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(回答先: インフレ論者になったせいがく 投稿者 せいがく 日時 2003 年 1 月 09 日 07:32:33)
>以上をまとめますと、「たとえ当初は悪性インフレに陥ろうとも、日銀と財務省がフ
>ル稼働して円安・インフレに持ちこむ必要がある。その過程で少なくともデフレ状況
>の解消や政府財政の破綻、金融機関や民間企業の負担緩和が期待できる。政府はその
>後を見越したビジョンと政策群を打ち出す事が必須となる。」ということです。ご批
>判お願いします。
日銀の買い上げで生じる資産インフレが金融機関の不良債権(過剰債務)問題を解消すること(負担緩和)は認めますが、円安誘導政策ともども、「デフレ不況」を解消するわけではありません。
緩やかで持続的なインフレが、政府債務や民間企業の債務の負担を緩和するだけではなく、国民経済の回復をもたらすと考えています。
しかし、せいがくさんが私の政策を非現実的と思われるように、デフレからインフレへの転換は、現状の経済価値観では至難のテーマです。
円安誘導政策や資産価格上昇政策では実現できないテーマなのです。
● 円安誘導政策
実現できたとしての円安の無効性はレス1で書きましたが、経済論理に適合しない円安誘導政策は長続きしません。
日銀が外債を買いまくれば、短期的には円安になるとは思いますが、世界の投機筋は、それがいつまでも続かないことを見越して、円高に転換した時点の差益を狙う外国為替投機を行うと思っています。
変動相場制の外国為替レートは、根源的に国際交易財の生産性変動比較に対応して動くものです。
さらに重要なことは、円高は政策余白があるのに対して、円安は政策余白がないという現実です。
円高であれば、給与を引き上げて合理的な円安に誘導することもできますが、円安であれば、それ自体がコストプッシュであり、国際競争力を劣化させることになります。(レス1などで書いたように、給与を引き上げなければ、輸入物価の上昇は国内供給品に対するデフレ圧力になりますから、目的にそぐわないものになります)
円高傾向であることが日本経済の強さの現れであり、それを顕在化させないために、給与を引き上げ、さらに円高傾向を保つために、生産性の上昇をはかるというのが強い国民経済のかたちです。
● 金融政策の限界性
財政・税制政策は別として、金融政策のみで、デフレを解消してインフレにすることはできません。(インフレを抑制することはできますが...)
中央銀行は通貨供給量を増加させることはできても、通貨流通量を増加させることはできないからです。
商業銀行がいくら日銀券を持っていても、実体経済は変わっていないのですから、貸し出しには慎重になるでしょうし、企業も借り入れをして設備や人員を増強することはありません。
財政政策で需要を拡大させる政策は、税収&国債という従来的手法とは異なる手法を採らない限り、財政破綻につながっていきます。
財政政策でインフレに転化させるとしたら、政府紙幣発行や日銀の国債引き受けに頼るしかありません。
ダイレクトに通貨流通量の増加に結びつく財政出動で生じる弊害は、「論議・雑談5」ボードの底のほうに書いていますのでここでは省略します。(「論議・雑談5」へは、このボードの下のほうのタグをクリックしないと移行できないようです)
弊害があるとしても、デフレ・スパイラルよりはましだと思っていますので、政府紙幣発行には反対ではありません。
>尚、極端な円安をアメリカを始めとする諸外国が許すのか、という問題があります
>が、非自由貿易的な妥協案を作ってでも(例えば北米向け自動車輸出自主規制)やるべ
>きじゃないかと思います。
よりデフレを加速する輸出減少をもたらす政策を採るくらいなら、外国為替レートは市場動向に委ねるべきだと思います。
何より弊害や抵抗が少ないデフレ解消策は、輸出の増大です。
国内で生産した財が国内で消費されずに国外に出ていくことで、供給>需要が実現されやすくなるとともに、“真正の利潤”を得ることができます。
アメリカは米国債を買って円安誘導するのであれば、円安誘導策を認める可能性が高いと思っています。(米国は財政赤字のファイナンスにますます苦慮する道を歩んでいます)
日本の円安誘導策に強く反対するのは、中国や韓国などのアジア諸国だと思っています。