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(回答先: ペイオフ延期は、小泉政権の全面的方針転換を意味せずYendokki 投稿者 Ddog 日時 2002 年 7 月 31 日 11:57:44)
グローバル化という言葉がもてはやされ、何でもかんでも欧米式が良いという時代もあったけど、頼りにしていた米国経済が揺らぎ始めた今、日本にとってベストな経済の仕組みを考える時期かも?
先週、米国通信大手2位のワールドコムが経営破たんした。その規模は昨年破たんしたエンロンを上回る米国市場最大という衝撃的なもので、そしてまたも破たんの直接的な引き金となったのが粉飾決算であった。粉飾決算疑惑の広がりは現在の米国経済において、もちろん非常に憂慮される問題となっているが、むしろこうした環境を作り出してしまった米国型ビジネスモデル自体の破たんということに、世界の経済は怯(おび)え始めている。
もう何年も前のことになってしまったが、“グローバル化”や“グローバル・スタンダード”などという言葉が、最大級の説得力を持つ“セールストーク”として使われた時期があった。これらの言葉は元々ITの世界でインターネットなどの発展に伴い、世界中が非常に便利にそして身近になるという意味でよく使われるようになったのだが、時に何でもかんでも盲目的にでも、欧米方式に合わせることこそが“グローバル化”であると拡大解釈(誤解)されるケースも見受けられた。これは喩えるなら、『日本では車は左側通行で道も狭いけれど、“グローバル・スタンダード”だから車は左ハンドルで車幅も広いアメリカ車に統一します』と言っているようなもので、ある意味非常に危険な発想でもあった。“グローバル化”が進めば進むほど、その反作用としての“ローカル化”の動きも見られるようになったが、いずれにしても極端な発想は良くないだろう。“グローバル化”の便利さや優れた点は享受しながらも、“ローカル”の特徴は維持する。これこそが真の“グローバル化”なのだと思う。メルセデス・ベンツの車がこれほどまでに日本に定着した発端は、そのブランド力だけではなく、右ハンドル車を作るなど日本の事情に合わせた車作りをした為であったことを忘れてはいけない。
米国経済は今明らかに下降トレンドにある。個別企業の破たんという問題だけであればともかく、投資とそのキャピタルゲインを最優先に考える米国型ビジネスモデル自体の破たんにつながるようだと問題は深刻だ。世界はそれに代わる新しい経済の仕組みを探らなければならなくなる為だ。残念ながら日本の義理人情主義の経済は、国内ならともかく“グローバル化”の時代にはそぐわない。しかしかといって我々日本人が、米国型の超投資主義的な経済の仕組みをそのまま受け入れられるのかどうかも微妙だ。頼りにしていた米国経済が揺らぎ始めた今、単なる米国の縮小コピーではなく、我々日本人にとってベストな経済の仕組みを考える時期にきているのではないだろうか。投資より貯蓄を重視することが本当に悪いのか。株式の持ち合いは本当に悪いのか。年功序列制を撤廃し、成果報酬制に移行することが本当に良いことなのか...。などなど、日本人には不向きかもと思われていても、“欧米がやっているから、グローバル・スタンダードだから正しい”などと考えられているようなことがもしあれば、それが現在は常識だと思われていても、日本人にとって何が最適かという視点でもう一度見つめ直してみる必要があるのかもしれない。
ファッションや音楽など、最近の若者文化の中には“和”のテイストを取り入れたものが多く見られるらしい。斬新で洗練された欧米的なものを基礎としながら、日本人としてのアイデンティティも忘れない。単なる流行の循環なのかもしれないが、自然体で真の“グローバル化”を実践できてしまう若者文化を、日本経済も見習う点があるのかもしれない。『アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひく』などと言われるのはもうごめんだ。『アメリカが風邪をひけば代わりは日本が勤める』と言われるまでに、日本経済が世界から信任されるようになりたいものだ。
外資系金融コンサルタント 円城寺真哉
提供:株式会社FP総研