためとみられる。

 今後、留置が決まると、八月六日までの予定だった観護措置期間は一時中断。鑑定結果を受けて、審判が再開され最終的な処分が決まる。少年は児童自立支援施設への送致の可能性が高い。家裁は近く、少年の鑑定留置の期間と場所を決定する。

 県警の聴取による非行事実では、少年は一日夜、長崎市三芳町の家電量販店から駿ちゃんを連れ出し、約四キロ離れた万才町の立体駐車場の屋上から、全裸にしてはさみで傷つけた駿ちゃんを投げ落とし殺害した。


鑑定医との信頼関係が鍵 処遇に生かすのが目的

 長崎市の男児誘拐殺害事件の少年に対する鑑定は、どのように進められていくのか。

 児童精神医学の高岡健岐阜大助教授によると、今回は通常の刑事裁判のように責任能力の有無や程度を判定することが目的ではなく「事件に至る心理的な背景を解明して今後の処遇に生かすことが狙いになる」という。

 鑑定では心理テストや脳波検査をし、先天的な疾患や知的障害の有無などを調べる。並行して成長過程や両親との関係などを丹念に聞き取り、虐待体験の有無など、動機に結び付く要因を探っていく。

 高岡助教授は「仮に病気や障害があっても、事件の引き金には必ずそれ以外のプラスアルファがある」と指摘する。

 少年の表現能力を踏まえた応対も必要だ。表情や話し方、身ぶり手ぶりも貴重な情報になる。

 山上皓東京医科歯科大教授(司法精神医学)は「本人がうまく説明できない部分を、全体像の中でどう位置付けるかが大切。表現できないこと自体に意味が隠されていることもある」と話す。

 「十二歳は精神的に未成熟で精神鑑定にはなじまない」と疑問を示す関係者もいるが、子どもを扱う児童精神医学では、四、五歳の幼児でも精神鑑定は可能と考えられているという。

 鑑定によるマイナス面もあり得る。神戸の連続児童殺傷事件では、少年が「同じことばかり聴かれて疲れた。早く終わってほしい」と訴えたことも。家裁の元調査官も「長期間の留置は拘禁反応を引き起こし、正確な判定を妨げることもある」と心配する。

 専門家は「鑑定医が少年と信頼関係を築き、自発的な言葉を引き出せるかが鍵」としている。


2003年7月24日長崎新聞掲載

http://www.nagasaki-np.co.jp/press/yuusatu/07/105.html

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