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(回答先: 遺伝子を残そうとする欲求に対する自制 投稿者 ワヤクチャ 日時 2005 年 3 月 16 日 21:14:56)
ご存知のお話で申し訳ないのですが、、人口急増地域は、第三世界の貧困地域ですよね。貧困地域では、衛生状態、栄養状態の劣悪さから、乳児死亡率が高い。親は、“保険”をかける意味でも、多産に傾く。また、残念ながら、幼小児期から、労働力として期待されています。“自制”を求める対象は、このような第三世界の人々ですよね。彼等に倫理と自制を求めて解決できる、または、自制を求めることをスローガンとすべき問題でしょうか。しかも、“自制を求める”と要求する側は、既に人口増加に悩まされることは無くなった先進国です。我々の社会の少子化は、自制で“達成”されたでしょうか。自制を求めなくても、社会が安定し、所得レベルが向上し、公衆衛生が改善すると、乳児死亡率は低下し出生率は下がります。
国内問題として、実際に出産制限が政府の手によって行なわれた国があります。ペルーです。http://www.diplo.jp/articles04/0405-3.html先住民に対して、組織的な人口抑制政策が行なわれました。無差別な卵管結紮術です。人権侵害であり、民族絶滅政策に近い。これは、先住民に対し支出する福祉予算を未来に渡って削減すること、土地所有などで政府と利害が一致しない少数民族の激減を一挙に実現するものだったでしょう。ワヤクチャさんが理想化された、自制とはかけ離れています。しかし極端な例と、言い切れません。残念ながら、大企業経営者層と違い、献金してくれるでもなく利権も生まない層に対して採られる国家の施策は、福祉(保護)よりも、抑圧となる。抑圧的でない人口統制を行なうには、出生制限を守れば特典が得られるようセットされた政策と予算が必要かと思います。ワヤクチャさんが仰る運動とは、このようなものを指すのだとは、理解しています。しかし、、、
貧困層を手厚く保護することで、人口増加を抑制する政策を行なっている国がありますか。農業が、旱魃や内戦、農業政策の結果、崩壊している国は、食料輸入やドル借款に依存し、農業、産業を再生するはずが、却って自国を新自由主義国の市場と位置付ける条約を結ばされています。アフリカ、アフガニスタン、イラクなどなど。また、中南米や東アジアのプランテーション農業など、安い労働力を使う大地主が利権を持つ場合は、彼等が政権としっかり手を結んでいるため、土地の再分配による自作農育成策に農業政策が転換することは少ない。ベネズエラのチャべス政権はがんばってますが、常にアメリカの脅威に晒されつづけている。農村が既に破壊し、都市スラムが形成された地域では、労働条件の改善を大企業に求めなければなりませんが、政府がその支持基盤である企業の利益に反することを、すぐに行なうとは考え難い。地下資源を持つ国では、資源は自国民より、多国籍企業に開放されていて、恩恵は一握りの階層にしか行かない。開発独裁の政府を持ったインドネシアや、アメリカの傀儡政府を持ったコロンビアがいい例です。政府レベルの予算投入が行なわれるならば選挙と利権を前提としており、票田としての農村人口を、政権が確保すべきと考えれば、そのような政策は施行されるでしょう。しかし現在の、食糧自給率が低下しても、市場化を押し付けてくるWTO、世界銀行などの言うことを飲んでしまう政府のもとであれば、国に中小自作農の保護を期待できない。では選挙に期待できるでしょうか。支配層と貧困層の利害は反するので、多数者は現政権に反対票を投じるはずです。それでも少数者の支持する政権が選挙で多数の議席を占めることは、政権による選挙操作ができるので可能です。そうであれば、選挙民の数を現政権が考慮する必要は、多くない。コロンビアは極端ですが、その例です。
グローバル化、多国籍企業に有利な新自由主義政策が大手を振ってまかり通る間は、貧困層の利害と、政府、富裕層の利害が一致しない。一致しないと、そのような政策は生まれない。そのため人口抑制が成功しない、のが現実ではないでようか。
大雑把でご存知の事ばかりで申し訳ないし、仰る事は分るんですが、彼等に向かって、多産は倫理に反するから自制を心がけよう、という主張は現状に則さないと思います。むしろ、自制を自らの倫理とすべきなのは、衣食たった先進国であり、その経済活動です。その先進国も、アメリカを筆頭に、二極分化してきており、貧困問題を抱えていますが。