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逃げ道のない社会システムに適応した結果であること 自由の剥奪が日本人の生活の根底にある精神構造
http://www.asyura2.com/0502/social1/msg/272.html
投稿者 TORA 日時 2005 年 5 月 04 日 12:58:24: CP1Vgnax47n1s

株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu94.htm
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逃げ道のない社会システムに適応した結果であること
自由の剥奪が日本人の生活の根底にある精神構造

2005年5月4日 水曜日

◆米国の友人に宛てた手紙 2004年4月2日 気まぐれエッセイ
http://www.sixam.co.jp/shinri/kimagure/kimagure1.html#usletter

- - - これはカリフォルニア在住の日本人に送った手紙です。
彼は日本人と外国人の違いに興味をもち、日本人の精神構造を議論する「なぜ日本人は幼児的なのか」(教養大学、第153号)を送ってきました。 - - -

「なぜ日本人は幼児的なのか」ありがとうございました。台湾人の母と日本人の父、また米国で教育を受けた私にとって、日本人の国民性と思考形態は長年の関心ごとです。心理相談の患者を診ていて、さらにひきこもり患者と彼らの親と接して、日本人と日本社会についての考えを述べたいと思います。

日本人は確かに精神的に未発達なところがあると思います。また、他の国民に比べて、日本人の精神構造が特殊という意見に同意します。私の観察では、日本人は中国人や台湾人やフィリピン人などのアジア人と比べても、性格と精神構造が違います。

しかしながら、幼児性と精神構造の違いは日本人本来のものではなく、環境の産物であると考えています。私は東京理科大学で8年間心理学を教えましたが、その講座のひとつで日本人の精神構造は1)逃げ道のない社会システムに適応した結果であること、2)自由の剥奪が日本人の生活の根底にあると強調しました。

日本人は伝統的に組織(藩、家制度、会社、学校など)の中に組み込まれ、その中で生活するように訓練され、組織の外の生活に恐怖心をもつ傾向があります。組織の中は厳格な上下関係があり、権威者に無条件に従うように訓練され、自我を殺すこと(自己主張しないでガマンする)が美徳と教えられます。

人生は自らの選択で生きる荒野ではなく、網の目のように細かく決められたルールと自分に与えられた義務と仕事を果たす修行の場です。自分の要求を貫いたり、自分で決めて行動することは「我がまま」であり、人に迷惑をかける悪い行為です。

この社会システムの中では、欧米人が基本的人権と呼ぶすべては「我がまま」となり、未熟さの証拠となります。このシステムは息苦しい場所ですが、しかし、そこに慣れると外の世界を怖がるようになり、このシステムの中だけが安心だと考えるようになります。それは終身雇用制や役所の就職を求める国民性に現れています。永遠に続く組織が与える安心(security)を求めるために、自由と正義を放棄するのです。

日本人の「仕方がない」という表現には深い意味があり、「ここ(会社、役所、学校、藩)は苦しいし、自分が幸福になれるとは思わない。しかし、外の世界はもっと悲惨で、人を不幸にする。ここにいれば生活は保障される。だから文句を言ってはいけない」という考えが隠されています。つまり、逃げ道がないために、そこで生き延びるために、長いものに巻かれてガマンする哲学が発達しています。

日本人が単身赴任で家族をバラバラにされたり、家庭の団欒をもてないほど残業したり、過労死するほど働かされても不平を言わない背景には、ガマンの哲学と「組織の外では生きてゆけない恐怖」があります。リストラ(組織の外に放り出される)を極度に怖がり、自殺さえする人がいるのは組織の外の生活を怖がるためです。

日本人は盆栽の木とよく似ています。盆栽の木は鉢というフレームの中に閉じ込められ、行動と成長の自由を奪われ、盆栽の所有者を喜ばすために存在している。権力者の好みの思想を植えつけられ、自分のアイデンティティをもつことができず、自分の人生をもつことができない。自然の木のように、自由に大きく育ち、自分のために生きれない悲劇がある。しかし、鉢の中にいる限り生活は保障され、自然の木のような苦労はしなくてもいいという利点があります。

逃げ道のない盆栽システムで生きる日本人は、特に男性は「支持待ち人間」となり、男らしさや決断力の欠けた人間になります。彼らは生活の保障のために自由と正義を放棄するのです。別の見方をすると、自分の個性(アイデンティティ)と良心を放棄していると言えるでしょう。

