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(回答先: 問題は、供給ではない。需要だ。 投稿者 ケイちゃん 日時 2002 年 11 月 11 日 06:53:25)
ケイちゃん、こんにちわ。
経済問題に関する大枠の見解については同意します。
しかし、「問題は、供給ではない。需要だ。」という認識に対しては、「問題は供給=需要だ」と反論します。
>供給が有り余っている中で供給=需要、供給が上がれば自動的に需要が増えるという
>話は妄言にしか聞こえない。
ご指摘の妄言を吐いているものですから、反論をさせていただきます。
公的債務の積み上げではない「政府紙幣」による需要拡大策が有効であることは認めています。
しかし、供給=需要という“価値観”を軽んじた需要側からの経済回復策に対しては、次のような疑念を提示することができます。
● 供給は国内からだけとは限らない
「政府紙幣」が発行されて需要が増大したからといって、それ向けに供給される財は、日本国内の供給活動で生産されたものとは限りません。
例えば、同一品質のパソコンを同一価格で販売するとして、日本で生産したものは100の利益が得られ、中国で生産したものは輸送費を含めて110の利益が得られるとします。(両方とも日本企業が所有している生産拠点という想定です)
「供給=需要」の考えが理解できず、現在でもそうしている経営者は、より多くの利益を得るために、日本の需要向けに中国での生産を拡大すると予測します。
政府が打ち出の小槌を使って需要を拡大してくれるのですから、企業経営者は、ただひたすらコストが安いところで生産した財を供給すればいいことになります。
● その行き着く先
現在の経済システムというか経済価値観で「政府紙幣」を発行すれば、前述の内容から、国内供給力が衰退していくことが考えられます。
ケイちゃんも指摘されているように、「デフレギャップが埋まり、それでも政府紙幣を発行し続ければ、インフレと円安の極度な昂進が見られるだろう。これを放置することはできない。ただ、適度のインフレと円安は今の日本経済が窮地を抜け出し、公的債務残高の問題を緩和するのにむしろ有効である」という状況が生まれます。
需要に見合う供給活動が国内で行われなくなれば、貿易収支は赤字になり、インフレと円安が進むことになります。
ハイパーインフレ(スタグフレーション)になると考えればいいでしょう。
「これを放置することはできない」と考えてできることは、「政府紙幣」の発行を減らして需要の抑制を実現するか、供給力の拡大を実現するかになります。
「政府紙幣」の発行を減らして需要の抑制を行えば、一時的にでもデフレ圧力が加わりますから、利益を確保するためによりコストが安いところでの生産に依存するようになります。
ここで書いた内容から、自由主義経済価値観が横溢し自由貿易も行われているなかで、ハイパーインフレになった時点での供給力拡大の実現がどれほど困難かはご理解いただけると思います。
物理的にもいったん海外に移転させてしまった生産設備を国内に戻しことは時間が掛かりますし、国内で失われた組織的活動力を復元するのも手間が掛かるものです。
「適度のインフレと円安」ではなく、中国沿岸部との平衡条件に近い経済条件が実現するほどのハイパーインフレと超円安状況に陥り、「公的債務残高の問題を緩和する」というレベルを超えて、債権者の経済利益を大きく損なう可能性も大です。
「政府紙幣」がうまく行くのも、「供給=需要」という経済価値観が一般化していることが条件になります。
「供給=需要」という経済価値観が一般化したなかでの「政府紙幣」の発行には反対しません。