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(回答先: 事故を「レベル7」まで深刻化させた政府・東電の大罪:2号機圧力抑制室損壊は事故対策チームの極めて深刻な失態 投稿者 あっしら 日時 2011 年 4 月 19 日 12:38:35)
2号機は、15日早朝に爆発的事象を引き起こすまではというのは言いすぎになるが、その24時間前の14日早朝までは1・3号機に比べて相対的に安定的な状況で推移していた。
1号機は、事故発生の翌12日午後、日本国民のみならず世界中の人々の不安を揺さぶるかのような衝撃的な爆発を起こして建屋上部を晒し、3号機も、14日午前に、二度目ということで精神的には少しは緩和されたがさらに激しい爆発を起こし痛々しいほどの傷跡を晒した。
そのようななか、二つの間に建つ2号機は、表面的にはそれほどの問題がなく経過していると思われていたように思われる。しかし、その奥底では原子炉システム全体の保護をしっかり考慮し続けるひとならばわかるはずの“悪化”が静かに進行していた。
結論っぽく言えば、福島第一2号機は、皮肉なことになるが、1号機・2号機と違って、原子炉隔離時冷却系(RCIC)という緊急時炉心冷却装置の一つがきちんと作動し続けたがゆえに、それが引き起こすことになる重大問題を見逃してしまった事故対策チームの極めて深刻なミスのために圧力抑制室を損壊することになったと考えている。
原子炉隔離時冷却系というのは、発電のためタービンに高圧・高温の蒸気を送る主蒸気配管に付けられた主蒸気隔離弁を原子炉緊急自動停止とともに閉じたあとで動くものである。
この装置は、全交流電源喪失時でも緊急停止した電子炉の蒸気を利用して駆動できる仕組みを持ち、まずは復水貯蔵タンクに溜まっている水をポンプアップして原子炉圧力容器に注水する。
そして、2,500m3くらいの容量と思われる2号機の復水貯蔵タンクが空になると、次にはおよそ2,800m3と思われる圧力抑制室に蓄えられた水を炉心冷却材として汲み上げることになる。
事故当時の福島第一2号機の復水貯蔵タンクに実際にあった水の量はわからない。
隔離時冷却用ポンプの定格流量は2号機クラスで100m3/h程度と思われるが、復水貯蔵タンクと圧力抑制室を合わせておよそ5,300m3の冷却材(水)は、53時間で枯渇することになる。
事故対策チームが2号機の危機を確認したのは14日早朝7時ころらしい。
11日の事故発生から、48時間(二日)と16時間、64時間が経っている。
すでに気付かれた方も多いと思うが、圧力抑制室という装置は蒸気を冷却するサプレッションプールがあってはじめて機能するものなのに、原子炉隔離時冷却系を駆動し続けると、肝心の水がなくなってしまう状態を生むのである。
復水貯蔵タンクと圧力抑制室の水を使い切ると、炉心の冷却機能がなくなってしまい、原子炉圧力容器の温度と圧力が上昇していく。
このため、主蒸気逃がし安全弁を通じて圧力を低下させることになるが、主蒸気が逃げる先は圧力抑制室であり、主蒸気逃がし安全弁からサプレッションプールまでつながる10数本のパイプがそれを担う。
水がない圧力抑制室ということを考えれば、それは、温・高圧の蒸気が水で冷却されることなく、いちばん壁が薄いといわれる圧力抑制室を直撃することを意味する。
圧力抑制室が損壊してしまうのも当然であろう。
現在の2号機は、注入している水がほぼそのまま外に流出すると考えられるほどのダダ漏れ状況だから、15日早朝に起きた圧力抑制室の爆発的損壊で、原子炉建屋の地下コンクリート壁も壊れタービン建屋にスルーの状態にしてしまうとともに、原子炉再循環ポンプの配管までも損壊させてしまったのではないかと推測している。
このような事態に陥ることを防ぐ手立ては、当時隣の1号機や3号機でやっていたように格納容器に注水(当時なら海水)し、サプレッションプールを水で満たし続けることである。
それさえきちんと行っていれば、現在のような筆舌しがたい惨状にはなっていなかったはずである。
3月12日から14日のあいだに復水貯蔵タンクに給水する余力があったのか、余熱の蒸気で駆動する原子炉隔離時冷却ポンプがいつまで動くものなのかはわからないので、他の手立てについては省略する。
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