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(転載)
[AML 0861] ネイチャーの新しい論説
http://list.jca.apc.org/public/aml/2005-March/000849.html
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ネイチャー3月17日号が遺骨鑑定問題に関して再度論説(社説)
を発表しました。、そのタイトルは Politics versus reality(政治対真実)
細田官房長官のネイチャーへのクレイムに憤慨したためでしょう、
今回は日本政府の非科学的対応を直接厳しく批判しています。
私は専門家でないのでよくわかりませんが、政府が北朝鮮への
反論文書のなかで「遺骨を洗浄した水からはDNAが検出されなか
ったので、遺骨から検出したDNAは遺骨固有のものだ」と言っていた
ことも科学的根拠を欠くものであったようですね。
政府は今回の論説に反論できるでしょうか。首藤議員なり他の議員
に再度、国会で政府を追及してもらいたいものです。
またマスコミはこれでもなお沈黙を決め込むつもりでしょうか。
以下に論説の全訳を掲載します。(原文は下記にありますが有料です)
http://www.nature.com/cgi-taf/DynaPage.taf?file=/nature/journal/v434/n7031/index.html
重複お許しください。 野田
・・・・・・・・・・・・・・・・・以下 翻訳
政治対真実
日本の政治家たちは、それがどれだけ不愉快であろうとも、
科学的不確定性を直視しなければならない。彼らは北朝鮮との
論争において外交的手段を用いるべきであり、科学的整合性
を犠牲にすべきではない。
日本の内閣総理大臣 小泉純一郎氏は、日本のある大衆
週刊誌によれば、先月のネイチャーのニュース記事のため
フラストレーションで頭を抱え込んでいる。
1977年に13歳で北朝鮮に拉致された横田めぐみさんが
まだ生きているかどうかが争われている。2002年、北朝鮮
は13人の日本人を拉致したこと、彼らの幾人かを海岸から連れ
さったことを認めた。それ以後、北朝鮮の拉致被害者に関する
情報提供の不熱心さが両国間の紛糾を招いている。(ネイチャー
433号、445号参照)
横田さんを含む拉致被害者の殆どが死んだという主張は信じ
難い。北朝鮮は昨年日本に送った遺骨は彼女のものだと言って
いる。しかし日本の鑑定はDNAは誰か別人のものだということ
を示し、北朝鮮軍は彼女をまだスパイ育成のため使っている
のではないかという疑惑を生んでいる。
日本が北朝鮮のすべての声明を疑うことは正しい。
しかしDNA鑑定の解釈は科学の政治干渉からの自由の限界
を踏み外している。鑑定を行った科学者へのネイチャーのインタ
ビューは、遺骨が汚染されていて、当該DNA鑑定を結論の
出せないものにしている可能性を提起したものである。
この提言は北朝鮮が欺瞞の権化と映って欲しい日本の政治家
にとって快いものではなかった。
日本政府はこの記事に対し鋭敏に反応した。伝えられるところ
によると、内閣官房長官細田博之氏は記者会見において、ネイ
チャーの記事は“不適当な表現”を含んでおり、科学者の発言を
誤って書いていると主張した。細田氏は記事のなかの意見は
“一般論”であって、当該ケースについて述べたものではないと
語り、このことは科学者にも確認していると付け加えた。
一方、その科学者自身は、見るところ、もはやインタビューにも
応じられない状況にある。
遺骨は汚染されていたかもしれないということは避けようの
ない事実である。この悲惨な出来事中に、骨がどんな経路を
辿ったかを誰が知り得ようか。北朝鮮によれば、遺体は発掘前、
2年間埋められ、1200℃で火葬され、その後、小サンプルが
日本に送られる以前、女性の夫の家に保管されていた。北朝鮮
がうそをついている可能性は大いにありうる。しかし日本が期待
するDNA鑑定がこの問題を解決することはない。
問題は科学にあるのではなく、政府が科学の問題に干渉している
ことにある。科学は、実験、およびそこから生じるすべての不確定
性が精査に開放されるべきだという前提の上に成り立つ。鑑定は
もっと大きなチームでなされるべきだという他の日本人科学者の
主張は説得力をもつ。日本はなぜ一科学者だけに鑑定を委ねたのか。
そして彼はもはや鑑定について語る自由さえ失っているかに見える。
日本の政策は外交的失敗―より正確には、日米安保体制の失敗
―の穴埋めのための必死の努力のように見える。安保体制は日本
の安全及び極東における国際平和と安全の維持と引き換えに不人気
な基地を日本におく権利を合州国に与えるものである。
日本はUSの支持のもと、北朝鮮に対して別のレバーをひくこと
ができたであろうか。答えは明確ではない。しかし別の問い方も
できる。もしもある全体主義国家がスパイに言葉を教えるために
25年間、US市民を海岸から拉致し、そして送り返してきたと
したら、ジョージ・ブッシュあるいは他のUS大統領はDNA鑑定結果
で言い争いつつ、遺灰の袋をもってそこにたたずんでいるであろうか。
日本の政治的、外交的失敗のつけの一部が、科学者にまわ
されようとしている。実験から結論を導き、実験に関する合理的な
疑問を呈することを仕事とする科学者に。しかし、北朝鮮と日本
の間の紛糾はDNA鑑定では解決されないであろう。同様に、
DNA鑑定結果の解釈は両国どちらの政府によっても決着がつか
ないであろう。北朝鮮と交渉することは確かに面白くない、しかし
そのことは科学と政治の分離のルールを破ることを正当化する
ものではない。
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翻訳 野田隆三郎