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しかし、ダボス会議参加者のいうように、日本は何もしていなかったのだろうか。橋本龍太郎首相は一体、何をやっていたのだろうか。
橋本首相は、実は日本という国の利益になる政策をとっていた。たとえば、次のような経済政策が実施された。
1 大蔵省解体を防ぐ | 日本経済を守っていた大蔵省を、外国は解体しようとしていた。それに対して、橋本首相はのらりくらりと対応し、大蔵省の解体を最小限にくい止めた。 |
2 ビッグバンを遅らせる | 金融ビッグバンに抵抗した。ビッグバンとは金融自由化と呼ばれるが、簡単にいえば、日本の資産を外国に流出させ、外国の銀行などが日本の金融界を乗っ取ることができるようにするものである。これに対して橋本首相は、その実施直前に、東京証券市場{とうきょうしょうけんしじょう}に公的資金を投入して抵抗したのだった。 |
3 財政再建にこだわる | 財政再建にこだわった。海外からは減税しろという圧力がかかっていたが、減税では日本経済は復活しない。もし税を減らすなら、赤字国債、つまり借金をしなければならない。そこで、橋本首相は財政再建にこだわったのである。 |
橋本首相は、要するに、日本の国益を守ろうとしたのだ。だが、まさにそのために、彼は総理の座から引きずり下ろされることになったのである。
グローバリストたちは、世界を自分たちの基準で統一しようとしている。だから、各国の利益を守ろうとする人々は彼らにとって邪魔者でしかない。
橋本首相は、参議院選挙後、親しい財界人に「やられちゃったよ」と述べたという。
日本の国益を守ろうとした橋本龍太郎は、世界統一規格を狙うグローバリストたちに「やられちゃった」のである。
世界標準をよしとするグローバリストは、本気で今回の橋本つぶしを計画していた。グローバリストのなかでも超大物たちがわざわざ日本にやってきて、橋本が辞任するように圧力をかけようとしていたのである。
7月13日、つまり自民党の大惨敗から一夜明けた日、BIS=国際決済銀行の月例総会と日米経済人会議が東京で開かれた。BISの月例会が開かれるのは、基本的に、ダボスと同じスイスにあるバーゼルという都市。例外は、毎年9月、アメリカのFRB=連邦準備銀行で開かれるときだけだ。それが、60年以上に及ぶBISの歴史上初めて、スイスとアメリカ以外の場所で開催された。それが、参議院選挙翌日の東京だったのである。
BISの会議は、完全に秘密で行なわれる。BIS職員も、マスコミ関係者も一切出席できない。参加できるのは、BIS重役と招かれた客のみ。しかもその内容は一切発表されない。
BISの13人の重役の中には、先進国とスイス、アメリカの中央銀行総裁がいる。日本は1994年から加わっている。ダボス会議に出席した、アラン・グリーンスパンFRB議長も重役の一人だ。
取締役会議長BIS総裁:アルフォンス・ヴェルプライツェ(ブリュッセル) 副議長:キングスダウン卿(イギリス) |
重役: アラン・グリーンスパン(ワシントン) ウィリアム・J・マクドノー(ニューヨーク) ハンス・メイヤー(スイス) ハンス・ティートメイヤー(ドイツ) ヘルムート・シュレージンガー(ドイツ) ヴィンセンツォ・デサリオ(イタリア) アントニオ・ファツィオ(イタリア) エルヴェ・アヌーン(フランス) ジャン=クロード・トリシェ(フランス) エドワード・A・J・ジョージ(イギリス) フィリップ・ウィルメ(ベルギー) ノート・H・E・M・ウェルリンク(オランダ) ウルバン・ベックストレム(スウェーデン) ゴードン・G・テッセン(カナダ) 速水優(日銀総裁) |
この世界金融をコントロールしているBIS秘密経済会議が東京で開かれた。彼らは今、日本経済を極めて重視しているのである。
いや、それだけではない。今回の秘密会議には、世界経済に君臨する巨大財閥、ロスチャイルド財閥の重要人物が参加していた! ある証券アナリストはこのように述べている。
「赤い盾マークのロスチャイルド家の指輪をしているフランス人で、同グループのアジアにおける総代理人的な立場の人物が極秘に来日したんです」(週刊現代8月1日号)
世界経済に巨大な影響力を持つロスチャイルド財閥は、グローバリストの中心であるといってもいい。むしろ、BISそのものがロスチャイルドの手足として働いているという実態もある。このロスチャイルド財閥のアジア担当者が、直接、日本にまでやってきた。彼らは本気なのだ。本気で日本経済を叩きつぶそうとしている。そのさまたげとなってきた橋本首相を叩きつぶすために、彼らは重要な秘密会議をわざわざ東京で開いたのである。
もし橋本首相が辞任しなければ、彼らは圧力をかけて、むりやりにでも辞めさせるつもりだった。橋本首相はグローバリストにとって、そこまで邪魔者だったのだ。
ところで、ロスチャイルド・グループにパイプを持つ、ある国際金融アナリストによれば、彼らは「日本の政権はすでに傀儡(かいらい)にした」と判断しているという。傀儡、とは操り人形のことだ。ということは、橋本龍太郎のあとを継いだ小渕恵三首相は、彼らの操り人形ということになる。
「中曽根・竹下・宮沢が暗躍する」(週刊現代8月1日号)
経済が最大の問題であるこの時期に首相になった小渕首相。だが、彼は、経済についての専門家ではない。いや、それどころか、少しもわかっていない。実際のところ、彼は竹下登元首相のいいなりである。小渕政権ではなく、第二竹下政権というのが実態だ。
そして、これまで日本ではほとんど例のないことだが、元首相の宮沢喜一が大蔵大臣に就任した。宮沢元首相は、中曽根元首相と竹下元首相の根回しがあったために、この大役を引き受けたことが判明している。
竹下、中曽根、宮沢。彼らはすべてグローバリストの手先として働いている人物だ。彼らによって決められた小渕が首相になったということは、すなわち、日本の政権がグローバリストやロスチャイルドの「かいらい」となった、という金融アナリストの言葉が正しいことを証明している。
「すべては仕組まれていた」1998年10月執筆