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イスラエルのハアレツ紙やAPが伝えるところによると、イスラエル政府はインド北東部に住む約6000名の人々が「ユダヤ人」として移住してくることを認める決定をしたという。うーん、インドにユダヤ人ですか?
http://0000000000.net/p-navi/info/column/200504040343.htm
この人々はビルマ国境(インドの東端)付近に住む一族で、自分たちをユダヤの子孫だと主張している。すでにこの10年間に800人がイスラエルに移住してきた。今回は英国統治下でクリスチャンになっているこの人々をユダヤ教徒に改宗させ、大量移住への道を開くらしい。しかも、この人々が旧約聖書に登場する「失われた10支族」のひとつだと言うのだから、すごい話だ。
「失われた10支族」というのは、ヘブライ王国建国(前11C.)に力を尽くした、ヤコブ(イスラエル)の子どもたちから生まれた12支族のうち、南のユダ王国に行かなかった支族。ソロモン王亡き後、分裂して北のイスラエル王国を作った10支族は、紀元前722年にアッシリアによって王国が滅ぼされると、アッシリアに移され、吸収されたり、追放されて行方がわからなくなったという、旧約によると。これを「失われた10支族」と言うのだそうだ。
だいたい、旧約にも北のイスラエル王国10支族は異教の神を崇拝して堕落していたことが書かれている(らしい)。
そのなかの「マナセ族」の子孫だというのだ、今回のインドの人たちは。
イスラエルのユダヤ教ラビ、エイラフ・アビチャリは、この失われた支族のすべてを発見し、イスラエルに「帰還」させることを使命としている人物なのだが、この北東インドのマイノリティーの人々を20年前に知り、彼らが「マナセ族」の末裔だという幅広い証拠があると主張している。
たとえば、葬儀の儀式、衛生法が酷似しているとか、太陰暦を使っているとか、流浪してきた口承があるとか。
でも、この人々(「シンルン」という)は19世紀に英国によってクリスチャンに改宗させられる前は、アニミズムを信仰していて、1953年に部族長が一族がイスラエルに戻るという夢を見て以来、ユダヤ的な伝統を取り入れた(回帰した?)ということも伝えられている。
ラビ・アビチャリは長年の交流によって、これらの人々を本格的なユダヤ教徒に改宗させてきて、すでにイスラエルに「帰還」させてきた。今度は6000人という単位で移住させようということらしい。そして、このラビによれば、シンルンの人々は425万人(自称では125万人)存在しているという。(APと1999年のハアレツの記事による)
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こんな調子で行くと、トンデモ本が謳うような「日本人(あれ、東北人だっけ?)はユダヤ人の末裔だ」というのも、真剣に討議されたりして。「日本に失われた支族発見!」とか。
問題はコトの真偽じゃない。証明なんか科学的にはできないことだし。
もし、この人たちがマナセ族の末裔であったとしても、それでイスラエル移住になるというのがヘンなのよ。今から2700年前のことが、どうしてリンクする?
スペインのセビーリャ近郊には「ハポン(日本を意味するスペイン語)」さんという姓の人たちがいて、天正少年使節の落とし子の子孫だとか言われているけど、それが本当でもその人たちが日本国籍を求めることもないだろうし、日本に移民を勧めることもあり得ない〜。こちらは500年くらい前のこと。
インドの「マナセ族子孫(?)」は極端なだけに、イスラエルの大きな問題を教えてくれる。
古代ヘブライ王国とか、ユダ王国とか、イスラエル王国とか2000年前以上にあったものを現在に直結させるのは無理があるってこと!それ自体が「神話的」行為でしかありえない。
古代のユダヤ教と現在のユダヤ教は相当に異なるし、「かつて、そこに住んでいた」者の子孫って言ってもねぇ…。(子孫ということなら、きっとパレスチナ人にもその資格がある人は多いだろうし。)
結局は「ユダヤ人とは何か」という問題になってきてしまうんだな。このインドの人たちが認められるということは、結局は自己自認を誰かがある恣意的な基準で認めるということでしかないような気がする。
つい60年前にはそこに住んでいたことがはっきりしているパレスチナ難民は国連決議があるにも関わらず、イスラエルからは帰還を拒否され、「ユダヤ人」であれば、イスラエルの「ユダヤ帰還法」によってイスラエルへの移住を認められるというのは、つくづく不公正だと、インドの「マナセ族子孫」の件が明示してくれていると言ってもいい。
米国が出した統計によると すでにイスラエル、占領地内のパレスチナ人のほうがイスラエル人より人口が多くなっている という。それで焦って、「ユダヤ人」を増やしたいのかもしれないけれど、ますますユダヤ人とは何かというのが混沌としていくなぁ(私にとっては)。