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消費税は、税の累積の排除という観点から、売上税でもなく法人税でもありません
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/641.html
投稿者 独歩 日時 2012 年 7 月 07 日 22:57:19: OcXlFVq.c5uyc
 

(回答先: 消費税は“付加価値税”であって“売上税”ではありません。 投稿者 あっしら 日時 2012 年 7 月 07 日 03:35:46)

あっしらさん、レスありがとうございます。
長いことやりとりさせて頂いて、付加価値税の認識など、それに関連する知識が深まり、大変楽しませて頂いております。

少し誤解もあるようなので、最初にまとめながら、進めていきます。
まず「付加価値税」について、それが一般的に何を意味したものであるのかを、確認いたします。
『諸外国の付加価値税2008年度版』(http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document/2008/200804.pdf#search='付加価値税の定義')に「付加価値税の特質」というものがあり、参考になるかと思い抜粋いたします。

(ここから)―――――――――――――――――――――――――――――
付加価値税の特質は次の3 点にある。すなわち、
@消費に課される間接税であり、最終的には消費者が負担すること、
A課税ベースが広いこと、
B生産・流通・販売の全段階で課税されるが、税の累積を排除するために、仕入段階に係る税額を控除できること、
(ここまで)―――――――――――――――――――――――――――――

と、なっております。
Aについては、課税の範囲の違いはあれど、概ね法人税と本質的には同じ要素と捉えることができます。
Bについては、仕入に係る税額を控除できるということから、法人税と本質的に同じもののように思われますが、ここに“税の累積を排除するため” という文言が入ります。これは、@にも通じる話ですが、付加価値税が、最終的には消費者が負担をするということが前提であり、さらに、その負担率は累積されたものではないということを意味しております。つまり物の値段が本来の課税される前に比べての課税負担率が、同じになっているということが、売上税との違いだと思います(これについては後に書いた「税の累積についての説明と比較」をご参照ください)。
消費税も、付加価値税とは名前は違えど、一般的には、同じ定義がされていると思われます。
そして、この付加価値税の定義のようなものは、その内容が税理念やその分類のようなもので、法律には直接的に記載されている事項(されるべき事項)ではありません。
ではそれがどこで判断できるかというと、その法の運用内容から類推していくしかないと思われます。
そこで私が着目したのが、消費税法に記載されている仕入れ税額控除というものが、本当に“税の累積を排除するため”ということを想定したものであるのなら、それは、“最終的には消費者が負担する”ということを意識した結果生ずるものであると類推できると思うに至りました。なぜなら、最終消費者負担を意識していなければ、そもそも税の累積のことなどあまり重要ではないですし、また、最終消費者において税の累積のない公平な税負担割合において負担されないと、間接税としてあいまいなものにならざるを得ないからです。
そして“最終的には消費者が負担する”ということが類推できれば、それは間接税の内にあることになり、直接税である法人税とは根本的に違うということになります。
もちろん直接税である法人税が、その法人税額の金額を売上に転嫁したときに、その負担率が累積されないものであるならば、“最終的には消費者が負担する”という要素が法人税にも見られることになり、@〜Bの要素において、法人税と消費税と付加価値税は本質的な違いは見出せないでしょう。

