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(回答先: 検証・長崎幼児誘拐殺人/2 ひっそりとした幸福 投稿者 エンセン 日時 2003 年 10 月 08 日 06:41:49)
[12歳のシグナル]検証・長崎幼児誘拐殺人/3 なぜ教室を飛び出したのか
◇親も教師も理解せず
玄関の靴が整然と並ぶ。居間もきちんと片付いている。「荒れた家庭ではなさそうだ」
事件から3日後の7月4日、少年(12)の家庭訪問をした中学1年の担任はそう思った。幼い印象はあったが、小学校から引き継いだ「問題のある児童」には含まれていない。スクールカウンセラーに相談するトラブルもなかった。
母親(39)に「子供は落ち着きがないのでよろしくお願いします」と頼まれた。早口だが、しっかりしていると感じた。気になることがあれば、勉強部屋を見せてもらうこともある。だが、それも控えた。
補導される前、担任は教室で「事件で感じたことはある?」と尋ねた。少年に変わった様子は見られなかった。
■ ■
小1の夏。両親の離婚で少年は私立小から母親の実家に近い公立小に転校した。教師の一人はある光景を覚えている。
「授業中、サイレンや工事現場の騒音が聞こえるとパニックになった。音に異様に敏感だった」。廊下を走っているのを担任以外の教師から注意されると泣き叫んだ。
学校関係者によると、担任はその様子を母親に連絡帳で伝えた。「分かりました」とだけ書いて返ってきた。「こちらの心配が母親には伝わっていない」と思ったが、家庭訪問や保護者の呼び出しはしなかった。
勉強はトップクラス。しかし鉄棒にぶら下がれない。1段の跳び箱を跳ぶどころか、またがることもできない。担任は「教科の勉強とそれ以外のアンバランスが極端」とも感じていた。
小2の春、両親が復縁し、再び転校した。突然、教室から飛び出す不安定さは続いた。4年から5年の担任への申し送りはない。
放課後、教師が少年を「きのうゲームセンターに寄り道しただろ」としかった。目を離したすきに上履きのまま学校を飛び出した。教師が家に電話すると、母親が学校に来て「前にも家で注意をした時に飛び出したことがあるので大丈夫」と話した。警察に保護されたのは夜9時ごろ。教師は自宅で連絡を受けた。
翌日、父親(50)が仕事を休んで学校に謝罪に来た。少年も「気をつけます」と謝った。なぜ飛び出すのか、だれも分かろうとしないまま問題は「解決」した。
「気になる子がいてもやれ人権だ個性だとなって、家庭にまで踏み込みにくい」。教師の一人は言う。
学校は最後の防波堤にはなりえなかったのか。元校長は「ここの学校に限らず、1日6、7時間子供と接し、校区外の家に帰るだけのサラリーマン教師がほとんど。通学路も知らない担任が多い。子供のことが見えていない」と語る。
少年が発したかすかなサインは見逃された。
■ ■
少年は6年生になっても駆けっこでいつも最後になった。長縄跳びも引っかかる。「ほんとは足が悪かった。先生もなかなか気がつかない」と友人は言う。
「がんばれ」。同級生の声援に促され、ぎこちなく縄を跳んだ。
付添人の弁護士との面接で、少年は教師の話は一切していないという。=つづく
(毎日新聞2003年9月29日東京朝刊から)
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200309/29m/044.html