これは一種の精神的な纏足(女性の足を小さくする昔の中国の習慣)です。組織(鉢)の中にいるかぎり生活が保障されるが、しかし、成長の自由と可能性は奪われている。盆栽は美しいが、しかし、本来の自分の姿とは違う。自由な自然の木(外国人)と比べると、むしろ、奇形(日本人)でもある。自由のない人間は自尊心がありません。日本人に見られる白人に対する根深い劣等感は、自由と自尊心の欠如から生まれるものです。日本人はどんな逆境においても「他の場所に逃げる」という自由がなく、その考え方が外国人との大きな違いになっています。日本人の幼児性と精神の特殊性は、逃げ道のない社会システムの産物でもあります。

◆逃げ道のない社会 2003年8月17日 気まぐれエッセイ

二年前にバルチモアの学会でひきこもりを紹介したら、アメリカ人の専門家から、ひきこもりはなぜ家出しないのか、なぜ部屋から出ないのかと質問されたことがある。そのアメリカ人は、ひきこもりが親や学校に不満があるにもかかわらず、何もせずに部屋に閉じこもる行動パターンを不思議に思ったのである。問題があれば行動するという前提の考え方であり、いつでも現実を変える自由があると信じるアメリカ人らしい発想だった。

そのアメリカ人は日本では現実を変える自由がないことを理解していなかった。ひきこもりは逃げ道のない日本社会の産物でもある。多くの日本の若者は子供の頃から社会と親が決めたレールにのせられ、学校を卒業すると、会社でサービス残業する人生がまっている。いくら嫌でもこうした「ふつうの人生」からの逃げ道はない。多くの人は、すべてに目をつむって社会に飛び込むしか道はない。しかし、ひきこもりはそんな「ふつうの人生」を拒否するという罪を犯している。ひきこもりに対する社会の目が冷たいのもそこに理由がある。ひきこもりを「甘えている」、「ガマンがたりない」と批判したり、犯罪予備軍のレッテル貼ったりする。

日本人は「ふつうの人生」――逃げ道のない管理された人生と呼ぶべきだがーーを否定する人に反感をもつ傾向がある。フリーターがいい例である。フリーターは会社に管理されるのを嫌い、パートタイムで働く人たちである。彼らはいつでも辞める自由を確保しながら、会社よりも個人の生活を大切にする。欧米風の言い方をすれば自由を大切にする人たちである。ひきこもりもフリーターも「ふつうの人生」を否定するが、フリーターは部屋に閉じこもらずに社会で生活していする。その意味ではひきこもりと違って社会参加している。しかし、「ふつうの人生」を否定するゆえに、フリーターも「考えが甘い」、「安易な生き方をする人たち」というレッテルを張られる。給料が安いので、将来は家庭をもつのも難しいだろう。

では、「ふつうの人生」を真面目に生きれば幸福になるのか。「ふつうの人生」――何度も言うが、逃げ道のない管理された人生のことーーをやみくもに走ると、最後には過労死が待っている。過労死する人たちは、「考えが甘い」、「ガマンが足りない」という批判を恐れるために、働き続けて死ぬ人たちである。過労死は欧米では日本特有の現象として知られており、なぜ死ぬ前に転職したり、労働を拒否しないのか不思議に思われている。

ひきこもり、フリーター、そして過労死、どれも逃げ道のない日本社会の産物である。日本がアメリカやヨーロッパのように大陸だったならば、彼らの生活も変わっていたと思う。よその土地に行けば新しい生活の可能性があるのだから、若者はひきこもりよりも家出をして、フリーターは自分の生活と家族を大切にする「ふつうの労働者」になり、会社員は過労死するまえにもっと条件のいい会社に転職するだろう。

四方を海に囲まれた日本は逃げ道がない。徳川幕府はこの地理的孤立を利用して、日本人の逃げ道を奪ってしまった。鎖国の精神は今でも残っており、日本人はどんなに非人間的な扱いも黙って受け入れるクセがある。「仕方がない」という言葉を英訳すると「NO WAY」となるが、それは「逃げ道がない」という意味である。悲しい現実だが、日本人の心の底にはいつも諦めがある。

◆日本語の情報には限界がある 2001年10月21日 気まぐれエッセイ

 今回のテロ事件で日本のマスコミを警戒すべきだと思った。英語放送(AM810)では、イギリス人、パキスタン人、イラン人などの外国人がテロ事件に様ざまな意見を述べている。全体的に見て、アメリカには世界的な同情が集まっており、イギリス、フランス、ドイツは協力を惜しまない。これが分かるのは英語のおかげである。英語は世界各国の生の声を聞ける強みがあり、情報の質がよくバランスも取れている。

 しかし、日本の情報源は新聞記者、大学教授、評論家に限られており、外国人の生の声を聞くのはまれである。しかも日本人は異論をとなえて目立つことを嫌い、大きな意見に流される傾向がある。これでは情報が偏るだろう。大量の情報の中で日本人が知らないことが起きるのだ。例えば、アメリカが日本の援助を期待していないのを日本人は知っているだろうか。これは外国人が知っていて日本人が知らない事実のひとつである。