<「税の累積」についての説明と比較>
例えば仕入100万円のものを200万円で売った場合、単純に100万円が儲けとなります。
200万円−100万円=100万円(儲け)
そこに消費税分(5%)を転嫁させて計算すると、
210万円−105万円=105万円−5万円(消費税)=100万円(儲け)
そして、この商品(税込210万円)を仕入れて税込315万円で販売したとすると、
315万円−210万円=105万円−5万円(消費税)=100万円(儲け)
となり、企業の儲けは同じで、常に課税された消費税分について転嫁した場合、最終消費者の負担は、消費税が課税される前の本来の値段300万円に対して5%の消費税負担となります。これはどれだけ中間に業者がいたとしても、同じことで税の累積はありません。
これが売上税の場合は、上記に売上税5%(仕入還付無し)として計算すると、開始原価はまずは105万円(元の値段+売上税5%)です。そこから同じ儲け100万円を生み出すために課税された部分を売上に転嫁したとすると、整合性の取れうる売値は215.25万円(元の値段の7.62%分を足したもの)になるのです。
215.25万円−105万円=110.25万円−10.25万円(売上税5%)=100万円(儲け)
さらにこの商品(税込215.25万円)を仕入れた業者が同じように100万円の儲けを生み出そうとしたとき、売値は331.01万円(元値段の10.33%分を足したもの)になります。
331.01万円−215.25万円=115.76万円−15.76万円(売上税5%=100万円(儲け)
つまり、売上税の場合は中間に業者がいればいるほど、最終消費者の税負担割合が多くなる(税の累積がある)ということです。つまり売上税5%と設定されても、最終消費者においては一律に5%の負担とはならないということです。これでは、税金5%分は最終消費者が負担するという定義は成り立ちません。ですから売上税は、付加価値税ではないのです。
さて法人税ですが、法人税も消費税と同じように、仕入れ部分(損金)の売上からの相殺はありますが、その仕入れ(損金)が売上より多い場合に対しての損金還付はありません。もちろん損金を次年度以降に繰越して売上と相殺することはできますが、その期限が設けられていることと、また会社を解散した場合などは、その繰越分を現金還付などはしてもらえません。“儲け”に課税することを重視した法人税としては、あくまでも損金繰越については“おまけ”的意味あいの強いものだと思われます。
ですから損金繰越の期限切れで、損金繰越されない金額を売上に転嫁していくことになれば、上記で説明した売上税と同じように、税の累積が起こるものと思われます。
さらに法人税における損金分の滞留年数による金利まで考慮にいれて、その分の金利も価格に転嫁するとなれば、さらに税の累積は多くなると思われます。
ですから、法人税は、その税法の運用内容において、最終消費者負担を意識したものではなく、付加価値税とは本質的に違うものだというわけです。


>>繰り返しますが、控除対象仕入税額は、消費税が売上税ではなく付加価値税であることを示唆する概念で、間接税であることはまったく無関係だと思います。
>>間接税の代表であるたばこ税や入湯税などには、控除対象仕入税額的な仕組みはありません。


控除対象仕入税額があることによって、上記の説明のように、それは最終消費者が同じ税率にて負担することを意図することができ、そしてそれが類推されるものであることから、間接税の一種であると認識できるということです。
消費税はその課税対象の広さから、最終的に消費する者がどこの取引において関わっているのかが限定できないために、多段階方式にての課税がなされたものと思われますが、仕入税額の控除があることによって、各段階で課税されるとはいえ、結局は最終消費者が課税対象取引の5%を税負担するということになっているということです。
他の間接税であるたばこ税や入湯税などは、喫煙者や、入湯者などは安易に特定されうるため、中間業者などの多段階において課税することを想定してはいないものと思われます。ですから、間接税を表す要素として控除対象仕入税額がなくてもなんら問題はないものと思われます。


>>付加価値税は、世界的に間接税だと定義されていることは知っています。


>>財政学の定義に従えば、消費税は直接税です。


納付税額を計算する上での計算式が、法人税と同じようなものであるので、徴税の観点からは、等価性のあるものとして定義されてもおかしくはありませんが、「消費税は直接税」とまで定義されているとは、どのような学説を根拠に出されているのでしょう。もし宜しければ参考になるので、教えて下さい。
また私が調べたところ、最新の財政学上の分類においては、直接税と間接税の定義は、租税の転嫁の有無はあまり重要視していないように定義されているみたいです。
http://www.meijigakuin.ac.jp/econ/academics/publications/annual/PDF2/27-1.pdf#search)より以下抜粋

