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毎日新聞大阪本社版 2002年8月8日
「つくる会」教科書 公立中で初採択
愛媛県新設校 教委、15日決定
愛媛県教委が、中高一貫教育の導入に伴って来春新設する県立中学3校で、「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した扶桑社の中学歴史教科書を採択する見通しであることが7日分かった。公立中での採択は全国で初めてとなる。同教科書は昨年、採否をめぐって支持、不支持の激しい論争が起きており、再び波紋を呼びそうだ。
県教委は昨年8月、「郷土を愛し、自分の住む国に誇りを持てる子供を育てるという点で、他よりも優れている」(吉野内直光・県教育長)などとして県立養護、ろう学校の一部で同教科書を採択していた。
県教委幹部は毎日新聞の取材に対し、「昨年と同じ教科書を審議して、別の結論を出すことは矛盾する」としている。
県教委は7日、採択について審議する教育委員会定例会を採択期限日の今月15日に開くことを決定。反対派の抗議行動など、採択後の混乱を避ける構えとみられる。
教科書採択は4年に一度だが、同県では来春、中高一貫校として県立3高校にそれぞれ中学校を併設することから、3中学校で使用する教科書を採択することになった。
元文部省官房長の加戸守行知事は昨年の採択の際、「教育委員会の見識であり、高く評価する」と述べており、今回の動向が注目されていた。
同教科書について「自国中心主義」などとして批判する運動は同県内でも起こっており、加戸知事が昨年の採択前に吉野内教育長に対して「扶桑社版がベストだろう」などと推薦していたことを認めたため、市民団体などが「教育への政治介入」として採択無効確認など3件の訴訟を起こしていた。
毎日新聞の調査では、つくる会教科書を昨年採択したのは、公立では東京都立の養護学校の一部と愛媛県立養護、ろう学校の一部だけ。私立中学校では8府県9校が採択した。
(沢木政輝)
26面「視点」
愛媛県教委 つくる会教科書採択
再び外交問題発展も
「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーらが執筆した扶桑社の中学歴史教科書を、愛媛県教委が中高一貫校という新設県立中学で採用する見通しになったことで、全国自治体教委の3年後の教科書採択への影響は必至だ。
同県教委が昨年、養護学校などの一部で「つくる会」教科書を採択した段階で既に、「焦点は03年度開校の中高一貫校での教科書採択」とする見方が強かった。
今回の背景には、公立の中高一貫校設置の動きもある。県立中学なので県教委が教科書を決められる。東京都も05年〜10年度に9都立高と都立大付属高の中高一貫化を計画するなど、今後も全国で設置が相次ぐ都道府県立の中高一貫校の教科書採択で、同じ動きが出る可能性もある。
15日に愛媛県教委が採択すれば、来年度3校で計480人の生徒がこの教科書を使用する。昨年、全国の国市区町村立中学が採択しなかった理由の多くは、韓国などからの反発が噴出、日韓交流行事が延期や中止になって外交問題にまで発展したからだ。韓国の「日本の教科書を正す運動本部」も「もし採択すれば、ワールドカップで好転した韓日関係が悪化する」などと訴えており、再び外交問題に発展する可能性もはらんでいる。
(沢木政輝)