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20日の東京外国為替市場では、円が対ドル、対ユーロともに大幅に下落。財務省がこの日実施した国債の価格競争入札において10年債として初めて札割れが発生したことを受けて国内資本市場の不安定化への懸念が強まり、午後に入って円安が加速した。対ユーロでは一時3年ぶりの安値となる1ユーロ=121円台まで下落幅を拡大した。
財務省が午後1時に発表した10年国債の価格競争入札では、1989年度以降初めての札割れとなったことが明らかになった。この発表を受けて為替市場では円が一段安となり、午後3時すぎに対円では1ドル=122円97銭、ユーロに対しては1ユーロ=121円05銭の安値を付けた。いずれも早朝の安値からの下落幅は1円を超え、株安、債券安、円安のトリプル安の様相を呈してきた。
UFJ銀行資金証券為替部の佐原満バイスプレジデントは、「入札額未達のショックは債券市場にとっては大きく、じわじわと円売りに効いてくる。株も含めて日本の資本市場にはお金が集まらないということで、海外から日本に対するネガティブな見方が強まる。株安・債券安の傾向が強まればさらに円売られるだろう」と指摘した。
ユーロ・円が3年ぶりの高値を上抜け
この日は朝方からユーロ・円相場での円の安値を試す動きが先行。午前8時半前に99年8月以来の円安値となる1ユーロ=120円台に乗せ、さらに120 円30銭付近の損失を限定するための円売り注文を巻き込んで段階的に安値を更新。入札札割れが明らかになった午後の取引でさらに円安が進んだ。
ユーロの対ドル相場は、対円でのドル急上昇の影響で軟調に推移。0.98ドル台後半から同前半に小幅下落した。
相場の節目と見られていた約3年ぶりの1ユーロ=120円台を突破したため、ユーロ・円相場の先高観は強まっている。「ようやくというか3年ぶりのレンジ上抜け。トレンドを抜けたため追随していく投資家が増えるだろう」(三井生命グローバルアセットマネジメント・白藤努ファンドマネージャー)と目立った押し目もなく、段階的に水準を切り上げた。
また、ユーロをはじめとする対欧州通貨で円売りが活発した背景に関しては、「政府のデフレ対策への期待は薄いうえ、日銀の株式買い取りも実現性に懸念が残る。米経済も企業業績が悪く下方修正が続いて株価が軟調なうえイラク情勢も重しになっており、ドル、円ともに買えない。消去法的に景気はよくないが債券相場がしっかりしているユーロに資金が向かいやすい」(JPモルガンチェース銀行為替資金本部・富田公彦バイスプレジデント)と言う。
デフレ対策は期待から失望へ
政府がこの日の経済財政諮問会議で明らかにするとみられるデフレ対策への期待感の後退も円売りにつながった。日銀が銀行保有株の直接買い取り表明直後は、日銀に呼応して不良債権処理への踏み込んだ追加的政策の発表が期待されたが、柳沢伯夫金融相の「そこまで仕事が進んでいない」などの発言で期待感は失望に変わり、東京株式市場は午後に入って下落幅を拡大した。
三井生命の白藤氏は、「日銀の発表は金融機関のバランスシートの不安要因除去にすぎず、本格的なデフレ対策とはみえない。だから政府も思い切った手を打つことはないだろう。今後、さらに事態が深刻になれば円安誘導なども俎上にのぼる可能性はあるが、現段階ではそこまでは考えられない」と指摘した。
東京時間午後3時20分現在 前日比 19日のニューヨーク市場終値ドル・円 122.71 +1.39 121.32 ユーロ・ドル 0.9835 −.0038 0.9873 ユーロ・円 120.69 +.91 119.78