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(回答先: 検証・長崎幼児誘拐殺人/4 医師頼り、隔離で「解決」 投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 08 日 06:44:19)
[12歳のシグナル]検証・長崎幼児誘拐殺人/5 心に問題抱えた子、急増
◇問われる施設の対応
夜の廊下が騒がしい。記者が見に行くと少年(11)が職員宿直室のドアに額をつけ、こぶしで激しくたたき続けている。
4月に開設された長崎県大村市の情緒障害児短期治療施設「大村椿の森学園」(宮田雄吾園長)。隣接の児童思春期専門病棟と連携し、心の専門治療が必要な小学生から18歳の男女12人が個室で暮らしている。
その夜、学園に泊まっていた記者は「大事な手が痛いよ」と少年の手を取った。2人で廊下に座り、話し込んだ。「暑くて寝られないのに、呼んでも誰も来てくれん」。職員は別の子の対応に追われていた。
少年は落ち着きがなく教室を抜け出す。母親は養育不安になり、外出時、少年を鎖でつなぐようになった。
少年は学園で口げんかした男児に向かって「殴ってやる」と叫び、自分もプレールームの鎖で首をつろうとしたことがある。8月には、弾みで女性指導員の顔を殴った。「痛かった?」と気にかけていた。指導員は「きちんと謝る言葉もきっと出てくる」と言う。
別の少年(12)は親の暴力で保護された施設で暴れ、学園に来た。無断外出で10キロ離れた諫早方面まで行った。見つけた指導員(23)が2時間一緒に歩いた。肩を並べ、少年は言った。「僕には帰るとこがなか」
彼らは、ここに来るまでパニックになったり、暴れると大人に「だめじゃないか」と押さえ込まれていたという。学園では「どんな気持ちでやったか」から考えさせる。
病棟では男児はうつ、引きこもり、女児にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)、うつ、適応障害が目立つ。病院理事長の精神科医、長岡和さん(34)らは「ここは社会のしわ寄せの縮図。子供たちの息苦しさを感じる」と語る。
児童精神科の専門病棟や外来窓口が日本ほど少ない先進国はない。
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幼児誘拐殺人事件の少年(12)は9月29日、さいたま市の児童自立支援施設「国立武蔵野学院」に移された。施設は全国に58あり、約1800人が暮らす。
集団生活で更生をめざす指導法をめぐり、見直しの議論が続いている。
武蔵野学院の全国調査では、被虐待児が入所の6割を占める。学習障害や行為障害も1割を超えた。学院幹部は「貧困や社会への反発による非行は減り、心に問題を抱えた対応の難しい子が急増している」と話す。
だが、児童福祉法では施設に常勤の医師や心理療法士を置く義務はない。多様な少年にどう対応するか、施設全体が問われている。
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9月28日、少年が通った長崎市内の中学校で体育大会が開かれた。
この秋、少年は13歳になる。=おわり
この連載は横井信洋、野倉恵、篠田航一、荒木俊雄、松本光央、長澤潤一郎、岩井香寿美が担当しました
(毎日新聞2003年10月1日東京朝刊から)
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200310/01/001.html