 アメリカは、過去の体験から、危機的な状況で日本があてにならないことを十分に認識している。だからこそイギリス、フランス、ドイツに協力を求めている。小泉首相は世界各国の動きに乗り遅れる焦りから、自衛隊の派遣を自発的に申し出たが、アメリカが日本の協力をあてにしているとは思えない。アメリカのビジネスウィーク誌がブッシュ大統領に各国がどう反応したかの記事を記載したが、日本については一言も触れていなかった。アメリカ人はインドネシアのメガワテ大統領に関心を払っても、日本のことは気にしていないのだ。日本のマスコミと知識人はこうした重要な事実を報道していない。

 これからの時代、日本人も英語情報を集められかどうかが成功のカギとなるだろう。日本語の情報には限界があるからだ。


(私のコメント)
尼崎で起きた電車転覆事故について考えていたのですが、たった90秒の電車の遅れを取り戻すために運転士はパニック状態になってしまって、スピードを出しすぎて電車が転覆してしまったようだ。検証によると電車は非常停止の位置までブレーキレバーが来ていたから、曲がり角で車がブレーキを踏めば確実にスピンするように電車は脱線したらしい。

海外のニュースを見ても90秒の遅れは遅れの内に入らないということですが、少なくともJR西日本では許されないことなのだろう。常識的に考えても安全と時間の遅れを秤にかければ安全が優先されるのは当たり前のことだ。ところがJR西日本ではそのように教育されていなかった。電車のダイヤもぎりぎりのスピードで走ることが前提のようなダイヤだった。

恐らく現場の運転士からは異議が出ていたはずですが上司は聞き流したようだ。このような事は日本の会社勤めをした人は多かれ少なかれ経験していることだろう。わたしも銀行員を14年ほど在職したが、平社員が上司に意見を言うことは出来にくい環境だった。私などは上司に意見を言ううるさい社員だったがほとんど聞き流された。

銀行は預金集めに勢力を注いでいる反面、貸し出しにはルーズなところがあり、大口の不動産融資は止めるべきと意見具申したが聞き流されて、バブルの崩壊した後は銀行は合併されて今はない。私の周りの社員は結婚して住宅ローンで家を買い絵に描いたようなマイホーム生活をしていた。これでは私のような上司に意見を言う社員は煙たがられて当然のような環境だった。

銀行では年々ノルマがきつくなり、仲間で自殺する社員まで出てくるような状況になり、私もこれでは体が持たないと、独立して不動産事業を始めたのですが、多くの仲間は家族とローンを抱えてじっと耐える人が多かった。今では若くてローンを抱えてなければ気楽に転職するようになりましたが、日本の会社はいろいろな罠を仕掛けて逃げ出さないようにしてくる。

わたしも過労死するくらいならなぜ転職しないのかと思うのですが、会社員として会社に飼われていると転職したら大変だぞと上司は脅してくる。そのほうが社員を使いやすいし無理なノルマもかけられる。このようなことを「気まぐれエッセイ」では指摘していますが、日本の会社は組合も御用組合化して労働者を守ってはくれない。

日本の会社に勤めていると自己主張しないことが美徳とされると教えられる。事故を起こしたJRの運転手も過酷な勤務時間と列車ダイヤに対しても何もいえなかったのだろう。サラリーマンもサービス残業は当たり前になり成果主義だの実力主義だのと過酷になる一方だ。これでは電車事故に限らず事故が多発するのは無理はない。

日本はもともと社会主義国とか言われている。島国だから逃げようがないし、会社や学校や家庭という組織に縛られて組織の一員であることを徹底的に教え込まれる。その中では自由だの正義だのという観念は通用しない。日本人が会社の一員でいると不正行為も行うのはこのような環境のせいだ。

私が小さい頃から学校の先生に対してももの言う生徒だったし、会社員時代も上司に意見を言った。だからネットの「株式日記」で世の中に意見を発表しているのも私の性格からなのですが、欧米ではこれが普通なのでしょうが、日本人はおとなしい人間が多い。ネットがこれだけ普及しているのにBBSやブログなどで自分の意見を書かないのは、逃げ道のない人生を送っている人が多いからだ。

ネットのおかげで海外の情報が直接手に入るようになったし、英語の情報も翻訳ソフトのおかげで直接読めるようになった。このような英語の情報と、日本の新聞記事や評論家の意見などが、いかに国際社会とズレがあるかわかる。ネットが情報の島国という閉鎖性を打ち破る道具となっているから、ネットでもっと意見を発表するように心がけるべきだ。


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