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下に引用する西尾幹二氏の主張は極めてまっとうに見える。
そう考えるオレが偏向しているのだろうか?それともやっぱり
朝日新聞はおかしいのだろうか? ご意見を広く求める。
==引用==
: 西尾幹二(B) /2002年11月07日 08時58分
いま安倍官房副長官と中山内閣参与が拉致被害者のひとりびとりを実家に訪ねる訪問の旅をつづけている。11月6日『読売』(夕刊)に、次の記事があった。
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「二点、厳しいことをいわせてもらいます。」ふだんは物腰柔らかな中山参与が、語気を強めて切り出した。三日夜、福井県小浜市の地村保志さん(47)の実家の居間で、保志さんと富貴恵さん(47)夫婦と家族の七人は、その言葉に聞き入った。
「子供の帰国は長期化するおそれがあるが覚悟してほしい」。さらに中山参与は、こう続けた。「北朝鮮は、子供が病気だとか、事故にあったとか理由を付けて、(親に)北朝鮮に戻って来い、と言って来るかもしれない。だが、どんなことがあっても、五人を二度と北朝鮮に戻さない、という政府の方針は変えません」
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この決意には並々ならぬものがある。子供の帰国は本当に長期化する恐れがある。いつまでも離散家族であることに日本のマスコミが次第に騒がしくなり始めるだろう。子供が病気になったとか、事故にあったとか、北朝鮮はそれらのテレビ映像を送り届けてくるかもしれない。それでも親を返さないと理路整然と説明し、国民を納得させる政府の対応は容易ではなく、マスコミが真っ先にヒステリーを起こす可能性もある。
私がかねて心配していたことなのだ。五人の被害者は日本に渡った瞬間に、今までとは生きていく条件が変わった。同じ条件で北にはもう戻れない。迫害が待っているかもしれない。『読売』の記事はさらに次のようにも言っている。
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安倍官房副長官や中山参与のこうした姿勢の背景について、政府関係者は「北朝鮮が五人を返せ、と言っているのはメンツの問題ではない。自由になった五人の口から北朝鮮の秘密が明かされることを恐れているためだ。戻ったら、二度と日本に帰ってこられないだろう」と指摘する。「本人の意思を固めてもらい、政府と被害者、そして国民が一つになって北朝鮮に当たる。安倍官房副長官の今回の“行脚”には、そんな狙いもある」
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まさにその通りだと思う。『読売』の記事は正確である。子供が日本に帰ってくれば、親達は安心して自由に北の実態について語り出すだろう。他の拉致被害者の安否について、その他隠された数多くの秘密について、日本のマスコミが聞き出すのに躊躇しないだろう。しかし今のところはまだ、警察の事情聴取さえも、警察が遠慮してなされていないはずである。となると、北朝鮮は、子供を帰したら何もかも喋られると恐れ、子供を人質にとりつづけるだろう。また、万が一親が北へ戻ったとしたら、北朝鮮は彼らを北の一般人と接触できる生活へ戻さないだろう。北の核開発、ASEAN会議での北への警告、中国政府の譴責措置などすべてが、北の国内では秘密であるが、彼ら五人は知ってしまったからだ。
9月17日を境に拉致家族の運命は、親子ともどもに一変してしまったのである。
こうした事情が普通の日本人にいまどの程度に理解されているかははっきり分からない。国民がまさに一つになって、共通の理解をもちつづけていかないと、先が危ない。
ところが『朝日』を中心とするマスコミの空気はやはり依然として怪しく、もやが漂うように不安に満ちている。そこで私は、11月5日の朝、次の文章を一息に書きあげた。ここでとり上げた「声」の欄の投稿内容はとても同じ時代の呼吸を吸っている日本の常識ある国民のことばとは思えない。日本がいま「拉致」と「核」の二つの大きな不安要因をかかえていて、これをいかにして乗り越えるかは、いつに国内の世論にかかっている。
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朝日の「声」欄から見える珍風景
