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(回答先: 「インフレ目標政策」の害 投稿者 あっしら 日時 2003 年 1 月 08 日 00:08:18)
あっしらさん、明けましておめでとうございます。ご無沙汰しております。
相変わらずのご健筆、堪能させていただきました。また、稽古をつけてください。
>輸入品に需要がありその価格が上昇する一方で家計・企業・政府の消費金額が従来通りであれば、通常、総体としての財の販売数量は減少することになります。
静態的にはその通りですが、実際には貯蓄の取り崩しが否応なく始まると考えるのが現実的ではないでしょうか。もっと言えば、あっしらさんが例で想定された10%の円安ではなく、より過激な円安(50%とか)を引き起こして、無理矢理にでも貯蓄を取り崩さざるを得なくなるように仕向けなければならないのではないでしょうか。
こうすると、『良いインフレ』じゃなく悪性インフレになることでしょう。しかし、デフレ・スパイラルの金縛りから開放されるには、それしかないのではないでしょうか。「デフレ--->良いインフレ」という経路は幻想で、「デフレ--->悪性インフレ--->良いインフレ」にする経路しか実はデフレ脱却の方法はないのでは?デフレをデフレのまま克服しようとしたら、あっしらさんが以前指摘されたごとく、「優良企業は給与を増やせ」とか「これまでの流れをご破算にした税制改革を」というやや非現実的な政策に頼らざるを得なくなります。
>円安政策がデフレを解消すると考えている経済学者は、経済論理がわかっていないと言えます。
>「ない袖は振れない」(家計収入が増加しないで物価が上がったら、これまで通りの消費は出来ない)という簡単なことさえ理解できていないことになります。
「袖」(貯蓄)はあるのに「振る気」になっていないのが問題です。正攻法で「振る気」にさせるには莫大な時間と努力が必要なので、強制的に袖を振らせること(超円安に持ちこむ)も検討してみる必要があると思います。
>株式や土地を日銀券に換えた人たちが消費に励めば物価上昇をもたらすことになりますが、あくまでも一時所得ですから、そのお金を使い切った時点で反動のデフレ圧力が加わることになります。
資産市況の下落が止まって、上昇に転じたということが明確に認識されれば、活況を呈し始めると思います。「袖」はないのではなく、眠っているだけですから。矢継ぎ早の政策で政府が国民の信頼を得られれば、経済の好転のきっかけになりうるのではないでしょうか。資産効果だけで終わらせない工夫が肝要と思います。
>そして、日銀が上場株式すべてと遊休地すべてを買い上げた時点でこの政策は終焉を迎えます。
>これは、企業が全て国有企業になったことを意味します。
これは物凄い極論のような気がしますが、ここに至る前に「日銀の非常手段をもはや必要としない」段階が訪れると思います。
私の円安・インフレ支持の根拠は、「何の負担もなしに苦境を脱することはできない」ということと、「勝ち組だけがやたらとリストラを連発して強くなっても日本経済全体は良くならない」という考えからです。前者に関しては、高齢者が富み巨大な政治圧力となっている日本では増税やドラスティックな年金・医療改革が難しいので、インフレ(見えない税金)で徴収するしかないだろう、ということです。ゆくゆくは、「5%程度のインフレは当たり前」という与論を醸成できれば、資産運用機会もそれなりに生まれるだろうし、年金の物価スライドもあるわけで、高齢層からのさほどの抵抗もないんじゃないでしょうか。後者については、あっしらさんへの説明は不要と思います。
以上をまとめますと、「たとえ当初は悪性インフレに陥ろうとも、日銀と財務省がフル稼働して円安・インフレに持ちこむ必要がある。その過程で少なくともデフレ状況の解消や政府財政の破綻、金融機関や民間企業の負担緩和が期待できる。政府はその後を見越したビジョンと政策群を打ち出す事が必須となる。」ということです。ご批判お願いします。
尚、極端な円安をアメリカを始めとする諸外国が許すのか、という問題がありますが、非自由貿易的な妥協案を作ってでも(例えば北米向け自動車輸出自主規制)やるべきじゃないかと思います。