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(回答先: 種元さんが発表した文書の全文 毎日新聞 投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 08 日 06:36:32)
[12歳のシグナル]検証・長崎幼児誘拐殺人/1 「罪の重さ、分かってない」
長崎市の種元駿ちゃん(4)が誘拐・殺害されてから10月1日で3カ月になる。家裁送致された中学1年の少年(12)への精神鑑定が終わり、家裁は1日までに少年審判を再開して処分を決める。「12歳」はどんなシグナルを発していたのか、社会は事件をどう受け止めていけばいいのか。長崎から報告する。
◇鑑別所で見せる笑顔、涙は一度も流さず
◇小4時、暴行され心に傷?
「入院させてください。この子を連れて地元には帰れません」
事件から3週間たった7月下旬。少年と同じ中学1年の男子生徒(12)を連れて、母親が長崎県内の精神病院を訪ねた。思い詰めた顔がやつれている。
生徒は小学生の女児や男児の服を脱がせるいたずらをして見つかった。母親は被害者の親たちから「駿ちゃんのような事件を起こされたら困る」「これからどうするつもりか」と責められたという。
「危ない子」のレッテルは、はがしにくい。事件の傷跡が残る長崎で、それはさらに難しくなったように見える。生徒は20日ほどして退院した。その後、地元には帰っていないという。
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長崎市の平和公園に近い長崎少年鑑別所。誘拐殺人事件を起こした少年はここで精神鑑定を受けた。家裁の調査官や付添人の弁護士との面接も続く。
「この子は自分のしたことの重さが分かっていない」。面接した関係者の一人は感じた。
質問には「はい、分かりました」と敬語を使って答え、会話は成り立つ。だが駿ちゃんへの謝罪の言葉はほとんど出ない。視線をそらし、おどおどして落ち着きがない。事件の話になると、幼い顔に困ったような表情を浮かべてうつむく。
この関係者は「どれほど人の心を傷つけたかが分かっていない。ものを感じる心が育っていない」と語る。
事件が起きた7月1日夜の状況が詳しく分かった。少年は駿ちゃんを誘い出した立体駐車場の屋上で腹部をけり上げ、全裸にした。はさみで体の一部を5回にわたって切りつけたが思う通りにならない。泣いて騒がれ、手すりの上に立たせた後に突き落とした。捜査幹部は「明確な殺意があった」と明かす。
少年は現場から帰る途中、ゲームソフト店の体験コーナーで遊んでいたことも分かった。家裁関係者は「重大事件を起こした直後の行動としては理解できない。まるで虫でも殺した後のような感じだ」と言う。
少年の過去と事件を結ぶかぎはあるのか。
取材を進めると、小学4年生の時の出来事が浮かんだ。友人に股間(こかん)をけり上げられ、腫れてうんだ。母親(39)が病院に連れて行き、治療を受けた。「ショックで心に深い傷を負ったのは間違いない」(家裁関係者)という。学校はこの事実を知らず、指導や心のケアはしていない。
だが、その経験だけでは残酷な事件の理由を説明できない。精神鑑定では軽度の「発達障害」があったとされた。それも少年を語るうえで、一つの要素にすぎない。
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少年が6年の時、昼休みの教室で鬼ごっこをしている同級生の中で一人、本を読んでいる子供がいると、いつも「一緒に遊ぼう」と声をかけた。鉛筆や消しゴムを忘れた子供を見つければ、文房具がぎっしり詰まった筆箱の中から「貸してあげるよ」と差し出した。
少年は人とのつながりを何とか手繰ろうとしていたように見える。
8月中旬、鑑別所で両親と初めて面会した。付添人の弁護士が「会えてうれしかった?」と尋ねた。感情の起伏も表さず、「はい、そうです」とだけ答えた。
鑑別所に収容されて2カ月半。少年は笑顔を見せても涙は一度も流していないという。=つづく
(毎日新聞2003年9月26日東京朝刊から)
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200309/26m/087.html