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種元さんが発表した文書の全文 毎日新聞
http://www.asyura2.com/2us0310/nihon9/msg/226.html
投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 08 日 06:36:32:ieVyGVASbNhvI

 

長崎・幼児誘拐殺人 「更生まで社会復帰しないで」−−幼児の父が心境
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  長崎市の幼児誘拐殺人事件で、被害者の種元駿ちゃん(当時4歳)の父毅さん(30)は6日、代理人の弁護士を通じ、9月29日の少年審判で決まった加害者の中1少年(12)の処分について現在の心境などを文書で発表した。少年に対して「犯した罪に真正面から向き合うことができていないことに腹立たしく思うだけ。更生するまでは社会に復帰してほしくない」とつづっている。【横田信行】


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種元さんが発表した文書の全文 

 最終審判が下って

 世界で最も愛する息子駿の尊い命を奪った12歳の人間による誘拐・殺人事件について、先日9月29日に最終審判が下されました。早いもので駿が天国に旅立ってから3ヶ月という月日が流れたことになります。今私たち遺族は最終審判の結果をどのように受け止めてどのように感じているのか、また今回の事件に対しどのように感じて何を思っているのか述べさせていただきたいと思います。

 まず初めに最終審判の結果についてどう感じたのか述べさせていただきます。私たちは最終審判に先立ち意見陳述をさせていただく機会を与えられました。そこで、私たち遺族は現在の法体系でできる最も重い処分を少年に科して欲しいこと、事件に関する事実・精神鑑定記録が可能な限り公にされることを家庭裁判所に希望しました。裁判所が下した審判は今の法体系でできる最も重い処分に相当すること、また公にされた最終審判結果はこれまでに前例のないほど踏み込んだものである、という説明を弁護士の先生より受けました。また報道においても今回の裁判所の対応について同様の意見がなされました。極刑を望むことに変わりのない私たち遺族にとって、現在の法律では私たちを満足させる処分はありえないことはわかっていました。ただそれが不可能であれば現在の法体系で最も重い処分をと切望した私たちの思いを裁判官に汲んでいただいたと感じています。また審判結果のかなりの部分が公にされたことについても裁判所が今出来る対応としては最大限のことをしてくださったのだと思っています。このことにつきまして心から感謝いたします。ただ、公にされた記録は全てではありません。今後同様な事件が起こらないようにするためにも公にされていない部分も次第に明らかにされることを切望します。私たちは長崎家庭裁判所の本当に誠意が感じられた対応が、今後同様な事件が起きたときに当然のこととして為されていくことを望みます。

 次に私たちは今回の事件でどのようなことを思い、何を感じているのかについて述べたいと思います。まず最初に現行法体制が改正されるべきと思います。厳罰化だけでは抜本的な解決にならないことは理解できます。ただ今回のような残酷で痛ましい事件が起きたときに、事件を犯した者が刑事罰を受けることなく、更生するのに相応の施設さえ入れられないことでは大事な家族を奪われた遺族が救われません。罪を犯した者が罪を認識し、真に更生できる施設に相応の期間入れられるよう、一日も早く改善されることを望みます。また私たちは今回のような、その年齢のために責任を取ることができない少年が罪を犯したときの保護者の責任について明確にして欲しいと思います。これまでの多くの少年事件で罪を犯した少年どころかその保護者さえも謝罪しないことが多い事実を知り、本当に驚きました。責任をとれない少年が罪を犯した時に保護者はどこまで責任があるのか、どのような責任を果たすべきなのか、このようなことが考えられるべきだと思います。また私たちは今回の事件を大きく報道していただいたことに感謝いたします。もちろん私たち遺族にとって今回の事件が起こりさえしなけれぱそれに越したことはありませんでした。しかし事件は私たちに起こってしまったのです。多くの報道が現在の法体系では今日の少年犯罪の現状に対応できていないこと、被害者を取り巻く状況が諸外国に比べだいぶ遅れており早急に改善されるべきであること、罪を犯した少年が更生する体制が整っていないことなど少年犯罪に関わる現状が改善されるぺきであることを訴えかけています。また、これらの改善が為されるために今回の事件を機にいろいろな議論が早急になされる必要があることについて訴えかけています。これらの報道は私たち遺族の勝手な解釈かもしれませんが、駿の死が無駄にならないように必死に社会に投げかけてくれている姿に感じられました。おかしい言い方かも知れませんが、私たちは事件について社会に訴えかける報道の姿に勇気づけられています。