――日本を「丸裸の国」にするつもりなのか――
≪≪≪「北」の深謀遠慮の一手か≫≫≫
日朝交渉で日本は初めて有利な立場に立っているといわれる。巨額経済協力と核開発阻止の国際圧力、つまりアメとムチで威圧できる立場に立っているというが果たしてそうか。北朝鮮はクアラルンプールの会議を待たずに五人を帰国させた。ここに謎はないか。親が子供を自ら置いて一時帰国したというのはウソで、親子切り離しで帰国させたのはすでに北の政府の深謀遠慮の一手ではなかったか。
彼らが核開発カードをあっさり捨てるとは思えない。米国の対イラク戦争でやがて世界の足並みは乱れる。日本の世論も揺れる。北はそこが狙いで、拉致家族の新情報をちらつかせながら日本を誘惑し、日米分断を図る。新しい被害者を何人か帰国させ、最初の五人の家族を人質のままにする手もある。日本は引き離された親子が可哀そうだというヒステリーに陥るだろう。国連が核査察を決議しても北は応じまい。イラク戦争が終結し、米国が本気で動き出すまで、日本は経済協力はせず、のらりくらり過ごさねばならないが、不安な要因はなによりも国内世論にある。
北朝鮮が他の自由な国と同じ法意識や外交常識をもつという前提で、この国と仲良くしようという無警戒を示すことは、日本側の結束をこわし、北の作戦を助けることだが、一つの意図をもってそれをやっているマスコミがある。朝日新聞投稿欄「声」である。
≪≪≪無警戒に満ち満ちた投書≫≫≫
例えば「じっくり時間をかけ、両国を自由に往来できるようにして、子供と将来について相談できる環境をつくるのが大切なのではないでしょうか。子どもたちに逆拉致のような苦しみとならぬよう最大限の配慮が約束されて、初めて心から帰国が喜べると思うのですが。」(10月24日)
「彼らの日朝間の自由往来を要求してはどうか。来日したい時に来日することができれば、何回か日朝間を往復するうちにどちらを生活の本拠とするかを判断できるだろう。」(同25日)
こういうことが出来ない国だから苦労しているのではないか。日本政府が永住帰国を決めたことについては、
「24年の歳月で築かれた人間関係や友情を、考える間もなく突然捨てるのである。いくら故郷への帰国であれ大きな衝撃に違いない。」(同26日)
「ご家族を思った時、乱暴な処置ではないでしょうか。また、北朝鮮に行かせてあげて、連日の報道疲れを休め、ご家族で話し合う時間を持っていただいてもよいと思います。」(同27日)
「今回の政府の決定は、本人の意向を踏まえたものと言えず、明白な憲法違反だからである。・・・憲法22条は『何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない』と明記している。・・・拉致被害者にも、この居住の自由が保障されるべきことは言うまでもない。それを『政府方針』の名の下に、勝手に奪うことがどうして許されるのか。」(同29日)
≪≪≪顔をのぞかせる新聞社の下心≫≫≫
常識ある読者はなぜこんなわざとらしい投書を相次いでのせるのか不思議に思い、次第に腹が立ってくるであろう。あの国に通用しない内容であることは、新聞社側は百も知っているはずである。承知でレベル以下の幼い空論、編集者の作文かと疑わせる文章を毎日のようにのせ続ける。そこに新聞社の下心がある。やがて被害者の親子離れが問題となり、世論が割れた頃合を見計らって、投書の内容は社説となり、北朝鮮政府を同情的に理解する社論が展開される。朝日新聞が再三やってきたことである。
何かというと日本の植民地統治時代の罪をもち出し、拉致の犯罪性を薄めようとするのも同紙のほぼ常套である。
今日本がとるべき政策は、金正日体制に経済協力をせず、拉致問題と核問題を解決することで、国交正常化をすることそれ自体ではない。経済協力はポスト金正日体制へ向けてなされる戦略を立てる必要がある。そのためには起こり得る対イラク戦争後の米国の意向がすべての鍵をなす。
北朝鮮を自由の存在する普通の国のように友好的に扱う朝日新聞の作為的な言論は、日本の国内の対北朝鮮観を混乱させ、結束を乱し、金体制への経済支援を加速させる。もし日本の援助で米国に届く長距離ミサイル開発がなされたら、在日在韓の米軍基地は無力化し、日本は北朝鮮の意志に翻弄される丸裸の国になり、日米関係は破局に至るであろう。そして、次第に対中従属国家に陥るだろう。朝日新聞はそれを狙っているかもしれない。 『産経』11月7日「正論」欄
==引用終了==