(ここから)―――――――――――――――――――――――――――――
慣例的に直接税と間接税の定義は,租税転嫁の有無によって納税者と担税者が一致する税が直接税であり,一致しない税が間接税であるとされてきた。しかし,最近の租税理論では,租税の転嫁よりも帰着に焦点を当てた際,従来の定義にしたがうと法人税は直接税に分類されてきたが,転嫁される可能性があるため,上述した定義では充分に成立しなくなっている。したがって,最近の財政学のテキストや租税システムの国際比較では,「租税転嫁の有無」による分類方法は用いられていない。この定義に代わって,アトキンソン(Atkinson, A.B.:1977)の定義が一般的である。この定義によれば,直接税は納税者の個別的事情をイクスプリシットに考慮する税であり,間接税は納税者の個別事情を考慮しない税となる。具体的には,所得税は納税者の所得水準,家族構成,医療費等の要素を課税標準に反映させ,法人税は法人の利益や法人の形態などを反映させて課税している一方,消費税は消費する個別事情(所得水準等)を考慮しないで課税されている点から判別できる。
(ここまで)―――――――――――――――――――――――――――――

つまり抜粋内容によると、最新の財政学上の分類においては、法人税は直接税であり、消費税は間接税としており、さらにそれらを分類する上においては、租税の転嫁の有無よりも、納税者の個別事情の考慮の有無を重視しているということになります。そうなると、ここで互いに展開している租税転嫁に関する議論も、あまり意味のないことのようにも感じます。


>>たばこ税は、たばこ事業法でたばこ税転嫁のための“保障措置”があるので、間接税であり、直接税と見ることはムリだと思っています。


たばこ価格は国が価格を取り決めることに、妥当性があるということで決められているものだと思われます。それを間接税の根拠とするのなら、地方公共団体が取り決めている市バスや鉄道などの公共料金に対しても消費税は課せられ転嫁されておりますが、それらにかかる消費税も間接税であるとなりますし、それ以外にも実質価格決定に国が関与している高速道路料金や電気料金など、その転嫁分の消費税も間接税となると思われます。
そもそもたばこにおいても消費税はかかります。価格が一律ですから、消費税分も当然に加算された金額であり、その分の消費税についても間接税となるはずです。


>> 「その課税商品を買った人は公平に一律に5%の消費税を支払います」という説明の内実がわかりません。同じ日に同じ店で同じプライスの商品を買った二人がいて、一人は8000円、もう一人は7600円の支払いというケースはそれほど珍しい話ではありません。何をもって、公平とか一律と認定するのでしょうか?
>>消費者側ではなく店(事業者)側については、“同じ商品を別の価格で売ろうとも、公平かつ一律に、「売上金額×5/105」の消費税額が発生したとみなされる”と言えます。
>>これが、消費税の本質的な課税論理です。


最初の方の「税の累積」の説明でいいかと思います。つまり他業者間における商品価格のことではなく、その商品自体の課税前と課税後を比べたときの税金の負担割合が、「税の累積」によって多いか少ないかによる公平性の問題です。


>>まだ誤解されている部分があるようですが、消費税の税額計算を考えればわかるように、消費者が定価+消費税5%を支払ったとしても、そのお金が消費税として納付されるかどうかは定かではありません。
>>消費税は、売上税ではなく付加価値税ですから、同じ売上金額であっても、認定の仕入金額の多寡で消費税額は異なります。消費者が消費税として払ったつもりの金額のどれだけが消費税として納付されるかは未定なのです。
>>また、自動車ディーラーに払ったケースであれば、ディーラーと自動車メーカーを合わせても消費税を1円も納付していませんから、まったく納付されないことになります。


それは消費税が「(同じ税負担率にて)“最終的には消費者が負担する”= 間接税」ということによる課税仕入れの控除があることに起因します。販売会社が認定の仕入金額の多寡によりその売上部分の消費税を納付していないというのは、その仕入金額を相殺したときに既に支払った仕入金額が多かったので支払い分がなかった(返納してもらった)というだけの話です。
その時に消費者が本当に支払ったのかとか、販売者が本当に貰ったのかは、徴税する側としては、あまり関係の無い話だと思います。税金というのはそういうものではないでしょうか。例えば、築年数が古くて雨漏りも見られ、配管の故障や、室内の水回り設備が撤去されているなど、とても住むことのできない壊すだけの廃墟(固定資産税の評価額ほどの資産性の無いもの)に対しても、基本、建物に対して固定資産税の評価額を元にして固定資産税がかかります。
徴税とは機械的なものであり、そこに個別に対処することはしないし、する術(労力)を持ち合わせていないということなのでしょう。


