http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/399.html
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末尾にスレッドURLを示す独歩さんの論考を批判させていただきます。
【引用】
「で はなぜ、控除対象仕入税額というものがあるのかということについては、消費税というものが、最終的に税を負担するのは、消費者(最終消費者)であることを意図したものだと考えられます。
これは、国税庁が、消費税の法令等に基づき「最終的に税を負担するのは消費者となります」と明言している(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6101.htm)ことからも、それは、読み取れます。」
【コメント】
独歩さんには恐縮ですが、「国税庁が、消費税の法令等に基づき「最終的に税を負担するのは消費者となります」と明言している」ことを根拠に出されても、えっ、それが?という感じです。
大事なのは、「消費税の法令等に基づき」の部分です。法令のどこに、趣旨でもいいですから、「最終的に税を負担するのは消費者となります」と書かれていますか?お示しください。
国税庁的表現として採用可能なのは、次の二つくらいです。
● 「経済取引の論理から言うと、最終利益と同じように、消費税も、最終的に消費者が負担していると言えます」
但し、この表現が正当なものなら、法人税についても、「最終的に法人税を負担するのは消費者になります」と言えます。
こういう論が“本質論”だと思っています。
● 「消費税を円滑に運営するため、事業者が負担する消費税を最終消費者に肩代わりしていただきたいと考えています」
消費税の導入で財務省がもっとも悩んだのは、それまでの二度の導入失敗から、「売上税」でも「付加価値税」でもない税のイメージをどうやって国民(事業者)に植え付けるかということです。
「最終的に税を負担するのは消費者となります」も、そのイメージ作戦の一環でしかありません。
【引用】
「まず、税額を算出する上で基礎となる課税対象を意味する「課税標準」はあきらかに異なるものであることが法律においてもはっきりしております。 」
【コメント】
消費税を付加価値税と考える人で、消費税と法人税の「課税標準」(課税ベース)が同じという人は皆無だと思いますよ。
かといって、「課税標準」が質的に違うという人も少ないでしょう。
質は基本的に同じで、量が違うという見方が多数派だと思います。
「課税標準」の文言表現ではなく、「課税標準」の内実すなわち“課税ベース”を考えることが重要です。内実は、次の項目で説明します。
【引用】
「@法人税 / 内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。(法人税法21条) → 儲け(付加価値)
A消費税 / 課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする)とする。(消費税法28条1項) → 課税資産の譲渡(課税売上)
つまり税額計算上は、法人税額と消費税額、ともに基本は「課税標準×基本税率」となり、これで成立することになります。ですから法人税額を求めるには、売上から仕入を差引いた“儲け”(付加価値)に対して、課せられるものですが、消費税額を求めるには、課税資産の譲渡である売上のみに対して課せられるものです。」
【コメント】
まず、「儲け(付加価値)」は、法人税の課税標準としては不的確な表現だと思います。
法人税であれば、付加価値から消費税よりも広い範囲の経費を控除した「儲け(経常利益)」とすべきです。
法人税と消費税が、本質的には、課税標準が違うだけで、大枠としては付加価値を対象とした税であることは、数式化でわかります。
わかりやすくするため、接待交際費の扱いに関する規定などを無視し、営業外収益も除くかたちで示します。
法人税:(売上−(仕入原価+諸経費A+減価償却費))×税率
消費税:(売上−(仕入原価+諸経費B+設備投資))×税率
二つの数式を見比べれば、法人税と消費税は、範囲が違うだけで、本質的には同じものを課税対象にしていることがわかるはずです。
[説明]
消費税法は、付加価値税であると思われないよう腐心して、売上が課税対象であるかのように表現していますが、本質は、上記の数式でわかるように付加価値税です。
金融収益など営業外収益を除外しているので、法人税と消費税の“課税ベース”の違いは、売上から控除できる経費の範囲の違いによって生じます。
消費税の控除の対象とする経費は、“他の事業者(経済主体)が既に付加価値を生み出したもの”と考えればわかりやすいでしょう。
そのような視点から違いが生じる「諸経費A」と「諸経費B」を比較します。
「諸経費B」に含まれない経費(消費税で控除できない仕入)で、「諸経費A」に含まれているものを列挙します。
なお、「諸経費A」には、「諸経費B」はすべて含まれています。
「諸経費A」のみ:支払い給与・報酬+利払い費+公租公課(法人諸税を除く消費税・固定資産税・自動車税など)
「諸経費A」に元本返済額を含む利益を加算することで、その事業者が生み出した付加価値の全体になります。
減価償却費は、規定の金額水準を超える備品や設備は購入時に一括償却(一括損金計上)できず、期ごとに償却(損金計上)する規定になっていることで発生する経費(損金)です。
消費税においては、償却期間が10年の機械設備を1千億円で購入したとしても、一括で仕入に計上(仕入にかかわる消費税額)できますので、減価償却費という概念はありません。
法人税では一括経費(損金)化できない備品購入&設備投資が、消費税では一括で“仕入”にできるところが質的な違いとも言えますが、機械設備などはその製造事業者が付加価値を生んでいるものですから、処理において矛盾はないと言えます。
(消費税法28条1項) は、第三章税額控除等の第三十条と合わせて一つと考えたほうがいいいと思います。
財務省は、消費税が付加価値税であるとできるだけ悟られないよう、もってまわった表現で課税ベースの説明をしているのです。
※ 消費税法第三十条冒頭部分
第三章 税額控除等
(仕入れに係る消費税額の控除)
第三十条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる課税標準額に対する消費税額(以下この章において「課税標準額に対する消費税額」という。)から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に百五分の四を乗じて算出した金額をいう。以下この章において同じ。)及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この章において同じ。)につき課された又は課されるべき消費税額(附帯税の額に相当する額を除く。次項において同じ。)の合計額を控除する。
※ 独歩さんの投稿スレッド
「消費税は、本質的には、付加価値税ではない。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/393.html
投稿者 独歩 日時 2012 年 7 月 02 日 12:05:33: OcXlFVq.c5uyc
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