 次に私たちは息子の尊い命を奪った少年と少年の両親に思うことを述べたいと思います。今のところ、少年に対しては自分が犯した罪に真正面から向き合うことが出来ていないことに腹立たしく思うだけです。更生するまでは社会に復帰して欲しくない。今はただこのようなことしか思えません。

 次に少年の両親については述べたいと思います。先日長崎新聞において少年の両親が記者の質問に答える形で謝罪の意を述べている記事が掲載されていました。私たちはこの記事を読んで愕然としました。あなたたちが事件を報道で知った日からあなたの子供が補導されるまでの間にあなたたちが認識したこと、その時にあなたたち親子の聞に交わきれた会話、つまり警察に対しあなたたちが述べた事実と全く異なることが述べられています。あなたたちは謝罪が1ヶ月以上も遅れた理由としてあなたの子供が罪を犯したことを確認したかったという旨を述べていますが、それではなぜ謝罪を手紙として渡そうとするまでの間毎晩駿の冥福のために手を合わせたり、死ぬ場所を探したりしたのでしょうか。補導された後あなたたちが初めて子供に会ったのは補導されてからほぼ一ヶ月たった後ですが、その日まであなたたちが子供が罪を犯したのを認めていないのであれば堂々と普通に生活していればよかったではないですか。あなたたちが記者に述べた言葉は矛盾しています。私たちに言わせればあなたたちは嘘をついていますし、謝罪に必要な他の事実にも触れてはいません。私たち遺族はこのことを絶対に許すことができません。嘘をついてまで謝罪の意を述べたことは、私たち遺族にとって堪えがたい憤りを覚えさせただけです。もう一度はっきり言いますが、あなたたちが記者に対し述べた謝意にはあなたたちに都合のいいように言っている嘘があるのです。嘘のある謝罪の言葉など聞きたくありません。もう今となってはあなたたちの文字となった形での謝罪を受け取ることはできません。私たち遺族に本当に心から謝罪をするのであれば、公の場で、肉声で、それもあなたたちがどのような嘘をついたのかについても謝罪しなければなりません。あなたたちのあの時の言動がなければ事件は早く解決し、息子を殺した犯人が少しでも早く捕まることを望んだ私たちの思い、殺人犯が近くかも知れないということで不安になった方々の早く犯人が捕まって欲しいという思い、事件が早く解決して欲しいと捜査に協力していただいた方々の思いは一分一秒でも早くかなったはずです。私たちは前にもコメントさせていただきましたが、謝罪を頑なに拒否するつもりはありません。謝罪をするのであれば私たちが誠意と感じられる謝罪をしてください。ただでさえ遅きに失した謝罪なのです。謝罪をするのであれば嘘をつかないでください。

 最後になりますが、今回の事件で尊い未来を持った世界で一番愛する息子を失いました。私たちの悲しみは尽きることはありませんし、傷付いた心が癒される日が来ることは一生ないと思います。今でもお仏壇やお墓に手を合わせているときに、どうして私たちはこんなことをしているのか、どうしてこのような目に合わなければならなかったのかという虚しい思いに駆られます。駿に会いたい、駿を感じたいという願いは日に日に募るばかりです。しかし悲しんでいるだけでは何も始まらないし、悲しんだからといって天国に召され仏さまとなった駿が帰ってくるわけではないのです。それならば私たち遺族は強く生きていきたいと思います。献花台のところにも言葉がありましたが、「駿の死が無駄にならないように」この言葉・思いを胸に私たちは頑張って生きて行きます。これからも私たちのつらい日々は続いていきます。私たちにとって、献花台でお祈りを捧げていただいた皆さまの姿、お花やジュース・お菓子・おもちゃを手向けてくださった皆様の思い、献花台がなくなった後もお地蔵さまを置いていただいたり、お花・ジュースなどを手向けてくださっていることに私たちは支えられています。本当に言葉にならないほど感謝しています。紙面で失礼と存じますが御礼申し上げます。これからも温かく見守っていただければ幸いです。

平成15年10月6日
種元 毅

 (2003年10月7日毎日新聞朝刊から)

http://www.mainichi.co.jp/news/article/200310/07m/079.html

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