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(回答先: 人間は、自分の欲望のためにはたやすく人を殺せる生き物です。 投稿者 考察者K 日時 2009 年 1 月 12 日 13:29:05)
人が人を殺さないのは死刑のリスクに対する損得勘定からであって、人を殺すことへの忌避の感情からではない、というKさんの主張には同意できません。多くの人は殺したいほど憎い人がある、ということを聞いたことがあります。これが本当ならなぜ殺人を実行しないのでしょうか。Kさんの主張に従うならば死刑のリスクがあるから多くの人は殺人を思いとどまっていることになります。しかしながら現実には1人殺しても死刑にはならないのです。死刑のリスクは実質上ゼロです。にもかかわらず多くの人が殺人を犯さないのは、人を殺すことは悪いことだ、悪いことはしたくない、と考えるからだと思います。ここでいう悪いこととは万引きやキセルのような悪いことではありません。人を殺すという最も悪いことです。これには強い心理的ブレーキが働いていると考えざるを得ません。ここでは戦時でのことを言っているのではありません。平時でのことを言っています。 死刑になるリスクがゼロにも関わらず殺人を犯さないのは以上の理由によるものと思います。 しかしながら中には例外の人も存在します。通常ならかかるはずの心理的ブレーキがかからなくなった人です。この人たちには一時の激情に駆られて殺人を犯す人が含まれています。また慎重に計画を練った上で確信犯として殺人を犯す人も含まれます。また精神障害の症状のために殺人を犯す人も含まれます。 これらの人たちには死刑の犯罪抑止効果はありません。 2007年の殺人件数は1199件となっています。これらの犯人には死刑の犯罪抑止効果がなかったということになります。もし死刑制度を廃止したら殺人件数がどのように増減するかで死刑制度の犯罪抑止効果の有無を判断することができます。それには現実に死刑制度を廃止した国の状況を見ることが死刑制度の犯罪抑止効果の有無を判断する上で最も信頼できるデータとなります。 議論の最初でKさんは「廃止国の自国民に対するマスコミの大本営発表データすらも「疑うべき」くらいの状況です。」と主張されました。そのような主張は議論を不毛なものにする主張です。そのような考え方では138の国々がすべて例外なく殺人件数の発表を少なく抑えている、という結論さえも導き出してしまいます。 本当に死刑制度に犯罪抑止効果があるということであれば、死刑を廃止したその年から前年とは異なりあきらかに殺人件数が増加するはずです。それも少しではなく大きく増加するはずです。少しでは誤差の範囲ですからね。事実としてはそれらの国々で死刑を廃止したことで殺人件数が増えたという報告はなされていません。 また同時に死刑制度を廃止した138の国々では、その後、死刑制度の復活はごく一部を除いて行われていないという厳然たる事実があります。死刑制度を廃止したために殺人件数が増加したのなら世論が死刑制度復活を要求するでしょう。それも強く大きな世論として。138の国々のほとんどは主権在民の国です。当然政権交代も頻繁にあるでしょう。政権が変われば世論の力を借りて死刑制度を復活することは容易なはずです。しかし現実には死刑制度を復活させてはいません。 こうしたすでに死刑を廃止した国々の状況から、死刑制度には犯罪抑止効果はないと考えます。 |