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(回答先: 「インフレにしろ」論の続き 投稿者 せいがく 日時 2003 年 1 月 09 日 16:20:08)
>デフレを悪性インフレ(インフレ率>名目GDP成長率)にしてそれを良性インフレに
>してゆけば良いと勝手なことを書きましたが、悪性をどうやって良性にするのかとい
>うところを実はまだ考え中です。
現状の日本経済であれば、金融政策と財政政策で悪性インフレを良性のインフレに抑え込むことができます。
国内供給力があるからですが、そのような条件は時間が経過するほど弱くなり、貿易収支が赤字になった時点で基本的に消滅します。
>ただ、デフレと悪性インフレとどっちが良いんだ?というと悪性インフレの方が(日
>本のように生産基盤が整っていてハイパーインフレに至らない国では)良いような気
>がします。
私もそう思います。
>しかし、これだけグローバルベースで生産力が充実してくると、基礎的な条件として
>はデフレ圧力が常に働くものであることは間違いないと思います。それゆえ、欧米の
>先進諸国もデフレ気味なのだし、グローバル生産力増大の中心的存在である中国もデ
>フレ気味と言う事なのでしょう。
日本経済は、貿易収支が黒字で経常収支レベルでも10兆円もの黒字を計上しています。資本収支を含めても5兆円ほどの黒字です。
それらがすべて投資と消費に使われるのなら、供給(金額)+5兆円の金額が、供給(量)−純輸出の財と用役の需要になるのですから、デフレになることはありません。(用役の需要に向かった通貨も、用役供給者が財の需要に向けることになります)
国際収支が黒字である限り、それでもデフレになってしまうのは、“使われない通貨”があるからだという視点が重要です。
ドイツがデフレに陥りそうになっているのは、東欧やスペインなどに生産拠点を移して、そこで生産したものをドイツで販売しようとしているからです。
需要の基である供給(金額)が減少し、外国から供給(量)が増加するのですから、よほどの財政支出や貯蓄の取り崩しがない限り、デフレ圧力を解消することはできません。
(ドイツは経常収支がとんとんですから、全部フローのお金を使っても、供給(金額)=需要が減少して、供給(量)が増加するというデフレ圧力にさらされます)
中国のデフレは、国内の産業循環構造が出来上がっていないまま、輸出依存で生産(供給)量を増大させることによって生じています。
外資が利益を国外に流出させていることはさておいても、経済成長で増加した所得が偏っていることがデフレの要因です。
沿岸部のある層の所得が増大したからといっても、テレビやエアコンを持続的に何台も買うものでありません。
沿岸部の高額所得者のお金を内陸部の農民などに所得補償などを通じて分配しない限り、中国のデフレは解消できず、持続的で安定的な経済成長も達成できません。(中国政府は、愚かなことに、赤字国債による公共事業でなんとかしようとしています)
>その中にあってマネタリーな手法で無理矢理インフレにしようというのだから、重力
>に逆らって飛ぶような話です。しかし、日銀はその気になれば無制限に日本円を発行
>できるのだから、確実に円安にできる。その円との交換で米国や欧州の国債を手に入
>れたり、他国通貨そのものを手に入れることが出来る(債権だと金利を産んで収入に
>なります)。
通貨供給量がいくら増えても、通貨流通量が増加しなければ、デフレを解消することはできません。
債権から生じる果実も、銀行が保有している限り、デフレ解消に貢献することはありません。
>日本の輸出企業の国際競争力はまだそう衰えていないから、円安になればなるほど交
>易条件が有利になって外貨を余計に日本へもたらす。そのこと自体が円高要因になる
>から、日銀はさらに必死になって円を刷り、それを海外資産に置き換えて行く。
書いてきたように、円安は、デフレ状態をそのままにして輸入物価の上昇分だけ平均的国民生活を低下させない限り、交易条件を改善することはありません。
>本当の狙いは円安=インフレを通じて、最初は無理矢理にでも国民の貯蓄を吐き出さ
>せ、うまく消費拡大(貯蓄率の低下、企業投資の増大)に持って行くことにあるわけで
>すが、円安になりにくい環境にあればあるほど、上記のような日本の対外資産増大プ
>ロセスにも拍車がかかり、金融大国への道が開けるような気がします。印象論で申し
>訳ありませんが。
貯蓄を吐き出させると、一時的な効果しかないだけでは済まず、「国債サイクル」や投資拡大を危うくします。
財政不如意のなかでデフレを解消するためには、貿易収支黒字を維持しながら、「優良企業が先陣を切って給与を引き上げる」+「低中所得者恒久減税」+「日本企業の海外生産による日本向け財の持ち込み(輸入)抑制」を行うしかありません。