>>消費税は、付加価値が課税ベースであることはともかく、まったく同じ商品でも販売価格によって「売上にかかわる消費税額」が違うので、「物品税」ではなく、「収入税」です。


消費税額が変っても、消費税率はかわりません。全く同じ商品でも、価格が違うのは販売会社の経費や利益がかわるからで、それを購入者が、どこの会社からいくらで購入するかも自由判断です。消費税率による公平な負担が最終消費者にいくのであれば、それは間接税であり、物品税の分類になると思われます。


>>機械設備など長い稼働年月で“消費”されるものが、一括で仕入控除となっていることからわかるように、消費されることで課税されているわけではありません。
>>機械設備の製造販売企業は、すぐには消費(最終消費者の手に渡ること)されないものの消費税を納付していることになります。
>>一方、購入した企業は、すぐに消費したかのように一括仕入控除しながら、その機械設備を長期にわたって使い続けます。


消費税の課税標準はあくまでも売上にかかわるものですから、消費というものも、売上者観点から定義するべきものでしょう。
例にあげられた機械設備においては、その販売者から見れば、機械設備が在庫からの消失に他なりません。その機械設備がその後、大切に使われようが、すぐに分解されようが、鉄くずとして処分されようが、販売者からは基本関係のないことです。
購入した企業も、その販売者の在庫からの消失に対して支払った費用にかかる税金ですから、一括仕入控除に無理があるともおもわれません。


>>付加価値税とすればすっきり説明できるのに、消費税であるかのように説明しようとするからムリがいっぱい出てくるのです。


むしろ消費税ではなく、付加価値税とする方が何かと誤解を生むと思われます。実質“最終的には消費者が負担する”ということを意図しながら、付加価値という差額的な概念を税の名前にするというのは、どこかおかしいものと思われます。そんなところにあっしらさんは、付加価値税の本質というものを見てとるのでしょう。ある意味で“巧妙”だったのは、欧州の二番煎じの日本の財務省ということなのでしょうね。
まあ付加価値税は元は直接税の発想からのものらしいですから、その名残があるのかもしれません。
ただ名称はどうあれ、中身としては「(同じ税負担率にて)“最終的には消費者が負担する”」ことを意図した間接税であると思われ、それを意図していないそれこそ儲け(“付加価値”)のみに着目した法人税とは、一線を引くものと分類せざるを得ません。


>>「それは最終消費者に“公平に同じ負担率で”負担させるということを意図した税」という説明が通用するのは、消費税が“売上税”のときのみです。
>>なぜそう言えるのかは、消費税の税額計算を考えればわかるはずです。


最初に説明したように、売上税は、「最終消費者に“公平に同じ負担率で”負担させるということを意図した税」ということにはならないというのが私の見解です。
 

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コメント
 
01. 2012年9月07日 15:58:37 : lDzIl2fabo
久しぶりに、おもしろい議論を拝見させていただきました。

私の方も、日頃より消費税法には大きな疑問を持っておりまして、

つきましては、
@ 消費税法に、消費者への価格転嫁を保証した条文が一切ない点
(消費者への転嫁を期待しているにすぎず、だれの負担なのかそもそも立法時点で負担者が特定されていない)

A 仕入税額控除について課税売上割合による制限が設けられている点
(非課税売上を含む取引の分だけ、多段階控除方式による全段階控除が正確に行われず、結果として、税の累積が起きている)

B たばこ税や酒税と異なり、税抜き経理なる特殊会計処理が認められている点
(消費税は、法律上預り金であるとの記載は一行もないのに、なぜか、会計処理だけは、消費税を分けて処理することが認められている)

この辺りをご説明いただければ、助かります。


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